東日本大震災 補聴器支援報告書 一般社団法人日本補聴器販売店協会 NPO 法人日本補聴器技能者協会 支援内容 ●業界団体の役割分担 一般社団法人日本補聴器工業会・・・・・代替え補聴器・修理・電池の支援 一般社団法人日本補聴器販売店協会・・・使用者への対応 代替え補聴器の手配・修理手配・対面による 調整(フィッティング) ・電池の提供 全国の会員店舗から電池の寄付を募り,店舗・事 務局から被災者へ提供した。 NPO 法人日本補聴器技能者協会・・・・使用者への対応 代替え補聴器の手配・修理手配・対面による 調整(フィッティング) ・電池の提供 ●支援内容 1) 補聴器(代替え補聴器)を無償にて提供する。 ・補聴器を購入された販売店を通して支援。 ・販売店が不明の場合は各メーカーで対応する。代替え補聴器は,申込をされた 販売店又はメーカーが紹介する販売店を経由して支援。補聴器の調整(フィッ ティング)も当該販売店で行う。 2) 補聴器の修理および点検・調整を無償にて行う。 3) 補聴器用の空気電池を無償にて提供する。 ●対象地域・対象者 青森県・秋田県・岩手県・山形県・宮城県・福島県・茨城県・千葉県に所在する販売店 で補聴器をご購入し被災され、且つ公的支給をお受けになれないお客様 支援経過 項目 ( JHIDA: 一般社団法人日本補聴器販売店協会 ) ( JHITA: NPO 法人日本補聴器技能者協会 ) ( 日補工: 一般社団法人日本補聴器工業会 ) 詳細 政府「災害応急対策に関する基本方針」発表 3 月 11 日 JHIDA メール配信 補装具支給の弾力的運用により耐用年数に かかわらず支給する旨 メール会員に被災状況確認 ・理事長メッセージ 3 月 15 日 JHIDA-news71 号発行 3 月 18 日 業界三団体支援プロジェクト会議 3 月 22 日 合同広報委員会 6 月 6 日補聴器の日イベントの開催中止決定 3 月 23 日 東北支部総会開催中止のお知らせ 東北支部の加盟店へ郵送連絡 3 月 24 日 電池寄付のお願い JHIDA 会員に電池の寄付を募る ・義援金のお願い 補聴器・電池の提供などの支援を業界三団体 で協力し実施運用していくことを合意 ・代替補聴器の無償提供 3 月 25 日 業界支援発表(プレスリリース) ・無償修理点検 ・補聴器用電池の提供 3 月 28 日 東北 6 県情報窓口設置のお知らせ 3 月 30 日 厚生労働省発事務連絡 4月1日 寄付電池を東北 6 県窓口へ発送開始 ・窓口店から県内の加盟店や避難所等へ配布 4月4日 補聴器業界合同三役会議 各団体の支援状況と経過報告 ・震災対応の情報窓口を各県に設置 業界の支援内容と連絡先が都道府県等に情 報提供される ・電池寄付集計 4月8日 JHIDA-news72 号発行 ・義援金一次締め切り ・イベント中止のお知らせ 4 月 10 日 4 月 13 日 4 月 22 日 NPO-JHITA 理事会 日補工の月例会で被災支援を協議 (JHIDA 理事長・事務局長出席) 電力使用量調査 ・見舞金配布のための募金決定 ・販売店に対する支援について協議を行う 4 月 25 日 JHIDA 理事会義援金の配布決議 4 月 28 日 被災と復旧状況の調査開始 ・岩手県,宮城県,福島県への訪問 ・4 月までの状況報告を東北支部加盟店舗へ 依頼 ・JHIDA・JHITA の 2 団体の三役と事務局 5 月 11 日 被災地域訪問 で被災地域を訪問 ・義援の「お見舞い一時金」を JHIDA 加盟 店と JHITA 会員へ手渡し 東北 6 県の加盟店へ被災支援の詳細報告書 7 月 11 日 補聴器支援の詳細報告書 9月6日 業界の支援発表(プレスリリース) 補聴器業界 3 団体の支援報告 9月2日 JHIDA 理事会が義援金の追加配布を決議 総額 10 月 3 日 JHIDA は義援を配布 岩手県,宮城県,福島県の加盟店へ 11 月 10 日 JHITA 理事会が義援金の追加配布を決議 総額 11 月 18 日 JHITA は義援金を配布 岩手県,宮城県,福島県の会員へ の提出を依頼 3,106,000 円余 819,000 円余 被災地の支援体勢 一般社団法人日本補聴器販売店協会 東北 6 県(青森県,岩手県,秋田県,宮城県,山形県,福島県)の加盟店舗数 その内,岩手県,宮城県,福島県の加盟店数 79 店舗 