平成 24(2012/`13)事業年度 事業報告

平成 24(201
2012/'13)事業年度 事業報告
A.法人の
法人の概況
1.設立年月
昭和 55 年 8 月 20 日
(平成 25 年 10 月 1 日付で一般社団法人全日本コーヒー協会へ移行)
2.定款に
定款に定める目的
める目的
本会は、コーヒーの品質の維持向上を図り、並びに加工製造技術の研究開発及び流通の
合理化を推進し、国際コーヒー機関の事業に協力しつつ国内コーヒーの消費振興に努める
ことにより、国内コーヒー関連業界の健全な発展を図るとともに、国民食生活の向上発展
に寄与することを目的とする。(定款 第 3 条)
3.定款に定める事業内容
める事業内容
本会は、前条の目的を達成するため、次の事業を行なう。
(1)コーヒーの品質の維持向上に関する事業
(2)コーヒーの加工製造技術の研究開発に関する事業
(3)コーヒー業界の近代化及び合理化に関する事業
(4)コーヒーの消費振興に関する事業
(5)国際コーヒー機関との連絡、調整
(6)コーヒー普及センターの設置
(7)コーヒーに関する調査研究並びに内外資料の収集及び整備
(8)関係行政庁に対する建議
(9)その他本会の目的を達成するために必要な事業
(定款 第 4 条)
4.所管官庁に
所管官庁に関する事項
する事項
農林水産省食料産業局食品製造卸売課
5.会員の
会員の状況
種 類
会員合計
団体会員
個別会員
賛助会員
当期末
24
5
19
14
6.主たる事務所
たる事務所・
事務所・支部の
支部の状況
主たる事務所 東京都中央区日本橋箱崎町 6-2
マックス本社ビル別館 3F
- 1 -
前期末増減
0
0
0
△1
7.役員等に
役員等に関する事項
する事項
役
職
氏 名
(平成 25 年 9 月 30 日)
常勤・
非常勤の別
非常勤
非常勤
非常勤
非常勤
非常勤
会長理事
副会長理事
副会長理事
副会長理事
副会長理事
太田敬二
上島達司
萩原孝治郎
渡辺正人
武田太郎
副会長理事
宮本秀一
非常勤
理
事
理
事
理
事
理
事
理
事
理
事
理
事
理
事
理
事
理
事
理
事
理
事
専務理事
監
事
監
事
監
事
監
事
監
事
横山敬一
西埜伊宜
小川秀明
柴田 裕
辻 隆夫
松尾孝司
鳥羽 豊
堀雄二郎
山代真佐行
上野敬郎
鈴木修平
加藤 保
西野豊秀
小林俊一郎
福富 潔
前田浩之
塩澤敏明
山本和夫
非常勤
非常勤
非常勤
非常勤
非常勤
非常勤
非常勤
非常勤
非常勤
非常勤
非常勤
非常勤
常 勤
非常勤
非常勤
非常勤
非常勤
非常勤
所
職
キーコーヒー㈱ 最高顧問
UCC 上島珈琲㈱ 代表取締役会長
萩原珈琲㈱ 代表取締役社長
ネスレ日本㈱ 常務執行役員
日本珈琲貿易㈱代表取締役社長
伊藤忠商事㈱ 食料カンパニー
食糧部門 砂糖・コーヒー・乳製品部部長
味の素ゼネラルフーヅ㈱ 代表取締役社長
アラブ珈琲㈱ 代表取締役社長
小川珈琲㈱ 代表取締役社長
キーコーヒー㈱ 代表取締役社長
キョーワズ珈琲㈱ 代表取締役社長
高砂香料工業㈱ 執行役員
㈱ドトールコーヒー 代表取締役社長
ハマヤ㈱ 代表取締役社長
丸紅食料㈱ 代表取締役社長
三井物産㈱食品原料部部長
美鈴商事㈱ 代表取締役社長
ワタル㈱ 会長
事務局
㈱エム・シー・フーズ 代表取締役社長
兼松新東亜食品㈱ 代表取締役副社長
住友商事㈱ 糖質・飲料原料部長
富士コーヒー㈱ 代表取締役社長
公認会計士
8.職員などに
職員などに関
などに関する事項
する事項
女性職員
嘱託(男性)
属 役
人 数
3名
1名
(平成 25 年 9 月 30 日)
平均勤続年数
16 年 3 月
2 年 10 月
(注)嘱託は週 2 回勤務
9.許認可に
許認可に関する事項
する事項
なし
10.
10.社団法人全日本コーヒー
社団法人全日本コーヒー協会
コーヒー協会の
協会の一般社団法人への
一般社団法人への移行
への移行
法人法の改正により、民法第 34 条法人であった社団法人全日本コーヒー協会は特例社団
法人全日本コーヒー協会となり、5 年以内に一般社団か公益社団への移行を求められた。
事業者団体であることから総会において一般社団へ移行申請することとした。平成 25 年 5
月 22 日内閣府へ申請し、同年 9 月 25 日付にて内閣総理大臣より太田敬二会長宛に認可書
が交付され、10 月 1 日に法務局へ移行登記をし、同月 8 日に登記完了した。
- 2 -
B.事業の
事業の状況
Ⅰ 一般事業
全協活動に必要な一般管理業務を行うとともに、コーヒー業界を取りまく課題や制度改
正等に関する情報を収集し「AJCA ニュース」
「全協海外情報」
「会員向けホームページ」等
を通じてその状況を随時報告した。AJCA NEWS に ISIC(The Institute for Scientific
Information on Coffee)情報及び ICO のホームページに掲載されている健康情報を和訳し
掲載している。また、テレビ及び新聞等のメディア、消費者からのコーヒーに関する様々
な問合せに対し適宜回答した。
Ⅱ 特別事業(
特別事業(第 3 4 次 広報・
広報・消費振興事業)
消費振興事業)
1.広報・
広報・消費拡大事業
今年度の広報事業は、11 月に前年度事業の報告会とそれへの反省を踏まえ、本年度事業の
方向性を決めた。広報消費振興委員会は、広報のターゲットをコーヒー消費のコア層である
40 代~60 代前半とし、この層に関心の高い健康を考えて広報を行うこととした。12 月にコ
ーヒーの消費状況等が理解できるオリエンテーション資料を作成し、広告媒体やPR企業に
渡した。
プレゼンテーション希望企業が 20 社程度に達したことから、これを 7 社に絞り 2 月にプレ
ゼンテーションを行い電通・朝日新聞グループの案を採択した。
「10 月 1 日コーヒーの日」関係は、広告媒体を新聞とBSテレビとすることで内容を検討
し、好みの問題はあるものの「コーヒーの日」の認知度を高めることが期待できる松田優作
を起用した。
本年は、
「10 月 1 日コーヒーの日」制定 30 年となることから記念イベント等を実施するこ
ととした。
また、最近の消費者の情報ソースの変化及び将来のコーヒー愛好家の獲得等を考慮し、全
協ホームページのコンテンツの充実を図り、楽しんでコーヒーを知ることができるようして
いる。「10 月 1 日コーヒーの日」に合わせ若い女性にコーヒーの機能を知らせるため、マイ
ナビウーマンを用いて「コーヒーと健康」の関係について情報提供を行った。
(1)マスメディアの活用
テレビ及び新聞等の多くの媒体のコーヒーに関する取材に対応したが、バライティ番組
の取材には「コピ・ルーアックなど動物の排泄物から作られるコーヒーは何種あるか」な
ど、コーヒーの知識というよりは嗜虐的・諧謔的観点からの質問が度々あり回答に注意を
要するように感じた。学習院大学新聞の「ホッと一息コーヒー特集」の取材に協力し若者
にコーヒーを楽しんで欲しい旨レクチャーしたが、取材者自体が余りコーヒーに親しんで
いないようであり、若者へのコーヒーPRが重要であると感じた。港区のコミュニティ情
報誌「Kiss ポ~ト」の取材(4 回)に協力した。また、コーヒーの日に合わせた goo ヘル
スケアーの取材に協力した(10 月 1 日コーヒーの日に配信)。
「10 月 1 日はコーヒーの日」の定着を図るため、機関誌 Coffee Break 73 号より「10
月 1 日はコーヒーの日」を裏表紙に記載することとした。また、コーヒー関係統計など全
協が新たに出版する物には全て「10 月 1 日はコーヒーの日」を記載することとしている。
(2)コーヒーの日事業
① 新聞関係
ⅰ 9 月 21 日~30 日まで朝日新聞及び読売新聞に小型枠のカウントダウン広告を掲載し
- 3 -
「10 月 1 日 コーヒーの日」を告知した。9 月 30 日の朝日新聞は 15 段広告。
