第4学年2組 体育科学習指導案 平成20年2月6日(水)第5校時 場 所 体 育 館 1 単元名 セストポートボール(バスケットボール型ゲーム) 2 単元の目標 ・勝利を目指し,仲間と協力して練習やゲームに取り組み,セストポートボールを楽しもうと する。 (関心・意欲・態度) ・チームの実態に応じて,簡単な作戦を立てたり,自分たちで工夫して練習をしたりすること ができる。 (思考・判断) ・投げる,つかむなどの基本的技能を向上させるとともに,空いているところ(オープンスペ ース)を見つけて動いたり,仲間を探してパスをしたりすることができる。 (技能) 3 単元について (1)セストポートボールの特性 ポートボールは前回(平成4年4月施行),前々回(昭和55年4月施行)の学習指導要領に 取り上げられ,現行(平成14年4月施行)の学習指導要領でこそ,そのゲーム名の記載はなく なったものの,現在の小学校体育でも取り扱われることが多く,児童には馴染み深いボールゲ ームである。ポートボールは,パスやドリブルでボールをつなぎ,ポートボール台の上にいる ゴールマンにボールが渡れば得点が入るゲームである。ルールが単純で,ボールの扱いも比較 的簡単なため,主に中学年で取り組まれることの多い攻守混合型ボールゲームである。 セストボールは,自陣のコート中央部におかれたかごのようなゴールに,パスのみでボール を運び,シュートして得点を競うゲームである。180度の角度からしかシュートが狙えない ポートボールに比べ,セストボールは,ゴールがコート中央部にあり,360度どこからでも シュートができるため,パスとシュートの機会を飛躍的に増やす効果が期待できる。ゴールが バスケットボールリングと同じようなかごであるため,直線的なシュートではなく,バスケッ トボールのようなふわりとしたループシュートが必要であり,バスケットボールを学習す る前の補助的な学習としても効果が期待できる。また,パスのみでゲームを進めるのでワ ンマンプレーが生まれにくく,パスアンドランの動きが必然的に出てくる。仲間と協力して攻 め方や守り方の作戦を立てることが重要なボールゲームである。 本単元セストポートボールは,360度どこからでもシュートができるコートの使用,及び, ドリブル禁止というセストボールの要素に,ゴールマンにボールが渡ったら得点というポート ボールの要素を合わせたゲームである。セストポートボールは仲間とパスをつないだり,得点 を狙ってシュートをしたりすることが楽しい運動である。ドリブルを使わないパスゲームであ り,ゴールマンにボールが渡ることで得点となるため,ボール運動が苦手な子でもパスをした り,シュートをしたりすることができる。仲間と協力してパスをつなぎ,シュートが得点とな ったときには,チーム全体で達成感を感じられるゲームである。 (2)小中連携を見据えた単元の位置づけ 本校では小中連携を意識して授業づくりや取り組みを行っている。セストポートボールは高 学年や中学校で扱われるバスケットボールにつながる運動である。中学年ではバスケットボー ルの運動技能の中でも,パスに必要な要素である,投げる,つかむ,空いているところ(以下 オープンスペースとする)を見つけて動くといった基本的技能を身に付けることが必要である。 また,集団スポーツにおいて,規則を守る,チームプレーを心がけるといった態度の基礎を育 てていくことも必要である。これらの力を中学年の間に身に付けておくことは高学年,そして 中学校へ向けて重要なことである。 また,中学校へ向けては楽しく運動に取り組もうとする意欲や態度を育てていくことも重要 である。先日,中学校と体育の授業についての情報交換を行った。中学1年生のバスケットボ ールの授業では,楽しそうにゲームができない生徒や,立っているだけで積極的にゲームに参 加しようとしない生徒がいると聞き,そういった生徒には指導するのが非常に難しいのではな いかと感じた。さらに, 「小学校の間にこれだけは身に付けておいてほしいこと」について尋ね たところ, 「技能面以上に,運動を楽しいと感じ,積極的に運動に取り組もうとする態度を育て てほしい。」という返答であった。中学校からは技能面をしっかり身に付けさせてほしいという 要望があるのではないかと予想していたが,中学校の願いは,楽しくゲームに取り組むという ことであり,小学校で重視されていることと同じであった。今回,中学校と情報交換をして, 運動を楽しいと児童に感じさせる必要性を改めて痛感した。 小学校体育においては,ボールを投げる,つかむ,オープンスペースを見つけて動くなどの 基本的な運動技能を身に付けることはもちろん重要だが,それ以上に,運動の楽しさや喜びを 味わわせ,積極的に運動しようとする態度を育てることが重要である。