第1回サイエンス・インカレ 研究発表者の感想

第 1回 サ イ エ ン ス・イ ン カ レ 研 究 発 表 者 の 感 想
第1回大会を終え、研究発表を行った学生に対し、感想を聞いたところ、様々な回答が集まった。
ここではその一部を紹介する。
Q サイエンス・インカレ研究発表会全体を通しての感想はどうでしたか。
Q 「他の学生の研究発表」を見て、どのように感じましたか。
良かった 計92.3%
参考になった 計97.
8%
良かった
25.
6%
非常に良かった 66.
7%
普通 4.4%
悪かった 1.
1%
非常に参考になった 66.7%
無回答 2.2%
研究発表会開催レポート
少し参考になった
31.
1%
参考にならなかった 1.1%
無回答 1.
1%
Q 来年度大会に参加される学生のために、サイエンス・インカレに希望することがありましたら、具体的に教えてください。
●
今回のままで良いと思います。いろいろな人と話すことができたし、とても勉強になりました!
●
とりあえず、やってみればいいと思います。
●
ポスター発表の時間が短い。発表で5〜7分欲しいです。
●
ポスター発表の際、他の人のポスターも拝見できるようにしてほしい。比較的会場が狭い。
●
同じ研究をする仲間をもっと知りたい。
●
ネームプレートの学校名、氏名を大きく書いてくれると分かりやすいです。
●
交流会の時間をもっと増やしてほしい。この場は、発表の場であると同時に、挑戦の場、人と人のつながりを広げる場でもあるから。
次 代 の 科 学 技 術 を 担 う
●
募集期間を長くして、もっと広報に力を入れていただけると良いと思います。楽しかったです。ありがとうございました!
●
とにかく卒業研究以外でクラスを作ってくれたことが嬉しかったので今後も卒業研究以外の枠を広げてほしい。
●
必ず来年も来たいです!
研 究 者 の タ マ ゴ た ち が 、こ こ に 集 結 !
第 2 回 開 催 の お 知 ら せ( 予 定 )
日 程
1. 大 会 日 程
平成25年3月2日(土)
、3日(日)
エントリー期間 : 平成24年9月上旬~11月中旬
2. 大 会 出 場 者 の 選 抜
書 類 提 出 期 間 : 平成24年10月上旬~11月下旬
出 場 者 の 決 定 : 平成25年1月上旬
会 場
・東京近郊
応 募 条 件
以下の学生が主体的に取り組んだ未公表の研究
・大学1~4年次(短期大学1~2年次を含む)の学生
・高等専門学校4~5年次の学生
・高等専門学校及び短期大学の専攻科の1~2年次の学生
募 集 分 野
・自然科学系の全分野(人文・社会科学との融合領域を含む)を対象
発 表 部 門
・口頭発表及びポスター発表を実施
※その他の詳細な情報は、決まり次第、サイエンス・インカレホームページ等でお知らせいたします。
第1回大会の研究タイトル一覧や臨場感溢れる映像などの情報は、
下記 U R Lをご覧ください。
http://www.science-i.jp
文部科学省 科学技術・学術政策局基盤政策課
平成24年3月
とは
記念すべき第1回の研究発表会が行われた「サイエンス・インカレ」。
一体、どんなイベントで何を目的として開催されているのか。ここでは簡単にその概要を紹介したい。
「サイエンス・インカレ」とは、自然科学分野を学ぶ全国の
いったことを確かめる意味でも、
絶好の機会だと言えるだろう。
学部生等を対象として行われる、文部科学省主催の研究発表
第1回研究発表会では、全165組の応募者中、書類審査を通
会である。これは、学生に自主研究を発表する場を提供する
過した126組(口頭発表部門40組、ポスター発表部門86組)
ことで、学生の研究意欲を高めるとともに、
「課題設定能力」
が発表。このうち、優秀な発表者に対して、
「文部科学大臣表彰」
「課題探求能力」
「プレゼンテーション能力」などを備えた創
「科学技術振興機構理事長賞」各1組と、
「サイエンス・インカレ
造性豊かな科学技術人材を育成することを目的とした大会
奨励表彰」14組の表彰が行われた。研究発表だけでなく、学生
だ。自分の研究が全国レベルの他流試合でどのくらい評価さ
と審査員や企業の方々などとの交流会も行われ、第1回サイエ