10 月 1 日は朝日新聞 15 段広告、読売新聞 5 段広告、中日新聞(北陸中日新聞、東
京新聞含む)に 5 段広告を掲載した。
ⅲ 47club の Web サイト、地方紙 40 紙及び毎日新聞に「10 月 1 日コーヒーの日」を告
知するほか、スイーツのプレゼントキャンペーン広告(オープン方式、20 名×20 商品
=400 名)を掲載した。なお、毎日新聞は電通のサービスとして 10 月 4 日に 5 段広告
を掲載した。
ⅳ 10 月 6 日、13 日、20 日、27 日、11 月 3 日に BS 朝日のミニ番組を朝日新聞にティ
ザー広告を行う。
ⅴ なお、9 月 21 日から朝日新聞及び読売新聞において小型広告を掲載し始めると一般
の読者及び喫茶店等から松田優作のポスターを店に飾りたいので欲しいとの要望が毎
日のように寄せられたが、残念ながらポスターを用意していなかったため、要望に応
えることができなかった。一方、特定の新聞読者層より数件品の悪い男の広告はヤメ
ロとの指摘があった。
ⅱ
② テレビ関係
ⅰ BS 朝日にてミニ番組 5 回放映。
ⅱ 出演タレントは「松田優作にゆかりのあるゲスト」を中心に選定し、1 週目(6 日)
は松田優作の通った喫茶店のマスター、2 週目(13 日)大根仁(テレビドラマ演出家)、
3 週目(20 日)丸山昇一(松田優作が最も信頼した脚本家。
「探偵物語」
「野獣死すべし」
などが代表作)、4 週目(27 日)奥田瑛二(俳優)、5 週目(11 月 3 日)リリーフランキ
ー(本屋大賞受賞作家、マルチタレント)とした。放映後、DVDを作成し会員に配
布するほか、全協ホームページにて閲覧可能とする。
③ Web 関係
ⅰ 全協ホームページにBS朝日の放映番組「喫茶優作」及び 11 月 6 日のイベントを紹
介した。
ⅱ Youtube において BS 朝日のミニ番組を放映することとした。
ⅲ マイナビウーマンにて女性向けに「10 月 1 日コーヒーの日」へ向けカウントダウン
広告を掲載するほか、コーヒーとダイエットなど若い女性のコーヒーに対する誤解を
払しょくする記事を掲載した。
④ イベント
「10 月 1 日コーヒーの日」に関するイベントとして、広告に起用した松田優作の命日
11 月 6 日にユナイテッド・シネマ豊洲において、夫人の松田美由紀さんと奥田瑛二さん
を交えたトークショーの開催とショートムービーの上映を行うこととした。イベント申
込者は想定を超える状況となっている。
⑤ 波及効果
朝日新聞及び読売新聞に「10 月 1 日コーヒーの日」のティザー広告を掲載したことや
松田優作のインパクトの高い広告が功を奏し、①9 月 30 日にはTBSが「ひるおび」に
11 時 14 分から 4 分 55 秒、②10 月 1 日にはNHKが「まるごと:トクする日本語」に
14 時 43 分から 4 分 59 秒、TBSが「Nスタ」において 17 時 39 分から 7 分 12 秒、と
異例の長さの「10 月 1 日コーヒーの日」の紹介番組を放映した。広告会社によれば、C
Mとして費用換算すると 180 百万円に相当するとのことである。
- 4 -
(3)ホームページの活用
全協ホームページで訪問者の多い「コーヒーと健康」、「コーヒーレシピ」、「コーヒー図
書館」、「コーヒー物語」の内容更新とその充実を引続き図った。
ホームページ(HP)は、平成 23 事業年度よりハードを阪急コミュニケーションズに移設
し全面的にリニューアルした。コンテンツの内容も「地球人のコーヒーブレイク」と題し
各国のコーヒー飲用のスタイルを紹介するほか、
「Coffee Break」の掲載記事を紹介するな
どコーヒー飲用の世界を拡げるよう努めた。
2012 年 11 月
12 月
2013 年 1 月
3月
4月
5月
8月
9月
ホーチミン (ベトナム)
ミラノ (イタリア)
コペンハーゲン (デンマーク)
サンパウロ (ブラジル)
バルセロナ (スペイン)
アムステルダム (オランダ)
ホーチミン (ベトナム)
ベルリン (ドイツ)
(4)機関紙、小冊子を通じた広報
① 協会の自主刊行物であるコーヒーの健康啓発冊子「コーヒーとからだのおいしい話」
、
「コ
ーヒーとからだのおいしい話2」やコーヒーの基本知識広報冊子「コーヒーワールド」を
消費者啓発資料として各地区の消費者センター等の要望に応え引き続き配布するほか、
JAF やメディアに対しても情報提供参考資料として活用した。
本年度は、
「コーヒーとからだのおいしい話2」を作成後 5 年経過しており、研究助成等
の新たな成果を紹介する必要があることなどから「コーヒーとからだのおいしい話3」を
作成することとした。
AJCA ニュースについては、一般紙掲載のコーヒー関係記事を収集し紹介するほか、ISIC
掲載論文及び ICO ホームページ掲載の「コーヒーと健康」に関する論文の要約を翻訳して
紹介している。また、迅速性とコスト低減のため Web による提供に努めている。
② 「Coffee Break」は、7,000 部印刷し都道府県の図書館、消費生活センター及び会員に
配布した。
「Coffee Break」掲載記事は全協ホームページに掲載し、Web 上での閲覧も可
能としている。
74 号は「デリーのカフェで人気上昇中!香り高い南インド産コーヒー」、75 号「芸術と
人生を語り合う社交場、バルセロナのカフェへ」、76 号「美食の街のコーヒー、進化中。
パリで人気のカフェシーン」
、77 号「ミラノのバールで情熱あふれるコーヒーを」を特集
した。広報・消費振興委員会において掲載内容について事前にチェックし充実を図るよう
努めている。
(5)教育啓発
① 高校生の夏休み課題への協力
埼玉県立白岡高校の女子生徒が夏休みの課題勉強を「コーヒー」としたので、レクチ
ャーして欲しいとのことであったため、コーヒーの内外の歴史、世界のコーヒー生産・
消費、コーヒーの美味しい淹れ方などについて説明した。同様のレクチャーは大阪の私
立女子高校生にも行った。
- 5 -
② 金沢大学の廣瀬教授が中心となって主催する「大学公開講座・コーヒー学入門」に助成
するとともに、小冊子等の提供を行なった。
大学公開講座「コーヒー学入門」
第 1 回 平成 25 年 7 月 11 日(木) 伊丹市立文化会館
講義 (1)コーヒーの科学
金沢大学大学院客員教授
(2)コーヒーと健康
東京薬科大学名誉教授
(3)シンポジューム「コーヒーのおいしい飲み方」
司会 金沢大学講師 星田宏司
廣瀬 幸雄
岡 希太郎
第 2 回 2013 年 7 月 13 日(土) 広島修道大学学術ホール
講義 (1)缶コーヒーの誕生
浜田市世界こども美術館学芸課長 神 英雄
(2)変容するコーヒー文化
広島修道大学人文学部教授
中根 光敏
総合司会 廣瀬 幸雄
金沢大学大学院特任教授
第3回
第4回
2013 年 8 月 22 日(木) 金沢市民芸術村
(1)~元気で過ごそう~新しいコーヒー
(2)コーヒーと和菓子でのイノベーション
(3)~元気で過ごそう~新しい金沢菓子
金沢大学名誉教授
東京大学特任教授
司会 廣瀬 幸雄
2013 年 9 月 27 日(金) 金沢市 21 世紀美術館シアター21
(1)コーヒーのおいしい飲み方
金沢大学名誉教授
(2)コンサート「コーヒーカンタータ」
廣瀬 幸雄
後藤 裕
廣瀬 幸雄
(6)マスコミ関係者との交流
① 科学情報事業で得られた成果の広報とコーヒーに関する適切な認識を得ることを目的に
マスコミ関係者を対象としたコーヒーサイエンスセミナーを開催した。
サイエンスセミナーの発表は、毎日新聞等に掲載されるほか、Web 上でもかなり取り上
げられた。
第 17 回コーヒーサイエンスセミナー
実施日: 平成 25 年 9 月 6 日(金)
会 場: ベクトルラウンジ(赤坂)
セミナー 1: 高橋 祥子(東京大学大学院農学生命科学研究科)
「コーヒーポリフェノールの抗肥満、抗糖尿病効果の作用機序に関する系統的研究」
【背景・目的】
