2016.08.15 ニ ッ セ ン ケ ン 分 室 「 思 い つ き ラ ボ 」 N o.70 リオのオリンピック 2016 が始まり ました・・・ 2016 年 8 月 6 日 (日 本 時 間 )に夏 季 オリンピックが開 会 いたしました。 開 催 の寸 前 まで 完 成 できるのかどうか心 配 させられた競 技 場 や交 通 機 関 の 整 備 などなんとか間 に合 っての開 催 となりました。この原 稿 を書 いている のが ちょうど期 間 なかほどの頃 なのですが日 本 の獲 得 メダル数 も思 いの ほか多 く (あくまで筆 者 の主 観 ですが・・ ・)存 分 に楽 しませてもらって います。毎 回 思 う のですが オリンピックの時 にしか見 ない競 技 がたくさんあることと普 段 は 見 てないのに“ずっと前 から応 援 してたんだよ・・・ ”という気 分 になるのはなぜ なんだろうと・・・不 思 議 です。 オ リン ピッ クの 知 ら れざ る 憲 章 「 環 境 配 慮 」 今 回 のリオのオリンピックでは海 の汚 染 問 題 や建 設 現 場 の資 材 放 置 やジカ熱 媒 介 の蚊 の繁 殖 場 所 の 衛 生 面 など「環 境 」に関 する不 備 も指 摘 が多 くあ りました。実 はさまざまな規 則 を定 めているオリンピック 憲 章 の中 に「地 球 環 境 」の為 に環 境 に配 慮 することが定 められているのです。オリンピッ ク憲 章 に「環 境 」 が正 式 に加 えられたのが 2002 年 のアメリカ ソルトレイク冬 季 大 会 からなのですが 国 際 規 模 で環 境 に ついて考 えることが今 では当 たり前 のようになっていますが きっかけは世 界 中 の国 々が集 まるオリンピッ クが最 初 だったような気 がします。 オリンピックで環 境 問 題 が意 識 されるようになったのは 1992 年 スペイン バルセロ ナ夏 季 大 会 からといわれています。各 国 のオリンピック委 員 と選 手 たちがオリンピック 大 会 において地 球 を保 護 することを公 約 した「 地 球 への誓 い Earth Pledge」に署 名 して参 加 するということで 環 境 対 策 に取 り組 むことになりました。1994 年 ノルウェ ー リレハンメル冬 季 大 会 では「環 境 に優 しいオリンピック」をスローガンに挙 げ さら に 1996 年 アメ リ カ アト ランタ の大 会 で は IOC 国 際 オリ ン ピッ ク 委 員 会 の中 に “スポーツと環 境 ”という部 署 も設 けられることになりました。 話 は逸 れますがもともとはオリンピックの開 催 は夏 季 と冬 季 と同 じ年 に行 われていたのですが 1994 年 の ノルウェー リレハンメル大 会 から夏 季 と 分 けて冬 季 のみで行 うようになったのです。“ 4 年 に一 度 のオリン ピック・・・”とアナウンスされますがオリンピック大 会 は季 節 を分 けて 2 年 に一 度 は開 催 されているのです。 環 境 問 題 をオリンピックで喚 起 するには 2 年 ごとのほうが効 果 が高 いので意 識 づけの上 ではタイミングの いい時 期 に取 組 が始 まったといえます。 1998 年 日本 長 野 冬 季 大 会 では「美 しく豊 かな自 然 との共 存 」を掲 (かか)げ環 境 保 全 に取 り組 んだ大 会 にしました。大 会 の開 会 式 で放 たれた鳩 の形 をした“ハト風 船 ”は地 表 に落 下 したあとに太 陽 光 や水 に 触 れることで生 分 解 される素 材 でつくられていて環 境 に配 慮 した風 船 ということで話 題 になりました。確 か に「環 境 に配 慮 すると言 いながら ゴム風 船 大 量 に空 に飛 ばしてどうすんねん」という批 判 にこたえるもの 一般財団法人ニッセンケン品質評価センター 〒111-0051 東京都台東区蔵前 2-16-11 (本部) TEL: 03-3861-2341 FAX: 03-3861-4280 WEB: www.nissenken.or.jp 2016.08.15 になっていました。大 会 で使 われる紙 コップや紙 トレーも生 分 解 しやすい素 材 が使 われていました。繊 維 業 界 でも生 分 解 する“ポリ乳 酸 繊 維 ”の開 発 が盛 んだったのもこの時 期 だったような気 がします。 そして 2000 年 のオーストラリア シドニー夏 季 大 会 では“オリンピック 史 上 もっとも緑 あふれる大 会 ”といわ れるほど地 球 環 境 に考 慮 したものを 実 現 したのです。大 会 までに 200 万 本 の樹 木 を植 林 したり 廃 棄 物 管 理 の徹 底 や低 公 害 車 の導 入 公 共 交 通 機 関 の利 用 増 加 など積 極 的 な運 営 を実 行 したのです。この ような流 れがあって原 稿 のはじめに記 載 したオリンピック憲 章 に「環 境 」という文 字 がシドニー大 会 の次 の 2002 年 アメリカ ソルトレーク冬 季 大 会 から加 えられて環 境 の保 全 と改 善 を目 的 に多 くのプ ログラムが 作 られたのです。 