パラグアイ内政・外交報告(4月分) 政治情勢 2016年5月作成 内政では,1日~23日,農民団体,協同組合等が,アスンシオン市街地において,連日デモを実施 し,小農に対する技術的・財政的援助(小農の負債の帳消しを含む)等を求め,23日,政府は,①小農 に対する融資の利息の一部免除,②低金利での融資の借り換え,③農具や材料の提供,④技術サポ ートの実施,⑤協同組合に対する付加価値税徴税法の施行の7月1日までの延期等に合意した。 外交では,4日,パラグアイ・ブラジル「2+2」会合が開催され,両国外相及び国防相が参加した。ま た,同会合のマージンにおいて,防衛分野における二国間技術協力協定を2021年10月まで5年間 延長する取決めへの署名が行われた。 1 内政 (1)農民団体等によるデモ ●1日~23日,農民団体,協同組合等が,アスンシオン市街地において,連日デモを実施した。同デモ は,3月17日に実施された農民団体等による年次デモにおいて,デモの要求項目①農地改革(小農 への農地割り当て),②農産品の価格上昇,③小農に対する技術的・財政的援助(小農の負債の帳消 しを含む)等に関する政府の譲歩が得られなかったことから,4月に入ってからも継続されていたもの。 ●23日,政府,農民団体及び協同組合は,①小農に対する融資の利息の一部免除,②低金利での 融資の借り換え,③農具や材料の提供,④技術サポートの実施,⑤協同組合に対する付加価値税徴 税法の施行の7月1日までの延期等に合意した。 (2)与党コロラド党新党首の就任 ●18日,ペドロ・アリアナ下院議員がコロラド党党首に就任した(任期は2020年まで)。同新党首は, 昨年6月のコロラド党党首選挙において,カルテス大統領の後援により,48%の得票を得て,アブド・ ベニテス上院議長を退け当選していた。 (3)日系人政治家の野党リベラル党党首選挙への出馬 ●19日,エドゥアルド・ナカヤマ氏が6月26日に行われるリベラル党党首選挙への立候補届を提出し た。同氏は,弁護士の資格を持つ若手日系人政治家であり,19世紀末の三国戦争などを専門とする 歴史家としても知られている。同氏は,立候補届の提出に際し,国民のリベラル党に対する信頼を取り 戻すためには,新しい人材が必要である旨述べた。なお,同党の党首選挙には,エフライン・アレグレ 元大統領候補を含め,7人が立候補している。 2 外交 (1)ブラジルとの「2+2」会合の開催 ●4日,外務省において,パラグアイ・ブラジル「2+2」会合が開催され,外交,国防及び安全保障に つき協議が行われた。パラグアイからはロイサガ外相及びマルティネス国防相,ブラジルからはヴィエ イラ・ブラジル外相及びレベロ・ブラジル国防相が出席した。 ●同会合後の共同記者発表において,ロイサガ外相は,防衛分野における二国間技術協力協定を2 021年10月まで5年間延長する取決めに署名した旨述べる共に,今次会合の開催は,両国の外交, 政治,経済及び文化関係をハイレベルで促進させようとする両国大統領の使命感の証左である旨述 べた。これに対し,ヴィエイラ外相は,両国は戦略的関係を有し,不可分な兄弟国である旨述べると共 に,異なるレベルでの会合を引き続き行いつつ,隔年で「2+2」会合を実施することを決定した旨述べ た。 ●なお,共同記者発表に先立ち署名された共同声明の主なポイントは以下のとおり。 -「2+2」会合の定期的な開催につき一致。 - 今次会合において,防衛分野における訓練・研修,情報共有,空域コントロールの改善にかかる共 同イニシアチブにつき協議。 - 国連ハイチ安定化ミッションにおけるブラジル部隊へのパラグアイ軍の協力を歓迎。 - PKO 活動における更なる協力に向け,緊密なコンタクトを維持。 (2)ブラジル情勢に関する外務省プレスリリース ●26日,ロイサガ外相は,ルセーフ大統領弾劾の可能性にかかる記者団からの質問に対し,民主主 義の原理及び他国への内政不干渉を尊重するというパラグアイの立場は明らかである旨述べた。また, 同外相は,ブラジル情勢はブラジル国民及び当局の所管事項であり,ブラジルは強固な民主主義を有 しており,我々はコメントする立場にはない旨述べた。 ●他方で,ロイサガ外相は,2012年のルゴ大統領弾劾について,当時のパラグアイ政府は,ルゴ大 統領の罷免が憲法に則った形で行われたため,(メルコスール及びUNASURによるパラグアイの加 盟資格停止は)不当であったと考えているものの,(大統領弾劾に関して)異なる政治的意見が存在す ることも理解しており,それぞれの国が,憲法や国の制度に則り,必要な決定を下すべきである旨述べ た。 (3)ロイサガ外相とマルコーラ・アルゼンチン外相との会談 ●20日,ロイサガ外相は,ニューヨークにおいて,マルコーラ・アルゼンチン外相との会談を行い,国 連薬物問題特別総会,気候変動協定等につき,協議を行った。 (4)カルテス大統領のニューヨーク訪問 ●21日,カルテス大統領は,気候変動協定への署名のためニューヨークを訪問し,署名に先立ち,モ ラレス・ボリビア大統領との会談を行い,パラグアイ産生体牛のボリビアへの輸出,地域情勢,二国間 アジェンダにつき,協議を行った。 ●22日,カルテス大統領は,国連において,2月にパリで採択された気候変動協定への署名を行っ た。 3 要人往来 (1)来訪 ●4日,ヴィエイラ・ブラジル外相等(「2+2」会合出席) (2)往訪 ●4日~7日,ラフエンテ教育文化相,チリ訪問(ジェンダー関係会合出席) ●19日~23日,ロイサガ外相,ニューヨーク訪問(気候変動協定署名式出席) ●20日~24日,ペーニャ蔵相,米国訪問(リーダシップ関連会合出席) ●24日~25日,ロイサガ外相,ウルグアイ訪問(アスンシオン条約署名25周年記念式典参加) ●28日~29日,レイテ商工相,ボリビア訪問(企業家との会合)
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