2016年度研究室紹介資料

人間機械システムデザイン部門 マイクロシステム分野
インテリジェントデザイン研究室
1.研究室概要
スタッフ
所属学生 担当科目
教授 :成田 吉弘
専門分野:固体力学,複合材料工学,感性工学,システム工学
准教授:本田 真也 専門分野:最適設計,複合材料工学,制御工学,材料力学
助教 :李 美龍
専門分野:感性工学,感性評価,形態認識,製品デザイン
D2:1 名,D1:1 名,M2:6 名,M1:5 名,UG:5 名,学部特別聴講生:1 名(メキシコ)
大学院:システム最適設計特論,スマートメカニクス特論,Optimization and Design
学部 :機械力学,固体力学演習,ラボラトリーセミナー,機械加工学実習
2.研究室の目標
研究手法では,最適設計法,固体力学解析,振動制御など理論とCAEを駆使したアプローチから,モード解析,高速度
撮影や材料試験機を用いた実験までを用いています.研究対象としては,複合材やスマート材料から人間感性まで,ナノ
からマクロ,固体から感性に至る極めて広い守備範囲が特徴です.教育面では,卒論研究の段階から研究教育を実施する
と同時に,幅広い視野を育成して修士課程のうちに国際会議にて発表させることを目標にしています.また,例年,院生
2〜3名を海外インターンシップ(ドイツ,マレーシア,イタリアなど)に派遣し, 海外から1〜2名のインターンシップ学生
も受け入れています.
2014年度修了式
3.研究紹介
ベトナム,ハノイでの国際会議
ソフトボール大会準優勝
(1)最 適 化 技 術 の 開 発 : 遺 伝 的 ア ル ゴ リ ズ ム , 実 験 計 画 法 , 多 目 的 最 適 化 な ど 最 適 化 技 術 と 最 適 化 プ ロ グ ラ ム
の開発
最適化や最適設計は,あらゆる工学分野と産業に深く関わる大変重要な技術です.本研究室では,主に機械製品や複
合材料構造物などへの適用を研究するとともに,遺伝的アルゴリズムや積層材料への層別最適化法など,技法の開発も行
っています.下は,複数の目的を同時に満たす多目的最適化,また性質の異なる設計変数を同時に最適化する統合最適化
結果の一例です.また,粒子群最適化(PSO)法,アントコロニー最適化(ACO)法など生物界からヒントを得たメタヒュー
リスティックな新手法の応用やタグチメソッドによる実用的手法を研究しています.
Magnitude [dB]
40
20
0
-20
Phase [deg]
-40
180
90
0
-90
-180
Without control
With control
50
100
150
200
250
300
350
400
450
500
50
100
150
200 250 300
Frequency [Hz]
350
400
450
500
図 1 実験計画法による多目的 Pareto 解 図 2 統合最適化手法によるスマート複合材の振動制御
(2)各種 CAE 技術の応用:マルチボディダイナミクスから陽解法 FEM まで
各種 CAE ソフトウェアを駆使して,主に構造力学に関するシミュレーショ
ンを実施しています.汎用有限要素法(FEM)ソフトウェアの ANSYS をはじめ,
機構解析ソフトウェアの Adams による多リンク機構の運動予測,また,陽解
法 FEM の LS-DYNA による塑性加工シミュレーションも行っています.
左の図はファインブランキングと呼ばれる金属の打ち抜き加工に関するシミ
ュレーション結果の一例です.本研究は産官学連携研究として,高精度な部品
成型技術を実用化することを目標としています.
図 3 LS-DYNA による塑性加工シミュレーション
(3)モ ノ の 認 識 に 関 す る 感 性 評 価 : モ ノ の 物 理 的 要 素 と 主 観 的 要 素 に よ る 感 性 評 価 , 新 た な 評 価 手 法 の 開 発 ,
ユーザーカテゴリの提案 機械系の製品群では様々な形状のデザインが使われています.これは構造力学的な理由もありますが,製品表面の形状
がユーザーに強い印象を与えて,購買意欲を刺激する要素となっているからです.例えば自動車デザインでは,その曲面
スタイリングはデザインの中心課題です.このような人間の感性と工業製品との関わりを扱う工学分野を「感性工学」と
呼びます.特に,「感性評価」に関する分野では,モノを作るデザイナーのみならず,モノを使うユーザーの直感的で主
観的な感性情報を得る方法を研究しています.本研究室では,平面から立体,実物モデルから仮想モデル, 製品の色バリ
エーションや配色などの色彩感性までを扱っています.3D プリンターや 3D スキャナーを使い,創造的な評価手法を試
みることで,感性のメカニズムを明らかにしていくことを目指しています.
図 4 「おしゃれ」要素の感性評価 図 5 ピクトグラムの認識特性に関する分析 図 6 自動車の外観魅力に関する評価 (4)複合材料構造の強度,振動,座屈などの力学解析:解析モデルの開発と最適化手法の適用例
炭素繊維強化複合材料(CFRP)は,高い比剛性と比強度の特徴を
活用して宇宙航空分野で多用されていますが,近年ではコスト低
減が進み,自動車産業へも広く利用が拡大しています.しかし異
図 7 航空機主翼の最適化
方性材料を積層するため力学解析が難しく,構造最適化に適した
材料と言われ研究が活発になされながらも,その方法は実用段階
より研究レベルに留まるものが多い現状です.本研究室では,例
えば材料異方性,双安定(安定な形状が2つ存在する)特性などを考
慮した様々な解析ソフトおよびモデルを開発し,図 7,8 のような
具体的な応用例に対して,解析及び最適化計算を行っています.
特に,自然界の材料に着想して,局所的な異方性を示す曲線状
図 8 自動車パネルの最適化
の強化繊維を持つ複合材料(図 9)を提案し,その解析手法や最適化
手法を開発し,実験による検証(図 10)を行っています.曲線状の繊維は,従来の直線状の強化繊維を持つ材料よりも,振
動数や面内強度の面で優れた機械的性質を示すことが明らかになってきており,機械構造物の高性能化に貢献できます.
図 9 曲線状繊維による応力集中の低減 図 10 ファイバー縫付機(左)による正弦曲線状複合材のプリフォーム(右)
4.主な研究設備
ファイバー縫付機(タジマ工業,TCWM-101),複合材切断機(丸東製作所,AC-200CF),3D プリンター(3DSystems・3D CUBE
PRO, 3D TOUCH),3D スキャナー(Roland・LPX-600RE),スチールハニカム防振除振台(駿河精機,J05N-2010T),モーダ
ル加振器(モーダルショップ/PCB,2025E),コンパクトレーザドップラ振動計(ポリッテック NLV-2500-5),実時間制御実
装システム(Quancer QuaRC / Q4 ボード / Q8 USB),動き解析マイクロスコープ(キーエンス VW6000),実験モード解析シ
ステム(小野測器,DS2000 / DS3000),卓上万能試験機EZGraph(島津製作所・EZGraph 5kN),3D プロッター(Roland,
MDX-40A),送風定温恒温器(ISUZU,VTR-115),その他 CAE,CAD ソフト各種
問合せ先:
成田 吉弘 教授
本田 真也 准教授
李 美龍 助教
研究室 HP
mail: [email protected],
Tel. 011-706-6414 (A5-28)
mail: [email protected],
Tel. 011-706-6415 (A5-29)
mail: [email protected],
Tel. 011-706-6416 (A5-64)
http://labs.eng.hokudai.ac.jp/labo/intelligent_design/