評価運用ガイドライン(PDF 519KB)

アジア人財資金構想
評価運用ガイドライン
Ver.3.0
アジア人財資金構想
評価運用ガイドライン
Ver.3.0
共通カリキュラムマネージメントセンター
2011年度版
1
アジア人財資金構想
アジア人財資金構想
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Ver.3.0
評価運用ガイドライン目次
1.評価の概要
1.1
評価の目的 ························································································ 3
1.2
評価概念図 ························································································ 4
1.3
評価ツールについて ············································································ 5
1.3.1
日常的な評価 ············································································ 6
1.3.2
BJT個別テスト ······································································· 6
1.3.3
日本語力チェックリスト(Can-Do Statements)
/社会人基礎力チェックリスト(行動変容シート)······················ 7
1.3.4
出席 ························································································ 9
1.3.5
ポートフォリオ········································································· 9
1.3.6
面談 ························································································ 9
2.評価活動の実施
2.1
評価責任者について ············································································ 9
2.2
評価実施スケジュール······································································· 11
2.3
日本語力チェックリスト/社会人基礎力チェックリスト実施について ······· 12
3.評価結果のフィードバック ·········································································· 12
2
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1.評価の概要
1.1
評価の目的
アジア人財資金構想におけるビジネス日本語および日本ビジネス教育カリキュラムの中
核をなす部分は、①ビジネス日本語能力の養成、②ビジネス文化・知識の理解、③社会人
としての行動能力(社会人基礎力)の養成です。したがって、本事業における評価の基本
的な考え方は、企業が求める人材像を考慮した上で、上記3つの視点から、留学生が就職
後に直面するであろう課題に対応できる技能の修得度、ならびに、研修期間中の留学生の
変容の実情についての情報を得ることを目指します。
各コンソーシアムにおいて、カリキュラムの編成で大切なことは、最終的な教育目標を
明確に立てておくことです。それとともに、教育と学習の成果をどのような方法で評価す
るかという方針や、具体的な評価基準とその方法についても検討しておくことです。評価
基準と評価方法は、教育目標やそれを達成するための教育内容や指導方法と密接にかかわ
ってくるために、表裏一体であると捉えることが大切です。明確な教育目標、あるいは学
習目標なくして、評価の目的や方法を検討することは不可能です。教育目標を明確にする
ことで、指導内容が決まり、指導の方法が選択され、指導後に行う評価の目標や評価の手
段も決まることになります。したがって、カリキュラムを立てる段階では、評価にかかわ
る事柄についても十分に検討しておくことによって、教育目標、それに向けた実践、そし
て評価という一連の流れに有機的な関連性をもたせ、整合性のあるカリキュラムを実現さ
せなければなりません。
留学生の日本語運用力の違いや、専攻分野の多様性、また、異なる地域でのニーズに基
づくコンソーシアムの取り組み・運営方法等の違いから、カリキュラムの内容は柔軟かつ
弾力的なものにならざるを得ないことも事実です。そのために、教育目標を達成するため
に講じられた多面的な教育活動の質的および量的側面から教育成果を検討することが必要
になってきます。各コンソーシアムでの講義や授業において、講師や教師がそれぞれの担
