交互協調タッピングの相互相関解析に基づくモデル化

交互協調タッピングの相互相関解析 に基づ くモデル化
ホ
中
l
1三
宅 美博
○ 中島 壮人
Modeling ofAlternate Cooperative Tapping based on(Correlation Analysis
1
1,Yoshihiro Miyake・
Masato Nakttimダ
Abstract― To :inprove cooperative process in Man‐ Machine intemction syste■1, we have to investigate the
e tapping task,timing
cooperation mechanism betweё n humanse ln this study,using altemate cooperat市
o
coordination m∝hanism in human coopemtion was studiede We developed a cross feedback systern between h″
humans in tapping, and measu“ d the time series of tap onsete And calculating the ternporal development of
onsct interval(ITI),COrrelation beWeen SE and rTI was clarifled.Based
synchronization eror(SE)and inter tap‐
o n t h i s c o r e l a t i o n a n a l y s i s , t h e m o d e l f o r lt i nm i an lg t ec mo an t eЮ t a p p i n g wpaOss epdЮ
.
Keywords:coopemtive tapping,tiining control,correlation analysis,human communication,duality
機械系
解析 によるモデルの推定や、それ を基にした人間‐
の再構築な ど、人間同士 の双方向的なタイ ミング制御機
構 の解明 に成果を上げて いる[1lLと ころが交互協調 タッ
1。 は じめ に
人間は常 に変化 しつづける動的環境 に適応 しつつ 生活
している。そ して適応の時間的な側面 に深 く関 係 してい
ピング課題 については、まだそのメカニズムが明 らかで
はな い.そ こで本研究では交互協調タッピング課題 に注
るのが、タイ ミングを合わせ る能力である.こ の人 間 の
タイ ミング機構の研究 に古 くか ら用 い られてきた ものと
して、同期 タッピング課題があ る。
コは、音や光な どで与え られ る周
同期タッピング課題II‐
目し、タイ ミング機構を解明す ることをめざす.
一方、タイ ミング機構そ の もの としては、同期 タッピ
4〕
'Negative AsynchЮ
ny(負の非同期 )"現象[12■
ング課題 の
期的な刺激 とスイ ッチを押すタ ップ動作 を同期 させ る課
題であ リタイ ミング制御 モデル も複数提唱 されて いる
可。我 々の研究 グル ー プで も、注意資源 の影響 を考慮 し
F‐
に注 目し、二 重課題法を用 いた実験か ら、タイ ミング機
構 が身体的過程 と認知的過程 として二重化 されているこ
.こ れは時系列解析 によるダイナ ミ
とが示されて いる[L闘
た認知心理学的側面か らの解明「劇や、時系列デー タ解析
lなど、人間のタイ ミング制
によるダイナミクスの推定IЮ
l。さ らに、同
クスの推定 によっても裏付けられて いる[Ю
期協調 タッピング課題では リアルタイム的な相互作用 と
履歴性 のある相互作用 の二重化 された機構でタイ ミング
同調がな されて いることも示 されお り11:ヽこれが上記の
御 に関連す る様 々な知見を明 らかにしてきた。 しか し、
この 同期 タッピング課題で用 い られて いるのは、人間が
リズム音 に一方的 に合わせるという状況である。そ のた
二重化 されたタイミング機構 と関連 して いることも示唆
め、スポ ー ツ競技や協調作業で見 られ る人間同士 の タイ
されて いる。
ミング合わせ とい う、双方向的な局面 を測定す ることが
以上よ り、本研究では交互協調 タッピング課題 を対象
として、そ のタイミング制御機構 を明 らかにす ることを
できないという問題 が残 されていた.