数多くの疫学研究によりコーヒー摂取の抗肥満・抗糖尿病効果の可能性が証明されてい
るものの、その作用機序は未だ解明されておらず、分子レベルでの詳細な検討が今後の
重要課題として残されている。本研究では高脂肪食誘導性肥満モデルマウスを用いて、
カフェインの有無やコーヒーポリフェノール含量の異なる種類のコーヒーが肥満モデル
マウスに与える影響を検討し、またオミクス手法(トランスクリプトミクス、プロテオミ
- 6 -
クス、メタボロミクス)を用いて網羅的に解析し、コーヒー摂取による抗肥満・抗糖尿病
作用メカニズムの解明を目指した。
【方法】雄性の 8 週齢 C57BL/6J マウスに、脂肪由来熱量 60%の高脂肪食と高脂肪食に各
種コーヒー粉末を 2%添加した食餌をそれぞれ 9 週間自由摂食させた。各群の肝臓組織サ
ンプルについて、DNA マイクロアレイを用いたトランスクリプトミクス、二次元電気泳動
を用いたプロテオミクス、および CE-TOF MS を用いたメタボロミクスを行った。HepG2 細
胞にコーヒー粉末、またクロロゲン酸を添加した培地で 24 時間培養し、ミトコンドリア
活性(MTT)、TCA 回路の酵素活性を測定した。また、細胞から抽出したタンパク質から、
iTRAQ 法を用いたプロテオーム解析を行った。
【結果】各種コーヒーを摂取させた全てのコーヒー群において、高脂肪食による体重増
加、脂肪重量増加および肝臓への脂肪蓄積が有意に抑制された。また、DNA マイクロアレ
イの結果、コーヒー摂取により脂質代謝関連遺伝子群が顕著に変動し、その下流の因子
がこれらのコーヒー摂取による有用効果に重要な関連性を待つ可能性を見出した。
また培養細胞系を用いた実験では、各種コーヒー、クロロゲン酸を添加した培地で 24
時間培養した細胞では、その添加濃度依存的にミトコンドリア活性を上昇させることが
明らかとなった。
【結論】本研究では、動物実験により、コーヒー摂取でエネルギー産生が促進すること
が明らかとなり、さらに培養細胞系を用いた分子レベルでの検討によって、ミトコンド
リア酵素の変動からエネルギー代謝の亢進を引き起こすというコーヒー摂取効果の機構
解明に関する新たな知見を見出した。統合オミクスを用いた考察することで初めて見え
てくる生体応答の全体像がある、という実例を打ち出した、今後の機能性食品研究に有
意義な研究例である。
セミナー 2:
堀尾文彦 名古屋大学大学院生命農学研究科 教授
「モデル動物を用いたコーヒーの抗糖尿病作用の解析」
【要約】
国内外での疫学調査において、コーヒーの摂取が糖尿病の発症リスクを低下させる結
果が多く報告されている。糖尿病には1型と 2 型糖尿病が存在するが、我が国の糖尿病
患者の 90%以上は 2 型糖尿病である。2 型糖尿病は、膵臓ランゲルハンス氏島(ラ氏島)
β細胞からのインスリン分泌の不全と、インスリン作用臓器でのインスリン感受性の低
下(インスリン抵抗性)とが組み合わさって発症する。我々は 2 型糖尿病モデルマウス
である KK-Ay マウスを用いて、コーヒーの 2 型糖尿病発症抑制作用を証明することを目的
として実験を開始した。その結果、コーヒー摂取は KK-Ay マウスの血糖値上昇を抑制し、
インスリン抵抗性を改善することが明らかとなった。このコーヒーの抗糖尿病作用は、
高脂肪食を摂取させて 2 型糖尿病を誘発させたマウスにおいても同様に観察されること
を確認した。さらに我々は、膵臓ラ氏島β細胞の健常性を高めることは 1 型と 2 型の両
方の糖尿病の発症抑制に繋がることに注目し、コーヒー摂取の膵臓ラ氏島β細胞保護効
果について検討した。実際には、膵臓ラ氏島β細胞を破壊して 1 型糖尿病を引き起こす
薬剤であるストレプトゾトシン(STZ)をマウスに投与した場合に、コーヒー摂取が高血
糖発症抑制効果を有するかについて検討した。結果として、コーヒー摂取は STZ 投与に
よる高血糖の発症を抑制し、膵臓のインスリン含量の低下を抑えたことから、膵臓ラ氏
島β細胞保護効果があることが示された。そして、この有効成分はデカフェコーヒー中
に存在すると推定された。以上の結果より、コーヒー摂取は、インスリン抵抗性を改善
- 7 -
してインスリン作用を高める作用と、膵臓ラ氏島β細胞を STZ に対して保護する作
用を有することが明らかとなった。
② 正副会長・広報正副委員長及び記者会との懇談会を年末に開催し、昨年の業界重大ニュ
ースを選びながら一年間を回顧するとともに、各 5 団体の来年の抱負を披露した。
(7)全国団体への協賛
全国団体が行う広報・消費拡大事業を補完する次の事業に協賛を行った。
1.日本家庭用レギュラーコーヒー工業会
(1)事業内容
一般消費者に対するレギュラーコーヒーの認知度向上目的とし、特に、29 歳以下
の男女をメインターゲットにレギュラーコーヒーの普及・啓発活動を展開する。「ラ
ブドリ・恋愛クリエーター大賞」として 5 部門(音楽、小説・エッセイ、映像、告
白、好きな映画)の募集を行い、優秀作品に対し賞金を提供する。
(2)事業予算の概算
① クリエイティブ・告知費用
② SNS 開発(運営費用)
③ 表彰式・賞金・プロデュース費用
合計
65 万円
115 万円
320 万円
500 万円
2.全日本コーヒー商工組合連合会
(1)事業内容
コーヒーへの関心が高まる「10 月 1 日コーヒーの日」を、「女性に“コーヒーブレ
イク”を贈る日」として普及することを目的とし、また、本事業を通じ会員の活性化
を図るため、組合員及び取引先の店舗を中心に事業の趣旨を広く告知し、新たなコー
ヒー需要につなげるものとする。
(2)事業予算の概算
① 店頭ツール関連
② 特設 Web 関連
③ パブリシティ活動
④ 告知広告活動
⑤ キャンペーン景品
⑥ キャンペーン事務局費
⑦ 全体企画費
合
計
合計予算額(消費税込)
協賛申請額
225 万円
32 万円
25 万円
50 万円
100 万円
29 万円
30 万円
491 万円
516 万円
350 万円
- 8 -
3.日本インスタントコーヒー協会
(1)事業内容
2012 年に制定した「インスタントコーヒー週間(11 月最終週)」の認知度向上を
目的とし、インスタントコーヒーに対する更なる認知拡大のため、インスタントコ
ーヒー大使の活用等を行い、多くの消費者にイベント等を通じ話題提供を行い、イ
ンスタントコーヒーへの理解を深めるものである。
(2)事業予算の概算
① 企画・タレント出演料 500 万円
② イベント会場費
120 万円
③ イベント会場設営費
100 万円
④ PR 関係費用
180 万円
⑤ その他・運営費
100 万円
合
計
1,000 万円
(8)コーヒー産地DVDの制作
「10 月 1 日コーヒーの日」が近づくと、テレビ局からコーヒー産地の映像を求める電話
が全協に頻繁にかかることから、コーヒーの主要生産国のコーヒー生産を映像化すること
とした。より良い映像とするため 12 月に制作希望者にオリエンテーションペーパーを渡し、
2 月にプレゼンテーションを行いネイチャー社に制作を委託した。
ブラジル、コロンビア及びインドネシアの 3 ヶ国を映像化し、コーヒー生産国のコーヒ
ー育苗から収穫、精選、輸出、日本の輸入までを 22 分でまとめた。本映像はDVDにし、
会員に配布した。全協のホームページには①コーヒー豆と主要なコーヒー生産国、②コー
ヒー栽培(苗床、堆肥、栽培管理、収穫)、③コーヒー生豆の精選、④コーヒー生豆の選別
(比重選別、スクリーン選別など)
、⑤格付け・袋詰め・倉庫・積出、⑥日本でのコーヒー
生豆の荷揚げや安全管理に分割し 3 分~4 分程度の映像として視聴が容易なものにして掲
載することとした。
2.科学情報事業
(1)ブレ-ンドクター制度の継続
科学情報活動を支える中心的存在であるブレーンドクター制度を継続する。研究助成へ
の応募者が年々増加し審査が大変なことなどから、平成 22 年度より顧問ドクターを石川俊
