日本医療機能評価機構 医療事故情報収集等事業 第41回報告書

医療事故情報収集等事業
第41回 報 告 書
(2015年1月 ∼3月 )
2015年 6 月 2 5 日
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本事業の内容(報告書類、事例)は、以下のホームページから閲覧・検索していただけます。
(公財)日本医療機能評価機構 医療事故情報収集等事業トップページ:http://www.med-safe.jp/
○ 報告書類・年報:http://www.med-safe.jp/contents/report/index.html
○ 医 療 安 全 情 報 :http://www.med-safe.jp/contents/info/index.html
○ 公開データ検索:http://www.med-safe.jp/mpsearch/SearchReport.action
目次
はじめに …………………………………………………………………………………… 1
第41回報告書の公表にあたって ……………………………………………………… 3
医療事故情報収集等事業について ∼第41回報告書の内容を中心に∼ ………… 5
I 医療事故情報収集等事業の概要……………………………… 39
1 医療事故情報、ヒヤリ・ハット事例収集の経緯 ……………………… 39
2 医療事故情報収集・分析・提供事業の概要 …………………………… 41
【1】事業の目的 ……………………………………………………………………………41
【2】医療事故情報の収集 …………………………………………………………………41
【3】医療事故情報の分析・公表 …………………………………………………………42
3 ヒヤリ・ハット事例収集・分析・提供事業の概要 …………………… 43
【1】事業の目的 ……………………………………………………………………………43
【2】ヒヤリ・ハット事例情報の収集 ……………………………………………………43
【3】ヒヤリ・ハット事例情報の分析・提供 ……………………………………………45
Ⅱ 報告の現況 …………………………………………………… 46
1 医療事故情報収集等事業 ………………………………………………… 46
2 医療事故情報収集・分析・提供事業 …………………………………… 47
【1】登録医療機関 …………………………………………………………………………47
【2】報告件数 ………………………………………………………………………………49
【3】報告義務対象医療機関からの報告の内容 …………………………………………53
3 ヒヤリ・ハット事例収集・分析・提供事業 …………………………… 72
【1】登録医療機関 …………………………………………………………………………72
【2】全医療機関の発生件数情報報告 ……………………………………………………74
【3】事例情報参加登録申請医療機関の報告件数 ………………………………………79
【4】事例情報参加登録申請医療機関からの報告の内容 ………………………………83
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況 ………………………… 100
1 概況 ………………………………………………………………………… 100
【1】分析対象とするテーマの選定状況 ……………………………………………… 100
【2】分析対象とする情報 ……………………………………………………………… 100
【3】分析体制 …………………………………………………………………………… 101
【4】追加情報 …………………………………………………………………………… 101
2 個別のテーマの検討状況 ………………………………………………… 102
【1】インスリンに関連した医療事故 ………………………………………………… 102
【2】手術中の砕石位に関連した事例 ………………………………………………… 122
【3】院内での自殺及び自殺企図に関する事例 …………………………………… 141
3 再発・類似事例の発生状況 ……………………………………………… 155
【1】概況 ………………………………………………………………………………… 155
【2】「抗リウマチ剤(メトトレキサート)の過剰投与に伴う骨髄抑制」
(医療安全情報 No. 2 第2報 No. 45)について ………………………… 160
【3】「小児への薬剤10倍量間違い」(医療安全情報 No. 29)について ……… 171
【4】「禁忌薬剤の投与」(医療安全情報 No. 86)について ……………………… 181
参考 医療安全情報の提供 …………………………………… 187
【1】事業の目的 ………………………………………………………………………… 187
【2】主な対象医療機関 ………………………………………………………………… 187
【3】提供の方法 ………………………………………………………………………… 187
【4】医療安全情報 ……………………………………………………………………… 188
はじめに
公益財団法人日本医療機能評価機構
理事長 井原 哲夫
本財団は公益財団法人として、国民の医療に対する信頼の確保および医療の質の向上を図ることを
目的として、病院機能評価事業や医療事故情報収集等事業など様々な事業を運営し、医療の質をでき
るだけ高く保ち、安心・安全な医療を提供するために、それらの事業に継続して取り組んでおります。
医療事故情報収集等事業では、収集した医療事故等の情報やその集計、分析結果を定期的な報告書
や年報として取りまとめるとともに、医療安全情報を作成し、毎月1回程度公表を行うことで、医療
従事者、国民、行政機関等広く社会に対して情報提供を行っております。その上で、医療安全情報に
ついては医療安全の直接の担い手である医療機関により確実に情報提供が行えるよう、希望する病院
にファックスで直接提供する事業を行っております。医療安全情報は2011年2月から全国の約6割
の病院に提供するまで拡大しています。
本事業は開始後10年の節目を向かえ、2014年9月30日に5年毎に必要とされている医療法
施行規則に基づく登録分析機関としての登録を更新いたしました。この間、医療安全の推進のため、
平素より本事業において医療事故情報やヒヤリ・ハット事例等の情報の提供にご協力いただいており
ます医療機関の皆様や、関係者の皆様に深く感謝申し上げます。
本事業における報告書の公表は今回が41回目になります。今回は2015年1月から3月までに
ご 報 告 い た だ い た 医 療 事 故 情 報 と ヒ ヤ リ・ ハ ッ ト 事 例 の 報 告 を と り ま と め た も の で す。 ま た、
本報告書に掲載しております医療安全情報はこれまで100回の情報提供を行ってきたもののうち、
2015年1月から3月に提供した No. 98から No. 100を掲載しております。
これまでに公表した報告書に対しては、医療事故の件数や内容に関するお問い合わせや報道など多
くの反響があり、医療安全の推進や医療事故防止に関する社会的関心が依然として高いことを実感し
ております。
今後とも、本事業や病院機能評価事業などの様々な事業を通じて、国民の医療に対する信頼の確保
と、日本の医療の質の向上に尽力して参りたいと考えておりますので、ご理解とご協力を賜りますよ
う宜しくお願い申し上げます。
-1-
-2-
第41回報告書の公表にあたって
公益財団法人日本医療機能評価機構
特命理事 野本 亀久雄
本事業は開始後10年が経過しました。この間、本事業に対する医療機関の皆様の反応には大きな変化
があったと考えています。事業開始当初には、報告した事例をどのように活用されるのかわからない、
という不安を感じておられた医療機関が多かったように記憶しています。しかし最近では、収集した
情報をもっと使いやすい形で提供して欲しいといったご要望が増えてきており、これは事業開始当初
とは異なる大きな変化であるととらえています。その結果、皆様ご存じのとおり、報告書や年報は
次第に内容の濃いものになるとともに、医療安全情報の提供を行い、さらに後述するWebを活用した
情報提供も開始しております。それらの情報を基盤に、参加してくださっている医療機関の方々に
有用な情報としてお返しすることによって、経験したことのないタイプの医療事故の実態も理解する
ことが可能となり、具体性をもった医療事故防止が可能となるようです。
本事業は、多くの医療機関のご協力を得て、医療事故情報やヒヤリ・ハット事例を幅広く収集する
ことが基盤となっております。本事業にご参加いただいている医療機関の皆様には、我が国で初めて
の試みとして開始された本事業の円滑な運営に関し、ご支援、ご協力いただいておりますことに心よ
り感謝申し上げます。また、2014年9月30日に、5年毎に必要とされている医療法施行規則に
基づく登録分析機関としての登録を更新いたしました。一層充実した情報を全国の医療機関や広く国民
に還元できるよう、引き続き、報告範囲に該当する医療事故情報やヒヤリ・ハット事例が発生した場合
は、適切にご報告いただきますよう宜しくお願い申し上げます。
今回は2015年1月から3月までにご報告いただいた医療事故情報と、ヒヤリ・ハット事例のご報告を
とりまとめた第41回報告書を公表いたします。今回の個別のテーマは、
「インスリンに関連した医療
事故」
「手術中の砕石位に関連した事例」
「院内での自殺及び自殺企図に関する事例」を取り上げました。
さらに、本報告書が対象とする2015年1月から3月に提供した、医療安全情報の No. 98から
No. 100も掲載しております。
これらの内容を含め、本事業の現況について、第19回報告書から執行理事と担当部長による解説
の頁を、私からのご挨拶の頁に引き続いて設けております。その頁をお読みいただくことにより、
本事業を支えておられる参加医療機関の皆様に、本事業の最新の状況をお知らせできるものと考えて
おります。そのような本報告書の内容を、医療機関において、管理者、医療安全の担当者、医薬品の
安全使用のための責任者、医療機器の安全使用のための責任者及びその他の職員の皆様の間で情報共有
していただくことにより、医療安全推進にお役立てくだされば大変幸いに存じます。
国民の医療に対する信頼を回復し、その信頼を保っていくためには、医療の安全性を向上させる
取り組みを永く続けていくことが必要であると考えておりますので、私共の事業を通じて、個々の
医療事故防止を超えて、医療に関わる人々の誇りとなるような旗印を作りたいと念願しています。
そのために、10年以上の実績を持つ本事業は、報告を定着させていく時期から、報告された情報を
活用していく時期に移行していかねばならないと考えております。
今後とも本事業の運営主体として、我が国の医療事故防止、医療安全の推進に資するよう、報告書
の内容充実と、一層有効な情報提供に取り組んでまいりますので、皆様のご理解とご協力を心より
お願い申し上げます。
-3-
-4-
医療事故情報収集等事業について
∼第41回報告書の内容を中心に∼
公益財団法人日本医療機能評価機構
執行理事 後 信 医療事故防止事業部長 坂口 美佐
1 はじめに
平素より、本事業の運営にご理解、ご協力いただき、深く感謝申し上げます。2014年9月には、
事業を運営して10年の節目を迎えました。事業に参加していただいている医療機関の皆様や関係者
の皆様に深く御礼申し上げます。また同月には、医療法施行規則に定める本事業を運営する登録分析
機関としての厚生労働大臣の登録を更新いたしました。次の登録期間である5年間において、より多く
の医療機関の参加や、報告件数の増加及び報告内容の質の向上とともに、収集した事例の一層の活用に
よる多くの改善事例を実現していきたいと考えていますので、引き続きご理解、ご協力のほど、宜し
くお願いいたします。
さて今回は、2015年1月から3月までにご報告いただいた医療事故情報とヒヤリ・ハット事例
をとりまとめた第41回報告書を公表いたします。報告書の内容を十分ご参照いただき、安全管理を
担当する方を中心に、それぞれの医療機関の実情に即した有用な部分を院内で周知していただければ
幸いに存じます。
また、医療を受ける立場でこの報告書や本事業のホームページをご覧の皆様におかれましては、医療
事故やそれに至る前に防止できたヒヤリ・ハット事例の種類や内容、医療機関や医療界が再発防止に
向けて取り組んでいる姿を、ご理解いただければ幸いに存じます。
さらにこのたびの公表にあたり、医療事故情報収集等事業やそれに関連する事業の現況について、
以下にご紹介させていただきます。
2 第41回報告書について
1)参加登録申請医療機関数
本事業に参加している医療機関数は、2015年3月31日現在で1,411医療機関となり、
前回の報告書に記した数より少し増加しました。参加登録申請医療機関数の内訳を示す図表を46頁
に掲載し、医療事故情報を報告している医療機関数、ヒヤリ・ハット事例を報告している医療機関数、
重複を除いた事業参加医療機関数などをお示ししています。また、この図表の内容は、本事業の参加
状況を示す基本的な内容であることから、ホームページの「参加登録医療機関一覧」において随時
情報を更新してお示ししています(http://www.med-safe.jp/contents/register/index.html)。
2)報告件数など
この報告書が対象としている2015年1月1日から3月31日の間に、1,020件の医療
事故情報をご報告いただきました。内訳は、報告義務対象医療機関から932件、参加登録申請
医療機関、つまり任意で参加していただいている医療機関から88件のご報告をいただきました。
-5-
この1月∼3月の報告件数を単純に1年分に換算すれば、本年も昨年の報告件数3,194件より
多い報告が続いており、医療事故を報告することが定着してきているものと考えています。そして、
将来、報告範囲に該当する事例が十分報告されるようになった段階で、特定の種類の医療事故がい
くつも減少していくことが観察されるとすれば、それは望ましいことと考えています。そのために
も有用な事例の報告、分析、情報提供という改善サイクルを回し続けることが重要です。医療事故
の発生予防や再発防止に資する事例のご報告をいただくことにより、わが国の医療安全の推進のた
めに重要な情報が得られ、広く医療機関に共有することが可能になります。医療を取り巻く環境が
厳しくなっているという指摘が多くなされる中で、医療事故やヒヤリ・ハット事例をご報告くださ
る医療機関の皆様のご協力に心より感謝申し上げます。今後とも、本報告書中の、
「Ⅰ−2 医療事
故情報収集・分析・提供事業の概要【2】医療事故情報の収集」に掲載している報告範囲(41∼
42頁)をいま一度ご確認いただき、該当事例をご報告いただければ幸いに存じます。報告範囲に
つきましてはホームページに掲載している「事業のご案内」(http://www.med-safe.jp/pdf/project_
guidance_2015_01.pdf) や 事 業 開 始 時 の お 知 ら せ(http://www.med-safe.jp/pdf/2004.09.21_1.
pdf)にも記載しております。
また、全ての事業参加医療機関にとって 、 報告範囲に該当する事例の発生を把握すること、事実
を確認して整理すること、そしてその内容をまとめて報告することは、決して容易なことではない
と考えております。しかし、本事業に参加し、質の高い報告を継続的に行うことで、事実を把握する
能力や報告する能力が高まることや、医療機関というひとつの組織として医療安全を重視した方針
を決定するための有用な資料にできることなどが期待できます。これらは医療機関における医療安
全推進だけでなく、わが国の医療安全の底上げにつながるものと考えられますので、何卒よろしく
お願いいたします。
3)任意参加医療機関からの報告件数∼任意参加医療機関からの報告を期待しています∼
任意参加の医療機関から報告される医療事故の件数については、報告義務が課せられている医療
機関の報告件数に比べ随分少ない現状が事業開始後長く続いたあと、2010年は521件と、
それまでの約3倍に増加しました。しかし、2011年は316件、2012年は347件、
2013年も341件にとどまり、2014年の報告件数も283件となっています。一方で、
任意参加の医療機関数が718施設に増加していることは、本事業へのご協力の意思のあらわれと
考えられ、大変ありがたく思っております。そして、
「参加」の段階の次は、
「報告」の段階です。
報告件数をみると、私どもの取り組みを含め、この「報告」の段階の取り組みがまだ不十分である
と考えられます。
任意参加の医療機関からの報告件数が、報告義務対象医療機関からのそれよりも随分少ないこと
は、報告に対する意識の違いを示しているとも考えられ、本事業の運営会議でも指摘されていると
ころです。本事業として講演の機会をいただいた際には、この点についてご説明し、出席者の皆様
にご協力をお願いしています。同時に、医療事故情報を外部報告することについて、医療機関や
医療界の中で十分な動機が成熟してこそ、件数だけでなく質の高い内容の報告がなされるという考
え方も併せてご説明しています。つまり、報告件数が少ないことを問題視するあまり、国がいたず
らに報告義務を拡大したり、罰則を課したりする方法で達成されるものではないと考えています。
-6-
医療事故報告件数は、医療界が医療安全に積極的に取り組んでいる姿勢が評価されるひとつの目
安になると思われます。報告義務が課せられている医療機関と任意で参加されている医療機関の間
に報告件数の大きな差があることは、必ずしも日常の診療現場の医療安全の努力の実態を反映して
いないのではないかと考えられます。任意で参加されている医療機関の皆様におかれましては、報
告範囲に該当する事例の適切なご報告に引き続きご協力くださいますようお願いいたします。
表1 医療事故の報告件数
年
報告義務
報告件数
任意参加
2006
2007
2008
2009
2010
2011
2012
2013
2014
1,114
1,296
1,266
1,440
1,895
2,182
2,483
2,535
2,708
2,911
151
155
179
123
169
521
316
347
341
283
1,265
1,451
1,445
1,563
2,064
2,703
2,799
2,882
3,049
3,194
報告義務
272
273
273
272
273
272
273
273
274
275
任意参加
283
300
285
272
427
578
609
653
691
718
合計
555
573
558
544
700
850
882
926
965
993
合計
医療機関数
2005
4)報告の現況
本報告書の「Ⅱ 報告の現況」に示している多くの図表の数値は、毎回大きな変化は見られない
傾向にあります。本事業は、変化がある場合もない場合も、医療事故やヒヤリ・ハットの現状を社会
に継続的に示し、医療の透明性を高めることに寄与していくことも役割と考えており、継続して図表
を掲載し、結果をお示ししています。
また、「当事者の直前1週間の勤務時間」「発生場所」「事故調査委員会設置の有無」「事故の概要
×事故の程度」など、報告書に掲載していない図表が、ホームページ(http://www.med-safe.jp/
contents/report/html/StatisticsMenu.html)に掲載されていますので、ご参照ください。
-7-
図1 集計表のページ(「報告書・年報」のページから推移)
「報告書・年報」のページの
「集計表(Web 公開分)
」をクリック
四半期毎の表(2014年分)
四半期毎の表(2013年分)
年報の表(2013年分)
5)個別のテーマ(102∼154頁)
今回の個別のテーマは、「インスリンに関連した医療事故」「手術中の砕石位に関連した事例」
「院内での自殺及び自殺企図に関する事例」を取り上げました。いずれも、今回初めて取り上げるテーマ
です。
これらのうち、
「インスリンに関連した医療事故」は、テーマを設定した後、それに該当するヒヤリ・
ハット事例を1年間にわたり収集しながら医療事故事例と総合的に検討し、前方視的に分析してい
くテーマです。それ以外のテーマは、2015年1∼3月に報告された重要な事例をテーマとして
設定し、同種事例を過去に遡って、後方視的に分析したものです。このように、
「個別のテーマの分析」
では、前方視的分析と後方視的分析とがあります。
-8-
表2 分析テーマ一覧
①前方視的分析を行うテーマ
(テーマに該当するヒヤリ・ハット事例を1年間収集しながら、医療事故事例と総合的に分析するテーマ)
・インスリンに関連した医療事故
②後方視的分析を行うテーマ
(1 ∼ 3 月に報告された事例の中からテーマを設定し、同種事例を過去に遡って活用し分析するテーマ)
・手術中の砕石位に関連した事例
・院内での自殺及び自殺企図に関する事例
テーマ分析の概要を次に紹介します。
① インスリンに関連した医療事故(102∼121頁)
本テーマは、事例を1年間継続的に収集し、第41回報告書から4回にわたって取り上げる予定
で、今回が初回の掲載となります。
インスリン療法は1型糖尿病、糖尿病昏睡、重篤な感染症や全身管理が必要な手術の際および
糖尿病合併妊娠では絶対適応とされています。また、2型糖尿病において食事療法、運動療法およ
び経口血糖降下薬で血糖のコントロールが不良な場合や、著明な高血糖を認める場合などでもイン
スリン治療が行われます。インスリンは皮下注射によって投与することが多く、ペン型注入器を使用
するのが一般的ですが、持続皮下インスリン注入ポンプ療法(CSII)が行われることもあります。
一方、中心静脈栄養の際に高カロリー輸液にインスリンを混ぜる方法や、末梢静脈の輸液に少量混
注する方法、手術や集中治療の場合にシリンジポンプを用いて持続静注を行う方法も用いられてい
ます。インスリン製剤は作用時間と作用様式によって、超速効型、速効型、中間型、混合型、およ
び持効型溶解インスリンなどに分類されています。また、製剤の種類としてはカートリッジ製剤、
キット製剤、バイアル製剤があり、いずれも濃度は100単位/mLに統一されています。
インスリンは特に安全管理が必要なハイリスク薬とされており、本事業ではこれまでに医療安
全情報を4回提供し、事例を紹介するとともに注意喚起を行ってきました。また、第28回報告書
(2011年)では、
「研修医が単独でインスリンの単位を誤って調製し患者に投与した事例」を分析
テーマとして取り上げ、発生要因の分析を行いました。インスリンは投与量が単位(Unit)で
設定されていること、製剤の種類が多いこと、投与方法が患者による自己注射も含め多様であること、
投与量の変更が多いことなどから、医療事故事例およびヒヤリ・ハット事例が本事業に多数報告さ
れています。そこで、インスリンに関連した医療事故事例やヒヤリ・ハット事例を個別のテーマと
して取り上げ、1年間にわたり分析を進めていくこととしました。今回は事例の発生状況を紹介し、
主な事例を概観しています。報告された事例から、必ずしも糖尿病の専門科だけではなく、様々な
診療科において、インスリンに関連した事例が発生している状況が示唆されました。医療機関におか
れましては、事例の背景・要因や改善策を参考にしていただき、教育等にご活用いただければ幸い
に存じます。
-9-
表3 医療事故事例の発生状況(2010年1月∼2015年3月)
事例の内容
薬剤 対象者
間違い 間違い
薬剤量間違い
投与速度 投与時間 重複
中止時 食事等と
無投与
針刺し その他
間違い 間違い 投与
の注射 の調整
合計
過剰 過少 不明
処方
3
0
3
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
6
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
指示出し
2
0
5
0
0
0
0
0
0
1
2
0
0
10
指示 指示受け
調剤
発生段階
0
0
4
0
0
0
2
0
4
4
0
0
0
14
その他
1
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
2
患者への説明・指導
0
0
1
0
0
0
0
0
1
0
0
0
0
1
薬剤準備
3
0
11
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
14
10
4
2
0
0
2
0
4
6
0
1
2
2
33
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
7
0
5
12
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
3
0
4
8
20
4
27
0
0
2
2
4
11
5
13
2
11
101
注射の実施
実施に伴う確認・観察
その他
合 計
② 手術中の砕石位に関連した事例(122∼140頁)
砕石位は、仰臥した状態で両脚を挙上して開脚させ、膝を曲げた状態で下肢を固定した体位で、
泌尿器科領域の膀胱・前立腺・尿道や、婦人科領域の膣・子宮、消化器外科領域の肛門・直腸など
の手術で用いられます。砕石位では、下肢の循環障害や神経障害などが起こる可能性があります。
また、コンパートメント症候群(筋区画症候群)や骨格筋の損傷(横紋筋融解症)、さらに圧挫症
候群(クラッシュシンドローム、挫滅症候群)が発生することもあります。今回、本報告書分析対
象期間に、砕石位によって手術を行った事例において、術後に腓骨神経麻痺を起こした事例が1件、
コンパートメント症候群を起こした事例が1件報告されました。そこで、本報告書では手術中の砕
石位に関連した事例を個別のテーマとして取り上げ、事業開始まで遡って事例を整理し、分析を行
いました。
報告された事例は、腹腔鏡下の手術や複数の臓器の手術など長時間手術の事例が多く、背景・要因
として、長時間にわたって同一体位のままである状況や、下肢に覆布がかかった状況下での下肢の
観察の難しさが挙げられました。砕石位で行う手術においては、手術に関わるチーム全体で下肢の
循環障害や血流障害に注意する必要があることが示唆されました。
医療機関で手術に関わる皆様におかれましては、本分析を参考にしていただき、同種事例の発生
予防に努めていただければ幸いに存じます。
表4 手術時間または砕石位であった時間
1時間
未満
1時間以上∼ 4時間以上∼ 7時間以上∼
4時間未満
7時間未満 10時間未満
10時間 「長時間」
記載なし
以上
と記載
合計
コンパートメント症候群
0
0
5
5
6
3
1
20
圧挫症候群
0
0
1
0
0
0
2
3
腓骨神経麻痺
0
0
2
2
2
1
0
7
坐骨神経麻痺
1
1
0
0
0
0
0
2
仙骨部褥瘡
0
0
0
1
0
0
0
1
仙骨部の発赤
0
1
0
0
0
0
0
1
1
2
8
8
8
4
3
34
神経障害
合 計
- 10 -
③ 院内での自殺及び自殺企図に関する事例(141∼154頁)
我が国において自殺は大きな社会問題であり、自殺対策基本法に基づき国レベルでの自殺対策が
推進されています。医療機関においても、精神疾患や障害あるいは病状の変化や疼痛等による心理的
な不調をきたしている患者に対して、早期に危険性を評価して、自殺へ至らないようサポートをす
る取り組みが行われています。
患者の自殺又は自殺企図は、
「特に報告を求める事例」として本事業に報告されています。患者
の様子や周囲の状況から自殺行動や自殺念慮を予測することは難しい場合もありますが、報告され
た事例には、起きた事象を振り返ったうえで背景・要因や改善策が記載されています。これらの情
報は、他の医療機関の自殺及び自殺企図に対する医療安全対策の検討のために有用であると考え、
個別分析テーマとして取り上げました。本報告書では、2010年1月から本報告書分析対象期間
に報告された自殺又は自殺企図に関する事例をとりまとめ、特に医療材料などを含めた「モノ」に
関連した事例に着目して分析を行いました。本稿の内容を医療機関における自殺の防止に役立てて
いただければ幸いに存じます。
表5 関連したモノ
関連したモノ
医療材料・医療機器
件数
14
酸素チューブ
5
医療機器の電源コード
(輸液ポンプ、ネブライザー)
3
弾性ストッキング
3
心電図モニタのコード
1
点滴の針
1
ハイガーゼ
1
医療材料・医療機器以外
26
ナースコール
14
ベッドの電源コード・手元スイッチのコード
4
ベッド柵
2
ポットの電源コード
1
赤外線センサーのコード
1
安全帯のマグネット
1
延長コード
1
離床センサーの紐
1
体幹拘束帯
1
合 計
40
※1つの事例に複数のモノの報告もある。
6)再発・類似事例の発生状況(155∼186頁)
第17回報告書まで掲載していた「共有すべき医療事故情報」や、
「個別のテーマの検討状況」
、そして
「医療安全情報」で取り上げた事例の中には、一度情報提供しても、実際には引き続き類似事例が報告さ
れているものがあります。そこで、
「Ⅲ−3 再発・類似事例の発生状況」では、再び報告があった事例
を取り上げ、情報提供前や提供後、現在に至るまでの類似事例の発生件数の推移、それらの類似事例に
ついて医療機関から報告された具体的な改善策などの内容を掲載しています。
過去に提供した「共有すべき医療事故情報」と「個別のテーマの検討状況」の中から、本報告書
分 析対 象 期間 に 報 告 さ れ た 再 発・ 類 似 事 例 の 件 数 を 1 5 6 ∼ 1 5 7 頁 に 掲 載 し て い ま す。
- 11 -
「共有すべき医療事故情報」の再発・類似事例の件数は、
「施設管理の事例」が8件、
「熱傷に関する事例
(療養上の世話以外)
」が7件、
「小児への薬剤倍量間違いの事例」
、
「ベッドなど患者の療養生活で使用さ
れている用具に関連した事例」
、
「病理検体に関連した事例」がそれぞれ5件などでした。
「個別のテーマ
の検討状況」の再発・類似事例の件数は、
「凝固機能の管理にワーファリンカリウムを使用していた患者
の梗塞及び出血の事例」
、
「薬剤内服の際、誤ってPTP包装を飲んだ事例」
、
「画像診断報告書の内容が
伝達されなかった事例」がそれぞれ5件、
「事務職員の業務における医療安全や情報管理に関する事例」
が4件などでした。
また、これまでに提供した「医療安全情報」の中から、本報告書分析対象期間に報告された再発・
類似事例の件数を158頁に掲載しています。このうち、
「PTPシートの誤飲およびPTPシートの誤飲
(第2報)
」
が5件、
「注射器に準備された薬剤の取り違え」
「
、移動時のドレーン・チューブ類の偶発的な抜去」
がそれぞれ4件などとなっています。
それらの中から今回取り上げたのは、
「抗リウマチ剤(メトトレキサート)の過剰投与に伴う骨髄抑制」
、
「小児への薬剤10倍量間違い」
、
「禁忌薬剤の投与」です。概要を以下に示します。
① 医療安全情報 No. 2・第2報 No. 45「抗リウマチ剤(メトトレキサート)の過剰投与に伴う
骨髄抑制」について(160∼170頁)
医療安全情報 No. 2(2007年1月提供)では、
「抗リウマチ剤(メトトレキサート)の過剰投与に伴
う骨髄抑制」を取り上げました。その後、第21回報告書の「再発・類似事例の発生状況」で取り上げ、
第27回報告書では類似事例の「抗リウマチ目的の methotrexate 製剤を誤って連日投与した事例」を個別
テーマとして掲載しました。さらに、医療安全情報 No. 45(2010年8月提供)
「抗リウマチ剤(メ
トトレキサート)の過剰投与に伴う骨髄抑制(第2報)
」により、再び注意喚起を行いました。このたび、
本報告書分析対象期間(2015年1月∼3月)においても類似の事例が2件報告されたため、再び取
り上げました。
今回は、医療安全情報 No. 45の集計期間以降の2010年7月から本報告書分析対象期間に報告された
5件の事例概要を紹介し、主な背景・要因と改善策を整理しました。抗リウマチ剤のメトトレキサート
の処方に熟練していない診療科の医師が処方する場合もあり、休薬が必要なことをシステムでアラート
表示する等、注意を喚起する仕組みの重要性が示唆されました。このように、継続して報告されている
事例に対し、繰り返し情報提供することで、同種事例の再発防止に取り組んでまいりますので、医療機
関におかれましては本稿や以前に提供した医療安全情報などを参考にしていただければ幸いに存じます。
表6 本来投与される内容、誤った内容
本来投与される内容
誤った内容
事例1
メトトレキサート(2mg)
週1回 朝1錠夕1錠
メトトレキサート(2mg)
連日1日2回朝1錠夕1錠
事例2
メトレート錠
週7mg(日曜:2mg×2錠分2、
月曜:2mg×1.5錠分1)
メトレート錠
連日服用(約5ヶ月間 2mg / 日)
事例3
メソトレキセート2.5mg
週1回
メソトレキセート2.5mg
連日投与
事例4
リウマトレックスカプセル2mg
分2(朝、夕)食後 週2回(木、金)
リウマトレックスカプセル2mg
分2(朝、夕)食後 7日間連日投与
事例5
リウマトレックスカプセル2mg
3カプセル 1日2回朝夕食後
土曜日
リウマトレックスカプセル2mg
3カプセル 1日2回朝夕食後
土曜日から連日投与
- 12 -
② 医療安全情報 No. 29「小児への薬剤10倍量間違い」について(171∼180頁)
医療安全情報 No. 29(2009年4月提供)では、小児に対して、薬剤を10倍量に間違え、
過量投与した「小児への薬剤10倍量間違い」を取り上げました。このたび、本報告書分析対象期
間(2015年1月∼3月)においても類似の事例が1件報告されたため、再び取り上げることと
しました。
本報告書では、2013年1月から本報告書分析対象期間に報告された類似の事例7件について、
事例の内容や主な背景・要因、改善策を取りまとめて紹介するとともに、2009年7月から本報
告書分析対象期間までに報告された13件の事例について、薬剤名、予定した薬剤量と投与した薬
剤量、患者の年齢を整理し、背景・要因を分析しました。医療機関で小児の診療に携わる皆様にお
かれましては、本報告書をご活用いただき、同種事例の防止に努めていただければ幸いです。
表7 事例の内容
投与した薬剤
予定した薬剤量
投与した薬剤量
患者の年齢
27mg / 回
270mg / 回
0ヶ月
インダシン静注用
1mg
0.07mg / 回
0.
7mg / 回
0ヶ月
オリベス点滴用1%
0. 27mL / h
2. 7mL / h
2ヶ月
0.3mg / 回
3mg / 回
2ヶ月
60mg / 回
600mg / 回
6ヶ月
エスラックス静注
50mg / 5.0mL
2.5mg / h
25mg / h
1歳
ヘパリンナトリウム
1500単位
15000単位
1歳
デノシン点滴静注用
500mg
50mg / 回
500mg / 回
2歳
マイスタン細粒1%
0.
4mg / 回
4mg / 回
3ヶ月
25mg / 日
250mg / 日
9ヶ月
0. 09g / 日
0. 9g / 日
10ヶ月
4. 5mg / 日
45mg / 日
3歳
27mg / 日
270mg / 日
3歳
0. 3錠 / 日
3錠 / 日
11歳
塩酸バンコマイシン散
0.5g
アデホス−Lコーワ注
注 20mg
射
薬 アセリオ静注液
1000mg
内
服
薬
テグレトール細粒
50%
プレドニゾロン散「タケダ」
1%
イムラン錠50mg
※ひとつの事例に複数の薬剤が関連した場合がある
- 13 -
③ 医療安全情報 No. 86「禁忌薬剤の投与」について(181∼186頁)
医療安全情報 No. 86(2014年1月提供)では「禁忌薬剤の投与」を取り上げ、患者の疾患や病態
を把握していたが添付文書上「禁忌」として記載のあることを知らず、薬剤を投与した事例を紹介しま
した。このたび、本報告書分析対象期間(2015年1月∼3月)においても類似の事例が1件報告さ
れたため、再び取り上げました。
本報告書では、2014年1月から本報告書分析対象期間に報告された5件の事例について、疾患
名及び投与した薬剤を整理し、添付文書の記載とともに紹介しています。このうち3件はパーキンソン
病の患者に禁忌であるセレネースを投与した事例です。また、事例が発生した医療機関の改善策を取り
まとめて示しています。医療機関におかれましては、他施設からの報告を分析した内容を参考に、同種
事例の防止に役立てていただければ幸いに存じます。
表8 疾患名及び投与した薬剤
疾患名又は病態
投与した薬剤
(主たる薬効)
件数
パーキンソン病
セレネース注5mg
(抗精神病剤)
3
事例に関連した「警告」や「禁忌」について添付文書に記載された内容
禁忌(次の患者には使用しないこと)
(4) パーキンソン病の患者[錐体外路症状が悪化するおそれがある。]
禁忌(次の患者には使用しないこと)
高血圧症の高齢者
尿管カテーテルの
挿入による外傷
活動性の結核症
ビジクリア配合錠
(経口腸管洗浄剤)
イムノブラダー
膀注用80mg
(抗悪性腫瘍剤)
1
1
2. 高血圧症の高齢者[急性腎不全、急性リン酸腎症
(腎石灰沈着症)等が発現するおそれがある。]
警告
1. 本剤の臨床試験において、カテーテル挿入等により外傷を生じた
後の BCG 投与による播種性 BCG 感染に起因したと考えられる死亡
例が認められており、米国においても同様の症例が報告されてい
る。したがって、経尿道的膀胱腫瘍切除術(TURBT)、生検及びカテー
テル挿入により外傷を生じた直後には本剤を投与すべきではなく、
外傷の治癒の状態を観察しながら、7日から 14 日間間隔をあけて
投与すること。
禁忌(次の患者には使用しないこと)
3. 活動性の結核症が明白である患者[活動性の結核患者に本剤を投与
すると重篤な副作用を招くおそれがある。]
3 医療事故、ヒヤリ・ハット事例データベースとホームページの機能
1)事例の公開・検索機能
本事業のホームページの「公開データ検索」のボタンをクリックすると、図2の画面が現れます。
このページ上で、医療事故情報やヒヤリ・ハット事例を閲覧することができます。また、図の下方に
ボタンがあり、選択した事例を「XML」
「PDF」
「CSV」の3つのファイル形式で、皆様のコン
ピュータにダウンロードして活用することが可能です。このような事例を参考に、安全な診療、看護、
調剤などのマニュアルの整備や医薬品の表示の改善、医療安全分野の医学的、工学的な研究が行わ
れています。また、医療事故が発生した場合に、類似事例を閲覧することで、患者の病状の推移や治
療方法などの点で参考になります。本機能の活用に関するアンケート調査では、
「医療事故発生時の
参考資料」
「安全管理委員会の参考資料として使用」
「安全管理に関連した研修会の教材」などが多
く回答されました。
- 14 -
以上の機能は、本事業に参加しておられる医療機関や研究者の皆様、またその他多くの皆様より、
報告書に掲載される事例が多くなり内容も豊富になっているため、Webを活用した事例の閲覧や検
索ができるシステムの開発を望む声を多くいただいてきたことに対応したものです。そしてこの検索
ページでは、本稿執筆時点で医療事故情報14,
627件、ヒヤリ・ハット事例35,
032件が検索
できます。
ご報告いただいた情報をこのような形で公表し、それが適切に活用されることによって医療提供の
仕組みやモノの改善が進んだり、紛争解決に寄与し、その成果が実感されることによりさらに報告が
定着する、といった医療安全の好循環が生じ、医療界だけでなく我が国の社会において重要な機能と
して定着していくことを願っています。
図2 医療事故、ヒヤリ・ハット事例を閲覧できるページ
キーワードの入力
事例概要の選択
ファイル形式毎のダウンロードボタン
2) 国立大学附属病院における医療上の事故等の公表に関する指針について
∼本事業を通じた医療機関による医療事故の公表∼
医療事故が発生した場合は、医療機関が医療の透明性を高めることや、事例を他施設の活用に供
することによって、同種事例の再発防止を図ることなどを目的として、また、医療事故の当事者や
家族が、医療事故を再発防止のために活用することを希望することに対応する目的などから、医療
機関が事例を公表することがあります。
国立大学附属病院長会議では、2005年3月に「国立大学附属病院における医療上の事故等の
公表に関する指針」を策定し、医療上の事故等が発生した場合の公表に関する基準を示しました。
- 15 -
その後、本事業を通じた医療事故の概要、再発防止策その他の医療安全情報に関する社会的な公表
システムが定着し、機能するようになっているという認識に基づき、2012年に同指針が改定さ
れました。改訂前の指針と同様、各国立大学附属病院において、医療上の事故等につき、医療の透
明性を高め、国民からの信頼向上をはかるとともに、他医療機関における医療安全管理の徹底及び
再発防止に資することを目的として、公表を行うための一定の基準が示されています。このように
現在では、本事業は、国立大学附属病院における医療事故の公表に関連しています。具体的には、
本事業の報告範囲に則して医療事故情報をご報告していただく中で、国立大学附属病院における医療
事故の公表に関しては、一部の医療事故事例を医療機関のホームページ等を通じて公表し、その他
の多くの事例を本事業への報告を通じて公表することとされています。このように、本事業の成果物、
特に公開データ検索の機能は、医療の安全に関する透明性の向上や、各医療機関の医療事故の公表
という重要な役割を担っていると考えています。
3)
医療事故情報収集等事業のデータベースを活用した医薬品の取り違え防止のための製薬企業の対応
∼「ノルバスク」
と
「ノルバデックス」
の販売名類似による取り違えに関する注意喚起 ∼
本事業の事例データベースを活用し、
「アルマールとアマリール」
、
「ノルバスクとノルバデックス」
などの名称類似薬の取り違えについて、製薬企業から注意喚起がなされていることを、過去の報
告書でご紹介しました(第34回報告書 19∼21頁、第29回報告書 13∼18頁、平成
24年年報 25∼29頁、平成23年年報 16∼19頁)。良く知られた名称類似薬である
「ノルバスク(一般名:アムロジピンベシル酸塩)
:高血圧症・狭心症治療薬/持続性C a 拮抗薬」
と「ノルバデックス(一般名:タモキシフェンクエン酸塩)
:抗乳がん剤」の取り違えについても、
製薬企業より、本事業の成果を引用した注意喚起が繰り返し行われてきており、2013年11月
に再び注意喚起がなされ、2014年7月及び2015年5月にその情報が更新されました(http://
www.pmda.go.jp/files/000204707.pdf)
。
医療従事者に対してそのことを説明するために企業名で公表された文書には、本事業に報告され
た事例が紹介されているとともに、具体的な表示や検索システムの改善による対策、医薬品の概観
の写真などが紹介されています。また、対策がとられていても、医師に異動や非常勤といった事情
があることにより、対策が十分理解されていないことによる取り違えの事例もあることから、周知
徹底を呼びかけています。
このように、医療の現場の安全性を高めることにより、国民に安全な医療を提供することにつな
がる改善のために、本事業の成果が活用されることは、事業の趣旨に即した適切な取り組みである
と感謝しております。
- 16 -
図3 「ノルバデックス ®」と「ノルバスク ®」の販売名類似による取り違え注意のお願い
- 17 -
4)ホームページの機能追加
2013年、本事業のホームページに、①「分析テーマ」と②「再発・類似事例の発生状況」の
ボタンを追加しました(図4)。
図4 本事業のホームページ
①「分析テーマ」のボタン
②「再生・類似事例の発生状況」のボタン
① のボタンをクリックすると、第1∼40回報告書で取り上げた分析テーマについて、テーマ
のタイトルと該当するページのPDFファイルを閲覧することができます。
図5 分析テーマのページ
該当ページのPDFファイル
第40回報告書
分析テーマ
第39回報告書
分析テーマ
第38回報告書
分析テーマ
- 18 -
事業開始後、第1∼41回報告書に掲載したテーマの一覧のうち過去3年分を次に示します。
表9 報告書で取り上げた分析テーマ一覧(過去3年分)
年
回数
2015年 第41回
第40回
第39回
2014年
第38回
第37回
第36回
第35回
2013年
第34回
第33回
延べテーマ
No.
テーマ
168
167
166
165
164
163
162
161
160
159
158
157
156
155
154
153
152
151
150
149
148
147
146
145
インスリンに関連した医療事故
手術中の砕石位に関連した事例
院内での自殺及び自殺企図に関する事例
職種経験1年目未満の看護師・准看護師に関連した医療事故
カリウム製剤の急速静注に関連した事例
放射線治療の照射部位の間違いに関連した事例
口頭による情報の解釈の誤りに関連した事例
職種経験1年目未満の看護師・准看護師に関連した医療事故
皮膚反応によるアレルギーテストの実施時の試薬に関する事例
内視鏡の洗浄・消毒に関する事例
職種経験1年目未満の看護師・准看護師に関連した医療事故
後発医薬品に関する誤認から適切な薬物療法がなされなかった事例
無線式心電図モニタの送受信機に関連した事例
調乳および授乳の管理に関連した事例
職種経験1年目未満の看護師・准看護師に関連した医療事故
気管切開チューブが皮下や縦隔へ迷入した事例
事務職員の業務における医療安全や情報管理に関する事例
血液浄化療法(血液透析、血液濾過、血漿交換等)の医療機器に関連した医療事故
薬剤の自動分包機に関連した医療事故
造血幹細胞移植に関するABO血液型の誤認
はさみを使用した際、誤って患者の皮膚や医療材料等を傷つけた事例
血液浄化療法(血液透析、血液濾過、血漿交換等)の医療機器に関連した医療事故
医療機関と薬局の連携に関連した医療事故
血液浄化療法(血液透析、血液濾過、血漿交換等)の医療機器に関連した医療事故
144
血液凝固阻止剤、抗血小板剤投与下(開始、継続、中止、再開等)での観血的医療行為
に関連した医療事故
143
142
141
リツキシマブ製剤投与後のB型肝炎再活性化に関連した事例
胸腔穿刺や胸腔ドレーン挿入時に左右を取り違えた事例
血液浄化療法(血液透析、血液透析濾過、血漿交換等)の医療機器に関連した医療事故
140
血液凝固阻止剤、抗血小板剤投与下(開始、継続、中止、再開等)での観血的医療行為
に関連した医療事故
139
アドレナリンの希釈の呼称に関連した事例
次に②のボタンをクリックすると、第18∼40回報告書で取り上げた、
「再発・類似事例の発生
状況」のテーマについて、テーマのタイトルと該当するページのPDFファイルを閲覧することが
できます。
- 19 -
図6 再発・類似事例の発生状況のページ
該当ページのPDFファイル
第40回報告書
再発・類似事例の
発生状況
第39回報告書
再発・類似事例の
発生状況
第38回報告書
再発・類似事例の
発生状況
第18回報告書から開始した「再発・類似事例の発生状況」で掲載した内容の過去3年分を次に
示します。
表10 報告書で取り上げた「再発・類似事例の発生状況」一覧(過去3年分)
年
回数
2015年 第41回
第40回
第39回
2014年
延べテーマ
No.
75
74
「禁忌薬剤の投与」
(医療安全情報No. 86)について
「小児への薬剤10倍量間違い」
(医療安全情報No. 29)について
73
「抗リウマチ剤(メトトレキサート)の過剰投与に伴う骨髄抑制」
(医療安全情報No. 2 第2報No. 45)について
72
「画像診断報告書の確認不足」(医療安全情報No. 63)について
71
共有すべき医療事故情報「三方活栓の閉塞や接続外れ等、使用に関する事例」
(第11回報告書)について
70
69
「未滅菌の医療材料の使用」
(医療安全情報No. 19)について
「清拭用タオルによる熱傷」
(医療安全情報No. 46)について
68
「ガベキサートメシル酸塩使用時の血管外漏出」(医療安全情報No. 33)、
「ガベキサートメシル酸塩使用時の血管炎」(医療安全情報No. 77)について
67
共有すべき医療事故情報「歯科診療の際の部位の取り違えに関連した医療事故」
(第15回報告書)について
66
65
64
63
「小児の輸液の血管外漏出」
(医療安全情報No. 7)について
「電気メスによる薬剤の引火」
(医療安全情報No. 34)について
「間違ったカテーテル・ドレーンへの接続」(医療安全情報No. 14)について
「処方入力の際の単位間違い」(医療安全情報No. 23)について
62
共有すべき医療事故情報「熱傷に関する事例(療養上の世話以外)」
(第11回報告書)について
61
60
59
58
57
「湯たんぽ使用時の熱傷」(医療安全情報No. 17)について
「誤った患者への輸血」(医療安全情報No. 11)について
「ベッドからベッドへの患者移動に関連した医療事故」(第13回報告書)
「製剤の総量と有効成分の量の間違い」(医療安全情報No. 9)について
「MRI検査室への磁性体(金属製品など)の持ち込み」
(医療安全情報No. 10)について
56
共有すべき医療事故情報「ベッドのサイドレールや手すりに関連した医療事故」
(第13回報告書)について
第38回
第37回
第36回
第35回
2013年
第34回
第33回
テーマ
- 20 -
さらに、2014年には「公開データ検索」のページに、
関連診療科(図7)
、及び、
関連職種(図8)
を選択できるプルダウンメニューを設定しています。本事業に対して、各診療領域の基幹的な学会
から講演依頼を受けることがあり、学会の医療安全関連の委員会の事業として、有害事象の収集を
検討されている学会もあるようです。しかし、事例収集をシステムとして行うことは、容易ではな
いことから、本事業の「公開データ検索」のページの活用を検討する学会もありました。そのよう
な検討にあたっては、関連診療科や関連職種を絞り込む機能は有用なものと考えられます。これら
の機能追加により、
「公開データ検索」の機能が医療安全の推進のために一層活用されることを願っ
ています。
図7 関連診療科を絞り込む機能(プルダウンメニュー形式)
図8 当事者職種を絞り込む機能(プルダウンメニュー形式)
- 21 -
4 本事業の成果物の活用に関するアンケート調査の結果について
本財団は、本年、創立20周年を迎えます。本財団は、病院機能評価事業を始めとする、医療の質・
安全の向上に関する様々な事業を運営しており、その多様性は、国際的にみても本財団の大きな特徴で
あると考えています。
また来年は、
第33回ISQua国際会議を東京で開催することも決定しています。
そこでこのような機会に、本財団が運営してきた事業が、医療現場における医療の質の向上に与えてき
た影響を把握するために、本事業においてこれまでに作成、提供してきた成果物について、参加医療機
関における活用状況をアンケート調査しました。調査を依頼した1,
378施設のうち735施設から
回答がありました(回答率53.
3% 有効回答率100%)
。
具体的には、
「報告書及び年報」
「医療安全情報」
「公開データ検索(データベース)の機能」について、
活用状況をうかがいました。
「活用している」
または
「どちらかというと活用している」
と回答した割合は、
「報告書及び年報」が69.
0%「医療安全情報」が95.
5%、
「公開データ検索」が37.
8%でした。
「医療安全情報」は、
その「情報量」
「頻度(ひと月に1回)
」
「わかりやすさ」についても、
「適切である」
「どちらかというと適切である」とする割合が96.
6∼99.