高学年へのステップ段 階である中学年では,特に楽しさや喜びを味わわせることができる単元の設定や指導の工夫が 必要である。本単元であるセストポートボールはこういった点からも,非常に効果が期待でき る単元ではないかと考える。 ゲームを楽しむ 【1・2年】ゲーム(ボール投げゲーム) ○易しい遊び方を身に付け,みんなでゲームが楽しくできる。 チームみんなでゲームを楽しむ 【3・4年】ゲーム(バスケットボール型ゲーム) ○友達と規則を工夫し,簡単な技能を身に付け,ゲームが楽しくできる。 【5・6年】ボール運動(バスケットボール) ○チームに適した課題をもって運動を行い,その技能を身に付け,簡単な 作戦を生かしてゲームができる。 個々の技術やチームとしての戦術を高めたり,勝敗を競ったりして楽しむ 【中 学 校】球技(バスケットボール) ○チームの課題や自己の能力に適した課題をもって運動を行い,その技能 を身に付け,作戦を生かした攻防を展開してゲームができる。 4 児童について 男子19名,女子20名,計39名のクラスである。非常に明るく活発で,体を動かすこと が好きな児童が多く,休み時間は体育館に出てドッジボールをしたり,廊下で縄跳びをしたり して過ごしている。 体育の授業に関しては,まずは体育を好きになってほしいと考え,性別や運動の得意,不得 意にかかわらず,誰もが楽しめる運動を取り入れた。そして,ボールゲームに関しては,投げ る,つかむが身に付くように,パスを中心としたゲームを取り入れた。 ≪5月 ドンパスゲーム≫ 5月にドンパスゲーム(4対2または3対2で,一定時間内にどれだけたくさんパスをつな ぐことができるかを競うゲーム)を行った。練習を重ねるにつれて,徐々にボールをつかむこ とが上達してきたが,パスを出すタイミングが分からず,ボールを長く持ってしまうため,す ぐに相手チームに囲まれてパスができない様子が多く見られた。 ≪10月 ドンパスタッチダウン≫ 10月には,攻める方向性のあるドンパスタッチダウン(パスをつないでゴールゾーンにい るゴールマンにパスをして得点を競う攻守混合型ゲーム)を行った。児童にとっては初めての 攻守混合型ゲームということもあり,当初は,どう動いてよいか分からず動けなかった。また, 一気にシュートを狙うロングパスばかりでゲームにならなかった。しかし,良いプレーを見た り,アドバイスし合ったりすることで,パスには徐々に流れやスピード感も出てきてゲームら しくなってきた。 ≪12月 ドンパスタッチダウンリーグ戦≫ 12月には,ドンパスタッチダウンリーグ戦を行った。児童には作戦を立てる道具として, また,どのように動いてよいか分からない児童が視覚的に動きをとらえることできるように作 戦盤を用意した。すると,休み時間には遊ぶ時間を割いてまで作戦を立てる様子も見られた。 リーグ戦の試合後には,ゲームに敗れ,最下位になったチームのほぼ全員が悔し涙を流し, 「次 は絶対に勝ちたい。」とゲーム後の発表タイムで悔しそうに発言する児童も見られた。仲間と協 力して勝ちたいという強い気持ちが生まれ,ボールゲームに熱中できたことは素晴らしいこと だと感じた。このころには体育の授業を欠席する児童もほとんどなくなり,足のけがで見学し ている児童が「ゴールマンだけでもやらせてください。」と訴えてくるほどドンパスタッチダウ ンに対する関心,意欲が高まり始めていた。 この数ヶ月間で児童の体育に対する意識は随分変わってきた。12月末に行ったアンケート からも4月からの変容がうかがえる。4月と12月末に行ったアンケートの結果は次の通りで ある。 好きな教科は何ですか。 【4月】 体育・・・・・・・13名 他の教科・・・・・25名 無回答・・・・・・・1名 【12月】 体育・・・・・・・21名 その他の教科・・・18名 体育は好きですか。 【4月】 大好き・・・・・・19名 好き・・・・・・・12名 ふつう・・・・・・・6名 嫌い・・・・・・・・1名 【12月】 大好き・・・・・・29名 好き・・・・・・・・8名 ふつう・・・・・・・2名 嫌い・・・・・・・・0名 1月に入り,次に取り組むセストポートボールの予告をしたところ,多くの児童が目を輝か せ,ゲームに関する様々な質問をしてきた。児童のセストポートボールへの興味,関心は高ま ってきている。 5 指導について (1)研究主題とのつながり 中学年部会では「思いをふくらませ表現することのできる子どもの育成」という本校の研究 主題を受けて,部会テーマを「友だちの意見を聞いて,自分の思いを素直に表現できる子の育 成」とし,友達の意見を聞くこと,自分の思いを素直に表現することができる授業づくりに主 眼をおいて取り組んでいる。