れるのか、全国にはどんな研究をしている学生がいるのかと
ンス・インカレは盛況のうちに幕を閉じた。
各
賞
の
選
考
方
法
審査項目
● 課題設定能力
● 研 究 手 法 、研 究 結 果 の 妥 当 性
● 研 究 内 容 の 創 造 性・独 創 性
● 研 究 成 果 の 意 義 、今 後 の 研 究 の 発 展 性
● プレゼンテーション能力
文部科学大臣表彰、科学技術振興機構理事長賞
日
程
会
場
応
募
1. 発 表 会 日 程:
2. 研究募集期間:
平成24年 2月18日(土)・19日(日)
平成23年10月18日(火)〜11月30日(水)
書 類 選 考 通 過 数
総数:126組(口頭発表:40組、ポスター発表:86組)
発
○ 自然科学系の全分野(人文・社会科学との融合領域を含む)
象
(3) 口頭発表部門
※審査は、上記の分野ごとに、さらに「卒業研究に関連しない研究」と「卒業研究に関連する研究」とに分けて実施
○ 大学1〜4年次(短期大学1〜2年次を含む)または高等専門学校4〜5年次の学生
(チームの場合、最大3名まで)
一
覧
口頭発表者(卒業研究に関連しない)
文部科学大臣表彰 1研究
科学技術振興機構理事長賞 1研究
口頭発表部門/
サイエンス・インカレ奨励表彰 6研究
ポスター発表部門/
サイエンス・インカレ奨励表彰 8研究
特別協力企業賞/協力企業賞
2
口頭発表者(卒業研究に関連する)
を行った学生に独立行政法人科学技術振興機構理事長賞を、それぞれ授与。
サイエンス・インカレ奨励表彰
「数物・化学系」
「工学系」
「生物系」
「情報・融合領域系」
賞
うち最も優秀な研究発表を行った学生に文部科学大臣表彰を、
「卒業研究に関連する研究」のうち最も優秀な研究発表
東京国際交流館プラザ平成(東京都江東区青海2-2-1 国際研究交流大学村内)
総数:165組(口頭発表:93組、ポスター発表:72組)
対
の学生を選出。
(2)(1)で選出された各分科会の代表学生が、翌日の全体会にて再度研究発表を行い、
「卒業研究に関連しない研究」の
日本科学未来館(東京都江東区青海2-3-6)
数
表
(1) 書類審査を通過した全国の大学または高等専門学校の学生が、8つの分科会に分かれて口頭発表を行い、各分科会の代表
(1)で選出された各分科会の代表学生のうち、
(2)を受賞した学生以外の者にサイエンス・インカレ奨励表彰を授与。
(4) ポスター発表部門
書類審査を通過した全国の大学または高等専門学校の学生が、ポスター発表を行い、8組にサイエンス・インカレ奨励
表彰を授与。
ポスター発表者
■ 主 催
文部科学省
■ 特 別 協 力
東京エレクトロン株式会社
■ 後 援
独立行政法人 科学技術振興機構
3
2日間のドキュメント
16:10〜 ポスター発表
ここでは2日間にわたって開催されたサイエンス・インカレをプログラムごとに紹介。
各プログラムがどんな様子で行われたのかについて概括する。
10:10〜 開会式
2.18
SAT
ポスター発表はあらかじめ決め
られた審査員が各ブースを回り
審査をした。それぞれのブースで
白熱した質疑応答が行われた。
東京・お台場の日本科学未来館で開かれた開会式。 開会式では、審査員が一人ずつ紹介された。
会場には書類選考を通過した学生をはじめ、全国か
らそれぞれの分野の第一線で活躍する審査員や、
企業の方々などが一堂に会した。
10:25〜 特別講演
主催者代表あいさつとして、神
本文部科学大臣政務官が登壇。
「知的な刺激や出会いを大切に
持ち帰り、今後の研究や進路に
生かしてほしい」と2日間の発
表を前にした学生を激励した。
18:35〜
口頭発表優秀者の発表
12:10〜 口頭発表
翌日、再度発表に臨むことになった。
特別講演として「超小型衛星による新しい宇宙開発利用へ
の挑戦」をテーマに小型衛星のパイオニアである東京大学
の中須賀 真一教授が登壇。講演の最後に「今しかできない
失敗を大きな糧にしてほしい」
と学生にメッセージを送った。
10:00〜
口頭発表優秀者による研究発表
4
SUN
発表者には、発表を終えた学生
や、これから発表する学生からの
視線も注がれる。類似の研究経験
がある学生の中から質問が出る場
面も見受けられた。