当科目終了時に、学習成果を評価し、その結果や状況について留学生に還元することが肝
要です。クイズやテストの結果とともに、授業中の学習に対する意欲や学習態度、また、
宿題や課題などの成果物、内容の善し悪しや、それらへの取り組みの状況なども考慮に入
れて総合的に評価を行うことが求められています。
テストや評価は、留学生の学習目標をわかりやすく記述し提示するための手続きと考え
ることができます。テストや評価から得られた情報から、教師は留学生の学習環境や状況
を把握することが可能です。また、自らが行ってきた教育内容や指導方法についての反省
を行い、改善に役立てることができます。それと同時に、本事業における学習のゴールを
確認し、自らの学習方法の見直しや改善を行うことも可能です。学習の意欲や動機を高め
ることも期待できます。
本事業における評価の基本的な目的が、留学生の学習支援、学習管理、就職支援に結び
ついていることを認識し、カリキュラム全体の充実を図ることが重要です。
3
アジア人財資金構想
1.2
評価概念図
4
評価運用ガイドライン
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アジア人財資金構想
1.3
評価ツールについて
5
評価運用ガイドライン
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アジア人財資金構想
1.3.1
評価運用ガイドライン
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日常的な評価
研修を通して、各現場では小テストやクイズを行ったり、ディスカッションや発表、プ
レゼンテーションを行ったりします。そのような活動の一つ一つで、何をどのように評価
するかを常に念頭においてください。評価を行うということは、それぞれの活動の目的や
意味を明確化することと同じです。参加学生の学習動機の維持や現状の理解、学習活動の
進捗の度合いを知るといったさまざまな側面から、研修全体の目的や意味はもちろんのこ
と、日々行っている学習活動の目的や意味をわかりやすくすることは重要です。評価は学
習活動の一部であることを十分に理解して研修計画・評価計画を立て、研修実施にあたっ
てください。
1.3.2
BJT 個別テスト
BJT個別テストとは
BJTビジネス日本語能力テストは、さまざまなビジネス場面での日本語によるコミュ
ニケーション能力を、客観的に測定・評価するテストです。
⇒
http://www.kanken.or.jp/bjt/
BJT個別テストは、本事業での客観評価ツールとして開発した 75 分 60 問のテスト(B
JT公開テストは 120 分 100 問)です。
各学生が研修期間の初期/最終期の計 2 回測定を行い、能力の伸びを客観数値で捉える
資料となります。
◇BJT個別テストの構成と点数
問題分野・形式
描写問題
視覚
6
音声・視覚
6
10
聴解問題
音声・視覚
9
15
描写問題
音声・文字
9
聴読解問題
音声・文字
9
文法・語彙問題
穴埋め・文
6
穴埋め・文
6
10
文字
9
15
第1部聴解 表現力問題
第2部聴読解
BJT個別テスト BJT(公開テスト)
第3部読解 表現力問題
短文読解問題
60 問
6
30 分
20 分
10
15
50 分
30 分
15
25 分
75 分
10
100 問
40 分
120 分
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◇BJT個別テストのレベルイメージ
どのようなビジネス場面でも日本語による
十分なコミュニケーション能力がある
幅広いビジネス場面で日本語による
適切なコミュニケーション能力がある
限られたビジネス場面で日本語による
適切なコミュニケーション能力がある
限られたビジネス場面で日本語による
ある程度のコミュニケーション能力がある
限られたビジネス場面で日本語による
最低限のコミュニケーション能力がある
日本語によるビジネスコミュニケーション
能力はほとんどない
1.3.3
日本語力チェックリスト(Can-Do Statements)
社会人基礎力チェックリスト(行動変容シート)
「日本語力チェックリスト」と「社会人基礎力チェックリスト」は「BJT 個別テスト」の
ように客観的な評価を行うものではなく、学習支援ツールという位置付けです。
双方とも学生の自己評価と講師の評価を 5 段階で主観的に行います(初期は自己評価のみ)。
主観的な評価ですから、他の大学、コンソーシアム間で共通の尺度として単純に比較する
ことはできません。学生はこの二つのチェックシートを活用して自己の進捗を確認しなが
ら学習を進めてください。また、講師の評価と学習者の評価との間にずれが生じた場合は、
評価結果をフィードバックする面談を通して学習支援を行ってください。
共通カキリュラムマネージメントセンターが提供する共通教材は、 Project based
Learning(PBL)という考え方にもとづいて作成されています。PBL は、個々の言語項目の
習得に着目するのではなく、プロジェクトや活動を通して社会人としての包括的な基礎能
力を育成することを目指します。したがって、学習を進めていく過程で「具体的に何がで
