外断熱 実績資料 野原産業株式会社 ファサード事業部 環境建材部 東京都新宿区新宿 1-1-11 TEL : 03-5368-0631 FAX : 03-5368-0632 〒160-0022 Slide No. 1 / Rev.-No. 【ノハラ 海外普及システムの研究】 システム構成 パッシブウォール [透湿タイプ] Slide No. 2 / Rev.-No. 壁内部状況確認 【内断熱建物の壁の内部】 : 既存現場発泡ウレタンに結露発生! (冬場の定常的な問題) Slide No. 3 / Rev.-No. 【実施対策②】 ノハラ 海外普及システムの研究 選定透湿外断熱システムの構成条件 透湿性 外部に向って各表層材の透湿抵抗値が低くなること ( EPSボード ≧ ベースコート ≧ トップコート) ■ 耐クラック(亀裂)性 耐アルカリ性グラスファイバーメッシュによる補強層 ■ 耐衝撃性 密度(目付量)を更に追加した耐アルカリ性グラスファイバーメッシュ による衝撃力の分散性能 ■ 高耐候性,低汚染性 アクリル樹脂系表層材による補強層 ■ 接着性能 乾燥し温度が安定した空間での接着強度の劣化防止 Slide No. 4 / Rev.-No. RC造等の構造熱橋部における断熱補強基準の省略できる仕様 (外断熱) 【実施対策②】 ノハラ 海外普及システムの研究 『住宅の省エネルギー基準の解説 増補版』 ( ㈶建築環境・省エネルギー機構 監修より ) 外断熱工法で断熱補強を省略した場合 の「構造熱橋部の逓減係数aH」 Slide No. 5 / Rev.-No. 結露対策実施の結果 【実施対策② :ノハラ 透湿外断熱システム工法 を国産化】 躯体への負荷が小さく長期保護 外壁の非構造部材の荷重 約9kg/㎡ Slide No. 6 / Rev.-No. 層間変形追従性能 確認 : 北海道立北方建築総合研究 所(通称「北総研」) 【実施対策② :ノハラ 透湿外断熱システム工法 を国産化】 試験体の概要 試験体は取付け部材をロの 字型に配置し、躯体を模した 治具(以下:躯体)にパッシ ブウォール[透湿タイプ]を (断熱材厚50mm)取付けた。 試験方法 躯体の上部に油圧ジャッキ を取付け加圧することで躯 体にせん断変形を発生させ、 外装材及び外装材下地の 留付け部の緩みや不具合 等を目視・触診等により確認 する。 Slide No. 7 / Rev.-No. 層間変形追従性能 確認 : 北海道立北方建築総合研究所 (通称「北総研」) 【実施対策② :ノハラ 透湿外断熱システム工法 を国産化】 変形追従性、応力緩和性能に優れている 試験結果 躯体の真のせ ん断変形角 γ0が1/60rad として加力を 行っているとこ ろまでは以上 が見られな かった。 Slide No. 8 / Rev.-No. パッシブウォール【透湿タイプ】の特長 (その1) 【実施対策② :ノハラ 透湿外断熱システム工法 を国産化】 優れた性能を有している 仕上げ塗材 は、可とう性,防藻・防かび性能,低汚染性能 を標準化 (システムメーカーによっては、オプションにしているものも少なくありません) コスト競争力がある システムに必要な資材をほとんど国産化した、コスト競争力のある商品 メーカーの技術研究所で検証試験を行ってから市場に投入している信頼性の高いシステム (アイカ工業㈱との共同開発による野原産業㈱オリジナルの商品) 国産化された品質管理・デリバリー体制 JIS A 6909をクリアーした仕上塗材は、全自動調色を行い、高品質の 製品を必要な量と時間に納入可能 (表面の仕上げに関して海外製品は、日本のJIS規格をクリアできない商品です) Slide No. 9 / Rev.-No. 【実施対策② :ノハラ 透湿外断熱システム工法 を国産化】 パッシブウォール【透湿タイプ】の特長 (その2) メンテナンス時の材料調達力がある 先々のメンテナンスを考えた時、長く国内建築業に主軸を置く会社 の方が安心 (海外メーカーが撤退して、その後のメンテナンスに困っている商材もあり、海外商品の 代理店企業規模も重要な要因です) 豊富な納め方・取合いのバリエーションがある 欧州,北米それぞれ独自の形で発展した透湿外断熱システムの納め方 取合い方法を国内に適するよう両方を選択可能にしたシステムです。 (納め方・取合いにおいて欧米両方のシステムを兼ね備え使用できるのは当社だけです) Slide No. 10 / Rev.-No. 北海道 (改修工事) 国立大学 Slide No. 11 / Rev.-No. 青森県 (新築工事) 公務員宿舎 Slide No. 12 / Rev.-No. 