このよ うな問題 を踏 まえて、我 々は人間同士 のタイミ
ング合わせ を調 べ る実験系として、協調 タ ッ ピング課 題
1111に
注 目してきた。 この協調 タ ッピング課題 は大 きく 2
目標 とす る.特 に、二重化 されたタイミング機構 との関
連か ら制御 メカニズムの解析を進 める。さらに時系列デ
ー タ解析を踏 まえて、交互タッピング課題 にお けるモデ
種類 に分類でき、 1つ は同期協調 タッピングであ り、も
ル推定 も行な う。
う 1つ は交互協調 タッピングである。同期協調 タッピン
グ課題は、2人 の被験者が、自己 のタ ップ動作 を他方 の
2。 実験方法
被験者に音刺激 として伝え、相互 のタ ップを同期 させ る
課題である。交互協調 タッピング課題は、タップのタイ
2。
1 実 験課題
ミングを半周期ず らして交互にタップさせ る課 題 である。
既 に、我 々は、同期協調タッピング課題 において、相 関
ホ1:東 京工業大学 大学 院 総 合理工 学研 究 科
中1: Interdisciplinary Graduate School of Science and Enginecring,
Tokyo institute ofTechnology
交互協調 タッピング課題は 2人 の被験者 によ り実施さ
れる.一 方 の被験者の タップを音刺激 として他方の被験
者 に伝達す ることで交互タッピングを実現す るものであ
る.そ の詳細は以下のようになっている。
コ自律分散システム 0シ ンポジウム (200601・ 26027・ 福井)
SY0001/(X;/mo277()2006SICI
‐277‐
(b)
(a)
TapA(n)
1)
TapA(n‐
TapA(n)
TapA(n‐
1)
SubiedA
Subject
A
SutteCt B
SubieCtB
1
丁
1)
apB(n‐
:
TarB{n_1)
TapBlnl
Tap:(n)
Stage2
Stagel
Fig.l Timing-Chartof temporalrelationshipbetweeneachsubject'stap
ITIは、相手 の Tapか ら自分 の Tapま での時 間 として定義
実験 開始直後 の 10Tap分はお互いのタップ音は聞 こえ
ず、 一 定周期 の音刺激 を与 え、そ の音刺激 と交互 タッピ
ングす る条件であるcこれ を Stagelとする。その後 HTap
目か ら、一定周期 の音刺激 は聞 こえなくな り、被験者相
され る。よって ITIは ISIの約 1/2倍になる。
2.3 被 験者 ・実験環境
被験者は、
健常な 20代 の男性 3名 にポ ランティアで依
を 1組 とし、全組み合わせ として合計 3組
した。2名
頼
ー
のデ タを収集 した。被験者は いずれ も右利きで、提示
互のタ ップ音が聞こえるよ うになる.被 験者 には、他方
の被験者 の連続す るタップ間隔のちょうど中間にタップ
され る音刺激 を聞き取るにあた って聴覚 的障害 はなかっ
す るよ うに指示を与 えた。つ まり 2人 の被験者 は交互に
タ ップをす ることになる.こ れ を Stage2とす る.前 半 の
た.
実験環境 として、聴覚刺激 を阻害す る可能性 のある雑
音源(機械動作音、歩行音、通風音な ど)をできるだけ排除
Stagelと後半 の Stage2をあわせて 1つ の試行 とす る.ポ
タン押 し動作は右手人差 し指で行ってもらった.実 験中
は瞑 目し、右手人差 し指 以外 の体 の部位を使 って リズム
した静寂な環境を用意 した.