研究分野ごとに8つの部屋に分
かれて実施された口頭発表で
は、学生が一組ずつ壇上に上が
り、これまで研究してきた内容を
スクリーンに投影して発表した。
審査員からは研究を始めたきっかけ
や、研究の応用、苦労したことなど様々
な質問が飛び交った。
2.19
2日目は、初日に選ばれた8組が文部科学大臣表彰や科学技
術振興機構理事長賞の受賞を目指して口頭発表を行った。
発表者は、初日とは別の審査員も
交えた中で再度プレゼンを行う。
審査員からは、基本的なことから、
初日と比べより専門的に掘り下げた
ことまで、次々と質問がなされた。
5
主催者メッセージ
2日間のドキュメント
12:30〜 交流会
〜サイエンス・インカレにかける想い〜
サ イ エ ン ス・イ ン カ レ の 目 的 は
「出る杭を伸ばす」こと
2.19
文部科学省
科学技術・学術政策局
基盤政策課長
いたくら
しゅういちろう
板倉 周一郎
SUN
今回、
「サイエンス・インカレ」を開催
することになったのは、平成19年度に
スタートした文部科学省の「理数学生応
援プロジェクト」がきっかけです。このプ
学生と審査員や企業の方々などとの交流会が、昼食を兼ねて行われた。
ロジェクトに参加する大学の協議会で、
「学生が自主研究の成果を発表できる場を
設けよう」との声が上がりました。これが
発端となって、サイエンス・インカレの開
催に至ったのです。
私が大学生であった30年前には、こ
14:00〜 閉会式
交流会では、サイエンス・インカレに
協力している企業5社からそれぞれ、
協力企業賞として表彰が行われた。
のような自由な研究発表の場というのは
全く存在しませんでした。最初の3年間
はひたすら授業を受ける毎日で、卒業論
文の研究テーマも、通常は指導教授から
提案されたものの中から選ぶ形でした。
「自分なりのテーマを見つけて研究した
14:15〜 表彰式
閉会式では、ポスター、口頭両部
門の受賞者の発表が行われた。ま
た、東島大阪大学理事・副学長
(写真下)が登壇。審査を講評す
るとともに、サイエンス・インカレ
への熱い想いが語られた。
い」という想いはあっても、そのような機
会はほとんど無かったのです。それだけ
に、こうした発表会が実現したことは、個
人的にも嬉しく感じています。
今回、サイエンス・インカレ第1回大会
を実施してみて、学生の皆さんが大変楽し
そうに研究発表をしていることに強烈な
印象を受けました。
「自分はこんなに面白い
研究をやっている」
ということを、
他の人々
ションや産学官連携の動きが生まれるこ
に知らせたくてしかたがない——そんな興
とも十分に考えられると思っています。今
奮と熱気で、会場はむせ返るようでした。
後、一層多くの企業からの積極的な参加を
また、学生の皆さんのプレゼンテーシ
募り、企業賞の提供も含めてご協力をお願
ョンは実に堂々としており、発表直前に
いしたいと考えています。
は寸暇を惜しんで練習する姿が見られま
最後になりますが、自然科学を学ぶ学
した。それを見て、こうした発表の機会
生の皆さんにぜひ申し上げておきたいこ
を作ることができて良かった、という感
とがあります。皆さんは子どもの頃、夏休
慨がこみ上げてきました。
みの自由研究にワクワクしながら取り組
サイエンス・インカレのコンセプトは
まれたことと思います。時をさかのぼっ
「出る杭を伸ばそう」ということ。このた
て、自主研究の楽しみをもう一度思い出
め審査にあたっては、自主研究ならでは
し、ぜひサイエンス・インカレにチャレン
のオリジナリティーが分かるものを歓迎
ジしていただきたいと思います。
しました。
今、社会に必要とされているのは「課
さらに、大会運営にあたっては、今後の
題自体を発見できる人材」
。その意味で
継続も視野に入れつつ、できるだけ企業か
は、サイエンス・インカレは、課題を発見
らの協力が得られるよう努めました。企業
できるまたとないチャンス。限られた時
に参加していただくことによる効果や意
間を有効に使い、世の中を大きく変える
義は計り知れません。本大会は学生にとっ
ような素晴らしい課題を発見することに
て、自らの研究成果を世の中に向けて発信
挑戦してほしい。そして、優れた課題発
していく絶好の機会となりますし、新しい