秋田県 (新築工事) 大仙市立小学校 Slide No. 13 / Rev.-No. 東京都 (改修工事) 国立大学 Slide No. 14 / Rev.-No. 東京都 (新築工事) 杉並区立 小学校 Slide No. 15 / Rev.-No. 東京都 (新築工事) 新宿区立 中学校 Slide No. 16 / Rev.-No. 東京都 (改修工事) 荒川区立第七峡田小学校 エコスクール 施工後 施工前 Slide No. 17 / Rev.-No. 東京都 (改修工事) 杉並区立 小学校エコスクール Slide No. 18 / Rev.-No. 東京都 (改修工事) 都立高等学校 施工後 施工前 Slide No. 19 / Rev.-No. 東京都 (改修工事) 区営住宅 (3棟改修) 施工後 施工前 Slide No. 20 / Rev.-No. 東京都 (新築工事) シェルゼ三鷹禅林寺通り Slide No. 21 / Rev.-No. 神奈川県 (改修工事) 公営団地 Slide No. 22 / Rev.-No. 神奈川県 (改修工事) 集合住宅(分譲マンション) 施工後 施工前 Slide No. 23 / Rev.-No. 愛知県 (増築工事) 共同住宅(賃貸兼自宅) Slide No. 24 / Rev.-No. 愛知県 (新築工事 : 外断熱透湿,通気層 複合 ) 集合住宅 Slide No. 25 / Rev.-No. 愛知県 (新築工事 : ALC下地 ) 店舗 Slide No. 26 / Rev.-No. 東京都 (新築工事 ) 個人邸 Slide No. 27 / Rev.-No. 東京都 (新築工事 : ALC下地 ) 個人邸 Slide No. 28 / Rev.-No. 東京大学大学院 建築学専攻 2008 年度 修士論文梗概集 湿式外断熱工法外壁の防火性能評価に関する基礎的研究 76127 図 1 火災発生時のモンテカルロホテル 2.2 火災の教訓 日本の国内において,外断熱に関連した火災については, これまで,目立ったものは報告されていない。しかし,モン 国臣 テカルロホテル火災をみても分かるように,躯体の外側に 可燃性の建材が位置する工法の場合,適切な設計,施工,管 理がなされなければ,外壁面上の大規模な火炎伝播が短時 間に発生する可能性があり,層間区画を超えた上階延焼,隣 棟建物への類焼,消防活動時の危険性等が生じる可能性も 考えられる。 現在,外壁に求めている耐火性能に加えて,外壁面状の急 激な火炎拡大を防止する性能を追加して求める必要の有 無を検討するためにも,先ず,外断熱工法外壁に対して,既 存の各種試験法を実施する事が重要である。 1. はじめに 1.1 研究の背景 外断熱工法は省エネ性能,施工の容易さ等の観点から,昨 今,日本でも大きな注目を浴び,市場も急速に拡大しつつあ る。耐火構造における外断熱工法は概ね,通気層工法,乾式 密着工法,湿式密着工法に分けられるが,外断熱工法を含め た外装システムに対する技術面からの要求性能としては, 断熱性能,通気・透湿性能,耐久性能,防水性能,防火性能など を挙げることができる。 現在日本国内外を見渡すと,外断熱市場では発泡プラス チック系断熱材が主力を占め,中でもビーズ法発泡ポリス チレン(EPS)を湿式外断熱工法で使用している例が非常 に多い。しかし,それらは可燃性であることから耐火建築 物の外壁に設ける場合には,「工法」としての防火性能面 から検討すべき課題が多い文1)。 1.2 研究の目的 日本における平成 12 年の建築基準法改正後,外断熱工法 の評価試験がなくなり,構造に必要な性能を損ねないと判 断できる程度のものであれば支障が無いものとされるよ うになった。従って,外断熱工法に対して耐火試験のみに よる判断を下す現在の日本の状況では,躯体部分で耐火性 能を確保できる限り,外装側にはいくら可燃物があっても 構わないと解釈されかねない文2,3)。 本研究では,日本国内で一般的に施工されている湿式外 断熱工法外壁を基にした試験体を作成し,小規模から中間 規模に至る既存の試験法を組み合わせて実施する事によ り,外断熱工法外壁の防火性能(発熱量,火炎拡大防止等) を評価するにあたっての各試験法の特徴を把握し,適切な 評価試験法の提案に資する知見を得る事を目的とする。 3. コーンカロリーメータ試験による発熱量評価 3.1 試験方法 ISO 5660-1で示される試験法で,国内でも現行の防火材 料性能評価制度の中で最も主要な認定評価手法である。 試験体(100×100mm,EPS厚さ50mm)(図2)をコーン 型の電熱ヒータにより加熱し(図3),発生する可燃ガスに 電気スパーク(着火源)を与えて燃焼させる。