2.4
をとる ことは禁止 した。
2.2
シ ステム概要
本研究 で製作 した交互タッピング実験系は、Fig.2のよ
特 徴量
Stagelにおける特徴量 を Fi301aに、Stage2にお ける特
lbに 示す。Stagelにおける音刺激の一定 の周
徴量を Fig。
2人 の被験者が 1組 になって使用す るものである。
うに、
全体 としては、自己のタ ップが他方の被験者 に音刺激 と
J)である。 この刺激提
onset lnteⅣ
期が ISI(Inter Stimulus‐
示 のタイ ミングは被験者 Aと Bで 完全に逆位相 となって
して与え られる系として構成 されて いる。両者のタップ
時刻はパ ラレルポー トを介 して、シングルタスクOS(IBM、
い る。 これ によって交互タ ッ ピングの周期 を制御す るこ
PC―
DOS2000)に て 駆 動 され る PC(IBM,ThinkPad535)の
とにな る。
RTCと
RS‐
232Cを 用 いて、 1/1024sの時間精度で記録 さ
れ る.ま た、音刺激は、5∞Hz矩 形波を 100ms間 (タイ マ
Stage2にお いては、
被験者 の n番 目の Tap時 刻 を Taメ■)
とす る。この とき、タ ップ周期 (ITI:Inter Onset
Tap‐ lnterval) IC、NE555)、カ ップ型 ヘ ッ ドフォンによって被験者 の両
耳 に提示す る。
を、Stage2を解 析す
と非 同期 量 (SE:Synchronization Eroり
る上 で 用 いるパ ラメー タ とす る。非同期量 (S助とタ ツプ
2.5
周期 (ITI)を
以下 の式で定義 す る。
上記のよ うに、個 々の試行 は前半の Stagelと後半 の
実 験手順
-1)。
)+ヨ
η3(“
SExめ=コ
ン/o-7η3(″
SEと ITIの時間発展が記録される。
Sta2ge2か
ら構成され、
-1)
/rrИ
(″
)=17PИ(″
)-7レP′(“
(2)
StagelのISIを5種 類 (500ms,1000ms,2000ms,3000ms,
4000ms)に 変化させ、 5試 行 で 1セ ッシ ョンとする.こ
SEは 一 方 の被験者の連続す る Tapの中間時刻が、他方
のとき各試行 において、被験者 には 130回 タップして も
これ に基 づいて両者 の相互相関 が解析 され る。ただ し、
これは刺激周期 ISIに 依存す ることが予想されるため、
の被験者 の Tapと どれだけ離れているかを示す値である。
ISIを固定する Stagelの10Tapとその直後の 10Tapl
らう。
ち ょうど中間時刻で Tapす れば 0と な り、 2人 の被験者
最後 の 10Tapを除 いた 100Tapを有効デー タとして解析 に
が完全 な逆位相で交互タ ッピングできていることになる。
用 いる.
それ よ り早 ければ負 の値、遅 けれ ば正の値 となる。
‐278‐
3.3
相 互相関解析
・
前節の散布図の結果か らSEと ITIの間 に相関関係が あ
ることと、そ の関係が ISI毎 に変動 しているで あろう こ
とが示唆 された。そ こで、本節では実際に相互相 関解析
を行 い、被験者全体 として どのような相関 の傾向がある
かを調 べ る.
sttect A
SutteCt B
SuDJ(
Fcedback tapping system
Fig.2 Cross‐
前節 の散布 図 において顕著な相関が見 られた 2つ の関
SEと ITIvについて相互相関解析 を行な っ
係、SEと ITI、
6の ように、LaFOに おける相関係数 の
た。結果を、Fig。
被験者間平 均 として ISI毎 に示す。 この図か ら明 らか な
ように、全 て の ISIにおいて SEと ITIの相 関 の方が、SE
と ITIvの相関よ りも負側 に強 く現れて いる.た だ し、IsI
ITIの相関係数 が徐 々に減少 し、
が大きくなる につれて SE‐
ITIvの相関係数が徐 々に増加 していることもわかる。
SE‐
このことは 2種 類 の相関関係 の大小関係 が ISIに 依存 じ
て変化す ることを示 している。
4。 モデル推定
Fig.3 Equipment ofaltemate mpping system
3.実
l
3。
SEと
前章の相互相関解析よ り,強 い相関 が見 られた SEと
ITI,SEと ITIvで得 られた結果 を元に,交 互協調 タッピ
ングのモデル推定を行 う。
ITI
4。
l SEと
験結 果
ITIの 時間発展
Stage2にお いて 得 られた SEと ITIの 時 間発展 の例 を
Fig.4に示す。いず れ の ISIにお いて も、2人 の ITIがほぼ
SEと IH.の間 には強い負の相関がある ことか ら、ある
定数 Ciと比例定数 ルを用 いて、タ ップ周期 rrIと同期誤
差 SEは 以下 のように記述 され る.