その後 の活 動 はといいますと 2004 年 ギリシャ アテネ夏 季 大 会 では「 スポーツと環 境 」という冊 子 が全 会 場 で配 布 されて さらにアテネ大 会 組 織 委 員 会 公 認 のオリンピック パラリンピックにおける「環 境 への 挑 戦 と 功 績 」 と 題 し た 編 集 本 を発 刊 し た りし て環 境 への 意 識 向 上 に 力 を 注 ぎまし た 。2006 年 イタリア トリノ冬 季 大 会 では大 会 期 間 中 の二 酸 化 炭 素 ( CO₂)の排 出 量 削 減 計 画 やフロンガスを使 用 しない冷 蔵 技 術 を活 用 した飲 食 物 の推 奨 やエコラベル取 得 商 品 を調 達 物 質 で優 先 使 用 したりあらゆる分 野 で環 境 保 全 に取 り組 んでいました。 2008 年 中国 北 京 夏 季 大 会 では「緑 色 オリンピック」のコンセプトで環 境 意 識 の向 上 に努 め 大 会 期 間 に合 わせて天 然 ガスを用 いた高 効 率 な発 電 所 を北 京 に建 設 したり 競 技 場 に太 陽 光 発 電 設 備 を設 置 す るなどして 温 室 効 果 ガス削 減 を目 指 した取 り組 みを行 っていました。大 気 汚 染 問 題 を抱 えている国 なの でそ の 後 の 継 続 も 期 待 さ れて い ます 。 2010 年 カナダ バンクーバー冬 季 大 会 は「持 続 可 能 性 」という テーマに基 づいた取 組 を行 い 廃 熱 の再 利 用 が注 目 を集 めました。選 手 村 や競 技 場 で暖 房 や温 水 に必 要 なエネルギーの約 90 %を排 水 処 理 場 から出 る廃 熱 を再 利 用 することで 電 力 とガスの消 費 量 を大 幅 に 削 減 することができたと報 道 されていました。 2012 年 イギリス ロンドン夏 季 大 会 では「オリンピック史 上 最 も環 境 に 配 慮 した大 会 」の実 現 に重 点 を 置 き招 致 活 動 が始 まったころから取 り組 んで 特 に既 存 施 設 の活 用 と新 施 設 建 設 では長 期 利 用 可 能 な ものに限 定 して大 会 設 備 の選 定 をすすめたとあります。二 酸 化 炭 素 の排 出 量 や再 生 可 能 エ ネルギー 利 用 率 など数 値 目 標 も公 表 して取 り組 んだ大 会 でもありました。 2014 年 ロシア ソチ冬 季 大 会 でも会 期 中 や準 備 段 階 で 排 出 される二 酸 化 炭 素 などの温 室 効 果 ガスの 削 減 に努 め 地 球 温 暖 化 への影 響 を最 小 化 すると方 針 を出 しています。競 技 会 場 の照 明 光 源 も LED に 置 き換 えるとしたことや廃 棄 物 ゼロ活 動 や自 然 保 護 による自 然 との共 生 なども目 標 に挙 げられ た大 会 に なりました。 一般財団法人ニッセンケン品質評価センター 〒111-0051 東京都台東区蔵前 2-16-11 (本部) TEL: 03-3861-2341 FAX: 03-3861-4280 WEB: www.nissenken.or.jp 2016.08.15 リ オデ ジ ャ ネ イロ 夏 季 大 会 の 環 境 配 慮 そして 2016 年 ブラジル リオデジャネイロ夏 季 大 会 ですが 準 備 の遅 れもあり環 境 への取 組 の具 体 的 な報 道 があまりありません。大 会 のスローガンは「新 しい世 界 」を掲 げていて 初 めてとなる“難 民 五 輪 選 手 団 ”が編 成 されたことなど平 和 的 なメッセージの方 が強 く感 じられる大 会 になっ ています。それだけ 世 界 情 勢 が不 穏 ということなのでしょうが オリンピック憲 章 に基 づいてなんらかの取 組 はされていると 思 います。 新 聞 やテレビ報 道 など調 べてはみたものの いまのところ授 与 される メダルが環 境 に配 慮 されたものという記 事 を見 つけただけです。紹 介 し ておきますと 今 回 の金 メダルは廃 車 になった部 品 や鏡 からリサイクル 精 製 し た 銀 を 92.5 % 使 用 し て 金 メ ッ キ を 施 し た も の と あ り ま し た 。 銀 メ ダ ル や 銅 メ ダ ル も 30% は リ サ イ ク ル 素 材 を 利 用 し て い る と の こ と で さらに金 の採 取 には環 境 汚 染 が問 題 となっている水 銀 は一 切 使 って いないということでした。自 然 環 境 ではありませんが物 造 りでも環 境 に 配 慮 しているということのようです。 まだまだ大 会 は続 きますがオリンピックやパラリンピックの大 会 では競 技 だけではなく 環 境 への配 慮 にも 取 り組 んでいることを知 っていただいて 残 りの競 技 を楽 しんでもらいたいと思 います。 原 稿 担 当 :竹 中 直 (チョク) 一般財団法人ニッセンケン品質評価センター 〒111-0051 東京都台東区蔵前 2-16-11 (本部) TEL: 03-3861-2341 FAX: 03-3861-4280 WEB: www.nissenken.or.jp
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