本実験では, 試験時間は加熱強度を30,50kW/m2,試験時間を20分とし,発 熱速度及び総発熱量を測定した文6)。 図2 試験体 図3 試験装置 3.2 試験結果及び考察 50 200 40 150 発熱量( 樹脂量少な目) 30 100 発熱量(樹脂量多目) 発熱速度( 樹脂量少な目) 発熱速度(樹脂量多目) 20 50 10 0 0 200 400 600 Time(s) 800 1000 0 1200 250 50 200 40 発熱量( 樹脂量少な目) 150 発熱量(樹脂量多目) 発熱速度( 樹脂量少な目) 発熱速度(樹脂量多目) 100 50 30 20 Total Heat Released(MJ/m2) 250 Total Heat Released(MJ/m2) Heat Release Rate(kW/m2) Heat Release Rate(kW/m2) 2. 火災事例 2.1 モンテカルロホテル火災 (米国ラスベガス・2008 年 1 月 25 日) 32 階建のカジノリゾートホテル(RC 造)で, 9,325m2 カ ジノを有し,外壁には,湿式外断熱工法 Exterior Insulation and Finish Systems(以下,EIFS)を採用している。ホテルの 屋上で波形鋼板の切断作業が行われていた際に切断機か ら飛び散った溶融金属(スラグ)が火元で,火災が発生し た。 本火災では,EIFS パネルとモールディングのポリスチレ ンとポリウレタン部分が屋上パラペットに沿って横方向 に燃焼した。溶融した発泡体がホテル外装面を下方向に流 れ落ち,他の EIFS パネル, モールディング(最上階の窓下, 更に 3 層下)にも着火し,更に延焼が拡大した文4,5) (図 1)。 崔 10 0 0 200 400 600 Time(s) 800 1000 0 1200 2 図4 発熱速度,総発熱量 (加熱:30kW/m2) 図5 発熱速度,総発熱量(加熱:50kW/m ) 表1 コーンカロリーメータ試験結果の概要 トップコート 加熱強度 樹脂量 (kW/m2) 加熱面 50 TopCoat 多 30 50 少 30 TopCoat EPS TopCoat EPS 試験体 No Ⅰ-1 Ⅰ-2 Ⅰ-3 Ⅰ-4 Ⅱ-1 Ⅱ-2 Ⅱ-3 Ⅱ-4 厚さ (mm) 53.8 53.2 54.2 52.9 52.7 53.4 53.0 53.8 質量 (g) 67.1 59.6 61.0 63.9 57.3 50.5 55.7 56.5 2 着火・消火時間 総発熱量 最大発熱速度(kW/m ) 2 (MJ/m ) 1時ピーク 時刻(s) 2次ピーク 時刻(s) 着火(s) 消火(s) 45.3 200.2 106.1 86.3 440.1 59.6 648.1 44.2 214.8 96.1 102.9 338.1 45.1 548.1 41.1 205.2 138.1 76.1 422.1 99.9 627.1 51.7 169.6 188.1 97.5 402.1 147.6 709.1 42.3 218.1 88.1 132.1 244.1 51.7 546.1 33.8 348.8 106.1 75.3 291.1 38.9 173.0 130.1 115.1 418.1 96.9 583.1 36.8 322.5 230.1 206.4 542.1 本試験では,以下の知見が得られた。 1) 小規模試験ではあるが,外断熱工法試験体の発熱量・ 発熱速度についての測定は可能である。 2) 本試験の結果では,総発熱量・最大発熱速度について は,加熱強度50,30kW/㎡の結果に有為な差異は見られ ないが,着火時間については,30kW/㎡の方が遅い(表1)。 3) トップコート樹脂量の少ない試験体の方が,多い試験 体より,総発熱量が小さい注1)(図4,図5)。 4) 本試験では,試験規模が限られ, 工法の端部,目地の処 理を反映する事は困難である。 4. ICAL(中規模発熱速度測定装置)による発熱量評価 4.1 試験方法 指導教員 野口 貴文 准教授 ICAL試験は,試験体に外部放射加熱(∼50kW/m2)と着 火源を与えた際の燃焼性状を確認するものである(図6)。 2008 年現在ISO 化を検討中の試験法(ISO CD 14696)で あり,米国のASTM 規格(ASTM E 1623-04)を元にしてい る。そのため,将来的に現行の原案からの変更も予想され る文7,8)。本研究では,約30kW/m2加熱条件で実験を行っ た。