同 じ時間長で安 定 に推移 してお り、2人 の タ ッ ピングが
同調 して いる ことがわか る。SEに つ いて は、被験者間 で
位相 が反転す る傾 向 が見て取れ る。また、ISIが増加す る
に従 い SEと ITIのゆ らぎ の幅 が大 き くな って いる ことが
rrr(“)=cl+た
4.2
2 SEと
3。
この とき SEと ITIの時間発展 の仕組 み として、被験 者
が 自分側 のタ ッ ピングが早す ぎた と感 じた場合 、次 の タ
ITIv
誤差 SEは 以下 のように記述され る.
=ぬ OsE(4)
frfν
(5)
ITIvをITIで展開 して示す と、
べ る。 この とき ITIvは以下 のよ う に定義 した.
-1)
fiv(″
frrν
( 4 ) = f ■r ( 4 ) 一
SEと
前節 と同様 に、SEと I■vの 間 にも相関があることか
ら、比例定数 力を用 いてタ ップ周期 の変化量 IHvと 同期
ップ を遅 らせ よ うとす ると考 え られ 、SEと ITIには負 の
相関が あ る ことが予想 され る。そ こで 、SEと ITIの関係
関係 につ いて相関 を調
お よび SEと ITIの 変化量(ITIv)の
)
“
このように、タップ周期 ITIが,SEと 比例関係 にある リ
アルタイム性の高 いモ デルが得 られた.
わか る。
ITIの 散布図
OSE(“
)
_1)=ゐ 。
SE(″)
fttr(“
)一frf(“
(3)
(6)
この数式がす べて の nに ついて成立す ると仮定 し、
1試 行 よ り得た SEと ITI、SEと ITIvの散布 図 を Fig.5に
示す 。そ れぞれ右下 が りの線形近似 直線 が 引け るよ うな
frf(″)
分布 で あ り、強 い負 の相関 がある ことを意 味 して いる。
また 、R2値 を ISI毎に比較す ると、ISIが大 き くな るにつ
一
ITIvの R2
ITIの R2値 が 小さ くな る 方 で 、SE‐
れて SE‐
この関係が
あると
に
も
い
値 が大 き くな って る。相互相関
= r r f ( ″_ 1 ) + ル ・
S E ( ″)
-1))
= f r f ( ″_ 2 ) + 乃 0 ( S E ( “
)+SE(″
(7)
三
- 1 ) + ¨・
= 五日( 0 ) ―力・
+SE(1))
)+SE(″
(SE(″
推測 され る。
‐279‐
0.4
SE‐ ITIv
SE‐ ITI
〓
.
!︲
.
0。
。。 [
岬
.
∽ ∽
[
目
∽︻
目〇〇い
‐
1
0。
0.65
= -lZlfel + 05116
f ' O?652
“”=
∽d目〇〇〇︼
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0.35
0。
1
冒 ]国∽
0.4
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目〇〇〇寸
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°
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ヽ
0
‐
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l.7
‐
0.2
50
TapNumber
0
SEIs]
‐
0.6
0。
2 ‐0.2
4000鵬
0
SEIs]
Fig。
5 Scatter Plot,SE and ITI,SE and ITIv
Fig.4 TemporalDevelopmentof SE and ITI
‐280‐
0.2
に 示す。 I T I 、S E 、
この ときモデル の プ ロ ック図を F i g7。
Σ S E が全て独立で あると考 えると、重 回帰 分析 によって
モデル の係数 を決定す ることができる.