見能力を身に付け、社会に羽ばたいてい
視点や考えを自分の研究に加えるという
くことを切に願っています。
観点でも非常に意義があるでしょう。場合
によっては、そこから新しい社会イノベー
審 査 員 に 聞 い た 研 究 発 表 会 へ の 意 見・要 望
今回審査にあたった各分野の先生方から、第1回研究発表会を終えてのコメントが寄せられたので、その一部を紹介したい。
●
サイエンス・インカレ奨励表彰として、ポスター
発表部門から8組、口頭発表部門からは6組が
表彰された。
第1回ということもあっていろいろと改善すべき点はあろうかと思い
ようにしてほしいと思います。特に学会ではなく異分野の交流がで
いました。他にも同じような印象を持たれた審査員がいらっしゃっ
きるいい機会ですし、人と人のつながり、異分野の刺激で、将来の
たので、おそらく共通の印象に近いかと思います。その点だけでも
目が広がると思います。
イベントとしては大成功だったのではないでしょうか。少なくとも小
生は来年も参加したいと感じました。
いろんな意見が出てくると思いますが、とりあえずこれで良いと思い
●
●
当初はエントリーが少なく、どうなることかと思いましたが、2日間
の発表会は本当に大成功だったと思います。様々な外部委員をさ
せていただく中、今回のお仕事が一番有意義で達成感がありまし
ます。細分化することも必要かもしれませんが、何回か行い、受賞
た。学生の力あっての成功だったと思います。このコンペが永く、大
者に一定の傾向が出てくるようであれば、考えたら良いと思います。
きく発展することを心から希望します。発表された学生さんを追跡
忙しい日程でしたが、大変楽しく感じました。ありがとうございました。
していただくことが可能であれば、立派に研究者になった姿もぜひ
見届けたいと思います。かなり立派な研究もあったので、将来、特
この研究発表会は若者の科学者への憧れ、科学に対する熱意、関
許を取る可能性、あるいは発展させて博士学位につなげる可能性
心、意欲を引き出す発表会になると確信します。
もあると思います。研究のプライオリティー保護、あるいは募集の
●
6
学生同士が切磋琢磨できるように、学生同士の質疑が十分できる
ますが、近年になく楽しい発表会で、学生たちから逆に元気をもら
●
文部科学大臣表彰は東京大学の王 青陽さん
(写真上)、科学技術振興機構理事長賞には米
平野文部科学大臣は閉会のあいさつとして学生 子工業高等専門学校の村尾 彰郁さん(写真下) 表彰終了後、平野文部科学大臣、土屋科学技術・学術
がそれぞれ選出された。
政策局長、科学技術振興機構の川上総括担当理事と表
へエールを送った。
彰された学生で記念撮影が行われた。
●
●
卒業研究として行われたものについては、
「課題の設定能力」を審
際の注意や手続きも考えた方がいいと思います。
査するのはとても難しいです(基本的には指導教官や研究室内の
テーマ配分で決まるケースがほとんどだと思います)
。
7
受賞学生の喜びの声
文部科学大臣表彰や科学技術振興機構理事長賞をはじめ、
サイエンス・インカレでは優秀な研究発表に対して表彰を行っている。
ここでは、研究成果が評価され、見事に受賞した学生の声を紹介する。
サ イ エ ン ス・イ ン カ レ 奨 励 表 彰( 口 頭 発 表 部 門 )
文 部 科 学 大 臣 表 彰
おう
せいよう
東京大学・理学部
王 青陽
さん
二光子共鳴レーザー誘起蛍光法を
用いた水素分子の遷移寿命の
回転依存性及びその同位体効果
あきふみ
米子工業高等専門学校
物質工学科
むらお
村尾 彰郁
さん
新しいポリマーを正極活物質とした
リチウム二次電池の作成と電池特性
8
すぎた あんな
まつもと ひろの
研究タイトル:魚の尾ひれの形と推力の関係~人魚になるために~
今回の研究が高く評価された理由は、
ただけに、受賞した喜びは大きいです
専門性の高さにあるのではないかと思
ね。
います。物理学理論などの深い理解が
ただ、受賞以上にサイエンス・インカ
必要な研究だったので、そういう部分
レに参加して良かったことがあります。
を評価していただけたのではないでし
それは、同じように研究している全国の
今回の受賞は、図鑑で900匹に及ぶ魚の形状を調べ上