(試験時間:20分) 発熱量と比較すると,ICAL 実施時の発熱量(Case4:目 地無し)はかなり小さく,目地を施工した試験体であ っても,Case 2(突き付け)と Case 5(切り離し)の発 熱量は,目地を施工していないコーンカロリーメータ 試験結果よりも小さい。この原因としては,ICAL 実験 時はコーンカロリーメータ試験時と比較し,試験体の 燃焼が緩慢で,試験時間 20 分では試験体の可燃成分が 全て燃焼し尽くしていない可能性があり,発熱量も増 加途上である(図 8-9)。着火時間及び発熱量の測定と いう観点からは,ICAL よりもコーンカロリーメータ の方が,判断が確実である上,実施も容易である。 4) ICAL 試験では,コーンカロリーメータ試験より,試験 体サイズが大きく,隣棟火災からの放射加熱による着 火の有無を有効に判断する事が可能と考えられる。 Key 1 ガス採取口 2 鉄製フード 3 支持枠 4 天然ガスバーナー 5 放射パネル 6 高温熱線口火 7 試験体枠 8 試験体支持台 9 重量測定台 10 試験体 11 気流防止板 図6 ICAL試験装置図 4.2 試験体 試験体の形状は 1000×1000mm,有効加熱面は,900mm と する。目地の幅は,50mm とし,試験体の中央部に設置する。 また,試験体の種類は表 2 に示す。 表2 ICAL試験体の概要 Case 断熱材 目地処理 Case 1 EPS一体型 目地無し Case 2 EPS通常型 突きつけ EPS通常型 バックラップ (メッシュ折り込み) Case 3 5. SBI(Single Burning Item)試験による発熱量評価 5.1 試験方法 SBI 試験は,欧州規格 EN13823 として規定されている試 験方法であり,欧州地域で防火材料の認定評価試験法の一 つとして運用されている。SBI 試験法では,試験結果からガ スバーナーの発熱を差し引いて評価される文7,8)。等級分 けは,主に,火災成長速度(FIGRA(Fire Growth Rate(W/s))) (発熱速度をその生じた時間で除した値)と 10 分間の総 発熱量(THR600s(MJ))等で評価される。 また,欧州の防火材料クラス分け基準を表4に示す。SBI 試験はクラスA2,B,C,Dのクラス分け評価試験法として規 定されている。 表4 欧州防火材料評価基準 A1 Case 4 EPS通常型 目地無し Case 5 EPS通常型 切り離し A2 (左側:放射パネル,右側:試験体) 50 200 40 150 30 100 20 50 10 200 400 600 Time(s) 800 1000 0 1200 図8 発熱速度,総発熱量(Case 3) HRR THR 250 50 200 40 150 30 100 20 50 10 0 0 200 400 600 Time(s) 800 0 1200 1000 図9 発熱速度,総発熱量(Case 4) 表3 ICAL試験結果の概要 Case ISO 1182 or ∆T≦50℃,∆m≦50%,tf=0 ISO 1716 & PCS≦3.0MJ/kg etc. EN 13822 & 総発熱量(MJ/m2) 発熱速度(kW/m2) 5分 10分 20分 1次ピーク 時間(s) 2次ピーク Case 1 9.12 - - 130.1 100.1 - - Case 2 14.47 20.21 28.94 151.83 148.1 - - Case 3 12.28 25.76 46.17 142.67 180.1 61.62 376.1 Case 4 12.14 13.46 17.79 149.72 145.1 - - Case 5 16.38 22.21 34.46 232.36 158.1 - - 時間(s) 本試験では,以下の知見が得られた。 1) 目地工法の違いにより,総発熱量に影響を与えること がわかったが, 本来,安全なはずのバックラップ処理 した Case 3 が総発熱量が最大となっていることによ り,ICAL 試験の発熱量評価では,外断熱工法の防火性 能の有効な評価は困難である(図 8)。 2) 試験体サイズ・形状に限り,中間規模試験としての火 災伝播を判断することは困難であることがわかった。 