ソーシャルメディアとの上手な付き合い方 (2)

ソーシャルメディアとの上手な付き合い方
(2)
株式会社クロスフィールド
臼杵 史郎
All rights reserved Crossfields Co., Ltd. ©, 2013
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1. トラブル
トラブル発生
発生の
発生の予防策
前回の記事にて、ソーシャルメディアに起因するリスク低減には、これまでに企業が取り組んできた客観
的防止策では対応が難しいことを挙げました。然しながら、リスクコントロールの考え方においては、これま
でと同様にリスク顕在化の機会を減少させるための対策を講じることが何より大切です。
それには、まず、リスク管理の基本に立ち返り、「予防」することが必要です。炎上発生をゼロにすること
はソーシャルメディアの特性上困難ですが、「延焼を予防する」という視点から、火に油を注がないようにす
る意識を浸透させることに主眼を置き、以下の 2 つの対策に取り組むことが必要となります。
(1). ソーシャルメディアポリシーの策定
過去の事例でも明らかな通り、ソーシャルメディア利用におけるリスクを企業自身が充分に認識してい
なければ、いずれ火の粉が降り掛かってくる可能性も当然高くなります。そのような事態に陥らないよう
にするためにも「企業としてのソーシャルメディアとの向き合い方」を示し、明文化することで消費者、取
引先、従業員等のステークホルダーに知らしめることが重要です。
ソーシャルメディアポリシーには「ソーシャルメディア参加の目的」「情報発信に関する責任」「コンプラ
イアンスの遵守」「適切なコミュニケーション維持に努めること」に関する内容を盛り込み、会社としての
取組方針を示しておくことが大切です。
(2). 従業員のソーシャルメディアリテラシーの向上
ソーシャルメディアによるトラブルの発端は、公私如何に関わらず圧倒的に個人の発言によるものが
殆どです。企業として極力炎上を起こさないためには、社員への啓蒙活動を徹底することが重要です。
具体的には、「ソーシャルメディアポリシー」において企業が示した取組方針を基に具体的な活用場
面での留意すべきポイントや、禁止行為等を取り纏めた「ソーシャルメディアガイドライン」を策定します。
そして策定したガイドラインを基に教育・研修を定期的に実施し、社員に浸透させることが何より重要と
なります。
また、策定されたガイドラインは業務上のソーシャルメディア利用のみではなく、従業員の私的利用に
おいても活用することができます。
また、企業自身が予防措置を取ることも必要です。
(3). 公式アカウントの公開
事例は決して多くはありませんが、いわゆる「なりすまし」により企業が損害を被るケースや、炎上する
ケースがあります。その一番の対策は、企業自身がソーシャルメディアの公式アカウントを取得、公開す
ることです。公式アカウントの公開は、不正ななりすましのアカウントの発生に抑制をかけるだけでなく、仮
に企業が被害を被った際でも謝罪のコメントを炎上元のメディアに直接投下し、延焼を食い止めることも
期待出来ます。
1.