0%という大変高い結果でした。このことは、
多忙な医療現場の職員に、有効に情報を伝達するための媒体として、情報量を絞り込み、一定の頻度
(ひと月に1回)で、文字を大きくしたり色を変えたりイラストを取り入れるなどして視認性にも配慮
した媒体が好感されるものと考えられ、今後の情報発信手段の検討に有用な知見であると考えられました。
医療安全情報の活用方法としては、
「職員全体に周知」
「安全管理委員会に周知、資料として活用」
「取
り上げられたテーマに関連した診療科や部署に周知」
「事故発生時の参考資料」
「院内に医療安全情報
の印刷物を掲示」などがありました。
「報告書及び年報」は、500床以上の病院では、7割を超える医療機関が「活用している」または
「どちらかというと活用している」と回答していました。また、医療事故報告件数が少ない任意参加の
医療機関においても、7割を超える割合でした。報告件数の少なさとは別に、成果物を活用した医療安
全の取り組みは盛んになされていると推測されました。定型化している報告書の構成の中では、
「個別
テーマの検討状況」
「再発・類似事例の発生状況」の部分が特に活用されていました。これらの部分を充
実していくことが重要と考えられました。
「報告書及び年報」の活用方法としては、
「事故発生時の参考
資料」
「取り上げられたテーマに関連した診療科や部署に周知」
「安全管理委員会に周知、資料として活
用」
「安全管理に関連した研修会の教材」
「職員全体に周知」などがありました。
「公開データ検索(データベース)の機能」は、個別事例が検索、閲覧できる機能ですので、本来、日々
の診療や看護に頻繁に活用されるというよりも、会議資料の作成、マニュアルなどの改訂時の参考、医療
事故発生時の参考、研究における活用などを想定しています。また、法令に基づき、公費で運営してい
る本事業の透明性を高く保つことにも有用であると考えています。
「活用している」または「どちらか
というと活用している」と回答したのは約4割の医療機関でした。活用の方法としては、
「事故発生時
の参考資料」
「安全管理委員会の資料等として活用」などがありました。また、
「活用していない」理由
を尋ねていますが、
「知らなかった」
「活用する機会がない/報告書や医療安全情報がより有用である」
という回答が多くありました。
「報告書や医療安全情報がより有用である」という内容の回答は、本事
業の成果物の間の相対的な有用性を回答しているのであって、
「公開データ検索」単独の有用性を回答
したものではないことが推測されます。そこで、今後も報告書や年報、研修会、講演などの機会に機能
や活用例の周知を図ることが重要であると考えられました。
- 22 -
図9 本事業の成果物の活用に関するアンケート結果(抜粋)
【報告書及び年報】
●活用方法
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【医療安全情報】
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●活用方法
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【公開データ検索(データベース)の機能】
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- 23 -
40
23
17
5 医療事故情報収集等事業平成25年年報英語版及び医療安全情報 No. 84∼95英語版
の公表と Canadian Patient Safety Institute(cpsi-icsp)のプロジェクト「Global Patient
Safety Alerts」を通じた情報発信
医療事故情報収集等事業では、平成17年年報より英語版を作成し、ホームページを通じて公表
したり、海外からの訪問者の方々に差し上げたりして、事業の内容や成果の周知に活用してきまし
た。本年3月末に、平成25年年報の英語版である、「Project to Collect Medical Near-Miss/Adverse
Event Information 2013 Annual Report」を公表いたしました。この内容は、ホームページで閲覧、
ダウンロードできるとともに、検索のページ(報告書類・年報検索 Full Text Search:http://www.
medsafe.jp/reportsearch/SearchReportInit)より、英語による検索が可能です。
図10 医療事故情報収集等事業平成25年年報英語版と目次
また、医療安全情報の英語版も作成して、それらを海外に向けて情報提供しています。本年3月末
には、新たに医療安全情報 No. 84∼95の英語版を公表しました。それらは、本事業のホームページ
の英語のページ(http://www.med-safe.jp/contents/english/index.html)に掲載していますので、機会
がありましたらご活用いただければ幸いに存じます(図11∼12)。
また引き続き、カナダの Canadian Patient Safety Institute(cpsi-icsp)がWHOと行う共同プロジェクト
である「Global Patient Safety Alerts」において、医療安全情報英語版を世界的に共有することのご依頼を
いただいたことから、そのプロジェクトを通じた情報発信も続けています。同プロジェクト「Global
Patient Safety Alerts」のホームページの協力団体には、本財団の名称を掲載していただいており、
同時に、医療安全情報英語版へのリンクを作成していただいています。また、閲覧用アプリも提供され
ています。このように、本事業の英語のホームページの他に、
「Global Patient Safety Alerts」のページ
の協力団体のページや検索機能、アプリを通じて、医療安全情報英語版の内容が世界から閲覧されて
います(図13∼14)。
- 24 -
図11 新たに医療安全情報 No. 84- 95(英語版)を追加掲載した本事業の「English」ページ
図12 医療安全情報(英語版)の例
- 25 -
図13 Canadian Patient Safety Institute(cpsi-icsp)のホームページ
図14 世界のアラートを検索できるアプリ(Global Patient Safety Alerts)の画面
(Canadian Patient Safety Institute)及び医療安全情報(英語版)
- 26 -
6 WHOにおける有害事象報告システム(Minimal Information Model for Patient Safety:
MIMPS)の開発について
WHOでは2004年10月に創設した医療安全プログラムを継続して実施する中で、国際的に医療
安全を推進するための方法論として、本事業と類似の方法論である、有害事象を報告しそれを分析し
て再発防止を図る学習システムを開発するプロジェクトを進めています。2005年には、医療安全の
分野でよく知られている「WHO Draft Guidelines for Adverse Event Reporting and Learning Systems」
(http://www.who.int/patientsafety/events/05/Reporting_Guidelines.pdf?ua=1) を 作 成、 公 表 し、
その中で、体系的な有害事象の収集を通じた学習システムの基本原則などが述べられました。
本事業も、我が国における有害事象の報告、学習の仕組みとして紹介されています。次に、有害事
象を把握するための基盤的なシステムの一つとして、Conceptual Framework for the International
Classification for Patient Safety(ver.1)が作成、公表されました。その中では、インシデントを把握
するために、発生に寄与した因子、患者の要因、インシデントの特徴、発見の契機、重症度に影響し
た要因、患者への影響、組織への影響、対策などについて様々な項目が提案されています。そしてそ
の成果に基づいて、施設レベルを超えて世界レベルで学習したり、情報を共有したりできるシステム、
Minimal Information Model for Patient Safety(MIMPS)が開発されつつあります。EUでは、任意に
MIMPS を施行し、その結果をフィードバックしてさらに改訂を進めることとされています。これら
の取り組みによって、国際的に標準的で比較可能なテンプレートの開発、報告システムの活用ガイド
ラインの開発、MIMPS に基づいて開発された報告制度の評価可能性、適切な用語の設定、研究発表
や報告制度にとって支援的な発表など報告の成果が期待されています。今後に向けて、報告、学習の
制度を補強する情報源、非懲罰的で報復的でもない安全文化の醸成、情報の法的保護、学習システム
の開発などが課題として挙げられています。
7 ISQua(International Society for Quality in Health Care)との連携について
ISQuaが行っている国際認定を評価項目及び組織について取得し、本財団は今後さらに広く
国際的な視点に立って、我が国の医療の質の向上に寄与したいと考えています。そこで、本年に本
財団が設立20周年を迎えることを機に、日本でISQua国際学術会議を招致することについて、
ISQuaに立候補の申し入れをしたところ、翌2016年の開催が認められました。この機会を
活用して、同会との連携を深める中で、国際的な流れに即した取り組みを実践することだけでなく、
交際的な流れの形成に参加することにも取り組んでいます。
ISQua(The International Society for Quality in Health Care)は、医療の質の向上に関わ
る国際団体で1985年に設立され、現在の本部はダブリン(アイルランド)に置かれています。
そして、約70カ国の組織会員、個人会員とアイルランド政府から資金を得て運営されています。
本財団は組織会員として登録するとともに、個人会員として、8名の理事が参加しています。
ISQuaの主な事業は次の通りです。
・病院等の第三者評価に関する国際認定(IAP : International Accreditation Programme)
・学会誌 International Journal for Quality in Health Care の出版
・医療の質向上に関する教育・啓発事業(ISQua Education)
・国際学術会議 International Conference の開催
- 27 -
このようにISQuaでは、国際学術会議を毎年開催しており、昨年10月にブラジルのリオ・デ・
ジャネイロで開催された第31回国際学術会議では、
「ガバナンス、リーダーシップ、医療政策」
「科学の進歩と患者安全の対策」
「患者安全の医療」
「第三者評価と外部評価のシステム」
「教育と研究」
「発展途上国との学習」
「医療情報技術の相対的な有効性と医療技術評価」
「弱者や高齢者に対する医療及び社会的ケア」
「統合的なケア」
などのテーマについて演題発表等が行われました。本財団からも、医療事故情報収集等事業、薬局
ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業の口演を含む5演題を発表しました。
また、学会会期中はブースを出展して、本財団の運営する病院機能評価事業、認定病院患者安全
推進事業、医療事故情報収集等事業、薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業、産科医療補償制度、
EBM医療情報事業(Minds)について紹介し、2016年の東京開催に向けた準備を開始してい
ます。
図15 第31回ISQua国際学術会議のプログラム(本事業関連部分)
2016年の東京開催は、2016年10月16日(日)∼19日(水)東京国際フォーラムに
て開催の予定です(http://jcqhc.or.jp/banaimg/ISQua.pdf)
。なお、本年の開催予定地及び期日は、
2015年10月4日(日)∼7日(水)
、カタール(ドーハ)であり、昨年同様に、事業の内容
や成果について発表する予定です。
- 28 -
図16 ISQua2016国際会議の東京会議開催を伝える記事(ISQuaホームページより)
最近では、本財団はISQuaと共同で、インターネット講義である Webinar の日本語版である
「Japanese Webinar」を運営することによって、一層の情報発信に努めています。同時に、同じ内容
を英語版の Webinar でも情報発信しています。
図17 ISQuaとの共同企画である教育プログラム「Japanese Webinars」へのリンク
- 29 -
図18 Japanese Webinars のページ
図19 本事業の情報発信を行った Webinar(2014年10月20日)
- 30 -
本財団は、2013年、ISQuaが実施している国際認定プログラム(IAP : International
Accreditaion Programme)を受審しました(図20)
。本財団では過去に Ver.4.0 および Ver.5.0 につ
いて項目認定を取得していましたが、新たに2014年度から運用を開始した「機能種別版評価項目
3rdG: ver.1.0」に関する項目認定と、本財団の運営に関する組織認定を受審しました。約1年にわた
り準備を進めた過程においては、IAPの評価項目を理解して自己評価を作成することや、受審プロ
グラムチームで議論しながら根拠となる資料をまとめたりすることが、国際的な評価基準に即した第
三者評価を提供していく上で、事務局としての本財団の組織体制や業務の考え方を見直す良い機会と
なったと考えています。このようにISQuaのプログラムを本財団の改善のために活用しています。
図20 ISQua認定ロゴ
組織認定
項目認定
8 2014年度マレーシア国別研修「EPP医療機器の規制システム」
マレーシアでは、従来、海外からの医療機器が比較的に自由に使用できていましたが、2012年
10月に医療機器法が施行されて以降、同法律に基づき、行政による医療機器の品質/安全性にかか
る監督機能をより強化することが求められるようになりました。そこで、マレーシアの医療機器にか
かる監督官庁の職員の皆様が、我が国の医療機器に関する監督機能(規制の概要、審査方法、モニタ
リング体制等)を正しく具体的に理解し、医療機器の審査時にスムーズな手続きが可能となることを
目的とした研修のために来日されました。そのプログラムのひとつとして、2015年2月20日に
本財団に来訪され、後、坂口より、本事業のご説明をしました。
なお、本研修は、マレーシア側の研修員を2006年度から10年間受け入れる、経済連携研修
(Economic Partnership Program、EPP)の枠組みで実施されているものです。
9 Ireland-Japan Social Science Symposia: 2nd Symposium における講演
2014年9月19日には、東京大学と University College Dublin(アイルランド)が共同で交互
に開催している、医療や社会保障に関するシンポジウムにご招待いただき、本事業について講演させ
ていただきました。後から、本財団の医療の質・安全に関する多様な事業の紹介、医療事故情報収集
等事業の説明、産科医療補償制度の説明、2015年10月に施行が予定されている、医療法に基づ
く医療事故調査制度の概要などについてご説明しました。講演後の質疑応答の内容は、「アイルラン
ドでも有害事象報告制度を開始したいが、 No-blame culture が不十分で十分理解が得られていない。
」
- 31 -
「日本の医療事故情報収集等事業をみると、全国規模の理解は得られているようだが、地域や施設と
いった小さな単位でも事例収集の理解は得られているのか。小さい単位では、ますます どこの事例?
誰の事例? といわれがちである。」「そのような困難はあるが、それでもアイルランドでも有害事
象報告制度を開始し機能させなければならない。」「患者から直接医療事故報告をすることはできるの
か。」「記者会見にはどのようなメディアが来るのか。医療事故の記者会見でメディアとの関係を良好
に保つためにはどのような工夫をしたのか。」などの質問やご意見をいただき、本事業の運営におい
て経験してきた内容などをご説明しました。
図21 Ireland-Japan Social Science Symposia: 2nd Symposium の内容を伝えるサイト
図22 Ireland-Japan Social Science Symposia: 2nd Symposium のプログラム
- 32 -
10 「OECD医療の質レビュー:日本 スタンダードの引き上げ 評価と提言」の公表について
OECD(Organisation for Economic Co-operation and Development、経済協力開発機構)は、
OECD加盟諸国の国別の医療の質を審査、評価し、一連の報告書を作成、公表しています。OECD
「医療の質のレビュー」は、人々がより健康に生活することを支えるよう、多大な医療資源を効率的
に活用するために、医療の質向上のためのより良い政策の開発を紹介・支援することを目指す取り
組みです。その取り組みにおいて、この報告書は、日本の医療の質を審査し、最良の政策を紹介し、
医療の質向上のために特にプライマリーケア、病院医療、精神医療の分野においての一連の評価と提
言を提供することを目指したものとされています。
2014年3月11日には、我が国の医療の質の向上に関する取り組みの調査として、OECD
より3名の方が本財団に来訪されました。そこで、本財団が運営する事業のうち、本事業や、病院
機能評価事業、産科医療補償制度、EBM医療情報事業などについてご説明しました。その後、その
内容を含む報告書が2014年11月5日に公表されました。本事業に関しては、2004年から、
本財団医療事故防止事業部において、医療事故やヒヤリ・ハット事例の体系的な収集が行われてきた
ことや、医療事故の発生予防、再発防止を目的として、定期的な報告書や年報、医療安全情報、研
修プログラムの提供がなされていることなどが紹介されています(http://www.oecd.org/els/healthsystems/ReviewofHealthCareQualityJAPAN_ExecutiveSummary.pdf)
。
図23 OECD医療の質レビュー:日本 スタンダードの引き上げ
- 33 -
11 依頼講演への対応
医療機関、薬局や、関係団体などのご依頼に対応して、本事業の現況や報告書、年報、医療安全
情報などの成果物の内容をご説明する講演を、毎年国内外で40回程度行っています。ご説明させ
ていただいている内容は表11の通りです。本事業にご参加いただいている医療機関の皆様の中で、
ご希望がございましたらできるだけ対応させていただきますので、ご連絡いただければ幸いに存じます。
表11 講演内容
1 医療事故情報収集等事業について
・事業の趣旨、概要
・報告書の内容(集計結果、テーマ分析の内容)
・医療安全情報
・ホームページの活用方法
・原因分析の意義、方法
・海外への情報発信
2 薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業
・事業の趣旨、概要
・集計報告、平成21∼25年年報の内容(集計結果、テーマ分析の内容)
・薬局ヒヤリ・ハット分析表の活用
・共有すべき事例の活用方法
・ホームページの活用方法
3 産科医療補償制度について
・制度の趣旨、概要
・審査の現況
・原因分析の現況
・原因分析の考え方
・再発防止の現況
4 その他
・医療事故情報収集等事業、産科医療補償制度、その他の類似制度の特徴や今後の発展について
12 医療事故調査制度の創設について
第186国会(会期:2014年1月24日∼6月22日)において、医療事故調査制度の機能を
担う「医療事故調査・支援センター」に関し、医療事故の定義や目的や「医療事故調査・支援センター」
の業務などを規定した条文が盛り込まれた医療法改正案を含む、「地域における医療及び介護の総合
的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律案」が衆議院、参議院の厚生労働委員会お
よび本会議において審査、審議された結果、2014年6月18日に参議院本会議において賛成多数
により可決成立し、2014年6月25日に交付されました。また、当該法律の附則において、医療
事故調査制度に関し、検討規定が設けられており、政府は、医療事故調査の実施状況等を勘案し、医師
法第二十一条の規定による届出及び医療事故調査・支援センターへの医療事故の報告、医療事故調査
及び医療事故調査・支援センターの在り方を見直すこと等について検討を加え、その結果に基づき、
当該法律の公布後2年以内に法制上の措置その他の必要な措置を講ずるものとする、こととされてい
ます。
- 34 -
図24 医療事故に係る調査の仕組み(厚生労働省作成資料)
施行日は、2015年10月1日と定められていますので、本年10月には医療事故調査制度
が開始されることになります。医療事故調査制度の院内事故調査の手順については、第三者機関
への報告を含め、厚生労働省においてガイドラインを策定することとされました。この検討は、
2014年7月から2015年3月まで厚生労働科学研究班「診療行為に関連した死亡の調査の
手法に関する研究」
(西澤班)において、また、同時に11月から3月まで厚生労働省の「医療事
故調査制度の施行に係る検討会」において行われました。本年3月20日には、「医療事故調査
制度の施行に係る検討会」が6回にわたって検討した結果が公表されました(http://www.mhlw.
go.jp/stf/shingi2/0000078202.html)
。その後、厚生労働省から医療法施行規則の一部を改正する
省令案が公表され、2015年3月23日から4月21日の意見の募集期間を経て、5月8日に省令
や通知(http://www.
(http://wwwhourei.mhlw.go.jp/hourei/doc/hourei/H150508G0010.pdf) mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/i-anzen/hourei/dl/150508-1.pdf)が発出されました。
- 35 -
図25 医療事故調査制度の施行に係る検討について(厚生労働省作成資料、目次を抜粋)
先述した検討会の結果には、医療事故の定義、医療事故の遺族への説明事項等、医療機関が行う
医療事故調査、医療機関からセンターへの調査結果報告、センター業務などの事項について、省令
や通知の案が示されており、2015年5月8日付の通知では、ほぼ同じ内容が通知の別添として
示されています。そこで、今後、この検討結果の内容に即して医療事故調査制度の開始のための準
備が進むものと考えられます。10月以降は、同趣旨の類似の事業として、本事業と医療事故調査
制度とがいずれも運用される状況になります。その際に、医療事故調査制度では、例えば、医療事
故調査の結果を体系的に整理、分析して再発防止のための媒体を作成し、周知を図ることなど、本
事業と共通する方法論を採ることが通知の別添資料から推測されます。また、医療機関から死亡事
例や非死亡事例、ヒヤリ・ハット事例の報告を受け、さらに現地確認調査や文書による確認、医療
事故調査報告書などの追加情報の提供による情報収集によって情報を充実し、それらの情報を基盤
として再発防止に取り組んでいる本事業は、医療事故調査制度と共通の情報を活用することとなる
ことも考えられます。そこで、我が国の医療安全を確保するためのよりよい仕組みとして両事業が
機能するために、本事業としても役割を果たして行きたいと考えています。
13 Facebook を活用した情報発信
医療事故防止事業部では、公式の Facebook ページを作成し、2014年4月8日より情報発信
を始めました。Facebook を活用することにより、1)本事業の最新の情報をタイムリーに発信でき、
「いいね!」に登録していただいたユーザはタイムリーに情報を受け取ることができる、2)「いい
ね!」に登録していただいたユーザを介して、Facebook を通じて、本事業を知らない人に情報発信
できる、などのメリットがあると考えています。情報発信する内容としては、①報告書、年報に関す
る情報、②医療安全情報に関する情報、③システムメンナンスに関する情報、④その他 事業の動向
- 36 -
(取材対応など)を考えており、発信頻度は1回/週を目安としています。本稿執筆時点で、本事業
の Facebook のページの「いいね!」に登録していただいたユーザは867名となっています。
本事業の Facebook のページ及びコンテンツの例を次に示します(図26)
。
図26 医療事故情報収集等事業の Facebook ページ
(URL:https://www.facebook.com/medsafe.jcqhc)
14 おわりに
事業に参加しておられる医療機関の皆様におかれましては、引き続き本事業において医療事故情
報やヒヤリ・ハット事例をご報告いただきますよう宜しくお願い申し上げます。また、これまで以上
に報告しやすい環境を整備することにより、報告の負担のために従来本事業への参加を躊躇しておら
れた医療機関の皆様の新規のご参加も期待しております。今後とも本事業が我が国の医療事故防止、
医療安全の推進に資するよう、報告書や年報の内容充実と、一層有効な情報提供に取り組んでまいり
ますので、皆様のご理解とご協力を心よりお願い申し上げます。
- 37 -
- 38 -
Ⅰ 医療事故情報収集等事業の概要
本事業では、医療事故情報やヒヤリ・ハット事例の収集を基盤として、日々進歩する医療における
安全文化の醸成を図るよう取り組んでいる。
本事業は、医療事故情報収集・分析・提供事業とヒヤリ・ハット事例収集・分析・提供事業の2つ
の事業より構成されており、以下にそれぞれの事業における情報収集の概要を述べる。
1 医療事故情報、ヒヤリ・ハット事例収集の経緯
ヒヤリ・ハット事例収集の経緯
厚生労働省は、2001年10月から、ヒヤリ・ハット事例を収集・分析し、その改善方策等医療
安全に資する情報を提供する「医療安全対策ネットワーク整備事業(ヒヤリ・ハット事例収集事業)」
を開始した。事業開始当初、医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構(現(独)医薬品医療機器総
合機構)が参加医療機関からヒヤリ・ハット事例を収集したのち厚生労働省へ報告し、厚生労働省の
研究班が集計・分析を行う枠組みとなっていた。この枠組みに従って第1回から第10回までのヒヤリ・
ハット事例収集が行われ、厚生労働省より集計結果の概要を公表する等、収集したヒヤリ・ハット事
例に基づく情報提供が行われた。(注1)
2004年度からは、本財団が医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構(現(独)医薬品医療機器
総合機構)よりヒヤリ・ハット事例の収集事業を引き継ぎ、第11回以降のヒヤリ・ハット事例収集
を行ってきた。集計結果や分析は、本財団のホームページにおいて公表している。(注2)
医療事故情報収集の経緯
2002年4月、厚生労働省が設置した医療安全対策検討会議が「医療安全推進総合対策」(注3)を
取りまとめ公表した。同報告書は、2001年10月から既に開始された医療安全対策ネットワーク
整備事業(ヒヤリ・ハット事例収集事業)に関し、「事例分析的な内容については、今後より多くの
施設から、より的確な分析・検討結果と改善方策の分析・検討結果を収集する体制を検討する必要が
ある。
」と述べるとともに、医療事故事例に関してもその収集・分析による活用や強制的な調査・報告
の制度化を求める意見を紹介しつつ、医療事故の報告に伴う法的な問題も含めてさらに検討する必要
があると述べた。
(注1)厚生労働省ホームページ「医療安全対策について」(http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/i-anzen)参照。
(注2)公益財団法人日本医療機能評価機構「医療事故情報収集等事業」ホームページ(http://www.med-safe.jp/)参照。
(注3)「医療安全推進総合対策」では、
『医療機関における安全対策』、
『医薬品・医療用具等にかかわる安全向上』、
『医療安全に関する教育研修』、
『医療安全を推進するための環境整備等』を取り組むべき課題として提言がなされた。
厚生労働省ホームページ(医療安全対策のページにおける「報告書等」のページ)(http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/i-anzen/
houkoku/index.html)参照。
- 39 -
I
Ⅰ 医療事故情報収集等事業の概要
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年1月∼3月)
その後、厚生労働省が2004年9月21日付で医療法施行規則の一部を改正する省令(注1)を公布
し、特定機能病院などに対して医療事故の報告を義務付けた。本財団は、同年10月1日付厚生労働
省告示第三百七十二号を受け(同年9月30日登録)、当該省令に定める事故等分析事業を行う登録
分析機関となった。2009年に事業開始5年が経過し、本財団は同年9月14日に登録更新を行った。
さらに2014年、事業開始10年が経過し本財団は2014年9月30日医療法施行規則第十二条
の五に基づき事故等分析事業を行う登録分析機関として3期目の登録更新を行った。
また、2008年より医療機関の報告の負担を軽減し、これまで以上に報告しやすい環境を整
備するとともに、医療安全推進に必要な情報の収集は引き続き行っていく観点から、本事業の運営
委員会(注2) や総合評価部会(注3) において報告体制の見直しが検討された。その内容を具体化し、
2010年より、新しい医療事故情報やヒヤリ・ハット事例の収集およびインターネット等を活用
した情報提供を開始した。
本財団における事業の経緯
2004年7月1日、本財団内に医療事故防止センター(現 医療事故防止事業部)を付設し、
2004年10月7日、法令に基づく医療事故情報の収集を開始した。当事業部では、ヒヤリ・ハット
事例、医療事故情報を併せて総合的に分析し、医療事故防止事業の運営委員会の方針に基づいて、
専門家より構成される総合評価部会による取りまとめを経て報告書を作成している。また、2006年
度より特に周知すべき事例を医療安全情報として作成し、提供を開始した。
本財団は、報告書や医療安全情報を、本事業に参加している医療機関、関係団体、行政機関などに
送付するとともに、本財団のホームページ(注4)へ掲載することなどにより広く社会に公表している。
(注1)厚生労働省令第133号。
(注2)医療全般、安全対策などの有識者や一般有識者などで構成され、当事業部の活動方針の検討及び活動内容の評価などを行っている。
(注3)各分野からの専門家などで構成され、報告書を総合的に評価・検討している。また、分析手法や方法などに関する技術的支援も行っている。
(注4)公益財団法人日本医療機能評価機構「医療事故情報収集等事業」ホームページ(http://www.med-safe.jp/)参照。
- 40 -
2 医療事故情報収集・分析・提供事業の概要
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年1月∼3月)
2 医療事故情報収集・分析・提供事業の概要
I
【1】事業の目的
報告義務対象医療機関並びに医療事故情報収集・分析・提供事業に参加を希望する参加登録申請医
療機関から報告された医療事故情報などを、収集、分析し提供することにより、広く医療機関が医療
安全対策に有用な情報を共有するとともに、国民に対して情報を提供することを通じて、医療安全対
策の一層の推進を図ることを目的とする。
【2】医療事故情報の収集
(1)対象医療機関
対象医療機関は、次に掲げる報告義務対象医療機関と医療事故情報収集・分析・提供事業に参加を
希望する参加登録申請医療機関である。
i)報告義務対象医療機関(注1)
① 国立高度専門医療研究センター及び国立ハンセン病療養所
② 独立行政法人国立病院機構の開設する病院
③ 学校教育法に基づく大学の附属施設である病院(病院分院を除く)
④ 特定機能病院
ii)参加登録申請医療機関(注2)
報告義務対象医療機関以外の医療機関であって、医療事故情報収集・分析・提供事業に参加を希望
する医療機関は、必要事項の登録を経て参加することができる。
(2)医療事故事例として報告していただく情報
報告の対象となる医療事故情報は次の通りである。
① 誤った医療または管理を行ったことが明らかであり、その行った医療又は管理に起因して、患
者が死亡し、若しくは患者に心身の障害が残った事例又は予期しなかった、若しくは予期して
いたものを上回る処置その他の治療を要した事例。
② 誤った医療または管理を行ったことは明らかでないが、行った医療又は管理に起因して、患者
が死亡し、若しくは患者に心身の障害が残った事例又は予期しなかった、若しくは予期してい
たものを上回る処置その他の治療を要した事例(行った医療又は管理に起因すると疑われるも
のを含み、当該事例の発生を予期しなかったものに限る)。
(注1)国立高度専門医療研究センター、国立ハンセン病療養所、独立行政法人国立病院機構の開設する病院、学校教育法(昭和22年法律第26号)
に基づく大学の附属施設である病院(病院分院を除く)、特定機能病院に対して、厚生労働省は平成16年9月21日付で医療法施行規則
の一部を改正する省令(平成16年 厚生労働省令第133号)を公布し、医療事故事例の報告を義務付けた。
「報告義務対象医療機関一覧」
は公益財団法人日本医療機能評価機構
「医療事故情報収集等事業」
ホームページ(http://www.med-safe.jp/)参照。
(注2)
「参加登録申請医療機関一覧」
は公益財団法人日本医療機能評価機構
「医療事故情報収集等事業」
ホームページ
(http://www.med-safe.jp/)参照。
- 41 -
Ⅰ 医療事故情報収集等事業の概要
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年1月∼3月)
③ ①及び②に掲げるもののほか、医療機関内における事故の発生の予防及び再発の防止に資する
事例。
また、以下の項目を医療事故情報収集等事業要綱 第十四条の2(注1)に基づき、特に報告を求める 事例と定め、報告を求めている。
特に報告を求める事例
① 汚染された薬剤・材料・生体由来材料等の使用による事故
② 院内感染による死亡や障害
③ 患者の自殺又は自殺企図
④ 入院患者の失踪
⑤ 患者の熱傷
⑥ 患者の感電
⑦ 医療施設内の火災による患者の死亡や障害
⑧ 間違った保護者の許への新生児の引渡し
(3)報告方法及び報告期日
事故報告はインターネット回線(SSL暗号化通信方式)を通じ、Web上の専用報告画面を用い
て行う。報告方法は、Web上の報告画面に直接入力し報告する方法と、指定フォーマットを作成し
Webにより報告する方法とがある。また、報告は当該事故が発生した日若しくは事故の発生を認識
した日から原則として二週間以内に行わなければならない。
(4)報告形式
報告形式は、コード選択形式と記述形式である(注2)。コード選択形式は、チェックボックスや
プルダウンリストから該当コードを選択して回答する方法である。記述形式は、
記述欄に文字入力する
方法である。
【3】医療事故情報の分析・公表
(1)結果の集計
公益財団法人日本医療機能評価機構 医療事故防止事業部において行った。
(2)集計・分析結果の公表
本報告書及び公益財団法人日本医療機能評価機構ホームページ(注3)を通じて、関係者や国民に情
報提供している。
(注1)医療事故情報収集等事業要綱 第十四条の2 本事業部は、前項の各号に規定する事故の範囲に該当する事例に関する情報を適切に収集
するために、必要な報告項目を定めることができる。
(注2)
「報告入力項目(医療事故事例)
」は公益財団法人日本医療機能評価機構「医療事故情報収集等事業」ホームページ(http://www.med-safe.jp/)参照。
(注3)公益財団法人日本医療機能評価機構「医療事故情報収集等事業」ホームページ(http://www.med-safe.jp/)参照。
- 42 -
3 ヒヤリ・ハット事例収集・分析・提供事業の概要
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年1月∼3月)
3 ヒヤリ・ハット事例収集・分析・提供事業の概要
I
【1】事業の目的
参加登録医療機関から報告されたヒヤリ ・ ハット情報を収集、分析し提供することにより、広く医
療機関が医療安全対策に有用な情報を共有するとともに、国民に対して情報を提供することを通じて、
医療安全対策の一層の推進を図ることを目的とする。
【2】ヒヤリ・ハット事例情報の収集
(1)対象医療機関
対象医療機関は、医療事故情報収集等事業に参加している医療機関のうち、ヒヤリ・ハット事例収集・
分析・提供事業に参加を希望する医療機関である。
(2)ヒヤリ・ハット事例として報告していただく情報
i)ヒヤリ・ハットの定義
① 医療に誤りがあったが、患者に実施される前に発見された事例。
② 誤った医療が実施されたが、患者への影響が認められなかった事例または軽微な処置・治療を
要した事例。ただし、軽微な処置・治療とは、消毒、湿布、鎮痛剤投与等とする。
③ 誤った医療が実施されたが、患者への影響が不明な事例。
ii)
「発生件数情報」と「事例情報」を収集する医療機関
ヒヤリ・ハット事例には「発生件数情報」と「事例情報」の2種類の情報がある。以下にそれらの
情報の内容及びそれらの情報を収集する医療機関の相違について述べる。
① 発生件数情報
発生件数情報はヒヤリ・ハット事例収集・分析・提供事業に参加を希望する全ての医療機関(注)
から、ヒヤリ・ハットの定義に該当する事例の発生件数を収集する。
発生件数情報は、ヒヤリ・ハット事例を「薬剤」
「輸血」「治療・処置」「医療機器等」「ドレーン・
チューブ」「検査」「療養上の世話」「その他」といった事例の概要で分類する。同時に、まず、誤っ
た医療行為の実施の有無を分け、さらに誤った医療行為の実施がなかった場合、もしその医療行為
が実施されていたら、患者にどのような影響を及ぼしたか、といった影響度で分類し(発生件数情
報入力画面参照)、それぞれの分類に該当する件数を報告する。
発生件数情報の報告期間は、各四半期(1∼3、4∼6、7∼9、10∼12月)の翌月初めか
ら末としている。
(注)「ヒヤリ・ハット事例収集事業参加登録医療機関」は公益財団法人日本医療機能評価機構「医療事故情報収集等事業」ホームページ(http://
www.med-safe.jp/)参照。
- 43 -
Ⅰ 医療事故情報収集等事業の概要
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年1月∼3月)
【発生件数情報入力画面】
誤った医療の実施の有無
実施なし
影響度
項 目
当該事例の内容が仮に実施された場合
実施あり
合 計
死亡もしくは重篤 濃厚な処置・治療 軽微な処置・治療が必要
な状 況に至ったと が 必 要 であると もしくは処置・治療が不要
考えられる
考えられる
と考えられる
(1)薬剤
件
件
件
件
件
(2)輸血
件
件
件
件
件
(3)治療・処置
件
件
件
件
件
(4)医療機器等
件
件
件
件
件
(5)ドレーン・チューブ
件
件
件
件
件
(6)検査
件
件
件
件
件
(7)療養上の世話
件
件
件
件
件
(8)その他
件
件
件
件
件
件
件
件
件
件
【1】薬剤の名称や形状に関連する事例
件
件
件
件
件
【2】薬剤に由来する事例
件
件
件
件
件
【3】医療機器等に由来する事例
件
件
件
件
件
【4】今期のテーマ
件
件
件
件
件
合 計
再 掲
注)「今期のテーマ」とは、収集期間ごとに定められたテーマに該当する事例のことです。
② 事例情報
事例情報はヒヤリ・ハット事例収集・分析・提供事業に参加を希望する医療機関のうち、事例情
報報告を希望した医療機関(注)から次のⅰ∼ⅴに該当する事例の情報(発生件数情報入力画面実線
囲み部分参照)を収集する。
ⅰ 当該事例の内容が仮に実施された場合、死亡もしくは重篤な状況に至ったと考えられる事例
ⅱ 薬剤の名称や形状に関連する事例
ⅲ 薬剤に由来する事例
ⅳ 医療機器等に由来する事例
ⅴ 収集期間ごとに定められたテーマに該当する事例
事例情報では、ヒヤリ・ハット事例の「発生年月及び発生時間帯」
「医療の実施の有無」
「事例の
治療の程度及び影響度」
「発生場所」「患者の数、患者の年齢及び性別」「事例の概要、事例の内容、
発生場面、発生要因」等、24項目の情報の報告を行う。
事例情報の報告期限は、事例が発生した日もしくは事例の発生を認識した日から1ヶ月としてい
る。
(注)「ヒヤリ・ハット事例収集事業参加登録医療機関」は公益財団法人日本医療機能評価機構「医療事故情報収集等事業」ホームページ(http://
www.med-safe.jp/)参照。
- 44 -
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年1月∼3月)
3 ヒヤリ・ハット事例収集・分析・提供事業の概要
(3)報告方法
インターネット回線(SSL暗号化通信方式)を通じ、Web上の専用報告画面を用いて報告を行う。
I
(4)報告形式
報告形式は、コード選択形式と記述形式である(注1)。コード選択形式は、チェックボックスや
プルダウンリストから該当コードを選択して回答する方法である。記述形式は、記述欄に文字入力
する方法である。
【3】ヒヤリ・ハット事例情報の分析・提供
(1)結果の集計
公益財団法人日本医療機能評価機構 医療事故防止事業部において行った。
(2)結果の提供
本報告書及び公益財団法人日本医療機能評価機構ホームページ(注2) を通じて、関係者や国民に
情報提供している。
(注1)
「報告入力項目
(ヒヤリ・ハット事例)
」
は公益財団法人日本医療機能評価機構
「医療事故情報収集等事業」
ホームページ
(http://www.med-safe.jp/)
参照。
(注2)公益財団法人日本医療機能評価機構「医療事故情報収集等事業」ホームページ(http://www.med-safe.jp/)参照。
- 45 -
Ⅱ 報告の現況
1 医療事故情報収集等事業
医療事故情報収集等事業は、医療事故情報収集・分析・提供事業とヒヤリ・ハット事例収集・分析・
提供事業の2つの事業により構成されている。
2015年3月31日現在、それぞれの事業に参加している医療機関は以下の通りである。
(注)
図表Ⅱ - 1- 1 (QI-01)
参加登録申請医療機関の登録状況
ヒヤリ・ハット事業
登録状況
参加する
参加しない
義務
発生件数と
事例情報
参加する
123
参加する
347
合計
発生件数のみ
82
470
任意
医療事故事業
参加しない
70
287
205
275
247
166
241
636
528
合計
1,004
729
177
407
247
1,411
1,164
各事業の報告の現況を、2 医療事故情報収集・分析・提供事業、3 ヒヤリ・ハット事例収集・分析・
提供事業に示す。
(注)各図表番号に併記される( )内の番号はWeb上に掲載している同図表の番号を示す。
- 46 -
2 医療事故情報収集・分析・提供事業
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年1月∼3月)
2 医療事故情報収集・分析・提供事業
医療事故情報収集・分析・提供事業は、報告義務対象医療機関と医療事故情報収集・分析・提供
事業に参加を希望する参加登録申請医療機関を対象としている。本報告書の集計は、報告義務対象医
療機関より報告された内容を中心に行った。事故の概要や事故の程度等の集計結果は、2015年1月
から3月までの集計値と2015年の累計値とを並列して掲載した。
Ⅱ
【1】登録医療機関
(1)報告義務対象医療機関数及び参加登録申請医療機関数
2015年3月31日現在、医療事故情報収集・分析・提供事業に参加している医療機関数は以下
の通りである。なお、医療機関数の増減の理由には、新規の開設や閉院、統廃合の他に、開設者区分
の変更も含まれる。
図表Ⅱ - 2- 1 (QA-01)
報告義務対象医療機関数及び参加登録申請医療機関数
開設者
国立大学法人等
独立行政法人国立病院機構
国立高度専門医療研究センター
国立ハンセン病療養所
国
独立行政法人労働者健康福祉機構
独立行政法人地域医療機能推進機構
その他の国の機関
都道府県
市町村
自治体
公立大学法人
地方独立行政法人
日本赤十字社
恩賜財団済生会
北海道社会事業協会
自治体以外の公的 厚生農業協同組合連合会
医療機関の開設者 国民健康保険団体連合会
健康保険組合及びその連合会
共済組合及びその連合会
国民健康保険組合
学校法人
医療法人
公益法人
法人
会社
その他の法人
個 人
合 計
報告義務対象
医療機関
参加登録申請
医療機関
45
143
8
13
0
0
0
2
0
9
1
0
0
0
0
0
0
0
0
53
0
1
0
0
0
275
1
0
0
0
31
38
0
18
79
2
22
56
18
1
18
1
1
9
0
11
294
45
13
28
43
729
※参加登録申請医療機関とは、報告義務対象医療機関以外に任意で当事業に参加している医療機関である。
- 47 -
Ⅱ 報告の現況
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年1月∼3月)
(2)参加登録申請医療機関における登録件数の推移
2015年1月1日から同年3月31日までの参加登録申請医療機関における登録医療機関数の推移
は以下の通りである。
図表Ⅱ - 2- 2 (QA-02)
参加登録申請医療機関の登録件数
2015 年(平成27年)
1月
2月
3月
参加登録申請
医療機関数
4
3
登録取下げ
医療機関数
0
722
累 計
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10 月
11 月
12 月
4
−
−
−
−
−
−
−
−
−
0
0
−
−
−
−
−
−
−
−
−
725
729
−
−
−
−
−
−
−
−
−
- 48 -
2 医療事故情報収集・分析・提供事業
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年1月∼3月)
【2】報告件数
(1)月別報告件数
2015年1月1日から同年3月31日までの報告義務対象医療機関及び参加登録申請医療機関の
月別報告件数は以下の通りである。
図表Ⅱ - 2- 3 (QA-03)
報告義務対象医療機関及び参加登録申請医療機関の月別報告件数
2015 年(平成27年)
報告義務対象
医療機関報告数
参加登録申請
医療機関報告数
報告義務対象
医療機関数
参加登録申請
医療機関数
10 月 11 月 12 月
合計
1月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
277
303
352
−
−
−
−
−
−
−
−
−
932
43
23
22
−
−
−
−
−
−
−
−
−
88
275
275
275
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
722
725
729
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
(2)医療事故事例の報告状況
① 報告義務対象医療機関の報告状況
報告義務対象医療機関の2015年1月1日から同年3月31日までの報告医療機関数及び報告
件数を図表Ⅱ - 2- 4に、事業開始からの報告件数を開設者別に集計したものを図表Ⅱ - 2- 5に、病床
規模別に集計したものを図表Ⅱ - 2- 6に、地域別に集計したものを図表Ⅱ - 2- 7に示す。また、
同期間内における報告医療機関数を報告件数別に集計したものを図表Ⅱ - 2- 8に示す。なお、報告義務
対象医療機関は事業開始後に特定機能病院の認定や医療機関の廃止等の変更が行われているため、
他の図表と数値が一致しないところがある。2015年3月31日現在、報告義務対象医療機関は
275施設、病床数合計は141,642床である。
図表Ⅱ - 2- 4 (QA-04)
開設者別報告義務対象医療機関の報告医療機関数及び報告件数
開設者
国立大学法人等
国
独立行政法人国立病院機構
国立高度専門医療研究センター
国立ハンセン病療養所
報告医療機関数
報告件数
自治体
医療機関数
※ 2015 年
3月 31 日現在
2015 年
1月∼3月
2015 年
1月∼3月(累計)
2015 年
1月∼3月
2015 年
1月∼3月(累計)
45
38
38
278
278
143
93
93
377
377
8
6
6
42
42
13
6
6
15
15
12
8
8
58
58
53
24
24
160
160
都道府県
市町村
公立大学法人
地方独立行政法人
法人
学校法人
公益法人
合 計
1
1
1
2
2
275
176
176
932
932
- 49 -
Ⅱ
Ⅱ 報告の現況
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年1月∼3月)
図表Ⅱ - 2- 5 (QA-05)
報告義務対象医療機関の報告件数
報告件数
開設者
国
2004 年 10 月∼
2015 年3月
国立大学法人等
4,795
独立行政法人国立病院機構
8,916
国立高度専門医療研究センター
874
国立ハンセン病療養所
223
都道府県
自治体
市町村
1,263
公立大学法人
地方独立行政法人
法人
学校法人
4,885
公益法人
29
合 計
20,985
図表Ⅱ - 2- 6 (QA-06)
病床規模別報告義務対象医療機関の報告医療機関数及び報告件数
病床数
医療機関数
※ 2015 年
3月 31 日現在
報告医療機関数
2015 年
1月∼3月
報告件数
2015 年
1月∼3月
(累計)
2015 年
1月∼3月
2015 年
1月∼3月
(累計)
0 ∼ 19 床
0
0
0
0
0
20 ∼ 49 床
14
1
1
1
1
50 ∼ 99 床
5
0
0
0
0
100 ∼ 149 床
8
1
1
2
2
150 ∼ 199 床
7
2
2
4
4
200 ∼ 249 床
15
7
7
20
20
250 ∼ 299 床
15
11
11
32
32
300 ∼ 349 床
29
13
13
30
30
350 ∼ 399 床
17
12
12
49
49
400 ∼ 449 床
26
21
21
95
95
450 ∼ 499 床
19
15
15
77
77
500 ∼ 549 床
10
6
6
20
20
550 ∼ 599 床
9
8
8
40
40
600 ∼ 649 床
26
21
21
114
114
650 ∼ 699 床
8
7
7
55
55
700 ∼ 749 床
11
11
11
106
106
750 ∼ 799 床
3
0
0
0
0
800 ∼ 849 床
12
10
10
67
67
850 ∼ 899 床
4
3
3
49
49
900 ∼ 999 床
11
7
7
50
50
1000 床以上
26
20
20
121
121
275
176
176
932
932
合 計
- 50 -
2 医療事故情報収集・分析・提供事業
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年1月∼3月)
図表Ⅱ - 2- 7 (QA-07)
地域別報告義務対象医療機関の報告医療機関数及び報告件数
地域
医療機関数
※ 2015 年
3月 31 日現在
報告医療機関数
2015 年
1月∼3月
報告件数
2015 年
1月∼3月
(累計)
2015 年
1月∼3月
2015 年
1月∼3月
(累計)
北海道
10
3
3
9
9
東北
25
13
13
37
37
関東甲信越
86
54
54
289
289
東海北陸
38
26
26
124
124
近畿
35
23
23
110
110
中国四国
35
30
30
170
170
九州沖縄
合 計
46
27
27
193
193
275
176
176
932
932
図表Ⅱ - 2- 8 (QA-08)
報告件数別報告義務対象医療機関数
報告医療機関数
報告件数
2015 年
1月∼3月
2015 年
1月∼3月(累計)
0
99
99
1
33
33
2
33
33
3
26
26
4
22
22
5
16
16
6
7
7
7
9
9
8
3
3
9
4
4
10
2
2
11 ∼ 20
14
14
21 ∼ 30
5
5
31 ∼ 40
1
1
41 ∼ 50
1
1
51 ∼ 100
0
0
101 ∼ 150
0
0
151 ∼ 200
0
0
200 以上
合 計
0
0
275
275
- 51 -
Ⅱ
Ⅱ 報告の現況
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年1月∼3月)
② 参加登録申請医療機関の報告状況
参加登録申請医療機関の2015年1月1日から同年3月31日までの報告医療機関数及び
報告件数を図表Ⅱ - 2- 9に、事業開始からの報告件数を開設者別に集計したものを図表Ⅱ - 2- 10
に示す。
図表Ⅱ - 2- 9 (QA-09)
参加登録申請医療機関の報告医療機関数及び報告件数
開設者
国
報告医療機関数
医療機関数
※ 2015 年
3月 31 日現在
2015 年
1月∼3月
報告件数
2015 年
1月∼3月
(累計)
2015 年
1月∼3月
2015 年
1月∼3月
(累計)
70
8
8
20
20
自治体
121
11
11
23
23
公的医療機関
104
5
5
11
11
法 人
391
16
16
34
34
個 人
43
0
0
0
0
合 計
729
40
40
88
88
図表Ⅱ - 2- 10 (QA-10)
参加登録申請医療機関の報告件数
開設者
国
報告件数
2004 年 10 月∼ 2015 年3月
93
自治体
585
公的医療機関
733
法 人
1,272
個 人
6
合 計
2,689
- 52 -
2 医療事故情報収集・分析・提供事業
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年1月∼3月)
【3】報告義務対象医療機関からの報告の内容
2015年1月1日から同年3月31日までの報告義務対象医療機関からの医療事故報告の内容は
以下の通りである。
なお、各表は、医療事故情報報告入力項目(注)を集計したものである。
図表Ⅱ - 2- 11 (QA-28-A)
当事者職種
当事者職種
医師
歯科医師
看護師
件数
546
16
614
准看護師
3
薬剤師
9
臨床工学技士
5
助産師
4
看護助手
3
診療放射線技師
4
臨床検査技師
8
管理栄養士
0
栄養士
1
調理師・調理従事者
0
理学療法士(PT)
5
作業療法士(OT)
6
言語聴覚士(ST)
0
衛生検査技師
0
歯科衛生士
0
歯科技工士
0
その他
合計
Ⅱ
13
1,237
※当事者とは当該事象に関係したと医療機関が判断した者であり、複数回答が可能である。
(注)
「報告入力項目(医療事故事例)
」は公益財団法人日本医療機能評価機構「医療事故情報収集等事業」ホームページ(http://www.med-safe.jp/)参照。
- 53 -
Ⅱ 報告の現況
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年1月∼3月)
図表Ⅱ - 2- 12 (QA-29-A)
当事者職種経験
当事者職種経験
医師
歯科医師
看護師
准看護師
薬剤師
臨床工学
技士
助産師
看護助手
診療放射線 臨床検査
技師
技師
0年
4
1
47
0
1
0
1
0
1
1
1年
6
3
41
0
3
1
1
0
0
0
2年
30
0
51
0
1
0
0
0
0
0
3年
27
0
39
0
0
0
0
0
0
0
4年
27
1
38
0
0
0
1
0
0
0
5年
32
1
42
0
0
1
0
0
1
0
6年
29
0
32
0
0
0
1
1
0
1
7年
28
2
29
0
0
0
0
0
0
0
8年
22
0
23
0
0
0
0
0
0
0
9年
23
1
18
0
1
0
0
0
0
0
10 年
33
1
27
0
1
1
0
1
0
0
11 年
18
0
14
0
0
1
0
0
1
0
12 年
29
2
13
0
0
0
0
0
0
0
13 年
21
0
13
0
0
0
0
0
0
1
14 年
22
0
15
0
0
0
0
0
0
0
15 年
24
1
14
0
0
0
0
0
1
0
16 年
12
1
5
0
1
0
0
0
0
0
17 年
23
0
5
0
0
0
0
0
0
2
18 年
10
0
10
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
19 年
11
0
7
1
0
0
20 年
23
0
15
1
0
0
0
1
0
0
21 年
24
0
8
0
0
0
0
0
0
1
22 年
6
0
6
0
0
0
0
0
0
0
23 年
9
0
8
0
0
0
0
0
0
0
24 年
6
1
12
0
0
0
0
0
0
0
25 年
11
0
12
0
0
0
0
0
0
0
26 年
6
0
5
0
0
0
0
0
0
0
27 年
3
0
11
0
0
0
0
0
0
1
28 年
2
0
8
0
1
0
0
0
0
0
29 年
3
0
7
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
30 年
1
0
13
0
0
31 年
3
0
3
0
0
0
0
0
0
0
32 年
6
0
3
0
0
0
0
0
0
0
33 年
5
0
5
0
0
1
0
0
0
0
34 年
1
0
2
0
0
0
0
0
0
0
35 年
2
0
3
0
0
0
0
0
0
0
36 年
0
0
3
0
0
0
0
0
0
0
37 年
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
38 年
4
1
3
0
0
0
0
0
0
1
39 年
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
40 年超
0
0
2
0
0
0
0
0
0
0
合 計
546
16
614
3
9
5
4
3
4
8
※当事者とは当該事象に関係したと医療機関が判断した者であり、複数回答が可能である。
- 54 -
2 医療事故情報収集・分析・提供事業
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年1月∼3月)
管理栄養士
栄養士
調理師・ 理学療法士 作業療法士 言語聴覚士 衛生検査
歯科衛生士 歯科技工士
調理従事者 (PT)
(OT)
(ST)
技師
その他
合計
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
56
0
0
0
0
0
0
0
0
0
2
57
0
1
0
2
0
0
0
0
0
4
89
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
66
0
0
0
0
2
0
0
0
0
1
70
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
77
0
0
0
0
0
0
0
0
0
2
66
0
0
0
0
1
0
0
0
0
2
62
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
45
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
43
0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
65
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
34
0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
45
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
36
0
0
0
1
0
0
0
0
0
1
39
0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
41
0
0
0
1
0
0
0
0
0
0
20
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
30
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
20
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
19
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
40
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
33
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
12
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
17
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
19
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
23
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
11
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
15
0
0
0
1
0
0
0
0
0
0
12
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
11
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
14
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
6
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
9
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
11
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
3
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
5
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
3
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
9
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
2
0
1
0
5
6
0
0
0
0
13
1,237
- 55 -
Ⅱ
Ⅱ 報告の現況
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年1月∼3月)
図表Ⅱ - 2- 13 (QA-30-A)
当事者部署配属期間
当事者部署配属期間
医師
歯科医師
看護師
准看護師
薬剤師
臨床工学
技士
助産師
看護助手
診療放射線 臨床検査
技師
技師
0年
125
7
163
1
5
1
1
0
1
1
1年
75
0
128
0
1
1
1
2
0
0
2年
61
1
95
0
0
1
0
1
0
0
3年
43
2
65
1
1
0
0
0
0
1
4年
34
0
46
0
1
0
1
0
0
0
5年
31
1
41
1
0
1
0
0
2
0
6年
20
0
31
0
0
0
1
0
0
1
7年
21
1
16
0
0
0
0
0
0
0
8年
27
1
7
0
0
0
0
0
0
0
9年
12
1
5
0
0
0
0
0
0
0
10 年
32
0
6
0
0
0
0
0
0
0
11 年
10
0
1
0
0
0
0
0
0
0
12 年
4
1
1
0
0
0
0
0
0
0
13 年
7
0
1
0
0
0
0
0
0
1
14 年
7
0
2
0
0
0
0
0
0
0
15 年
5
0
0
0
0
0
0
0
1
0
16 年
7
0
1
0
1
0
0
0
0
0
17 年
6
0
0
0
0
0
0
0
0
1
18 年
3
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
19 年
2
0
0
0
0
0
20 年
6
0
2
0
0
0
0
0
0
0
21 年
1
0
0
0
0
0
0
0
0
1
22 年
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
23 年
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
24 年
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
25 年
0
1
1
0
0
0
0
0
0
0
26 年
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
27 年
1
0
0
0
0
0
0
0
0
1
28 年
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
29 年
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
30 年
2
0
1
0
0
31 年
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
32 年
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
33 年
0
0
0
0
0
1
0
0
0
0
34 年
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
35 年
1
0
0
0
0
0
0
0
0
1
36 年
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
37 年
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
38 年
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
39 年
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
40 年超
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
合 計
546
16
614
3
9
5
4
3
4
8
※当事者とは当該事象に関係したと医療機関が判断した者であり、複数回答が可能である。
- 56 -
2 医療事故情報収集・分析・提供事業
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年1月∼3月)
管理栄養士
栄養士
調理師・ 理学療法士 作業療法士 言語聴覚士 衛生検査
歯科衛生士 歯科技工士
調理従事者 (PT)
(OT)
(ST)
技師
その他
合計
0
0
0
0
2
0
0
0
0
2
309
0
0
0
1
1
0
0
0
0
3
213
0
1
0
2
1
0
0
0
0
3
166
0
0
0
0
1
0
0
0
0
1
115
0
0
0
0
0
0
0
0
0
2
84
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
77
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
54
0
0
0
0
1
0
0
0
0
1
40
0
0
0
1
0
0
0
0
0
0
36
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
18
0
0
0
1
0
0
0
0
0
0
39
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
11
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
6
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
9
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
9
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
6
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
9
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
7
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
3
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
2
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
8
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
2
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
2
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
2
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
3
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
2
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
5
6
0
0
0
0
13
1,237
- 57 -
Ⅱ
Ⅱ 報告の現況
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年1月∼3月)
図表Ⅱ - 2- 14 (QA-35-A)
事故の概要
事故の概要
2015 年1月∼3月
件数
%
2015 年1月∼3月(累計)
件数
%
薬剤
71
7.6
71
7.6
輸血
3
0.3
3
0.3
治療・処置
247
26.5
247
26.5
医療機器等
12
1.3
12
1.3
ドレーン・チューブ
71
7.6
71
7.6
39
4.2
39
4.2
療養上の世話
検査
332
35.6
332
35.6
その他
157
16.8
157
16.8
932
100.0
932
100.0
合 計
※割合については、小数点第2位を四捨五入したものであり、合計が 100.0 にならないことがある。
図表Ⅱ - 2- 15 (QA-37-A)
事故の程度
事故の程度
死亡
2015 年1月∼3月
件数
%
85
9.1
2015 年1月∼3月(累計)
件数
85
%
9.1
障害残存の可能性がある(高い)
87
9.3
87
9.3
障害残存の可能性がある(低い)
246
26.4
246
26.4
障害残存の可能性なし
274
29.4
274
29.4
障害なし
202
21.7
202
21.7
不明
合 計
38
4.1
38
4.1
932
100.0
932
100.0
※事故の発生及び事故の過失の有無と「事故の程度」とは必ずしも因果関係が認められるものではない。
※
「不明」には、報告期日(2週間以内)までに患者の転帰が確定していないもの、
特に報告を求める事例で患者に影響がなかった事例も含まれる。
※割合については、小数点第2位を四捨五入したものであり、合計が 100.0 にならないことがある。
- 58 -
2 医療事故情報収集・分析・提供事業
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年1月∼3月)
図表Ⅱ - 2- 16 (QA-40-A)
関連診療科
関連診療科
2015 年1月∼3月
件数
2015 年1月∼3月(累計)
%
件数
%
内科
56
4.9
56
4.9
麻酔科
46
4.0
46
4.0
循環器内科
61
5.3
61
5.3
神経科
24
2.1
24
2.1
呼吸器内科
57
5.0
57
5.0
消化器科
59
5.2
59
5.2
血液内科
13
1.1
13
1.1
循環器外科
7
0.6
7
0.6
アレルギー科
2
0.2
2
0.2
2
0.2
2
0.2
小児科
リウマチ科
63
5.5
63
5.5
外科
93
8.1
93
8.1
整形外科
148
13.0
148
13.0
形成外科
12
1.1
12
1.1
美容外科
0
0
0
0
脳神経外科
41
3.6
41
3.6
呼吸器外科
21
1.8
21
1.8
心臓血管外科
43
3.8
43
3.8
小児外科
10
0.9
10
0.9
0
0
0
0
ペインクリニック
皮膚科
13
1.1
13
1.1
泌尿器科
42
3.7
42
3.7
0
0
0
0
性病科
肛門科
0
0
0
0
30
2.6
30
2.6
産科
6
0.5
6
0.5
婦人科
9
0.8
9
0.8
産婦人科
眼科
15
1.3
15
1.3
耳鼻咽喉科
25
2.2
25
2.2
0
0
0
0
57
5.0
57
5.0
7
0.6
7
0.6
18
1.6
18
1.6
3
0.3
3
0.3
心療内科
精神科
リハビリテーション科
放射線科
歯科
矯正歯科
0
0
0
0
小児歯科
0
0
0
0
13
1.1
13
1.1
2
0.2
2
0.2
歯科口腔外科
不明
その他
合 計
144
12.6
144
12.6
1,142
100.0
1,142
100.0
※「関連診療科」は複数回答が可能である。
※割合については、小数点第2位を四捨五入したものであり、合計が 100.0 にならないことがある。
- 59 -
Ⅱ
Ⅱ 報告の現況
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年1月∼3月)
図表Ⅱ - 2- 17 (QA-41-A)
発生要因
発生要因
当事者の行動に関わる要因
確認を怠った
観察を怠った
報告が遅れた(怠った)
記録などに不備があった
連携ができていなかった
患者への説明が不十分であった(怠った)
判断を誤った
ヒューマンファクター
知識が不足していた
技術・手技が未熟だった
勤務状況が繁忙だった
通常とは異なる身体的条件下にあった
通常とは異なる心理的条件下にあった
その他
環境・設備機器
コンピュータシステム
医薬品
医療機器
施設・設備
諸物品
患者側
その他
その他
教育・訓練
仕組み
ルールの不備
その他
合 計
2015 年1月∼3月
2015 年1月∼3月(累計)
件数
%
件数
%
1,136
293
252
22
27
140
137
265
436
116
148
71
14
29
58
445
6
26
34
34
27
282
36
408
160
38
59
151
2,425
46.8
12.1
10.4
0.9
1.1
5.8
5.6
10.9
18
4.8
6.1
2.9
0.6
1.2
2.4
