手袋の保温メカニズム 外気−10℃ ①生地外側の熱伝達 外気 生地 ④皮膚表面の熱伝達 空気層 ②生地内部の熱伝導 ③生地内側の熱伝達 皮膚 体内の温度勾配は血液による熱供給が 働くので熱伝導では語れないと思う。 深層体温37℃ 1枚の手袋は3回の熱伝達と1回の熱伝導で保温している。 ①生地外側の熱伝達(生地表面近傍で生じる外気の温度差) 主に生地の物性と外気の流速に支配される。強風による体感温度の低下とは、高い流速により熱伝達 率が高くなって生地表面温度を下げる現象である。(つまり皮膚温度が実際に下がる。) ②生地内部の熱伝導(生地内外の温度差) 生地の熱伝導率と伝熱経路長で決まる。生地の熱伝導率は繊維自体の熱伝導率だけでなく繊維間に 含有する空気の量に左右される。ゴアなどナイロン系繊維は含有空気が少なく、厚さ(経路長)も薄いの で生地自体だけによる保温性は低い。 ③生地内側の熱伝達(生地内面近傍で生じる内側空気層の温度差) 物理的には外側の熱伝達と同じ。ゴアテックスは内部への風の侵入を遮断するためこの部分の流速が 低いので熱伝達率が低い。 ④皮膚表面の熱伝達(皮膚表面近傍で生じる内側空気層の温度差) レイヤードの効果と、金属を握った場合の保温効果の低下について 3レイヤードの場合 −10℃ 熱伝達7回+熱伝導3回 外気 金属接触で3レイヤードが完全密着した場合 非常に大きな熱伝達が1回と熱伝導3回のみ 熱伝達 (ゴアは風を通さないので境界層を破壊せず、この断熱を大きく保てる) 手袋生地 断熱空気層 −10℃ 外気 熱伝導 金属 手袋生地 断熱空気層 手袋生地 断熱空気層 手袋生地 ここの熱伝達率は 金属のため非常に 大きい。 外側手袋には外気 温度がほぼそのまま 伝わる。 手袋生地 熱伝導のみ 手袋生地 肉体の場合血流から 肉体 肉体 の熱量供給の多寡で 温度勾配は変化する。 37℃ (熱伝導率で語れない) 37℃ ●熱伝達率は生地の物性で決まるので空気層は薄くてよい。(単に空気層があれば良い。) ●生地の保温性は繊維自体が持つ熱伝導率と厚さ、および生地が取り込む空気の量で決まる ので空気を保持しやすい繊維の構造と嵩が重要。 ●ゴアやナイロンは繊維内への空気の保持が少ない上に薄いので熱伝導が良いが、風を通さ ないため境界層を破壊せず、熱伝達率を低く保って保温する。 従って空気層がない場合保温性は極端に低下する。
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