きるようになったのか」
、「自身がどう変わったのか」を把握しにくい場合もあります。「日
本語力チェックリスト」と「社会人基礎力チェックリスト」の内容は、本事業で育成を目
指す人材像の一部を具体化したもので、学習者が PBL を通して身につけなければならない
ものを示しています。この二つのチェックリストを活用して、学習目標の明確化や学習成
果の可視化を行ってください。また、このリストで評価している内容と実施している研修
内容に大幅な乖離がある場合は、研修プログラム内容の見直しや改訂にも役立ててくださ
い。
7
アジア人財資金構想
<日本語力チェックリスト>
<社会人基礎力チェックリスト>
8
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アジア人財資金構想
1.3.4
評価運用ガイドライン
Ver.3.0
出席
研修への参加度が上がることで、研修の成果も向上すると考えられます。また、アジア
人財事業は、決して「時間のあるときに来てください」というものではなく、特別な事情
がない限り出席をすることが前提となっています。
全国の参加学生の出席状況を、本事業の有効性を検証するための一つの指標と考えてい
ます。講師は、授業時数と学生の出席時数を管理し、評価責任者の方に取りまとめ頂きま
す。
1.3.5
ポートフォリオ
ポートフォリオを作成する目的は、大きく以下の三点です。
・学生の学習の軌跡を明確にする。
・学習を自らの計画に従って遂行できるような、自律的学習者を育成する。
・学習プログラム全体の透明性や一貫性を確保する。
このような目的のために、大きく三つのセクションに分けて考えるとよいと思います。
A:学生に対する診断的なデータ
(BJT 個別テストの点数やチェックリスト、日々の講師の評価など)
B:学習活動に関する記録
(研修プログラム、日々の学習記録、スモールステップの目標など)
C:学習活動の成果をあらわす資料
(スピーチの原稿や作文、小テスト、プレゼンテーション資料など)
これらの資料をファイルしていくことで、学生自身が自らの学習の進捗を把握し、以後
の学習に対して意欲を持てるようなツールとして活用してください。
1.3.6
面談
評価を行う目的は、点数をつけることだけではありません。評価によって、学生が自分
の位置を知り、現在の課題を把握し、新たな学習目標を考え、研修のゴールに到達すると
きの自己イメージを形成することができます。したがって、評価を行ったら、その後に必
ず評価結果を素材にして面談を行ってください。そして、学生たちが以後の学習に高い意
識付けができるような学習支援を行ってください。
2.評価活動の実施
2.1
評価責任者について
評価活動を実施するにあたって、各コンソーシアムでは、まず「評価責任者」を決めて
ください。そして、評価活動やその結果はすべてその人が一元的に管理し、そこにアクセ
スすることで、コンソーシアムメンバーはすぐに各学生の現況がわかるような体制作りを
推奨します。
9
アジア人財資金構想
◇評価責任者のイメージ図
10
評価運用ガイドライン
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アジア人財資金構想
2.2
評価運用ガイドライン
Ver.3.0
評価実施スケジュール
1.3(5 ページ)で評価ツールを用い、評価実施を効率的に行う為、研修スタイルに応じ以下 2 パターン(春入学・秋入学)の実施
モデルを推奨しております。但し、こちらはあくまでもモデルとし記入しておりますので、本スケジュールをご参考の上、研修現場実情
に合わせ実施ください。
◇2年間を通した評価実施時期(日本語力・社会人基礎力チェックリスト
11
三回実施モデル)
アジア人財資金構想
2.3
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日本語力チェックリスト・社会人基礎力チェックリストの実施について
1)実施目的
・チェックリストの記入を通じ、自己内省的にするきっかけとする
・今後の学習目標の設定や学習の進め方に役立てる
・講師との面談に活用し、理解を深める
2)実施手順
(1)チェックリスト配布とチェックリストの目的説明
(2)チェックリストを一読し、意味のわからないところなど確認
(3)到達目標と現在の能力の開きを意識づけられるように助言
(4)チェック内容を一つ一つ追っていきながらチェックを実施
(5)記入漏れ等がないかどうかを確認
(6)それぞれの評価について自己コメントを記入
(7)回収してポートフォリオにファイリング
なお、「日本語力チェックリスト」「社会人基礎力チェックリスト」につきましては、本
センター作成のものをそのまま利用していただいても、現場に合わせてカスタマイズして
いただいても、また独自に開発していただいても問題ございません。
3.評価結果のフィードバック
評価ツール実施方法でも言及しましたが、評価ツールを使うことで評価が終わるわけで
はありません。面談を通して評価ツールの内容を学習者にフィードバックすることまでを
含めて、評価活動が完成したこととします。
面談は、主に以下のような機能を果たします。
初期評価:学習目標の可視化と共有
中間評価:学習目標の自己反省と修正
最終評価:学習の総括および以後の自律的学習への指針を提示
以上
12