18.3
0.2
1.1
1.4
1.4
1.1
11.6
1.5
16.8
6.6
1.6
2.4
6.2
100.0
1,136
293
252
22
27
140
137
265
436
116
148
71
14
29
58
445
6
26
34
34
27
282
36
408
160
38
59
151
2,425
46.8
12.1
10.4
0.9
1.1
5.8
5.6
10.9
18
4.8
6.1
2.9
0.6
1.2
2.4
18.3
0.2
1.1
1.4
1.4
1.1
11.6
1.5
16.8
6.6
1.6
2.4
6.2
100.0
※「発生要因」は複数回答が可能である。
※割合については、小数点第2位を四捨五入したものであり、合計が 100.0 にならないことがある。
図表Ⅱ - 2- 18 (QA-42-A)
特に報告を求める事例
特に報告を求める事例
汚染された薬剤・材料・生体由来材料等の使用
による事故
院内感染による死亡や障害
患者の自殺又は自殺企図
2015 年1月∼3月
件数
1
2015 年1月∼3月(累計)
%
件数
0.1
1
%
0.1
0
0
0
0
18
1.9
18
1.9
入院患者の失踪
0
0
0
0
患者の熱傷
9
1.0
9
1.0
患者の感電
0
0
0
0
医療施設内の火災による患者の死亡や障害
0
0
0
0
間違った保護者の許への新生児の引渡し
本事例は選択肢には該当しない
合 計
0
0
0
0
904
97.0
904
97.0
932
100.0
932
100.0
※割合については、小数点第2位を四捨五入したものであり、合計が 100.0 にならないことがある。
- 60 -
2 医療事故情報収集・分析・提供事業
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年1月∼3月)
図表Ⅱ - 2- 19 (QA-64-A)
発生場面 × 事故の程度
障害残存の
障害残存の
可能性がある 可能性がある
(高い)
(低い)
死亡
発生場面×事故の程度
障害残存の
可能性なし
障害なし
不明
合計
2015 年
2015 年
2015 年
2015 年
2015 年
2015 年
2015 年
2015 年
2015 年
2015 年
2015 年
2015 年
2015 年
2015 年
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
(累計)
(累計)
(累計)
(累計)
(累計)
(累計)
(累計)
薬剤に関する項目
手書きによる処方箋の作成
オーダリングによる処方箋の作成
口頭による処方指示
手書きによる処方の変更
オーダリングによる処方の変更
口頭による処方の変更
その他の処方に関する場面
内服薬調剤
注射薬調剤
血液製剤調剤
外用薬調剤
その他の調剤に関する場面
内服薬製剤管理
注射薬製剤管理
血液製剤管理
外用薬製剤管理
その他の製剤管理に関する場面
与薬準備
皮下・筋肉注射
静脈注射
動脈注射
末梢静脈点滴
中心静脈注射
内服
外用
坐剤
吸入
点鼻・点耳・点眼
その他与薬に関する場面
輸血に関する項目
手書きによる処方箋の作成
オーダリングによる処方箋の作成
口頭による処方指示
手書きによる処方の変更
オーダリングによる処方の変更
口頭による処方の変更
その他の処方に関する場面
準備
実施
その他の輸血検査に関する場面
準備
実施
その他の放射線照射に関する場面
製剤の交付
その他の輸血準備に関する場面
実施
その他の輸血実施に関する場面
治療・処置に関する項目
手書きによる指示の作成
オーダリングによる指示の作成
口頭による指示
手書きによる指示の変更
オーダリングによる指示の変更
口頭による指示の変更
その他の指示に関する場面
管理
その他の管理に関する場面
準備
その他の準備に関する場面
実施
その他の治療・処置に関する場面
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
2
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
2
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
2
0
1
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
2
0
1
0
0
0
0
0
0
2
0
0
0
0
1
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
4
1
1
1
0
0
0
0
0
0
0
2
0
0
0
0
1
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
4
1
1
1
0
0
0
0
0
0
0
2
0
1
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
3
0
3
0
3
0
0
0
0
2
0
2
0
1
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
3
0
3
0
3
0
0
0
0
2
0
5
0
0
1
0
2
0
2
0
0
0
0
0
0
0
1
2
0
4
1
2
2
7
1
1
0
0
1
0
5
0
0
1
0
2
0
2
0
0
0
0
0
0
0
1
2
0
4
1
2
2
7
1
1
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
1
0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
1
0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
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0
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0
27
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0
24
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0
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6
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0
0
0
2
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1
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0
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0
0
0
0
2
8
1
0
0
54
2
1
1
0
0
0
0
0
3
0
2
0
42
1
1
1
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0
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3
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2
0
42
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0
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0
0
0
9
0
- 61 -
71
0
10
0
1
1
0
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1
3
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0
0
0
0
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0
1
4
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12
2
11
3
11
1
1
1
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3
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1
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0
0
0
0
0
0
0
0
0
2
0
247
2
1
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0
0
0
8
21
3
3
0
199
10
71
0
10
0
1
1
0
4
1
3
0
0
0
0
0
0
0
1
4
1
12
2
11
3
11
1
1
1
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3
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1
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0
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2
0
247
2
1
0
0
0
0
8
21
3
3
0
199
10
Ⅱ
Ⅱ 報告の現況
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年1月∼3月)
障害残存の
障害残存の
可能性がある 可能性がある
(高い)
(低い)
死亡
発生場面×事故の程度
障害残存の
可能性なし
障害なし
不明
合計
2015 年
2015 年
2015 年
2015 年
2015 年
2015 年
2015 年
2015 年
2015 年
2015 年
2015 年
2015 年
2015 年
2015 年
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
(累計)
(累計)
(累計)
(累計)
(累計)
(累計)
(累計)
医療機器等・医療材料の使用・管理に関する項目
手書きによる指示の作成
オーダリングによる指示の作成
口頭による指示
手書きによる指示の変更
オーダリングによる指示の変更
口頭による指示の変更
その他の指示に関する場面
管理
準備
使用中
ドレーン・チューブ類の使用・管理に関する項目
手書きによる指示の作成
オーダリングによる指示の作成
口頭による指示
手書きによる指示の変更
オーダリングによる指示の変更
口頭による指示の変更
その他の指示に関する場面
管理
準備
使用中
検査に関する項目
手書きによる指示の作成
オーダリングによる指示の作成
口頭による指示
手書きによる指示の変更
オーダリングによる指示の変更
口頭による指示の変更
その他の指示に関する場面
管理
準備
実施中
療養上の世話に関する項目
手書きによる計画又は指示の作成
オーダリングによる計画又は指示の作成
口頭による計画又は指示
手書きによる計画又は指示の変更
オーダリングによる計画又は指示の変更
口頭による計画又は指示の変更
その他の計画又は指示に関する場面
管理
準備
実施中
その他
合 計
0
0
0
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0
0
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13
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25
246
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274
2
0
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0
0
0
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0
19
19
202
2
0
0
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26
0
19
19
202
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8
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173
2
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157
932
12
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0
0
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0
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2
1
9
71
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5
6
2
26
332
4
0
0
1
0
0
5
173
2
147
157
932
※事故の発生及び事故の過失の有無と「事故の程度」とは必ずしも因果関係が認められるものではない。
※
「不明」には、報告期日(2週間以内)までに患者の転帰が確定していないもの、
特に報告を求める事例で患者に影響がなかった事例も含まれる。
- 62 -
2 医療事故情報収集・分析・提供事業
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年1月∼3月)
図表Ⅱ - 2- 20 (QA-65-A)
事故の内容 × 事故の程度
障害残存の
障害残存の
可能性がある 可能性がある
(高い)
(低い)
死亡
事故の内容×事故の程度
障害残存の
可能性なし
障害なし
不明
合計
2015 年
2015 年
2015 年
2015 年
2015 年
2015 年
2015 年
2015 年
2015 年
2015 年
2015 年
2015 年
2015 年
2015 年
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
(累計)
(累計)
(累計)
(累計)
(累計)
(累計)
(累計)
薬剤に関する項目
処方忘れ
処方遅延
処方量間違い
重複処方
禁忌薬剤の処方
対象患者処方間違い
処方薬剤間違い
処方単位間違い
投与方法処方間違い
その他の処方に関する内容
調剤忘れ
処方箋・注射箋鑑査間違い
秤量間違い調剤
数量間違い
分包間違い
規格間違い調剤
単位間違い調剤
薬剤取り違え調剤
説明文書の取り違え
交付患者間違い
薬剤・製剤の取り違え交付
期限切れ製剤の交付
その他の調剤に関する内容
薬袋・ボトルの記載間違い
異物混入
細菌汚染
期限切れ製剤
その他の製剤管理に関する内容
過剰与薬準備
過少与薬準備
与薬時間・日付間違い
重複与薬
禁忌薬剤の与薬
投与速度速すぎ
投与速度遅すぎ
患者間違い
薬剤間違い
単位間違い
投与方法間違い
無投薬
混合間違い
その他の与薬準備に関する内容
過剰投与
過少投与
投与時間・日付間違い
重複投与
禁忌薬剤の投与
投与速度速すぎ
投与速度遅すぎ
患者間違い
薬剤間違い
単位間違い
投与方法間違い
無投薬
その他の与薬に関する内容
0
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2
71
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7
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1
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1
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1
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1
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1
1
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3
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0
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1
11
1
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0
1
4
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0
2
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16
71
0
0
7
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1
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1
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0
6
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1
0
0
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1
0
0
1
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0
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1
1
0
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0
0
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0
0
0
1
11
1
0
0
1
4
0
3
8
0
2
0
16
Ⅱ
Ⅱ 報告の現況
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年1月∼3月)
障害残存の
障害残存の
可能性がある 可能性がある
(高い)
(低い)
死亡
事故の内容×事故の程度
障害残存の
可能性なし
障害なし
不明
合計
2015 年
2015 年
2015 年
2015 年
2015 年
2015 年
2015 年
2015 年
2015 年
2015 年
2015 年
2015 年
2015 年
2015 年
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
(累計)
(累計)
(累計)
(累計)
(累計)
(累計)
(累計)
輸血に関する項目
指示出し忘れ
指示遅延
指示量間違い
重複指示
禁忌薬剤の指示
対象患者指示間違い
指示薬剤間違い
指示単位間違い
投与方法指示間違い
その他の指示出しに関する内容
未実施
検体取り違え
判定間違い
結果記入・入力間違い
その他の輸血検査に関する内容
未実施
過剰照射
過少照射
患者間違い
製剤間違い
その他の放射線照射に関する内容
薬袋・ボトルの記載間違い
異物混入
細菌汚染
期限切れ製剤
その他の輸血管理に関する内容
過剰与薬準備
過少与薬準備
与薬時間・日付間違い
重複与薬
禁忌薬剤の与薬
投与速度速すぎ
投与速度遅すぎ
患者間違い
薬剤間違い
単位間違い
投与方法間違い
無投薬
その他の輸血準備に関する内容
過剰投与
過少投与
投与時間・日付間違い
重複投与
禁忌薬剤の投与
投与速度速すぎ
投与速度遅すぎ
患者間違い
薬剤間違い
単位間違い
投与方法間違い
無投薬
その他の輸血実施に関する内容
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2
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0
0
0
0
2 医療事故情報収集・分析・提供事業
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年1月∼3月)
障害残存の
障害残存の
可能性がある 可能性がある
(高い)
(低い)
死亡
事故の内容×事故の程度
障害残存の
可能性なし
障害なし
不明
合計
2015 年
2015 年
2015 年
2015 年
2015 年
2015 年
2015 年
2015 年
2015 年
2015 年
2015 年
2015 年
2015 年
2015 年
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
(累計)
(累計)
(累計)
(累計)
(累計)
(累計)
(累計)
治療・処置に関する項目
指示出し忘れ
指示遅延
対象患者指示間違い
治療・処置指示間違い
日程間違い
時間間違い
その他の治療・処置の指示に関する内容
治療・処置の管理
その他の治療・処置の管理に関する内容
医療材料取り違え
患者体位の誤り
消毒・清潔操作の誤り
その他の治療・処置の準備に関する内容
患者間違い
部位取違え
方法(手技)の誤り
未実施・忘れ
中止・延期
日程・時間の誤り
順番の誤り
不必要行為の実施
誤嚥
誤飲
異物の体内残存
診察・治療・処置等その他の取違え
その他の治療・処置の実施に関する内容
医療機器等・医療材料の使用・管理に関する項目
指示出し忘れ
指示遅延
対象患者指示間違い
使用方法指示間違い
その他の医療機器等・医療材料の
使用に関する内容
保守・点検不良
保守・点検忘れ
使用中の点検・管理ミス
破損
その他の医療機器等・医療材料の
管理に関する内容
組み立て
設定条件間違い
設定忘れ
電源入れ忘れ
警報設定忘れ
警報設定範囲間違い
便宜上の警報解除後の再設定忘れ
消毒・清潔操作の誤り
使用前の点検・管理ミス
破損
その他の医療機器等・医療材料の
準備に関する内容
医療機器等・医療材料の不適切使用
誤作動
故障
破損
その他の医療機器等・医療材料の
使用に関する内容
0
0
0
0
247
1
0
0
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1
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247
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4
13
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0
4
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4
29
1
1
0
0
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2
20
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147
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0
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1
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1
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0
0
0
0
0
0
1
1
- 65 -
Ⅱ
Ⅱ 報告の現況
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年1月∼3月)
障害残存の
障害残存の
可能性がある 可能性がある
(高い)
(低い)
死亡
事故の内容×事故の程度
障害残存の
可能性なし
障害なし
不明
合計
2015 年
2015 年
2015 年
2015 年
2015 年
2015 年
2015 年
2015 年
2015 年
2015 年
2015 年
2015 年
2015 年
2015 年
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
(累計)
(累計)
(累計)
(累計)
(累計)
(累計)
(累計)
ドレーン・チューブ類の使用・管理に関する項目
指示出し忘れ
指示遅延
対象患者指示間違い
使用方法指示間違い
その他のドレーン・チューブ類の
使用・管理の指示に関する内容
点検忘れ
点検不良
使用中の点検・管理ミス
破損
その他のドレーン・チューブ類の
管理に関する内容
組み立て
設定条件間違い
設定忘れ
消毒・清潔操作の誤り
使用前の点検・管理ミス
その他のドレーン・チューブ類の
準備に関する内容
点滴漏れ
自己抜去
自然抜去
接続はずれ
未接続
閉塞
切断・破損
接続間違い
三方活栓操作間違い
ルートクランプエラー
空気混入
誤作動
故障
ドレーン・チューブ類の不適切使用
その他のドレーン・チューブ類の
使用に関する内容
検査に関する項目
指示出し忘れ
指示遅延
対象患者指示間違い
指示検査の間違い
その他の検査の指示に関する内容
分析機器・器具管理
試薬管理
データ紛失
計算・入力・暗記
その他の検査の管理に関する内容
患者取違え
検体取違え
検体紛失
検査機器・器具の準備
検体破損
その他の検査の準備に関する内容
患者取違え
検体取違え
試薬の間違い
検体紛失
検査の手技・判定技術の間違い
検体採取時のミス
検体破損
検体のコンタミネーション
データ取違え
結果報告
その他の検査の実施に関する内容
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
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0
0
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0
71
0
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71
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1
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1
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2
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0
1
3
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1
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0
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5
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1
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8
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2
1
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1
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1
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0
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0
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1
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8
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0
0
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1
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1
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0
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0
0
2
1
0
3
3
12
5
0
0
2
8
1
0
0
2
1
0
3
2
2
0
0
2
2
7
7
9
9
0
0
20
20
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0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
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0
0
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0
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0
0
0
0
0
0
1
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0
0
0
0
0
0
0
0
2
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0
0
0
0
1
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0
0
0
0
0
0
0
0
1
3
0
0
0
0
0
0
0
0
0
2
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0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
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0
0
0
0
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0
1
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0
0
0
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0
0
0
0
1
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0
0
0
2
10
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0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
0
2
10
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0
0
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0
0
0
0
0
1
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0
0
0
0
0
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0
1
0
0
0
0
0
0
1
8
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0
0
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1
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0
0
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0
0
0
0
1
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0
0
0
0
0
1
8
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0
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0
0
0
0
0
0
0
0
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0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
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0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
39
0
0
0
0
0
0
0
0
0
4
0
0
0
0
0
1
0
0
1
0
1
0
0
0
0
5
27
39
0
0
0
0
0
0
0
0
0
4
0
0
0
0
0
1
0
0
1
0
1
0
0
0
0
5
27
- 66 -
2 医療事故情報収集・分析・提供事業
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年1月∼3月)
障害残存の
障害残存の
可能性がある 可能性がある
(高い)
(低い)
死亡
事故の内容×事故の程度
障害残存の
可能性なし
障害なし
不明
合計
2015 年
2015 年
2015 年
2015 年
2015 年
2015 年
2015 年
2015 年
2015 年
2015 年
2015 年
2015 年
2015 年
2015 年
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
1月∼3月
(累計)
(累計)
(累計)
(累計)
(累計)
(累計)
(累計)
療養上の世話に関する項目
計画忘れ又は指示出し忘れ
計画又は指示の遅延
計画又は指示の対象患者間違い
計画又は指示内容間違い
その他の療養上の世話の計画又は指
示に関する内容
拘束・抑制
給食の内容の間違い
安静指示
禁食指示
外出・外泊許可
異物混入
転倒
転落
衝突
誤嚥
誤飲
誤配膳
遅延
実施忘れ
搬送先間違い
患者間違い
延食忘れ
中止の忘れ
自己管理薬飲み忘れ・注射忘れ
自己管理薬注入忘れ
自己管理薬取違え摂取
不必要行為の実施
その他の療養上の世話の管理・準備・
実施に関する内容
その他
合 計
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
1
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0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
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0
0
332
0
1
0
0
332
0
1
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0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
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0
1
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0
0
0
0
0
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0
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0
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0
0
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0
0
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1
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1
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0
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0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
1
0
0
0
10
1
0
2
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
1
0
0
0
10
1
0
2
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
2
0
1
0
0
0
82
11
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
2
0
1
0
0
0
82
11
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
0
51
6
2
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
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0
0
0
0
0
51
6
2
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0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
22
2
0
1
2
1
0
2
0
0
0
0
0
0
0
2
1
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0
0
0
0
22
2
0
1
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1
0
2
0
0
0
0
0
0
0
2
0
0
0
0
0
0
11
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
11
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
4
0
2
0
0
0
177
21
2
4
3
1
0
2
0
0
0
0
0
0
0
3
4
0
2
0
0
0
177
21
2
4
3
1
0
2
0
0
0
0
0
0
0
3
14
14
10
10
35
35
35
35
15
15
3
3
112
112
28
85
28
85
19
87
19
87
25
246
25
246
58
274
58
274
19
202
19
202
8
38
8
38
157
932
157
932
※事故の発生及び事故の過失の有無と「事故の程度」とは必ずしも因果関係が認められるものではない。
※
「不明」には、報告期日(2週間以内)までに患者の転帰が確定していないもの、
特に報告を求める事例で患者に影響がなかった事例も含まれる。
- 67 -
Ⅱ
Ⅱ 報告の現況
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年1月∼3月)
図表Ⅱ - 2- 21 (QA-68-A)
関連診療科 × 事故の概要
薬剤
関連診療科×事故の概要
2015 年
1月∼3月
輸血
2015 年
1月∼3月
(累計)
2015 年
1月∼3月
治療・処置
2015 年
1月∼3月
(累計)
2015 年
1月∼3月
医療機器等
2015 年
1月∼3月
(累計)
2015 年
1月∼3月
2015 年
1月∼3月
(累計)
内科
5
5
1
1
13
13
1
1
麻酔科
3
3
0
0
31
31
2
2
循環器内科
4
4
0
0
26
26
1
1
神経科
0
0
0
0
1
1
1
1
呼吸器内科
2
2
0
0
4
4
1
1
消化器科
6
6
0
0
24
24
1
1
血液内科
2
2
0
0
0
0
0
0
循環器外科
0
0
0
0
4
4
0
0
アレルギー科
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
1
0
0
11
11
0
0
6
6
0
0
外科
8
8
1
1
32
32
0
0
整形外科
2
2
0
0
16
16
0
0
形成外科
0
0
0
0
5
5
1
1
美容外科
0
0
0
0
0
0
0
0
脳神経外科
0
0
0
0
13
13
0
0
呼吸器外科
1
1
0
0
7
7
1
1
心臓血管外科
2
2
0
0
18
18
3
3
小児外科
0
0
0
0
3
3
0
0
ペインクリニック
0
0
0
0
0
0
0
0
皮膚科
4
4
0
0
3
3
0
0
泌尿器科
7
7
0
0
15
15
1
1
性病科
0
0
0
0
0
0
0
0
肛門科
0
0
0
0
0
0
0
0
産婦人科
3
3
0
0
10
10
0
0
産科
0
0
1
1
4
4
0
0
婦人科
1
1
0
0
4
4
0
0
眼科
2
2
0
0
5
5
0
0
耳鼻咽喉科
0
0
0
0
11
11
0
0
心療内科
0
0
0
0
0
0
0
0
精神科
1
1
0
0
1
1
0
0
リハビリテーション科
0
0
0
0
1
1
0
0
放射線科
2
2
0
0
9
9
0
0
歯科
0
0
0
0
0
0
0
0
矯正歯科
0
0
0
0
0
0
0
0
小児歯科
0
0
0
0
0
0
0
0
歯科口腔外科
0
0
0
0
6
6
0
0
リウマチ科
小児科
不明
その他
合 計
0
0
0
0
0
0
0
0
15
15
1
1
45
45
3
3
81
81
4
4
318
318
16
16
※「関連診療科」は複数回答が可能である。
- 68 -
2 医療事故情報収集・分析・提供事業
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年1月∼3月)
ドレーン・チューブ
2015 年
1月∼3月
2015 年
1月∼3月
(累計)
検査
2015 年
1月∼3月
療養上の世話
2015 年
1月∼3月
(累計)
2015 年
1月∼3月
その他
2015 年
1月∼3月
(累計)
2015 年
1月∼3月
合 計
2015 年
1月∼3月
(累計)
2015 年
1月∼3月
2015 年
1 月∼3月
(累計)
4
4
4
4
23
23
5
5
56
56
6
6
2
2
0
0
2
2
46
46
4
4
2
2
14
14
10
10
61
61
2
2
0
0
9
9
11
11
24
24
3
3
3
3
39
39
5
5
57
57
2
2
3
3
9
9
14
14
59
59
2
2
0
0
8
8
1
1
13
13
0
0
0
0
1
1
2
2
7
7
0
0
0
0
2
2
0
0
2
2
0
0
0
0
0
0
1
1
2
2
8
8
1
1
30
30
7
7
63
63
12
12
6
6
19
19
15
15
93
93
3
3
1
1
108
108
18
18
148
148
2
2
0
0
3
3
1
1
12
12
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
2
2
2
2
14
14
10
10
41
41
3
3
0
0
7
7
2
2
21
21
7
7
1
1
5
5
7
7
43
43
2
2
0
0
3
3
2
2
10
10
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
1
5
5
0
0
13
13
3
3
4
4
8
8
4
4
42
42
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
3
3
1
1
7
7
6
6
30
30
1
1
0
0
0
0
0
0
6
6
1
1
0
0
2
2
1
1
9
9
1
1
0
0
4
4
3
3
15
15
2
2
3
3
5
5
4
4
25
25
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
36
36
19
19
57
57
0
0
0
0
6
6
0
0
7
7
0
0
3
3
2
2
2
2
18
18
0
0
0
0
0
0
3
3
3
3
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
1
0
0
4
4
2
2
13
13
0
0
0
0
1
1
1
1
2
2
13
13
12
12
35
35
20
20
144
144
87
87
49
49
409
409
178
178
1,142
1,142
- 69 -
Ⅱ
Ⅱ 報告の現況
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年1月∼3月)
図表Ⅱ - 2- 22 (QA-71-A)
発生要因 × 事故の概要
薬剤
発生要因×事故の概要
2015 年
1月∼3月
輸血
2015 年
1月∼3月
(累計)
2015 年
1月∼3月
治療・処置
2015 年
1月∼3月
(累計)
2015 年
1月∼3月
医療機器等
2015 年
1月∼3月
(累計)
2015 年
1月∼3月
2015 年
1月∼3月
(累計)
当事者の行動に関わる要因
確認を怠った
58
58
2
2
76
76
6
6
観察を怠った
14
14
1
1
37
37
5
5
報告が遅れた(怠った)
1
1
0
0
2
2
3
3
記録などに不備があった
5
5
0
0
14
14
0
0
連携ができていなかった
25
25
1
1
23
23
0
0
8
8
0
0
27
27
0
0
18
18
0
0
77
77
4
4
24
24
1
1
21
21
4
4
6
6
0
0
59
59
4
4
11
11
0
0
7
7
2
2
2
2
1
1
6
6
0
0
9
9
0
0
8
8
0
0
6
6
1
1
11
11
0
0
1
1
0
0
1
1
0
0
18
18
0
0
1
1
0
0
医療機器
1
1
0
0
14
14
6
6
施設・設備
1
1
0
0
2
2
0
0
諸物品
1
1
0
0
8
8
0
0
患者側
5
5
0
0
48
48
0
0
その他
3
3
0
0
11
11
0
0
14
14
1
1
41
41
5
5
8
8
0
0
5
5
1
1
15
15
0
0
13
13
1
1
5
5
0
0
54
54
0
0
259
259
8
8
566
566
41
41
患者への説明が不十分で
あった(怠った)
判断を誤った
ヒューマンファクター
知識が不足していた
技術・手技が未熟だった
勤務状況が繁忙だった
通常とは異なる身体的条
件下にあった
通常とは異なる心理的条
件下にあった
その他
環境・設備機器
コンピュータシステム
医薬品
その他
教育・訓練
仕組み
ルールの不備
その他
合計
※「発生要因」は複数回答が可能である。
- 70 -
2 医療事故情報収集・分析・提供事業
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年1月∼3月)
ドレーン・チューブ
2015 年
1月∼3月
2015 年
1月∼3月
(累計)
検査
2015 年
1月∼3月
療養上の世話
2015 年
1月∼3月
(累計)
2015 年
1月∼3月
その他
2015 年
1月∼3月
(累計)
2015 年
1月∼3月
合 計
2015 年
1月∼3月
(累計)
2015 年
1月∼3月
2015 年
1月∼3月
(累計)
1,136
1,136
27
27
14
14
82
82
28
28
293
293
23
23
2
2
130
130
40
40
252
252
1
1
1
1
8
8
6
6
22
22
1
1
0
0
5
5
2
2
27
27
15
15
6
6
52
52
18
18
140
140
3
3
4
4
80
80
15
15
137
137
29
29
7
7
106
106
24
24
265
265
436
436
17
17
2
2
39
39
8
8
116
116
22
22
3
3
37
37
17
17
148
148
5
5
2
2
36
36
8
8
71
71
1
1
0
0
4
4
0
0
14
14
2
2
0
0
6
6
4
4
29
29
3
3
4
4
21
21
12
12
58
58
445
445
1
1
0
0
0
0
3
3
6
6
0
0
3
3
3
3
1
1
26
26
4
4
5
5
1
1
3
3
34
34
0
0
0
0
27
27
4
4
34
34
4
4
1
1
10
10
3
3
27
27
17
17
6
6
175
175
31
31
282
282
0
0
1
1
13
13
8
8
36
36
408
408
11
11
4
4
67
67
17
17
160
160
3
3
3
3
10
10
8
8
38
38
7
7
4
4
15
15
4
4
59
59
6
6
13
13
33
33
40
40
151
151
202
202
85
85
960
960
304
304
2,425
2,425
- 71 -
Ⅱ
Ⅱ 報告の現況
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年1月∼3月)
3 ヒヤリ・ハット事例収集・分析・提供事業
ヒヤリ・ハット事例収集・分析・提供事業で収集する情報には発生件数情報と事例情報がある。
発生件数情報の収集はヒヤリ・ハット事例収集・分析・提供事業に参加を希望する全ての医療機関から
収集を行う。事例情報の収集は、ヒヤリ・ハット事例収集・分析・提供事業に参加を希望する医療機関
のうち、報告を希望した医療機関から収集を行う。この報告書においては、2015年1月1日から
同年3月31日までのヒヤリ・ハット事例収集事業の発生件数情報と事例情報の集計結果を掲載して
いる。
【1】登録医療機関
(1)参加登録申請医療機関数
2015年3月31日現在、ヒヤリ・ハット事例収集・分析・提供事業に参加している医療機関数は
以下の通りである。なお、医療機関数の増減の理由には、新規の開設や閉院、統廃合の他に、開設者
区分の変更も含まれる。
図表Ⅱ - 3- 1 (QH-01)
参加登録申請医療機関数
開設者
国立大学法人等
独立行政法人国立病院機構
国立高度専門医療研究センター
国
国立ハンセン病療養所
独立行政法人労働者健康福祉機構
独立行政法人地域医療機能推進機構
その他の国の機関
都道府県
市町村
自治体
公立大学法人
地方独立行政法人
日本赤十字社
恩賜財団済生会
北海道社会事業協会
自治体以外の公的 厚生農業協同組合連合会
医療機関の開設者 国民健康保険団体連合会
健康保険組合及びその連合会
共済組合及びその連合会
国民健康保険組合
学校法人
医療法人
法人
公益法人
会社
その他の法人
個 人
合 計
- 72 -
事例情報報告参加
登録申請医療機関
18
69
3
4
25
24
0
16
74
5
11
45
10
0
8
0
0
12
1
32
199
23
4
19
34
636
参加登録申請
医療機関
29
117
5
11
30
43
0
27
127
9
25
80
20
0
20
2
1
20
1
46
395
52
13
39
52
1,164
3 ヒヤリ・ハット事例収集・分析・提供事業
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年1月∼3月)
(2)参加登録申請医療機関における登録件数の推移
参加登録申請医療機関における登録医療機関数の推移は以下の通りである。
図表Ⅱ - 3- 2 (QH-02)
参加登録申請医療機関の登録件数
2015 年(平成27年)
1月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10月 11月 12月
事例情報参加
登録申請医療
機関数
2
3
4
−
−
−
−
−
−
−
−
−
登録取下げ
医療機関数
0
0
0
−
−
−
−
−
−
−
−
−
629
632
636
−
−
−
−
−
−
−
−
−
参加登録申請
医療機関数
4
3
4
−
−
−
−
−
−
−
−
−
登録取下げ
医療機関数
0
0
0
−
−
−
−
−
−
−
−
−
1,157 1,160 1,164
−
−
−
−
−
−
−
−
−
累 計
累 計
- 73 -
Ⅱ
Ⅱ 報告の現況
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年1月∼3月)
【2】全医療機関の発生件数情報報告
(1)全医療機関の発生件数情報報告
2015年1月1日から同年3月31日までの発生件数情報報告は以下の通りである。
図表Ⅱ - 3- 3 (QNR-01)
全医療機関発生件数情報報告
誤った医療の実施の有無
実施なし
影響度(当該事例の内容が仮に実施された場合)
項 目
死亡もしくは重篤 濃厚な処置・治療 軽微な処置・治療が
実施あり
な状況に至ったと が 必 要 で あ る と 必要もしくは処置・
考えられる
考えられる
治療が不要と考えら
れる
合計
(1)薬剤
215
774
16,031
38,339
55,359
(2)輸血
25
40
371
547
983
(3)治療・処置
93
352
2,780
6,649
9,874
(4)医療機器等
60
137
1,931
3,449
5,577
(5)ドレーン・チューブ
46
358
5,346
22,111
27,861
(6)検査
96
290
4,930
9,497
14,813
(7)療養上の世話
115
556
10,825
29,114
40,610
(8)その他
147
280
7,945
9,575
17,947
797
2,787
37
102
842
2,693
3,674
合 計
50,159 119,281 173,024
再 掲
【1】薬剤の名称や形状に関連する事例
168
501
5,654
14,487
20,810
【3】医療機器等に由来する事例
39
117
913
1,889
2,958
【4】今期のテーマ
10
42
634
2,839
3,525
【2】薬剤に由来する事例
報告医療機関数
病床数合計
- 74 -
479
192,384
3 ヒヤリ・ハット事例収集・分析・提供事業
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年1月∼3月)
(2)発生件数情報の報告状況
① 発生件数情報の報告状況
全医療機関の2015年1月1日から同年3月31日までの病床規模別発生件数情報報告を図表
Ⅱ - 3- 4∼図表Ⅱ - 3- 10に示す。
図表Ⅱ - 3- 4 (QNR-02)
病床規模別発生件数情報報告(病床数が0∼99床の医療機関)
誤った医療の実施の有無
Ⅱ
実施なし
影響度(当該事例の内容が仮に実施された場合)
項 目
死亡もしくは重篤 濃厚な処置・治療 軽微な処置・治療が
実施あり
な状況に至ったと が 必 要 で あ る と 必要もしくは処置・
考えられる
考えられる
治療が不要と考えら
れる
(1)薬剤
1
5
(2)輸血
0
0
1
1
2
(3)治療・処置
1
5
104
52
162
(4)医療機器等
0
5
43
15
63
(5)ドレーン・チューブ
0
1
34
52
87
(6)検査
0
1
104
76
181
(7)療養上の世話
0
0
203
210
413
(8)その他
0
7
183
84
274
2
24
856
673
1,555
【1】薬剤の名称や形状に関連する事例
1
1
9
9
20
【2】薬剤に由来する事例
1
4
116
105
226
【3】医療機器等に由来する事例
0
3
10
8
21
【4】今期のテーマ
0
1
4
8
13
合 計
184
183
合計
373
再 掲
報告医療機関数
病床数合計
- 75 -
27
1,424
Ⅱ 報告の現況
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年1月∼3月)
図表Ⅱ - 3- 5 (QNR-03)
病床規模別発生件数情報報告(病床数が100∼199床の医療機関)
誤った医療の実施の有無
実施なし
影響度(当該事例の内容が仮に実施された場合)
項 目
(1)薬剤
(2)輸血
(3)治療・処置
(4)医療機器等
(5)ドレーン・チューブ
(6)検査
(7)療養上の世話
(8)その他
合 計
死亡もしくは重篤 濃厚な処置・治療 軽微な処置・治療が
実施あり
な状況に至ったと が 必 要 で あ る と 必要もしくは処置・
考えられる
考えられる
治療が不要と考えら
れる
合計
2
0
1
1
1
0
3
8
16
83
1
17
6
8
8
59
11
193
1,139
20
262
124
349
371
1,391
784
4,440
1,616
14
280
149
808
475
1,716
829
5,887
2,840
35
560
280
1,166
854
3,169
1,632
10,536
0
0
0
1
4
66
3
5
66
445
54
48
38
470
67
107
108
981
124
161
再 掲
【1】薬剤の名称や形状に関連する事例
【2】薬剤に由来する事例
【3】医療機器等に由来する事例
【4】今期のテーマ
79
12,339
報告医療機関数
病床数合計
図表Ⅱ - 3- 6 (QNR-04)
病床規模別発生件数情報報告(病床数が200∼299床の医療機関)
誤った医療の実施の有無
実施なし
影響度(当該事例の内容が仮に実施された場合)
項 目
(1)薬剤
(2)輸血
(3)治療・処置
(4)医療機器等
(5)ドレーン・チューブ
(6)検査
(7)療養上の世話
(8)その他
合 計
死亡もしくは重篤 濃厚な処置・治療 軽微な処置・治療が
実施あり
な状況に至ったと が 必 要 で あ る と 必要もしくは処置・
考えられる
考えられる
治療が不要と考えら
れる
合計
6
1
3
2
1
1
3
6
23
20
3
22
8
11
16
38
28
146
1,398
29
192
139
390
446
1,462
847
4,903
2,404
24
436
298
1,379
679
2,824
852
8,896
3,828
57
653
447
1,781
1,142
4,327
1,733
13,968
2
3
2
1
1
11
9
0
56
472
67
26
123
980
126
134
182
1,466
204
161
再 掲
【1】薬剤の名称や形状に関連する事例
【2】薬剤に由来する事例
【3】医療機器等に由来する事例
【4】今期のテーマ
報告医療機関数
病床数合計
- 76 -
68
16,543
3 ヒヤリ・ハット事例収集・分析・提供事業
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年1月∼3月)
図表Ⅱ - 3- 7 (QNR-05)
病床規模別発生件数情報報告(病床数が300∼399床の医療機関)
誤った医療の実施の有無
実施なし
影響度(当該事例の内容が仮に実施された場合)
項 目
(1)薬剤
(2)輸血
(3)治療・処置
(4)医療機器等
(5)ドレーン・チューブ
(6)検査
(7)療養上の世話
(8)その他
合 計
死亡もしくは重篤 濃厚な処置・治療 軽微な処置・治療が
実施あり
な状況に至ったと が 必 要 で あ る と 必要もしくは処置・
考えられる
考えられる
治療が不要と考えら
れる
合計
18
5
12
18
6
14
7
23
103
115
9
49
28
106
56
117
47
527
2,171
58
361
279
551
788
1,267
901
6,376
5,412
60
969
423
2,740
1,355
5,294
1,219
17,472
7,716
132
1,391
748
3,403
2,213
6,685
2,190
24,478
5
8
3
1
16
26
9
13
134
507
123
82
297
1,631
300
451
452
2,172
435
547
再 掲
【1】薬剤の名称や形状に関連する事例
【2】薬剤に由来する事例
【3】医療機器等に由来する事例
【4】今期のテーマ
93
31,026
報告医療機関数
病床数合計
図表Ⅱ - 3- 8 (QNR-06)
病床規模別発生件数情報報告(病床数が400∼499床の医療機関)
誤った医療の実施の有無
実施なし
影響度(当該事例の内容が仮に実施された場合)
項 目
(1)薬剤
(2)輸血
(3)治療・処置
(4)医療機器等
(5)ドレーン・チューブ
(6)検査
(7)療養上の世話
(8)その他
合 計
死亡もしくは重篤 濃厚な処置・治療 軽微な処置・治療が
実施あり
な状況に至ったと が 必 要 で あ る と 必要もしくは処置・
考えられる
考えられる
治療が不要と考えら
れる
合計
99
3
46
18
13
41
43
71
334
147
2
69
31
66
31
75
68
489
2,816
48
371
510
684
575
2,043
2,104
9,151
6,717
82
1,068
696
4,422
1,545
5,743
1,780
22,053
9,779
135
1,554
1,255
5,185
2,192
7,904
4,023
32,027
3
91
18
3
4
98
35
7
97
1,002
154
120
294
2,362
402
382
398
3,553
609
512
再 掲
【1】薬剤の名称や形状に関連する事例
【2】薬剤に由来する事例
【3】医療機器等に由来する事例
【4】今期のテーマ
報告医療機関数
病床数合計
- 77 -
79
34,471
Ⅱ
Ⅱ 報告の現況
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年1月∼3月)
図表Ⅱ - 3- 9 (QNR-07)
病床規模別発生件数情報報告(病床数が500∼599床の医療機関)
誤った医療の実施の有無
実施なし
影響度(当該事例の内容が仮に実施された場合)
項 目
(1)薬剤
(2)輸血
(3)治療・処置
(4)医療機器等
(5)ドレーン・チューブ
(6)検査
(7)療養上の世話
(8)その他
合 計
死亡もしくは重篤 濃厚な処置・治療 軽微な処置・治療が
実施あり
な状況に至ったと が 必 要 で あ る と 必要もしくは処置・
考えられる
考えられる
治療が不要と考えら
れる
合計
45
2
9
10
11
21
46
13
157
64
3
33
10
39
22
82
21
274
2,124
55
207
128
860
535
1,162
505
5,576
3,205
23
499
231
1,825
746
2,199
707
9,435
5,438
83
748
379
2,735
1,324
3,489
1,246
15,442
19
46
8
1
24
123
10
2
119
1,279
68
45
453
1,339
161
280
615
2,787
247
328
再 掲
【1】薬剤の名称や形状に関連する事例
【2】薬剤に由来する事例
【3】医療機器等に由来する事例
【4】今期のテーマ
34
18,293
報告医療機関数
病床数合計
図表Ⅱ - 3- 10 (QNR-08)
病床規模別発生件数情報報告(病床数が600床以上の医療機関)
誤った医療の実施の有無
実施なし
影響度(当該事例の内容が仮に実施された場合)
項 目
(1)薬剤
(2)輸血
(3)治療・処置
(4)医療機器等
(5)ドレーン・チューブ
(6)検査
(7)療養上の世話
(8)その他
合 計
死亡もしくは重篤 濃厚な処置・治療 軽微な処置・治療が
実施あり
な状況に至ったと が 必 要 で あ る と 必要もしくは処置・
考えられる
考えられる
治療が不要と考えら
れる
合計
44
14
21
11
14
19
13
26
162
340
22
157
49
127
156
185
98
1,134
6,199
160
1,283
708
2,478
2,111
3,297
2,621
18,857
18,802
343
3,345
1,637
10,885
4,621
11,128
4,104
54,865
25,385
539
4,806
2,405
13,504
6,907
14,623
6,849
75,018
7
19
8
3
52
173
48
14
361
1,833
437
309
1,479
7,600
825
1,477
1,899
9,625
1,318
1,803
再 掲
【1】薬剤の名称や形状に関連する事例
【2】薬剤に由来する事例
【3】医療機器等に由来する事例
【4】今期のテーマ
報告医療機関数
病床数合計
- 78 -
99
78,288
3 ヒヤリ・ハット事例収集・分析・提供事業
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年1月∼3月)
【3】事例情報参加登録申請医療機関の報告件数
(1)事例情報参加登録申請医療機関の月別報告件数
2015年1月1日から同年3月31日までの事例情報参加登録申請医療機関の月別報告件数は
以下の通りである。
図表Ⅱ - 3- 11 (QH-03)
事例情報参加登録申請医療機関の月別報告件数
1月
事例情報参加
登録申請医療
機関報告数
4,430
事例情報参加
登録申請医療
機関数
629
2月
3月
4月
2015 年(平成27年)
5月
6月
7月
8月
9月
10月 11月 12月
合計
964 1,953
−
−
−
−
−
−
−
−
−
7,347
632
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
636
- 79 -
Ⅱ
Ⅱ 報告の現況
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年1月∼3月)
(2)事例情報参加登録申請医療機関の報告状況
事例情報参加登録申請医療機関の2015年1月1日から同年3月31日までの報告医療機関数及
び報告件数を図表Ⅱ - 3- 12に、病床規模別に集計したものを図表Ⅱ - 3- 13に、地域別に集計し
たものを図表Ⅱ - 3- 14に示す。また、同期間内における報告医療機関数を報告件数別に集計した
ものを図表Ⅱ - 3- 15に示す。2015年3月31日現在、事例情報参加登録申請医療機関の数は
636施設、病床数合計は208,730床である。
図表Ⅱ - 3- 12 (QH-04)
開設者別事例情報参加登録申請医療機関数及び報告件数
報告医療機関数
医療機関数
開設者
国
※ 2015 年
3月 31 日現在
2015 年
1月∼3月
報告件数
2015 年
1月∼3月
(累計)
2015 年
1月∼3月
2015 年
1月∼3月
(累計)
国立大学法人等
18
5
5
86
86
独立行政法人国立病院機構
69
4
4
9
9
国立高度専門医療研究センター
3
1
1
954
954
国立ハンセン病療養所
4
0
0
0
0
独立行政法人労働者健康福祉機構
25
4
4
245
245
独立行政法人地域医療機能推進機構
24
3
3
698
698
0
0
0
0
0
106
19
19
3,064
3,064
その他の国の機関
自治体
都道府県
市町村
公立大学法人
自治体以外の公的医療機関
の開設者
地方独立行政法人
日本赤十字社
45
7
7
718
718
恩賜財団済生会
10
2
2
211
211
0
0
0
0
0
北海道社会事業協会
厚生農業協同組合連合会
8
0
0
0
0
国民健康保険団体連合会
0
0
0
0
0
健康保険組合及びその連合会
0
0
0
0
0
12
1
1
32
32
共済組合及びその連合会
法人
1
0
0
0
0
学校法人
国民健康保険組合
32
6
6
370
370
医療法人
199
15
15
528
528
公益法人
23
2
2
11
11
4
0
0
0
0
19
3
3
421
421
個 人
34
0
0
0
0
合 計
636
72
72
7,347
7,347
会社
その他の法人
- 80 -
3 ヒヤリ・ハット事例収集・分析・提供事業
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年1月∼3月)
図表Ⅱ - 3- 13 (QH-05)
病床規模別事例情報参加登録申請医療機関数及び報告件数
病床数
医療機関数
※ 2015 年
3月 31 日現在
報告医療機関数
2015 年
1月∼3月
報告件数
2015 年
1月∼3月
(累計)
2015 年
1月∼3月
2015 年
1月∼3月
(累計)
0 ∼ 19 床
53
0
0
0
0
20 ∼ 49 床
21
1
1
26
26
50 ∼ 99 床
38
2
2
30
30
100 ∼ 149 床
43
2
2
13
13
150 ∼ 199 床
74
8
8
272
272
200 ∼ 249 床
43
4
4
143
143
250 ∼ 299 床
35
7
7
321
321
300 ∼ 349 床
72
6
6
900
900
350 ∼ 399 床
37
3
3
48
48
400 ∼ 449 床
62
7
7
637
637
450 ∼ 499 床
28
2
2
216
216
500 ∼ 549 床
29
6
6
683
683
550 ∼ 599 床
17
0
0
0
0
600 ∼ 649 床
19
5
5
1,160
1,160
650 ∼ 699 床
15
5
5
371
371
700 ∼ 749 床
12
2
2
5
5
750 ∼ 799 床
4
2
2
16
16
800 ∼ 849 床
7
3
3
2,178
2,178
850 ∼ 899 床
3
0
0
0
0
900 ∼ 999 床
11
5
5
307
307
1000 床以上
13
2
2
21
21
636
72
72
7,347
7,347
合計
図表Ⅱ - 3- 14 (QH-06)
地域別事例情報参加登録申請医療機関数及び報告件数
地域
医療機関数
※ 2015 年
3月 31 日現在
報告医療機関数
2015 年
1月∼3月
報告件数
2015 年
1月∼3月
(累計)
2015 年
1月∼3月
2015 年
1月∼3月
(累計)
北海道
53
7
7
212
212
東北
62
7
7
192
192
関東甲信越
166
19
19
2,060
2,060
東海北陸
110
8
8
2,151
2,151
近畿
91
10
10
2,209
2,209
中国四国
76
12
12
399
399
九州沖縄
78
9
9
124
124
636
72
72
7,347
7,347
合計
- 81 -
Ⅱ
Ⅱ 報告の現況
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年1月∼3月)
図表Ⅱ - 3- 15 (QH-07)
報告件数別事例情報参加登録申請医療機関数
報告医療機関数
報告件数
2015 年
1月∼3月
2015 年
1月∼3月(累計)
0
564
564
1
13
13
2
3
3
3
3
3
4
5
5
5
1
1
6
1
1
7
0
0
8
0
0
9
0
0
10
4
4
11 ∼ 20
7
7
21 ∼ 30
5
5
31 ∼ 40
4
4
41 ∼ 50
1
1
51 ∼ 100
7
7
101 ∼ 150
3
3
151 ∼ 200
3
3
200 以上
合計
12
12
636
636
- 82 -
3 ヒヤリ・ハット事例収集・分析・提供事業
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年1月∼3月)
【4】事例情報参加登録申請医療機関からの報告の内容
2015年1月1日から同年3月31日までの事例情報参加登録申請医療機関からのヒヤリ・ハット
事例情報報告の内容は以下の通りである。
なお、各表はヒヤリ・ハット事例「事例情報」報告入力項目(注)を集計したものである。
図表Ⅱ - 3- 16 (QH-28)
当事者職種
当事者職種
件数
医師
Ⅱ
312
歯科医師
8
看護師
6,771
准看護師
42
薬剤師
247
臨床工学技士
32
助産師
112
看護助手
23
診療放射線技師
87
臨床検査技師
88
管理栄養士
7
栄養士
18
調理師・調理従事者
44
理学療法士(PT)
67
作業療法士(OT)
24
言語聴覚士(ST)
5
衛生検査技師
0
歯科衛生士
2
歯科技工士
0
その他
258
合 計
8,147
※当事者とは当該事象に関係したと医療機関が判断した者であり、複数回答が可能である。
(件)
7,000
6,500
6,000
5,500
5,000
4,500
4,000
3,500
3,000
2,500
2,000
1,500
1,000
500
その他
歯科技工士
歯科衛生士
衛生検査技師
言語聴覚士︵ST︶
作業療法士︵OT︶
理学療法士︵PT︶
調理師 調・理従事者
栄養士
管理栄養士
臨床検査技師
診療放射線技師
看護助手
助産師
臨床工学技士
薬剤師
准看護師
看護師
歯科医師
医師
0
(注)
「報告入力項目(ヒヤリ・ハット事例)
」は公益財団法人日本医療機能評価機構「医療事故情報収集等事業」ホームページ(http://www.med-safe.jp/)参照。
- 83 -
Ⅱ 報告の現況
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年1月∼3月)
図表Ⅱ - 3- 17 (QH-29)
当事者職種経験
当事者職種経験
医師
歯科医師
看護師
准看護師
薬剤師
臨床工学
技士
助産師
看護助手
診療放射線 臨床検査
技師
技師
0年
81
4
1,589
5
47
2
22
5
16
10
1年
27
0
942
1
20
1
19
6
5
5
2年
24
1
606
0
12
5
10
1
7
2
3年
18
0
473
0
10
1
7
1
2
4
4年
12
0
375
3
19
5
4
0
3
3
5年
9
2
232
0
19
4
11
1
2
4
6年
9
1
229
2
13
2
5
0
1
1
7年
12
0
205
1
6
2
3
0
2
1
8年
8
0
239
1
3
5
4
0
3
3
9年
7
0
236
0
7
0
3
1
1
1
10 年
9
0
194
0
9
0
1
2
0
6
11 年
7
0
133
1
3
1
1
2
0
1
12 年
25
0
142
0
10
0
0
0
3
0
13 年
4
0
102
2
1
0
5
1
2
1
14 年
9
0
103
1
5
1
0
0
2
1
15 年
7
0
123
0
5
1
3
1
2
2
16 年
2
0
87
0
5
0
1
0
1
1
17 年
1
0
106
0
1
0
3
0
1
2
18 年
4
0
72
0
2
1
0
1
4
1
19 年
3
0
51
0
2
1
1
1
1
0
20 年
4
0
77
4
4
0
2
0
2
3
21 年