次神奈川工科大学教授、古野純典九州大学医学部教授、鈴木政登東京慈恵会医科大学教授、
矢ケ崎一三東京農工大学教授の 4 先生にお願いし、研究助成の実施、研究成果の広報活動、
健康情報の整理等についてアドバイスや協力を受けてきた。本年度の審査会終了後、古野
純典先生より独立行政法人国立健康・栄養研究所理事長に就任するため兼職規定に触れる
ので顧問ドクターを辞任したいとの連絡があり、鈴木政登先生より研究助成金を受けたい
ので顧問ドクターを辞任したいとのことで、お辞めになった。このため、7 月の理事会に
おいて古野純典先生と同じく疫学研究をされている永田知里岐阜大学医学部教授に全協顧
問ドクターをお願いすることとした。
- 9 -
ブレーンドクター
常 任 石川俊次(神奈川工科大学応用バイオ科学部教授)
非常任 古野純典(九州大学大学院医学研究院教授:2013 年 3 月 28 日辞任)
非常任 鈴木政登(東京慈恵会医科大学臨床検査医学教授:2013 年 3 月 26 日辞任)
非常任 矢ヶ崎一三(東京農工大学大学院栄養生理化学研究室教授)
非常任 永田知里(岐阜大学大学院医学系研究科教授:2013 年 7 月 11 日就任)
非常任は、助成研究の審査関係等を中心に担当していただいているが、
必要に応じ全協の課題に協力をお願いしている。
(2)研究助成制度と成果発表会
① 研究助成の公募
コーヒーと健康を中心とする学術研究を振興するために研究助成課題を公募したところ
61 件の応募があった。
公募方法
1.協会ホームページに募集要領を掲載
2.大学及び国立の医療機関等 80 に対し、学内ホームページ等への公募広告掲載を
要請(無料)
対象研究分野: 「コーヒーの効用」に関する研究
応募方法: 協会規定の応募要項に必要事項を記入の上郵送にて提出
応募期間: 平成 24 年 12 月 14 日から平成 25 年 1 月 15 日
助成金額: 1 件 150 万円を限度額とする
助成期間: 平成 25 年 4 月1日から平成 26 年 3 月 31 日
採 択 数: 12 課題
② 選 考
ブレーンドクター並びに科学情報正副委員長と同専門委員で構成する選考会で、応募課
題から次の 12 課題を選考し研究助成の課題とした。
平成 25 年度(第 17 回)研究助成一覧
1.辻
一郎(東北大学大学院医学研究科 教授)
「高齢者におけるコーヒー摂取が認知機能に及ぼす影響」
2.堀尾文彦(名古屋大学大学院生命農学研究科 教授)
「自己免疫性膵臓 β 細胞破壊による1型糖尿病に対するコーヒーの発症抑制効果」
3.篠田正樹 (聖路加国際病院 神経外科 部長)
「コーヒー摂取と脳血管障害予測因子との相関性
:脳ドック受診者における頸部内頚動脈プラークと微小脳内出血への影響」
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4.中田光紀(産業医科大学 産業保健学部 教授)
「コーヒー摂取がメンタルヘルスと免疫系に及ぼす影響:看護師を対象とした前
向き疫学研究」
5.村井稔幸(大阪大学大学院 医学系研究科 助教)
「コーヒー成分による細胞膜ナノドメイン制御を介した癌の浸潤・転移抑制作用
の検討」
6.古賀俊策(神戸芸術工科大学大学院 応用生理学研究室 教授)
「コーヒー摂取が活動筋の酸素供給と需要のマッチングに及ぼす効果」
7.山澤德志子(東京慈恵会医科大学 分子生理学講座 助教)
「コーヒーポリフェノールクロロゲン酸による脳卒中予防の検証とその作用点の
解明」
8.石神昭人(東京都健康長寿医療センター研究所 老化制御研究チーム 研究副部長)
「高齢マウスを用いたコーヒーによる老化関連遺伝子発現に及ぼす影響」
9.足立哲夫(岐阜薬科大学 臨床薬剤学研究室 教授)
「コーヒー含有ポリフェノールのエピジェネティクス制御能」
10.斉木臣二(順天堂大学医学部付神経内科 准教授)
「コーヒー含有成分のオートファジー調節効果の検討・癌とパーキンソン病
モデル細胞を用いて・」
11.増田俊哉(徳島大学大学院 ソシオアーツ・アンド・サイエンス研究室 教授)
「焙煎を想定したコーヒー成分による食生活型生活習慣病予防能の検証」
12.中澤 徹(東北大学 眼科 眼科学分野 教授)
「コーヒーの飲用が眼血流に及ぼす影響とコーヒーポリフェノールの神経保護効
果の検討」
③ 特定課題の委託研究
鈴木政登
東京慈恵会医科大学客員教授
研究課題:
「コーヒー成分カフェイン及びクロロゲン酸類と運動による抗メタボリック症
候群及び抗酸化ストレス効果に関する実証的研究― 単回投与による急性効果及び長期
投与による慢性効果 ―」
研究目的と研究概要
今日までに報告されたコーヒー成分の健康影響については、カフェインおよびポリフ
ェノール類クロロゲン酸による影響が主なものである。しかし、分子生物学的研究技術
を駆使した知見を、ヒトが習慣的に飲用するコーヒーレベルに適用し得る効果か否か、
それらの実証的研究成果を得るには到っていない。しかし、個々人多様な日常生活を営
- 11 -
む人間を対象に、カフェインまたはクロロゲン酸類に限定した健康影響を把握すること
は困難で、厳密に生活環境を統一できる動物モデル実験に依存せざるを得ない。
本研究では、肥満糖尿病モデル OLETF ラットを用い、下記の計画1)、2)に従いカフ
ェインまたはクロロゲン酸類の急性および慢性効果について実証したい。
1)習慣的コーヒー飲用によって体重、内臓脂肪が減少する。しかし、カフェイン単
回投与により一過性に血圧が上昇するので、カフェイン投与と運動を一定期間併用した
場合、糖・脂質代謝改善と伴に糖尿病性腎症が改善するか否かを調べる。
2)クロロゲン酸類には抗酸化、降圧および代謝亢進作用がある。クロロゲン酸投与に
より交感神経系機能亢進を伴わずに内臓脂肪減少に起因したアンギオテンシン II 濃度減
少およびアディポネクチン分泌上昇などが想定され、クロロゲン酸投与と運動療法を併
用した場合には糖・脂質代謝の改善のみならず糖尿病性腎症の進展も抑制されるか否か
を明らかにする。
④ 研究助成の成果発表会
前年度の研究助成の成果を発表し、研究内容の理解及び評価を行うとともに、交流会を
開催し相互の意見交換を行った。
第 16 回研究助成発表会
実施日: 平成 25 年 6 月 21 日(金)
会 場: アルカディア市ヶ谷
発表者:
1.堀尾文彦(名古屋大学大学院生命農学研究科 教授)
「コーヒーの膵臓ランゲルハンス氏島β細胞保護効果を介した抗糖尿病作用の検
証」
2.小原克彦 (愛媛大学大学院 加齢制御内科 病院教授)
「コーヒーのもつアンチエイジング作用:見た目年齢に及ぼす影響に関する研究」
3.常山幸一 (富山大学大学院 医学薬学研究部 准教授)
「メタボリックシンドロームを背景とした脂肪性肝炎・肝細胞癌自然発症マウス
(TSOD マウス)を用いたコーヒー(及び含有成分)の肝腫瘍抑制効果の解析」
4.金澤成行(大阪大学大学院
医学系研究科医学部
「コーヒーの皮膚における抗老化作用の検討」
助教)
5.岡本能弘(千葉科学大学 薬学部 准教授)
「コーヒーの抗大腸癌作用の機構解明」
6.安達貴弘(東京医科歯科大学 難治疾患研究所 准教授)
「コーヒーによる腸管 B 細胞の動態・活性化と免疫記憶に及ぼす影響」
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7.神戸大朋(京都大学大学院 生命科学研究科 准教授)
「亜鉛欠乏予防に効果のあるコーヒー成分に関する食品科学的研究」
8.筒井正人(琉球大学大学院 医学研究科薬理学 教授)
「健常者の微小血管機能に対するコップ1杯のコーヒーの急性作用の解明」
9.山下智也(神戸大学大学院 医学研究科循環器内科学 助教)
「コーヒー摂取が動脈硬化に与える影響を検討し、腸内細菌叢と腸管免疫への影響
も同時に調査する」
10.大塚基之(東京大学医学部付属病院 消化器内科 助教)