東海大学・工学部
かわむら
ゆうたろう
さこ たいすけ
川村 祐太郎さん(右)
・迫 泰介さん(左)
研究タイトル:トンボ非定常時における揚力・推力発生メカニズムの実験的検討
1分の1サイズでトンボを研究しているのは世界でも私
げた努力を評価されたのではないかと思います。3、 4年生
たちだけだと思います。それだけに、研究のユニークさには
の先輩方の研究発表を聞いていると、自分の知識の浅さが
自信がありました。研究室では推力測定実験ができなかっ
分かると同時に研究意欲がわき「自分もこうなりたい」
「来
たのですが、
今回、
推力測定実験装置を発案したことで揚力・
年もぜひ出たい」という気持ちになりました。高校を卒業し
推力の2つが実験できるようになり、新たな研究の道が開
たばかりの大学1年生でも、努力すれば先輩方と同じ位置
けました。研究の結果、従来より軽いトンボの羽ばたきロボ
に立つことができるので、学年にこだわらず、ぜひこの機会
ットが完成。MAVの完成に一歩近づいたので、今後はさら
を利用してもらいたいと思います。
に研究を進めていきたいと思います。
ょうか。
仲間ができたこと。これは想定外でした
もちろん、この研究成果を発表する
が、研究内容に限らず、苦労や喜びを共
までの道のりは、決して平坦ではありま
有できる仲間に巡り合えたことは、非常
せんでした。昨年の東日本大震災で、研
に嬉しいできごとでした。こうした喜び
究に使うレーザー系の実験装置が壊れ、
があるだけに、まずは自分が考えた研究
研究の再開に向けて、これを一から組
テーマに取り組み、とりあえず飛び込ん
研究タイトル:黒鉛粉末—菌体間の相互作用による微生物燃料電池の高出力化
研究タイトル:血管網を備えた三次元臓器作製のためのハイドロゲルの開発
み直さなければならなかったこともあ
でみることをお勧めします。きっと素晴
りました。そうした苦労を乗り越えてき
らしい体験が待っていますよ。
私の研究は、微生物の代謝によって発電する微生物燃料
受賞と聞いて信じられない気持ちです。今回、三次元臓
電池を、いかにしてコストを抑えながら高出力化するか、と
器作製のための材料としてゲルを作ったのですが、試行錯
いうものです。もし実現化されれば社会的にも大きなイン
誤の末にゲルが完成した時の喜びが伝わればと思い、口頭
自分が興味を持つテーマに
取 り 組 む ことが 大 切 で す
研究タイトル
発表番号17 工学系/卒業研究に関連する研究
鈴木 友也さん(中)
・杉田 杏奈さん(右)
・松本 浩乃さん(左)
科 学 技 術 振 興 機 構 理 事 長 賞
発表番号8
数物・化学系/卒業研究に関連する研究
発表番号13 工学系/卒業研究に関連しない研究
すずき ともや
受賞以上の喜びです
研究タイトル
自ら実験装置を考案し
新たな研究の道を切り拓いた
東洋大学・理工学部
た くさ ん の 仲 間 が で き た こと は
発表番号2
数物・化学系/卒業研究に関連しない研究
大学1年生でも努力次第で
高く評価される
社会で実用化される
技術の研究に取り組みたい
発表番号23 生物系/卒業研究に関連しない研究
試行錯誤の努力が報われた
瞬間の喜びを伝えたかった
発表番号29 生物系/卒業研究に関連する研究
筑波大学・生命環境学群
筑波大学・理工学群
返町 洋祐さん
景山 達斗さん
そりまち
ようすけ
かげやま
たつと
パクトを与えるので、そうした観点から評価されたのでは
発表に臨みました。大会ではいろいろな分野の研究発表が
ないかと思います。毎日の授業に加えて、もう1つ別の研究
聞けるので、モチベーションもかなり上がりました。将来
も進めていたので、それらと並行しながら実験データをそ
は研究者として、
新しい技術の開発や発見に取り組みたい。
ろえるのはかなり大変でした。今後も社会で実用化される
サイエンス・インカレはレベルの高い学生が集まってくる
技術の研究開発にどんどん取り組んでいきたいですね。
ので、ぜひ参加して刺激を受けてほしいと思います。
自前のアプリを駆使して遠隔地での
共同研究を実現
「楽しいプレゼン」を心がけた
ことが評価につながった
私の研究では、身近で実用的かつ社
の結果以上に、アイデアや発想が重視
会的にも関心が高い「電池」をテーマ