4
0
38
0
0
0
0
0
3
2
22 年
4
0
46
1
7
0
1
0
1
2
23 年
1
0
42
0
5
0
1
0
0
5
24 年
2
0
39
1
1
0
0
0
4
1
25 年
0
0
36
0
1
0
1
0
5
3
26 年
3
0
41
1
10
0
2
0
1
4
27 年
1
0
30
0
1
0
0
0
1
2
28 年
2
0
22
1
4
0
0
0
2
0
29 年
0
0
17
0
4
0
1
0
2
3
30 年
4
0
36
2
2
0
0
0
2
3
31 年
1
0
11
0
2
0
0
0
2
2
32 年
0
0
12
0
1
0
0
0
2
1
33 年
3
0
7
0
2
0
0
0
0
0
34 年
0
0
19
0
0
0
1
0
0
1
35 年
4
0
18
3
1
0
0
0
0
5
36 年
0
0
4
0
2
0
0
0
1
1
37 年
0
0
9
1
0
0
0
0
1
0
38 年
0
0
9
8
0
0
0
0
0
1
39 年
0
0
6
0
0
0
0
0
0
0
40 年超
1
0
13
3
1
0
0
0
0
0
合 計
312
8
6,771
42
247
32
112
23
87
88
※当事者とは当該事象に関係したと医療機関が判断した者であり、複数回答が可能である。
- 84 -
3 ヒヤリ・ハット事例収集・分析・提供事業
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年1月∼3月)
管理栄養士
栄養士
調理師・ 理学療法士 作業療法士 言語聴覚士 衛生検査
歯科衛生士 歯科技工士
調理従事者 (PT)
(OT)
(ST)
技師
その他
合 計
2
10
7
4
6
0
0
0
0
190
2,000
1
0
6
20
1
3
0
0
0
10
1,067
0
0
2
8
7
0
0
0
0
10
695
1
0
2
5
0
0
0
0
0
7
531
0
1
2
2
0
0
0
0
0
3
432
0
0
0
6
0
0
0
0
0
0
290
1
0
0
3
0
1
0
0
0
1
269
0
0
1
5
0
0
0
0
0
2
240
1
2
1
4
2
0
0
0
0
8
284
1
1
0
1
1
0
0
0
0
4
264
0
0
4
1
1
0
0
0
0
6
233
0
2
3
0
0
0
0
0
0
4
158
0
0
4
0
0
0
0
0
0
0
184
0
0
0
0
2
0
0
0
0
2
122
0
1
0
3
0
0
0
0
0
1
127
0
0
3
0
0
0
0
1
0
0
148
0
0
0
0
0
1
0
0
0
0
98
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
115
0
0
1
0
0
0
0
0
0
3
89
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
60
0
1
3
1
0
0
0
0
0
3
104
0
0
0
0
1
0
0
0
0
1
49
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
62
0
0
1
1
0
0
0
0
0
0
56
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
48
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
46
0
0
0
0
0
0
0
1
0
1
64
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
35
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
32
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
27
0
0
1
2
0
0
0
0
0
1
53
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
18
0
0
0
0
3
0
0
0
0
0
19
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
12
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
21
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
32
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
8
0
0
0
1
0
0
0
0
0
0
12
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
18
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
6
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
19
7
18
44
67
24
5
0
2
0
258
8,147
- 85 -
Ⅱ
Ⅱ 報告の現況
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年1月∼3月)
図表Ⅱ - 3- 18 (QH-30)
当事者部署配属期間
歯科医師
看護師
准看護師
薬剤師
臨床工学
技士
助産師
看護助手
診療放射線 臨床検査
技師
技師
当事者部署配属期間
医師
0年
149
4
2,262
6
59
2
32
6
23
15
1年
40
0
1,473
7
30
2
19
7
5
9
2年
38
2
917
0
11
7
9
2
9
8
3年
13
0
651
4
13
5
12
2
4
4
4年
11
2
469
6
22
2
5
1
4
2
5年
8
0
277
3
17
5
10
3
2
7
6年
7
0
188
0
13
2
6
0
2
3
7年
7
0
162
3
4
0
4
0
1
3
8年
2
0
93
0
0
2
5
0
1
4
9年
3
0
69
0
5
0
1
0
2
0
10 年
6
0
73
1
9
0
1
0
3
5
11 年
1
0
32
2
3
1
0
2
1
2
12 年
3
0
16
3
6
0
0
0
3
1
13 年
3
0
18
0
1
0
0
0
2
1
14 年
3
0
16
0
6
0
0
0
1
1
15 年
4
0
7
0
3
3
2
0
2
6
16 年
3
0
10
1
4
0
0
0
0
3
17 年
1
0
7
0
0
1
1
0
1
1
18 年
0
0
4
3
0
0
0
0
1
0
19 年
1
0
4
0
1
0
3
0
0
3
20 年
1
0
5
0
4
0
1
0
2
0
21 年
2
0
1
0
1
0
0
0
1
0
22 年
2
0
0
0
6
0
0
0
0
1
23 年
2
0
1
0
13
0
0
0
1
1
24 年
0
0
4
1
2
0
0
0
4
0
25 年
0
0
0
0
2
0
0
0
3
1
26 年
0
0
1
0
3
0
0
0
1
2
27 年
1
0
0
0
1
0
0
0
0
1
28 年
0
0
0
0
4
0
1
0
1
0
29 年
0
0
3
0
2
0
0
0
0
2
30 年
0
0
2
2
1
0
0
0
1
0
31 年
1
0
0
0
1
0
0
0
2
1
32 年
0
0
1
0
0
0
0
0
2
0
33 年
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
34 年
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
35 年
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
36 年
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
37 年
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
38 年
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
39 年
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
40 年超
0
0
4
0
0
0
0
0
0
0
合 計
312
8
6,771
42
247
32
112
23
87
88
※当事者とは当該事象に関係したと医療機関が判断した者であり、複数回答が可能である。
- 86 -
3 ヒヤリ・ハット事例収集・分析・提供事業
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年1月∼3月)
管理栄養士
栄養士
調理師・ 理学療法士 作業療法士 言語聴覚士 衛生検査
歯科衛生士 歯科技工士
調理従事者 (PT)
(OT)
(ST)
技師
その他
合 計
2
11
7
14
6
0
0
1
0
197
2,796
1
1
9
21
1
3
0
0
0
13
1,641
0
4
2
5
10
0
0
0
0
11
1,035
1
0
4
4
2
0
0
0
0
6
725
0
0
1
4
0
1
0
0
0
2
532
0
0
0
4
2
0
0
0
0
3
341
1
0
0
0
0
0
0
0
0
2
224
0
0
1
5
1
0
0
0
0
7
198
1
0
0
3
0
1
0
0
0
5
117
0
0
0
2
1
0
0
0
0
2
85
0
0
2
0
0
0
0
0
0
4
104
0
0
4
0
0
0
0
0
0
2
50
0
1
4
0
0
0
0
0
0
0
37
1
0
0
0
0
0
0
0
0
1
27
0
0
0
1
0
0
0
0
0
0
28
0
0
2
0
0
0
0
0
0
1
30
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
22
0
0
0
1
0
0
0
0
0
0
13
0
0
1
1
0
0
0
0
0
2
12
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
12
0
1
2
1
0
0
0
0
0
0
17
0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
6
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
9
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
19
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
11
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
6
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
8
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
3
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
7
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
7
0
0
1
1
0
0
0
0
0
0
8
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
5
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
3
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
5
7
18
44
67
24
5
0
2
0
258
8,147
- 87 -
Ⅱ
Ⅱ 報告の現況
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年1月∼3月)
図表Ⅱ - 3- 19 (QH-31)
事例の概要
事例の概要
薬剤
2015 年1月∼3月
%
件数
%
3,023
41.1
3,023
41.1
41
0.6
41
0.6
239
3.3
239
3.3
輸血
治療・処置
医療機器等
ドレーン・チューブ
209
2.8
209
2.8
1,271
17.3
1,271
17.3
検査
療養上の世話
549
7.5
549
7.5
1,336
18.2
1,336
18.2
その他
合 計
2015 年1月∼3月(累計)
件数
679
9.2
679
9.2
7,347
100.0
7,347
100.0
※割合については、小数点第2位を四捨五入したものであり、合計が 100.0 にならないことがある。
図表Ⅱ - 3- 20 (QH-33)
影響度
影響度
2015 年1月∼3月
件数
2015 年1月∼3月(累計)
%
件数
%
死亡もしくは重篤な状況に
至ったと考えられる
50
1.4
50
1.4
濃厚な処置・治療が必要
であると考えられる
93
2.6
93
2.6
3,419
96.0
3,419
96.0
3,562
100.0
3,562
100.0
軽 微 な 処 置・ 治 療 が 必 要
もしくは処置・治療が不要
と考えられる
合 計
※割合については、小数点第2位を四捨五入したものであり、合計が 100.0 にならないことがある。
- 88 -
3 ヒヤリ・ハット事例収集・分析・提供事業
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年1月∼3月)
図表Ⅱ - 3- 21 (QH-36)
発生要因
2015 年1月∼3月
発生要因
件数
%
10,228
4,671
1,667
178
165
1,107
903
1,537
4,335
714
489
1,655
106
625
746
1,707
190
344
148
139
123
544
219
2,217
581
189
347
1,100
18,487
当事者の行動に関わる要因
確認を怠った
観察を怠った
報告が遅れた(怠った)
記録などに不備があった
連携ができていなかった
患者への説明が不十分であった(怠った)
判断を誤った
ヒューマンファクター
知識が不足していた
技術・手技が未熟だった
勤務状況が繁忙だった
通常とは異なる身体的条件下にあった
通常とは異なる心理的条件下にあった
その他
環境・設備機器
コンピュータシステム
医薬品
医療機器
施設・設備
諸物品
患者側
その他
その他
教育・訓練
仕組み
ルールの不備
その他
合 計
55
25.3
9
1
0.9
6
4.9
8.3
23.5
3.9
2.6
9
0.6
3.4
4
9.3
1
1.9
0.8
0.8
0.7
2.9
1.2
12
3.1
1
1.9
6
100.0
2015 年 1 月∼3月(累計)
件数
%
10,228
4,671
1,667
178
165
1,107
903
1,537
4,335
714
489
1,655
106
625
746
1,707
190
344
148
139
123
544
219
2,217
581
189
347
1,100
18,487
55
25.3
9
1
0.9
6
4.9
8.3
23.5
3.9
2.6
9
0.6
3.4
4
9.3
1
1.9
0.8
0.8
0.7
2.9
1.2
12
3.1
1
1.9
6
100.0
※「発生要因」は複数回答が可能である。
※割合については、小数点第2位を四捨五入したものであり、合計が 100.0 にならないことがある。
図表Ⅱ - 3- 22 (QH-61)
事例の概要 × 影響度
事例の概要×影響度
軽微な処置・治療が必要
死亡もしくは重篤な状況 濃厚な処置・治療が必要
も し く は 処 置・ 治 療 が
に至ったと考えられる
であると考えられる
不要と考えられる
2015 年
1月∼3月
2015 年
1月∼3月
(累計)
2015 年
1月∼3月
2015 年
1月∼3月
(累計)
2015 年
1月∼3月
2015 年
1月∼3月
(累計)
合 計
2015 年
1月∼3月
2015 年
1月∼3月
(累計)
薬剤
18
18
36
36
1,381
1,381
1,435
輸血
3
3
1
1
22
22
26
1,435
26
治療・処置
2
2
1
1
119
119
122
122
0
0
9
9
108
108
117
117
12
12
16
16
478
478
506
506
検査
3
3
4
4
329
329
336
336
療養上の世話
7
7
22
22
717
717
746
746
医療機器等
ドレーン・チューブ
その他
合 計
5
5
4
4
265
265
274
274
50
50
93
93
3,419
3,419
3,562
3,562
- 89 -
Ⅱ
Ⅱ 報告の現況
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年1月∼3月)
図表Ⅱ - 3- 23 (QH-64)
発生場面×影響度
発生場面×影響度
死亡もしくは重篤な状況に 濃厚な処置・治療が必要 軽微な処置・治療が必要
もし くは 処 置・ 治 療 が
至ったと考えられる
であると考えられる
不要と考えられる
2015 年
1月∼3月
薬剤に関する項目
手書きによる処方箋の作成
オーダリングによる処方箋の作成
口頭による処方指示
手書きによる処方の変更
オーダリングによる処方の変更
口頭による処方の変更
その他の処方に関する場面
内服薬調剤
注射薬調剤
血液製剤調剤
外用薬調剤
その他の調剤に関する場面
内服薬製剤管理
注射薬製剤管理
血液製剤管理
外用薬製剤管理
その他の製剤管理に関する場面
与薬準備
皮下・筋肉注射
静脈注射
動脈注射
末梢静脈点滴
中心静脈注射
内服
外用
坐剤
吸入
点鼻・点耳・点眼
その他与薬に関する場面
輸血に関する項目
手書きによる処方箋の作成
オーダリングによる処方箋の作成
口頭による処方指示
手書きによる処方の変更
オーダリングによる処方の変更
口頭による処方の変更
その他の処方に関する場面
準備
実施
その他の輸血検査に関する場面
準備
実施
その他の放射線照射に関する場面
製剤の交付
その他の輸血準備に関する場面
実施
その他の輸血実施に関する場面
治療・処置に関する項目
手書きによる指示の作成
オーダリングによる指示の作成
口頭による指示
手書きによる指示の変更
オーダリングによる指示の変更
口頭による指示の変更
その他の指示に関する場面
管理
その他の管理に関する場面
準備
その他の準備に関する場面
実施
その他の治療・処置に関する場面
2015 年
1月∼3月
(累計)
2015 年
1月∼3月
2015 年
1月∼3月
(累計)
2015 年
1月∼3月
2015 年
1月∼3月
(累計)
0
0
0
0
0
0
0
4
4
0
0
0
0
1
0
0
0
2
0
2
0
1
1
3
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
4
4
0
0
0
0
1
0
0
0
2
0
2
0
1
1
3
0
0
0
0
0
0
2
1
0
0
0
1
5
4
0
1
1
0
1
0
0
0
3
3
4
0
0
3
5
0
0
0
0
2
0
2
1
0
0
0
1
5
4
0
1
1
0
1
0
0
0
3
3
4
0
0
3
5
0
0
0
0
2
1
32
2
1
6
1
31
68
40
1
4
0
10
12
3
1
9
188
83
112
2
140
42
497
32
0
9
16
38
1
32
2
1
6
1
31
68
40
1
4
0
10
12
3
1
9
188
83
112
2
140
42
497
32
0
9
16
38
0
0
0
0
0
0
0
1
1
0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
1
0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
1
1
0
0
0
0
3
5
5
7
0
0
0
0
0
0
0
1
1
0
0
0
0
3
5
5
7
0
0
0
0
0
0
1
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
1
4
0
0
0
0
5
4
3
21
6
58
17
1
4
0
0
0
0
5
4
3
21
6
58
17
- 90 -
合 計
2015 年
1月∼3月
1,435
1
34
3
1
6
1
32
77
48
1
5
1
10
14
3
1
9
193
86
118
2
141
46
505
32
0
9
16
40
26
0
0
0
0
0
0
0
2
2
0
0
0
0
4
5
6
7
122
1
4
0
0
0
0
6
4
4
21
6
58
18
2015 年
1月∼3月
(累計)
1,435
1
34
3
1
6
1
32
77
48
1
5
1
10
14
3
1
9
193
86
118
2
141
46
505
32
0
9
16
40
26
0
0
0
0
0
0
0
2
2
0
0
0
0
4
5
6
7
122
1
4
0
0
0
0
6
4
4
21
6
58
18
3 ヒヤリ・ハット事例収集・分析・提供事業
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年1月∼3月)
発生場面×影響度
死亡もしくは重篤な状況に 濃厚な処置・治療が必要 軽微な処置・治療が必要
もし くは 処 置・ 治 療 が
至ったと考えられる
であると考えられる
不要と考えられる
2015 年
1月∼3月
医療機器等・医療材料の使用・管理に関する項目
手書きによる指示の作成
オーダリングによる指示の作成
口頭による指示
手書きによる指示の変更
オーダリングによる指示の変更
口頭による指示の変更
その他の指示に関する場面
管理
準備
使用中
ドレーン・チューブ類の使用・管理に関する項目
手書きによる指示の作成
オーダリングによる指示の作成
口頭による指示
手書きによる指示の変更
オーダリングによる指示の変更
口頭による指示の変更
その他の指示に関する場面
管理
準備
使用中
検査に関する項目
手書きによる指示の作成
オーダリングによる指示の作成
口頭による指示
手書きによる指示の変更
オーダリングによる指示の変更
口頭による指示の変更
その他の指示に関する場面
管理
準備
実施中
療養上の世話に関する項目
手書きによる計画又は指示の作成
オーダリングによる計画又は指示の作成
口頭による計画又は指示
手書きによる計画又は指示の変更
オーダリングによる計画又は指示の変更
口頭による計画又は指示の変更
その他の計画又は指示に関する場面
管理
準備
実施中
その他
合計
2015 年
1月∼3月
(累計)
2015 年
1月∼3月
2015 年
1月∼3月
(累計)
2015 年
1月∼3月
2015 年
1月∼3月
(累計)
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
3
1
5
0
0
0
0
0
0
0
3
1
5
0
0
1
0
0
0
7
20
28
52
0
0
1
0
0
0
7
20
28
52
0
0
0
0
0
0
0
4
0
8
0
0
0
0
0
0
0
4
0
8
0
0
0
0
0
0
6
0
0
10
0
0
0
0
0
0
6
0
0
10
0
0
0
0
0
0
65
80
3
330
0
0
0
0
0
0
65
80
3
330
0
0
0
0
0
0
0
0
1
2
0
0
0
0
0
0
0
0
1
2
0
0
0
0
0
0
0
0
0
4
0
0
0
0
0
0
0
0
0
4
2
10
5
0
3
0
46
35
51
177
2
10
5
0
3
0
46
35
51
177
0
0
0
0
0
0
0
1
0
6
5
50
0
0
0
0
0
0
0
1
0
6
5
50
0
0
0
0
0
0
1
10
2
9
4
93
0
0
0
0
0
0
1
10
2
9
4
93
0
2
3
0
0
1
120
210
21
360
265
3,419
0
2
3
0
0
1
120
210
21
360
265
3,419
- 91 -
合 計
2015 年
1月∼3月
117
0
0
1
0
0
0
7
23
29
57
506
0
0
0
0
0
0
71
84
3
348
336
2
10
5
0
3
0
46
35
52
183
746
0
2
3
0
0
1
121
221
23
375
274
3,562
2015 年
1月∼3月
(累計)
117
0
0
1
0
0
0
7
23
29
57
506
0
0
0
0
0
0
71
84
3
348
336
2
10
5
0
3
0
46
35
52
183
746
0
2
3
0
0
1
121
221
23
375
274
3,562
Ⅱ
Ⅱ 報告の現況
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年1月∼3月)
図表Ⅱ - 3- 24 (QH-65)
事例の内容 × 影響度
事例の内容×影響度
死亡もしくは重篤な状況に 濃厚な処置・治療が必要 軽微な処置・治療が必要
もし くは 処 置・ 治 療 が
至ったと考えられる
であると考えられる
不要と考えられる
2015 年
1月∼3月
2015 年
1月∼3月
(累計)
2015 年
1月∼3月
2015 年
1月∼3月
(累計)
2015 年
1月∼3月
2015 年
1月∼3月
(累計)
薬剤に関する項目
処方忘れ
処方遅延
処方量間違い
重複処方
禁忌薬剤の処方
対象患者処方間違い
処方薬剤間違い
処方単位間違い
投与方法処方間違い
その他の処方に関する内容
調剤忘れ
処方箋・注射箋鑑査間違い
秤量間違い調剤
数量間違い
分包間違い
規格間違い調剤
単位間違い調剤
薬剤取り違え調剤
説明文書の取り違え
交付患者間違い
薬剤・製剤の取り違え交付
期限切れ製剤の交付
その他の調剤に関する内容
薬袋・ボトルの記載間違い
異物混入
細菌汚染
期限切れ製剤
その他の製剤管理に関する内容
過剰与薬準備
過少与薬準備
与薬時間・日付間違い
重複与薬
禁忌薬剤の与薬
投与速度速すぎ
投与速度遅すぎ
患者間違い
薬剤間違い
単位間違い
投与方法間違い
無投薬
混合間違い
その他の与薬準備に関する内容
過剰投与
過少投与
投与時間・日付間違い
重複投与
禁忌薬剤の投与
投与速度速すぎ
投与速度遅すぎ
患者間違い
薬剤間違い
単位間違い
投与方法間違い
無投薬
その他の与薬に関する内容
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
3
1
1
0
1
0
0
0
0
1
0
0
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0
1
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0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
2
2
1
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0
0
0
0
0
0
0
2
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2
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0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
3
1
1
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1
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0
0
0
1
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0
0
0
1
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0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
2
2
1
0
0
0
0
0
0
0
0
2
0
2
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2
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0
1
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0
0
0
1
0
0
0
0
0
8
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0
1
0
2
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0
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1
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0
0
0
0
0
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0
0
1
0
0
0
2
2
0
2
0
0
1
0
1
2
0
2
3
4
- 92 -
0
0
2
0
0
0
1
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0
0
0
1
0
0
0
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8
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0
1
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2
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0
0
1
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0
0
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0
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0
1
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0
0
2
2
0
2
0
0
1
0
1
2
0
2
3
4
58
2
15
3
2
0
5
4
3
36
8
9
1
23
6
11
1
34
0
2
0
0
16
1
0
0
1
31
5
20
15
3
0
1
1
10
16
7
2
35
15
65
124
103
93
23
3
49
4
33
31
7
20
288
136
58
2
15
3
2
0
5
4
3
36
8
9
1
23
6
11
1
34
0
2
0
0
16
1
0
0
1
31
5
20
15
3
0
1
1
10
16
7
2
35
15
65
124
103
93
23
3
49
4
33
31
7
20
288
136
合 計
2015 年
1月∼3月
2015 年
1月∼3月
(累計)
1435
1435
58
2
17
3
2
0
6
4
3
36
8
11
1
26
7
12
1
43
0
2
1
0
19
1
0
0
1
33
5
20
15
3
0
1
1
10
16
8
2
35
15
69
128
104
95
23
3
50
4
34
33
7
24
291
142
58
2
17
3
2
0
6
4
3
36
8
11
1
26
7
12
1
43
0
2
1
0
19
1
0
0
1
33
5
20
15
3
0
1
1
10
16
8
2
35
15
69
128
104
95
23
3
50
4
34
33
7
24
291
142
3 ヒヤリ・ハット事例収集・分析・提供事業
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年1月∼3月)
事例の内容×影響度
死亡もしくは重篤な状況に 濃厚な処置・治療が必要 軽微な処置・治療が必要
もし くは 処 置・ 治 療 が
至ったと考えられる
であると考えられる
不要と考えられる
2015 年
1月∼3月
2015 年
1月∼3月
(累計)
2015 年
1月∼3月
2015 年
1月∼3月
(累計)
2015 年
1月∼3月
2015 年
1月∼3月
(累計)
輸血に関する項目
指示出し忘れ
指示遅延
指示量間違い
重複指示
禁忌薬剤の指示
対象患者指示間違い
指示薬剤間違い
指示単位間違い
投与方法指示間違い
その他の指示出しに関する内容
未実施
検体取り違え
判定間違い
結果記入・入力間違い
その他の輸血検査に関する内容
未実施
過剰照射
過少照射
患者間違い
製剤間違い
その他の放射線照射に関する内容
薬袋・ボトルの記載間違い
異物混入
細菌汚染
期限切れ製剤
その他の輸血管理に関する内容
過剰与薬準備
過少与薬準備
与薬時間・日付間違い
重複与薬
禁忌薬剤の与薬
投与速度速すぎ
投与速度遅すぎ
患者間違い
薬剤間違い
単位間違い
投与方法間違い
無投薬
その他の輸血準備に関する内容
過剰投与
過少投与
投与時間・日付間違い
重複投与
禁忌薬剤の投与
投与速度速すぎ
投与速度遅すぎ
患者間違い
薬剤間違い
単位間違い
投与方法間違い
無投薬
その他の輸血実施に関する内容
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
- 93 -
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
5
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
3
1
0
0
0
5
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
5
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
5
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
3
1
0
0
0
5
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
5
合 計
2015 年
1月∼3月
2015 年
1月∼3月
(累計)
26
26
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
6
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
3
1
0
0
0
6
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
7
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
6
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
3
1
0
0
0
6
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
7
Ⅱ
Ⅱ 報告の現況
事例の内容×影響度
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年1月∼3月)
死亡もしくは重篤な状況に 濃厚な処置・治療が必要 軽微な処置・治療が必要
もし くは 処 置・ 治 療 が
至ったと考えられる
であると考えられる
不要と考えられる
2015 年
1月∼3月
治療・処置に関する項目
指示出し忘れ
指示遅延
対象患者指示間違い
治療・処置指示間違い
日程間違い
時間間違い
その他の治療・処置の指示に関する内容
治療・処置の管理
その他の治療・処置の管理に関する内容
医療材料取り違え
患者体位の誤り
消毒・清潔操作の誤り
その他の治療・処置の準備に関する内容
患者間違い
部位取違え
方法(手技)の誤り
未実施・忘れ
中止・延期
日程・時間の誤り
順番の誤り
不必要行為の実施
誤嚥
誤飲
異物の体内残存
診察・治療・処置等その他の取違え
その他の治療・処置の実施に関する内容
医療機器等・医療材料の使用・管理に関する項目
指示出し忘れ
指示遅延
対象患者指示間違い
使用方法指示間違い
2015 年
1月∼3月
(累計)
2015 年
1月∼3月
2015 年
1月∼3月
(累計)
2015 年
1月∼3月
2015 年
1月∼3月
(累計)
合 計
2015 年
1月∼3月
2015 年
1月∼3月
(累計)
122
1
0
0
1
0
0
4
0
7
0
0
1
25
5
0
8
9
2
0
0
1
1
0
5
0
52
117
0
0
0
1
0
0
0
0
0
0
1
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
1
0
0
1
0
0
3
0
6
0
0
1
25
5
0
8
9
2
0
0
1
1
0
5
0
51
1
0
0
1
0
0
3
0
6
0
0
1
25
5
0
8
9
2
0
0
1
1
0
5
0
51
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
1
122
1
0
0
1
0
0
4
0
7
0
0
1
25
5
0
8
9
2
0
0
1
1
0
5
0
52
117
0
0
0
1
その他の医療機器等・医療材料の
使用に関する内容
0
0
0
0
1
1
1
1
保守・点検不良
保守・点検忘れ
使用中の点検・管理ミス
破損
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
2
0
0
0
2
0
1
3
8
2
1
3
8
2
1
3
10
2
1
3
10
2
その他の医療機器等・医療材料の
管理に関する内容
0
0
1
1
8
8
9
9
組み立て
設定条件間違い
設定忘れ
電源入れ忘れ
警報設定忘れ
警報設定範囲間違い
便宜上の警報解除後の再設定忘れ
消毒・清潔操作の誤り
使用前の点検・管理ミス
破損
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
8
1
3
0
0
0
0
2
8
1
8
1
3
0
0
0
0
2
8
1
8
1
3
0
0
0
0
2
8
1
8
1
3
0
0
0
0
2
8
1
その他の医療機器等・医療材料の
準備に関する内容
0
0
1
1
7
7
8
8
医療機器等・医療材料の不適切使用
誤作動
故障
破損
0
0
0
0
0
0
0
0
3
0
0
0
3
0
0
0
10
3
8
5
10
3
8
5
13
3
8
5
13
3
8
5
その他の医療機器等・医療材料の
使用に関する内容
0
0
2
2
28
28
30
30
- 94 -
3 ヒヤリ・ハット事例収集・分析・提供事業
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年1月∼3月)
事例の内容×影響度
死亡もしくは重篤な状況に 濃厚な処置・治療が必要 軽微な処置・治療が必要
もし くは 処 置・ 治 療 が
至ったと考えられる
であると考えられる
不要と考えられる
2015 年
1月∼3月
ドレーン・チューブ類の使用・管理に関する項目
指示出し忘れ
指示遅延
対象患者指示間違い
使用方法指示間違い
2015 年
1月∼3月
(累計)
2015 年
1月∼3月
2015 年
1月∼3月
(累計)
2015 年
1月∼3月
2015 年
1月∼3月
(累計)
合 計
2015 年
1月∼3月
2015 年
1月∼3月
(累計)
506
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
506
0
0
0
0
その他のドレーン・チューブ類の
使用・管理の指示に関する内容
0
0
0
0
5
5
5
5
点検忘れ
点検不良
使用中の点検・管理ミス
破損
0
0
2
0
0
0
2
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
1
11
3
1
1
11
3
1
1
13
3
1
1
13
3
その他のドレーン・チューブ類の
管理に関する内容
1
1
1
1
56
56
58
58
組み立て
設定条件間違い
設定忘れ
消毒・清潔操作の誤り
使用前の点検・管理ミス
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
0
1
0
0
0
0
1
0
0
0
0
1
0
0
0
0
その他のドレーン・チューブ類の
準備に関する内容
0
0
0
0
2
2
2
2
点滴漏れ
自己抜去
自然抜去
接続はずれ
未接続
閉塞
切断・破損
接続間違い
三方活栓操作間違い
ルートクランプエラー
空気混入
誤作動
故障
ドレーン・チューブ類の不適切使用
1
4
0
0
0
1
0
0
0
1
0
0
0
2
1
4
0
0
0
1
0
0
0
1
0
0
0
2
0
12
0
1
0
2
0
0
0
0
0
0
0
0
0
12
0
1
0
2
0
0
0
0
0
0
0
0
13
257
26
30
2
12
17
2
3
7
1
0
0
4
13
257
26
30
2
12
17
2
3
7
1
0
0
4
14
273
26
31
2
15
17
2
3
8
1
0
0
6
14
273
26
31
2
15
17
2
3
8
1
0
0
6
その他のドレーン・チューブ類の
使用に関する内容
0
0
0
0
24
24
24
24
9
3
3
1
16
1
0
2
1
34
2
7
5
10
0
31
11
5
0
7
10
20
5
0
2
5
139
336
9
3
3
1
16
1
0
2
1
34
2
7
5
10
0
32
11
5
0
7
10
20
5
0
2
6
144
336
9
3
3
1
16
1
0
2
1
34
2
7
5
10
0
32
11
5
0
7
10
20
5
0
2
6
144
検査に関する項目
指示出し忘れ
指示遅延
対象患者指示間違い
指示検査の間違い
その他の検査の指示に関する内容
分析機器・器具管理
試薬管理
データ紛失
計算・入力・暗記
その他の検査の管理に関する内容
患者取違え
検体取違え
検体紛失
検査機器・器具の準備
検体破損
その他の検査の準備に関する内容
患者取違え
検体取違え
試薬の間違い
検体紛失
検査の手技・判定技術の間違い
検体採取時のミス
検体破損
検体のコンタミネーション
データ取違え
結果報告
その他の検査の実施に関する内容
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
2
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
2
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
3
- 95 -
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
3
9
3
3
1
16
1
0
2
1
34
2
7
5
10
0
31
11
5
0
7
10
20
5
0
2
5
139
Ⅱ
Ⅱ 報告の現況
事例の内容×影響度
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年1月∼3月)
死亡もしくは重篤な状況に 濃厚な処置・治療が必要 軽微な処置・治療が必要
もし くは 処 置・ 治 療 が
至ったと考えられる
であると考えられる
不要と考えられる
2015 年
1月∼3月
療養上の世話に関する項目
計画忘れ又は指示出し忘れ
計画又は指示の遅延
計画又は指示の対象患者間違い
計画又は指示内容間違い
2015 年
1月∼3月
(累計)
2015 年
1月∼3月
2015 年
1月∼3月
(累計)
2015 年
1月∼3月
2015 年
1月∼3月
(累計)
合 計
2015 年
1月∼3月
2015 年
1月∼3月
(累計)
746
1
1
1
2
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
1
1
2
1
1
1
2
746
1
1
1
2
その他の療養上の世話の計画又は
指示に関する内容
0
0
0
0
12
12
12
拘束・抑制
0
0
0
0
1
1
1
1
給食の内容の間違い
0
0
0
0
13
13
13
13
安静指示
禁食指示
外出・外泊許可
異物混入
転倒
転落
衝突
誤嚥
誤飲
誤配膳
遅延
実施忘れ
搬送先間違い
患者間違い
延食忘れ
中止の忘れ
自己管理薬飲み忘れ・注射忘れ
自己管理薬注入忘れ
自己管理薬取違え摂取
不必要行為の実施
0
0
0
0
3
1
0
0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
3
1
0
0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
7
6
0
0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
7
6
0
0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
12
6
6
2
383
124
6
1
1
6
0
8
0
5
2
1
10
0
7
4
12
6
6
2
383
124
6
1
1
6
0
8
0
5
2
1
10
0
7
4
12
7
6
2
393
131
6
1
1
6
0
10
0
5
2
1
10
0
7
4
12
7
6
2
393
131
6
1
1
6
0
10
0
5
2
1
10
0
7
4
その他の療養上の世話の管理・準備・
実施に関する内容
2
2
7
7
102
102
111
111
5
50
5
50
4
93
4
93
265
3,419
265
3,419
274
3,562
274
3,562
その他
合計
- 96 -
12
3 ヒヤリ・ハット事例収集・分析・提供事業
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年1月∼3月)
Ⅱ
- 97 -
Ⅱ 報告の現況
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年1月∼3月)
図表Ⅱ - 3- 25 (QH-67)
発生要因×事例の概要
薬剤
輸血
治療・処置
2015 年
1月∼3月
(累計)
医療機器等
2015 年
1月∼3月
(累計)
2015 年
1月∼3月
(累計)
2015 年
1月∼3月
2015 年
1月∼3月
(累計)
確認を怠った
2,551
2,551
26
26
136
136
139
139
観察を怠った
342
342
1
1
33
33
39
39
報告が遅れた(怠った)
84
84
1
1
12
12
10
10
記録などに不備があった
101
101
3
3
5
5
3
3
連携ができていなかった
476
476
13
13
39
39
22
22
患者への説明が不十分で
あった(怠った)
233
233
0
0
15
15
2
2
判断を誤った
392
392
6
6
39
39
24
24
知識が不足していた
365
365
5
5
26
26
41
41
技術・手技が未熟だった
214
214
4
4
30
30
26
26
勤務状況が繁忙だった
748
748
9
9
40
40
34
34
発生要因×事例の概要
2015 年
1月∼3月
2015 年
1月∼3月
2015 年
1月∼3月
当事者の行動に関わる要因
ヒューマンファクター
通常とは異なる身体的
条件下にあった
通常とは異なる心理的
条件下にあった
59
59
0
0
3
3
2
2
305
305
5
5
8
8
12
12
その他
344
344
8
8
14
14
20
20
コンピュータシステム
104
104
3
3
4
4
6
6
医薬品
301
301
0
0
7
7
0
0
医療機器
20
20
0
0
9
9
70
70
施設・設備
34
34
0
0
3
3
2
2
諸物品
20
20
0
0
6
6
6
6
患者側
89
89
0
0
14
14
2
2
その他
80
80
6
6
8
8
2
2
教育・訓練
299
299
1
1
17
17
22
22
仕組み
117
117
0
0
6
6
9
9
ルールの不備
219
219
9
9
11
11
26
26
その他
265
265
6
6
21
21
30
30
7,762
7,762
106
106
506
506
549
549
環境・設備機器
その他
合計
※「発生要因」は複数回答が可能である。,
- 98 -
3 ヒヤリ・ハット事例収集・分析・提供事業
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年1月∼3月)
ドレーン・チューブ
2015 年
1月∼3月
2015 年
1月∼3月
(累計)
検査
2015 年
1月∼3月
療養上の世話
2015 年
1月∼3月
(累計)
2015 年
1月∼3月
その他
2015 年
1月∼3月
(累計)
2015 年
1月∼3月
合計
2015 年
1月∼3月
(累計)
2015 年
1月∼3月
2015 年
1月∼3月
(累計)
10,228
10,228
546
546
406
406
495
495
372
372
4,671
4,671
570
570
45
45
504
504
133
133
1,667
1,667
19
19
23
23
10
10
19
19
178
178
7
7
11
11
15
15
20
20
165
165
170
170
115
115
153
153
119
119
1,107
1,107
167
167
38
38
351
351
97
97
903
903
448
448
62
62
452
452
114
114
1,537
1,537
4,335
4,335
97
97
64
64
78
78
38
38
714
714
104
104
31
31
48
48
32
32
489
489
286
286
101
101
274
274
163
163
1,655
1,655
10
10
10
10
17
17
5
5
106
106
89
89
61
61
80
80
65
65
625
625
118
118
49
49
113
113
80
80
746
746
1,707
1,707
9
9
28
28
7
7
29
29
190
190
13
13
3
3
14
14
6
6
344
344
23
23
14
14
6
6
6
6
148
148
24
24
6
6
53
53
17
17
139
139
29
29
7
7
41
41
14
14
123
123
171
171
12
12
233
233
23
23
544
544
27
27
16
16
38
38
42
42
219
219
2,217
2,217
69
69
31
31
95
95
47
47
581
581
9
9
17
17
16
16
15
15
189
189
13
13
27
27
25
25
17
17
347
347
159
159
71
71
131
131
417
417
1,100
1,100
3,177
3,177
1,248
1,248
3,249
3,249
1,890
1,890
18,487
18,487
- 99 -
Ⅱ
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
1 概況
【1】分析対象とするテーマの選定状況
本事業においては、収集された情報を基に、医療事故防止に資する情報提供を行う為に、分析作
業を行っている。分析にあたっては、分析対象とするテーマを設定し、そのテーマに関連する事例
をまとめて分析、検討を行っている。テーマの選定にあたっては、①一般性・普遍性、②発生頻度、
③患者への影響度、④防止可能性、⑤教訓性といった観点から、専門家の意見を踏まえ選定している。
なお、分析を行う際に、医療事故情報とヒヤリ・ハット事例を総合的に検討するため、ヒヤリ・ハット
事例収集・分析・提供事業における事例情報のテーマは、分析対象とするテーマから選択することと
している。また、報告書にて分析結果を公表するテーマは該当する報告書対象期間内のヒヤリ・ハット
事例収集・分析・提供事業における事例情報で、網羅的な情報収集を行ったテーマとする。
但し、本報告書対象期間内に収集した事例情報のうち、同期間内のヒヤリ・ハット事例収集・分析・
提供事業における事例情報のテーマとなっていないものについても、上記の5つの観点から分析を
実施し、情報提供を行うことが望ましいと判断した内容については、分析対象とするテーマとして
選定し分析・情報提供を実施することとしている。
本報告書において公表される分析テーマについて図表Ⅲ - 1- 1に示す。
図表Ⅲ - 1- 1 本報告書において公表される分析テーマ
医療事故情報とヒヤリ・ハット
事例を総合的に検討したテーマ
○インスリンに関連した医療事故
本報告書対象期間内に収集した
事例情報から選定したテーマ
○手術中の砕石位に関連した事例
○院内での自殺及び自殺企図に関する事例
【2】分析対象とする情報
本事業で収集した本報告書対象期間内の医療事故情報及びヒヤリ・ハット事例のうち、対象とする
テーマに関連する情報を有している事例情報を抽出し、分析対象とした。
その後、分析の必要性に応じて、本報告書対象期間外の過去の事例についても、抽出期間を設定し
た上で、同様の抽出を行い、分析対象とした。
- 100 -
1 概況
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年 1 月∼ 3 月)
【3】分析体制
医療安全に関わる医療専門職、安全管理の専門家などで構成される専門分析班において月1回程
度の頻度で事例情報を参照し、本事業で収集された事例情報の全体の概要の把握を行っている。その
上で、新たな分析テーマに関する意見交換や、すでに分析対象となっているテーマについての分析の
方向性の検討、助言などを行っている。
さらに、事例の集積の程度や専門性に応じて設置が必要と判断されたテーマについては、テーマ別
専門分析班を設置し、分析を行っている。テーマ別専門分析班の開催頻度は報告書での公表のタイミ
ングや事例の集積の程度に応じて全体で月1∼2回程度としている。
また、テーマによってはテーマ別専門分析班を設置せず、専門分析班の助言を得ながら当事業部の
客員研究員や事務局員が分析を行っている。
最終的に専門分析班、テーマ別専門分析班の意見を踏まえ、当事業部で分析結果を取りまとめ、
総合評価部会の審議を経て分析結果の公表を行っている。
Ⅲ
【4】追加情報
専門分析班において、医療機関から報告された事例の記述内容を分析するうえで、さらに詳細な
事実関係を把握する必要があると判断される事例に関しては、医療機関へ文書などによる問い合わせ
や、現地状況確認調査を行っている。追加情報の内容は、医療安全対策を検討するために活用している。
医療機関への現地状況確認調査は、2015年1月1日から3月31日までに2件実施した。
概況
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
3-〔1〕
3-〔2〕
3-〔3〕
3-〔4〕
- 101 -
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年 1 月∼ 3 月)
2 個別のテーマの検討状況
【1】インスリンに関連した医療事故
インスリン療法は1型糖尿病、糖尿病昏睡、重篤な感染症や全身管理が必要な手術の際および糖尿
病合併妊娠では絶対適応とされている。また、2型糖尿病において食事療法、運動療法および経口血糖
降下薬で血糖のコントロールが不良な場合や、著明な高血糖を認める場合などでもインスリン治療が
行われる1)。
インスリンは皮下注射によって投与することが多く、ペン型注入器を使用するのが一般的であるが、
持続皮下インスリン注入ポンプ療法(CSII)が行われることもある。一方、中心静脈栄養の際に
高カロリー輸液にインスリンを混ぜる方法や、末梢静脈の輸液に少量混注する方法、手術や集中治療
の場合にシリンジポンプを用いて持続静注を行う方法も用いられる。
インスリン製剤は作用時間と作用様式によって、超速効型、速効型、中間型、混合型、および持
効型溶解インスリンなどに分類される。また、製剤の種類としてはカートリッジ製剤、キット製剤、
バイアル製剤があり、いずれも濃度は100単位/mLに統一されている。
インスリンは、厚生労働科学研究「
『医薬品の安全使用のための業務手順書』作成マニュアル
特に安全管理が必要な医薬品(要注意薬)とされている。また、
(一社)
(2007年3月)
」2)において、
日本病院薬剤師会による「ハイリスク薬に関する業務ガイドライン(Ver.2.1)(2013年2月9日
改訂)」3)において、インスリンなどの膵臓ホルモン剤はハイリスク薬に位置付けられている。
インスリンを安全に使用するために、
(独)医薬品医療機器総合機構はPMDA医療安全情報
No. 23「インスリン注射器の取扱い時の注意について(2011年4月)
」4)、No. 37「インスリン
注入器の取扱い時の注意について(2013年4月)」5)を公表し、注意喚起を行っている。
本事業においても、報告された事例を基に、これまでにインスリンに関連する医療安全情報を4回
提供し、事例を紹介するとともに注意喚起を行ってきた(図表Ⅲ - 2- 1)
。また、第28回報告書
(2012年3月公表)では、
「研修医が単独でインスリンの単位を誤って調製し患者に投与した事例」
を分析テーマとして取り上げ、発生要因の分析を行った。
インスリンは投与量が単位(Unit)で設定されていること、製剤の種類が多いこと、投与方法が
患者による自己注射も含め多様であること、投与量の変更が多いことなどから、医療事故事例および
ヒヤリ・ハット事例が本事業に多数報告されている。そこで、本事業ではインスリンに関連した医療事
故事例やヒヤリ・ハット事例を個別のテーマとして取り上げ、事例を1年間継続的に収集し、4回の
報告書にわたって分析を進めることとした。
図表Ⅲ - 2- 1 インスリンに関連する医療安全情報
No.
タイトル
提供月
1
インスリン含量の誤認
2006年12月
6
インスリン単位の誤解
2007年 5月
66 インスリン含量の誤認(第2報)
2012年 5月
96 インスリン注入器の取り違え
2014年11月
- 102 -
2 個別のテーマの検討状況
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年 1 月∼ 3 月)
医療安全情報 No. 1「インスリン含量の誤認」
Ⅲ
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
3-〔1〕
3-〔2〕
3-〔3〕
3-〔4〕
医療安全情報 No. 6「インスリン単位の誤解」
インスリンに関連した医療事故
- 103 -
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年 1 月∼ 3 月)
医療安全情報 No. 66「インスリン含量の誤認(第2報)
」
医療安全情報 No. 96「インスリン注入器の取り違え」
- 104 -
2 個別のテーマの検討状況
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年 1 月∼ 3 月)
(1)インスリンに関連した医療事故の現状
①インスリンに関連した医療事故事例の考え方
本分析の対象は、2010年以降に報告された医療事故事例のうち、以下のキーワードを含む事例
から、インスリンの注射や作用に直接関連しない事例を除いた事例をインスリンに関連した医療事故
事例とした。
キーワード
インスリン
ノボリン
インシュリン
ヒューマリン
アピドラ
ヒューマログ
トレシーバ
ランタス
ノボラピッド
レベミル
Ⅲ
②発生状況
本報告書では、2010年1月1日から2015年3月31日までに報告された医療事故事例の
うち、上記の基準に合致するインスリンに関連した医療事故事例101件を分析の対象とした。
報告された事例の概要を事例の内容と発生段階で整理し、発生状況を集計した(図表Ⅲ - 2- 2)
。
事例の内容としては、薬剤量間違い(過剰)が最も多く27件、薬剤間違いが20件と多かった。
発生段階では、注射の実施が最も多く33件、指示受けと薬剤準備がそれぞれ14件などであった。
図表Ⅲ - 2- 2 発生状況(医療事故事例)
事例の内容
薬剤量間違い
過剰 過少 不明
投与速度 投与時間 重複
中止時 食事等と
無投与
針刺し その他
間違い 間違い 投与
の注射 の調整
合計
発生段階
処方
3
0
3
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
6
調剤
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
指示出し
2
0
5
0
0
0
0
0
0
1
2
0
0
10
指示 指示受け
0
0
4
0
0
0
2
0
4
4
0
0
0
14
その他
1
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
2
患者への説明・指導
0
0
1
0
0
0
0
0
1
0
0
0
0
1
3
0
11
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
14
10
4
2
0
0
2
0
4
6
0
1
2
2
33
実施に伴う確認・観察
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
7
0
5
12
その他
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
3
0
4
8
20
4
27
0
0
2
2
4
11
5
13
2
11
101
薬剤準備
注射の実施
合 計
③患者への影響
インスリンに関連した医療事故事例101件の事故の程度を図表Ⅲ - 2- 3に示す。
「障害なし」
「
、障
害残存の可能性なし」を合わせると全体の80.
1%を占めており、患者への影響が小さい事例が多
かった。医療の実施の有無で「実施あり」を選択した85件の報告における治療の程度は、軽微な
治療を要した事例が37件と最も多かった(図表Ⅲ - 2- 4)
。また、濃厚な治療と軽微な治療を合
わせると60件となり、インスリンに関連した医療事故事例全体の59.
4%であった。患者に障害
残存の可能性がある事例は少ないが、一時的に何らかの治療を要した事例が多いことが示唆された。
- 105 -
インスリンに関連した医療事故
薬剤 対象者
間違い 間違い
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
3-〔1〕
3-〔2〕
3-〔3〕
3-〔4〕
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年 1 月∼ 3 月)
図表Ⅲ - 2- 3 事故の程度
事故の程度
図表Ⅲ - 2- 4 治療の程度
件数
治療の程度
件数
死亡
1
濃厚な治療
23
障害残存の可能性がある(高い)
4
軽微な治療
37
障害残存の可能性がある(低い)
12
なし
23
障害残存の可能性なし
21
不明
2
障害なし
60
不明
3
合 計
合 計
85
※「医療の実施あり」を選択した85件の内訳を示す。
101
④発生場所と関連診療科
発生場所(複数回答可)は病室が76件と最も多く、次に病棟処置室が10件であった。また、
ICUや救急外来でも複数の報告があった(図表Ⅲ - 2- 5)
。
関連診療科(複数回答可)は内科が最も多く43件、次いでその他が17件であった(図表
Ⅲ - 2- 6)。その他のうち6件は、内分泌代謝内科や糖尿病・代謝・内分泌内科など、専門領域と
して糖尿病の診療を行う診療科であった。また、外科が8件、整形外科が6件、産婦人科・婦人科・
産科が合わせて6件など、糖尿病を合併した患者に対して各分野の治療を行う診療科における事例
も少なくなかった。このように、必ずしも糖尿病の専門科での診療における事例だけではなく、様々
な診療科において、インスリンに関連した医療事故事例が発生している状況が示唆された。
図表Ⅲ - 2- 5 発生場所
発生場所
図表Ⅲ - 2- 6 関連診療科
件数
関連診療科
件数
病室
76
内科
43
病棟処置室
10
外科
8
ICU
4
整形外科
6
救急外来
2
産婦人科・婦人科・産科
6
小児科
5
外来処置室、救命救急センター、手術室、
放射線撮影室、CCU、NICU
その他
各1
5
合 計
103
※発生場所は複数回答が可能である。
循環器内科、神経科
各4
呼吸器内科、耳鼻咽喉科
各3
呼吸器外科、泌尿器科、麻酔科
各2
形成外科、血液内科、消化器科、心臓血
管外科、精神科、脳神経外科、皮膚科、
放射線科
各1
その他
17
合 計
※関連診療科は複数回答が可能である。
- 106 -
113
2 個別のテーマの検討状況
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年 1 月∼ 3 月)
⑤当事者の職種
当事者の職種(複数回答可)は、看護師が最も多く103件、次いで医師が31件と多かった(図表
Ⅲ - 2- 7)。
図表Ⅲ - 2- 7 当事者の職種
当事者の職種
件数
看護師
103
医師
31
助産師
3
管理栄養士
1
薬剤師
1
合 計
139
※当事者とは当該事象に関係したと医療機関が判断した者であり、複数回答が可能である。
Ⅲ
⑥投与方法
事例で報告されたインスリンの投与方法を図表Ⅲ - 2- 8に示す。皮下注射が最も多く70件
(69.3%)、次いでシリンジポンプ等を用いた持続静注19件(18.8%)、点滴内混注9件
(8.9%)の順に多かった。
図表Ⅲ - 2- 8 投与方法(医療事故事例)
ᛴ㏿㟼ὀ
䠏௳
䠏㻚䠌䠂
インスリンに関連した医療事故
Ⅼ⁲ෆΰὀ
䠕௳
䠔㻚䠕䠂
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
3-〔1〕
3-〔2〕
3-〔3〕
3-〔4〕
ᣢ⥆㟼ὀ
䠍䠕௳
䠍䠔㻚䠔䠂
⓶ୗὀᑕ
䠓䠌௳
䠒䠕㻚䠏䠂
⑦医療事故の内容
インスリンに関連した主な医療事故事例と、それらの事例について専門分析班及び総合評価部会
で議論された内容を図表Ⅲ - 2- 9に示す。
- 107 -
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年 1 月∼ 3 月)
図表Ⅲ - 2- 9 主な事例の概要及び専門分析班・総合評価部会の議論
No.発生段階
事故の内容
背景・要因
改善策
薬剤間違い
1
糖尿病に対してインスリンを投与中
の患者。ヒューマログ3単位を皮下
注射の指示が出ていた。インスリン
の皮下注射は看護師が実施する指示
であったので、担当看護師Aが注射
伝票でヒューマログ3単位皮下注射
の指示を確認後、用意してあったイ
ンスリンを確認したところ患者の名
前が書かれたキャップにはヒューマ
ログ50ミックスの本体が付いてい
た。指示されていたものとは違うイ
ンスリンが用意されていたので、指
示受けをした看護師Bに「これで大
丈夫?」とペン型インスリンを見せ
た。看護師Bはキャップについてい
薬剤準備 た名前を見て「これで大丈夫」と答
えたため、看護師Aはそのままヒュー
マログ50ミックスを皮下注射した。
本体の指示はヒューマログ3単位の
指示であったため、誤った薬剤が投
与された。
患者氏名・インスリンの薬剤名・投与単 ・ インスリン投与前には、
位数をシールに記載してペン型インスリ イ ン ス リ ン の 注 射 指 示
ンのキャップに貼って運用していた。自 書 と 用 意 さ れ て い る 薬
己注射の患者あるいは自己注射指導中 剤・単位数の確認を看護
の患者が使用するペン型インスリン注入 師 2 名 で ダ ブ ル チ ェ ッ
器は、対象患者すべてのペン型インス ク す る( 声 だ し・ 指 さ
リン注入器をペン立て様容器にまとめて し確認を実施する)。
入れて管理していた。自己注射等の患者 ・ キャップに氏名等のシー
は、時間になると長椅子とテーブルのあ ル を 貼 る こ と を 中 止 し
る処置室に集まり、患者はペン立て様容 て インスリン本体 に
器に入っているペン型インスリン注入器 氏 名 の み 記 載 す る よ う
のキャップに貼られたシールを見て取り に 変 更 し た。 投 与 単 位
出し、看護師がそれを指示書と確認した 数 は シ ー ル に 記 載 せ ず
後、患者が自己注射していた。長椅子に に 指 示 書 で 必 ず 確 認 す
は、多い時には3∼4人並ぶこともあっ る運用に変更した。
た。テーブル上には境がなく、外した ・ 院 内 共 通 で、 専 用 の 引
キャップが同時にテーブル上に何本も置 き 出 し 型 書 類 ケ ー ス を
かれることがあり、この時に誤って他人 新 た に 準 備 し、 患 者 の
のキャップを取り、気付かずに付け替え ペ ン 型 イ ン ス リ ン 注 入
てペン立て様容器に戻してしまったこと 器は、一つのトレイ(引
で、キャップと薬剤本体が違う患者のも き出し)に一人の患者の
のと入れ替わった可能性がある。注射伝 イ ン ス リ ン と イ ン ス リ
票の指示と薬剤(インスリン本体)の確 ン 伝 票 を 入 れ る こ と に
認を一人で行った(ダブルチェックして し た。 注 射 を 実 施 す る
いなかった)
。指示された薬剤と用意さ 際は、トレイのままテー
れた薬剤が同一で無いことに気付きなが ブルに出すことにした。
らも口頭確認だけでそのまま誤投与して ・ 注 射 指 示 書 と 用 意 さ れ
しまった。確認を求められた看護師Bは、 て い る 薬 剤 が 同 一 で な
キャップの名前と種類・単位数のみで確 い 場 合 は、 投 与 前 に 担
認していた(シール記載のインスリン名 当医師に再確認する。
はヒューマログ・3単位であった)
。
専門分析班・総合評価部会の議論
○医療機関によっては、インスリン注入器本体とキャップの両方に氏名を記載したラベルを貼っているところもある。
○ インスリン注入器は他の注射器と異なり複数回使用するため、ラベルに記載した氏名等の文字が薄くなってくるこ
とがあり、注意が必要である。
○ インスリン注入器は患者が自宅で使うための簡便性や見た目が考慮されている一方で、入院中に病院で管理する際に
は氏名のラベルを貼る等の必要が生じる。氏名の表記がしやすいような製剤のデザインになるとよいのではないか。
○ 「これで大丈夫?」という質問のしかたでは疑問点が明示されず、確認が適切に行われなかった可能性がある。
「ヒューマログの指示と薬剤名が違うが大丈夫か?」のように、具体的に尋ねることが重要である。
- 108 -
2 個別のテーマの検討状況
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年 1 月∼ 3 月)
No.発生段階
事故の内容
背景・要因
改善策
対象者間違い
注射の
実施
2
看護師が夕食前インスリン実施前の
確認をするために、患者Aと患者B
のインスリンを回収し別々のトレイ
に置いた。指示のインスリン名と単
位を2名の看護師で確認する。イン
スリンを実施するために患者Aの病
室に行き、ネームバンド等との確認
をしないまま患者Bの名前を呼んだ
際「ハイ」と返事があったので、患
者Bに指示されているノボラピット
3単位とランタス3単位を皮下注射
した。夕より指示変更があったイン
スリンを患者Aに説明するため、患
者 A の名前を呼ぶと「私は患者 A で
はありません」と言われた。ペンタ
イプのインスリン本体に患者 A の名
前があり、指示では患者 A にアピド
ラ3単位とランタス2単位を実施す
るところ、患者Bのインスリンで患
者Bの単位を実施してしまったこと
に気づいた。すぐ患者Aの主治医に
報告、指示の説明と症状等の観察を
した。その後、患者Aに使用した患
者Bのペンタイプのインスリンを針
のみ交換し、患者Bに指示のノボラ
ピッド3単位とランタス3単位を実
施した。
専門分析班・総合評価部会の議論
○ 複数患者のインスリンを一度に回収すると取り違えを誘発するおそれがあるので、それぞれ単独に回収するとよい
だろう。
○処方が発生しないと患者認証システムでの確認は難しいため、他の方法での患者確認を確実に行う必要がある。
○ 当事者は、患者Bのインスリンを患者Aに注射した後、感染リスクまで頭に浮かばず、とにかく患者Bにも注射を
しなければならないと思った可能性がある。感染防止も含めた教育が重要である。
- 109 -
Ⅲ
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
3-〔1〕
3-〔2〕
3-〔3〕
3-〔4〕
インスリンに関連した医療事故
日勤終了時に患者Bのインスリン指示が ・ 患者確認の徹底、指示書
夕食前より変更となり、薬剤部より供給 の 患 者 名 と ベ ッ ド ネ ー
を待っていた。患者にフルネームで名 ム、 リ ス ト バ ン ド と 患
乗ってもらっていない。患者確認をルー 者 自 身 の 声 に よ る 名 前
ルに沿って行っていない。インスリンは で確認する。
注射オーダーではなく電子指示簿で行う ・ イ ン ス リ ン は、 注 射 等
ので、患者認証システムには載せられな と 同 様 で、 実 施 前 に 患
い。急激に患者数が増え、重症患者や要 者 と 指 示 書 の 名 前、 イ
監視患者が増えていた。準夜勤で頻回の ン ス リ ン 名、 単 位 を 確
ナースコールにより、看護師2人による 認する。
・ 患 者 管 理 の イ ン ス リ ン
確認を短時間で行おうとした。
は、 変 更 以 外 は 回 収 し
ない。
・ 医 師 へ の 報 告 は 速 や か
に行い、当直医、主治医、
病棟医長と連携を図る。
・ インスリンの手技を含め
た 安 全・ 感 染 リ ス ク の
正しい知識をもつ。(感
染 管 理・ 糖 尿 病 認 定 看
護 師 介 入、 通 知、 勉 強
会実施)
・ 感 染 医 学 医 師 に よ る 説
明および6か月後まで
フォローアップ検査実
施する。
・ イ ン ス リ ン 管 理 方 法 に
ついて再検討する。(感
染 管 理・ 糖 尿 病 認 定 看
護師介入)
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
No.発生段階
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年 1 月∼ 3 月)
事故の内容
背景・要因
改善策
薬剤量間違い(過剰)
3
循環器内科医師Aは、高カリウム血 指示簿に記載した循環器内科の医師A ・ ハイリスク薬品に対す
る取り扱いの研修。研
症と高血糖に対し、グルコース・イ は、他院で前期研修を終了後、この医療
ンスリン療法として10%ブドウ糖 機関では1年目の後期研修医であった。 修医に対しては全員受
講を決定する。
500mL+Hu−R 10単位 一般病棟、CCUでも、インスリンの
40mL/h、高血糖に対しHu− 持続点滴の指示をした経験はなかった。 ・ ヒューマリンRの希釈
方法を院内統一し、職
R 持注 0.5mL/hの指示を 指示を受けた看護師Bは、約20年の
員全員に周知徹底する。
出した。医師Aは、
「Hu−R 持 職種経験があり、当該病棟では3年の
注0.