3) コーンカロリーメータ試験(トップコート側から 30kW/㎡加熱,トップコート樹脂量が少ない,表1)の FIGRA≦120W/s THR600s≦7.5MJ FIGRA≦120W/s B (SBI) THR600s≦7.5MJ ISO 11925-2 Fs≦150mm within 60s C (SBI) THR600s≦15MJ ISO 11925-2 Fs≦150mm within 60s EN 13823 (SBI) & FIGRA≦750W/s 60 Total Heat Release(MJ/m2) 300 Total Heat Released(MJ/m2) Heat Release Rate(kW/m2) Heart Release Rate(kW/m2) HRR THR 0 PCS≦2.0MJ/kg etc. EN 13823 & 60 0 ∆T≦30℃,∆m≦50%,tf=0 ISO 1716 EN 13823 & 4.3 試験結果及び考察 300 等級基準 ISO 1182 & (SBI) 図7 実験の様子(Case 3) 250 試験方法 等級 D FIGRA≦250W/s ISO 11925-2 Fs≦150mm within 60s E ISO 11925-2 Fs≦150mm within 60s F 性能定義無し (注:等級基準一部省略) 図10 SBI試験装置 図 10 に示したように,短翼壁と長翼壁をコーナー部に垂 直に設置し,隅下部よりガスバーナー(30kW)により加熱 し,発熱速度を酸素消費により求める。 (試験時間:20 分) 5.2 試験体 長翼壁:幅1000mm×高さ1500mm 短翼壁:幅 500mm×高さ1500mm 目 地:水平目地を入れる場合は,長翼壁の底部から500m の高さに入れる。但し,今回の実験では,長翼壁・ 短翼壁共に目地を施工した。 試験体一覧を表5,試験体概観を図11に示す。 表5 SBI試験体の概要 Case 断熱材 目地処理 Case 1 EPS一体型 目地無し Case 2 EPS通常型 突きつけ Case 3 EPS通常型 バックラップ (メッシュ折り込み) Case 4 EPS通常型 目地無し Case 5 EPS通常型 切り離し 図11 実験終了後の試験体(Case 2) 1200 200 2 外装材 EPS材 0.35 0.48 0.39 0.51 Case 2 5.08 116.75 0.37 0.69 0.38 0.73 Case 3 6.36 94.37 0.40 0.74 0.41 0.70 Case 4 3.68 128.09 0.34 0.57 0.33 0.62 Case 5 16.44 170.75 0.75 0.75 0.52 0.94 ② A2 & B A2 & B A2 & B C D ⑩ ③ ⑪ 1 ④ ⑫ 150 250 116.38 EPS材 ⑨ 2300 3.61 外装材 400 Case 1 (W/s) 2800 (MJ) ① 2 2 短翼壁(全面積:0.75m ) 長翼壁(全面積:1.5m ) 欧州分類 Case 1. 試験体スクリーン 損傷面積について,外装材は試験終了後,表面が黒く焦げた部分の面積, 3 3. 試験体短翼壁 ⑤ ⑬ 4. サンドバーナー ⑥ (流量 60 ㍑/min(94kW) ) ⑭ 5. 熱流束計 ⑦ 1 ⑮ 1 ※①∼⑧:表面温度 ⑧ ⑯ Z ⑨∼⑯:通気層温度 X 通気層温度は,外装表面か Y ら 25mm 内側の温度を計 4 0 10 EPS 材は試験後トップコートを剥いた後の EPS 減少面積として算出した。 2. 試験体長翼壁 250 250 250 250 250 250 250 250 300 損傷面積 (m2) FIGRA 5 100 表 6 SBI 験結果の概要 THR600s Key 0 50 5.3 試験結果及び考察 測した。なお,外装材は珪 1200 熱電 対測 定位 置 長翼壁表面 X 通気層工法①∼⑧+⑨∼⑯ 長翼壁通気層 短翼壁表面 短翼壁通気層 ① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ ⑧ ⑨ ⑩ ⑪ ⑫ ⑬ ⑭ ⑮ ⑯ 600 600 600 600 - - - - 600 600 600 600 - - - - Y - - - - 250 250 250 250 - - - - 250 250 250 250 Z 2000 1500 1000 500 2000 1500 1000 500 1750 1250 750 250 1750 1250 750 250 熱流 束計 X=600 測定 Z=2500 位置 らは 13mm 内側という事 になる。 