されます。その意味でも、自分が興味
に設定しました。研究を進めるために
を持つテーマに腰を据えてとことん取
は「合成」と「電池材料」という2つの
り組む姿勢が大切だと思います。
分野を勉強しなければならず、最初は
これまでの研究では、大勢の審査員
研究タイトル:リアルタイム共有システム構築のためのプラットフォームの開発とその応用
研究タイトル:発想伝達関数と物理パラメータを用いた擦弦楽器の合成音への表現力付与
分からないことだらけでした。自分の
や他の学生を前に発表するという経験
やった研究が少しでも役立てばと思っ
をしたことはなかったので緊張しまし
中高時代からの友人同士で、茨城県と奈良県に分かれて
音楽情報処理は物理などの研究と比べ歴史が浅く、また弦
てはじめたことではあるものの、まさ
たが、その分だけ、自分なりに1つレ
かこんな賞をいただけるとは思ってい
ベルアップできたように感じていま
ませんでしたので、ただただ「嬉しい」
す。4月からは企業で会社員として働
の一言です。
くことになりますが、これからも自分
審査員の方のコメントにもありまし
の興味のあることを地道に取り組む姿
たが、サイエンス・インカレでは研究
勢を忘れないようにしたいですね。
発表番号33 情報・融合領域系/卒業研究に関連しない研究
発表番号36 情報・融合領域系/卒業研究に関連する研究
近畿大学・理工学部 筑波大学・理工学群
法政大学・情報科学部
中嶋 研人さん(右)
・西田 惇さん(左)
小泉 悠馬さん
なかじま
けんと
にしだ
じゅん
こいずみ
ゆうま
の共同研究でした。連絡にはチャットやアプリなどを使い
楽器の合成音の研究は海外が中心です。研究にあたっては外
ましたが、物理的距離が離れているので、考え方を共有す
国語の文献を読まなければならず、大変苦労しました。ただ、
るのに苦労しましたね。今回の収穫は、
「実際に開発したも
音楽情報処理の世界を伝えたいと思い、できるだけ楽しいプ
の」
「開発のために使った技術」
「その技術の応用」という3
レゼンを心がけたのが、評価につながったと思います。大会
つのレイヤーをきちんと理解し、説明できたこと。とはい
では他の人たちの研究発表を聞き、ものの見方や考え方の面
え、最上位の受賞研究とは明らかに差を感じているので、
でかなり刺激を受けました。今後も好きな音楽情報処理の分
我々も負けないように努力していきたいと思います。
野で、研究者として楽しく仕事をしていきたいと思います。
9
企業から学生へのメッセージ
受賞学生の喜びの声
サ イ エ ン ス・イ ン カ レ 奨 励 表 彰( ポ ス タ ー 部 門 )
他 大 学 の 学 生との 交 流 で
モチベ ーションが 高まった
発表番号118 数物・化学系/卒業研究に関連しない研究
島根大学・教育学部
佐藤 永太郎さん
梅田 知幸さん
えいたろう
うめだ
研究タイトル:鉱物の構造色(輝石の例)
ともゆき
研究タイトル:三郡帯超マフィック岩体周辺における砕屑性クロムスピネルの化学組成
研究では先生方や先輩に協力いただきましたが、1人で
やる作業も多く、時には体調を崩した時期もありました。そ
れだけに、コツコツと研究を重ねてきた成果が皆に知って
もらえたことが何より嬉しいですね。大会では他大学の人
と意見交換する機会があり、モチベーションも高まりまし
た。今後も楽しく研究を続けていきたいですね。
私は教育学部の学生なので、専門の違いに悩んだことも
ありますが、結果的には「自分の研究をいかに楽しく、分
かりやすく伝えるか」という点に意識を持っていったこと
が生きたのだと思います。将来は、研究者でありながら教
育者でもあるような職業につき、自分の研究を子どもたち
に分かりやすく伝える仕事がしたいですね。
大 会 に参 加したことで
自 信 が 持 てるようになった
ポスター の「 見 映え」も
研 究 発 表 の 重 要 なポイント
発表番号139 工学系/卒業研究に関連しない研究
発表番号149 工学系/卒業研究に関連する研究
福岡大学・工学部
東海大学・工学部
まつお
のりえ
たかの
あきこ
松尾 典映さん(左)・髙野 晶子さん(右)
研究タイトル:知っていますか? 今必要とされるゴミの居場所!