さらに,この部会テーマを具現化していくために,個人テーマを 各自が設定し,研究に取り組んでいる。私自身は体育の授業を中心に研究主題へ迫っていきた いと考え, 「自分の思いを積極的に表現しようとする子の育成 ~体育の授業を中心に~ 」と いう個人テーマを立てて取り組んでいる。 体育の授業において「自分の思いを素直に表現する」ということは,大きく分けると次の二 つではないかと考えている。 ◎ 運動に関する自分の思いを言葉や動きで仲間に伝えようとすること ◎ 運動がしたい,体を動かしたいという気持ちを体の動きに変えて表すこと これらを行うためには,児童の意欲や思いを引き出す教師の手立てや支援が必要である。そこ で,今回は児童が自分の思いを積極的に表現することができるように次の手だてを行っていく。 ①運動に関する自分の思いを言葉や動きで仲間に伝えるために ゲーム前とゲーム間(ハーフタイム)に作戦タイムを設ける。この作戦タイムでは,作戦 を立てることも重要だが,今回はそれ以上に,仲間の考えを聞いたり,自分の考えを仲間に 伝えたりすることに力を入れて指導していきたい。その作戦タイムがより活発に進められる ように作戦盤を用いる。作戦盤を用いることで,運動が得意な子が苦手な子へ,理論的な子 が感覚的な子へというような様々な形でお互いにアドバイスしたり,質問したりして話し合 いが積極的に行われるよう支援していきたい。 また,授業の終わりには学習を振り返る場として発表タイムを設ける。ここでは,ゲーム 後の思いを言葉にして積極的に発言させたい。そして,その発言を聞き,次のゲームへの思 いを膨らませたい。 ②運動がしたい,体を動かしたいという気持ちを体の動きに変えて表すために 運動がしたい,体を動かしたいという気持ちになるためには運動を楽しいと感じることが 重要である。そこで,ランニングや練習タイムには児童が好きなリズミカルな曲を流す。曲 を流すことで,児童が楽しく走ったり,リズムに合わせてテンポ良くパスを出したりするこ とができると考える。さらに,これはゲームに向けての心の準備や意欲の向上にも効果があ ると考える。 また,セストポートボールの醍醐味は仲間と協力してパスをつなぎ,シュートを決めるこ とである。セストポートボールへのステップとして行ったドンパスタッチダウンでも,児童 が最も喜ぶのはシュートが決まったときであり,自分のパスでシュートが決まったときには ガッツポーズをして喜ぶ姿も見られた。そこで今回は児童全員にその喜びを味わわせたい。 そのためにもチームづくりやルールづくりに力を入れていきたい。 (2)チームづくりについて 集団スポーツにおいてチームは非常に重要である。今回は準備運動,作戦タイム,練習タイ ム,そしてゲームと,学習活動のほとんどをチームで進めていく。特に,準備運動や練習タイ ムはチームの実態に合わせて,自分たちで考えて行う。様々な学習活動をチームで協力して行 うことで,チーム内の絆を深め,仲間と協力することの大切さやすばらしさを感じさせたい。 そして,試合に勝ったときはチーム全員で思いきり喜び,負けたときはチーム全員で思いきり 悔しがることができるような絆の深いチームになっていけるよう支援していきたい。 授業の終わりには,チームに貢献できた,活躍できたと思われる児童をMVPとして選出さ せる。自分だけでなく,仲間の技能や態度にも目を向けることで,そのがんばりを認めようと する態度を育てたい。選ばれた児童も,仲間に認められることで喜びを感じ,チームの仲間と さらにがんばろうとする意欲を持てるようになり,チーム内の絆も高まっていくと考える。ま た,ゲーム中や練習中には,仲間のプレーに対して良いプレーであれば「ナイス」,ミスをして しまったら「ドンマイ」といった声かけができるようにしていきたい。 (3)ルールづくりについて セストポートボールを自分たちにとって,より身近なものに感じ,愛着を持って取り組むた めに,ルール作りを児童と共に行っていく。ただし,基本的なルールは本単元のねらいに即し て教師が児童に提示したい。細かいルールは試しのゲームを行った上で,学活の時間を使って 話し合って決めていきたい。 教師から児童に提示したルール ①ゲーム開始時,または得点後はガードマンから始める。 ②ボールを持って動くことやドリブルは禁止。ただし,パスを出すとき,シュートをするとき などにワンステップ程度はしてもよい。 ③ボールを持っている人に触らない。また,ボールを奪い取らない。 ④シュートが決まったら2点。ただし,一度得点した人は2点目以降のシュートは1点とする。 (シュートを決めたら帽子をとる) 6 指導計画(8時間配当 本時7/8 ※学活1時間含む) 時 学 習 内 容 ね ら い 関 思 技 評 価 規 準 1 セストポートボ ・学習のねらいやセストポー ◎ セストポートボールの進め方や ールにふれてみ トボールの進め方,ルール ゲームに関心を持ち,意欲的に よう。 を理解し,学習の見通しを 取り組もうとする。 持つ。 (関心・意欲・態度) 2 試しのゲームを ・試しのゲームでゲームの進 ○ ○ ルールを守ってセストポートボ してみよう。 め方やルールを確認し,ゲ ールを楽しもうとする。 ームを楽しむ。 (関心・意欲・態度) ・試しのゲームで,自分たち 仲間と意見を出し合い,チーム のチームに必要な練習を考 に必要な練習を考えている。 3 ルールを考えよ う。 <学活> 4 チームで作戦を 5 立てて,練習や ゲームを楽しも う。 6 7 ∧ 本 時 ∨ 8 7 4年2組セスト ポートボールリ ーグ戦を開催し よう。 える。 (思考・判断) ・これまでのルールについて ○ 自分たちの実態に合う,より良 話し合い,より良いルール いルールを考えている。 に修正する。 (思考・判断) ・ゲームに必要な基本的技能 ○ ◎ ○ 仲間と協力して作戦を立てたり, を身に付ける。 練習をしたりしようとする。 ・チームで簡単な作戦を立て (関心・意欲・態度) る。 チームの実態に応じて,簡単な ・自分たちで考えた練習を仲 作戦を立てたり,自分たちで工 間と協力して行う。 夫して練習をしたりしている。 (思考・判断) ボールを正確に投げたり,つか んだりすることができる。 (技能) ・学習したことを生かしてセ ○ ○ ◎ マナーを守り,勝敗に対して公 ストポートボールのゲーム 正な態度でゲームに取り組もう を楽しむ。 とする。 (関心・意欲・態度) チームの課題を見つけ,簡単な 作戦を立てている。 (思考・判断) オープンスペースを見つけて動 いたり,仲間を探してパスをし たりすることができる。 (技能) 本時の目標 オープンスペースを見つけて動いたり,仲間を探してパスをしたりすることができる。(技能) チームの課題を見つけ,簡単な作戦を立ててゲームを楽しむことができる。 (思考・判断) 8 準備物 ・ボール ・ゴール台 ・マーカーコーン ・ゼッケン ・作戦盤 ・移動黒板 ・スポーツタイマー ・得点板 ・ホイッスル ・音楽用CD ・ポータブルCDプレーヤー ・学習カード 9 本時の学習過程 学 習 活 動 ○チームごとにウオーミングアップをする。 ・曲に合わせてランニング ・準備運動,柔軟体操 支援(・)と評価(☆) ・走ったり,投げたりすることを意識した準 備運動をするように声をかける。 ○整列,はじまりのあいさつをする。 ・健康観察,服装など児童の状態を確認する。 ○本時のテーマをつかむ。 オープンスペースを生かしてパスをつなげ,シュートをねらおう。 ・前時までの反省を確認し,再度オープンス ペースを生かした作戦を立てるよう促す。 ○練習タイム ・5-5ラインパス(50回) ・チームで考えた練習 ・各チームの練習に加わり,適宜,指導や支 援をする。 ○作戦タイム ・作戦盤を使って作戦を立てる。 ☆ゲームに向けて,工夫して作戦を立ててい るか。 (観察・学習カード…思・判) ・オープンスペースを生かした作戦が立てら れるように,必要に応じてアドバイスをす る。 ○セストポートボールを楽しむ。 【前半戦】 ステージ側 青Avs黄A 青Bvs黄B 体育館後方 赤Avs緑A 赤Bvs緑B ・ゲーム中もオープンスペース見つけて動く ように声をかける。 ・良いプレーは褒め,児童にも認め合うよう に促す。 【ハーフタイム】(作戦タイム) ・前半戦の反省をふまえて,後半戦に向け ての簡単な作戦を立てる。 ☆チームの課題を見つけ,後半戦へ向けての 作戦を立てているか。 (観察…思・判) 【後半戦】 ステージ側 体育館後方 ☆オープンスペースを見つけて動いたり,仲 間を探してパスをしたりすることができて いるか。 (観察…技) 青Avs黄B 赤Avs緑B 青Bvs黄A 赤Bvs緑A ○学習を振り返る。(発表タイム) ・オープンスペースを生かしてパスをつなげ ・オープンスペースを生かしてパスをつなげ, シュートができたかを確認する。 シュートを狙えたかの確認 ・MVPは理由も付けて発表するよう促す。 ・チームのMVP発表 ○次時予告を聞く。 ・次時の対戦を確認し,意欲を持たせる。 ○終わりのあいさつ,後片付けをする。 ・協力して後片付けをするよう促す。
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