絵 :まつだ としろう 作 :さかぐち よりあき 企画:次世代のためにがんばろ会 (タイトル)「水をきれいにする宝箱」 ②私たちは、お空から降ってくるお水です。 私たちは「雨」と呼ばれたり、「雪」と呼ばれたり、 季節や場所などによって、呼ばれる名前が変わります。 ③地面にしみ込んだ私たち・お水は、土の中で長い間過ごします。 そして、仲間が集まるのをじっと待つのです。 ④何百年も土の中で過ごした私たち・お水は、 「湧き水」となって改めて、皆さんの前にお目見えします。 ⑤私たちの名前は、今度は「川」へと変わります。 これから山を越え、谷を渡り、「海」を目指して旅を続けていくのです。 ⑥ところが、旅の終わりが近づいた頃、私たちは一気に汚されてしまいました。 それは、人間たちがたくさん生活している所を通りかかったときのことです。 台所の洗い物に使われた後の水や、汚れた服を洗濯した後の水、 そしてお風呂の水といった、 人間たちがその暮らしの中で出した汚れに、私たちは染められてしまったのです。 ⑦「汚くて臭いまま、このままみんなで海まで流れてしまったら、 大切な海までを、汚してしまう。これではとても、海へは行けない」と、 悲しむ私たちの前に現れたのは、 ⑧大きな吸い込み口でした。 私たちはあっという間にその中へ飲み込まれてしまいました。 ⑨「痛い痛い!」「みんな、無事か?」「大丈夫だ!」 「ここはいったいどこなんだろう?」「あっ、あれは、何だ?」 ⑩「ガジ・ガジ」「うわっ、絶望的に大きな、怪物だ!」 ⑪「ガブー」「きゃー、やめてー吸われるー」 「ガジ・ガジガジ・チュー・チューチュー」 ⑫「あっ、汚れがなくなって、すっきりしちゃった」 「そいつは良かったガジ」「でも、どうして?」 「ぼくたち、微生物が、君たち・水の体にくっついていた汚れを食べたんだガジ。 それで君たちは生まれたときのようにきれいな体になったんだガジ」 「そうだったのか、微生物くん、ありがとう」 「ほら、君たちの仲間もみんな、きれいになっているガジよ」 ⑬「ぼくたちが暮らしているここは、『浄化槽』というんだガジ。 この大きな箱が、いくつものお部屋に別れているんだガジ。 そしてお部屋ごとに、ポルティセラ、パラメシウム、オペルクラリア、フィロディ ナ といったぼくたち微生物の仲間が、みんなでお水をきれいにしているんだガジ」 「すごいね。『浄化槽』は、みんなが汚したお水をきれいにする宝箱なんだね。」 「だけど、何でもきれいにできるわけではないんだガジ。 油汚れとか、野菜のくずとかは、ぼくらでも対応できないガジ」 ⑭「それじゃあ、『いってらっしゃい』だ、ガジ。気をつけて行くんだガジ~」 「ありがとう、さようならー」 ⑮「ああ、すっきりして、気持ちいい」 「お魚くん、お魚くんたちも、また住めるようになったんだね。よかったー」 「あっ、海だ!」 ⑯すっきりしたところで、大海原から私たちはまた、お空へ帰っていきます。 みなさん、いつかまた「雨」や「雪」の形でお会いしましょう。さようなら。 ⑰さて、水の坊やたちのお話はこれでおしまいですが、ここで少し皆さんに考えていた だ きたいと思います。皆さんの身の回りの水は、キラキラ輝いているでしょうか?そ れと も汚れきって、泣いているのでしょうか?さあ、どうでしょう? ⑱水は私たち人間にとって、そして生き物すべてにとってかけがえのないものです。決 し て粗末にあつかってはいけません。 実は、私たちが暮らしているこの「地球」も、広い宇宙から見れば、「水」に取り巻 か れている「一つぶ」の星に過ぎません。みなさんもそのことを忘れないでください。 これで、私たちの小さな紙芝居も、本当におしまいです。みなさん、聞いてくださっ て、 ありがとうございました。
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