5mL/h」の指示について、 経験があった。しかし、この病棟では、 ・ 事例発生後、全病棟で
ヒューマリンR注の原液が1mL= インスリンを持続注入で投与すること 「ヒューマリンRは1単
位を1mLに希釈して
1単位の規格だと思っていたので、 が少ないため、看護師Bはヒューマリ
使用する」ことにした。
0.5単位/hを投与する意図で記 ン R 注 の 側 管 か ら の 持 続 注 入 を 取 り
載し、シリンジポンプで開始するよ 扱った経験はなく、インスリンをシリ ・ 医 療 安 全 ニ ュ ー ス
で「ヒューマリンR注
うに指示した。指示を受けた看護師 ンジで持続注入する作業を最初から実
Bは、
「原液?」と思い、処方オー 施するのは初めてであった。指示した (100単位/mL)の
うち、20単位=0.2
ダに何か記載がないか確認したが、 内容のまま投与されると何単位になる
mLをインスリン専用
オーダの画面上も「ヒューマリンR か確認していなかった。看護師は一瞬
注射器で採取する。
注 1V」だけが処方されていたた 「 原 液 …?」 と 思 っ た が、 他 に も 輸 液
め、医師が出した指示だから原液で 等の指示があり、他患者のケアなどに ・ 生理食塩水20mLを
採取したシリンジに混
良いのだろうと思い、誰にも確認し 気を取られて、確認しなかった。投与
注し、合計20mLと
なかった。看護師Bは、患者用に既 時のダブルチェックが十分ではなかっ
する。」と調製例を示し、
に処方されていたヒューマリンR注 た。一般病棟では、インスリン持続注
の使いかけのバイアルと未使用の 入に関する希釈濃度や指示の出し方な 「ヒューマリンRの希釈
ルールの標準化」を院
バイアルの2本を冷蔵庫から取り出 どの決まったルールはなかった。通常
内に通知した。
し、リーダー看護師Cに薬剤を確認 の注射薬は、患者個人の「注射薬」と
指示出し してもらった。看護師Cは当該患者 して投与方法や流量などの指示内容を ・ リスクマネージャー会
議において、当該事例
のヒューマリンR注の確認を看護師 電子カルテでオーダ入力できる。しか
を 共 有、 分 析 し た。 そ
Bと一緒に行った記憶はなかった。 し、ヒューマリンR注の処方は、外来
の後、各リスクマネー
看護師Bは、20mLシリンジに 処方箋への記載の必要性もあり、「内服
ジャーは所属先職員に
ヒューマリンR注の原液11mLを 薬」でオーダ入力しており、生理食塩
事例について周知を
吸い、シリンジポンプにセットして、 水などの希釈液とは別に処方すること
行った。
指示通り0.
5mL/hで開始した。 になっている。そのため、ヒューマリ
2時間後、患者の血糖値を測定した ンR注の処方時に希釈方法や流量など
ところ339mg/dLであったた の指示内容は書いていなかった。医療
め、医師AはヒューマリンR持続注 機関では、医療安全管理研修において、
入を「0.8mL/h」に増量を指 新採用・異動職員対象の「医療安全管
示した。約4時間後、血糖値が30 理研修」、全職員対象の「ハイリスク薬」
mg/dLであることがわかり、病 「医薬品の安全管理」などでインスリン
棟に来ていた循環器内科の当直医D について研修を行っている。
はヒューマリンR持続注入の中止指
示を出した。この時、
医師Dはヒュー
マリンR注が原液で投与されている
ことを知らなかった。50%ブドウ
糖40mLの静注を実施、一時的に
血糖の上昇がみられるが、すぐに下
降を繰り返すため、50%ブドウ糖
の持続注入開始。その後、脳神経外
科医師Eがインスリンの用量が多い
ことに気付き、過剰に投与していた
ことがわかった。
専門分析班・総合評価部会の議論
○事例から、医師が誤った指示を出した場合、後の工程で誤りに気づいて止めることの困難さが示唆される。
○医師は職種経験3年で、インスリンの用法・用量の入力の重要性を十分理解していなかった可能性がある。
- 110 -
2 個別のテーマの検討状況
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年 1 月∼ 3 月)
No.発生段階
4
事故の内容
改善策
ヒューマリンR注インスリンの濃度は ・ インスリン静脈内持続
投与の作成手順の内
100単位/mL であるが、看護師A
容を再度全部署で再
は注射指示書を見て、100単位10
mLは50単位5mL だと判断した。 チェックする。
100単位/mLを見落としたか、ある ・ インスリンの学習会を
いはこの表記が「1mLが100単位」 認定看護師に依頼し部
署毎に周知する。
であるという意味であることを知らな
かった可能性がある。看護師Aはインス ・ インスリン薬剤自体の
リン(バイアル)は「1mLが100単位」 表記方法の検討をメー
カー等に依頼する。
の薬剤だけであるという認識がなかっ
た。当該病棟では、インスリンの持続投 ・ ダブルチェックの確認
方法の精度を向上する。
与患者が少なく、看護師A、Bともに持
続インスリンの経験が無かった。看護 ・事例の共有を行う。
師Aは、初めて持続インスリンを作成
するのに作成方法や基準を見なかった。
インスリンの名称変更について、オーダ
リングの変更や各部署への情報提供は
行われていたが、インスリン希釈の作
成マニュアルにあるインスリン名称の
更新はされていなかった。看護師Bは
インスリンを確認した時に、看護師Aが
先に「100単位10mL、50単位
5mLでいいですよね」と口頭で伝え
たため、両者に思い込みが生じた。看
護師Bは看護師Aが50mLシリンジ
でインスリンを吸っているのを見て「お
かしい」と感じたが、相手に伝えなかっ
た。看護師Cは薬剤名が分からないま
ま、簡単に返答した。
専門分析班・総合評価部会の議論
○インスリンのバイアルと専用注射器を一緒に置いておき、必ず専用の注射器を用いるようにするとよい。
○ マニュアルの「1単位=1mL」という記載は「希釈後の濃度」であると明記しないと、経験のない者が誤解する
おそれがある。マニュアルはわかっている人が作成するものであるが、わからない人が正しく理解できるように記
載することが重要である。
○ ダブルチェックが、
「○○ですよね」
「そうです」というやり取りになっているが、ダブルチェックは間違いがない
かどうか確認するために行うことを意識すべきであろう。
○ 普段インスリンの持続静注を行うことが少ない病棟では、インスリンの希釈について習熟していないスタッフが多
いため、注意が必要である。
- 111 -
Ⅲ
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
3-〔1〕
3-〔2〕
3-〔3〕
3-〔4〕
インスリンに関連した医療事故
患者は頸部膿瘍のため当院耳鼻科
病棟に入院した。内科にコンサルト
し補液開始。
「ヒューマリンR50
単位 生食50mL」の静脈内持続
投与の指示あり、夜勤担当看護師
Aは、注射指示書の医薬品の欄に
「ヒューマリンR注100単位/mL
10mL」とあるのを見て「100
単 位10mL」と思 い50単 位を
5mLと計算した。夜勤担当看護師
Aは、日勤の担当看護師Bとダブル
チェックする際、処方箋、薬剤、お
よび院内標準希釈のマニュアルの
赤枠にある「ヒューマリンR(U
−100)50単位+生食50mL
1単位=1mL」の記載を見て確認
を 行った。また、看 護 師Bは 看 護
薬剤準備 師Cに薬剤名は告げず「100単位
10mLなので50単位5mL です
よね」と確認し、看護師Cは「そう
です」と答えた。看護師Aは、イン
スリン5mL 生食50mL を調
製し、シリンジポンプ1mL/hで
開始した。20時30分に血糖測定
し321mg/dLのため、流量を
1 m L 増 量 し 2 m L / h と し た。
0時すぎ、患者から発汗、倦怠感
の訴えがあり血糖値の測定をした。
51mg/dLであった。持続イン
スリンを中止し、処置を行い症状は
改善した。他の夜勤看護師がカルテ
を確認、インスリンが5mL(500
単位)で調製されていることが判明
した。
背景・要因
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
No.発生段階
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年 1 月∼ 3 月)
事故の内容
背景・要因
改善策
投与時間間違い
注射の
実施
5
朝食前低血糖が持続するため、2日
前より朝食前のインスリンを昼食前
に変更した。注射箋にも「昼食前レ
ベミル注フレックスペン 20U」
と記載され、ワークシートにも昼食
前インスリンと記載されていた。夜
勤の看護師はワークシートを確認せ
ず、以前は朝食前に施注していたた
め、朝食前だろうと思い込み、イン
スリンの準備をした。朝食前の血糖
値52mg/dLであり、指示の
40%ブドウ糖40mLを注射し
た。30分後には221mg/dL
であった。血糖値が上昇したため、
夜勤のフリー業務の看護師に注射の
依頼をした。依頼された看護師は食
前の血糖値が低かったため、朝食摂
取確認後、患者名、実施日、種類、
単位を確認後患者に実施した。昼食
前、日勤の担当看護師が昼に実施予
定のインスリンが朝実施されている
ことに気がついた。
2日前にインスリンが変更になってお ・確認行為を徹底する。
り、患者の情報把握不足があった。出 ・ 看護業務手順を遵守す
る。
勤した際に業務手順ではワークシート
を確認するようになっているにもかか
わらず、確認不足であった。注射箋確
認時の指差し、声だし確認が出来てい
なかった。注射箋と注射ワークシート
の照らし合わせという行為が未実施で
あった。
専門分析班・総合評価部会の議論
○ インスリンは他の薬剤に比べ指示の変更が頻繁で、数日ごとに投与量が変わることも多い。以前の指示と同じだろ
うと思い込まず、その都度指示を確認することが重要である。
○ 6R(正しい患者、正しい薬、正しい目的、正しい用量、正しい用法、正しい時間)の確認項目に抜けがないよう
に看護業務手順を工夫するとよいだろう。
○ インスリン専用の注入器を用いることや患者による自己注射も行われることから、インスリンは他の注射薬と比べ
「注射薬」という意識が低いのかもしれない。そのことが確認漏れの要因となっている可能性がある。
- 112 -
2 個別のテーマの検討状況
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年 1 月∼ 3 月)
No.発生段階
事故の内容
背景・要因
改善策
重複投与
6
12時20分 頃、 昼 の 固 定 打 ち イ
ンスリン(ノボリンRフレックスペ
ン10単 位 )を 使 用している患 者
に、部屋担当看護師Aは11時30
分にインスリンを施行し休憩になる
ため、後休憩の看護師Bに流動食注
入(インスリン実施済みで流動食注
入のみ)を依頼して休憩をとった。
(※看護師Bはインスリンを施行
されていたことは知らなかった)。
看護師Bと看護師 C は、通常は12
時にインスリンを施行していたの
で、引き継いだ時、インスリンが未
注射の 実施だと思っていた。看護師Bと看
護師Cはインスリンの患者氏名、種
実施
類、量をダブルチェックし準備し
た。看護師Cはインスリン実施入力
画面で●印を目で確認したが●を疑
問に思いながらも看護師 A には確認
せず、通常12時実施だったため、
未実施 と思い込んだ。看護師C
は更に、看護師Dが病室にいたた
め患者氏名・種類・量をパソコン
で再確認しインスリンを実施した。
A看護師の休憩が終わり重複注射が
わかった。主治医に報告、2時間後
に血糖チェックの指示及び経過観察
となった。
休憩前の引き継ぎを受けた看護師への ・ 疑問に感じた場合はす
ぐに担当看護師に確認
細かい言葉かけ及び、疑問に思ったが
し思い込み作業を行わ
それ以上の行動を起こさなかったとい
ない。
う担当者への確認行為が不足していた。
・ 看護師間の申し送りは
具体的に行い、曖昧な
表現は避ける。
・ インスリン時間の認識
の統一を行う。
Ⅲ
専門分析班・総合評価部会の議論
○ 看護師Aはできるだけ自分で業務を済ませておこうと考えてインスリン注射を行ってから交替した可能性がある
が、インスリン注射から流動食注入までの時間が長くなると低血糖のおそれがある。インスリン注射と流動食注入
は一連の業務として行うべきであり、インスリン注射だけを実施して他の看護師に交替するのは避けた方がよい。
○ 12時前後に業務が忙しくなるのであれば、休憩時間のとり方を変えたり、食直前にインスリンを注射してもよい
か医師と相談するなど、業務負担を調整する工夫をするとよいだろう。
- 113 -
インスリンに関連した医療事故
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
3-〔1〕
3-〔2〕
3-〔3〕
3-〔4〕
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
No.発生段階
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年 1 月∼ 3 月)
事故の内容
背景・要因
改善策
無投与
注射の
実施
7
看護師Aは夜勤のチームであり夕食
前の17時30分に患者の血糖測定
を行い、スケールを用いインスリ
ンを夜勤フリーとダブルチェックで
セットを行った。看護師Bが配膳を
行い、患者は食事を食べていた。看
護師Aはインスリンがあった事を
他の事に気を取られ、忘れていた。
19時に思い出し、インスリンの未
投与に気がついた。
他患者も夕食前に血糖測定があったが、 ・ インスリンがある患者
は投与前の時間でタイ
まだ検査から帰室しておらず他患者の
マーをセットしタイ
血糖測定を帰室時に測定忘れしないよ
マーで動く。
うにと気をとられていた。
・ 看護助手や、他看護師
に配膳前にインスリン
がある事を声かけする。
・ 配膳時にインスリンが
ある患者を紙等にリス
トアップし他者にもわ
かるように表示する。
専門分析班・総合評価部会の議論
○ 配膳の際にテーブルに印をつけておくなど、インスリンを注射するまでは食事をしないことが患者や他のスタッフ
にもわかるような仕組みができるとよいだろう。
○タイマーをかけるという改善策は、多重業務がある時には難しいと思われる。
○ 夕食前の30分間は、血糖測定、インスリンの準備・注射、配膳等があり、非常に忙しい時間帯である。勤務体制
(人数、交替の時間等)を工夫してはいかがか。
中止時の注射
8
前日より、インスリン注射が中止に
なっていた。朝、中止をしていると
申し送りがあった。昼食前、他の
指示受け 看護師よりインスリン注射の有無を
聞かれ、インスリンがあると思い込
み、ヒューマリンR10単位を施注
した。
ワークシートに記載があったにもかか ・ 指示表の見方を徹底す
わらず、インスリンがあると思い込ん
る。
だ。他の看護師と指示表を確認してい ・ 中止になった場合の表
るが、中止の欄の確認まではしていな
示方法を検討する。
かった。
専門分析班・総合評価部会の議論
○指示表の中止の欄が見にくかった可能性がある。
○ 当事者は職種経験3ヶ月であった。新人看護師が思い込みをしないようにリーダーやプリセプターが配慮すること
も必要であろう。
- 114 -
2 個別のテーマの検討状況
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年 1 月∼ 3 月)
No.発生段階
事故の内容
背景・要因
改善策
食事等との調整
朝食直前にノボラピッド30ミックス
14単位投与の指示であった。深夜
看護師は看護助手が配膳業務を開始
したことを確認し、7時55分にイ
ンスリンを投与した。看護助手は当
該患者の配膳をし忘れていた。また、
深夜看護師も患者が食事摂取を開
始したことを確認しなかった。日勤
者が朝食摂取終了の頃合を見計らっ
て8時45分に訪室したところ、ま
だ食事摂取していないと報告を受け
た。インスリン投与から50分経過
実施に伴う していた。血糖値は49mg/dL
確認・観察 であった。直ちに40%ブドウ糖を
2アンプル内服し、朝食摂取を開始
した。30分後、血糖値112mg
9
/dL、意識清明、バイタルサイン
著変なし。11時30分、血糖値
50mg/dL、意識清明、冷汗な
し、気分不快なし、手指振戦なし。
再度、40%ブドウ糖2アンプルを内
服した。30分後、血糖値80mg
/dL。昼食全量摂取後、13時、
血糖値256mg/dL、経過観察
となった。
深夜看護師は看護助手が配膳をしている ・ 食直前の超速効型イン
のを見て、すぐに配膳されるものと思い、 スリン投与指示のある
インスリンを投与した。看護助手はこの
場合は、インスリン投
日は忙しく、慌てており、配膳の最終確
与者が投与時に配膳も
認をしなかったため、未配膳に気がつか
行う。
なかった。日勤者は7時50分患者が食 ・ 速やかに配膳できない
事を摂取する姿勢になっているのを見
状況にある場合は、イ
て、配膳されていると思い、食事摂取
ンスリンの投与はしな
開始の確認をしなかった。
いで、インスリンの投
与と配膳を一括して他
の看護師に依頼し、確
実に伝達する。
・ 看護助手は全員の配膳
が終了しているかを必
ず、最終確認する。
・ 誰かが行っているとい
う思い込みをせず、実
施の有無を自分の目で
確認する。
専門分析班・総合評価部会の議論
- 115 -
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
3-〔1〕
3-〔2〕
3-〔3〕
3-〔4〕
インスリンに関連した医療事故
○ インスリン注射と配膳を一連の業務として行うことは重要であるが、看護師が配膳することになると業務が繁忙に
なり、かえって他のリスク要因となる可能性も考えられる。朝の忙しい時間帯における食事時間の設定や人員配置
を検討してはいかがか。
○看護助手が配膳する場合も情報共有を行い、配膳忘れを防ぐ方法を考えるとよいだろう。
Ⅲ
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
No.発生段階
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年 1 月∼ 3 月)
事故の内容
背景・要因
改善策
その他
その他
10
午後、薬剤師が自己血糖測定・イン
スリン自己注射指導をデモ器にて実
施した時、患者の不安が強いという
事でデモ器が病棟へ貸し出しとなっ
た。日勤の新人看護師 A は夕の血糖
測定をデモ器にて実施し、デモ器の
入っている箱を病室に置いた。深夜
勤看護師 B、日勤新人看護師A、準
夜勤看護師C共にデモ器にて血糖測
定・インスリン注射を実施した。看
護師Cが血糖測定器のデモ器の表示
に気がついた。合計3回のデモ器使
用となった。デモ器のインスリンの
有効期限は2ヶ月前に切れていた。
薬剤師から貸し出しのデモ器の箱の中 ・ デモ器を使用する場合
はナースステーション
身は血糖測定器具セット、針、操作練習
で管理し、患者のもと
用と表示のあるフレックスペン(生理
に置かない。
食塩水付き)、操作練習用とは未表示の
ノボリンR注フレックスペン(インス ・ 医療職種間のコミュニ
ケーションを十分図る。
リン付き)の本来の物と同様の物、腹
部針刺しモデルであった。新人看護師 ・ 未表示のフレックスペ
ンがあることの疑問を
Aはデモ器であるとリーダー看護師か
早く解決する。
ら受け取ったが、使用してはいけない
ものと思わず血糖測定をした。患者が ・ 未表示の危険な物を患
練習できればと思い病室に置いた。朝、 者の側に置かない。
看護師Bはデモ器の存在は知っていた ・ 初めて実施する事への
患者指導は患者の理解
が、ペンフィルが2本あるため未表示
度を確認する。
のフレックスペンが患者のものと思い
使用した。昼の新人看護師Aと夕の看 ・ 数ヶ月の経験である新
人への指導は細やかに
護師Cの実施時は、未表示フレックス
実施する。
ペンと血糖測定器を患者が準備してい
たため、本来のものと思った。処方さ
れた患者用の自己注射セットは、夕方、
薬剤師指導の後にリーダー看護師が患
者に渡し、翌日から使用すると伝えた
が、患者は退院後から使用するものだ
と思っていた。
専門分析班・総合評価部会の議論
○患者教育用にデモ器を使用することがあるため、デモ器に関する事例が複数報告されている。
○デモ器にはデモ器と表示し、患者に実際に使用することがないように管理する必要がある。
(2)インスリンに関連したヒヤリ・ハット事例の現状
①インスリンに関連したヒヤリ・ハット事例の考え方
2015年1月から12月まで、ヒヤリ・ハット事例のテーマとして「インスリンに関連した
ヒヤリ・ハット事例」を収集している。分析対象は、医療事故事例と同様に、以下のキーワードを
含む事例から、インスリンの注射や作用に直接関連しない事例を除いた事例をインスリンに関連し
たヒヤリ・ハット事例とした。
キーワード
インスリン
ノボリン
インシュリン
ヒューマリン
アピドラ
ヒューマログ
トレシーバ
ランタス
ノボラピッド
レベミル
- 116 -
2 個別のテーマの検討状況
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年 1 月∼ 3 月)
②発生状況
本報告書では、2015年1月1日から3月31日までに報告されたヒヤリ・ハット事例のうち、
上記の基準に合致するインスリンに関連したヒヤリ・ハット事例228件を分析の対象とした。
報告された事例の概要を事例の内容と発生段階で整理し、発生状況を集計した(図表Ⅲ - 2- 10)
。
事例の内容としては、無投与が最も多く95件で41.7%を占めていた。発生段階では、指示受
けが88件、注射の実施が71件と多かった。
図表Ⅲ - 2- 10 発生状況(ヒヤリ・ハット事例)
事例の内容
薬剤 対象者
間違い 間違い
薬剤量間違い
過剰
過少
不明
投与
投与
速度
時間
間違い 間違い
重複
投与
無投与
中止時
の注射
食事等
との 針刺し その他
調整
合計
発生段階
処方
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
調剤
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
指示出し
1
1
0
0
1
2
0
0
3
4
0
0
1
13
指示 指示受け
3
1
5
6
1
1
8
0
46
8
0
0
9
88
その他
0
0
1
2
0
0
0
0
1
2
1
0
1
8
患者への説明・指導
3
0
7
1
1
0
0
1
4
3
3
0
0
23
薬剤準備
4
0
0
1
0
0
1
1
5
0
0
0
1
13
注射の実施
3
3
0
1
0
14
3
0
36
3
3
4
1
71
実施に伴う確認・観察
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
3
0
1
4
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
5
6
16
5
13
11
3
17
12
2
95
20
10
5
19
228
その他
合 計
インスリンに関連したヒヤリ・ハット事例228件を、まず誤った医療の実施の有無に分け、さら
に「実施あり」は治療の程度、
「実施なし」は仮に実施された場合に患者に及ぼした影響度で分けた(図
表Ⅲ - 2- 11)。「実施あり」であった事例のうち、108件は治療が不要であったことを意味す
る「なし」を選択しており、
「軽微な治療」を行ったのは17件で、誤った医療は実施されたが患
者への影響は少ないと考えられた事例が多かった。また、「実施なし」であった事例93件の影響
度は、仮に実施された場合「軽微な処置・治療が必要もしくは処置・治療が不要と考えられる」が
89件と多かった。
図表Ⅲ - 2- 11 影響の程度
医療の実施
治療の程度
の有無
実施あり
実施なし
影響度(仮に実施された場合)
件数
軽微な治療
−
17
なし
−
108
不明
−
10
−
死亡もしくは重篤な状況に至ったと考える
0
−
濃厚な処置・治療が必要であると考えられる
4
−
軽微な処置・治療が必要もしくは処置・治療が不要と考えられる
合 計
89
228
- 117 -
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
3-〔1〕
3-〔2〕
3-〔3〕
3-〔4〕
インスリンに関連した医療事故
③患者への影響
Ⅲ
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年 1 月∼ 3 月)
④投与方法
事例で報告されたインスリンの投与方法を図表Ⅲ - 2- 12に示す。皮下注射が最も多く191件
(83.8%)、次に点滴内混注が29件(12.7%)と多かった。持続静注は8件(3.5%)で、
インスリンに関連したヒヤリ・ハット事例全体に占める割合は医療事故事例における割合と比較す
ると小さかった。
図表Ⅲ - 2- 12 投与方法(ヒヤリ・ハット事例)
ᣢ⥆㟼ὀ
䠔௳
䠏㻚䠑䠂
Ⅼ⁲ෆΰὀ
䠎䠕௳
䠍䠎㻚䠓䠂
⓶ୗὀᑕ
䠍䠕䠍௳
䠔䠏㻚䠔䠂
⑤インスリンに関連したヒヤリ・ハット事例の内容
患者への影響が小さかった事例や実施に至る前に未然に防止された事例はヒヤリ・ハット事例と
して報告されている。しかし、ヒヤリ・ハット事例で済んだ事例には、仮に実施されたり、あるい
は実施後の発見が遅くなったりしていれば、患者への影響が大きくなった可能性のある事例も含ま
れていることから、事例を共有することは有用である。今回は、内容別にいくつかの事例を紹介する。
1)薬剤間違い
○ インスリンの単位数を一人で確認して準備し、患者へ投与する前に他の看護師と確認した際、
ヒューマリンRと勘違いしてノボリンRを持っていたことに気づいた。
2)薬剤量間違い
○ 自己血糖測定、自己インスリン注射が確立している患者に対して、朝食前のヒューマログの指
示が10単位から8単位へ変更になったが、減量についての説明がされていなかったので、患
者は変更を知らず10単位の皮下注射を実施した。
3)投与速度間違い
○ ヒューマリンR7単位が混注されているビーフリード500mLを6時間で投与する指示が
あった。14時30分の投与開始時と15分後の滴下確認は行ったが、手背の向きや角度によ
る滴下速度の変化を確認しなかった。16時に他の看護師がビーフリードが全量投与されてい
るのを発見した。
- 118 -
2 個別のテーマの検討状況
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年 1 月∼ 3 月)
4)無投与
○ 血糖測定後、インスリン注射のファイルがあることに気づき、指示簿、ワークシートを確認し
た。インスリン注射があるため患者のもとを訪室したが、すでに夕食を摂取しており間に合わ
なかった。
○ 昼食前の血糖測定ができずチームリーダーが実施した。他業務のため血糖値の確認やインスリ
ンの準備をすることができなかった。配膳車がすでに来ていたため、インスリンは他の看護師
が準備して施注してくれているものだと思った。16時頃、夜勤の看護師よりインスリンの実
施印がないため施注しているかの確認をされ、インスリン未実施に気づいた。
5)中止時の注射
○ インスリンスライディングスケール指示を依頼された主治医から、
「スライディングスケール
は中止になったのになぜインスリン伝票が必要なのか」と言われ、中止だったインスリン指示
を実施していたことがわかった。中止指示を受けた際、ケアシートの血糖測定項目とインスリ
ン実施入力項目の削除、インスリン伝票の処理をしなかったために中止指示がわからないまま
Ⅲ
になっていた。
6)針刺し
○ インスリン投与後注射器のキャップをすくい上げリキャップをした。この時、針が曲がりキャップ
を突き破った。それに気づかずキャップをはめようと注射器を持った際に指に針が刺さった。
(3)インスリンに関連した注意喚起
インスリンを安全に使用するため、これまでに様々な安全情報や注意喚起が公表されているので
紹介する。
または発見されるヒヤリ・ハット事例の収集を行っており、医療機関で医療事故やヒヤリ・ハット
として認識される事例を、薬局における調剤や疑義照会の実施などの観点から分析している6)。
同事業の平成21年年報7)では、個別薬剤に関するヒヤリ・ハットとして「インスリン製剤に関
する事例」を取り上げ、分析を行った。このうち、特に重要な図表については、薬局に掲示した
り薬局内の勉強会で活用したりしやすいデザインの「薬局ヒヤリ・ハット分析表」を作成している
(参考1)。薬局で発生したインスリン製剤に関連するヒヤリ・ハット事例のうち、
「規格・剤形間違い」
と「薬剤取違え」による事例で報告された販売名等を紹介しているので、医療機関の薬剤部門にお
いても参考にしていただきたい。
また、
(独)医薬品医療機器総合機構はPMDA医療安全情報 No. 23「インスリン注射器の取
扱い時の注意について」
(2011年4月)4)、No. 37「インスリン注入器の取扱い時の注意につ
いて」(2013年4月)5)を公表し、注意喚起を行っている(参考2、3)。
- 119 -
インスリンに関連した医療事故
本財団の薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業では、2009年度より薬局で発生する、
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
3-〔1〕
3-〔2〕
3-〔3〕
3-〔4〕
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年 1 月∼ 3 月)
<参考1:薬局ヒヤリ・ハット分析表 平成21年年報 No. 5
「薬局ヒヤリ・ハット事例として報告されたインスリン製剤に関する事例」>
<参考2:PMDA医療安全情報 No. 23「インスリン注射器の取扱い時の注意について」>
<参考3:PMDA医療安全情報 No. 37「インスリン注入器の取扱い時の注意について」>
- 120 -
2 個別のテーマの検討状況
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年 1 月∼ 3 月)
(4)まとめ
インスリンに関連した医療事故事例とヒヤリ・ハット事例の発生状況を紹介し、主な事例を概観
した。医療事故では、
「薬剤量間違い」と「薬剤間違い」の事例の報告件数が多く、ヒヤリ・ハット
事例では「無投与」の事例が多かった。関連診療科は内科が最も多かったが、その他に外科、整形
外科、産婦人科などの事例も多く、様々な診療科においてインスリンに関連した事例が発生してい
る状況が示唆された。また、インスリンに関連した医療事故事例を専門分析班および総合評価部会
で検討し、各事例で議論された内容を掲載した。
今後も事例の収集を継続し、分類ごとに代表的な事例を取り上げながら分析を行っていくことと
している。
(5)参考文献
1. 日本糖尿病学会編集.科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドライン2013(Online).
available from < http://www.jds.or.jp/modules/publication/?content_id=4 >(last accessed
Ⅲ
2015-4-14).
2. 平成18年度厚生労働科学研究「医薬品等の安全管理体制の確立に関する研究」主任研究者
北澤 式文.
「医薬品の安全使用のための業務手順書」作成マニュアル(2007年3月)
(Online)
.
available from
< http://www.jrias.or.jp/statute/pdf/iyakuhinanzen070330-1.pdf >(last
accessed 2015-4-14).
3. 一般社団法人日本病院薬剤師会.ハイリスク薬に関する業務ガイドライン(Ver. 2. 1)
(2013年
2月改訂)
(Online). available from < http://www.jshp.or.jp/cont/13/0327-1.pdf >(last
accessed 2015-4-14).
取扱い時の注意について」(2011年4月)(Online). available from < http://www.pmda.
go.jp/files/000143590.pdf >(last accessed 2015-4-14).
5. 独立行政法人医薬品医療機器総合機構.PMDA医療安全情報 No. 37「インスリン注入器の
取扱い時の注意について」(2013年4月)(Online). available from < http://www.pmda.
go.jp/files/000143991.pdf >(last accessed 2015-4-14).
6. 公益財団法人日本医療機能評価機構 薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業ホームページ.
available from < http://www.yakkyoku-hiyari.jcqhc.or.jp/index.html >(last accessed 2015-414).
7. 公益財団法人日本医療機能評価機構 薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業.平成21年年報
(Online). available from
< http://www.yakkyoku-hiyari.jcqhc.or.jp/pdf/year_report_2009.
pdf >(last accessed 2015-4-14).
- 121 -
インスリンに関連した医療事故
4. 独立行政法人医薬品医療機器総合機構.PMDA医療安全情報 No. 23「インスリン注射器の
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
3-〔1〕
3-〔2〕
3-〔3〕
3-〔4〕
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年 1 月∼ 3 月)
【2】手術中の砕石位に関連した事例
砕石位(lithotomy position:切石位、截石位ともいう)は、患者を仰臥位とし、その後、両脚を挙上
して開脚させ、膝を曲げた状態で下肢を固定して得られる体位である。砕石位は、
泌尿器科領域の膀胱・
前立腺・尿道や、婦人科領域の膣・子宮、消化器外科領域の肛門・直腸などの疾患の診断や治療の際
に用いられる。下肢の固定には、屈曲した膝関節から下腿上部を裏から支える支脚器や、下腿から足
先までを固定するブーツ型の支脚器などを使用する。
患者の体位は、神経・筋肉および循環に対する圧迫を最小限とするなど、解剖学的・生理学的に適正
な体位に整える必要がある。砕石位では、股関節や膝関節を屈曲することによる下肢の循環障害、
開脚した下肢を固定するための支脚器に神経が圧迫されることによる神経障害などが起こる可能性が
ある。さらに、支脚器の圧迫により筋膜に囲まれた区画内の内圧が上昇して微小な循環障害が起こ
ることもある。その結果、区画の内圧が上昇して筋肉や神経が障害されるコンパートメント症候群
(筋区画症候群)や、支脚器によって下肢が長時間圧迫を受け、圧迫の解除後に急速に現れる骨格筋
の損傷(横紋筋融解症)と、それによって引き起こされるショックや腎不全などの全身症状を引き起
こす圧挫症候群(クラッシュシンドローム、挫滅症候群ともいう)が発生する可能性もある。
今回、本報告書分析対象期間(2015年1月1日∼3月31日)に、砕石位によって手術を行った
事例において、術後に腓骨神経麻痺を起こした事例が1件、コンパートメント症候群を起こした事例
が1件報告された。そこで、本報告書では手術中の砕石位に関連した事例を個別のテーマとして取り
上げ、事業開始まで遡って事例を整理し、分析を行った。なお、本事業に報告された事例を検索した
結果、手術時以外の砕石位の事例は報告されていなかった。
(1)発生状況
手術中の砕石位に関連した事例は、事業開始(2004年10月)から本報告書分析対象期間
(2015年1月1日∼3月31日)までに34件報告されていた。各事例の発生年ごとの報告件数は、
図表Ⅲ - 2- 13に示す通りである。
図表Ⅲ - 2- 13 発生状況
発生年
2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015
合計
年
年
年
年
年
年
年
年
年
年
年
年
(10 ∼ 12 月)
報告件数
0
(1∼3月)
1
2
2
0
2
5
6
4
4
6
2
34
①関連診療科
報告された事例の関連診療科(複数回答可)として選択された項目は、
泌尿器科が最も多く12件、
産婦人科・婦人科が10件、整形外科が8件、外科が6件、麻酔科、消化器科、形成外科がそれぞ
れ5件であった。砕石位による手術を行うことが多い泌尿器科、産婦人科・婦人科、消化器科、外
科の報告が多かった。また、コンパートメント症候群や神経障害の診断や治療に関わることが多い
整形外科や、手術に関わる麻酔科が関連診療科として選択されていた。
- 122 -
2 個別のテーマの検討状況
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年 1 月∼ 3 月)
図表Ⅲ - 2- 14 関連診療科
関連診療料
件数
泌尿器科
12
産婦人科・婦人科
10
整形外科
8
外科
6
麻酔科
5
消化器科
5
形成外科
5
小児外科
3
心臓血管外科
2
ペインクリニック
1
その他
1
Ⅲ
※複数回答可
②患者の状態
手術中の砕石位に関連した事例の患者の状態は、コンパートメント症候群が20件と最も多く、
次いで腓骨神経麻痺7件を含む神経障害が9件、圧挫症候群が3件、仙骨部の褥瘡、発赤がそれぞれ
1件であった。
図表Ⅲ - 2- 15 患者の状態
手術中の砕石位に関連した事例
患者の状態
件数
コンパートメント症候群
20
圧挫症候群
3
神経障害
9
腓骨神経麻痺
7
坐骨神経麻痺
2
仙骨部の褥瘡
1
仙骨部の発赤
1
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
3-〔1〕
3-〔2〕
3-〔3〕
3-〔4〕
③患者への影響
事故の程度(図表Ⅲ - 2- 16)では、
「障害残存の可能性がある(低い)
」が12件(35.3%)
と最も多く、次いで「障害残存の可能性がある(高い)
」が10件(29.
4%)であった。医療事故
全体の事例では、
「障害残存の可能性がある(低い)」が26.4%、
「障害残存の可能性がある(高い)」
が9.3%(既出、58頁 図表Ⅱ - 2- 15)と比較すると割合が高い。
「障害残存の可能性がある(高い)
」や「障害残存の可能性がある(低い)
」のように患者に何らか
の影響があったと推測される事例が34件中22件であることや、治療の程度(図表Ⅲ - 2- 17)
では、
「濃厚な治療」が18件(52.
9%)と多いことから、
手術中の砕石位によって発生した状態は、
患者に大きな影響を及ぼす可能性があることが示唆された。
- 123 -
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年 1 月∼ 3 月)
図表Ⅲ - 2- 16 事故の程度
図表Ⅲ - 2- 17 治療の程度
事故の程度
件数
死亡
治療の程度
件数
0
濃厚な治療
18
障害残存の可能性がある(高い)
10
軽微な治療
11
障害残存の可能性がある(低い)
12
なし
1
障害残存の可能性なし
7
不明
4
障害なし
2
不明
3
合 計
合 計
34
34
そこで、主な治療を報告された事例の内容から抽出した(図表Ⅲ - 2- 18)。コンパートメント
症候群は、筋区画内の内圧が上昇したまま放置すると、神経や筋肉などの機能障害や壊死を起こす
可能性があり、区画内の圧を下げる目的で行う筋膜切開が17件と多い。また、筋膜切開を行った
事例のうち1件は結果的に下肢を切断している。神経障害や圧挫症候群では、薬剤の投与や経過観
察であった。圧挫症候群は、骨格筋の損傷(横紋筋融解症)によってショックや腎不全などの全身
症状を引き起こす場合もあるが、報告された事例においては重篤な状況に至った事例はなかった。
図表Ⅲ - 2- 18 患者の状態と主な治療
患者の状態
主な治療
筋膜切開
コンパートメント症候群
件数
17
(切開後に下肢切断)
(1)
弾性ストッキングの除去と湿布剤で様子観察
1
記載なし
2
神経障害治療剤の投与
1
補液
1
経過観察
1
神経障害治療剤、疼痛治療剤、ビタミンB12製剤などの投与
3
経過観察
2
記載なし
4
仙骨部の褥瘡
記載なし
1
仙骨部の発赤
記載なし
1
圧挫症候群
神経障害
合 計
34
④疾患および砕石位で行った手術
報告された事例に記載された疾患名や事故の内容から、疾患名および術式を臓器別に集計した(図表
Ⅲ - 2- 19)
。大腸、膀胱、子宮、前立腺、卵巣など下腹部に存在する臓器の手術が多かった。最も
多いのは、大腸に関する手術が10件であった。その内、直腸癌の手術は4件、ヒルシュスプルング
病は2件の報告があった。次いで多いのは、
膀胱に関する手術であり、
膀胱癌の手術は6件の報告があっ
た。子宮に関する手術は5件であった。
また、腹腔鏡を使用した手術8件、ロボットを使用した手術1件や、複数の臓器または広範囲の
手術など手術時間が長いことが推測される術式が多かった。
- 124 -
2 個別のテーマの検討状況
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年 1 月∼ 3 月)
図表Ⅲ - 2- 19 疾患名および砕石位で行った手術
疾患名
砕石位で行った術式
大腸
合計
10
腹腔鏡下低位前方切除術
3
直腸切断術
1
ヒルシュスプルング病
ヒルシュスプルング病根治術
2
大腸癌
腹腔鏡下大腸切除術
1
家族性大腸ポリポーシス
大腸全摘術、人工肛門造設術
1
潰瘍性大腸炎
潰瘍性大腸炎に対する手術
1
直腸 S 状部結腸癌
大腸癌追加切除術
1
直腸癌
膀胱
膀胱癌
膀胱膣瘻
8
膀胱全摘術、回腸導管造設術(うち、腹腔鏡下1件)
2
腎尿管全摘出術、膀胱尿道全摘出術、尿管皮膚瘻造設術
1
膀胱尿道摘出術、回腸導管造設術
1
膀胱癌根治術
1
膀胱前立腺尿道全摘、回腸導管造設術
1
回腸上行結腸端側吻合術、左尿管皮膚瘻造設術、右尿管結紮術
1
Ⅲ
子宮頸癌術後断端再発による 膀胱全摘術、回腸導管造設術、小腸切除術、ハルトマン手術、
1
膀胱浸潤
人工肛門造設術
子宮
子宮筋腫
切迫早産
腟式子宮全摘術
1
子宮全摘出術、卵巣切除術、癒着剥離術
1
準広汎子宮全摘術、両側付属器切除術
1
子宮体癌の手術
1
子宮頚管縫縮術
1
前立腺
前立腺癌
2
腹腔鏡下前立腺腫瘍摘出術(うち、ロボット手術1件)
2
卵巣
2
卵巣癌
卵巣癌根治術
1
卵巣腫瘍
腹腔鏡下卵巣腫瘍摘出術
1
大腸及び胃
胃癌、直腸癌
2
幽門側胃切除、ハルトマン手術
1
胃癌、直腸癌の手術
1
腎臓
腎結石
1
経尿道的バルン拡張術、左腎結石破砕術
1
大腸及び前立腺
直腸癌、前立腺癌
1
直腸癌、前立腺癌の根治術
1
その他
2
アンドロゲン不応症
腟欠損症に対する造腟術
1
性同一性障害
性別適合手術、S状結腸造腟術
1
記載なし
1
合 計
- 125 -
34
手術中の砕石位に関連した事例
子宮体癌
5
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
3-〔1〕
3-〔2〕
3-〔3〕
3-〔4〕
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年 1 月∼ 3 月)
⑤手術時間
手術中の砕石位に関連した事例において事故の内容などに記載されていた手術時間もしくは砕石位
であった時間を集計した(図表Ⅲ - 2- 20)
。4時間以上の事例が多く、34件中8件は10時間以上
の手術であり、詳細不明であるが「長時間」と記載している事例も4件あった。コンパートメント
症候群の事例は、20件全てにおいて手術時間が4時間以上であり、中でも10時間以上の事例は
6件と多い。腓骨神経麻痺においても、7件全て手術時間が4時間以上の事例であった。坐骨神経
麻痺や仙骨部の発赤の事例は、他の事例と違い4時間未満の手術で発生していた。
図表Ⅲ - 2- 20 手術時間または砕石位であった時間
1時間
未満
1時間以上∼ 4時間以上∼ 7時間以上∼
4時間未満
7時間未満 10時間未満
10時間 「長時間」
記載なし
以上
と記載
合計
コンパートメント症候群
0
0
5
5
6
3
1
20
圧挫症候群
0
0
1
0
0
0
2
3
腓骨神経麻痺
0
0
2
2
2
1
0
7
坐骨神経麻痺
1
1
0
0
0
0
0
2
仙骨部褥瘡
0
0
0
1
0
0
0
1
仙骨部の発赤
0
1
0
0
0
0
0
1
1
2
8
8
8
4
3
34
神経障害
合 計
⑥初期症状
術後の初期症状について、報告された事例の内容からまとめたところ、多くは下肢または下腿の
症状であった(図表Ⅲ - 2- 21)。コンパートメント症候群の事例は「下肢または下腿の疼痛」が
14件と多く、次いで「下肢または下腿の腫脹、緊満、膨張」が11件であった。
「下肢または下腿
の疼痛」と報告された事例の中には、
「激痛」と記載されている事例が複数あった。コンパートメント
症候群については、初期症状の出現後、筋区画内圧の上昇や血液中のクレアチニンキナーゼ(CK)
値の上昇などで診断されていることがいくつかの事例に記載されていた。
圧挫症候群の事例は「下腿の疼痛」と「下腿の腫脹」がそれぞれ3件であり、コンパートメント
症候群の事例と初期症状が似ており、その他の全身症状や臨床検査の結果などで鑑別が必要である。
神経障害のうち腓骨神経麻痺の事例は「下肢または下腿の痺れ」が5件、坐骨神経麻痺の事例は
「下肢の痺れ」が2件と疼痛より痺れの症状が現れている。
- 126 -
2 個別のテーマの検討状況
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年 1 月∼ 3 月)
図表Ⅲ - 2- 21 初期症状
患者の状態
初期症状
件数
下肢または下腿の疼痛
14
下肢または下腿の腫脹、緊満、膨張
11
5
足背動脈の触知微弱または不可
2
足関節の背屈困難
2
薄い血尿
1
下肢の皮膚色不良
1
下肢の冷感
1
下肢の痺れ
1
不明
3
下腿の疼痛
3
下腿の腫脹
3
下肢または下腿の痺れ
5
下肢または下腿の硬結
3
下腿の発赤
1
下腿の熱感
1
下肢の皮膚色不良
1
下肢の冷感
1
下腿の疼痛
1
下腿の知覚麻痺
1
下肢の痺れ
2
下垂足
1
仙骨部の褥瘡
仙骨部に暗紫色の皮膚変色
1
仙骨部の発赤
仙骨部に発赤
1
コンパートメント症候群
圧挫症候群
神経障害
腓骨神経麻痺
坐骨神経麻痺
※1事例に複数の初期症状の記載あり
(2)事例の概要
手術中の砕石位に関連した主な事例の概要を図表Ⅲ - 2- 22に示す。
- 127 -
Ⅲ
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
3-〔1〕
3-〔2〕
3-〔3〕
3-〔4〕
手術中の砕石位に関連した事例
下肢または下腿の発赤
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年 1 月∼ 3 月)
図表Ⅲ - 2- 22 事例の概要
No.
事故の
程度
事故の内容
背景・要因
改善策
コンパートメント症候群
1
2
障害残存
の可能性
がある
(高い)
家族性大腸ポリポーシスに対して
大腸全摘術、回腸肛門管吻合、人
工肛門造設術を施行した。術中は
砕石位であった。腸管組織が周囲
組織との強固な癒着を認めた為に
腸管剥離が極めて困難であり、長
時間の手術(17時間)を要した。
翌朝、手術が終了となり、手術室
よりICUへ入室した。当日昼に
ICUにて抜管を行った。抜管
時に四肢の異常は確認されなかっ
た。しかし、同日夜8時頃より下
肢の痛みを訴えるようになり、当
直医へ報告されるが下肢の痛みの
みであるとの理由で経過観察とさ
れた。翌朝にも痛みが継続し、症
状改善していないことより上級医
へ報告され、整形外科医へコンサ
ルトとなった。整形外科医の診察
後、下肢コンパートメント症候群
と診断され、緊急手術(両下肢減
張切開)を施行した。
長 時 間 の 手 術 が 行 わ れ た。 そ の 間、・ 砕石位による下肢コンパー
頭低位の砕石位が長時間取られた。 トメント症候群を周知徹底
このことにより両下肢の循環悪化が する。
生じ、下肢コンパートメント症候群 ・ 手術の際、砕石位の体位時
が生じた。患者が下肢の違和感・痛 間を最短とする(術中の体
みを訴え、夜間当直医に報告された 位変換)。
が、上級医への報告は、翌朝であった。・ 診療科のみではなく、麻酔
科・看護部を含む手術部と
してのハイリスクを周知徹
底する。
・ 手術時間が長時間に及んだ
場合のチェック機構の確立
が必要である。
障害残存
の可能性
がある
(低い)
レビテーターを使用した婦人科砕
石位、頭位水平で11時間23分
の手術中、下肢拳上を解除しな
かった。手術翌日「左下肢の痛み
としびれ」を訴えた。硬膜外麻酔
か手術の影響と考え様子観察して
いた。手術3日後、PCAポンプ
の使用を制限したことから、下肢
の疼痛増強し、左足関節の背屈が
できないことを発見した。整形外
科に紹介し、下肢コンパートメン
ト症候群と診断された。弾性ス
トッキングの除去と湿布剤で様子
観察となった。
当院では3年前、10時間を越える ・ マニュアル(レビテーター
手術において下肢コンパートメント
使用時の砕石位の看護手順)
症候群発症後、レビテーター使用時
を改訂する。
の砕石位の看護手順が作成された。 ・ 体位作成時より約4時間を
しかし、「頭低位保持より約4時間を
目安に、医師は手を止めて、
目安に、医師は手を止めて、下肢の
下肢の拳上を一時的に解除
拳上を一時的に解除する」と記載さ
する。
れていた。今回は水平であったこと ・ 外回り看護師は時間を観察
より下肢拳上解除されなかった。本
し、4時間経過する前に術
来は、ひらめ筋が心臓より高くなっ
者に声をかける。
た場合に、下肢拳上解除が必要であっ
た。
- 128 -
2 個別のテーマの検討状況
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年 1 月∼ 3 月)
No.
