3.緑茶向けガラス壜様ロングネックペットボトルの開発 田中 いくみ キリン株式会社R&D本部パッケージング技術研究所 1.目的 2016 年 3 月に、弊社緑茶ブランド「生茶」の大型リニューアルを実施した。今回のリニューアルを 通じ、停滞するペットボトル緑茶市場を一歩「進化」させるべく、中味・パッケージの根本から見直 しを行った。 中味は、茶葉をまるごと食べている感覚を味わえるよう、茶葉をまるごと微粉砕する製法を採用 した。また、パッケージは、500ml ペットボトルにて洗練かつスタイリッシュな新規デザインを検討し、 ガラス壜様ロングネックペットボトル=グリーンボトルを開発することになった。 ペットボトルのデザインについては、ガラス壜で多く採用されているロングネック形状をベースに 設計開発を行っていくこととなった。ペットボトルは、ガラス壜と比べて強度が確保しにくいため、工 場での生産適性、流通適性、お客様のハンドリング性が問題ないよう、形状を工夫する必要がある。 通常、ペットボトルにパネルやリブを配置し、上記強度を確保するのが一般的な手法である。しか し、本開発においては、デザイン上可能な限りガラス壜の雰囲気を再現するべく、ペットボトル 表 面 の凹 凸 を極 力 なくす制 約 が設 けられ、デザインと強 度 確 保 の最 適 バランスを検 討 した。 2.方法 ロングネック部分の角度や肩位置について、ブロー適性・デザイン性のバランスを調整しながら 設計した。ペットボトルの胴部については、縦方向に極力目立たないパネルを配置した。(図1) ロングネック部分の角度 肩の位置 縦方向のパネル 図1 設計モデル 工場での搬送・物流倉庫を想定した強度、官能評価によるお客様のハンドリング性を中心に評 価を実施した。評価を通じ、改善が必要な項目については形状を修正していくことで、最終形状へ 作り込みを行った。 3.結果 シュリンクラベルをペットボトルに装着したときにもパネルの凹凸がラベル表面に出にくく、デザ イン性を確保することができた。 ペットボトル接地部の樹脂肉厚を厚くすることで、強度を確保することができた。縦方向のパネ ルを配置したことで、指でしっかりとボトルをつかめるようになった。 各種品質評価を実施し問題ないことを確認したことで、デザインと強度確保のバランスが取れ たグリーンボトルが誕生した。
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