「コーヒーの持つ microRNA 機能の増強作用を介した脂肪肝と肝発癌の予防効果の
検討」
【特別研究発表】
阿部啓子 (東京大学大学院 農学生命科学研究科)
「コーヒーポリフェノールの抗肥満、
抗糖尿病効果の作用機序に関する系統的研究」
出席者:コーディネーター 石川俊次(神奈川工科大学応用バイオ科学部教授)
(顧問ドクター) 矢ヶ崎一三(東京農工大学大学院栄養生理化学研究室教授)
協会関係者
理事、科学情報委員、広報・消費振興委員
(3)定期講演会
平成 25 年 9 月 21 日に東京において開催された日本体力医学会において鈴木政登東京慈
恵会大学教授に「メタボ危険因子に及ぼすコーヒー飲用と運動の影響」と題して講演をし
ていただいた。200 名程度の学者が聴講した。
(4)健康情報対策
ISIC 等から E-mail で送られてきた健康情報を関係者に配布するほか、会員向けホーム
ページに掲載した。また、毎月のサマリーを和訳後、AJCA ニュースに掲載しており、本年
度から ICO ホームページに掲載されている「コーヒーと健康」についても掲載している。
(5)コーヒー飲用が冬の脱水症状を引き起こすとする NHK 及び TBS のテレビ番組に対する全
協の抗議と始末について
① 経緯
NHK は、2012 年 12 月 13 日に首都圏ネットワークという番組において、T 神奈川県立
保健福祉大学教授の研究として「コーヒーを飲んだ学生が、
ⅰ 10 分後には飲む前より血管が 15%太くなり、
ⅱ 30 分後には逆に、飲む前より血管が 10%細くなり、その原因は
ⅲ カフェインに利尿作用があるため、水分が奪われてしまったためとし、
カフェインを含む飲料を飲むと脱水になりやすいので、注意が必要とした。
TBS は、2013 年 1 月 15 日放映の「はなまるマーケット」において NHK の首都圏ネット
ワークと同様の内容の紹介報道をした。
- 13 -
② 全協の対応
「はなまるマーケット」放映の翌日にこのテレビ番組を見た主婦及び男性から「コー
ヒーが好きで飲んでいたが、脳梗塞を起こす飲み物であるとは知らなかった」との苦情
電話が寄せられた。
全協としてはコーヒー飲用が脱水症状を引き起こすという見地での論文もないことか
ら、報道内容についてどのような根拠に基づき放映したのか確認する趣旨で、1 月 17 日
に NHK 及び TBS に電話をしたが、テレビ局側は、
「毎日多くの電話があり、案件毎に担当
に連絡できないので電話があったことを伝える」とか、
「下請けであるのでクレームはデ
ィレクターに伝えることはできない」とかの対応であった。
このため、科学情報専門委員及び顧問ドクターの協力により、全協サイドの疑問点等
を文書にし、TBS へ 1 月 25 日に、NHK に 2 月 5 日に送付し回答を求めた。NHK 宛文書に
はホームページに掲載している当該番組の紹介について正しくないなら削除するよう求
めた。
③ テレビ局の対応
TBS
1 月 30 日に、U 情報制作局情報二部担当部長(制作プロデューサー)と同部の Y 氏が
来訪し以下の釈明があった。
「抗議を受けた報道箇所について調べたところコーヒーに誤解を招くところがあった
のは事実であるので、TBS はなまるマーケットホームページの当該箇所について削除し
た。今後、コーヒーに関する報道には注意して誤解を招くことのないようにする。また、
本件について情報提供者(神奈川保健福祉大学教授)から聞いたところでは論文にして
発表しているようなものでないとの応えがあった」とのことであった。
文書での回答は勘弁してほしい、とのことであった。
なお、全協が電話で抗議したことは担当者に伝わっていなかった。
NHK
2 月 8 日に O NHK 首都圏放送センターチーフ・プロデューサーと W 報道局取材センタ
ー 生活情報部記者が来訪し以下の説明があった。
「コーヒー飲用が脱水を招くという趣旨では報道していない。冬場は乾燥するので脱
水に注意して欲しいとの趣旨で報道したものであり、コーヒー飲用がいけないとの趣旨
ではない。また、突然手紙をいただいたので驚いている。ホームページは見られないよ
うにした。」との回答があった。
これに対して全協からは、「NHK の趣旨はそのようであったかもしれないが、同番組
のホームページを見る限りコーヒー飲用が脱水を招くように感じる。実際、当協会には
「コーヒーが好きで毎日飲んでいるが先般のテレビで脳梗塞などになる恐れがあるとし
ていたが事実か」との問い合わせが 2 件着ている。消費者不安を煽ったと言えるのでな
いか。NHK のホームページ番組紹介記事は完全に削除していただきたい。この先生は、
自分の研究室の学生を対象に調べたようだが、研究は学術的なものといえるのか。加え
て、1 月 17 日に NHK に本件で電話しており、担当に伝えるとなっていたが、ご存じなか
ったのか。」との問いに、「NHK は電話の件は全く知らない。そちらからの電話の有無
を調べて再度回答したい。」とのことであった。
2 月 14 日、NHK から O 氏及び W 氏が以下の説明に再訪。
「専務理事から電話をいただいていたのは確認できた。処理途中で止まってしまい担当
の私が知らなかったのは NHK の不手際であり申し訳ない。ホームページの当該番組部分
はサーバーから完全に削除した。今後は誤解を招かないよう番組作りに注意するのでご
理解をいただきたい。」とするものであった。
- 14 -
④ その後の状況
3 月 15 日に国立がん研究センターは、国立循環器病研究センターとの共同研究報告と
して、コーヒー飲用が脳梗塞を減らす可能性が高いとする NHK や TBS の報道と異なる以
下の研究発表を行った。
「コーヒーを飲まない群を基準とした場合、循環器疾患と脳卒中については、週に 3~6
回、毎日 1 杯、毎日 2 杯以上飲む群の発症リスクが 11%-20%低く、脳梗塞については週
に 1~2 回以上の群で 13-22%低い結果になった。さらに、緑茶とコーヒーの摂取を組み
合わせてみると、緑茶もコーヒーも飲まない群に比べ、緑茶を日に 2 杯以上またはコー
ヒーを日に 1 杯以上摂取する群で、循環器疾患、脳卒中、脳梗塞、脳出血の発症リスク
が低い結果となった。」
(6)TBS テレビ及び朝日新聞の「コーヒー1 日 4 杯、死亡リスク高め」報道について
8 月 26 日朝刊において、朝日新聞が「コーヒー1 日 4 杯、死亡リスク高め」と報道し、
この新聞記事を TBS テレビの「みのもんた朝ズバ」が紹介した。この報道の基となる研究
論文は、米国ルイジアナ州ニューオーリンズの心臓専門医、カールラビー博士らが「Mayo
Clinic Proceedings」に発表したものであり、この調査によれば、55 歳未満のコーヒー多
飲(1 日 4 杯超)リスクを問題視し、55 歳以上については影響ないとしていた。ただ、こ
の研究は、
「食事因子、結婚歴、社会的地位などが反映されておらず」疫学研究としては問
題が多いことは米国でも指摘されていた。
全協には、非会員である自家焙煎業者から「こんな報道があるとコーヒーが売れなくな
る。全日本コーヒー協会は朝日新聞に抗議しろ」と電話を寄越したが、「研究に反論する
には根拠がいる、コーヒーが売れなくなるから報道するな、は抗議とは言えない」旨、説
明した。朝日新聞は翌日の「天声人語」においてコーヒー飲用の利点が種々あるとして、
余り気にする論文ではない旨を記事にした。本件について全協には消費者からの問い合わ
せはなかったが、事実関係と消費者から問い合わせがあった場合のことを考え、Q&Aを
会員向けホームページに掲載した。
3.安全安心対策
安全安心対策事業
安心対策事業
(1)生産国における農薬の使用実態調査
コーヒー生豆の輸入の円滑化と消費者に安全で安心なコーヒーを供給する基礎資料を得
るため、生産国においてコーヒー栽培に登録されている農薬と実際に使用される農薬の実
態調査を前事業年度に引き続き、委託して実施した。調査対象国は政情不安により調査不