図 12 試験装置概要図 6.2 試験体 長翼壁:幅1200mm×高さ2300mm 短翼壁:幅 500mm×高さ2300mm 目 地:Case 2 のみ,縦目地を長翼壁中央に設置(端部処 理はバックラップ) 表 8 ファサード試験体の概要 Case 工法 断熱材 試験体下端処理 目地 Case 1 湿式 EPS バックラップ 目地無し Case 2 湿式 EPS バックラップ 縦目地 Case 3 湿式 EPS 突き付け 目地無し Case 4 湿式 EPS 突き付け+ロックウール補強 目地無し Case 5 湿式 EPS 切り離し 目地無し Case 6 湿式 EPS ウレタン塗装,モルタルなし 目地無し Case 7 通気層 グラスウール - 目地無し Case 8 通気層 XPS - 目地無し 6.3 試験結果及び考察 試験結果,及び目視記録の概要については下記(表9,図13 ∼図22)に示す。 900 900 case1 case3 case4 case5 700 600 case1 case3 case4 case5 800 700 Temperature(℃) 800 500 400 300 200 600 500 400 300 200 100 100 0 0 0 200 400 600 800 1000 Time(s) 1200 1400 1600 1800 0 図 13 測定点①の温度(湿式,長翼壁) 900 700 600 500 400 300 400 600 800 1000 Time(s) 1200 1400 1600 1800 900 case1 case3 case4 case5 800 200 図 14 測定点④の温度(湿式,長翼壁) case7 case8 800 700 Temperature(℃) 表 7 熱電対,熱流束計測定位置一覧(単位:mm) 湿式工法①∼⑧ だったので,外装材裏面か Temperature(℃) 6. 中規模ファサード試験による火災伝播性状評価 6.1 試験方法 ISO13785-1(中規模ファサード試験)文9,10)に準じて, 中間規模試験体の下端を直接火炎で炙る火災実験を実施 し,外断熱工法外壁における火炎伝播性状を確認した。 図 12 に示したように,試験体長翼壁と短翼壁を直角に組 み,それを高さ 2.8m,長さ 2.4mの鉄骨フレームで覆う形で, 防火スクリーンを組み合わせものとした。 測定点は,表 7,図 12 に示した。 0 24 0 酸カルシウム板(12mm) 2400 Temperature(℃) 本試験では,以下の知見が得られた。 1) SBI 試験では,Case 5(目地処理:切り離し)のみが際 だって危険な結果を呈しており,防火上の弱点部であ る目地を含んだ実際の施工条件での評価を行うこと が可能であることが確かめられた。 2) Case 5 の試験結果により,内部に可燃材を含んだ材料 は内部に火炎が入らないように目地の施工すること が重要で,施工方法の担保についても考慮することが 必要であると考えられる。 3) 本研究で使用した外断熱工法外壁の試験体は,コーン カロリーメータ試験結果から,国内の現行の防火材料 評価(不燃,準不燃,難燃)においては全て非該当とな った。一方,SBI 試験結果では,全て欧州防火材料の等 級付けが可能となり,評価に大きな差が生じた。 4) SBI 試験は,火炎伝播性状を把握し易い形状の試験体 を規定しているにもかかわらず,箱の中に試験体を設 置して発熱量と発煙量のみを計測するため,火炎伝播 性状を効率的に把握することは困難である。 200 600 500 400 300 200 100 100 0 0 0 200 400 600 800 1000 Time(s) 1200 1400 1600 1800 図 15 測定点⑧の温度(湿式,短翼壁) 0 200 400 600 800 1000 Time(s) 1200 1400 1600 1800 図 16 測定点⑧の温度(通気層,短翼壁) 表 9 ファサード試験測定結果の概要 熱電対の位置 Case Case 1 Case 2 Case 3 Case 4 Case 5 最高温度 発生時間 熱電対の位置 最高温度 発生時間 熱流束の最大値 発生時間 (長翼壁) (短翼壁) (X,Z) (℃) (s) (Y,Z) (℃) (s) ① 177.1 1070 ⑤ 109.8 824 ② 245.4 1072 ⑥ 135.2 166 ③ 373.1 1072 ⑦ 160.0 1482 ④ 604.9 934 ⑧ 196.1 1480 ① 164.5 898 ⑤ 103.7 242 ② 217.0 896 ⑥ 108.7 1380 ③ 292.3 986 ⑦ 140.9 1382 ④ 485.4 858 ⑧ 10.9 1020 ① 121.4 374 ⑤ 98.7 186 ② 183.1 1114 ⑥ 115.9 144 ③ 330.7 344 ⑦ 157.2 248 ④ 540.7 182 ⑧ 200.0 524 ① 162.6 1674 ⑤ 87.5 ② 234.3 