!~ニュートンに挑戦!重い物は早く沈むとは限らない~
受賞できるとは思っていなかったので、震えが止まりま
せんでした。実際に使われているゴミ処分場について、現
場で活用できるような実践的な研究をした点が評価された
のではないかと思います。この大会に参加したことで、自
分に自信が持てるようになりました。将来は良い技術者と
して、
研究を現場で生かせるように頑張りたいと思います。
いけだ ゆうすけ
おおぜき しゅうへい
もちづき もとなり
池田 雄介さん(中)
・大関 秀 平さん(左)
・望月 基成さん(右)
研究タイトル:流体軸受を用いた小型スピンドルモータの揺動応答実験
実験装置を自作し、手探りの状況の中で試行錯誤を重ね
てきました。今回の受賞は今まで研究されていない点に加
えポスターの見映えも評価されたのだと思います。大会で
は他分野の研究発表が聞けるので、新しい視点を今後の研
究に生かすことも可能です。その意味でも、研究を志す学
生にはどんどん参加してほしいですね。
大 会 で 知り合えた 人 たちと
励ましあい 競 いあいたい
今 後も基 礎 研 究の分 野で
人の役に立つものを研 究したい
発表番号158 生物系/卒業研究に関連しない研究
発表番号172 生物系/卒業研究に関連する研究
奈良県立医科大学・医学部
岡山大学・理学部
いなだ
けん
さとう
げんき
稲田 賢さん(右)・佐藤 玄基さん(左)
研究タイトル:心血管系の形態形成・機能維持におけるBMPシグナルと新規下流因子の作用メカニズムの解明
僕たちの研究は医学系なので、
「今後の治療につながる」
という希望を持って常に研究を重ねています。これからも
継続的に研究を行い、その成果を医療の現場に還元したい
と思っています。研究の途中でつまずくこともあるかもし
れませんが、困難に直面しても、この大会で知り合えた方
たちと励ましあっていきたいですね。
きふく
なおと
さかた
ちは
来福 七央人さん(右)・坂田 知葉さん(左)
研究タイトル:ショウジョウバエ dve 遺伝子による高次機能制御 -体液調節と本能行動-
もともと違う研究をしていた2人がチームを組んだので、
研究では意見が食い違うことも多かったのですが、第1回目
という記念すべき大会に参加できたのは素晴らしい経験にな
りました。今回の受賞は審査員の方々の前で行った「発表力」
がポイントだったように思います。将来は基礎研究の分野で、
人の役に立つものを研究していきたいと考えています。
新しい分野を研究する人にも
勇気を出して応募してほしい
触 覚メディアの 技 術 の 普 及 に
取り組 んでいきたい
発表番号179 情報・融合領域系/卒業研究に関連しない研究
発表番号185 情報・融合領域系/卒業研究に関連する研究
千葉大学・園芸学部
慶應義塾大学・理工学部
安田 知理さん
松井 綾花さん
やすだ
ちさと
研究タイトル:都市計画の変容プロセスに関する研究~東京都練馬区の都市計画決定を事例として~
私は、実際の事例をベースに、都市計画やまちづくりを研究
しています。物理や数学のようにいわゆる理系的な分野では
ありませんが、大会を通じて様々な分野の方に発表を聞いて
いただけたことはとても有意義でした。なかなか応募する勇
気が出ないかもしれませんが、今回の私の受賞を通して、新し
い分野の方にも裾野が広がればいいなと感じています。
今回企業からの審査員として参加した2名から、イベントの感想や期待、学生へのメッセージを聞いた。
科学技術の全国大会として
大きく育てていきたい
発表番号125 数物・化学系/卒業研究に関連する研究
信州大学・理学部
さとう
10
自 分 の 研 究 をいかに楽しく
分 かりやすく伝えるか
サイエンス・インカレは、企業からも注目されている。
まつい
あやか
研究タイトル:情報結合のダイナミクスに基づいた知覚メディア表現
今回、視覚・聴覚情報に続く第3のメディア情報である触
覚情報の録画・再生技術を提案しました。身近でありながら
新しい技術を研究した点に、注目していただけたのではな
いかと思います。この分野では、現在、研究段階にある技術
がたくさんあります。より良い未来を創るためにも、こうし
た技術を普及させられるよう頑張っていきたいと思います。
第1回サイエンス・インカレに協力させていただき、学生
いと願っております。
深い感銘を受けました。皆さんの研究発表は、内容の点でも
アカデミックな知識のみならず、発
の皆さんの日頃の努力の成果と、研究に寄せるパッションに
知識の深さという点でも甲乙つけがたく、その中から受賞者
を選出するのは容易ではありませんでした。今回受賞された
方も惜しくも受賞を逃した方も、それぞれに素晴らしい成果
を収められたのではないでしょうか。その意味で、参加者の