3
不明
不明
事故の内容
背景・要因
改善策
病棟看護師は、患者に弾性ストッ
キングを履いてもらった後、手術
室へ患者を搬送した。全身麻酔下
で卵巣癌根治術を施行した(手
術時間7時間10分)
。手術中、
フットポンプ装着し、砕石位、骨
盤高位をとる。出血量は940g
であった。抜管後、患者をベッド
へ移す際に、両下腿の痛みを訴え
た。麻酔科医師診察し、下肢の腫
脹、皮膚色の変化はなく、冷罨法
を行った。手術室看護師から、
「覚
醒後、足を痛がっている。経過観
察をお願いします。
」と病棟看護
師に伝えた。その後、主治医と担
当した看護師が薄い血尿に気付い
た。夜間も両下肢の疼痛が継続し、
下肢の腫脹傾向があった。婦人科
当番医師へ電話で状況を報告した
ところ、朝まで経過観察の指示が
あった。2時間後、尿の色調がコー
ラ色に変化し、尿量減少のため再
度婦人科当番医師に報告し、輸液
負荷の指示があった。朝、前日診
ていた麻酔科医師が診察し、ミオ
グロビン尿と判断し、婦人科医師
へ整形外科受診をすすめた。整形
外科医師はまずDVT否定のため
の血管超音波を実施した。その後、
下腿の内圧測定したところ、コン
パートメント症候群の診断がつき
家族に連絡した。全身麻酔下で左
下腿の減張切開術を施行した。
術 後 主 治 医 に 麻 酔 科 医 師 か ら コ ン ・ ひざ裏の阻血が考えられる
パートメント症候群の可能性も伝え
ことから弾性ストッキング
られ記録に記載があったが見ておら
が患者にとって適切なサイ
ず、また、今までそのような患者を
ズか、足首ふくらはぎでの
診た経験がなかったため、ミオグロ
測定と適正なサイズの選定
ビン尿を婦人科手術後に見られる一
や履かせ方の確認ポイント
過性の血尿と判断した。夜間報告を
等を再度職員に周知する。
受けた婦人科当番医も、血尿と尿量 ・ コンパートメント症候群の
の減少、下肢の痛みや腫脹について
認識が当院の職員において
電話で報告を受けただけであり、コ
低かったので、起こりうる
ンパートメント症候群としての認識
可 能 性 の あ る 病 態 と し て、
もなかったため、朝まで点滴負荷と
事例の共有を諸会議、部署
経過観察を指示した。翌日整形外科
にて周知する。
医師の診察があったが、同様に手術 ・ 万一の発症後は、緊急を要
後の患者でのコンパートメント症候
する病態であることを周知
群の患者経験がなく、深部下肢静脈
する。
血栓症との鑑別を優先した。その後、 ・ 手術体位を検討する。長時
診断はついたが減張切開術の適応は
間に及ぶ場合、左右の術野
12時間以内であり、すでに20時
を変える時に一度手術台を
間を経過していた。当院では、今回
フラットにし下肢へ血液を
当日関わった麻酔科医師以外の医師、 一度循環させる。
看護師においてもコンパートメント ・ 特に出血量が多くなる、時
症候群発症の患者の経験がなかった。 間が長くなる、砕石位をと
そのため、どの程度緊急を要する事
る手術になる場合は、患者
態か判断ができなかった。膝裏、ふ
や家族に術前のオリエン
くらはぎ部の阻血が要因とも考えら
テーション時にコンパート
れる。弾性ストッキングのサイズや
メント症候群について加え
装着状況、足台の角度、フットポン
て説明する。
プの収縮圧等また患者自身が持って ・ 術前看護師は、術前訪問時
いるリスク、体格(自分の足の重み)、 に患者のふくらはぎ部分を
腹部広範囲にわたる手術の侵襲、出
触診しておく。
血が多いことによる循環血液量の低
下、砕石位骨盤高位という体位を長
時間とったことなど、の要因が複雑
に絡んだ事象であった。
直腸癌に対する砕石位、頭低位で
腹腔鏡下直腸低位前方切除術を施
行した。術直後は特に大きな問題
は認めなかった。術後1日目の8
時頃、看護師が左下腿の腫脹を認
めた。徐々に痛みも出現した。C
T撮影施行、左腓腹筋の造影効果
の低下、採血でCK値が高値で
あったため、整形外科にコンサル
トした。左下腿コンパートメント
圧測定(前方50、60、65m
mHg、側方52、39、38m
mHg、深後方47、50、48
m m H g、 浅 後 方 5 0、 6 3、
50mmHg)し、コンパートメ
ント症候群と診断され緊急減張切
開術となった。
砕石位、頭低位右ローテーションで ・ 砕石位症例は体位をとると
の 長 時 間 手 術( 8 時 間 ) で あ っ た。 きに圧迫が踵中心にかかる
手術中の2時間毎の体位変換を行わ
ような体位をとる。
なかった。筋肉量の多い、男性の患 ・ 2 時 間 ご と に 体 位 の 変 換、
者であった。前回にも同様の症例が
マッサージ、圧迫の程度を
あり、2時間毎の体位変換を行う改
確認する。タイマーを用い
善策が立案されていたが実施されて
て忘れないようにする。
いなかった。
・ ハイリスク症例を決めるの
は難しいので、全例上記の
ことを行う。
- 129 -
Ⅲ
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
3-〔1〕
3-〔2〕
3-〔3〕
3-〔4〕
手術中の砕石位に関連した事例
4
事故の
程度
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
No.
5
6
事故の
程度
障害残存
の可能性
なし
障害残存
の可能性
なし
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年 1 月∼ 3 月)
事故の内容
背景・要因
改善策
直腸癌に対して腹腔鏡下で低位前
方切除術を施行した。体位は砕石
位で頭低位、やや右下にローテー
ションをした状態で行った。直腸
∼S状結腸周囲の癒着が激しく、
腫瘍の位置が肛門側に存在したこ
とにより、側方郭清の必要があり、
手術開始から6時間後に開腹術に
よる低位前方切除術と側方郭清を
行った。手術時間は10時間5分、
麻酔時間11時間45分であっ
た。病棟帰室時に左下腿(腓腹筋
部位)が腫脹しているのを発見
し、整形外科にコンサルトを行っ
た。コンパートメント症候群の可
能性があるが、運動、感覚障害が
ないため安静と冷却で経過観察と
なった。術後1日目、左下腿の痛
みと腫張の軽減はなかった。運動
障害、感覚障害はなし。整形外科
で筋内圧を測定したところ50∼
60mmHg、血液検査にてCK
値が9762と上昇しており、緊
急手術の適応となった。その後手
術室へ搬入し、減張切開術を施行
した。
鏡視下手術では手術時間が長い傾向 ・ 砕石位での手術のコンパー
にあり、長時間砕石位を必要とする
トメント症候群発症予防対
点からコンパートメント症候群を生
策をとる。
じるリスクは高いと考えられる。今 1)
間欠性空気圧迫装置は、
回、砕石位の手術による下腿圧迫が
AVインパルスタイプか
長時間になり、コンパートメント症
らSCD(下腿全体を包
候群を発症し減張切開術が行われた。
む)タイプに変更する。
なお、幸いに機能障害は残存しなかっ 2) 体位は水平開脚位に近い
た。手術部において関連部署で下肢
状態にする。
の固定具(レビテーター)を用いた 3) 2時間毎にタイムアウト
砕石位で実験をした結果、下記の点
し、砕石位の体位を解除
が明らかになった。血栓防止のため
する(観察したり、マッ
弾性ストッキングとAVインパルス
サージを行う)。
をつけて下肢の固定具のフットピー ・ 当該科だけではなく、砕石
スで固定されていたが、AVインパ
位で行う診療科(泌尿器科
ルスは足底部を圧迫するので、踵の
や婦人科)においても上記
部分が浮いた状態になり固定され、 対策を実施することを奨励
固定位置が数cmずれ、腓腹筋部位
する。
の圧迫が強くなることがわかった。 ・ 実施した予防対策は評価の
血栓予防のための器具をAVインパ
ために記録を残す。
ルス(足底を包むタイプ)からSC ・ 砕石位での下腿圧迫により
D(下腿全体を包むタイプ)に変更
生じるコンパートメント症
したところ腓腹神経や腓腹筋部位の
候群は極稀(3500例に
局所的な圧迫を避ける効果が得られ
1 例、 当 院 で は 開 院 以 来
た。
3例目)ではあるが、重篤
な機能障害を残す可能性が
あるのでICの説明文書の
偶発症の項目に追加する。
性同一性障害のため性別適合手
術、S 状結腸造腟術を施行した。
術中手術体位が砕石位であった。
砕石位チェック表に従い医師、看
護師にて 2 時間毎に下肢の観察
を行っていた。砕石位から仰臥位
へ戻した際、左下腿に腫脹・発赤・
硬結を認め、筋膜内圧測定実施し
たところ左下腿に減圧が必要なコ
ンパートメント症候群を発症して
いることが発覚し、直ちに左下腿
減圧術を実施した。
砕石位チェック表を用いて医師・看 ・ マニュアルに準じた対応が
護師にて下肢の観察は規定通り 2 時
できており、今後も手順を
間毎に実施されていた。砕石位での
逸脱することなく早期発見、
手術時間の長期化を予測し、下肢の
早期対応に臨めるように対
観察がしやすいように透明包布によ
応することを手術部内カン
り下肢部の保護を行い、観察しやす
ファレンスにて共有した。
い環境はとれていた。砕石位の合併
症としてコンパートメント症候群が
発症するリスクを術前に説明できて
いる(同意書内記載あり)。
- 130 -
2 個別のテーマの検討状況
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年 1 月∼ 3 月)
No.
事故の
程度
事故の内容
背景・要因
改善策
圧挫症候群
7
障害残存
の可能性
がある
(高い)
- 131 -
Ⅲ
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
3-〔1〕
3-〔2〕
3-〔3〕
3-〔4〕
手術中の砕石位に関連した事例
患者は直腸癌術前検査にて前立腺 レビテーターにて局所的な圧外傷を ・ レビテーターを装着後、術
癌が見つかり、両疾患に対し一期 生じうるという認識が不足していた。 中体位に変換し局所的圧迫
的根治術を希望した。術前検査で
を生じないよう設定する。
全身状態に特に問題はなかった。
・ レビテーター使用中、局所
硬膜外麻酔と経口挿管による全身
的な圧迫を生じていないか
麻酔下に、血栓症予防のため両下
30∼60分おきに看護師
肢に間欠的空気圧迫装置を装着
がモニターする。
し、レビテーターを用いた砕石位
・ 圧迫が生じないように工夫
で手術を施行した。直腸切除後、
されているより新しい機器
前立腺全摘術を施行した。側方郭
を購入する。
清後、直腸吻合、尿道膀胱吻合
・ 機器に関する情報を収集し
後、回腸人工肛門造設術施行し手
より安全な機器を用いる様
術を終了した。術後、体位解除時
にしたい。
右ふくらはぎの硬結と腫脹に気付
いた。後日、圧外傷による筋挫滅
と診断した。同部に体位支持装置
が当たっていたか確認したが明確
な圧迫痕等はなかった。全身状態
は問題なく、血栓症等の有無に関
し血管外科に診察依頼したが特に
問題はなかった。全身状態への影
響なく経過観察とし、後日整形外
科に診療依頼した。手術部にて文
献検索および医療機器製造元に確
認したが、有用な情報はなかった。
近隣の病院をはじめとする医療機
関に同様な事例の経験について問
い合わせを行った。また、同一体
位支持装置を用いシミュレーショ
ンにて体圧分散状況について確認
した。
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
No.
事故の
程度
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年 1 月∼ 3 月)
事故の内容
背景・要因
改善策
腓骨神経麻痺
8
9
障害残存
の可能性
なし
障害残存
の可能性
がある
(低い)
造腟術(大腿筋皮弁による手術で、
婦人科と形成外科による手術:手
術時間7時間40分)を行った際
に、下肢の固定器具とフットポン
プによる圧迫によって起こったと
思われる両側腓骨神経麻痺が発症
した。麻酔覚醒後から下肢の痛み
を訴え経過観察していたが、しび
れ感と知覚異常が続くため、麻酔
科、神経内科、整形外科に紹介し、
腓骨神経麻痺と診断された。その
後、リリカカプセル内服を開始し
た。
長時間術中使用のフットポンプと下 ・ 手術室看護師、形成外科医、
肢 を 固 定 す る 器 具「 レ ビ テ ー タ ー」 婦 人 科 医 に よ る 合 同 カ ン
による両下肢の腓骨神経部位の圧迫
ファレンスを行い、対策と
が考えられる。患者の体型(身長: して以下の点に気をつける
約180cm)への注意・工夫を行
こととした。
うべきであった。手術開始時には両 1)
術前の体位作成時に医師
下肢の下腿、膝部、踵骨部は体圧や
と看護師は、腓骨神経を
皮膚症状、血行障害などの観察が行
圧迫していない事や下肢
われ記録されているが、手術中はシー
が外旋していないことを
ツなどで隠れて見えず、また観察の
確認する。
為動かしたりすることは手術部位に 2) フットポンプ装着時は、
影響を及ぼす恐れがあるとしてでき
硬いチューブなどの部分
ていない。
が皮膚に接して圧迫の原
因にならないよう、巻き
つけかたに気をつける。
3) 手術中は外回り看護師が
足袋の下から手を入れて
腓骨が圧迫されていない
かの確認を行うと同時
に、術野の助手の医師や
器械出し看護師も、とも
に協力して腓骨を圧迫し
ていないかの確認を行
う。
4) 観察やケアをした結果は
記録に残す。
15時間半に及ぶ開腹手術を行っ
ていた。膀胱癌のために、砕石位
で膀胱全摘、代用膀胱造設術を施
行した。砕石位にはレビテーター
を使用した。手術開始前に下肢を
正しくポジショニングしたが、固
定に関してはマット型固定パッド
がないタイプであったため、当院
手術部で緑色のオイフで作製した
固定パッドで固定し、消毒して手
術を開始した。手術終了後、手術
ドレープを取り外し体位を元に戻
す際、左下腿外側部と右下腿外側
部に発赤・硬結を認めていたこと
と、左足は完全に架台からずれて
乗っていることに気付いて医師に
報告した。麻酔覚醒後、患者に痛
み・痺れの有無を確認した。両側
に発赤・痛みあり、左下腿外側部
に痺れの訴えがあった。
長時間同一体位による手術だった。 ・ 医師と共に定期的に観察を
体位ローテーションをかけた後の、 行う。
下肢の観察が十分に行えていなかっ ・ レビテーター固定部の位置
た。日勤帯で踵部がレビテーターよ
を確認し、手術の進行状況
りずれ落ちていないことを確認した
をみながら、適宜術者に声
が、下腿全体の観察は、行えていな
かけを行い、体位を確認し
かった。その後、術中、出血してい
ていく。
たため、輸血の対応に追われ足の固 ・ 術中、医師に声をかけ定期
定部の観察が十分に行えなかった。 的に観察を行う。
日勤から夜勤者の看護師に引き継ぎ ・ 患者の可動域範囲を超えた
交替した後、術中体位の観察は十分
無理な固定をしない。
に行えていなかった。また、交替時 ・ 長時間の手術で負荷のかか
にレビテーターと足のずれがないか
る場合は、砕石位ではなく
を確認していなかった。砕石位とそ
仰臥位で手術が進行できる
の固定は医師がとったが、用意され
か医師と検討する。
ていた固定システムは手術部の自家 ・ ポジショニングに対する勉
製品であり、安全な固定かどうかの
強会をメーカー、医師とと
認識が医師、看護師ともになかった。 もに行い体位固定に対する
認識を強化する。
・ 手術体位・固定検討の取り
組みを強化していく環境を
整える。
・ 砕石位用具の正しい使用方
法の講習会などで認識を深
める。
・ 今回の固定具は自家製品の
ため、メーカーとともに推
奨策を検討する。
- 132 -
2 個別のテーマの検討状況
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年 1 月∼ 3 月)
No.
事故の
程度
事故の内容
背景・要因
改善策
坐骨神経麻痺
10
障害残存
の可能性
がある
(高い)
子宮筋腫のため硬膜外麻酔(L4
/5)と全身麻酔下で膣式子宮全
摘術を施行した(砕石位:2時間
50分)
。術後、下肢の痺れを自
覚し、その後も痺れが改善しない
ため硬膜外麻酔の影響の可能性を
疑い、硬膜外チューブを抜去した。
右下肢の痺れは改善したが左下肢
のしびれや感覚鈍麻、足関節の背
屈不可であった。神経内科を受診、
MRIでは圧迫所見はなし、筋力
低下:左L5−S2、感覚低下:
S1の領域、反射の低下S1・2
→左L5−S1の神経根ないし末
梢神経障害と診断された。リハビ
リ開始。患者と家族に周術期に発
生した偶発症、MRIで圧迫所見
もないので麻酔の影響ではなく、
手術中の体位による坐骨神経障害
であること、神経の圧迫の程度に
より回復に時間がかかること、リ
ハビリとビタミンB12の内服で
経過をみることを説明した。
砕石位による坐骨神経圧迫による末 ・ 手術の体位固定については
梢神経障害が発生した。手術時間 2
チームでの対応が必要。事
時間 50 分。砕石位のベッドの圧迫除
例検討を行い情報を共有す
去マット、角度などは通常と変化が
る。
なかった。患者の体型はやや痩せ型 ・ 身体的に体位固定に問題あ
であった。当院で砕石位の手術での
る場合は術前のシミュレー
坐骨神経麻痺のケースはなかった。
ションが必要である。
幽門側胃切除、ハルトマン手術を
受け2病日目、仙骨部に11.
55
×11cmの暗紫色に変色した
褥瘡を発見した。その後、CT及
びエコーでⅢ度∼Ⅳ度の褥瘡であ
ると診断された。
手術は9時間半砕石位で施行された ・ 手術時間が4時間を超える
が、仙骨部に褥瘡発生のリスクが高
場合はエアマットの使用を
いことが認識されていなかった。そ
検討する。
のため皮膚の観察や除圧の対策が充 ・ 術中の出血量や栄養状態も
分ではなかった。エアマットの使用
含めて、術後に褥瘡リスク
は検討されていなかった。貧血や低
のアセスメントをチームで
蛋白状態であったこと、術後の低血
行う。
圧が続き患者自身の体位変換が不可 ・ 褥瘡予防対策ケア実施表を
能であったことも要因である。
使用し、観察と発生リスク
に合わせた確実な予防ケア
を行う。
Ⅲ
仙骨部の褥瘡
障害残存
の可能性
なし
- 133 -
手術中の砕石位に関連した事例
11
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
3-〔1〕
3-〔2〕
3-〔3〕
3-〔4〕
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年 1 月∼ 3 月)
(3)背景・要因の分析
報告された事例から、主な背景・要因を「コンパートメント症候群」「圧挫症候群」「神経障害」
「仙骨部の褥瘡、発赤」に分けて図表Ⅲ - 2- 23に整理した。
「コンパートメント症候群」の事例において、①の患者の状況では、筋肉質や体躯が大きいといっ
た患者の体型、②手術時間では、長時間の手術であったことが、複数事例で報告された。③体位では、
砕石位に加え、頭低位(骨盤高位)であったことが記載されていた。また、⑤間欠型空気圧式マッサー
ジ器の使用では、間欠型空気圧式マッサージ器を装着したことで、支脚台の固定位置がずれた事例
や、間欠型空気圧式マッサージ器によって過剰な圧がかかったことなどが記載されていた。⑥手術
中の観察の難しさでは、覆布で覆われた下肢の観察が手術中は難しいまたは実施していなかったこ
とや、観察は行っていたが下肢を一時的に降ろすなどの対策が行われていなかったことが挙げられ
ていた。しかし、⑦その他に記載したように、2時間毎に観察していた事例や、観察しやすいよう
に透明覆布を使用していた事例もあり、下肢の変化に気付くことの難しさが示唆された。
「圧挫症候群」の事例においては、
「コンパートメント症候群」と同じく患者の体型や手術時間
のほかに、③にブーツ型の支脚器にて局所的な圧外傷を生じる可能性があることを認識できていな
かったことなどが挙げられていた。
「神経障害」の事例において、①患者の状況では、患者が低タンパク血症や下肢の浮腫を認めて
いたことや体躯が大きいまたは痩せ型などの体型の報告、②手術時間では、長時間の手術であった
ことが複数報告された。③間欠型空気圧式マッサージ器の使用では、間欠型空気圧式マッサージ器
と支脚器の併用により神経が圧迫された可能性が記載されていた。④手術中の観察の難しさでは、
コンパートメント症候群の事例と同じく観察をしていなかったことや手術中の観察の難しさが挙げ
られていた。また、⑤その他では、砕石位の際の固定用具が医療機関の自作であり、安全性が確認
できていなかったという事例も報告されている。
「仙骨部の褥瘡、発赤」の事例においては、患者の貧血や低蛋白といった栄養状態や、長時間の
砕石位で仙骨部に褥瘡発生のリスクが高いことが認識されていなかったため、皮膚の観察やエア
マットの使用を検討するなどの除圧の対策が充分ではなかったことなどが挙げられていた。
- 134 -
2 個別のテーマの検討状況
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年 1 月∼ 3 月)
図表Ⅲ - 2- 23 主な背景・要因
コンパートメント症候群
①患者の状況
患者の体型が、筋肉質で体躯が大きかった。(複数報告あり)
患者の下肢の筋肉が発達しており、脂肪が少ない下腿であった。(複数報告あり)
患者自身が肥満体で、通常以上の加重が下腿にかかった。
②手術時間の長さ
手術時間が長時間であった。(複数報告あり)
③体位
頭低骨盤高位の砕石位であったことにより両下肢の循環悪化が生じた。(複数報告あり)
下肢の開脚拳上により、大腿、膝窩の屈曲と圧迫が同時に起こった。
手術中に両下腿が徐々に外旋位になった。
手術助手2名が術野に入るために、患者の大腿に負荷をかけた可能性がある。
Ⅲ
既成のクッション、シリコンパッドでは除圧していたが、効果が弱かった。
④砕石位のための支脚器
レビテーターの受け皿で下腿が押さえられた。
膝関節を支えるタイプの支脚器であり、足関節を支えていなかった。
⑤間欠型空気圧式マッサージ器の使用
血栓防止のため足底部を覆う間欠型空気圧式マッサージ器を装着したため、踵が浮いた状態になり支脚台
の固定位置が数cmずれていた。
下腿はレビテーターに適切に載せていたが、下腿に装着した間欠型空気圧式マッサージ器を稼働させた
ことで、過剰な圧が下腿にかかった。
⑥手術中の観察の難しさ
手術中、覆布で覆われた下肢の観察が難しい。(複数報告あり)
前回にも同様の症例があり、2時間毎に体位変換を行う改善策を立てられていたが、実施されていなかった。
⑦その他
砕石位での長時間手術であり、術中2時間毎に下腿の観察は行っていたが、早期に発見できなかった。
砕石位チェック表を用いて医師・看護師にて下肢の観察は規定通り2時間毎に実施されていた。
砕石位での手術時間の長期化を予測し、下肢の観察がしやすいように透明覆布により下肢部の保護を行い、
観察しやすい環境はとれていた。
90分毎に観察は行っていたものの、脚を降ろす等の対策はとっていなかった。
3年前に下肢コンパートメント症候群発症後、レビテーター使用時の砕石位の看護手順が作成された。
しかし、
「頭低位保持より約4時間を目安に、医師は手を止めて、下肢の拳上を一時的に解除する」と記載
されていたため、今回は水平であったことより下肢の拳上を解除しなかった。
- 135 -
手術中の砕石位に関連した事例
下腿部の間欠型空気圧式マッサージ器を上下逆に装着したため、中枢側の加圧が高くなった。
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
3-〔1〕
3-〔2〕
3-〔3〕
3-〔4〕
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年 1 月∼ 3 月)
圧挫症候群
①患者の状況
患者は身長180cm台、体重約100kgと体躯が大きかった。
②手術時間の長さ
手術時間が6時間を要した。
③認識不足
レビテーターにて局所的な圧外傷を生じうるという認識が不足していた。
④その他
手術前に、担当医・担当看護師によって、入念に体位を取り、麻酔科の監視下に体位チェックを行って
手術に臨んだが、左腓腹筋の挫滅を生じた。
術中の体位に伴う圧迫が左腓腹筋に損傷をきたした可能性が考えられる。
神経障害
①患者の状況
低タンパク血症、下肢の浮腫も認め、通常の症例よりも神経が圧迫されやすい状況にあった。
患者の体躯が大きかった。
患者の体型がやや痩せ型であった。
②手術時間の長さ
長時間にわたって砕石位を保持していた。(複数報告あり)
10時間以上の同一体位であり、神経の圧迫の可能性があった。(複数報告あり)
③間欠型空気圧式マッサージ器の使用
長時間の手術の際に使用する間欠型空気圧式マッサージ器と下肢を固定する支脚器のレビテーターによ
る両下肢の腓骨神経部位の圧迫が考えられる。
④手術中の観察の難しさ
踵部がレビテーターよりずれ落ちていないことを確認したが、下腿全体の観察は行えていなかった。
術中の出血が多く輸血の対応に追われ、足の固定部の観察が十分に行えなかった。
クリニカルパスにおいて、足関節背側運動の確認が観察項目に挙げられていなかった。
手術開始時には両下肢の下腿、膝部、踵骨部は体圧や皮膚症状、血行障害などの観察が行われ記録され
ているが、その後術中はシーツなどで隠れて見えず、また観察のために動かしたりすることは手術部位
に影響を及ぼす恐れがあるとしてできていない。
⑤その他
砕石位用の支脚器が老朽化していた。
砕石位とその固定は医師が行ったが、使用した固定用の用具は手術部の自作であり、安全な固定かどう
かの認識が医師、看護師ともになかった。
通常実施している器具や材料を使用し、通常実施している方法で体位保持を行っており、管理上あきら
かに問題があったとは言えない。
仙骨部の褥瘡、発赤
①患者の状況
患者は貧血や低蛋白であった。
②認識不足
手術時間の長い砕石位で、仙骨部に褥瘡発生のリスクが高いことが認識されていなかったため、皮膚の
観察やエアマットの使用の検討など、除圧の対策が充分ではなかった。
- 136 -
2 個別のテーマの検討状況
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年 1 月∼ 3 月)
背景・要因に記載されているブーツ型支脚器のひとつであるレビテーターの添付文書の【警告】
には、下記1∼5が記載されており、参考にしていただきたい。
<レビテーター 添付文書3)より一部抜粋>
【警告】
【片方がずれていると患者の股関節部に重篤な神経
1. 両脚支持部は左右対称に設定すること。
障害、血行障害が起きる恐れがある。】
2. ブーツの角度を変えると、脚とブーツの接触部の圧も変わるので、ブーツの調整は必ずブー
ツを持った状態でブーツ調整ハンドルを操作すること。
【ブーツが急に動いて、患者に重
篤な神経障害、血行傷害が起きる恐れがある。】
3. 開脚角度を広くすると、下腿側部に強い圧がかかることがある。高さと開脚角度の調整は
ゆっくりと行うこと。
【急に動かすと患者に重篤な神経障害、
血行障害がおきる恐れがある。
】
4. 下腿の外旋など固定によっては腓骨神経障害を生じる恐れがある。
Ⅲ
5. 手術中、下記の状態では必ず上記1∼4の項目を確認すること。
【長時間の手術では、特に
圧迫によるコンパートメント症候群や伸展が原因による神経障害がおきる恐れがある。】
5- 1患者の脚をセッティングし直す場合
5- 2手術が長時間になる場合
5- 3支柱を挙上した場合
(4)事例が発生した医療機関の改善策
①コンパートメント症候群
1)体位の変更
○ 子宮体部悪性腫瘍に対する根治手術は一般的に長時間に渡ることが予想されるため、手術体位
を砕石位ではなく開脚位に変更することを考慮する。
○ 腹腔鏡操作時・開腹での砕石位では下肢を軽度挙上していたが、今後は、下肢のみの挙上は
行わない。
2)砕石位時の配慮
○砕石位の際、膝の位置をできるだけ低くする。
○ レビテーターに両下肢を固定した時点で、術者のみならず看護師、麻酔医を含め患者体位が
良肢位にあることを複数の目で確認する。(複数報告あり)
○ 下肢を固定するときに既成のクッション、シリコンパッドに加えてムートンなどを追加し、より
良好な除圧に努める。(複数報告あり)
○砕石位が不要になれば開脚位に変更する。
○ 2時間ごとに体位の変換、マッサージ、圧迫の程度を確認する。タイマーを用いて忘れないように
する。
○定期的なベッドローテーションによる頭低位の解除を行う。
- 137 -
手術中の砕石位に関連した事例
事例が発生した医療機関の改善策を整理して以下に示す。
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
3-〔1〕
3-〔2〕
3-〔3〕
3-〔4〕
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年 1 月∼ 3 月)
3)間欠型空気圧式マッサージ器装着の選択
○ 血栓予防のための間欠型空気圧式マッサージ器を、足底を包むタイプ(A−Vインパルス シス
テム)から下腿全体を包むタイプ(SCDエクスプレス)に変更したところ腓腹神経や腓腹筋
部位の局所的な圧迫を避ける効果が得られた。
4)手術中の砕石位の解除
○ 2時間毎にタイムアウトし、砕石位の体位を解除する(観察、マッサージ)
。また、実施した
予防対策は評価のために記録を残す。
○手術時間が3時間を超えた時点で、一旦足を支脚台から降ろす。
○ 体位作成時より約4時間を目安に、医師は手を止めて、下肢の拳上を一時的に解除する。外回
り看護師は、4時間経過する前に術者に声をかける。(複数報告あり)
5)覆布の検討
○ 視野・照度を確保したまま下肢の観察ができるように透明の覆布の使用を検討する。
(複数
報告あり)
○下肢の観察が容易にできるよう足袋の着用をやめる。
○筒状の覆布から、切れ込み覆布に変更し、観察しやすくする。
6)情報共有
○ マニュアルに準じた対応ができており今後も手順を逸脱することなく早期発見、早期対応に
臨めるように対応することを手術部内カンファレンスにて共有した。
○砕石位による下肢のコンパートメント症候群について周知徹底する。
○ 診療科のみではなく、麻酔科・看護部を含む手術部として、ハイリスク体位であることを周知
徹底する。
○レビテーターを使用する際の砕石位の看護手順を改訂する。
○ コンパートメント症候群の認識が職員において低かったため、起こりうる可能性のある病態と
して、事例の共有を諸会議、部署にて周知する。万一発症した場合は、緊急を要する病態である
ことを周知する。
7)教育
○ コンパートメント症候群に対する認識を高めるため、整形外科医による勉強会、レビテーター
の使用についての勉強会を開催した。
8)患者への説明
○ 砕石位での下腿圧迫により生じるコンパートメント症候群は極稀ではあるが、砕石位手術に
おける説明同意文書に、コンパートメント症候群の可能性について付記する。
○ 特に、時間が長く、出血量が多いと予想される砕石位で行う手術の場合は、患者家族に術前の
オリエンテーション時にコンパートメント症候群について加えて説明する。(複数報告あり)
9)その他
○看護師は、観察時に比較が出来るように、術前訪問時に患者のふくらはぎ部分を触診しておく。
○現在使用している支脚器について再検討する。(複数報告あり)
○非観血的下腿圧測定の導入を検討する。
○ 砕石位での長時間手術においては、コンパートメント症候群が起こりうることを常に念頭に
置き、術者は術野だけに気を取られることなく、コンパートメント症候群の予防にも努める。
○ 確定診断に至るまでの連携を、緊急性のある状況として主治医が中心となって他科の医師と連携
をとって関わる。
- 138 -
2 個別のテーマの検討状況
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年 1 月∼ 3 月)
②圧挫症候群
1)砕石位時の配慮
○局所に圧迫が生じないよう支脚器を装着する。
○ これまで以上に複数の医師・看護師によって、体位を入念にチェックし、不自然な圧迫がない
かどうかをチェックする。
2)手術中の確認
○支脚器の使用中は、局所に圧迫を生じていないか30∼60分おきに看護師がモニタする。
3)その他
○圧挫症候群のリスクの高い患者に対するガイドラインを作成する予定である。
○支脚器に関する情報を収集し、圧迫が軽減できるように工夫されている支脚器の購入を検討する。
③神経障害
Ⅲ
1)体位の変更
○長時間の手術の場合、砕石位ではなく仰臥位で手術が進行できるか検討する。
2)砕石位時の配慮
○ 砕石位をとるときは、下肢血流を保持するため下肢の挙上する角度を考慮する。高く挙上する
必要性がある場合は、最初からその高さで挙上するのではなく必要な時間だけとし、砕石位時間
の中でも可能な限り低い位置とする。
○ 術前の体位作成時に医師と看護師は、腓骨神経を圧迫していないことや下肢が外旋していないこ
とを確認し、患者の可動位範囲を超えた無理な固定をしない。
(複数報告あり)
○ 間欠型空気圧式マッサージ器装着時は、硬いチューブなどが皮膚に接して圧迫の原因にならな
○ 術中は外回り看護師が足袋の下から手を入れて腓骨が圧迫されていないかの確認を行うと同時
に、術野の助手の医師や器械出し看護師も、ともに協力して腓骨を圧迫していないかの確認を
行う。
3)間欠型空気圧式マッサージ器装着時の注意
○ 術中から術後の間欠型空気圧式マッサージ器による腓骨神経圧迫を注意し、管が神経を圧迫し
ていないように装具の位置確認やタオルによる圧迫除去を実施する。
○ 間欠型空気圧式マッサージ器装着時は、硬いチューブなどの部分が皮膚に接して圧迫の原因に
ならないよう、巻き方に注意する。
4)手術中の観察
○長時間手術時は下肢の観察を徹底する。
○ 術中に激しい体動がみられた際は、術者に声をかけ、腰部の位置、下肢のレビテーターからの
脱落が無いか、神経走行部位の圧迫が無いかを観察する。
○医師と共に定期的に観察を行う。
○ レビテーター固定部の位置を確認し、手術の進行状況をみながら適宜術者に声掛けを行い、体位
の確認や観察を行う。(複数報告あり)
- 139 -
手術中の砕石位に関連した事例
いよう注意する。(複数報告あり)
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
3-〔1〕
3-〔2〕
3-〔3〕
3-〔4〕
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年 1 月∼ 3 月)
5)情報共有
○手術室看護師、形成外科医、婦人科医による合同カンファレンスを行った。
○手術の体位固定についてはチームでの対応が必要であり、事例検討を行い情報を共有する。
6)教育
○ ポジショニングに対する勉強会をメーカー、医師とともに行い体位固定に対する認識を強化す
る。
○砕石位用具の正しい使用方法の講習会などで認識を深める。
7)患者への説明
○手術中の合併症として、術前に患者や家族に説明しておく。
④仙骨部の褥瘡、発赤
○術中の出血量や栄養状態も含めて、術後に褥瘡リスクのアセスメントをチームで行う。
○手術時間が4時間を超える場合はエアマットの使用を検討する。
○ 仙骨部の骨突出が手術前から明確化している場合は、術中のケア・観察のみではなく、リカバリー
滞在中に危険性もアセスメントし、手術室退室までフォローアップを継続する。
(5)まとめ
本報告書では、砕石位に関連した医療事故34件を、「コンパートメント症候群」「神経障害」
「圧挫症候群」
「仙骨部の褥瘡」
「仙骨部の発赤」に分類し、事例の発生要因、主な内容や背景・要因
を整理して分析を行った。コンパートメント症候群が20件と最も多く、次いで腓骨神経麻痺7件
を含む神経障害が9件、圧挫症候群が3件、仙骨部の褥瘡、発赤がそれぞれ1件であった。
報告された事例を分析すると、腹腔鏡下の手術や複数の臓器の手術など、多くは手術時間が長時間
を要する術式である事例が多かった。また、背景・要因では、下肢全体を覆布が覆ってしまう砕石
位では、長時間の手術中に体位変換を行えておらず、長時間にわたって同一体位のままである状況
や、下肢の観察が難しい状況にあることが分かった。
手術室入室から手術が終了するまでに、各診療科の術者、麻酔科医、看護師など多職種が患者に
関わるため、砕石位で行う手術においては、手術に関わるチーム全体で下肢の循環障害や血流障害
に注意する必要があることが示唆された。
(6)参考文献
1. 伊藤正男,井村裕夫,高久史麿.医学大辞典 第2版第2刷.東京:医学書院,2010;
1040.
2. 公 益 社 団 法 人 日 本 麻 酔 科 学 会. 麻 酔 科 学 用 語 集 第 4 版.
(online)
.available from
< http://www.anesth.or.jp/info/pdf/glossary.pdf >(last accessed 2015‐04‐16).
3.レビテーター.添付文書.ミズホ株式会社 . 2014年2月19日(改定第2版).
- 140 -
2 個別のテーマの検討状況
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年 1 月∼ 3 月)
【3】院内での自殺及び自殺企図に関する事例
我が国における2014年の自殺者数は25, 427人であり、引き続き重要な社会問題となって
いる。内閣府は自殺対策基本法に基づき、政府が推進すべき自殺対策の指針として内閣府は2007年
に「自殺総合対策大綱」1)を定め、関係府省で連携し、国レベルでの自殺予防対策の取り組みがなさ
れている。
医療においても、日本医師会は2014年に「自殺予防マニュアル【第3版】
」2)を作成した。また、
日本医療機能評価機構 認定病院患者安全推進協議会は2007年に「病院内における自殺予防」3)
の提言を公表、2011年には「病院内の自殺対策のすすめ方」4)を作成し、自殺予防対策に取り組ん
でいる。
医療機関では、精神疾患や障害に関連して自殺念慮を抱いたり自殺行動に至る患者はもとより、病状
の変化や疼痛等による心理的な不調をきたしている患者に対して、早期に危険性を評価して、自殺へ
至らないよう支援をする取り組みがなされている。個々の医療現場において自殺対策を推進すること
は医療安全において重要である。
Ⅲ
本事業においても自殺に関連する事例の報告がなされている。本報告書分析対象期間(2015年
1月∼3月)に報告された医療事故事例の報告義務医療機関からの「特に報告を求める事例」
(前掲60頁
図表Ⅱ - 2- 18)では、「患者の自殺又は自殺企図」を選択した事例は18件(1.9%)、2014年
1年間については65件(2.2%)であった(第40回報告書58頁 図表Ⅱ - 2- 18)
。
患者の様子や周囲の状況から自殺念慮や自殺行動を予測することは困難な場合もあり、医療機関や
医療者の講じる対策で、全ての自殺や自殺企図の未然防止を図ることができるとは一概に言えない。
しかしながら報告された事例には、 自殺や自殺企図の事例を経験した医療機関が事象を振り返った
うえで、背景・要因や自殺や自殺企図の予防を図るための改善策が記載されていることから、これら
考え、個別分析テーマとして取り上げた。
また、本報告書では、2010年1月1日から本報告書分析対象期間(2015年1月1日∼3月
31日)において「特に報告を求める事例」の選択項目のうち、
「患者の自殺又は自殺企図」を選択し、
「病
室」「トイレ」「検査室」など医療機関内を発生場所としたものの中から、医療材料などを含め、医療
機関のモノに関連した事例に着目して分析を行った。
(1)患者の自殺又は自殺企図の事例の発生状況
2010年1月1日から本報告書分析対象期間(2015年1月1日∼3月31日)において、
「特に報
告を求める事例」の選択項目のうち、
「患者の自殺又は自殺企図」を選択した事例は、363件であった。
そのうち、本報告書分析対象期間の報告は22件であった(図表Ⅲ - 2- 24)
。なお本件数は報告義務
対象医療機関及び参加登録申請医療機関からの報告件数である。
図表Ⅲ - 2- 24 発生状況
報告年
2010年
件数
77
2011年
2012年
2013年
2014年
2015年
(1∼3月)
61
53
75
- 141 -
75
22
合計
363
院内での自殺及び自殺企図に関する事例
の情報は他の医療機関の日頃の自殺及び自殺企図に対する医療安全対策の検討のために有用であると
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
3-〔1〕
3-〔2〕
3-〔3〕
3-〔4〕
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年 1 月∼ 3 月)
①発生場所
発生場所として選択された項目は、病室が最も多く191件であり、トイレが27件、階段が9件
などであった。その他には、医療機関外での発生とともに、医療機関内の建物外の敷地などの報告
があった(図表Ⅲ - 2- 25)
。
図表Ⅲ - 2- 25 発生場所
発生場所
病室
トイレ
階段
廊下、救急救命センター
浴室
検査室、機能訓練室
不明
その他
件数
191
27
9
各3
2
各1
5
125
※発生場所は複数回答が可能である。
②発生月
発生月として選択された項目は、9月が40件(11%)、7月が39件(10.7%)、6月と
10月が37件(10.
2%)と多かった。一方で4月は21件(5.
8%)、3月は22件(6.1%)
と少なかった(図表Ⅲ - 2- 26)
。なお、医療機関における発生に限らない統計として、内閣府自殺
対策推進室や警察庁による「平成26年中における自殺の状況」5)では、3月が最も多く2, 317人
(9.1%)、12月が最も少なく1, 796人(7.
1%)である。
図表Ⅲ - 2- 26 発生月
- 142 -
2 個別のテーマの検討状況
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年 1 月∼ 3 月)
③発生曜日
発生曜日として選択された項目は、日曜日が66件、土曜日が62件と多かった(図表Ⅲ - 2- 27)
。
なお、本事業においては、事例を認識した時点をもって事例の発生日としている。
図表Ⅲ - 2- 27 発生曜日
䠄௳ᩘ䠅
66
70
62
60
48
50
46
50
46
45
40
30
Ⅲ
20
10
0
᪥᭙᪥
᭶᭙᪥
ⅆ᭙᪥
Ỉ᭙᪥
ᮌ᭙᪥
㔠᭙᪥
ᅵ᭙᪥
④発生時間帯
発生時間として選択された項目は、14時∼15時59分が43件、16時∼17時59分の間
が42件と多かった。一方4時∼5時59分が13件、0時∼1時59分の間が16件と少なかった
(図表Ⅲ - 2- 28)。医療者の日勤の勤務の終了前後の時間帯に事象の発生が多く、夜間の事象の
発生は少なかった。なお、発生時間が明確でない場合は、推定時間帯が報告されているため、事象
と推測できる。
図表Ⅲ - 2- 28 発生時間帯
䠄௳ᩘ䠅
45
43
42
38
40
36
35
33
33
30
32
27
25
22
20
16
18
15
13
10
10
5
㻣㻦㻡㻥
㻥㻦㻡㻥 㻝㻝㻦㻡㻥 㻝㻟㻦㻡㻥 㻝㻡㻦㻡㻥 㻝㻣㻦㻡㻥 㻝㻥㻦㻡㻥 㻞㻝㻦㻡㻥 㻞㻟㻦㻡㻥
- 143 -
哎
㻡㻦㻡㻥
哎
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哎
㻝㻦㻡㻥
哎
哎
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哎
哎
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哎
哎
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哎
哎
㻞㻦㻜㻜
哎
㻜㻦㻜㻜
୙᫂
0
院内での自殺及び自殺企図に関する事例
が発生したと推測される時間だけでなく、医療者が事象を発見した時間が含まれている場合もある
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
3-〔1〕
3-〔2〕
3-〔3〕
3-〔4〕
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年 1 月∼ 3 月)
⑤関連診療科
報告された事例で選択された関連診療科(複数回答可)としては、精神科が最も多く188件
(46.
2%)であり、次に呼吸器内科が33件(8.
1%)
、内科が28件(6.
9%)
、外科が23件
(5.7%)、整形外科が19件(4.7%)などであった。うつ病や統合失調症など自殺行動や自殺
念慮を抱く可能性のある疾患の患者を診療する精神科の報告が特に多いが、さまざまな診療科も関
連診療科として報告されている(図表Ⅲ - 2- 29)
。
図表Ⅲ - 2- 29 関連診療科
関連診療科
件数
精神科
188
呼吸器内科
33
内科
28
外科
23
整形外科 19
神経科
11
消化器科
10
循環器内科、歯科口腔外科
各7
血液内科、泌尿器科
各6
脳神経外科、婦人科
各5
リウマチ科、耳鼻咽喉科
各4
呼吸器外科
3
形成外科、心療内科、リハビリテーション科、放射線科
各2
心臓血管外科、ペインクリニック、皮膚科、肛門科、産婦人科、不明
各1
その他
34
※関連診療科は複数回答が可能である。
⑥患者の状況
1)患者の性別
患者の性別は、男性が208件(57.
3%)
、女性が155件(46.
7%)であった。なお、
医療機関における発生に限らない統計である内閣府自殺対策推進室や警察庁による「平成26年中
における自殺の状況」5)では男性が17, 386人(68.
4%)、女性が8, 041人(31.6%)
であり男性が多い。これらの結果を比較すると、本事業で報告された事例は男女差が小さい(図
表Ⅲ - 2- 30)。
図表Ⅲ - 2- 30 患者の性別
患者の性別
件数
男
208
女
155
合 計
363
- 144 -
2 個別のテーマの検討状況
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年 1 月∼ 3 月)
2)患者の年齢
患者の年齢は、70∼79歳が最も多く71件(19.6%)、次いで60∼69歳が69件
(19.0%)
、50∼59歳が59件(16.3%)、40∼49歳が54件(14.9%)
、30
∼39歳が43件(11.8%)であった。なお、医療機関における発生に限らない統計である
内閣府自殺対策推進室による「平成26年中における自殺の状況」5)では60∼69歳が最も
多く4, 325人(17.0%)
、次いで40∼49歳が4, 234人(16.7%)
、50∼59歳
が4, 181人(16.4%)、70∼79歳が3, 508人(13.8%)であった。比較すると
本事業で報告された事例は60歳以上の割合が多かった(図表Ⅲ - 2- 31)
。
図表Ⅲ - 2- 31 患者の年齢
䠄௳ᩘ䠅
80
69
70
Ⅲ
71
59
60
54
50
43
40
34
27
30
20
2
㻝㻡ṓ
௨ୗ
㻝㻢ṓ
㻞㻜ṓ
哎
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哎
㻠㻜ṓ
哎
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哎
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哎
㻣㻜ṓ
哎
㻤㻜ṓ
㻝㻥ṓ
㻞㻥ṓ
㻟㻥ṓ
㻠㻥ṓ
㻡㻥ṓ
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㻣㻥ṓ
㻤㻥ṓ
1
0
哎
㻤㻜ṓ
௨ୖ
3)患者の直前の状況
患者の直前の状況は、精神障害が最も多く188件、次いで上肢障害が73件、下肢障害が
66件であった。精神障害だけでなく身体的な機能の障害がある状況下の自殺や自殺企図が生じ
たことが推測できる(図表Ⅲ - 2- 32)
。
- 145 -
院内での自殺及び自殺企図に関する事例
3
哎
10
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
3-〔1〕
3-〔2〕
3-〔3〕
3-〔4〕
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年 1 月∼ 3 月)
図表Ⅲ - 2- 32 患者の直前の状況
患者の直前の状況
件数
精神障害
188
上肢障害
73
下肢障害
66
薬剤の影響下
33
歩行障害
24
床上安静
20
睡眠中
14
構音障害
9
認知症・健忘
9
聴覚障害
5
意識障害
3
視覚障害
2
麻酔中・麻酔前後
0
その他
80
※患者の直前の状況は複数回答が可能である。
(2)医療機関にあるモノに関連した患者の自殺又は自殺企図
自殺や自殺企図の際は、コード類など医療を提供するために整備されている様々な物品が使用される
ことがある。そのため、自殺又は自殺企図の手段となるモノに対する管理は重要である。2010年
1月1日から本報告書分析対象期間(2015年1月1日∼3月31日)までの自殺又は自殺企図の
事例363件のうち、医療材料等を含め、医療機関のモノに関連した事例は39件であった。本報告
書では、この39件について分析した。
①事例の内容
自殺又は自殺企図の内容と、関連したモノについて整理をした(図表Ⅲ - 2- 33、図表Ⅲ - 2- 34)
。
事例の内容では、縊首が最も多く、35件であった。関連するものも、酸素チューブ、医療機器
の電源コード、ナースコールなど「ひも」としての使用に代替できるものが多く報告されていた。
図表Ⅲ - 2- 33 事例の内容
事例の内容
件数
縊首
35
異食
1
切創
1
その他
2
合 計
39
- 146 -
2 個別のテーマの検討状況
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年 1 月∼ 3 月)
図表Ⅲ - 2- 34 関連したモノ
関連したモノ
件数
医療材料・医療機器
14
酸素チューブ
5
医療機器の電源コード
(輸液ポンプ、ネブライザー)
3
弾性ストッキング
3
心電図モニタのコード
1
点滴の針
1
ハイガーゼ
1
医療材料・医療機器以外
26
ナースコール
14
ベッドの電源コード・手元スイッチのコード
4
ベッド柵
2
ポットの電源コード
1
赤外線センサーのコード
1
安全帯のマグネット
1
延長コード
1
離床センサーの紐
1
体幹拘束帯
1
合 計
Ⅲ
40
※1つの事例に複数のモノの報告もある。
②事例の概要
自殺又は自殺企図の事例のうち医療材料などを含め、医療機関のモノに関連した主な事例の概要を
図表Ⅲ - 2- 35に示す。
図表Ⅲ - 2- 35 主な事例の概要
No.
1
関連した
モノ
心電図
モニタ
コード
・
酸素
チューブ
事故の内容
背景・要因
看護師が定期巡視したところ、患者が布
団を頭まで被っていた。布団を外してみ
たら、心電図モニタコードと酸素投与の
チューブを頸部に巻きつけ、ボタン状の気
管切開保持チューブは抜けていた。意識
は清明であり、患者自身でチューブを巻
きつけたことを自覚しており、自殺を図っ
たとのことだった。
改善策
舌癌の病状が進行していると説 ・ ストレスや不安を溜め込み
明を受け精神的に不安定な状態 やすい患者は、精神科への
であったが、患者の様子から自 受診、精神看護専門看護師
殺企図に至ることは予測できな の介入の体制を整える。
かった。
・ 病室内に鋭利なものやひも
状のものなど自殺企図を誘
発させるようなものは置か
ない。
・ 酸素投与の必要性を検討す
る。
・ 患者本人の精神状態の安定
と安全の確保のために家族
にできるだけ付き添っても
らえるよう協力を依頼する。
- 147 -
院内での自殺及び自殺企図に関する事例
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
3-〔1〕
3-〔2〕
3-〔3〕
3-〔4〕
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
No.
2
関連した
モノ
弾性
ストッ
キング
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年 1 月∼ 3 月)
事故の内容
背景・要因
患者は、入院3日前から、通常実施してい
るインスリン注射を打たず、糖尿病性ケト
アシドーシスで緊急入院となった。患者は
事故当日の朝から、食事拒否や拒薬を認
め、終日処置室にベッドを移動してすごし
ていた。午後になり、頭までタオルケット
で覆っており、声をかけても反応がないた
め、看護師がタオルケットを取ると、頚部
に下肢に装着していた弾性ストッキング
を結びつけていた。呼名反応はないが、バ
イタルサインは問題なく、すぐに担当医、
精神科医師を呼んだ。診察の途中から徐々
に会話できるようになり、患者は亡くなっ
た父から「もういっていいよ。」という声
が聞こえたと話をした。頭部MRI検査で
異常はなかった。精神科治療を優先したほ
うがよいということとなり、同日精神科専
門病院へ転院となった。
ベッドがギャッジアップされ、患者の首に
輸液ポンプの電源コードがテンションの
かかった状態で巻き付いており、コードの
コンセント側がコンセント挿入口につな
がれ、ポンプ側が頭側ベッド柵に縛り付け
られていた状態で発見された。
3
輸液
ポンプ
の電源
コード
改善策
弾性ストッキングによる自殺企 ・ 同様の患者には、希死念慮
図が発生するということを誰も
の有無について確認をする。
予測していなかった。患者が過 ・ 発作的に自殺企図が発生す
去にも自殺企図があったという
る患者の傾向など、勉強会
情報を、家族から得ていなかっ
を開催する。
た。
・ 精神科医師を含め、チーム
で患者情報交換を密に行う。
患者は急性骨髄性白血病であ ・ 改めて医療安全マニュアル
り、造血幹細胞移植後GVHD 「入院患者自殺防止対策」の
(肺炎)で入院していた。患者
周知徹底を図る。
は、感情や思っていることを表 ・ 特に、「患者に自殺の兆候を
出するタイプではなかった。今
少しでも感じた場合は、関
回の入院では、呼吸困難や筋力
係スタッフ間で共有すると
低下が出現しており、現在の病
ともに、専門部署やそのス
状、治癒の可能性、今後の入院
タッフに相談や対応(診療
期間等を心配するような発言が
を含む)を依頼すること」
あった。患者の心の状態を心配
について、関係会議等のあ
した家族より、当院での精神ケ
らゆる機会を通じて、医療
アを頼まれた。患者に当院精神
スタッフに対して周知を図
科の受診を勧めたが、
拒否され、 る。
注意深く経過を観察している状
況であった。治療の長期化に伴
い、診療費用を心配するような
発言があった。これまで院内に
おいて、患者の自殺企図や自殺
念慮はなかった。
EMR、ESD 施行。2:20、赤外線セ
ンサーが反応したためトイレ付き添い歩行
し、その後入眠される。3:40、同室者
のオムツ交換時に、ベッド上で入眠してい
るのを確認する。4:00、担当看護師が
巡視のため訪室すると、赤外線センサーの
コードを抜き、ベッド柵に巻きつけ、それ
赤外線
に首をかけて床に座りこんでいるところを
センサー
発見する。すぐに首に巻き付いているコー
4
の
ドを外し、本人の名前を呼ぶと注視あり。
コード 「動けますか」と声をかけると、自分で立
ち上がろうとしたので介助して、ベッドに
臥床してもらった。BP 149/80
mmHg SpO2 94% 対光反射あ
り。瞳孔R/ L 2.0 mm左右差なし。
「わ
かりますか」と呼びかけると、
「わかる」
と返答あり。
食道がんはESD後の経過に問 ・ 家族・本人からの情報で対
題なく、確認のため内視鏡する
応せずに前医から複数の内
も異常なし。入院時に抗不安薬
服薬が処方されている時は
や眠剤が持参薬にあり、脳梗塞
前医へ照会をする。
の既往はあるが、
麻痺等はない。
本人からも妻からも精神疾患の
既往等について確認したが、特
にないと話された。当院精神科
の診察後、前医に診療情報提供
書を求めたところ、精神疾患が
あることが判明する。
- 148 -
2 個別のテーマの検討状況
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年 1 月∼ 3 月)
No.
