TOHO NOW - TOHO Univ.講座・研究室一覧サイト

跡
疫学 は実験 室を
足 を使う学問で
学は現場主義、実践主義 の学問
出 して
調査対象者 を数年 、数十年 にわた つ
の汚染 にある との結論 に至 つた とい う。
て追 跡調 査 す る方法『コホ ー ト研 究 』、
「汚染 された井戸水 の改善 」を行政 に訴
医療 系 の学 問の中では珍 しく動物実
調査対象者 に原 因 と考 え られる物 を人
え、井 戸 の封鎖 を求めた ところ、それ
験 な どを行 わない学 問で、人 のみ を対
為的 に加減 し、
結果 を調査す る『介入研
を機 にコ レラの蔓延 が予防で きたのだ。
象 に調査 を行 う。 日本で はまだマイナ
究』、病気 の頻度や地域分布 を調 べ 、病
「ス ノー は、コ レラが経 口感染 す る病
ーな疫学だが 、
疫
実 は臨床 の現場 で は、
気 と原 因 との 関連 を調査 す る『記 述疫
気 で、汚染水 が原 因である ことを記述
学 が よ く使われている とい う。
学』な どを用 いて研究 は進め られる。
疫 学 の 方 法 を使 つて 突 き とめ ま した。
である。
この疫学 を用 いた研究 を して いるの
疫学 の歴 史 は、 1852年 イギ リスの
が 、医学部社会 医学講座衛生学分野 の
ジ ∃ン ・ス ノー医師の研究 か ら始 まっ
せん で した (こ の 30年 後 に ロベ ル ト
西脇祐 司教授 である。
た とされる。
コッホが発見)。 スノーの研究 か らもわ
当時 はまだ コ レラ菌 は発見 されて いま
「疫学は、予防のための医学です。病
当時のイ ギ リスで は コ レラが大流行
かる ように、病原菌 が発 見 されていな
気にならないためにはどうすればいい
してお り、人 々 は恐 怖 を感 じて いた。
い病気 を予 防で きるのが疫学 の 強みで
のか、高齢者になつても介護を必要と
当時 コ レラは空気感染す る病気 と言 わ
す。まだ まだ認知度 が低 い疫学 ですが、
せず、自立 した生活をするためにはど
れていたが、同 じ町 内でも罹患者 が ま
」
実 は日本 とも縁 が深 い学問なのです。
うすればいいのかなどを研究 します。
ば らだ った ことにス ノー は疑 間を感 じ、
罹患 している人よりも健康な人を対象
罹患者 の分布 図を作 つた。
にすることが多いというのも、この研
究の特徴です。
」
そ して、井 戸 の付近 に罹患者 が多い
ことに気づ き、 コ レラの原 因は井 戸水
明治 時代 に当時の軍隊で脚 気が流行
っていた ことか ら、森 鴎外 と高木兼寛
を中心 と した『脚 気論 争』が起 こつた。
陸軍 に所属す る軍 医の森 は脚気 の原 因
研究生 (三 菱 バヽ
そ う 人事総 務本 部 産業 医 )佐 々 木 直 子 さ ん
私は企業で産業医として働いています。私の研究は「企業で働 く労
働者の加齢」をテーマに、加齢による疲労や仕事量の減退について調
査 しています。産業医は労災の認定という大事な役害り
もあるので、最
新の研究などを知 つていないと仕事も疎かになつて しまいます。会社
に通つているだけでは、文献などデータの収集も難 しく学問ができま
せん。そこで、大学で最新のデータを知りたいと思い通つています。
大 学 院 医学 研 究 科 博 士 課 程
4年
神 谷
耕次郎 さん
私は普段、整形外科医として総合病院に勤め
ています。整形外科の臨床現場にいると、疫学
を用いた治療が多く、そこで興味を持ち大学院
に入学 しました。
整形外科医を しているときに患者さんを診て
いて「膝などの悪化による姿勢の悪化が寿命を
縮めているのではないか ?」 と思い、今は加齢
について調査 しています。「姿勢の悪化 と健康
の関係」をテーマに した論文を作成 しています。
を細菌 と考 え、海軍 に所属する軍 医の
高木 は栄養不足 と考 えた。そ して高木
は海軍 での食事 を西洋食 中心 に変 えさ
せた とい う。一方 、陸軍 の森 は自米 を
食 べ させ続 けた。その結果 、海軍 の脚
気罹患者 は激減 し、陸軍 の脚気罹患者
は 3万 人が病死 した。 これ は、世界初
の介入調査 であ つた。
「この当時、まだ ビタミンは発見され
ていませんで した。それでも高木は栄
養不足が原因と考えたのです。森 と高
木のアプローチはなぜ違 ったのかとい
うと、陸軍の森はメカニズムを重視す
る ドイツに留学 し、海軍の高木は疫学
発症の地であ り実践主義のイギ リスに
留学 していたか らです。コレラ菌も ビ
タミンも発見 されていない時代か ら、
疫学は人命を助 ける医療 としての役割
を果た していたのです。
」
lo 1989年 慶應義塾大学医学部卒業。博士 (医 学)。 疫学修士 (London Schoo of Hygiene
2005年 同医学部専任講師。2010年 准教授。2011年 4月 より東邦大
and Tropical Med cine)。
学医学部社会医学講座衛生学分野教授。
Pro■
いる という。
疫学 での介入研究 はシ ビアに行 う必
も う一 つ の テー マ『環境 要 因か らど
西脇教授 の主な研究 テーマは陽日齢
`感
による“
運動器 …
覚器 "の 機能低下の
う健康 を守 るか
予防』と『環境要因か らどう健康を守る
大気汚染 、黄砂 、太陽光 な どが挙 げ ら
確信 を持 つて行 われた介入研究 におい
か ?』 である。
『加齢 による“
運動器 "`感 覚器 "の 機能
れる。黄砂 とア レル ギー、心臓病 との
て、健康 に悪影響が出た ということも
関係 や、太陽光 と健康 の関係 を研究 し
過去 に起 きてい ます。」
低下の予防』の研究 は、コホー ト研究 に
ている。
よつて行われている。
?』
での環境要 因 とは、
と くに最近 は太陽光 の一部 を構成す
要 がある と西脇教授 は言 う。
コホー ト研究 の結果 「
、健康 に良 い と
現在 、介入研究 にお いては厳 しい条
件 を設 ける ことで、事 故 の 防止 措置 が
65歳 以上の高齢
群馬県のある町で、
る ブルー ライ トが 目に悪影響 を及 ぼす
者を対象に 1,500名 の健康状態を 1年
との仮説が提 唱 されている 、ブルー ラ
に 1度 調査 している。研究の中で男性
イ トと体 内時計 との関係 も指摘 されて
な くても人命 を救 う大 きな力 が あ り、
の聴覚機能の低下、女性の視覚機能 の
いる。 この検証 のため 、工学者 ととも
常 に目の前 の人 間を相手 に、 リア ルな
低下、また男女ともに背骨の弯曲と生
に 目か ら入る ブルーライ トを測定する
知識が得 られる学 問な のだ。
活様式 の変化の関連性などを調査 して
セ ンサー を開発 している。
取 られている。
疫学 は、病気 のメカニ ズムがわか ら