200 ⑥ 97.3 ③ 346.8 422 ⑦ 99.9 844 ④ 599.1 168 ⑧ 116.2 1246 ① 211.8 1764 ⑤ 200.3 1776 ② 243.7 200 ⑥ 228.5 1470 ③ 328.9 276 ⑦ 246.3 1260 ④ 588.4 276 ⑧ 545.1 262 (kW/m2) 3.68 2.93 熱電対の位置 Case (s) 1066 Case 6 460 最高温度 発生時間 熱電対の位置 最高温度 発生時間 熱流束の最大値 発生時間 (長翼壁) (短翼壁) (X,Z) (℃) (s) (Y,Z) (℃) (s) ① 118.5 248 ⑤ 791.9 80 ② 744.3 100 ⑥ 749.2 48 ③ 754.5 84 ⑦ 671.7 52 ④ 681.2 86 ⑧ 600.8 60 ① 108.2 862 ⑤ 71.0 1782 ② 110.6 1790 ⑥ 68.7 1782 171.8 1670 ⑦ 77.9 1780 ④ 199.0 1788 ⑧ 64.6 1746 ⑨ ③ 777.5 400 ⑬ 60.0 1796 ⑩ 829.7 400 ⑭ 68.2 1796 ⑪ 599.3 1188 ⑮ 57.3 1118 ⑫ 849.9 1790 ⑯ 57.1 1118 952 ① 107.0 1002 ⑤ 103.5 1798 1652 ② 96.6 712 ⑥ 73.3 1800 ③ 110.8 956 ⑦ 91.6 1776 ④ 110.1 732 ⑧ 67.2 1674 ⑨ 641.2 172 ⑬ 435.1 420 ⑩ 264.5 316 ⑭ 262.7 418 ⑪ 605.4 166 ⑮ 133.5 460 ⑫ 643.7 188 ⑯ 84.2 328 Case 7 3.21 3.72 296 166 Case 8 2.74 198 (kW/m2) (s) 66.72 86 8.31 368 10.24 160 900 800 800 700 700 Temperature(℃) Temperature(℃) 900 600 500 400 300 200 case7 case8 600 500 400 300 200 case7 case8 100 100 0 0 0 200 400 600 800 1000 Time(s) 1200 1400 1600 1800 0 図 17 測定点⑫の温度(通気層,長翼壁) 200 400 600 800 1000 Time(s) 1200 1400 1600 1800 図 18 測定点⑯の温度(通気層,短翼壁) 図 19 実験開始 5 分の状況(Case 2) 図 20 実験開始 3 分の状況(Case 6) 図 21 試験終了後の試験体(Case 2) 図 22 試験終了後の試験体(Case 5) 表 10 ファサード試験後の試験体の焼損面積 試験後各試験体の焼損面積(m2) Case り遙かに低いため,通気層温度のみを測定した評価も 可能と考えられる。 長翼壁(全面積:2.76m 2) 短翼壁(全面積:1.15m2) 外装材 断熱材 外装材 断熱材 Case 1 0.71 1.74 0.38 0.93 Case 2 0.66 1.85 0.31 0.92 Case 3 0.58 2.13 0.33 0.87 Case 4 0.53 1.72 0.33 0.92 Case 5 1.15 2.76 0.60 1.40 Case 6 2.76 2.76 1.15 1.15 Case 7 0.00 0.90 0.00 0.00 Case 8 0.00 2.76 0.00 1.10 本試験では,以下の知見が得られた。 1) 本試験では,火炎伝播については,ある程度,判断可能な 試験方法であることがわかった。 2) 熱電対,熱流束計による測定した結果により,Case 6(外 装:ウレタン塗装)は一番危険性を持つ工法であるこ とがわかった(表 9)。 3) 目視計測では,試験体下端において,湿式工法の Case 5,Case 6,通気層工法の Case 8 に液垂れが多く見られ, 実火災の時,下方向の延焼危険性が高いと考えられる。 また,液垂れの少ないケースでは,Case 3, Case 4,Case 1,Case 2,の順に液垂れが多い。 4) 湿式工法は試験体上端まで火炎は到達せず,通気層工 法は,Case 7,Case 8 共に到達した現象から言えば,通気 層工法の方が,上方向の延焼危険性を持つ工法と考え られる。 5) サンドバーナーを試験体下部に設置するため,溶融樹 脂が落下し,試験中にサンドバーナーの出炎面を塞ぎ, 火炎に隔たりが生じたため,火炎伝播性状を有効に評 価することが困難である上,試験後の処理も大変であ る。