■ ・ 0
・
●0︻
0目00
“︼
一
・
5.考
察
今回 の実験 によって得 られた結果をまとめる。
交互協調 タッピング課題 を行い、そ のタ ップの時間
発展 を計測す ることに成功 した。
‐
8
0。
SEと ITI、SEと ITIvの間には、それぞれ強 い相関が
観察 された。
0。
5
1
2
SEと ITIは相 関値 が減少 し、
ISIが増加する につれて、
3
1SI[S]
Fig.6 Correlation Cocttcient of SE and ITI in each ISI
前 の SEに 影響を受けるモデル と、累積 された SEの
とな り、 この式 が 成 立 す るた め に 、 あ る定 数 J r r a を用 い
総和 に影響 を受けるモデルが得 られた。
て 、 以 下 の よ うに記 述 され れ ば よ い。
キかΣSE(プ
frr(“
)
)=fπ
。
=1
SEと ITIvは相関値が増加す る傾向がみ られた。
相関解析 を元 にモデル推定を行 った ところ、ITIが直
交 互協調 タ ッ ピングにお いて も、SEと ITIお よび SE
③
と rrlvの間 に強 い相関が観察 され、同期協 調 タ ッピング
11:]と
課題 で報告 されて いる二重化 された タイ ミ ング機構
ノ
ここで得られたモデルは,過 去 の SEの 総和によって ITI
が影響を受ける履歴性の高いモデルである。
同様 の タイ ミング制御機構 の存在 が示 され た。 さ らに、
本研 究 では タイ ミング機構 へ の ISIの 依 存 性 について も
4。
3 交 互協ロタッピングのモデル
2節 において得られた 2つ のモデルを、交互
4.1節と4。
協調タッピングにおけるタイミング制御の主要因子 し、
それらが線形加算できるものと仮定すれば、以下の様な
モデルが推定される.こ のとき n番 目の ITIは比例定数
初 めて明 らか にされた。ISIが増加す る につ れて、SEと
ITIは相 関値 が減 少 し、SEと ITIvは相 関値 が増加す る傾
向がみ られた のである.こ のことはモデル推定 を通 して
解釈す ると、ISIが増加するにつれてタイ ミング制御にお
ける直前 の SEか らの影響が減少 し、SEの 過去 の総和か
らの影響が増加 していることになる。つ ま り、ISIの増加
t,1を用 いて次のように表せる。
fπ (″)
に伴 い、タイ ミング機構におけるリアル タイム性が弱 く
= ′ ( C l + た O S E ( “ ) ) 十′( f r r 。十 か
な り、履歴性 が強 くなるということである。ISIが 1000ms
よ りも短 い領域では小脳が、それよ りも長 い ISI領域で
Σ
SE(プ))("
は前頭前野が、タイ ミング機構 において重要な役割を果
た しているとい う報告 もあり、今回 の実験結果 との関連
・
0乃
OSE(“
。
=′
Cl+J・fTr。
た
)+′
)+′
ΣSE(プ
が予想され る.
6.ま
とめ
本研究 では、人間同士の双方向的なタイ ミング制御機
構 を調 べ るために交互協調タッピング課題 を行った。そ
して相関解析 に基 づいて交互協調タッピングのモデルを
提案 した.特 に、その構造が同期協調 タッピング実験 と
同じ二重化 された構造であることが示 された.さ らに、
双方向的なタイミング機構 における周期依存性 を初めて
観察す ることに成功 し、同期タッピング課題 において既
に報告 されて いた刺激周期依存性に対応す る知見を明 ら
かにした.
本研究で構成 した交互タ ッピング課題 は、非常に限定
された状況 における人間同士のタイ ミング共有 を調 べ る
Fig.7 Frameworkof alternatetappingtask
-281-
実験 系である。 しか しテニ スな どのスポ ー ツや会話 のや
StevensL.T.: On the time sense,Mind, ll, 3931 404,
りと りな ど、人間同士が交互にタイ ミングをとる状況は
(l 886)
広 く観察 され、それ らの基本的なプ ロセ スのモデル系と
FraisseP.: The sensorimotorsynchronizationof rhythms,
見倣す ことが可能である。 したがつて、 これは今後 のコ
ミュニ ケー ション技術の基盤技術 につなが る可能性 を内
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AscherslebenG, Prinz W.: Synchronizingactions with
包す るものであろう.今 後は、提案 したモデルを元 に、
交互 タ ッピング実験 を人間‐
機械 系 にお いて再構成 し妥
events: The role of sensoryinformation, Perception&
57-3, 305I 317
Psychophysics,
当性 を検証すると共に、本 モデルを用 いて様 々な人間 の
コ ミュニ ケー ションを解析す ることに取 り組みた い.
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Integration in SensorimotorSynchronization,Jounal of
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