能のイエメンを外し、対日輸出の著しいラオスを加えた 24 ヶ国である。
本年度の委託現地調査は、2011 年の我が国のコーヒー輸入量で 10 位となったラオス及
び 2.4-D が時々基準値超えとなる中米 5 カ国(グアテマラ、エルサルバドル、ホンジュラ
ス、ニカラグア、コスタリカ)とした。
「日本のコーヒー豆供給国におけるコーヒー栽培に関する調査」
調 査 対 象 国: 日本のコーヒー生豆輸入量のシェアが、2011 年において、95%以上と
なる上位に位置する輸入国 24 ヵ国
ブラジル、コロンビア、ベトナム、インドネシア、グアテマラ、
タンザニア、エルサルバドル、パプアニューギニア、ホンジュラス、
コスタリカ、ペルー、ニカラグア、メキシコ、ケニア、インド、
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ジャマイカ、ドミニカ共和国、ウガンダ、中国、エチオピア、
キューバ、エクアドル、米国(ハワイ)、ラオス
調 査 方 法: 調査対象国の、政府関係機関、業界団体等に郵便、E-mail を用いて
農薬の使用状況、登録等の情報を収集し、昨年度の調査報告を更新補
完した。ラオス、グアテマラ、エルサルバドル、ホンジュラス、ニカ
ラグア、コスタリカの 6 ヶ国については現地調査を行った。
調査実施期間: 2012 年 7 月~12 月
調 査 報 告: 2013 年 1 月
委託調査機関: プロマーコンサルティング
(2)ポジティブリスト制度に対応する残留農薬等の自主検査の実施
コーヒー生豆生産・輸出国の農薬登録とその使用実態をプロマーコンサルティングに委
託して調査し、これを基に国別検査は当該国で実際使用されている農薬を対象に、生産国
からコーヒー生豆の標準的銘柄を取り寄せ、従来通り国別検査(使用農薬の残留状況、ア
フラトキシン総量(平成 23 年度より検査対象広がる。)及びオクラトキシン A のカビ毒検
査含む。)に加え、コーヒー生豆を含む穀類・種実について残留農薬検査対象とされる 404
農薬の残留農薬検査を一斉分析手法により、厚生労働省登録検査機関である日本エコテッ
ク株式会社に委託し実施した。
全協通知 24-4
平成 24 年 12 月 13 日
御中
社団法人全日本コーヒー協会
会長 太 田 敬 二
コーヒー生豆の残留農薬の分析検査(平成 23 年実施)結果について
平素は、当協会に対し格別のご協力を賜り誠にありがとうございます。
このたび、当会が 23 ヶ国のコーヒー生豆生産国から生豆を取り寄せ、自主的に分析検
査を実施した結果は、下記のとおりとなりましたので報告いたします。
なお、本年はイエメン共和国について、同国の政情不安のため使用農薬調査及び検査
用サンプル入手がかないませんでした。
記
1.検査対象コーヒー生豆の生産国等
(アラビカ)
ブラジル、コロンビア、インドネシア、グアテマラ、エクアドル、
タンザニア、コスタリカ、メキシコ、ホンジュラス、パプアニューギニア、
インド、エルサルバドル、中国、ペルー、ニカラグア、ジャマイカ、
ケニア、ウガンダ、エチオピア、キューバ、米国(ハワイ)、
ドミニカ共和国
(ロブスタ)
インドネシア、ベトナム、インド、エクアドル
- 16 -
2.分析項目
① 生産国別に使用実績のある農薬
*121 種類
延べ 586 農薬
* コーヒー生産国 23 ヶ国を対象とした委託調査(調査期間:平成 23 年
7 月~11 月、平成 24 年 6 月報告)により使用が確認されている農薬。
対象の生産国は、日本の平成 23 暦年度のコーヒー生豆輸入量の 98.2%
をカバーしている。
② 一斉分析法により検査可能な農薬 404 種類
③ かび毒(総アフラトキシン(B1,B2,G1,G2)、オクラトキシン A)
なお、オクラトキシン A は EU 基準値 5ppb を規制値として用いた。
3.委託検査機関
日本エコテック株式会社(厚生労働省登録検査機関)
4.最終検査結果
全て「基準値以内」又は「検出せず」であった。
(3)インドネシア産コーヒー生豆検査命令問題の経緯
① インドネシア産コーヒー生豆からカルバリルが 2009 年 10 月に 0.04ppm(残留農薬基
準値 0.01ppm)、11 月には 0.03ppm 検出され、11 月 24 日に厚生労働省は各検疫所に検
査命令通知書を発出した。
② 全協は 12 月 10 日開催の理事会において他の検査命令対象国同様の自主検査を行うこ
ととし、またインドネシア政府や AEKI へ注意喚起と対応策を求める太田会長名のレター
を出した。
③ インドネシア産コーヒー生豆の検査命令対象で、2007 年ベースで見た場合、日本の輸
入するコーヒー生豆の半分以上が検査命令対象となった。
④ インドネシア政府は未だ具体的な反応を示しておらず、問題の早期決着が困難な状況
下にあるといえる。
…………………………………………………………………………………………………………
⑤ 2010 年 11 月にススゥオノ インドネシア共和国農業大臣より太田会長に対しカルバリ
ル問題についての次のような回答があった。
本カルバリル問題の前に、インドネシア政府は既に「環境に優しい栽培」を目指し、
対策を実施している。すなわち、「特定農薬の使用禁止に関する 1986 年第 3 号大統領指
令」の発布、段階的な農薬補助金の削減措置(1989 年には全面的廃止)、その後に害虫
集中制御(PHT)国家プログラムを発令した。この害虫プログラムは、当初は稲、二期作
物、野菜を対象としたものだが、最終的にはコーヒーを含む農園作物にまで対象とした。
今回カルバリル問題が発生したことに対し、農園作物栽培を管轄する農園総局は、既
にコーヒー生産の中心地である 3 つの州、ランプン州、南スマトラ州、ブンクルー州に
対し、農薬残留のモニタリング調査を実施、併せて残留農薬の含有を検査すべくサンプ
ルを採取した。農作物・林産物品質検査認可試験場によって行われた同コーヒー豆サン
プルに対する検査の結果、カルバリルの含有が一切認められないことが明らかとなった。
コーヒーにおけるカルバリル農薬の MRL を策定するため、私どもは、日本国政府がコ
ーヒー豆におけるカルバリル残留農薬規制基準値を 0.01ppm として定めた論拠を必要と
している。というのは、Codex 並びにインドネシアは、いまだコーヒー豆に対する MRL
を決定するに至っていないからである。こうした決定をなすにあたり、一般に大量のコ
ーヒーを消費する EU やアメリカ合衆国が策定したコーヒー豆に対するカルバリル残留
農薬規制基準値(それぞれ 0.1ppm と 0.3ppm)を考察することも必要である。
⑥ 2011 年 1 月に在日インドネシア大使館のアルマン・ウィジョナルコ農務官を訪問し、
- 17 -
カルバリル問題の状況を説明。ウィジョナルコ農務官より日本の残留農薬検査の公定試
験法の提出要望あり。後日、送付。
⑦ 2011 年 3 月にインドネシア産コーヒー生豆より 0.02ppm 残留農薬基準値超え(マンデ
リン)が出た。
⑧ 6 月、安全安心委員会において、全協の自主検査結果から、基準値超えやトレースがど
の種類(アラビカ、ロブスタ)で、どこの島産で、またコーヒー生豆の処理方法につい
て輸入協の協力を得て、調べてみることとなった。
その結果、9 月理事会において以下を報告。
ⅰ 自主検査における基準値超え 32 件(ジャワ島 11 件、スマトラ島 21 件)は全てロブ
スタである。なお、食品検疫においてマンデリンが一度基準値超えを出している。
ⅱ アラビカのトレースは 1 件(スマトラ島)
。ロブスタのトレースは 250 件(ジャワ島
(34 件)、スマトラ島(213 件)、セレベス島(3 件))である。
ⅲ 自主検査において基準値超えやトレースとなったものは全て Unwashed であった。
⑨ プロマーコンサルティングにインドネシアの現地調査を委託し、9 月に実施。