皆さん全員に賛辞を送りたい。
私たちの学生時代は、学部在学中に、地域や大学の枠を超
えて研究発表ができるチャンスは稀でした。しかし、今はサイ
エンス・インカレをはじめ、若者が努力の成果を世に問うこと
のできる場を学生の皆さんにもっと有効活用していただきた
今回の大会では、学生の皆さんが、
想や視点という点でも非常に素晴ら
しいものを持っていることに驚かさ
れました。しかも、本大会では、必
ずしも技術レベルの高さだけにこだ
東京エレクトロンFE 株式会社
取締役会長
いしい
こうすけ
石井 浩介氏
わらず、様々な角度から科学技術の研究を発表する場が提供
されています。
この『サイエンス・インカレ』が科学技術の全国大会とし
て広く認知され、日本の科学技術における発展の場となるよ
う大きく育てていければと願っています。
人類史の技術革新をリードし
社会を支える存在になってほしい
21世紀を迎えた今、日本の技術産業は1つの曲がり角を
にしました。世界経済を支配する「覇
に参加された皆さんの未来は明るいと考えています。1903
究は、今後の世界を大きく変えていく
計画で人類は宇宙に飛び出しました。人類史上、大きな技術
では、そうした可能性を感じさせる発
の大きな節目が巡ってくる計算になります。すなわち、学生
本大会での経験をバネに、皆さん
迎えています。しかし、間違いなく日本の未来、特に今大会
年にライト兄弟が有人飛行に成功し、1960年代のアポロ
革新は60年周期で起こると仮定すると、2020年代に次
の皆さんこそが、次の革新に参画する主役となるのです。こ
れが、皆さんの未来が明るいと考える第1の理由です。
もう1つの理由は、今まさに、世界中でドラスティックな変
化が起こりつつあるためです。IT技術の発達は、世界60〜
70億人の人間が、同じマーケットに同時参入することを可能
権国」の姿が変容する今、皆さんの研
可能性があります。また、今回の発表
表が少なくなかったように思います。
には一層、研究に邁進していただき
たい。そして、周囲に流されること
東京エレクトロン株式会社
執行役員
人事 / 人材開発センター /
コーポレートブランド推進担当
人事部長 人材開発センター長
ながくぼ
たつや
長久保 達也氏
なく、
「この研究をやってきて良かった」と思えるような人
生を送ってほしい。当社としても、そうした方々を積極的に
サポートしていきたいと思っています。
特 別 協 力 企 業 賞・協 力 企 業 賞 等 一 覧
特別協力
○東京エレクトロン賞(東京エレクトロン株式会社)
(発表番号順)
発表番号24 生物系/卒業研究に関連しない研究
東京農工大学 中島沙記(なかしまさき)さん(代表者)
、
三宅琴音(みやけことね)さん、角田晃一(すみだこういち)さん
「光でリモートコントロールする重金属回収大腸菌プロセス」
● 発表番号28 生物系/卒業研究に関連する研究
慶應義塾大学 前田剛(まえだつよし)さん
「運動イメージが運動皮質拮抗筋支配領野の興奮性に与える影響」
● 発表番号130 数物・化学系/卒業研究に関連する研究
筑波大学 山岸安奈(やまぎしあんな)さん
「ストレス診断を目指したマイクロデバイスの開発」
●
協力(企業名50音順)
○東芝賞(株式会社東芝)
発表番号33 情報・融合領域系/卒業研究に関連しない研究
近畿大学 中嶋研人(なかじまけんと)さん(代表者)
、
筑波大学 西田惇(にしだじゅん)さん
「リアルタイム共有システム構築のためのプラットフォームの開発とその応用」
●
○エア・リキード賞
(日本エア・リキード株式会社/株式会社エア・リキード・ラボラトリーズ)
発表番号23 生物系/卒業研究に関連しない研究
筑波大学 返町洋祐(そりまちようすけ)さん 「黒鉛粉末-菌体間の相互作用による微生物燃料電池の高出力化」
●
○日本曹達賞(日本曹達株式会社)
発表番号164 生物系/卒業研究に関連しない研究
甲南大学 中川雄市(なかがわゆういち)さん(代表者)
、
㔟籏志郎(せはたしろう)さん
「代謝産物による細胞機能の活性化:
合成アナログを利用した酵素活性化機構の解明」
●
○富士フイルム賞(富士フイルム株式会社)
発表番号29 生物系/卒業研究に関連する研究
筑波大学 景山達斗(かげやまたつと)さん
「血管網を備えた三次元臓器作製のためのハイドロゲルの開発」
●
○読売新聞社賞(読売新聞社)
発表番号186 情報・融合領域系/卒業研究に関連する研究
山梨大学 古屋憂人(ふるやゆうと)さん
「携帯端末背面での人差し指スライドによる文字入力手法」
●
※株式会社日経サイエンスより、対象者全員に参加賞を贈呈
※株式会社日経サイエンスから、発表者全員に参加賞を贈呈 11