三國重工業株式会社 はじめに(開発の背景) 欧州におけるコージェネレーションの普及率 は、日本に比べてはるかに進んでおり、オラン ダにおいては国内発電量のおよそ30%をコー ジェネでまかなっている。 (1998 年調査) このように欧州でコージェネレーションが普及 している理由としては以下のことがあげられる。 ① 政府の普及政策 ② 電力事業体制のあり方 ③ 地域冷暖房の普及 写真 1 AR-166 ④ 地球環境問題に対する高い意識 近年、日本においてもエネルギーの大量消費 に伴う CO2 や NOX、SOX 等の排出がオゾン層 燃料ガス圧縮機装置概要 の破壊、地球温暖化、酸性雨等の環境破壊の要 図1、2に示す通り圧縮装置は、吸込フィ 因と言われ、早期対応の必要性が叫ばれるよう ルタ、圧縮機、オイルタンク、デミスタ、ガス になった。 クーラ、吐出しフィルタ(油分離用) 、オイルフ こうしたなかで、天然ガスを燃料とするコー ィルタ、オイルクーラ、オイルポンプ、オイル ジェネレーションシステムは、電気と熱の2つ 補給用リザーブタンクから構成され、機器概要 のエネルギーを有効利用し、環境保全に大きく は次の通りである。 貢献するものとして、その普及が期待されるよ ・ 吸込フィルタ うになった。 弊社では、天然ガス市場に早くから着目して 200 メッシュ、50 メッシュの多重構造 ・ 圧縮機 おり、無給油式 CNG コンプレッサーを自社開 油潤滑式スクリュー(無段階容量制御用 発し、商品化した。 スライド弁・インジケータ、カムスイッ 今回、ガスタービン・コージェネレーション 用燃料ガス圧縮機の開発にも着手することにな チ、及びポテンシャルメータ付属) ・ オイルタンク った。開発にあたり、コージェネの先進国であ 潤滑兼冷却用オイル溜り。オイルタンク るオランダ・ドイツの企業の技術協力を得て、 内でガスと油を分離。 (100ppm 以下) 圧縮機装置として商品化した。 ・ オイルクーラ ・ デミスタ ミスト化したオイル捕集。 油出口温度約 50℃ ・ オイル補給用リザーブタンク ・ ガスクーラ 80℃近く上昇したガスを約 50℃に冷却。 装置稼動中でも油補給が可能 ・ 制御盤 ・ 吐出しフィルタ 油分離効率 0.5ppm 以下 液晶タッチパネル、シーケンサの採用 視認性、操作性良好 ・ 2槽式オイルフィルタ 捕集効率 99.9%(25μm)装置稼動中で も切替可能 写真2 制御盤・液晶パネル 図1 機器構成・配置 容量、圧力制御 燃料ガス圧縮装置の特長 ガスタービンの特長として、短時間で始動、 ① 高い信頼性 構成装置は、世界中に納入実績がある製 停止が可能である。特に航空機転用型は、通常 品を採用。高い信頼性を誇る。 2∼3分で始動から全出力まで到達できる能力 ② 無段階容量制御・省エネルギー形 を持つ。 スライド弁採用により、ガス消費量に対 実際の発電になると、電力の需要に応じて発電 し、無段階の容量制御を実現。消費電力 量も変動する。これをガス消費量で考えると、 を節約。 ガス消費量が発電量に応じて変動する事になる。 この時、ガスタービンに供給されるガス圧力は ③ 安定した運転制御 DSS/WSS 運転及び連続運転において、安 消費量に関係なく一定でなければならない。 定制御を実現。 例えば、年間を通して一定の電力を消費する場 合、一定の電気を発電する事になる。この場合 ④ ダウンサイジング 設置スペースに制約を受けない、コンパ のガス消費量は同じように一定となり、ガス容 クト化を実現。 量及び圧力制御は、比較的簡単な制御になる。 上記の様なケースは、容量制御弁〔スライド弁〕 ⑤ 保守メンテナンスが容易 圧縮機ユニットの主要部品が容易に交換 を固定し、バイパス弁(PCV)で余分なガス量 できる設備(メンテナンスビーム)を標 を吸込側へ戻す事により、ガスタービンに供給 準装備。 する圧力を調圧すればよい。 しかし、電力消費が一定でない場合(例えば、 ⑥ 視認性、操作性に優れた制御盤 液晶タッチパネル及びシーケンサの採用。 昼間の電力消費量と夜の電力消費量に差がある 場合)発電量が変動する事になる。発電量が変 型 番 CR 90 AR 166 AR 208 動するという事は、燃料として消費されるガス 量が変動する事になる。 取扱ガス 都市ガス(炭化水素系ガス) 吸込圧力 0.1∼0.7MPaG 消費量に合った状態で運転しなければ変動に追 吐出圧力 1.66∼2.06MPaG 従できないばかりでなく、非常に不経済な運転 動 力 75∼300kW 容 量 750∼2500Nm3 / h 状態となる。 このケースにおいては、消費量に合った制御位 置に容量制御弁(スライド弁)を動作させ、バ イパス弁(PCV)で余分なガス量を吸込側へ戻す 事によりガスタービンに供給する圧力を調圧す る。ガスタービンの運転状態は大きく分けて3 つある。 〔一例〕 ① 起動時・・・・・ガス流量 約 0∼450Nm3/h ② 負荷変動時・・・ガス流量 約 450∼1690 Nm3/h の間で消費量変化する。 ③ 負荷遮断・・・ガス流量 約1690∼450 Nm3/h 写真 3 まで瞬時に変化する。 圧縮装置にとってこの要求はかなり過酷な要求 となる。 むすび エネルギー自由化競争時代に入った今、エ ネルギーコストと環境負荷の低減を両立させ、 今回、当社で採用した制御は、瞬時の消費量 電気と熱エネルギーを無駄なく利用できるガ 変化に対応する容量制御及び圧力制御の確立を スコージェネレーションシステムが注目され 目標とし、圧力変動幅を約 1.5%以内を実現し ている。 た。 適用分野 ガスタービン・コージェネレーション用は無 当社では、今後更なるコストパフォーマン スを実現し、ガスコージェネレーションが普 及することを期待する。 論のこと、炭化水素系ガスのプロセスガス圧送 用として用途はひろい。 図 2 P&I
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