45 店舗 NPO 法人日本補聴器技能者協会 東北 6 県(青森県,岩手県,秋田県,宮城県,山形県,福島県)の会員数 その内,岩手県,宮城県,福島県の会員数 40 名 21 名 支援結果 各県への支援状況 代替え 補聴器 構成比 補聴器提供 構成比 無償修理 電池 (パック) 構成比 青森県 10 2.1% 4 2.2% 215 2.4% 岩手県 125 36.6% 31 16.9% 2,249 25.1% 宮城県 277 58.9% 120 65.6% 5,928 66.3% 秋田県 3 0.6% 0 0.0% 10 0.1% 山形県 4 0.9% 2 1.1% 20 0.2% 福島県 51 10.9% 26 14.7% 523 5.8% 合計 470 100.0% 183 100.0% 8,945 100.0% 代替え補聴器及び無償修理の支援方法 代替え補聴器 無償修理 ご来店 268 149 自宅訪問 58 20 避難所訪問 144 14 合計 470 183 補聴器用空気電池の配布方法 店頭 1,690 自宅訪問 303 避難所訪問 576 その他 2,354 詳細不明 4,022 合計 8,945 ※その他:聾学校,ケアホームなど まとめ ●補聴器支援の特質 ・補聴器は家庭で使用される管理医療機器である。これには一人ひとりの聞こえに合わせての調整作業 が伴うので,これを聞こえの不自由な方々へ手渡すだけでは使えない。 ・補聴器の現状はデジタル化が進み,その調整はパソコンに接続して行われる。 ・これには当該補聴器メーカーが提供したパソコンソフト上でのみ調整可能なので,支援は各メーカー 製品を取り扱う店舗に限られる。 ・調整の実際は,補聴器に関して一定の知識・技能が求められ,これを対面で行う必要がある。支援は 人員の数での解決は難しい。 ●発生した問題・状況 ・使用者は,被災によって①補聴器を持参して,②持参しても故障して,③持参しないで(紛失・津波 流出して)避難している。 ・持参していても電池切れ(最短 1 週間~)で使用できず。補聴器装用者は音による情報が途絶えた。 難聴者団体からも電池提供の要請があった。 ・一方,被災した地域の会員店舗自身も被災しており,支店の被害状況,従業員やその家族の安否の確 認から始まった。 ・運良く店舗の破壊が免れても,ライフラインが停止。電話やインターネットの情報インフラも使えな かった。 ・車の所有者では,カーラジオ・テレビが有効な情報源になった。しかしガソリン不足で行動も制限さ れた。 ・ガソリン不足のため活動範囲が制限され支援活動が徒歩・自転車での活動になった。行政に支援者と して登録がされれば,特別にガソリン供給を受けることができましたが補聴器販売店では,登録申請 も受理されず却下された。 ・今まで補聴器の必要性を感じていなかった軽度難聴者の方も避難所生活で難聴を意識し補聴器の必要 性を強く感じていた様子。 ・情報インフラが復旧する前の状況は,支援情報が同時に全域に届かず,不正解な情報による混乱を招 いた。 ●問題への対応 ・東北 6 県に事務局と連絡が取れる会員店舗を情報窓口とし,これを行政等へも公開した。 ・全国の会員店舗(東北支部を除く)に対して電池の寄附を求め,これを窓口経由で現地の会員店舗へ 配布した。 ・日本補聴器工業会の各加盟社は①代替え補聴器の無償提供,②修理の無償提供,③電池の無償提供を 決めた。 ・当協会の現地の会員店舗は NPO 法人日本補聴器技能者協会の現地会員と協力して補聴器使用者へ適 用する調整業務を無償で提供した。 ・地域の会員店舗が避難所を巡回して支援をおこなった。 ●その他 ・難聴者が避難所や避難先で集団生活や慣れない環境で生活していく場合,周囲の人々とのコミュニ ケーションがとれることが重要に感じた。調和した人間関係を築きストレスの少ない生活を送るため には補聴器の必要性を感じた。 ・一般物資のように配布された補聴器もあり,手にした被災者は調整されていないため使用できず困 惑していた。 ・販売店でご購入されたお客様であれば,調整(フィッティング)記録されており,支援活動がスム ーズであった。対面販売であるからこそできた支援だったのではないか。 ・補聴器のデジタル化でその調整に使用するパソコンソフトがどの補聴器にも共通して使用できない 不都合があった。
© Copyright 2024 Paperzz