炎上を
炎上を最小限に
最小限に止めるには
一方で、消費者の投稿に起因するケースにおいては、上記の「予防」対策は必ずしも有効な手段とはな
りえません。このような場合には発見統制を強化し、リスクの影響が小さいうちに発見し、鎮火させることが
重要です。
ソーシャルメディアの炎上は一般的に以下の様な流れで拡大します。
① 発言内容に対して、批判的な反応や指摘事項があり、それに同調した意見が複数集まる。
② 複数のソーシャルメディアに発言内容やそれに対する様々な意見、批判が拡散し、当事者個人
や所属組織の特定と流出、さらには攻撃が行われるようになる。
③ TV、新聞、大手ニュースサイト等で取り上げられ、当事者や所属組織へ直接的な抗議活動が発
生することもある。
いわゆる大炎上となってしまうケースでは、企業自身が発言内容に対して、無関心・無責任な姿勢を取
ってしまい、対応が遅れたことが原因となることが見受けられます。ソーシャルメディア上の炎上を防ぐには、
何より火種をいち早くキャッチすることが重要です。
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(4). モニタリングの実施
現在では、自社内に専門部署を設置する、又は外部委託するなどしてモニタリング業務を実施する
企業も増えていますが、いずれにしても新たな「コスト」と「業務負荷」の増加の発生は必要となります。
このため、モニタリングの目的を明確化し、どこに焦点を当てて対応するか費用対効果を考慮した上で
判断することが大切となります。
具体的には、リスク管理におけるモニタリングの目的として以下の様なものが考えられます。
A) 情報漏えいを検知する
B) 公式アカウントの発言を管理する
C) 危機発生時の世論を把握する
D) 風評被害を早期発見し、防止する
これらの目的を達成するための手段として、例えば A)、B)の場合には、発言内容の質によって火種とな
ることが多いため、有人による監視が効果的と言えます。
また、C)、D)の場合には、IT ツールを用いて、自社に関するキーワードの推移数を自動収集し、異常性
を早期に把握することで、炎上に至る前に収束させることが可能となるでしょう。
こうして火種となるべく情報を取得した後は、できるだけ早い段階で適切に「初期消火」をすることが損
失の拡大を防ぐことが必要です。
(5). 鎮火に向けた対応
炎上の火種となる情報を取得した後は、その火種が「質」と「量」のどちらに問題があるのかを切り分け
て対応を検討します。
企業や従業員への事実無根な誹謗中傷など、「量」が問題となる発言については、一定量の書込まで
は「静観」すること、すなわち批判的、感情的な回答となることや、発言を削除する等の冷静さを失った対
応をするよりも自然に消火することを黙って見守る方が最も安全な方法と言えます。
但し、静観中であっても企業内部では対処方法を検討しておく必要があります。内部調査などで情報の
真偽を掴んでおき、量が増加した場合の対応方法を事前に検討しておくことが望まれます。
次に、従業員の個人情報や企業の機密事項に関する情報漏えいなど、早急な拡散防止の対応が必
要となる「質」の問題については、「削除要請」を実施します。
削除要請を行うことは、一時的には企業やブランドイメージの低下など二次的風評被害に繋がる可能
性はありますが、放置したがために結果としてより多大な損害を被るだけでなく、法的・社会的責任を問わ
れる事態にまで発展する可能性も存在します。
では、これらの「質」と「量」のどちらをも兼ね備えた企業にとっては無視できない発言や状況が見受けら
れる場合は、どのように対応すればよいのでしょうか。
このような状況では、既に大手ニュースサイト等を通じて消費者に広く知れ渡っている可能性が高いで
しょう。これら大多数の消費者が求めるのは当該情報に関する事実であり、企業が誠実に開示し続けるこ
とで、その大半は冷静な対応を取るようになるでしょう。
このような場合、内容を漏れ無く、かつ歪曲することなく消費者に伝えることができるのは自社のホーム
ページにおいてのコメント発表やプレスリリースで行うことが最もリスクの低い方法と言えます。
いずれにしても、炎上した際には、火に油を注がないことが大前提となります。火種を「放置」、「無視」せ
ずに、また、意見表明を行う際には、言い訳や場当たり的な対応表明を行うこと無く、真摯な「お詫び」や
「改善」に徹することで、事態を長期化させないことが重要です。
5. ソーシャルメディアとの共生意識
双方向の情報発信が可能なソーシャルメディアにおいては、相手方の発言をコントロールすることは当
然ながら不可能であります。そのため、「炎上」を恐れてソーシャルメディアの利用に慎重を期している企
業も多く見受けられます。
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一方で、ソーシャルメディアの特徴を活かしたマーケティングやソリューションを展開している企業が増加
しているのもまた事実です。
その大きな違いは、企業自身がソーシャルメディアと共生する意識を持って対峙しているかどうかといえ
るでしょう。つまり、ソーシャルメディアが持つ利点とリスクの把握に努めているかどうか、適切な利用方法を
理解しているかどうか、そしてリスクが具現化した際の対応方法について予め検討し、施策を講じているか
どうかによって「炎上」することなく大きな期待効果を得ることができるのではないでしょうか。
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