この点においては,広範囲に普及する試験法とは 言えないと考えられる。 6) 5)の問題点の改善策としては,試験体の下端にサンド バーナーで,鉛直に火炎を与える形式ではなく,実火災 時に窓口などの開口部に,室内から噴出した火炎を再 現するという手法が良いと考えられる。 7) Case 7,Case 8(通気層工法)では,実験中に火炎が通気 層に入り,各測定点における表面温度が通気層温度よ 7. まとめ 本研究では,前節まで述べてきた試験結果から,湿式外断 熱材工法の燃焼性状を明らかにした。一方,外断熱工法の 防耐火性能の評価手法として,各試験法の適否性,メリッ ト・デメリットなども考察した。得られた知見を 4 つの試 験別にまとめると下記のようになる。 1) コーンカロリーメータ試験(ISO) 小規模試験であるが,着火時間・発熱量についての測 定は可能である。一方,樹脂量の差異も評価可能であ る。また,材料としての発熱量評価・着火時間測定は 可能であるが,工法の特性(端部や目地の処理)の評 価は困難である。 2) ICAL(中規模発熱速度測定装置)試験(ASTM) 火炎伝播性状や目地処理の評価は極めて困難である が,隣棟火災からの放射加熱による着火の有無をコー ンカロリーメータ試験より有効に判断する事は可能 と考えられる。 3) SBI(Single Burning Item)試験(EN) 目地を含んだ実際の施工条件での防火性能評価を行 うことが可能である。試験結果では,全て欧州防火材 料の等級付けが可能となり,コーンカロリーメータ試 験との評価結果に大きな差が生じた。また, 箱の中に 試験体を設置するので,見えにくく,発熱量と発煙量の みの計測である点から,火炎伝播性状を効率的に把握 することは困難である。 4) 中規模ファサード試験(ISO) 火炎伝播については, 温度計計測結果,実験終了後の 写真計測,及び,下端部分の液垂れをみる事によって,上 下方向の延焼の評価が可能な試験方法であることが わかった。一方,サンドバーナーを試験体下部に設置す るため,溶融樹脂が落下し,処理が大変である。改善策 としては,バーナー・クリブ等で開口噴出火炎を再現す る手法が望ましい。 8. 今後の課題 今回の一連の実験結果を踏まえ,外断熱工法外壁の防火 性能を評価出来る新規試験法の提案,可燃性外壁の火災性 状を工学的に予測可能にする理論モデルの提案等を行う 事が望まれる。 【注釈】[1]コーンカロリーメータ試験で用いたトップコート(アクリル 共重合樹脂水性仕上げ塗材)で,樹脂量の多いものは,樹脂製品と寒水石の 5 厘と 1 厘を質量比 4:4:1 で混ぜて使用し,乾燥後の塗膜中の樹脂分量は 13% 未満と推定される一方,樹脂量の少ないものは,樹脂製品と寒水石の 2 厘と 0.9 厘を混合した骨材を質量比 1:1.9 で混ぜて使用し,乾燥後の塗膜中の樹 脂分量は 8%未満(5.7∼8%)と推定される。なお,ICAL,SBI,ファサード 試験の試験体は全て樹脂量の少ないものである 【参考文献】[1](財)日本建築センター:外断熱工法の防火に関する研 究報告書,1985.[2]日本建築行政会議:建築物の防火避難規定の解説,2005. [3]吉岡英樹,野口貴文:外装システムの防火性能基準−米国の現状と我 が国の方向性,火災 283 号,2006.[4]Bob Duval:Monte Carlo Hotel Casino Fire, NFPA Journal, Vol.102, No.3, 2008. [5]吉岡英樹:外断熱工法に関する火 災事例の調査,火災 298 号,2009. [6]崔国臣,吉岡英樹,野口貴文他:湿式外 断熱工法の材料の燃焼特性に関する基礎的研究(その 1-2),日本建築学会 学術講演梗概集,2008. [7]防火材料等関係団体協議会・住宅内外壁等防 [8]成瀬友宏,五頭辰紀,吉田正志,菅 火性能分科会:報告書(2005∼2006) 原進一:建築用内外装材の防火性能評価に関する研究(その 4-5),日本建 築 学 会 学 術 講 演 梗 概 集 ,2007. [ 9 ] C.A. Wade and J.C. Clampett: Fire Performance of Exterior Claddings, BRANZ REPORT, 2000. [10]佐藤歩,菅原 進一,田村政道,長谷善博:外装材の防火性能の実験的考察について,日本火 災学会研究発表会概要集,2003.
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