案ずるより産むがやすし 公立学校共済組合 中国中央病院 2016 年 5 月号 VOL 217 大型連休にこどもの日、季節も過ごしやすくなり外出の機会も増える時期ですね。妊娠中でも出来ることもありま すが、妊娠中だからこそ気を付けることもあります。出かけたいと思っても「いつもと様子が違うかも」と感じた時 に、家での安静が必要かもしれません。自分で体調の変化に気が付き注意することで安心した妊娠生活が送れます。 今回は妊娠中のトラブルとして、切迫流産・切迫早産について説明します。 切迫流産とは何? 切迫流産とは、妊娠 22 週未満で出血や腹痛を認め流産の一歩手前である状態をいいます。妊娠経過においては、 胎児が順調に発育していくかどうかが重要になります。12 週未満の流産の原因のほとんどが胎児側にあり 50~70% は胎児の染色体異常といわれています。そのため妊娠 12 週未満での切迫流産には有効な薬剤はないと考えられてお り、安静にして経過を見ることが多くあります。子宮内に血腫(血液の塊)がある切迫流産は、安静が効果的と言われ ています。状態に応じて安静の程度を医師に確認しましょう。症状として、下腹痛・腰痛・性器出血(赤色・茶色・ 黒色など)があります。 切迫早産とは何? 切迫早産とは、妊娠 22 週~37 週未満にお腹の張りが頻回に起こり、子宮の出口が短くなり開いてくることで胎児 が産まれそうな状態をいいます。症状として腰痛・腹痛・性器出血などがあります。妊婦の喫煙・やせ・ストレス・ 虫歯などの要因により早産を誘発するホルモンが分泌されやすくなります。また、切迫早産の原因には病原微生物の 感染があるため、妊娠中の性交渉ではコンドームを使用し、感染予防を行うことも大切です。早産の 50%は、リスク 因子がなくてもおこるため症状の早期発見が大切となります。当院では 35 週未満の早産は、未熟なため新生児の治 療や管理を行えるNICU(新生児集中治療室)のある施設に紹介し救急搬送を行っています。 お腹の張りに気が付くには お腹の張りは、気が付きやすい方とそうでない方がおられます。張りに気が付くには、お腹にそっと手を当ててみ てください。普段のお腹の柔らかさを知っておくことが大切です。お腹が張ってくると下腹部にボールがあるような 盛り上がりが出来硬くなります。子宮は筋肉からできており、お腹の張りは子宮が(筋肉)収縮している状態です。そ して子宮にある沢山の血液が心臓に帰ってくるために少し胸がドキドキとした動悸として感じられる方もおられま す。お腹の張りに気が付くことは安静にするタイミングを知ることができ、早産を予防します。 症状のある時はどうしたらいい? 安静が第一です。無理をしない妊娠生活を心がけてください。体の冷え、立ちっぱなしや、重い荷物を持つことは お腹に負担がかかります。 (お産のしおり P7 に日常動作の例があるので参考にしてください。 )また、アルコールや タバコ、コーヒー、香辛料や刺激物の摂取は控えましょう。冷えは体を緊張させてしまいます。これから暖かくなり 薄着になりがちですが、襟元や足首など冷やさないようにしましょう。 切迫早産では、出血や水っぽい帯下、お腹の張りが頻回(1 時間に 5~6 回)に感じる時は、横になって休みましょ う。それでも張りが治まらないときはご連絡ください。症状や状態に応じて子宮の出口が開かないように、お腹の張 りを抑える子宮収縮抑制薬を使用します。しかし、たとえ張り止めの薬を内服していても安静が基本です。 外来の相談室をご利用ください。 私たちは、皆様の妊娠生活に対して真剣に向き合い、 よりよい生活が送れるような関わりを行っています。妊 娠、出産は楽しみであり不安でもあります。それぞれの 出産や育児の状況を一緒に考えてアドバイスをさせて いただいています。待ち時間を利用して活用下さい。 ✿昨年には新規制度のアドバンス助産師(自立して助 産ケアを提供できる助産師)が11名も誕生していま す。今後も皆様の悩みや不安に寄り添い産前産後のサ ポートをさせていただきます。 助産外来 火・木・金曜日の14時~ アドバンス助産師が担当しています。 1人30分枠で診察や超音波で赤ちゃんの成長の 観察や36週以降の方はNSTで赤ちゃんの心拍の 観察、保健指導などを行っています。私達と一緒に 妊娠出産を乗り越える力を養っていきましょう。是 非、助産外来にお越しください。受診を希望される 場合は産婦人科受付で御相談ください。 母 親 学 級 の お 知 ら せ 5月 前期 (18日) 後期 (11日・25日) 6月 前期 ( 後期 (8日・22日) 時間 13 時 30 分~ 1日) 場所 講堂 AB 産婦人科外来に予約ノートを用意しています。予約なしでも当日参加できます。 *赤字は祝日のため変更しています。 編集担当:近藤
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