…………………………………………………………………………………………………………
⑩ カルバリルはインドネシアの農民がコーヒーチェリーのピッキング時に蟻に噛まれる
のを避けるため収穫前に防蟻剤として使用していることが判明。
⑪ 23 事業年度に 3 件の基準値超え(0.02ppm~0.03ppm)
⑫ 在インドネシア国日本大使館より、バユ インドネシア国商業省(貿易省)副大臣が 9
月 11 日に GAEKI メンバーを連れて訪日するのでカルバリルについて話し合って欲しい
との要請があり、太田会長がバユ インドネシア国商業省副大臣及び GAEKI メンバーと
会う。全協よりこれまでの経過を文書にしてインドネシア側に渡す。バユ インドネシ
ア国商業省副大臣は厚生労働省、農林水産省及び経済産業省を訪問しカルバリル問題に
ついて是正措置を求めたとのこと。
…………………………………………………………………………………………………………
⑬ インドネシア産コーヒー生豆のカルバリルに対する検査命令が 5 月 30 日付で解除され
た。2009 年 11 月4日に厚生労働省より検査命令措置が発出され、3 年半を経て解除とな
った。ただ、インドネシア産コーヒー生豆について 60 件のモニタリング検査が課せられ
ており、1 件でも基準値超えになると検査命令措置が復活となるので、条件付き解除で
ある。このため、60 件クリアするまでの間、引き続き自主検査体制(全協が自主検査費
用の 3 分の 1 を負担)とした。モニタリング検査は 8 月 12 日に 60 件クリアしたので解
除するとの連絡が厚生労働省よりあった。
⑭ 6 月 3 日に在日インドネシア国大使館のジュリア・シララヒ商務部部長とフィトラ・カ
ルナラ商務官が、
「検査命令措置が解除になったのは、全日本コーヒー協会が多額の費用
をかけて自主検査を行った結果であり感謝する。」と挨拶にお見えになった。また、イン
ドネシア産コーヒー生豆の輸入を増やして欲しいとの要請もあった。
(4)ブラジル産コーヒー生豆及びメキシコ産コーヒー生豆の基準値超えについて
① ブラジル産コーヒー生豆
2011 年 8 月 23 日に、ブラジル産コーヒー生豆よりフルトリアホールが 0.05ppm(基準
値 0.01ppm)検出され、違反となった。このため、太田会長名でブラジル政府及び CECAFE
等に原因の究明等を求めたレターを発出した。
在日ブラジル大使館農務官に本件を説明したところ、ブラジル政府は問題の所在につ
いてポジティブリスト制度発足以来よく理解しており、日伯間の基準値の相違等解決す
べき課題があるとしていた。同国におけるフルトリアホール使用はサビ病対策として使
用され、これも特許切れ農薬であるため農薬開発メーカー以外の企業で大部分供給され
- 18 -
ているとのことである。
全協としては、ブラジル産コーヒー生豆からの残留農薬検出は極めて重大な問題であ
るため、プロマーコンサルティングに委託し緊急調査をすることとした。
…………………………………………………………………………………………………………
フルトリアホールの残留農薬基準値の見直しについては、ブラジル政府が 2009 年 11
月に厚生労働省に対してインポートトレーランス(国外で使用される農薬等に係る残留
基準)にて設定要請をし、厚生労働省は食品安全委員会へ 2010 年 4 月 16 日にリスク評
価を依頼した。食品安全委員会は 2011 年 5 月 11 日に農薬専門調査会評価第三部会で非
公開にて評価書(案)を検討した。評価結果は以下(ゴシック体)のとおり。
審議の結果、0.01mg/kg 体重/日を ADI とし、評価書(案)を一部修正の上、農薬専門
調査会幹事会に報告することとなった。ただし、確認事項に対する回答について評価部
会で確認することとなった。
2012 年 1 月 19 日に食品安全委員会は、フルトリアホールに係る食品健康影響評価案
を公表し、平成 24 年 2 月 17 日 17 時までに改定案に対する意見を募集したので、全協は
改正に賛成する意見を提出した。
2 月 28 日に食品安全委員会は基準値改定に対する反対意見がなかったので、原案どお
りの評価結果を厚生労働省へ通知した。
6 月 22 日に厚生労働省は薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会農薬・動物用医薬品部
会を開催し検討したところ、特段の注文がつかなかったので消費者庁と協議し、了解を
得たため、薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会に付託することとなっている。
一方、農林水産省によれば、2011 年 9 月に Codex の JMPR で決まったフルトリアホー
ルの Codex 案 0.15ppm は 2012 年 4 月開催の Codex CCPR( Committee on Pesticide
Residues)会議で了承され、7月開催の Codex CAC(CAC:codex alimentarius commission:
食品規格専門委員会)において採択となった、とのことである。
フルトリアホールのコーヒー生豆の残留農薬基準値は以下の状況にある。
残留農薬基準値
日
本
0.01ppm(暫定基準:現状)
ブラジル
0.05ppm(日本の検討中の改定案)
Codex
0.15ppm(2012 年 7 月決定:途上国には Codex 準拠とする国多い)
…………………………………………………………………………………………………………
フルトリアホール(殺菌剤)のコーヒーに対する残留農薬基準値改定については、厚
生労働省が 2009 年にブラジル政府からインポートトレーランスに基づく改定要望を受
け、2012 年 6 月 22 日の薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会農薬・動物用医薬品部会
で 0.01ppm から 0.05ppm に基準値を引き下げることとした。
しかし、2012 年 7 月に Codex がコーヒーのフルトリアホール残留農薬基準値を 0.15ppm
に設定したことを受け、同年の 11 月 27 日開催の薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会
農薬・動物用医薬品部会において、コーヒーのフルトリアホール残留農薬基準値を当初
案の 0.05ppm から、0.2ppm に引き下げることとした。
2013 年 3 月 12 日に漸く 0.2ppm への改定告示がされ、即日施行となった。ブラジル政
府の改定要望から 4 年経過しての改定となった。
② メキシコ産コーヒー生豆
2012 年 7 月 8 日に成田空港に到着したメキシコ産コーヒー生豆より 2.4-D が残留農薬
規制基準値(MRL)0.01ppm を超える 0.02ppm の検出超えがあったため、厚生労働省は 8
月 6 日付でメキシコ産コーヒー生豆に対しモニタリング強化措置を取った。
このため、全協としては太田会長名でメキシコのマジョルガ農牧大臣に対し、
「コーヒ
ー生豆の汚染原因がどのような経路で生じたのか」、
「2.4-D の作物栽培残留データがメ
- 19 -
キシコ政府にあれば、これを提供していただきたい」とするお願いの文書を発出した。
…………………………………………………………………………………………………………
2012 年 11 月 30 日付にて、オクタビオ・カランサ・デ・メンドサ メキシコ合衆国農
牧省農業食品・飲用水・水産無毒局長より以下の回答の手紙があった。
ⅰ 2.4-D はメキシコのコーヒー生産に使用登録されていない。
ⅱ 本件に関しメキシコ政府は次のように対処した。
・ SAGARPA の農業副大臣が AMECAFE に対し 2012 年 10 月 29 日付文書番号 300.