5
ナース
コール
ナース
コール
事故の内容
背景・要因
改善策
患者は、全身性エリテマトーデス、ループ
ス腎炎、菌血症から慢性腎不全のため透
析導入となり、入院期間が長期化してい
た。発熱があり、ブラッドアクセスカテー
テルによるカテーテル感染が疑われ入れ
替えとなった。その後も検査がいくつか
行われた。翌日には気管支鏡と胸腔穿刺
の予定となっていた。19時頃、担当看
護師が訪室した際、患者はテレビ台にのっ
ている鏡をとって欲しいと言われた。鏡を
渡すと、顔や首を見ていたが、担当看護
師はカテーテルの入れ替えで汚れている
のが気になっているのかと思った。その
後、2時間おきに病室を訪室したが、特に
変わった様子はなかった。1時20分頃、
担当看護師が訪室すると覚醒されており、
看護師が眠れないか質問すると「眠れな
い」と返答された。睡眠剤の使用を提案し
たが、不要ということであった。その時
の表情は普段と大きくは変わらなかった。
2時頃訪室した際も覚醒されている様子
であったが、声はかけずに退室した。2時
40分頃ナースコールが鳴ったため訪室
すると、患者はナースコールのコードを頸
に巻き付けて、ベッドをギャッジアップし
た状態で頸をつっていた。ナースコール
は何かにあたり鳴った様子であった。ベッ
ドをフラットに戻し、ナースコールのコー
ドを解こうとしたが、コードは2回ほど巻
き付けてありほどきにくい状態であった。
患者は、顔面鬱血状態で白目をむいてお
り、呼吸停止、頸動脈の触知はできなかっ
た。院内緊急コールを行い、CPRを開始。
バッグバルブマスクで換気した時点で、自
発呼吸を認め、意識も回復した。
患者は、長期入院の状態で、病 ・ 長期入院患者への精神的ケ
アの必要性を検討し、リエ
状の改善が思わしくなく、慢性
ゾンナースなどの介入を積
腎不全による透析導入となっ
極的に行う。
た。医師からは、病状の改善傾
向について説明されていたが、 ・ 不眠などの症状が継続する
場合は、精神科の受診など
本人は自宅から離れ長期入院に
を積極的に行う。
なり、家族も含め親しい人たち
と会うことができないことや、 ・ 不眠や抑うつ状態を認めた
場合は、自殺リスクのアセ
携帯電話での連絡ができないこ
となどで落ち込んでいた。
また、 スメントを行う。
不眠も持続しており、心身とも ・ 患者にとって、少しでも良
いニュースを伝えるように
に疲労した状態であった。ま
する。
た、患者は入院時より口数が少
なく、医療者は抑うつ状態など ・ 患者の気分転換活動を病状
に応じて行う。今回は、個
に気づくことができなかった。
室から4床病室への転室を
検討している時であったの
で、3日後に4床病室の窓
際へ転室を行った。
18:00担当看護師が訪室すると、患者
がナースコールのコードを首に1周巻き
つけ、右手で引っ張っているのを発見し
た。すぐにコードを外すが落ち着かず感情
失禁あり。一度退室し5分後に患者のもと
へ行くと、再び首にコードを巻きつけて
いた。患者は、
「死ぬの怖い」
「どうせ死ぬ、
死にたい。」などを訴え、落ち着かないの
で母親に連絡し、来院を依頼した。
患者は1年半前からベッド上の ・ ナースコールは患者に必要
な伝達手段のため柵に固定
生活をしている。精神的に不安
し、患者が押せるようにし
定で、主治医へ相談しソラナッ
た。
クスを内服していた。看護師は
記録やカンファレンスで患者の ・ ナ ー ス コ ー ル の コ ー ド は
マットレスの下を通し、音
精神状態の変化を把握していた
楽プレーヤー等のコード類
が、自殺企図をおこす程の思い
も、床頭台の下に置くなど
を抱えていることに気付いてい
の対応をした。
なかった。もともと聴覚障害や
構音障害があり手話や文字盤を ・ コード類などベッド周辺の
整理整頓を行い、危険物に
併用してのコミュニケーション
なるような物を側に置かな
が必要であった。
いようにした。
・ コミュニケーションについ
ては、手話の活用と文字盤
の使用、その他活用出来る
ものを検討し、思いをくみ
取るよう対応し、患者や家
族の思いを捉え対応してい
けるようにしていきたいと
考えている。
Ⅲ
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
3-〔1〕
3-〔2〕
3-〔3〕
3-〔4〕
- 149 -
院内での自殺及び自殺企図に関する事例
6
関連した
モノ
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
No.
7
関連した
モノ
延長
コード
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年 1 月∼ 3 月)
事故の内容
背景・要因
肝切除・横行結腸切除術予定であったが、
根治術ができず総胆管胃吻合術となった。
手術翌日に、患者は医師から手術の所見と
手術術式について説明をうけ、非常に落ち
込んだ様子であった。術後の経過は特に問
題なく、患者の発言などにも特に変わった
様子はなかった。術後7日目、17時頃、
患者は付き添っていた家族に買い物を頼
み、家族が買い物から帰室した時にはトイ
レに入っていた(患者の病室は個室でトイ
レも個室内にあった)
。家族はしばらく待っ
ていたが、トイレから物音がせず、呼びか
けても返答がないため不審に思い、トイレ
の磨りガラスの窓をみるとコードが透けて
見えたためトイレのドアをあけたところ、
患者がドアと共に倒れた。家族は大声で助
けを呼び、看護師が駆けつけたところ心肺
停止の状態であった。患者は、トイレ内の
上部棚にテーブルタップ(輸液ポンプに使
用していた)をひっかけ、便座に座った状
態でテーブルタップコードを頸に巻き、体
重を後ろにかけた様であった。
改善策
患者は根治手術が行えなかった ・ リスクアセスメントを行う。
説明を聞いた時、医師に「いっ (患者安全推進ジャーナルに
そのこと安楽死させてほしい」 掲載されている「チェック
リスト」を使用している。)
と発言しており、その情報は看
どのような場合に、どのよ
護師も共有していた。術後家族
うな時期にアセスメントを
の付添いもあり、離床がすす
行うべきかを検討する必要
み、食事が開始になる経過で
がある。
は、精神的に安定しているよう
に見受けられ、医師も精神科へ ・ 院内のホットスポットを再
確認し、職員に周知する。
のコンサルトなどは検討してい
なかった。事故発生後振り返っ ・ 患者の精神面の情報共有を
行うとともに、患者へ気が
てみると、今回の自殺企図は突
かりを伝える。
発的でなく、家族を意図的に買
い物に行かせるなど計画的で
あったことが考えられる。説明
直後の患者の発言に対する気が
かりを継続できていなかったこ
と、回復期にエネルギーがでる
こと、医療者のよくなったとい
う認識と患者の思いの齟齬など
が要因と考えられる。
③背景・要因
医療機関にあるモノに関連した事例39件のうち、背景・要因にモノの管理について、記述があった
のは7件であった。主な背景・要因について図表Ⅲ - 2- 36に示す。安全対策としてコード類の除去を
行っていても、ナースコールを患者の手元から離すことは困難である現状が伺われた。無線の呼び出し
ボタン機能のあるナースコールを導入することなど、医療機関全体で患者の自殺予防対策を検討するこ
とは重要である。
図表Ⅲ - 2- 36 医療機関にあるモノに関連した事例の主な背景・要因
主な背景・要因
○安全対策を取っていたが、十分ではなかった
・ナースコールは短いものにし、ベッドコントローラーやコード類は除去していた。
・ 想定できる危険物は排除していたが、患者が唯一コミュニケーションを取る手段としてナースコール
は使用していた。
・ 給湯用に電気ポットを看護師詰所前に設置していた。ポットのコードは取り外しができるため、コン
セントは看護師詰所内のタップに差し込み、詰所のドア(常時施錠)で挟み、抜けないようにしていたが、
コードを抜き取った。
○自殺や自殺企図を予測していなかった
・ 患者は活動性に乏しく、行動化もみられなかったため、ナースコールを短くするなど、患者が自殺企図
に至らないような環境の整備を行っていなかった。
・弾性ストッキングによる自殺企図が発生するということを誰も予測していなかった。
・ 労作時呼吸困難があり酸素を要した。それでもトイレでの排泄を希望され、酸素チューブに延長チューブを
接続し移動していた。
・ 体幹拘束帯を使用していた患者の拘束を外したまま離れた際に、拘束のマグネットを飲み込むと予測
していなかった。
- 150 -
2 個別のテーマの検討状況
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年 1 月∼ 3 月)
また39件の事例のうち、
「患者の様子から予測できなかった」
「予兆するような状況はなかった」と
記載されているものは25件と多かった。患者の様子や周囲の状況から自殺行動や自殺念慮を予測する
ことは必ずしも容易ではないと考えられる。しかし医療者が予測できなかった事例の背景・要因を振り
返り、自殺及び自殺企図を防止する対策を検討することは有用である。そこで、医療機関が患者の自殺
念慮等を予測していなかった事例の主な背景・要因の概要を図表Ⅲ - 2- 37に示す。
1)患者側
ア 直前の状況
直前の患者の状況では、毎日睡眠剤を内服しているのに、その日は内服しなかったことなどが挙げ
られた。患者や周囲の状況の変化が自殺行動や自殺念慮のきっかけになる可能性があることを認識
しておくことが重要である。
イ 病状の進行
病状の進行では、病状が改善しないことや痛みといった身体的苦痛とともに期待する転帰が望め
ないといった精神的苦痛が挙げられた。患者の痛みを軽減したり、良い睡眠を得られるように薬剤
Ⅲ
等を使用したり、入浴や清拭などを通して安心が得られる時間を過ごせるよう支援することも重要で
ある。
ウ 患者の不安や心情
患者の不安や心情では、親しい人に会えないことや経済的な心配等、具体的な不安が挙げられた。
具体的な不安については、問題が解決できるようあるいは軽減できるよう、社会資源を使って支援
することが重要である。
2)医療者側
いて判断が難しかったことが挙げられており、アセスメントシートを使用したり、複数の医療者で協力
して患者の状況を評価することの重要性が示唆された。
- 151 -
院内での自殺及び自殺企図に関する事例
医療者側では、患者や家族から適切な情報が得られなかったことが挙げられた。また、自殺念慮につ
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
3-〔1〕
3-〔2〕
3-〔3〕
3-〔4〕
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年 1 月∼ 3 月)
図表Ⅲ - 2- 37 患者の様子から予測されなかった主な背景・要因
主な背景・要因
【患者側】
○直前の状況
・ 同日の夜間より麻薬による副作用と思われる一過性のせん妄が出現したため、ラウンドの強化や部屋
の移動などを行っていた。
・ 毎日リスミーを内服して入眠しているのに、当日は服用していない理由をアセスメント出来ず、危険
予知が出来なかった。
○病状の進行
・病状が進行していると説明を受け精神的に不安定な状態であった。
・ 今回の入院では、呼吸困難や筋力低下が出現しており、現在の病状、治癒の可能性、今後の入院期間
等を心配するような発言があった。
・ステロイドの長期投与が必要であったが、入院の経過に伴いせん妄が悪化傾向であった。
・患者は、長期入院の状態で、病状の改善が思わしくなく、慢性腎不全による透析導入となった。
・ 患者は根治手術が行えなかった説明を聞いた時、医師に「安楽死させてほしい」と発言したが、その後、
精神的に安定しているように見受け、医師は精神科へのコンサルトなどは検討していなかった。
・診察では人工呼吸器を装着するか否かの判断を求められていたが患者は拒否的であった。
・ 激しい腹痛を訴えていたが、痛みの原因となるものは見られず、以前にも「自分は辛いのにみんなが
大丈夫という」との言葉があったため、腹痛が引き金になった可能性がある。
○患者の不安や心情
・ 患者は入院をすることに、
「元気なのになぜ入院するのか。
」
と拒否感があった。
主治医からの治療説明は、
患者と家族に度々行われており、患者は説明を理解しても気持ちは納得出来ない状態であった。
・ 患者に当院精神科の受診を勧めたが、患者本人に拒否され、注意深く経過を観察している状況であった。
・ 患者は自宅から離れ長期入院になり、家族も含め親しい人たちと会うことができないことや携帯電話
での連絡ができないことなどで落ち込んでいた。
・患者は不眠が持続しており、心身ともに疲労した状態であった。
・治療の長期化に伴い、診療費用を心配するような発言があった。
【医療者側】
○情報
・ 本人からも妻からも精神疾患の既往等の確認をしたが、特にないと話された。当院精神科の診察後、
前医に診療情報提供書を求めたところ、精神疾患があることが判明した。
・患者が過去にも自殺企図があったという情報を、家族から得ていなかった。
・経済的なことや今後の仕事などについて情報収集と関わりが出来ていなかった。
・家族から精神科受診を勧めていたが、患者が強く拒否していたことが後に判明した。
○その他
・摂食障害の治療で入院のため、希死念慮があると判断していなかった。
・説明直後の患者の発言に対する気がかりを継続できていなかった。
・回復期にエネルギーがでてよくなったという医療者の認識と、患者の思いに齟齬があった。
④改善策
医療機関にあるモノに関連した事例の39件の事例の中から主な改善策を整理して以下に示す。
患者の様子の変化の有無に関わらず、日常から病室内に危険物を置かない、使用していないコード
やチューブ類は速やかに片付ける、医療機関のホットスポット(事例が多発する地点)について検討
する、など日常からできることを実践することも重要である。
- 152 -
2 個別のテーマの検討状況
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年 1 月∼ 3 月)
1)環境整備
○病室内に鋭利なものやひも状のものなど自殺企図を誘発させるようなものは置かない。
○使用目的が終了した時点でチューブ類は速やかに外す。
○コード類などベッド周辺の整理整頓を行い、危険物になるような物を側に置かない。
○環境整備を行い、不必要なものは患者の側に置かないようにする。
○ ホットスポット(事例が多発する地点)の対策として、窓が開放制限できるような整備や、トイレ
などの荷物掛けのフックの除去を検討する。
○無線ナースコールを導入する。
○ 自殺企図のある患者に対し、ナースコールのコードを自殺に用いないように、巡視時に位置の
確認をする。
○ 事例発生後に、全ベッド対象にメーカーに確認しアース線がついているベッドについてはアース線
の撤去や収納部分の補強を行った。
Ⅲ
2)医療者の介入
○ ストレスや不安を溜め込みやすい患者は、精神科への受診や精神看護専門看護師の介入の体制
を整える。
○長期入院患者への精神的ケアの必要性を検討し、リエゾンナースなどの介入を積極的に行う。
○自殺予防マニュアル、アセスメントチェックリストの活用を行う。
○アセスメント時期について検討する。
○ 対応困難が予想される患者に対しては、医師と看護スタッフの情報交換を頻回に実施し、今ま
で不定期だったカンファレンスを医師毎に曜日を指定して、定期的に行う事で治療をすすめる。
○多職種カンファレンスによるサポートを検討する。
○家族にできるだけ付き添ってもらえるよう協力を依頼する。
○家族に情報交換と協力を依頼する。
4)教育
○発作的に自殺企図が発生する患者傾向などについて勉強会を開催する。
○医療安全マニュアル「入院患者自殺防止対策」の周知徹底を図る。
- 153 -
院内での自殺及び自殺企図に関する事例
3)家族の協力
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
3-〔1〕
3-〔2〕
3-〔3〕
3-〔4〕
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年 1 月∼ 3 月)
(3)まとめ
自殺予防は社会における重要な課題であるとともに、精神疾患や難治性疾患等の治療を行う機会があ
る医療機関においても、継続的に取り組まれている課題である。
患者の様子や周囲の状況から自殺念慮や自殺行動を予測することは困難な場合もある。しかしなが
ら報告された事例には、起きた事象を振り返ったうえで、背景・要因や改善策の記載がされており、
本報告書では、これらの情報は医療機関の自殺及び自殺企図に対する医療安全対策の検討のために
有用であると考え、個別分析テーマとして取り上げた。
その中で、患者の自殺又は自殺企図の事例の発生状況や患者の性別を分析した。また医療機関にお
ける発生に限らない統計である内閣府自殺対策推進室による「平成26年中における自殺の状況」を
参考として紹介した。
また、本報告書では、自殺又は自殺企図の事例のうち医療材料などを含め、医療機関のモノに関連
した事例の内容や関連したモノ、主な背景・要因について分析、整理した。医療者側の背景・要因では、
自殺念慮について判断が難しかったことが挙げられており、アセスメントシートを使用したり、複数の
医療者で協力して患者の状況を評価することの重要性が示唆された。
(4)参考文献
1. 内閣 府 . 自殺 総 合 対 策 大 綱 . 2007年.
(Online)
.available from < http://www8.cao.go.jp/
jisatsutaisaku/sougou/taisaku/sakutei.html >(last accessed 2015-5-15).
2.公益社団法人日本医師会編集.自殺予防マニュアル【第3版】. 明石書店 . 2014年.
3. 公益財団法人日本医療機能評価機構 認定病院患者安全推進協議会.提言 病院内における自殺
予防 . 2007年.
(Online)
.available from < https://www.psp.jcqhc.or.jp/readfile.php?path=/
statics/teigen/teigen200704170313913.pdf >(last accessed 2015-5-14).
4. 公益財団法人日本医療機能評価機構 認定病院患者安全推進協議会.病院内の自殺対策のすす
め方 . 患者安全推進ジャーナル別冊.2011年.
5. 内閣府.平成26年中における自殺の状況.
(Online)
.available from < http://www8.cao.go.jp/
jisatsutaisaku/toukei/h26.html >(last accessed 2015-4-14).
- 154 -
3 再発・類似事例の発生状況
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年 1 月∼ 3 月)
3 再発・類似事例の発生状況
本事業では、第3∼17回報告書において「共有すべき医療事故情報」として、医療事故事例を
分析班等で個別に検討し、広く共有すべきであると考えられた事例の概要を公表してきた。また、
第1回∼本報告書において「個別のテーマの検討状況」として、分析対象となるテーマを設定し、
そのテーマに関連する事例をまとめて分析、検討を行っている。
さらに、
「共有すべき医療事故情報」や「個別のテーマの検討状況」として取り上げた後も同様の
事例が報告されているものについては、特に周知すべき情報を提供するため「医療安全情報」として
公表している。
ここでは、
「共有すべき医療事故情報」
、
「個別のテーマの検討状況」や「医療安全情報」として取り
上げた再発・類似事例の発生状況について取りまとめた。
Ⅲ
【1】 概況
これまでに取り上げた「共有すべき医療事故情報」と「個別のテーマの検討状況」の再発・類似事例
の件数について、図表Ⅲ - 3- 1にまとめた。
本報告書分析対象期間(2015年1月1日∼3月31日)に報告された「共有すべき医療事故情報」
の再発・類似事例の内容は28であり、事例数は76件であった。このうち、類似事例が複数報告さ
れたものは、「施設管理の事例」が8件、
「熱傷に関する事例(療養上の世話以外)
」が7件、
「小児へ
の薬剤倍量間違いの事例」
、
「ベッドなど患者の療養生活で使用されている用具に関連した事例」、「病
理検体に関連した事例」がそれぞれ5件、「注射器に準備された薬剤の取り違えの事例(名前の記載
あり)」、「ベッドからベッドへの患者移動に関連した事例」、「ベッドのサイドレールや手すりに関連
わかっている薬剤を投与した事例」、「口頭での情報伝達の間違いが生じた事例」、「体内にガーゼが残
存した事例」がそれぞれ3件、
「薬剤の名称が類似していることにより、取り違えた事例」
、「抗リウ
マチ剤(メトトレキサート)を過剰投与した事例」、「左右を取り違えた事例」、「伝達されなかった指
示変更」、「三方活栓使用時の閉塞や接続はずれ等に関する事例」、「食物アレルギーに関連した事例」
がそれぞれ2件であった。
また、本報告書分析対象期間に報告された「個別テーマの検討状況」の再発・類似事例のテーマは
14であり、事例数は34件であった。このうち類似事例が複数報告されたものは、
「凝固機能の管理
にワーファリンカリウムを使用していた患者の梗塞及び出血の事例」、「薬剤内服の際、誤ってPTP
包装を飲んだ事例」、「画像診断報告書の内容が伝達されなかった事例」がそれぞれ5件、「事務職員
の業務における医療安全や情報管理に関する事例」が4件、「予防接種ワクチンの管理に関する医療
事故」が3件、
「救急カートに準備された薬剤の間違い」
、「膀胱留置カテーテル挿入の際、尿流出を
確認せずにバルーンを膨らませ尿道損傷を起こした事例」、「気管切開チューブが皮下や縦隔へ迷入し
た事例」がそれぞれ2件であった。
- 155 -
概況
した事例」がそれぞれ4件、「『療養上の世話』において熱傷をきたした事例」、「アレルギーの既往が
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
3-〔1〕
3-〔2〕
3-〔3〕
3-〔4〕
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年 1 月∼ 3 月)
図表Ⅲ - 3- 1 2015年1月から3月に報告された「共有すべき医療事故情報」や
「個別のテーマの検討状況」の再発・類似事例
内容
件数
掲載報告書(公表年月)
共有すべき医療事故情報
薬剤の名称が類似していることにより、取り違えた事例
2
第 3 回 (2005 年 10 月)
ガベキサートメシル酸塩を投与する際、輸液が血管外に漏出した事例
1
第 3 回 (2005 年 10 月)
抗リウマチ剤(メトトレキサート)を過剰投与した事例
2
第 3 回 (2005 年 10 月)
グリセリン浣腸に伴い直腸穿孔などをきたした事例
1
第 3 回 (2005 年 10 月)
3
第 5 回 (2006 年 6 月)
製剤の総量と有効成分の量の間違い
1
第 8 回 (2007 年 2 月)
左右を取り違えた事例
2
第 8 回 (2007 年 2 月)
小児の輸液の血管外漏出
1
第 8 回 (2007 年 2 月)
外形の類似による薬剤間違いの事例
1
第 9 回 (2007 年 6 月)
輸血療法施行時に患者を誤った事例
1
第 9 回 (2007 年 6 月)
熱傷に関する事例(療養上の世話以外)
7
第 9 回 (2007 年 6 月)
患者搬送中の接触の事例
1
第 9 回 (2007 年 6 月)
注射器に準備された薬剤の取り違えの事例(名前の記載あり)
4
第 10 回(2007 年 9 月)
小児への薬剤倍量間違いの事例
5
第 10 回(2007 年 9 月)
伝達されなかった指示変更
2
第 10 回(2007 年 9 月)
投与目的とは異なる場所へ輸液等を投与した事例
1
第 10 回(2007 年 9 月)
化学療法において腫瘍用薬を非投与日に投与した事例
1
第 11 回(2007 年 12 月)
三方活栓使用時の閉塞や接続はずれ等に関する事例
2
第 11 回(2007 年 12 月)
ベッドなど患者の療養生活で使用されている用具に関連した事例
5
第 11 回(2007 年 12 月)
施設管理の事例
8
第 11 回(2007 年 12 月)
アレルギーの既往がわかっている薬剤を投与した事例
3
第 12 回(2008 年 3 月)
ベッドからベッドへの患者移動に関連した事例
4
第 13 回(2008 年 6 月)
ベッドのサイドレールや手すりに関連した事例
4
第 13 回(2008 年 6 月)
口頭での情報伝達の間違いが生じた事例
3
第 13 回(2008 年 6 月)
体内にガーゼが残存した事例
3
第 14 回(2008 年 9 月)
病理検体に関連した事例
5
第 15 回(2008 年 12 月)
歯科診療の際の部位間違いに関連した事例
1
第 15 回(2008 年 12 月)
食物アレルギーに関連した事例
2
第 15 回(2008 年 12 月)
「療養上の世話」において熱傷をきたした事例
- 156 -
3 再発・類似事例の発生状況
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年 1 月∼ 3 月)
内容
件数
掲載報告書(公表年月)
個別のテーマの検討状況
生殖補助医療に関連した事例
1
第 19 回(2009 年 12 月)
凝固機能の管理にワーファリンカリウムを使用していた患者の梗塞及び
出血の事例
5
第 20 回(2010 年 3 月)
皮下用ポート及びカテーテルの断裂に関連した医療事故
1
第 21 回(2010 年 6 月)
救急カートに準備された薬剤の間違い
2
第 22 回(2010 年 9 月)
薬剤内服の際、誤ってPTP包装を飲んだ事例
5
第 23 回(2010 年 12 月)
予防接種ワクチンの管理に関する医療事故
3
第 23 回(2010 年 12 月)
散剤の薬剤量間違い
1
第 24 回(2011 年 3 月)
画像診断報告書の内容が伝達されなかった事例
5
第 26 回(2011 年 9 月)
医薬品添付文書上【禁忌】の疾患や症状の患者へ薬剤を投与した事例
1
第 29 回(2012 年 6 月)
膀胱留置カテーテル挿入の際、尿流出を確認せずにバルーンを膨らませ
尿道損傷を起こした事例
2
第 31 回(2012 年 12 月)
はさみを使用した際、誤って患者の皮膚や医療材料等を傷つけた事例
1
第 36 回(2014 年 3 月)
気管切開チューブが皮下や縦隔へ迷入した事例
2
第 37 回(2014 年 6 月)
事務職員の業務における医療安全や情報管理に関する事例
4
第 37 回(2014 年 3 月)
内視鏡の洗浄・消毒に関連した事例
1
第 39 回(2014 年 12 月)
次に、これまでに取り上げた「医療安全情報」の再発・類似事例の件数について、図表Ⅲ - 3- 2
にまとめた。本報告書分析対象期間に報告された「医療安全情報」の再発・類似事例の内容は33
であり事例数は58件であった。このうち、類似事例が複数報告されたものは、
「PTPシートの誤
「口頭指示による薬剤量間違い」、「体位変換時の気管・気管切開チューブの偶発的な抜去」、「画像診
断報告書の確認不足」
、「移動時のドレーン・チューブ類の偶発的な抜去」がそれぞれ3件、
「抗リウ
マチ剤(メトトレキサート)の過剰投与に伴う骨髄抑制および抗リウマチ剤(メトトレキサート)の
過剰投与に伴う骨髄抑制(第2報)
」、「薬剤の取り違えおよび薬剤の取り違え(第2報)
」、「輸液ポン
プ等の流量の確認忘れ」、「湯たんぽ使用時の熱傷」、「伝達されなかった指示変更」、「処方入力の際の
単位間違い」、「アレルギーの既往がわかっている薬剤の投与」、「救急カートに配置された薬剤の取り
違え」、
「病理診断報告書の確認忘れ」、
「膀胱留置カテーテルによる尿道損傷」がそれぞれ2件であった。
- 157 -
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
3-〔1〕
3-〔2〕
3-〔3〕
3-〔4〕
概況
飲およびPTPシートの誤飲(第2報)」が5件、「注射器に準備された薬剤の取り違え」が4件、
Ⅲ
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年 1 月∼ 3 月)
図表Ⅲ - 3- 2 2015年1月から3月に報告された「医療安全情報」の再発・類似事例
No.
内容
件数
公表月
No.2
No.45
抗リウマチ剤(メトトレキサート)の過剰投与に伴う骨髄抑制
抗リウマチ剤(メトトレキサート)の過剰投与に伴う骨髄抑制(第2報)
2
2007 年 1 月
2010 年 8 月
No.4
No.68
薬剤の取り違え
薬剤の取り違え(第2報)
2
2007 年 3 月
2012 年 7 月
No.7
小児の輸液の血管外漏出
1
2007 年 6 月
No.9
製剤の総量と有効成分の量の間違い
1
2007 年 8 月
No.11
誤った患者への輸血
1
2007 年 10 月
No.12
患者搬送中の接触
1
2007 年 11 月
No.13
輸液ポンプ等の流量の確認忘れ
2
2007 年 12 月
No.14
間違ったカテーテル・ドレーンへの接続
1
2008 年 1 月
No.15
注射器に準備された薬剤の取り違え
4
2008 年 2 月
No.17
湯たんぽ使用時の熱傷
2
2008 年 4 月
No.20
伝達されなかった指示変更
2
2008 年 7 月
No.22
化学療法の治療計画の処方間違い
1
2008 年 9 月
No.23
処方入力の際の単位間違い
2
2008 年 10 月
No.27
口頭指示による薬剤量間違い
3
2009 年 2 月
No.29
小児への薬剤 10 倍量間違い
1
2009 年 4 月
No.30
アレルギーの既往がわかっている薬剤の投与
2
2009 年 5 月
No.33
No.77
ガベキサートメシル酸塩使用時の血管外漏出
ガベキサートメシル酸塩使用時の血管炎(第2報)
1
No.47
抜歯部位の取り違え
1
2010 年 10 月
No.51
ワルファリンカリウムの内服状況や凝固機能の把握不足
1
2011 年 2 月
No.54
体位変換時の気管・気管切開チューブの偶発的な抜去
3
2011 年 5 月
No.57
No.82
PTPシートの誤飲
PTPシートの誤飲(第 2 報)
5
No.58
皮下用ポート及びカテーテルの断裂
1
2011 年 9 月
No.59
電気メスペンシルの誤った取り扱いによる熱傷
1
2011 年 10 月
No.60
有効期間が過ぎた予防接種ワクチンの接種
1
2011 年 11 月
No.63
画像診断報告書の確認不足
3
2012 年 2 月
No.65
救急カートに配置された薬剤の取り違え
2
2012 年 4 月
No.69
アレルギーのある食物の提供
1
2012 年 8 月
No.71
病理診断報告書の確認忘れ
2
2012 年 10 月
No.78
持参薬を院内の処方に切り替える際の処方量間違い
1
2013 年 5 月
No.80
膀胱留置カテーテルによる尿道損傷
2
2013 年 7 月
No.81
ベッド操作時のサイドレール等のすき間への挟み込み
1
2013 年 8 月
No.85
移動時のドレーン・チューブ類の偶発的な抜去
3
2013 年 12 月
No.86
禁忌薬剤の投与
1
2014 年 1 月
2009 年 8 月
2013 年 4 月
2011 年 8 月
2013 年 9 月
※医療安全情報の事例件数は、共有すべき医療事故情報や、個別テーマの検討状況に計上された事例件数と重複している。
- 158 -
3 再発・類似事例の発生状況
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年 1 月∼ 3 月)
本報告書では、本報告書分析対象期間において発生した再発・類似事例のうち、医療安全情報
として取り上げた「No. 2:抗リウマチ剤(メトトレキサート)の過剰投与に伴う骨髄抑制および
No. 45:抗リウマチ剤(メトトレキサート)の過剰投与に伴う骨髄抑制(第2報)
」
、
「No. 29:小児
への薬剤10倍量間違い」、「No. 86:禁忌薬剤の投与」について事例の詳細を紹介する。
Ⅲ
概況
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
3-〔1〕
3-〔2〕
3-〔3〕
3-〔4〕
- 159 -
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年 1 月∼ 3 月)
【2】
「抗リウマチ剤(メトトレキサート)の過剰投与に伴う骨髄抑制」
(医療安全情報 No. 2 第2報 No. 45)について
(1)発生状況
医療安全情報 No. 2(2007年1月提供)では、抗リウマチ剤(メトトレキサート)の過剰投与
に伴い、骨髄抑制をきたした事例が報告されており、
「抗リウマチ剤(メトトレキサート)の過剰投与
に伴う骨髄抑制」を取り上げた(集計期間:2004年10月∼2006年9月)
。その後、第21回
報告書において、報告書分析対象期間に該当事例が報告されたことを受け、
「再発・類似事例の発生
状況」(第21回報告書116∼120頁)で取りまとめた。
また第27回報告書において、類似事例の「抗リウマチ目的の methotrexate 製剤を誤って連日投与
した事例」を個別テーマで取り上げ掲載した。
そこで本事業では、
医療安全情報 No. 45(2010年8月提供)
「抗リウマチ剤(メトトレキサート)
の過剰投与に伴う骨髄抑制(第2報)
」により、再び注意喚起を行った(医療安全情報掲載件数2件
集計期間:2006年10月∼2010年6月)。
このたび本報告書分析対象期間(2015年1月1日∼3月31日)においても類似の事例が2件
報告されたため、再び取り上げることとした。
医療安全情報 No. 45(2010年8月提供)以降に報告された「抗リウマチ剤(メトトレキサート)
の過剰投与に伴う骨髄抑制」の報告件数の推移を図表Ⅲ - 3- 3に示す。
図表Ⅲ - 3- 3 「抗リウマチ剤(メトトレキサート)の過剰投与に伴う骨髄抑制」の報告件数
2010年
2011年
2012年
2013年
2014年
2015年
1∼3月
(件)
4∼6月
(件)
7∼9月
(件)
10∼12月
(件)
合計
(件)
−
0
0
1
0
2
−
0
0
0
0
−
1
0
0
0
0
−
0
0
0
1
0
−
1
0
0
2
0
2
- 160 -
3 再発・類似事例の発生状況
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年 1 月∼ 3 月)
図表Ⅲ - 3- 4 医療安全情報 No. 2「抗リウマチ剤(メトトレキサート)の過剰投与に
伴う骨髄抑制」及び医療安全情報 No. 45「抗リウマチ剤(メトトレキサート)
の過剰投与に伴う骨髄抑制(第2報)」
Ⅲ
﹁抗リウマチ剤︵メトトレキサート︶の過剰投与に伴う骨髄抑制﹂
︵医療安全情報№ 第2報№ ︶について
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
3-〔1〕
3-〔2〕
3-〔3〕
3-〔4〕
2
45
- 161 -
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年 1 月∼ 3 月)
(2)抗リウマチ剤として使用されるメトトレキサートの製剤
2015年3月現在、抗リウマチ剤として使用されるメトトレキサートの製剤は以下のとおりである。
○トレキサメット
カプセル2mg
○メトトレキサートカプセル2mg「サワイ」
○メトトレキサートカプセル2mg「サンド」
○メトトレキサートカプセル2mg「トーワ」
○メトトレキサートカプセル2mg「マイラン」
○メトトレキサート錠2mg「タナベ」
○メトレート
錠2mg
○リウマトレックス
カプセル2mg
(3)事例概要
2010年7月から本報告書分析対象期間に報告された5件の事例概要を以下に示す。
事例1
【内容】
患者は、入院前にメトトレキサート(2mg)を週1回 朝1錠夕1錠服用していた。○日から
内服が開始になるため、医師は前医からの薬剤情報を参照し、
「メトトレキサート2mgを1日2回
(朝・夕)
」で院内処方した。薬剤師が調剤する際、メトトレキサートは週1回服用する薬剤であ
ることを医師へ疑義照会し、薬剤師が処方を変更した。
2日後、家族が持参薬を持ってきたため院内処方を中止し、持参薬再開の指示をした。看護師
は、メトトレキサートを含む他の持参薬を医薬品識別依頼書・指示書と一緒に薬剤科に提出した。
薬剤師は、持参薬の処方箋を参照し、医薬品識別依頼書・指示書に「メトトレキサート(2mg)
1日2回朝夕食後」と入力した。医師は、医薬品識別依頼書・指示書の通りに「メトトレキサート
(2mg)1日2回朝夕食後」と指示をした。
看護師は、指示のとおり、患者に7日間「メトトレキサート(2mg)1日2回朝夕食後」を
与薬した。患者は肝機能悪化と白血球減少をきたし、集中治療を行った。
【背景・要因】
・ 持参薬は、医薬品識別依頼書・指示書(紙指示)で運用されており、スキャナで取り込んで
いたが、医師が分かるように取り込めてない状態であったため、医師は患者が服用している
薬を電子カルテで把握できなかった。
・ 消化器内科の主治医は、メトトレキサートの薬効を理解していなかった。薬剤師が医師に院
内処方の疑義照会した際も、薬剤師がメトトレキサートの用量・用法の入力を変更した。
・ 薬剤師から疑義照会があったが、医薬品識別依頼書・指示書には、メトトレキサートの用量、
用法が反映されていなかった。
・ 消化器内科の医師は、メトトレキサートの薬剤の包装シートに投与日を記載していなかった。
内服日を包装シートに記載すると薬剤が返却された場合に再使用ができないため使用してい
なかった。
- 162 -
3 再発・類似事例の発生状況
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年 1 月∼ 3 月)
事例2
【内容】
関節リウマチに対して、少量ステロイドとメトトレキサート(MTX)間欠投与にてコントロー
ルしており、7ヶ月前よりメトレート錠を週6mgから7mg(日曜:2mg × 2錠分2、月曜:
2mg×1.5錠分1)に増量した。しかし、患者はMTXを飲まないと動けないと思い、患者
自身の判断で過去の飲み残し分を約5ヶ月間毎日服用していた(おそらく2mg、処方量の約2
倍)。5ヵ月後以降は食事もとれない状態となり、さらに、出血傾向を認めたため緊急入院した。
MTXの慢性中毒により骨髄抑制から血小板減少と貧血(+出血)を来したものと考えられ、同
時に感染症の合併とそれに伴うDICの合併も疑われた。
【背景・要因】
・ 患者は長年にわたりMTXを服用しており、診察時や投与量が変わる都度、医師は説明して
いたため服用方法については理解していたと考えられる。診察時に服薬方法の説明と残薬の
確認を行っていたが、きちんと申告されていなかった可能性がある。
Ⅲ
・十分にコミュニケーションの時間はとれていたと考えていたが、情報収集が不十分であった。
・ カルテをさかのぼると9年前からメトレート錠が処方されていた。空の包装を持参させて確認
していないため、経年にわたって残薬が貯まっていた可能性がある。
・ 院外処方であり、お薬手帳は持っていたので保険薬局からは適切に指導されていたと考えられ、
保険薬局から主治医に疑義照会はなかった。
・ 経過中、1年前に1度、皮膚科に入院しており、その際に院内の薬剤師が持参薬の確認は行っ
ているが、患者が持っている残薬についての確認は出来ていなかった可能性がある。
・ 入院後に患者に確認したところ、患者が自分の判断で医師の指示とは異なった方法で服用し
は不明である。
・約2ヶ月前には、医師には伝えていないが歯肉出血を自覚していたことも判明した。
・ 検査において、血小板数がやや低値を示していたため、その時点でもう少し注意をしていた
ら過剰服用に気が付いた可能性もあったかもしれない。
事例3
【内容】
﹁抗リウマチ剤︵メトトレキサート︶の過剰投与に伴う骨髄抑制﹂
︵医療安全情報№ 第2報№ ︶について
たことがわかった。また、他の人から服用についてのアドバイスがあったと聞いたが、詳細
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
3-〔1〕
3-〔2〕
3-〔3〕
3-〔4〕
2
45
患者は精神症状の加療目的で、当科に入院した。患者は慢性関節リウマチのため他院にてメソ
トレキセート2.5mgが処方されていた。薬剤師による入院時の持参薬チェックでは患者面談が
できない中でのチェックであった。入院時、診療情報提供書やお薬手帳の持参がなかったため、
前医に連絡したが、週1回の勤務医であり、診療情報提供書が遅れた。患者に内服方法を確認す
ると、
「朝1錠服用している」とのことであったので、研修医は、メソトレキセートは患者の持参
薬を継続し連日投与とした。入院後メソトレキセート2.
5mgは連日投与がなされた。
後日、診療情報提供書が送られてきたが、処方歴をよく確認しなかった。
入院13日目、看護師が休薬期間のないことに疑問をもち、医師に確認したところ、処方間違
いがわかり、12日間に渡って17.5mg / 週のメソトレキセートの過量投与を行っていたこと
に気づいた。
- 163 -
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年 1 月∼ 3 月)
【背景・要因】
・関節リウマチ治療に用いるメトトレキサート(MTX)製剤の基本的知識が欠けていた。
・指導医は研修医処方のチェックと確認サインをしたが、処方内容の確認不足があった。
・ 薬剤師は患者面談なく薬剤数のみのチェックであったことを病棟へインフォメーションする
必要性があった。
・後日他院より送付された診療情報提供書の確認を怠った。
・ 通常は、
専門科外の薬剤を処方する場合、
当院では処方医に疑義照会し、
専門科のコンサルテー
ションを行っている。
※抗リウマチ目的に腫瘍用薬メソトレキセートを処方した事例である。
事例4
【内容】
関節リウマチのためステロイドを増量し、1週間後に経過観察するため1週間の処方とした。
患者にもその旨説明した。オーダリングシステム上、ステロイド以外の内服薬を処方する際、「リ
ウマトレックスカプセル2mg分2(朝、夕)食後 週2回(木、金)○日から7日分」と本来
であれば週2日分でよいところ7日分と入力した。
患者はいつもの保険薬局で処方薬をうけとり7日間内服後再診をした。患者から7日間内服し
たと告げられ、血液検査を施行した。データ上の異常はなかったが、予防のためロイコボリンの
処方を行った。
【背景・要因】
・処方入力後の確認を怠った。
・院内での処方監査なく院外に発行されるシステムであった。
・週2日内服と入力しても1週間分入力できてしまうシステムであった。
・保険薬局の処方箋確認不足(ステロイド増量に気を取られ他の処方の確認を怠った)。
・包装シートの記載をしていない。
・薬剤師の知識が不足していた。
・患者の思い込み。
事例5
【内容】
膿疱性乾癬の悪化に対し、レミケード投与に加え、リウマトレックスの投与を開始した。処方は、
リウマトレックスカプセル2mg 3カプセル 1日2回朝夕食後(2、0、1、0)9日分
土曜日に投与であり、薬袋には、1日2回朝夕食後 9日分 1日3カプセル 朝2カプセル
夕1カプセル 及び赤字で「土曜に投与」と記載されており、薬剤師からは「医師の指示を守っ
て決められた日にだけ服用してください」との注意文書を渡されていた。
患者はリウマトレックスを1週間連日で服用した。レミケード投与のため予定入院した後、発熱性
好中球減少及び汎血球減少が認められ、この原因検索中にリウマトレックスの過剰内服がわかった。
- 164 -
3 再発・類似事例の発生状況
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年 1 月∼ 3 月)
【背景・要因】
・患者は服薬方法を正しく理解していなかった。
・ 入院時に持参薬を確認したところ、他の薬剤に関しても内服状況がバラバラであり、アドヒ
アランスが不良な患者であった。
・ 別の薬剤の薬袋に「○日から」と記載されていたため、患者は○日土曜日から毎日飲むもの
と誤解していたようであった。
(4)事例の内容
報告された事例5件のうち2件の診療科は、本来メトトレキサート製剤の処方を開始した診療科
ではなかったために、持参薬の指示を間違えた事例であった(図表Ⅲ - 3- 5)
。これらは当該患者に
メトトレキサートの処方がなされていたが、患者が他の疾患の治療のために他の診療科に入院し、当
該科の医師がメトトレキサートの処方を行った際に、メトトレキサートの薬効を理解していなかった
Ⅲ
事例、または前医の処方から休薬期間について情報収集ができなかった事例であった。メトトレキサート
の内服治療は、患者のリウマチ症状が安定している時も、長期に渡って継続されることがある。患者
が他の診療科に入院する際には、主治医がメトトレキサートの処方に熟練していない診療科の医師で
ある場合もあり、抗リウマチ剤メトトレキサートには休薬期間が必要なことをシステムでアラート表
示する等、処方する医師の注意を喚起できる仕組みの重要性が示唆された。
図表Ⅲ - 3- 5 処方を行った診療科が異なっていた事例
事例において処方した診療科
事例1
他院(科は不明)
消化器内科
事例3
他院(科は不明)
精神科
報告された事例5件について、本来投与される内容、誤った内容を図表Ⅲ - 3- 6に示す。
﹁抗リウマチ剤︵メトトレキサート︶の過剰投与に伴う骨髄抑制﹂
︵医療安全情報№ 第2報№ ︶について
本来メトトレキサートを処方していた科
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
3-〔1〕
3-〔2〕
3-〔3〕
3-〔4〕
2
図表Ⅲ - 3- 6 本来投与される内容、誤った内容
本来投与される内容
誤った内容
事例1
メトトレキサート(2mg)
週1回 朝1錠夕1錠
メトトレキサート(2mg)
連日1日2回朝1錠夕1錠
事例2
メトレート錠
週7mg(日曜:2mg×2錠分2、
月曜:2mg×1.5錠分1)
メトレート錠
連日服用(約5ヶ月間 2mg / 日)
事例3
メソトレキセート2.5mg
週1回
メソトレキセート2.5mg
連日投与
事例4
リウマトレックスカプセル2mg
分2(朝、夕)食後 週2回(木、金)
リウマトレックスカプセル2mg
分2(朝、夕)食後 7日間連日投与
事例5
リウマトレックスカプセル2mg
3カプセル 1日2回朝夕食後
土曜日
リウマトレックスカプセル2mg
3カプセル 1日2回朝夕食後
土曜日から連日投与
- 165 -
45
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年 1 月∼ 3 月)
(5)事例の主な背景・要因
報告された事例の内容から主な背景・要因を「医師の指示」
「薬剤師の疑義照会や患者面談」
「システム」
「薬剤シートの活用」
「その他」に分けて図表Ⅲ - 3- 7に整理した。
医師の指示に関する背景要因では、研修医は患者の「朝1錠服用している」と話した内容で指示を出
したことや、研修医処方のチェックと確認サインをしたが処方内容の確認不足があったことが挙げられた。
経験の少ない医師が処方する際、メトトレキサート製剤は特に注意が必要な薬剤として教育していくこと
が必要である。
薬剤師の疑義照会や患者面談に関する背景要因では、薬剤師の疑義照会がなかったこと、1度は
薬剤師の疑義照会により、メトトレキサートの連日投与が未然に防止できたにもかかわらず、その情報が
伝達されなかったことが挙げられた。メトトレキサート製剤のように過剰投与すれば患者へ重篤な影響を
及ぼす可能性があることが予測される薬剤については、院内薬剤部や保険薬局における薬剤師は、患者
情報やお薬手帳を活用し、疑義照会するなど監査の機能を十分に果たしたうえで、適切な調剤をするこ
とが重要である。
システムに関する背景要因では、電子媒体と紙媒体で情報が一元化されていなかったことが挙げられてお
り、
医療機関において複数の情報媒体がある場合、
情報をどのように管理するかを検討することは重要である。
また、薬剤シートの背景要因では、製薬業界は抗リウマチ目的として使用するメトトレキサートの薬剤
の包装シートについて、服薬日時を記載できるよう改良しているが、報告された事例では薬剤シートの投
与日が記載されていなかったことが挙げられており、活用に至っていない現状が推測される。現実的には
医師の診察・処方と実際に薬剤を患者に渡す場面は異なっており、薬剤シートの活用のためには、
「誰が」
「いつ」薬剤シートの服薬日時欄を記載するのか、具体的な取り決めを検討する必要性が示唆された。
図表Ⅲ - 3- 7 主な背景・要因
①医師の指示
○研修医は患者の「朝1錠服用している」と話した内容で指示を出した。
○処方入力後の確認を怠った。
○指導医は研修医処方のチェックと確認サインをしたが、処方内容の確認不足があった。
○入院時、患者はお薬手帳や診療情報提供書を持参しなかった。
②薬剤師の疑義照会や患者面談
○保険薬局はステロイドの増量に気を取られ、疑義照会はなかった。
○保険薬局からの疑義照会はなかった。
○薬剤師は患者面談せず、薬剤数のみのチェックであった。
○ 持参薬が開始になった際、薬剤師は医薬品識別依頼書・指示書に「メトトレキサート(2mg)1日2回
朝夕食後」と入力したが、以前に薬剤師が疑義照会した内容が反映されなかった。
③システム
○「週2日内服」と入力しても1週間分入力できるシステムであった。
○医薬品識別依頼書・指示書は紙媒体であり、患者の内服している薬について、電子カルテで把握できなかった。
④薬剤シート
○薬剤シートの投与日は記載されていなかった。
○返却した際に再使用できないため記載していなかった。
⑤その他
○ 診察時の残薬の確認の際、患者から正しく申告されず、長年にわたる処方の残薬があり、患者の判断で毎
日内服していた。
○ 別の薬剤の薬袋に「○日から」と記載されており、患者はリウマトレックスも「○日土曜日から毎日飲む」
と誤解した。
- 166 -
3 再発・類似事例の発生状況
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年 1 月∼ 3 月)
(6)事例が発生した医療機関の改善策について
事例が発生した医療機関の主な改善策を以下に示す。
○システムのアラート発信
・処方時に内容確認のアラート機能ができないか検討する。
○他科の処方薬について確認を徹底する
・精神科として、他科処方薬を処方する際の確認のガイドラインを策定した。
○薬剤監査の徹底
・メトトレキサート(MTX)製剤の処方については必ず薬歴を確認することを徹底する。
・特定の薬に関しては、院内の処方監査を実施し院外へ発行する。 ○情報の共有
・ 持参薬の指示書の取込方法を統一し、医師も看護師も識別依頼書・指示書が電子カルテのどこ
に取り込まれたか分かるようにした。
Ⅲ
・ リスクマネージャー会議で事例報告し、MTX製剤など休薬が必要な薬剤に関する情報共有を
行った。
・事例を共有し、対策を周知した。
○患者に分かりやすい表記の工夫
・ 薬袋の表記を、週一回服用を強調するよう改め、別に渡す注意文書の「決められた日にだけ服
用してください」との記載を薬袋にも表記することにした。
・ 薬剤師から別に渡す注意文書には、休薬期間が必要な理由等、より詳細な注意を記載すること
とした。
について
本報告書分析対象期間に、抗悪性腫瘍薬として処方されたメソトレキセートに関する事例が2件報告され
﹁抗リウマチ剤︵メトトレキサート︶の過剰投与に伴う骨髄抑制﹂
︵医療安全情報№ 第2報№ ︶について
参考: 抗悪性腫瘍剤メソトレキセートの投与の際、休薬する予定が連日投与された事例
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
3-〔1〕
3-〔2〕
3-〔3〕
3-〔4〕
2
たので、参考として掲載する。
事例の内容は、退院処方せんに「週1回」のコメントの記載がなく、また退院処方薬を患者の家族に渡
した看護師は退院の説明であるという認識が薄く、退院療養計画書の内容を確認したうえで患者に内服薬
を渡さなかったため、連日内服されたなどメソトレキセートの週1回の内服に関連するものであった。
これらの事例は、抗リウマチ剤としてのメトトレキサートの処方ではないことから、医療安全情報
No. 2「抗リウマチ剤(メトトレキサート)の過剰投与に伴う骨髄抑制」及び医療安全情報 No.45「抗
リウマチ剤(メトトレキサート)の過剰投与に伴う骨髄抑制(第2報)
」の再発事例ではない。しかし、
治療計画で休薬期間を設定していたメソトレキセートが連日投与され、過剰投与された事例であるこ
とから参考事例として図表Ⅲ - 3- 8に示す。
- 167 -
45
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年 1 月∼ 3 月)
図表Ⅲ - 3- 8 参考:抗悪性腫瘍剤メソトレキセートの事例
No.
事例の内容
背景・要因
改善策
リンパ腫の患者は、担当医より外泊退院可との指示が カルテの退院療養計画書の記 ・ 患者は薬袋を見て内服する
あった。17:40 日勤担当看護師は外泊・退院 載の中に「メソトレキセート ため、医師は、処方をオー
チェックリストをもとに退院の準備を行ったが、退 は週 1 回内服してください」 ダする際に、内服方法に指
院 処 方 は ま だ 病 棟 に 届 い て い な か っ た。 日 勤 担 当 とあった。しかし、指示、処 示がある場合は必ずコメン
看 護 師 は 会 議 へ 出 席 の た め、 退 院 療 養 計 画 書 と 退 方 に は コ メ ン ト の 記 載 は な トを入れる。
院時処方渡しを遅出看護師(3年目)に依頼した。 かった。病棟担当薬剤師に持 ・ 看護師は、退院処方が抗が
18:30 依頼を受けた遅出看護師は、退院時処方 参薬確認時の状況を尋ねると、 ん剤や麻薬の場合は、ダブ
が病棟に届いたので父親と本人の元へ行き、退院時処 母親は週 1 回の内服は理解で ルチェックで確認すること
方を薬袋に記載の通りに説明し渡した。母親は家の事 きていた。薬剤師の持参薬確 を徹底する。
情で先に帰宅していた。その後、患者は父親とともに 認時のコメントにも記載はな ・ 「ダブルチェックの基準」を
外泊退院した。
かった。看護師は、退院処方 徹底する。
が 抗 が ん 剤 や 麻 薬 の 場 合 は、・ 看護師は、外泊退院の場合
<退院時処方>
ダブルチェックで確認するこ は、外泊時に余裕を持って
1)バクタ配合錠 3錠 1回1.5錠(1日3錠)
とになっているが、していな 退院処方を患者に渡せるよ
1日2回(朝・夕)食後
かった。退院処方を渡す看護 う、退院処方はできる限り
15日分 週3回内服
師が、退院療養計画書の内容 早めに出してもらうよう医
2)ロイケリン酸100mg 45mg 1回45mg を確認し患者へ説明していな 師に依頼する。
(1日45mg)
かった。退院療養計画書の内 ・ 医師は、外泊退院の場合は、
1日1回眠前 35日分
服についての記載内容と、処 薬 剤 の 最 終 搬 送 が 16:00
3)メソトレキセート錠2.5mg 1回25mg
方せんに相違があったが、医 であるため、15:30 までに
(1日25mg)
師に確認しなかった。看護師 は処方を入力する。
1日1回(朝)食後 5日分
は、患者のプロトコールを把 ・ 退 院 処 方 を 渡 す 看 護 師 は、
4)カイトリル錠1mg 2錠 1回2錠(1日2錠) 握し何の治療をしているかを 退院療養計画書の内容を確
理解していなかった。今回は 認し患者へ説明する。退院
1 1日1回(朝)食後 5 日分
前回と同じ処方のため疑義照 療養計画書に内服について
5日後の午前、担当医より、看護師長へ「患者の母親 会はしなかったが、初回の処 の記載がある場合は、退院
より口内炎ができて痛いと電話があった。確認すると、 方 の 際 に 疑 義 照 会 し て お り、 処方と照らし合わせて内容
遅出看護師からメソトレキセートを毎日飲むよう言わ 医師が「母親に説明している」 を確認する。内容に相違が
れて飲んだようだ。母親は週 1 回飲む薬だと知ってい と回答したため、そのまま処 ある場合は必ず医師に確認
るはず。今まではそのように飲んでいた。」と話があっ 方が継続されていた。
する。
た。看護師長が退院当日の担当看護師と遅出看護師に
・ 業務を依頼された看護師は、
確認すると、退院処方の薬袋に記載してある通り説明
自分が最終実施者であると
して渡しており、メソトレキセート錠の過剰投与がわ
同時に責任も依頼されたと
かった。翌日、患者は、口内炎が悪化し、食事がとれ
いうことを認識して行動す
ないことから母親とともに外来を受診し、その後入院
る。
となった。
・ 看護師は、患者のプロトコ
ールを把握し何の治療をし
ているかを理解する。疾患
の知識、プロトコールにつ
いての知識を深めるために
勉強会を行う。
・ 病棟では多種の抗がん剤を
取り扱っているため、病棟
でよく使う抗がん剤の取り
扱いや基礎知識を深めるた
めに担当薬剤師を交え勉強
会を行う。
慢性リンパ球性白血病治療のため入院で化学療法後、 外来ではダブルチェックがで ・ 抗がん剤の処方を行う時は
外来での内服治療へと変更となった。メソトレキセー きなかった。院外処方であり、 処方時に上司が内容を確認
ト錠2.5mg を週1回内服の予定であったが、連日の チェック機能が働かなかった。 する。
処方をした。
・ 「プロトコール名」
「
、週1回」
、
「毎日」などの注意事項をコ
メント入力する。
2
・ 病棟で、退院後の化学療法
についてもパンフレットを
作成して渡す。
・ 薬剤部でメソトレキセート
処方時にアラートがでるよ
うにする。
- 168 -
3 再発・類似事例の発生状況
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年 1 月∼ 3 月)
(7)薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業において報告された事例
本財団が運営している薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業においても本事業と同様に、抗リウ
マチ剤(メトトレキサート)の過剰投与に関するヒヤリ・ハット事例が報告されている。薬局ヒヤリ・
ハット事例収集・分析事業において報告される事例は、薬局で発生または発見されたヒヤリ・ハット
事例であり、ヒヤリ・ハット事例とは、未然に防止できたものや患者への影響が軽微なものである。
その中には、薬局で処方監査の際に薬歴や現病歴から処方の誤りに気付き、医師に疑義照会をした事例
などが報告されている。医療機関の薬剤部門においても同様の薬剤が調剤されることから、薬剤部門
において処方監査の際に参考となる薬歴や病歴があると考えられる。
そこで同事業ホームページの公開事例検索において、
「トレキサメット、メトトレキサート、メトレート、
リウマトレックス」をキーワードとして事例を検索し、抗リウマチ剤(メトトレキサート)の過剰投
与に関するヒヤリ・ハット事例の「疑義照会」の事例のうち、休薬期間に関する事例3件を参考とし
て紹介する。3件とも、処方監査の際に、休薬期間が明確でない医師の処方内容に対して薬剤師が疑
問を抱き、医療機関に疑義照会を行った結果、処方が変更され、医療事故を未然に防いだ事例である
(図表Ⅲ - 3- 9)。メトトレキサートは過剰に投与されると骨髄抑制や感染症等の危険性があり、患者
Ⅲ
への影響が大きくなる可能性がある。患者が保険薬局を利用する場面も多く、医療機関と保険薬局が
連携し、薬剤師による処方監査、疑義照会が適切になされることの重要性が示唆された。
図表Ⅲ - 3- 9 薬局ヒヤリ・ハット事例
No.
事例の内容
背景・要因
・ 処方せん監査の徹底と、服
用方法が複雑な医薬品への
知識を充実させる。
患者が整形外科の処方せんを持って来局された。患 年 末・ 年 始 で 医 療 機 関 の 休 ・ 年 末、 年 始 な ど 長 期 に 処
者より「今回は年末・年始があるので、薬の日数が 業 に 伴 い 処 方 日 数 の 変 更 が 方 日 数 が 変 更 と な る 際 に、
多くなっていると思う」との申し出あり。処方せん 行 わ れ た が、 週 1 回 服 用 の リウマトレックス 2 mgな
にはRp . リウマトレックスカプ セ ル2mg1日用 リ ウ マ ト レ ッ ク ス カ プ セ ル どの週1回服用の医薬品や
量 2 カ プ セ ル 分 1 × 3 5 日 分 朝 食 後 服 用( 週 1 回 2 mgも他剤と同じ処方日数 抗癌剤など休薬期間が必要
月 曜 日 ) と の 記 載 あ り。 他 の 医 薬 品 と 同 じ く リ ウ に誤って変更してしまったと な医薬品の処方日数の確認
マトレックスカプセル2mgの処方日数も35日 考えられる。
も保険薬局で医療事故を防
2 分 と な っ て い る が、 週 1 回 の 服 用 で あ る な ら ば、
ぐためには重要な業務とな
リウマトレックスカプセル2mgの処方日数は5日分
ることを薬局全体で共有す
であると判断し、処方医師に疑 義照会を行った。処
る。
方 内 容 が Rp . リウ マトレ ッ ク ス カ プ セ ル 2 m g
1日用量2カプセル分1×5日分朝食後服用
(週1回月曜日)に変更となる。
(事例番号 000000035058)
- 169 -
﹁抗リウマチ剤︵メトトレキサート︶の過剰投与に伴う骨髄抑制﹂
︵医療安全情報№ 第2報№ ︶について
処方せんに「リウマトレックスカプセル2mg1カプ 医師の処方せん記載ミスだっ
セル/分1朝食後、28日分、リウマトレックスカプ た。
セル2mg2カプセル/分2、12時間毎、28日
分」と記載されていた。患者は関節リウマチであった。
処方せんに記載されている通りに服用すると、休薬期
間もなく、毎日服薬することになるため、過量投与と
なる可能性が推測された。そのため、処方医に疑義照
1 会を行った。医師からは、処方せんの記載ミスという
ことで、実際には「リウマトレックスカプセル2mg
1カプセル/分1朝食後、4日分、リウマトレックス
カプセル2mg2カプセル/分2、12時間毎、4日
分」であり、服用方法は4週に渡って、「毎週金曜の
朝と夕に1カプセルずつ、12時間経過後の土曜の朝
に1カプセル」とのことだった。
(事例番号 000000003906)
改善策
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
3-〔1〕
3-〔2〕
3-〔3〕
3-〔4〕
2
45
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
No.
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年 1 月∼ 3 月)
事例の内容
背景・要因
他院より転院した患者にリウマトレックスとフォリア
ミンが連日投与の処方が出た。疑義照会にて医師に週
1 ∼ 2 回服用の薬であることを伝えると、週 1 回ずつ
の服用に処方が変更になった。
3 (事例番号 000000037859)
改善策
転院先はリウマチ専門医では ・ M R に も 協 力 し て も ら い、
なく、紹介状もなかった。お 処方医に用法用量や危険性
薬手帳には週 1 回の服用の旨 について伝えた。
は書いておらず連日服用して
いたかのような記載だった。
そのため処方医はリウマト
レックスとフォリアミンを連
日服用で処方したものと考え
られる。
※薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業ホームページ「薬局ヒヤリ・ハット公開データ検索」の事例番号を( )内に示す。
(8)まとめ
2007年1月に医療安全情報 No. 2「抗リウマチ剤(メトトレキサート)の過剰投与に伴う骨髄
抑制」を取り上げた。その後、類似事例の報告がなされ、2010年8月に医療安全情報 No. 45「抗
リウマチ剤(メトトレキサート)の過剰投与に伴う骨髄抑制(第2報)
」に、本事業の総合評価部会
の意見として、
「薬剤の包装シートの服薬日時欄を利用するなど、休薬期間がわかるようにしましょう」
を掲載し、再び注意喚起を行った。
本報告書分析対象期間内にも類似事例が報告され、本来投与される内容、誤った内容、本来メトト
レキサート製剤を処方していた診療科及び事例において処方をした診療科、主な背景・要因などにつ
いて整理した。
抗リウマチ剤のメトトレキサートは、処方に熟練していない診療科の医師である場合もあり、休薬
が必要なことをシステムでアラートを表示する等、処方する医師への注意が喚起できる仕組みの重要
性が示唆された。
また、薬剤の包装シートについて、服薬日時欄が活用に至っていない現状が推測され、具体的な
取り決めを検討することの重要性が示唆された。
さらに、本事業に報告された抗悪性腫瘍薬として処方されたメソトレキセートの過剰投与の事例、
及び、薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業に報告された事例を紹介した。
今後も引き続き類似事例の発生について注意喚起するとともに、その推移に注目していく。
(9)参考資料
1. 公益財団法人日本医療機能評価機構 薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業ホームページ .
available from < http://www.yakkyoku-hiyari.jcqhc.or.jp/ > .
- 170 -
3 再発・類似事例の発生状況
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年 1 月∼ 3 月)
【3】「小児への薬剤10倍量間違い」(医療安全情報 No. 29)について
(1)発生状況
医療安全情報 No. 29(2009年4月提供)では、小児に対して、薬剤量を10倍間違え、過
量投与した「小児への薬剤10倍量間違い」を取り上げた(医療安全情報掲載件数8件 集計期間:
2006年1月∼2008年12月)
。
このたび、本報告書分析対象期間(2015年1月1日∼3月31日)においても類似の事例が1
件報告されたため、再び取り上げた。
これまでに報告された「小児への薬剤10倍量間違い」のうち、処方の際に薬剤量を10倍間違え
過量投与した件数の推移を図表Ⅲ - 3- 10に示す。
図表Ⅲ - 3- 10 「小児への薬剤10倍量間違い」の報告件数
2009年
2010年
2011年
2012年
2013年
2014年
2015年
1∼3月
(件)
4∼6月
(件)
7∼9月
(件)
10∼12月
(件)
合計
(件)
0
0
0
1
2
0
1
0
0
1
0
0
0
−
1
1
0
0
2
0
−
1
0
0
1
2
0
−
2
1
1
2
6
0
1
図表Ⅲ - 3- 11 医療安全情報 No. 29「小児への薬剤10倍量間違い」
Ⅲ
﹁小児への薬剤10倍量間違い﹂︵医療安全情報№
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
3-〔1〕
3-〔2〕
3-〔3〕
3-〔4〕
︶について
29
- 171 -
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年 1 月∼ 3 月)
(2)事例概要
2013年1月1日より、本報告書分析対象期間に報告された7件の事例概要を以下に示す。
事例1
【内容】
アセリオを60mg投与する指示を出したつもりが、60mL(600mg ) の指示となり患者
に投与した。
【背景・要因】
・肛門形成術の翌日の鎮痛であった。
事例2
【内容】
当直担当医師は、患児の心室細動を予防する目的で、オリベス点滴用1%を0.27mL/h
(0.9mg/kg/h)の持続投与の指示をしようと思ったが、オリベスの規格が本来10mg
/mLであるところを1mg/mLと勘違いし、2.7mL/h(9mg/kg/h)で入力した。
看護師は指示通りに調製して、持続投与を開始した。
その後、患児は発作性上室性頻拍発作が出現したため、医師はアデホス−Lコーワ20mgを
処方する際、投与量の計算をmg/kgをmL/kgと間違えて、0.03mL(0.3mg)の
ところ0.
3mL(3mg)と処方オーダし、看護師は指示通りに投与した。
その後、患児は意識障害を疑う状態になり、挿管・人工呼吸器管理となった。日直医がオリベス
の投与量の多いことに気付き、中止した。血中濃度を測定したところキシロカイン中毒量であった。
【背景・要因】
・ 当該病棟で一般的に使用される不整脈剤は、希釈して投与されるが、オリべスは希釈して使用
しない薬剤だった。
・電子カルテ上では、小児処方量について常用量を超えても警告を示すシステムがなかった。
・ 薬剤師は、アデホスについて、
「実施済み」伝票として病棟から薬剤部にオーダされたので、
病棟ですでに使用されたものとして疑義照会を行わずにアンプルを病棟に払い出した。
7mL/h
・ 薬剤師は、オリベスについては、処方オーダに点滴速度のみしか書かれておらず、2.
と少量であるため間違っていないだろうと思い、疑義照会を行わなかった。
・医師の処方時、ダブルチェックを行うシステム ( 体制 ) はなかった。
事例3
【内容】
外来通院中の患児に対して、潰瘍性大腸炎の寛解維持のためにイムラン投薬を行うこととなった。
小児潰瘍性大腸炎治療指針におけるイムランの導入量は0.5∼1mg/kg/dayである。
初回投与であったため、維持予定量の約半量である15mg/dayを投与するつもりであり、
- 172 -
3 再発・類似事例の発生状況
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年 1 月∼ 3 月)
初回処方入力を行った。コンピュータの入力画面で、15mgに相当するイムラン 1 日0.
3錠と入力
した。その際「2分割のみ可能」のエラーメッセージが表示されたが、エラーメッセージの意味が
解りにくかったため再度イムラン1日0.
3錠と入力を行い、
『Enter』ボタンを数回押した。
その結果、オーダはイムラン1日3錠と整数に変換されていたが、医師は、印刷された院外処
方せんの確認が不十分なまま患者に手渡した。
その後、保険薬局からも過量投与であることを指摘されなかったために、イムラン1日3錠
28日分の処方となった。
患者は翌月に再診したが、主治医は前回と同じ処方を行い、その時も1日3錠の処方となって
いることに気づかず、21日間の処方を行った。
主治医は、2ヵ月後の外来診察予約日の前日、投与量の検討をしている際に投与量間違いに気
付いた。
【背景・要因】
・ コンピュータの処方入力画面で、錠剤の分割不可能な分割値を入力すると表示される『2分
Ⅲ
割のみ可能』は、
「0.3錠は分割不可能」である旨を伝えるエラーメッセージであったが、
その意味が解らなかった。
・ 処方オーダを続行し『Enter』ボタンを押すと、処方入力の用量はクリアされ、再度同じ入力
を行い、
『Enter』ボタンを数回押すと、入力した用量の小数点以下が整数に変換入力されて
しまうシステムの不具合があった。
・ オーダリングシステムは、複数の単位で処方されると過誤の原因となりやすいという理由か
ら、剤型により、規格単位を決めており、錠剤のオーダ単位は「錠」のみに設定している。
・処方医が印刷された処方せんを患者に手渡す際に、確認不足であった。
事例4
【内容】
医師は電子カルテのオーダリングシステムを用いて、レシピ1としてプレドニゾロン散1%
9mg分3 3日間(○月1日∼○月3日)
、レシピ2としてプレドニゾロン散1%4.5g分
3 3日間(○月4日∼○月6日)という処方を行った。レシピ2において、本来であればプレ
ドニゾロン散1% 4.
5mg分3 3日間のところ処方単位を間違い、製剤量として4.
5g分3
で処方した。
者家族の管理であり、5回分を服用した。付き添いの家族が1包落としたため、医師が薬剤を再
度処方した際、1回分のみを処方するため、コピー&ペーストをすることなく「プレドニゾロン
散1%(10mg/g) 1.5g 1回分」と入力した。医師は至急の調剤を依頼するため、薬
剤部に電話連絡したところ、対応した薬剤師が、処方内容を「プレドニゾロン散1.5gの処方
ですね。」とオーダ内容の確認を行った。そこで、医師は自分自身の処方間違いに気付いた。患
者に体調の変化は認めなかった。
- 173 -
︶について
薬剤師も気付かず調剤し、成分量として10倍投与の45mg分3が患者の元にわたった。患
﹁小児への薬剤10倍量間違い﹂︵医療安全情報№
・保険薬局からの疑義照会はなかった。
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
3-〔1〕
3-〔2〕
3-〔3〕
3-〔4〕
29
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年 1 月∼ 3 月)
【背景・要因】
・ 当院の処方は、高規格単位を製剤量、低規格単位を成分量とする申し合わせになっているが、
オーダリングシステム上は、成分量と製剤量が明示されず、いずれも医師が選択でき、かつ
デフォルト設定は、製剤量の「g」であった。
・ 医師はレシピ1では単位表示を切替えて正確に入力したが、レシピ2では単位の切替えを忘
れた。
・ 調剤者である薬剤師Aと監査者の薬剤師Bは、プレドニゾロンが漸減を要する薬剤であるこ
とや処方内容が小児のプロトコールであるという知識が不足していた。
・ 通常、処方せん監査において電子カルテよりステロイド剤の薬歴を確認することはなく、今
回の症例はALLのプロトコールに基づき、漸減している途中であった。経験豊富な薬剤師
であれば気付く内容であったが、今回関わった1、2年目の薬剤師は疑問に思い、指示簿等
の確認を行ったものの記載内容を見誤り、結果的に払い出してしまった。
・ 病棟薬剤業務など新たな業務も多く、全体的に人員不足な状況で業務を行っていることもあ
り、相談できる先輩薬剤師が身近にいなかった。
・ 医師は電子カルテ上の指示簿にステロイドの漸減を記載していたが、指示を受けた看護師は
処方内容と指示内容が異なることに気付かなかった。
事例5
【内容】
デノシンの点滴を1回量5mg/kgで投与を予定していた。体重が10kgのため、1回投与量を
50mgとすべきところを、500mg(1A)とオーダした。このオーダで3回の投与が行われた。
【背景・要因】
・いろいろなことに気をとられ、確認を怠った。
事例6
【内容】
医師Aはプレドニゾロン27mg(分2)7日間を処方しようとしたところ、単位を「g」か
ら「mg」に変更せず、27g(分2)7日間として処方した。そのため有効成分として本来
プレドニゾロン27mgのところ、1%であったため、有効成分270mg(通常量の10倍の量)
となった。
処方時、医師は体表面積あたりの薬用量を計算し、何回か計算の値を確認しているうちに、
単位を「g」から「mg」に変更するのを忘れ、10倍量の処方となった。
保険薬局から当院へプレドニゾロンの処方量について確認の電話があり、外来看護師が応対した。
「プレドニゾロンの量の確認をおねがいします。」という内容であったため処方量があっているか
の問い合わせでなく、ファックスの処方せんが読みづらいという意味だと思って電子カルテを読
み上げた。保険薬局の担当薬剤師は、おかしいと思ったが、処方医師の名前が女性で、電話で対
応した看護師が女性であったので、電話対応者を処方医師と思い、電話で読み上げられたとおり
の指示に従い調剤した。
- 174 -
3 再発・類似事例の発生状況
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年 1 月∼ 3 月)
患児は自宅にて内服を開始したが、量が多くて味が苦く、半分も飲めなかった。翌日朝、患児が全
部飲めないため、家族が困って錠剤へ変更希望しようと外来受付へ受診希望の電話があった。また、
ほぼ同じ頃に保険薬局から再度、処方量がおかしいのではないかと問い合わせがあり、過量投与に気
がついた。
【背景・要因】
・ 医師は当該患者のプレドニゾロンの内服処方が初めてであったため、体表面積当たりの用量
の計算を何回もしているうちに、「g」を「mg」に変更することを忘れた。
事例7
【内容】
患児は嘔吐、下痢のため、近医で制吐剤および整腸剤が処方されたが、同日21時頃に痙攣が出現
したため、当院の救急外来を受診した。患児は胃腸炎および熱性痙攣の疑いで解熱剤を処方され、翌
Ⅲ
日小児科受診を予約し帰宅となった。
翌日、小児科外来の受診時、痙攣予防目的でテグレトールを処方された。
帰宅後、処方されたテグレトールを親が服用させたが、その後患児の眼の焦点が合わず、ぐったり
しているため当院へ救急搬送された。テグレトールの処方量を確認したところ、0.
09gと入力する
ところ0.
9gと入力し、通常の10倍量で処方していたことに気付いた。
【背景・要因】
・ 医師は、オーダリングで打ち込むときに数値(ゼロを触った可能性あり)を間違えた可能性
がある。
に気付きにくかった。
・ 薬剤部の監査で体重に対しての処方量が多いことは認識していたが、専門医であれば使用する
量であると判断し医師に疑義照会せず調剤した。
・初回処方で、比較の対象がなかった。
(3)事例が発生した医療機関の改善策について
事例が発生した医療機関の改善策を以下に示す。
・ オーダリングシステム上の成分量と製剤量の単位設定について検討し、薬剤部では製剤量に統一
する方向で考えている。
・ 小児の処方オーダ時に基準値を確認(エクセルで体重を入力すると基本量が計算)できるシス
テムを作成する。
・オーダリングシステムから「mL」を削除する。
・ 錠剤の分割不可能な値を入力した場合に、
「この薬剤は2分割のみ可能です。2分割以外に分
割する際は、粉砕を選択して下さい。
」の警告が表示されるようにオーダリングシステムを変
更した。
- 175 -
︶について
○システムの改善
﹁小児への薬剤10倍量間違い﹂︵医療安全情報№
・ また、入力画面に数値を打ち込むときに不必要に小数点以下の「0」が多く出るため間違い
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
3-〔1〕
3-〔2〕
3-〔3〕
3-〔4〕
29
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年 1 月∼ 3 月)
・電子カルテでの入力の際に製剤量と力価(原薬量)の併記表示とするようにシステム変更を行う。
・ 抗痙攣剤の様な重要な薬剤に関しては患者の年齢・体重から上限量を計算し、上限量を超える
入力があった場合にはアラート表示される様にシステム改善を行う。
○確認の徹底
・ 化学療法において、ステロイドを含め、新規薬剤開始時に内服用量を決める場合は、他の小児
科医師とダブルチェックを行う。
・複数職種によるチェック機能を強化する。
○教育
・薬剤師の知識不足に対する勉強会の実施と監査体制の見直し。
・オーダリングシステムの有効な活用や単位の統一について十分な周知、教育を行う。
○その他
・ 若手薬剤師が疑問を相談できる体制を作り、お互いのコミュニケーションを良くし、聞きやす
い雰囲気のチーム作りを目指している。
・関係した保険薬局や薬剤師会とも事例を共有し、注意喚起を図った。
(4)これまで報告された「小児への薬剤10倍量間違い」の事例について
本報告書では、2009年1月から本報告書分析対象期間(2015年1月1日∼3月31日)
に報告された13件の事例について分析した。
①発生場所
報告された事例の発生場所として選択された項目(複数回答可)は、外来診察室が4件、NICU及
び病室が各3件、ICUが2件、薬局(調剤所)及び病棟処置室が各1件であった(図表Ⅲ - 3- 12)
。
図表Ⅲ - 3- 12 発生場所
発生場所
件数
外来診察室
4
NICU
3
病室
3
ICU
2
薬局(調剤所)
1
病棟処置室
1
※発生場所は複数回答が可能である
②患者への影響
事故の程度は、障害の可能性なしが最も多く6件であり、障害なしが4件であったが、治療の程度
では濃厚な治療が必要であった事例が5件であった(図表Ⅲ - 3- 13、図表Ⅲ - 3- 14)
。小児へ
の薬剤量間違いは、患者への影響が大きくなる危険性があることを十分に認識する必要がある。
- 176 -
3 再発・類似事例の発生状況
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年 1 月∼ 3 月)
図表Ⅲ - 3- 13 事故の程度
事故の程度
件数
障害残存の可能性がある(高い)
1
障害残存の可能性がある(低い)
2
障害残存の可能性なし
6
障害なし
4
合 計
13
図表Ⅲ - 3- 14 治療の程度
治療の程度
件数
濃厚な治療
5
軽微な治療
4
なし
4
合 計
Ⅲ
13
③事例の内容
事例において、投与した薬剤と予定した薬剤量、投与した薬剤量及び患者の年齢を図表Ⅲ - 3- 15
に示す。
患者は0ヶ月が2件、1ヶ月∼1歳以下が8件と、13件中10件を占めた。それらの時期は特
に患者の体重などを考慮した薬剤量の処方が必要であったと考えられる。
注射薬の1アンプル(バイアル)の製品は成人量を想定して設定されている場合が多いことから、
エラーが生じる一因となっていると考えられる。
内服薬についても、小児の体重に合わせて、錠剤を分割することが困難と考えられる0. 3錠といった
処方がなされていることから、調剤は複雑である。このような処方の際、薬剤量の計算等の段階を
システム等で支援できる仕組みを検討することは重要である。
﹁小児への薬剤10倍量間違い﹂︵医療安全情報№
その中から少量の薬剤を処方するために、複雑な計算や段階を要している現状があり、このことが
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
3-〔1〕
3-〔2〕
3-〔3〕
3-〔4〕
︶について
29
- 177 -
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年 1 月∼ 3 月)
図表Ⅲ - 3- 15 事例の内容
投与した薬剤
予定した薬剤量
投与した薬剤量
患者の年齢
27mg / 回
270mg / 回
0ヶ月
インダシン静注用
1mg
0.07mg / 回
0.
7mg / 回
0ヶ月
オリベス点滴用1%
0. 27mL / h
2. 7mL / h
2ヶ月
0.3mg / 回
3mg / 回
2ヶ月
60mg / 回
600mg / 回
6ヶ月
エスラックス静注
50mg / 5.0mL
2.5mg / h
25mg / h
1歳
ヘパリンナトリウム
1500単位
15000単位
1歳
デノシン点滴静注用
500mg
50mg / 回
500mg / 回
2歳
マイスタン細粒1%
0.
4mg / 回
4mg / 回
3ヶ月
25mg / 日
250mg / 日
9ヶ月
0. 09g / 日
0. 9g / 日
10ヶ月
4. 5mg / 日
45mg / 日
3歳
27mg / 日
270mg / 日
3歳
0. 3錠 / 日
3錠 / 日
11歳
塩酸バンコマイシン散
0.5g
アデホス−Lコーワ注
注 20mg
射
薬 アセリオ静注液
1000mg
内
服
薬
テグレトール細粒
50%
プレドニゾロン散「タケダ」
1%
イムラン錠50mg
※ひとつの事例に複数の薬剤が関連した場合がある
④主な背景要因について
事例の主な背景・要因を図表Ⅲ - 3- 16に示す。
医師の背景・要因では、医師が通常処方していない薬であったことや焦りがあったことが挙げら
れていた。処方の際、医師が慣れていない薬剤の処方であったり、焦りがあったりしても注意を促
すことができるよう、処方オーダの入力画面に常用量や極量について表示されるなど、システムで
の仕組みを検討することが重要である。
薬剤師の背景・要因では、処方量が多いことは認識していたが、専門医であれば使用する量であ
ると判断したり、処方に速度しか書かれていなかったが、少量であるため間違いはないだろうと思っ
たりしたため、
「おかしい」と思ったことが疑義照会に結びつかなかったことや、保険薬局からの疑
義照会がなかったことが挙げられた。小児の処方量は体重により異なる場合が多く、個別に対応す
る必要がある。薬剤部や保険薬局で監査が適切になされるよう、医師は患者の体重及び体重あたり
の投与量を処方せんに記載する、薬剤師は監査の情報が不足している時は「適切だろう」と思い込
まずに情報を確認する、といった体制の検討が必要であろう。薬剤師の処方監査が適切になされ、
疑義照会が行われていれば、防止できた可能性があり、小児の薬剤量における薬剤師の処方監査の
重要性が示唆された。
- 178 -
3 再発・類似事例の発生状況
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年 1 月∼ 3 月)
システムの背景・要因では、電子カルテ上で小児の処方量について常用量を超えても警告を示す
システムがなかったことや、入力画面に数値を打ち込む時、不必要に小数点以下の「0」が多く出
るため間違いに気付きにくかったこと、コンピュータの処方入力画面で、錠剤の分割不可能な値を
入力すると表示される『2分割のみ可能』は、
「0. 3錠を分割することは不可能である」旨を伝え
るエラーメッセージであったが、その意味が解らなかったことなどが挙げられた。処方入力画面の
表示の見え方やアラートの言葉などについて、システムを活用する中で問題点を見つけながら継続
して改善していくことが重要である。
図表Ⅲ - 3- 16 主な背景・要因
①医師
○医師は、オーダリングで打ち込むときに数値(ゼロを触った可能性あり)を間違えた。
○ 医師は、本患者においてプレドニゾロンの内服が初めてであったため、体表面積当たりの用量の計算を何回
もしているうちに、単位を変更することを忘れた。
○医師の処方時は、ダブルチェックを行うシステム ( 体制 ) がなかった。
○医師は通常処方しない薬剤であった。
○医師は忙しい環境であり、焦っていた。
②薬剤師
③システム
○小児の処方量について常用量を超えても警告を示すシステムがなかった。
○ 電子カルテシステムでは、処方の際は製剤量の入力であり、力価(原薬量)入力ができない。そのため力価
から製剤量を計算する際に一桁計算を間違えたか、入力時に一桁入力ミスした可能性がある。
○入力画面に数値を打ち込む時に、不必要に小数点以下の「0」が多く出るため間違いに気付きにくかった。
○ オーダリングシステム上は、成分量と製剤量が明示されず、いずれも医師が選択できるが、デフォルト設定は、
製剤量の「g」であった。
○ コンピュータの処方入力画面で、錠剤の分割不可能な分割値を入力すると表示される「2分割のみ可能」は、
「0. 3錠は分割不可能」である旨を伝えるエラーメッセージであったが、その意味が解らなかった。処方オーダ
を続行し『Enter』ボタンを押すと、処方入力の用量はクリアされる。再度同じ入力を行い、
『Enter』ボタン
を数回押すと、入力した用量の小数点以下が整数に変換入力されてしまうオーダリングシステムの不具合
があった。
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
3-〔1〕
3-〔2〕
3-〔3〕
3-〔4〕
﹁小児への薬剤10倍量間違い﹂︵医療安全情報№
○ 薬剤師は1日投与量を計算し処方せんに記載していたにもかかわらず、過量処方であることに気付かず疑
義照会をしなかった。
○ 薬剤部の監査で体重に対しての処方量が多いことは認識していたが、専門医であれば使用する量であると
判断し、医師に疑義照会せずに調剤した。
○ 薬剤師は、処方せんに速度しか書かれていなかったが、少量であるため間違いはないだろうと思い、疑義
照会を行わなかった。
○保険薬局でのチェック、疑義照会がかからなかった。
Ⅲ
︶について
29
- 179 -
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年 1 月∼ 3 月)
(5)まとめ
2009年4月に医療安全情報№29を提供し、事例が発生した医療機関の取り組みとして、処方
内容の入力や監査をする際は、年齢や体重等に基づいて薬剤量を確認することを紹介した。
本報告書では、2009年7月から本報告書分析対象期間までに報告された13件の事例について、
投与した薬剤と予定した薬剤量、投与した薬剤量及び患者の年齢、主な背景・要因について整理した。
注射薬の1アンプル(バイアル)の製品の規格は成人量を想定して設定されている場合が多く、
小児に投与する際は、体重に応じて少量の薬剤を処方するために複雑な計算や段階を要していると考
えられた。
改善策として、医師は患者の体重及び体重あたりの投与量を処方せんに記載する、薬剤師は監査の
情報が不足している時は「適切だろう」と思い込まずに情報を確認する、
といった体制の検討とともに、
処方オーダの入力画面に常用量や極量について表示されるなど、システムでの仕組みを検討すること
が重要である。
今後も引き続き類似事例の発生について注意喚起するとともに、その推移に注目していく。
- 180 -
3 再発・類似事例の発生状況
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年 1 月∼ 3 月)
【4】「禁忌薬剤の投与」(医療安全情報 No. 86)について
(1)発生状況
医療安全情報 No. 86(2014年1月提供)では、患者の疾患や病態を把握していたが、添付文
書上、「禁忌」として記載のあることを知らず、薬剤を投与した事例が報告されており、
「禁忌薬剤の
投与」を取り上げた(医療安全情報掲載件数8件 集計期間:2010年1月∼2013年11月)。
このたび、本報告書分析対象期間(2015年1月1日∼3月31日)においても類似の事例が
1件報告されたため、再び取り上げた。
これまでに報告された「禁忌薬剤の投与」の件数の推移を図表Ⅲ - 3- 17に示す。
図表Ⅲ - 3- 17 「禁忌薬剤の投与」の報告件数
2010年
2011年
2012年
2013年
2014年
2015年
1∼3月
(件)
4∼6月
(件)
7∼9月
(件)
10∼12月
(件)
合計
(件)
0
1
1
0
0
1
0
2
0
0
1
−
1
0
0
0
2
−
0
2
0
1
1
−
1
5
1
1
4
1
図表Ⅲ - 3- 18 医療安全情報 No. 86「禁忌薬剤の投与」
Ⅲ
﹁禁忌薬剤の投与﹂
︵医療安全情報№ ︶について
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
3-〔1〕
3-〔2〕
3-〔3〕
3-〔4〕
86
- 181 -
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年 1 月∼ 3 月)
(2)事例概要
2014年1月から本報告書分析対象期間に報告された5件の事例概要を以下に示す。
事例1
【内容】
患者は循環器内科でCCU入室後のせん妄、不穏状態が強く、また難聴であるため説得も困難
であった。鎮静目的でセレネースを0.3A使用したが、その後下肢に振戦を認めた。患者はパー
キンソン病の既往があった。
【背景・要因】
・ 不穏状態に対して頻用されているセレネースを禁忌であるパーキンソン病患者に投与したため、
錐体外路症状と思われる副作用をきたした。
事例2
【内容】
パーキンソン病を有しており、当院神経内科にて加療中であった。肺炎のため呼吸器内科に緊
急入院となった。入院当日夜間に不穏状態となり、セレネース1A+生食100mLを点滴静注
した。
【背景・要因】
・パーキンソン病にはセレネースの使用は禁忌となっている。
事例3
【内容】
パーキンソン病の既往歴を持つ患者がコンパートメント症候群で入院した。興奮状態となった
ため、薬物で鎮静しようとセレネースを注射した。
【背景・要因】
・パーキンソン病患者に対してセレネースは禁忌薬だった。
- 182 -
3 再発・類似事例の発生状況
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年 1 月∼ 3 月)
事例4
【内容】
患者は大腸カメラの前処置薬モビプレップ400mLを飲んだ時点で気分不良となり中断した。
その後も内服困難であったため、一旦検査を中止とした。
3ヵ月後、左下腹部違和感が出現したため大腸内視鏡検査を行うこととし、ビジクリアでの前
処置を行い、大腸内視鏡検査を施行した。
翌日5時半より両手しびれ出現し、11時半頃から全身のしびれが波及し、当院救急救命センター
へ搬送された。下痢、嘔吐、口渇感あり。血液検査にてカルシウム7.
6mg/dL クレアチニン
2.10mg/dL であり、低カルシウム血症によるしびれ及び脱水による腎機能低下の疑いで
入院となった。
【背景・要因】
・ 下部消化管内視鏡検査で使用したビジクリアが低カルシウム血症の原因となっている可能性
Ⅲ
が高いと考えられる。
・ 高血圧症の高齢者への投与は「禁忌」、ARB内服中の投与は「警告」とされている事の認識
が足らず、通常行っている前処置が行えなかったため、代替薬としてビジクリアを使用した。
事例5
【内容】
患者は膀胱腫瘍精査中に肺結核が見つかり、肺結核の治療とほぼ同時にイムノブラダーによ
イムノブラダーを3回膀胱に注入した。
最終注入の際、カテーテルが尿道に入りにくく、注入時カテーテルの先に血液が付着していた。
患者は午後から発熱、嘔気が強くなり、その後腎機能が悪化し血液透析を実施した。
【背景・要因】
・ イムノブラダー発売前から研究的に膀胱腫瘍に使用していたが、大きな合併症に出会ったこ
とがなかった。
・イムノブラダーの添付文書にある警告を十分に理解していなかった。
・添付文書の「禁忌:活動性の結核症が明白である患者」を読んでいなかった。
・ 結核患者で全身麻酔などの手術を計画しにくかったのと、膀胱内に多発性に腫瘍があり、ま
た排尿症状も出ていたので、待機して内視鏡手術を行うよりイムノブラダーによる治療がよ
いと考えた。
・ イムノブラダー投与時にカテーテル先に付着する血液を確認したが、カテーテル挿入時には
時に起こる一般的事象として判断した。
- 183 -
﹁禁忌薬剤の投与﹂
︵医療安全情報№ ︶について
る治療を開始した。治療により膀胱腫瘍の改善は見たが、残存腫瘍があるため追加治療として、
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
3-〔1〕
3-〔2〕
3-〔3〕
3-〔4〕
86
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年 1 月∼ 3 月)
(3)事例に関連する薬剤と添付文書の記載について
事例に関連する薬剤及び添付文書の「警告」「禁忌」に記載された内容の抜粋を図表Ⅲ - 3- 19に
示す。
図表Ⅲ - 3- 19 疾患名及び投与した薬剤
疾患名又は病態
投与した薬剤
(主たる薬効)
件数
パーキンソン病
セレネース注5mg
(抗精神病剤)
3
事例に関連した「警告」や「禁忌」について添付文書に記載された内容
禁忌(次の患者には使用しないこと)
(4) パーキンソン病の患者[錐体外路症状が悪化するおそれがある。]
禁忌(次の患者には使用しないこと)
高血圧症の高齢者
尿管カテーテルの
挿入による外傷
活動性の結核症
ビジクリア配合錠
(経口腸管洗浄剤)
イムノブラダー
膀注用80mg
(抗悪性腫瘍剤)
1
1
2. 高血圧症の高齢者[急性腎不全、急性リン酸腎症
(腎石灰沈着症)等が発現するおそれがある。]
警告
1. 本剤の臨床試験において、カテーテル挿入等により外傷を生じた
後の BCG 投与による播種性 BCG 感染に起因したと考えられる死亡
例が認められており、米国においても同様の症例が報告されてい
る。したがって、経尿道的膀胱腫瘍切除術(TURBT)、生検及びカテー
テル挿入により外傷を生じた直後には本剤を投与すべきではなく、
外傷の治癒の状態を観察しながら、7日から 14 日間間隔をあけて
投与すること。
禁忌(次の患者には使用しないこと)
3. 活動性の結核症が明白である患者[活動性の結核患者に本剤を投与
すると重篤な副作用を招くおそれがある。]
パーキンソン病の患者にセレネース注を投与した事例が3件と多かった。事例の内容を見る
と、事例1は循環器内科の医師が(病状は不明)、事例2は呼吸器内科の医師が肺炎のため、
事例3は外科の医師がコンパートメント症候群のため、患者にセレネースの処方を行っているが、
3件とも患者のパーキンソン病の治療を担当している科ではなかった。患者は複数の疾患や症状を
有していることがあり、臨床現場では、医師は専門領域以外の疾患やそれに関連する薬剤について
も知識を備えておく必要があるが、医師の個人の知識や記憶に依存するだけでは、思い込みや失念
等のエラーを生じた際に医療事故に至る可能性がある。そこでどの診療科においても、システムで
患者の症状や疾患及び禁忌薬の情報が共有されることの重要性が示唆された。
また、事例4は高血圧の高齢者へビジクリア配合錠を投与した事例であった。医療安全情報
No. 86の総合評価部会の意見として、ビジクリア配合錠については、2012年2月から禁忌に
「高血圧症の高齢者」が追加改訂されたことを掲載した。製造販売元はビジクリア配合錠について
適正使用を依頼する文書の中で、
「65歳以上の患者のうち、
『高血圧症』と診断されている方には、
本剤を投与しないでください。
」と注意喚起を行っている。また、この文書の中では、処方時のチェック
リストも示されているので参考として示す。
イムノブラダーは、生きたカルメット・ゲラン菌(BCG)を有効成分とする生物由来製品であり、
警告や禁忌を確認のうえ使用する必要がある。
- 184 -
3 再発・類似事例の発生状況
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年 1 月∼ 3 月)
<参考:ビジクリア配合錠 適正使用のお願い>
Ⅲ
﹁禁忌薬剤の投与﹂
︵医療安全情報№ ︶について
1
2-〔1〕
2-〔2〕
2-〔3〕
3-〔1〕
3-〔2〕
3-〔3〕
3-〔4〕
86
- 185 -
Ⅲ 医療事故情報等分析作業の現況
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年 1 月∼ 3 月)
(4)事例が発生した医療機関の改善策について
事例が発生した医療機関の主な改善策を以下に示す。
○システムの改善
・ 注射オーダ画面上でセレネースをオーダした際に、
「パーキンソン病はありませんか?」という
注意喚起を表示させる、もしくは「病名にパーキンソン病が登録されている患者」にセレネース
をオーダした際に、「使用禁忌です」というエラー表示が出るようにするなどのシステム変更
を検討する。
・イムノブラダー処方時に、結核薬を服用している場合はアラートを出すようにした。
○事例の共有や教育
・治療に関しての各部署の専門的知識を高め、早期発見に努め情報共有を行う。
・事例についてのカンファレンスを医師、看護師、薬剤師を交えて実施することを検討する。
○その他
・ ビジクリア配合錠について、患者には「飲み方」パンフレットを渡していが、このパンフレット
には禁忌情報が記載されていなかった。2012年2月、禁忌が改訂され「高血圧症の患者」
が追加された時の「ビジクリア配合錠適正使用のお願い」にチェックリストがサンプルとして
含まれていたので、今後チェックリストを使用する。
・ ビジクリア配合錠は検査前処置の薬として、内視鏡センターにて管理をしていたため、薬剤科
で管理するよう変更した。
(5)まとめ
2014年1月に提供した医療安全情報 No. 86では、添付文書上、
「禁忌」として記載のあるこ
とを知らず、薬剤を投与したことについて、本事業の総合評価部会からも「定型化した指示による投
薬などの処置は、患者の疾患を確認して実施しましょう。
」「ビジクリア配合錠の添付文書は、禁忌に
『高血圧症の高齢者』が追加改訂されています(2012年2月)。」「添付文書は改訂されますので、
定期的に確認しましょう。」という意見や情報を付して注意喚起を行っているところである。
本報告書では、2014年1月から本報告書分析対象期間までに報告された5件の事例を紹介し、
事例に関連する薬剤と添付文書の記載、事例が発生した医療機関の改善策について整理した。
今後も引き続き類似事例の発生について注意喚起するとともに、その推移に注目していく。
(6)参考文献
1.セレネース
注5mg添付文書 . 大日本住友製薬株式会社.2012年1月改訂(第14版)
.
2.ビジクリア
配合錠添付文書 . ゼリア新薬工業株式会社.2012年2月改訂(第8版)
.
3. イムノブラダー
膀注用80mg・40mg添付文書 . 日本ビーシージー製造株式会社.
日本化薬株式会社 . 2014年8月改訂(第7版).
4. ビジクリア配合錠適正使用のお願い . ゼリア新薬工業株式会社.2012年2月 . < http://
www.info.pmda.go.jp/iyaku_info/file/kigyo_oshirase_201202_3.pdf >.
- 186 -
参考 医療安全情報の提供
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年 1 月∼ 3 月)
参考 医療安全情報の提供
2006年12月より医療事故情報収集等事業において報告書、年報を作成・公表する情報提供に
加え、その内容の一部を事業に参加している医療機関などに対してファックスなどにより情報提供する
こととした。本報告書には、2015年1月∼3月分の医療安全情報 No. 98∼ No. 100を掲載する。
【1】事業の目的
医療事故情報収集等事業で収集した情報に基づき、特に周知すべき情報を提供し、医療事故の発生
予防、再発防止を促進することを目的とする。
【2】主な対象医療機関
① 医療事故情報収集・分析・提供事業報告義務対象医療機関及び参加登録申請医療機関
② ヒヤリ・ハット事例収集・分析・提供事業参加登録医療機関
③ 情報提供を希望した病院
なお、これまで情報提供の希望を3回募り、2011年11月にも医療安全情報の提供を受けてい
ない病院に対し、情報提供の希望を募った。現在、約5,400医療機関へ情報提供を行っている。
【3】提供の方法
主にファックスにより情報提供している。
なお、公益財団法人日本医療機能評価機構のホームページ(注)にも掲載し、広く社会に公表している。
参考
(注)公益財団法人日本医療機能評価機構「医療事故情報収集等事業」ホームページ(http://www.med-safe.jp/)参照。
- 187 -
参考 医療安全情報の提供
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年 1 月∼ 3 月)
【4】医療安全情報 No. 98
医療事故情報収集等事業 医療安全情報 No.98 2015年1月
公益財団法人 日本医療機能評価機構
医療事故情報収集等事業
医療
安全情報
No.98 2015年1月
カリウム製剤の
投与方法間違い
急速静注が禁止されているカリウム製剤を、静脈ラインから急速静注した事例が
5件報告されています(集計期間:2011年1月1日∼2014年11月30日)。この
情報は、第19回報告書「個別のテーマの検討状況」
(P71)
で取り上げた内容を元に
作成しました。
カリウム製剤の急速静注は禁止 です。
投与した
カリウム製剤
K.C.L.点滴液15%
(40mEq/20mL)
KCL補正液
1mEq/mL
1アンプル
中の量
準備した量
20mL
生理食塩液
(20mL)
で希釈
計40mL
20mL
5mL
KCL注
1キット中
20mEqキット※
20mL
予定した
投与方法
間違えた
投与方法
1
シリンジポンプ
を用いて
微量持続注入
急速静注
10mL
件数
1
1
点滴内に混注
アスパラカリウム注
10mEq
10mL
20mL
2
※プレフィルドシリンジ型製剤から注射器に吸い取り、
急速静注した事例です。
◆カリウム製剤の添付文書には、
「カリウム製剤を急速静注すると、不整脈、場合によっては
心停止を起こすので、点滴静脈内注射のみに使用すること。」
と記載されています。
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参考 医療安全情報の提供
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年 1 月∼ 3 月)
医療事故情報収集等事業
医療事故情報収集等事業
医療
No.98 2015年1月
安全情報
カリウム製剤の投与方法間違い
事例1
医師はシリンジポンプで5mL/hで持続投与を意図し、
「CV内頚 側管1 K.C.L.点滴液15%
(40mEq/20mL)
+生理食塩液(20mL)
1日3回」
と指示したが、投与速度、投与方法の指示は
していなかった。看護師はアンプルに記載してある
『点滴専用 薄めて点滴』
という表示を見て、
指示内容を確認するため手術室に電話した。手術室看護師に「オーダ通りに投与していいか」と
手術中の医師に聞いてもらったところ、医師はシリンジポンプを使用すると思っていたため、
「いいです」と返答があった。看護師は指示通りに調製し、モニタを見ながら中心静脈ラインの
側管からカリウム製剤の調製液を注入した。残量が6mLのところでSpO2低下のアラームが鳴った
ため、注入を中止した。
事例2
上級医は「患者の補液(ソルデム3A)
に、
KCL10mL追加」
と口頭で指示した。看護師は、
KCL注
20mEqキット(プレフィルドシリンジ型製剤)に専用針を付けず、注射器に10mL吸い取って
研修医に渡した。研修医は、カリウム製剤の投与は初めてであったため不安になり、上級医に
「静注でいいですか」
と確認したところ、
「やっておいて」
と回答があった。研修医は、静脈ラインの
側管に注射器を接続し、
KCL注10mLの注入を開始した。
事例が発生した医療機関の取り組み
※この医療安全情報は、
医療事故情報収集等事業(厚生労働省補助事業)
において収集された事例をもとに、
当事業の一環として総合評価
部会の専門家の意見に基づき、
医療事故の発生予防、
再発防止のために作成されたものです。
当事業の趣旨等の詳細については、
当機構
ホームページに掲載されている報告書および年報をご覧ください。
http://www.med-safe.jp/
※この情報の作成にあたり、
作成時における正確性については万全を期しておりますが、
その内容を将来にわたり保証するものではありません。
※この情報は、
医療従事者の裁量を制限したり、
医療従事者に義務や責任を課したりするものではありません。
▼カラー版はこちらから▼
公益財団法人 日本医療機能評価機構
医療事故防止事業部
〒101-0061 東京都千代田区三崎町1-4-17 東洋ビル
電話:03-5217-0252 FAX:03-5217-0253
http://www.med-safe.jp/
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参考
・投与指示(投与量、投与方法、投与速度)のルールを守る。
・薬剤マスタのカリウム製剤名に「点滴専用」や「要希釈」などと記載
する、
カリウム製剤の払い出し時に製剤と一緒に「急速静注禁止」の
紙を入れる、など注意喚起を行う。
・プレフィルドシリンジ型製剤の剤形の目的を理解し、
使用時は注射器
に吸い取らない。
参考 医療安全情報の提供
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年 1 月∼ 3 月)
医療安全情報 No. 99
医療事故情報収集等事業 医療安全情報 No.99 2015年2月
公益財団法人 日本医療機能評価機構
医療事故情報収集等事業
医療
安全情報
No.99 2015年2月
胸腔ドレーン挿入時の左右の取り違え
胸腔ドレーンの挿入または胸腔穿刺の際、
患者の体位や身体の向きを誤り、
左右を取り違えた事例が
8件報告されています(集計期間:2011年1月1日∼2014年12月31日)。この情報は、第34回
報告書「個別のテーマの検討状況」
(P174)
で取り上げた内容を基に作成しました。
胸腔ドレーンの挿入または胸腔穿刺の際、左右を取り
違えた事例が報告されています。全て、処置直前に部位
の確認を行わなかった事例です。
事例1のイメージ
1
2
左気胸だな
左、左・・・・
◆報告された事例8件は、胸腔ドレーンを挿入した事例が7件、胸腔穿刺をした事例が1件です。
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参考 医療安全情報の提供
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年 1 月∼ 3 月)
医療事故情報収集等事業
医療事故情報収集等事業
医療
No.99 2015年2月
安全情報
胸腔ドレーン挿入時の左右の取り違え
事例1
左気胸の患者に胸腔ドレーンを挿入することになった。普段、患者は座位で待って
おり、処置直前に体位を整えるが、今回は医師が診察室に入室すると、すでに患者
は右側から処置をする向きでベッドに仰臥位になっていた。医師はその向きが
正しいと思い込み、右胸部にマーキングし、
ドレーンを挿入した。その後、
ドレーンの
エアリークがないことに気付き、
誤って右側に挿入したことが分かった。
事例2
外来診察医師Aと病棟担当医師Bは、左気胸の診断にて入院した患者の画像で
ドレーン挿入予定位置を確認した。2時間後、処置室が使えなかったため病室で行う
ことにした。処置を行いやすくするため、患者の頭側と足側を反対にした。その際、
医師は左右を勘違いし、
左側臥位にして右第2肋間にマーキングをし、
ドレーンを挿入
した。
ドレーン先端位置確認のため胸部X線を撮影したところ、
誤って右側に挿入した
ことが分かった。
・画像や同意書などに基づいて、医師と介助につく看護師で
患者名・穿刺の位置・処置時の体位を確認する。
・処置直前に画像を見て、穿刺予定位置と照合する。
※この医療安全情報は、
医療事故情報収集等事業(厚生労働省補助事業)
において収集された事例をもとに、
当事業の一環として総合評価
部会の専門家の意見に基づき、
医療事故の発生予防、
再発防止のために作成されたものです。
当事業の趣旨等の詳細については、
当機構
ホームページに掲載されている報告書および年報をご覧ください。
http://www.med-safe.jp/
※この情報の作成にあたり、
作成時における正確性については万全を期しておりますが、
その内容を将来にわたり保証するものではありません。
※この情報は、
医療従事者の裁量を制限したり、
医療従事者に義務や責任を課したりするものではありません。
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参考
事例が発生した医療機関の取り組み
参考 医療安全情報の提供
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年 1 月∼ 3 月)
医療安全情報 No. 100
医療事故情報収集等事業 医療安全情報 No.100 2015年3月
公益財団法人 日本医療機能評価機構
2014年に提供した
医 療 医療安全情報
安全情報
医療事故情報収集等事業
No.100 2015年3月
2014年1月∼12月に医療安全情報No.86∼No.97を毎月1回提供いたしました。
今一度ご確認ください。
番号
タイトル
No.86
★禁忌薬剤の投与
No.87
★足浴やシャワー浴時の熱傷
No.88
2013年に提供した医療安全情報
No.89
シリンジポンプの取り違え
No.90
★はさみによるカテーテル・チューブの誤った切断
No.91
2006年から2012年に提供した医療安全情報
No.92
人工呼吸器の配管の接続忘れ
No.93
腫瘍用薬のレジメンの登録間違い
No.94
★MRI検査室への磁性体(金属製品など)の持ち込み(第2報)
No.95
セントラルモニタの送信機の電池切れ
No.96
インスリン注入器の取り違え
No.97
肺炎球菌ワクチンの製剤の選択間違い
★のタイトルについては、提供後、
2014年12月31日までに類似事例が発生しています。
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参考 医療安全情報の提供
医療事故情報収集等事業 第 41 回報告書(2015年 1 月∼ 3 月)
医療事故情報収集等事業
医療
安全情報
No.100 2015年3月
2014年に提供した医療安全情報
◆以下の類似事例が発生しています。
No.
86 禁忌薬剤の投与
パーキンソン病の患者が興奮状態となった際、パーキンソン病患者に対して
セレネースが禁忌であったことを忘れ、
鎮静のためセレネース注を投与した。
No.
87 足浴やシャワー浴時の熱傷
看護師は、手浴・足浴を行うためバケツに湯を準備し、病室で洗面器に移し替
えた。その際、温度計は使用せず、手袋をしたまま湯の温度調節を行った。
洗面器に患者の左手を入れたところ皮膚が赤くなったため、
直ちに洗面器から
出した。
皮膚の状態を確認したところ、
表皮剥離を認めた。
その後、
皮膚科医師
が診察し、
Ⅱ度の熱傷と診断された。
No.94 MRI検査室への磁性体(金属製品など)の
持ち込み(第2報)
※この医療安全情報は、
医療事故情報収集等事業(厚生労働省補助事業)
において収集された事例をもとに、
当事業の一環として総合評価
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医療事故の発生予防、
再発防止のために作成されたものです。
当事業の趣旨等の詳細については、
当機構
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※この情報の作成にあたり、
作成時における正確性については万全を期しておりますが、
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※この情報は、
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医療事故防止事業部
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参考
ポータブル低圧持続吸引システム J-VAC ドレナージシステムを留置して
いる患者にMRI検査を行った。MRI室の検査台に座ってもらったところ、
リザーバー
(スタンダード型)
がガントリの方向に引っ張られたが、
首にさげた
ポシェットにバッグを入れていたため、
ドレーンが抜去されることはなかった。
リザーバーには「MRI等では使用しないで下さい 金属のバネを使用して
います」と記載されていたが、ポシェットに入っていたため文字が見えな
かった。
公益財団法人日本医療機能評価機構(以下「本財団」という)は、本報告書に掲載する内容について、善良なる市民および医療の質に関わ
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したがって、これらの情報は、情報を利用される方々が、個々の責任に基づき、自由な意思・判断・選択により利用されるべきものであり
ます。
そのため、本財団は、利用者が本報告書の内容を用いて行う一切の行為について何ら責任を負うものではないと同時に、医療従事者の裁量
を制限したり、医療従事者に義務や責任を課したりするものでもありません。