346.2012 で日本向け輸出に際しては原産地証明書を発行する前に研究所の残留農
薬証明書を添付することを要請した。
・ SENASICA は AMECAFE に対し 2012 年 11 月 14 日付文書番号 B00.04.02.03/633
で日本向けコーヒーが何故汚染されていたのかその理由を調査するとともにこの農
薬による汚染を減らすための予防策を知らせるように要請した。
・ SENASICA は AMECAFE に 2012 年 10 月 29 日付文書番号 B00.04.02.03/608
で残留農薬値を検査できる研究所及び輸出前に残留農薬を分析する方法が記載され
たリストを送付した。
ⅲ 2.4-D の最大残留値を 0.01ppm ではなく EU と同じ 0.1ppm に引き上げるよう依
頼するようにとの全日本コーヒー協会の要望に関しては、2.4-D の最大残留値を引き
上げることが妥当と考えるなら、貴団体自身が実現に向け如かるべく要請されること
を勧める。
なお、ⅲについては日本のインポートトレーランス制度を理解していないための回答
と考えられる。
(5)検査命令対象国のコーヒー生豆に対する自主検査費用(全協負担額)
(平成 20 年 5 月 15 日~平成 25 年 8 月 31 日)
年
度
平成 19 年度(H20.5/15~)
平成 20 年度
平成 21 年度
平成 22 年度
平成 23 年度
平成 24 年度
合計 件数
合計 金額
件数
金額
件数
金額
件数
金額
件数
金額
件数
金額
件数
金額
エチオピア
156
2,457,000
ブラジル
-
-
129
488
2,031,750 7,089,600
278
2,798
2,572,500 35,866,600
371
-
1,850,100
-
302
-
1,268,400
-
53
-
222,600
-
1,289
3,286
(単位:円)
インドネシア 件数/金額
-
156
- 2,457,000
-
617
- 9,121,350
1,809
4,885
12,356,750 50,795,850
2,779
3,150
10,699,150 12,549,250
2,392
2,694
9,209,200 10,477,600
2,258
2,311
8,693,300 8,915,900
9,238
13,813
10,402,350 42,956,200 40,958,400 94,316,950
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4.国際交流・
国際交流・協力事業
協力事業
(1)国際コーヒー協定関係
◎ 3 月会議(110 回理事会(International Coffee Council)
)
110 回理事会より ICO 執行役がセテ氏(伯国出身)からガリンド氏(コロンビア国出身)
に交替した。ICO の報告では 2020 年までにコーヒーの世界の需要は 159 百万袋~174 百万
袋になるだろうとのことであった。コーヒー需要の伸び率の著しいロシア、コロンビア及
び韓国が国内のコーヒー消費状況について報告を行った。理事会始めには中国のオブザー
バーの姿もあった。
コスタリカからは中米のコーヒー生産問題として、サビ病が急速に域内に拡大し中米諸
国のコーヒー産業や経済に大きなダメージを与えており、ICO への支援要請がなされた。
民間部門諮問委員会(PSCB)では、ICO が関係国から収集した残留農薬基準値(MRL)の
報告があった。一覧表は国際基準値とされる Codex 、EU 、日本、米国、ブラジル、エク
アドル、インドネシア、ケニアの国別に農薬ごとの MRL が掲載されていた。インドネシア
代表団より日本の MRL は厳しすぎるとの発言もあった。米国代表からは、厳しすぎる MRL
は WTO の SPS 協定に触れる問題(非関税障壁)なので WTO に提議すべき案件との、USTR 所
属代表らしい適切な発言があった。
EU からは世界の「コーヒーの日」を決めればどうかとの発言があり、日本は 30 年前か
ら「10 月 1 日をコーヒーの日」と定めプロモーション活動を行っている、と紹介した。
NCA や ECF からはアクリルアミドに対する公的規制の動きがあるが、適切な低減方法が
みつからず困っている、との発言があった。
コーヒー部門融資フォーラムでは、コーヒー生産国への生産支援等に適切な知見を有す
る者を派遣したりして対応したいが、ICO は資金不足であり十分対処できていない。これ
への協力を各国に求めたいとの事務局長の発言の中で、
「日本から資金援助の意向が出てい
る」、との紹介があった。(2013 年 4 月 16 日 ICO へ振込。
)
統計委員会は、コーヒーの生産国に統計データを適切に出さない国があるとして、ベト
ナムの名があがっていた。
全体として、商品別の国際機関の多くの例にもれず、ICO もコーヒー生産国への融資資
金や管理資金の不足に苦慮しており、設立目的のミッションを果たせなくなりつつあるよ
うに見受けられた。
◎ 9 月会議(111 回理事会(International Coffee Council)
)
ICO 設立 50 周年記念式典とともに第 111 回 ICO 会議が 9 月 9 日~12 日ブラジルの Belo
Horizonte で開催され、太田会長、宮本副会長、小谷国際委員長、佐伯参与が参加した。
①
民間部門諮問委員会(PSCB)
ICO 執行役 M.Galindo 氏が 8 月のコーヒー市場について報告したあと、ヨーロッパコ
ーヒー連合(ECF)事務局長が清涼飲料に含まれるカフェイン問題について発表した。EU
では現在、特にエネルギー系清涼飲料に過度のカフェインが含有され体に害を及ぼすと
して、含有量を制限すべきだとの動きがあり、ヨーロッパ食品安全協会(EFSA)が本年
12 月末までに EU 政府に報告書を提出することになったとのこと。またカナダコーヒー
協会会長は Acrylamide 、Furan、OTA、カフェインの表示問題などを挙げた。食品安全
(Food Safety)問題では、インドネシアから 3 月の PSCB で取り上げられた日本との残
留農薬問題が解決されたとの報告があり、当方からも唯一残っていたインドネシアの
Carvaryl に対する強制検査命令が解除されたことで日本政府によるコーヒー関連の強
制検査命令は全てなくなったと報告した。
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②
第 3 回コーヒー部門ファイナンス諮問フォーラム
今回の ICO 会議の大きな目玉の一つとして、9 月 10 日終日かけ全米コーヒー協会
(NCA)の R.Nelson 氏が議長及び進行役となり「中小コーヒー農家の組織化」をテーマ
として検討された。全日本コーヒー協会(AJCA)及び世界銀行(WB)がスポンサーとな
り、全ての配布資料に AJCA と WB のロゴが掲載され、フォーラムにおいてのみならず、
理事会、PSCB などでもスポンサーの名が挙げられ特別な謝意が表され、Silva 総裁他 ICO
関係者以外からも個別に感謝の言葉があった。
③
第 111 回理事会
PSCB 議長から「世界のコーヒーの日」を 10 月 1 日に制定してはどうかという提案が
出され、活発な議論があった。まず 5~6 人の代表から 10 月 1 日がよいとの好意的な意
見が出されたが、アイボリーの代表から 10 月 1 日はココアの日に決まったと聞いている
との話があり、同じ日にするのは問題ではないかとの流れになり、コスタリカの代表が
コーヒー年度最後の 9 月 30 日ではとの提案がありそれをサポートする意見が何件かあっ
た後、米国からグーグルがコーヒーの日を 9 月 29 日にしているとの意見が出され、結局
来年の 3 月の会議で再度議論をしようとの結論になった。
(2)海外のコーヒー関係機関等の全協訪問
6 月 3 日に在日インドネシア国大使館のジュリア・シララヒ商務部部長とフィトラ・カ
ルナラ商務官が、
「検査命令措置が解除になったのは、全日本コーヒー協会が多額の費用を
かけて自主検査を行った結果であり感謝する。」と挨拶にお見えになった。また、インドネ
シア産コーヒー生豆の輸入を増やして欲しいとの要請もあった。これに対して、検査命令
措置が解除になっても、厚生労働省からモニタリング検査期間に 1 件でも残留農薬基準値
超えが出ると検査命令となるので、モニタリング検査義務の 60 件が終了するまでは全協が
自主検査を継続する旨、回答した。また、インドネシア大使館より、インドネシア産コー
ヒー生豆の輸出団体は商業者は GAEKI としているので、これとコンタクトして欲しいとの
説明があった。
5.会員研修事業
第1回
実施日:平成 25 年 6 月 4 日
会 場:南青山会館
演 題:「2012 年コーヒー需要動向調査について」
四倉みちる 日本リサーチセンター チームリーダー
第2回
実施日:平成 25 年 6 月 13 日
会 場:名古屋ガーデンパレス
演 題:「2012 年コーヒー需要動向調査について」
四倉みちる 日本リサーチセンター チームリーダー
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第3回
実施日:平成 25 年 6 月 14 日
会 場:大阪弥生会館
演 題:「2012 年コーヒー需要動向調査について」
四倉みちる 日本リサーチセンター チームリーダー
第4回
実施日:平成 25 年 9 月 4 日
会 場:南青山会館
演 題:食品表示法について
講 師:平山潤一郎消費者庁食品表示課企画官
6.2012
2012 年度環境自主行動計画の
年度環境自主行動計画の取りまとめ・
りまとめ・報告
(1)環境自主行動計画
2012 年環境自主行動計画について、会員企業 4 社からのデータの提出があり、環境自主
行動計画を策定した。全協は、CO2 排出原単位での削減目標を 2005 年度基準で 2010 年ま
でに 3%削減し、原料豆使用量 1 トン当たり CO2 排出量を 1.03 とすることとしていた。
2011 年実績は、CO2排出原単位 1.028(調整後数値 1.018)となっており、目標値をクリ
アした。計画策定企業のエネルギー効率は、様々な対策によりかなり高まったものとみら
れる。
2011 年の廃棄物の排出量は、対前年度比 7%減の 96,814 トン、リサイクル率 99.3%とな
った。
本報告について農林水産省に提出するほか、全協ホームページに要約したものを掲載し
た。
なお、農林水産省より新たな CO2排出目標値の策定を求められているが、全協として新
たな目標値の設定にはやぶさかでないが、国のエネルギー政策が明確にならない中で、数
値を立てることとなるため、慎重な検討が必要として未だ提出していない。
(2)その他
会員企業より、環境省ホームページに掲載されている悪臭防止法に係る説明図に臭いの
強さの例としてカップ入りコーヒーがあり、コーヒーは「香り」とは言うが「臭い」とは
表現せず不適切であるので、ホームページからの削除を環境省に申し入れて欲しいとの連
絡があった。
事務局において環境省ホームページを見たところ臭いの強さ表す食品としてコーヒーと
醤油が掲載されているほか、便器とともに掲載されており極めて不適切な表現であったた
め、環境省水・大気環境局に極めて不適切なポンチ絵であるので直ちに改められたいと連
絡した。環境省水・大気環境局から是正するとの回答があった。
ただし、住宅地近辺などのコーヒー焙煎業者に対する苦情が行政に寄せられているので、
業界として注意して欲しいとの話もあった。
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