化学工学II 講義時間:水曜6限 場所 :旧化3 担当 :山村 1 中間試験 5月30日(水)17:50 化3 試験範囲:5/23まで内容を含む 持ち込み不可 電卓必須 2 2つの塗装方式:プレコート&ポストコート a.プレコート http://www.nsc.co.jp/ 鋼板 メッキ コーティング 加工 http://www2.nissan.co.jp/MARCH/K12/0508/STYLE/main1.html b.ポストコート 3 球からの拡散(1) -自動車噴霧塗装液体→ガス中へ 溶剤蒸発・拡散 気流 液滴分裂 車体面 g 重力による垂れ 塗装ガン Renault例 アルミ粉の配向 (シルバー系) 液ジェットの 分裂 回転 図出典www.fluent.co.jp 0.8 0.6 0.4 0.2 0 粘度 溶剤濃度 1 時間 距離 時間 4 図出典www2.nissan.co.jp/AREA/FUKUOKA/INFORMATION/virtual2.html 球面上の拡散(2)-教科書中の事例多孔性粒子への吸着 教科書170ページ (光触媒、脱臭) 気流内に浮遊する液滴の乾燥 教科書196ページ (噴霧熱分解によるナノ粒子製造) (食品フリーズドライ) 晶析 教科書220ページ 気固触媒反応 教科書329ページ 5 球面上の拡散(4) A, Bからなる2成分系フィルムを考える 濃度分布はフィルム厚み方向(r方向)のみに存在すると仮定 R2 r R1 球 濃度分布 xA1 xA2 フィルム モル流束NA (固定座標系) 6 球面上の拡散(5)-シェルバランス- r 厚み∆r、面積4πr2のシェルを考える。 固定座標系でのモル流束をNAとすれば 単位時間にシェルへ流入するモル数は {4πr2 NA}| r r+∆r 単位時間にシェルから流出するモル数は {4πr2NA}| r+∆r 定常状態を仮定すると物質収支から 0 = {4πr2 NA}| r - {4πr2NA}| r+∆r シェル厚み∆rで両辺を除すと {4πr2 NA}| r - {4πr2NA}| r+∆r 0= ∆r 7 球面上の拡散(6)-シェルバランスつづき無限に薄いシェル(∆r→0)を考えれば d(r2NA) 0= dr Fickの法則が成り立つと仮定すると、A成分の固定 座標系におけるモル流束は dC A N A = − DAB + xA ( N A + N B ) dr 簡単のため等モル向流拡散(NA= - NB )を考えると dC A N A = − DAB dr 従って解くべき微分方程式は d 2 dC A d 2 dx A 0 = − r DAB = − r Ct DAB dr dr dr dr 8 球面上の拡散(7)-境界条件モル分率xA1 R1 R2 モル分率xA2 フィルム表面・底面のモル分率がそれぞれ固定されている場合 境界条件 r=R1 : xA=xA1 r=R2 : xA=xA2 9 球面上の拡散(8) -微分方程式の解更に拡散係数が一定ならば支配方程式は d 2 dx A = 0 r dr dr r方向に2度積分して C1 x A = − + C2 r 境界条件 r=R1 : xA=xA1、r=R2 : xA=xA2 より積分定数は x A 2 − x A1 C1 = 1 / R1 − 1 / R2 1 x A 2 − x A1 C2 = x A1 + R1 1 / R1 − 1 / R2 よって濃度分布は x A − x A1 1 / R1 − 1 / r = 境界条件チェック 10 x A 2 − x A1 1 / R1 − 1 / R2 球面上の拡散(9) -微分方程式の解この濃度分布の1回微分は dx A x A 2 − x A1 1 = dr 1 / R1 − 1 / R2 r 2 従ってモル流束は dx A N A = − DAB Ct dr x A 2 − x A1 1 = − DAB Ct 1 / R1 − 1 / R2 r 2 無限に広い空間におかれた球からの拡散の場合 R2 → ∞でx A2 = 0から R1 N A = D AB C t 2 x A1 r 11 モル流束 球面上の拡散:QUIZ- 薬 1 μ m ポリマー コーティング 1)溶解 (a) 望ましい溶出曲線 (b) 実際の曲線 体内滞留時間 2)拡散 Q.溶出曲線を(b)から(a)に近づけたい。 効果的な方法はどれか? 1. コーティング厚みの増加 2. コア(薬)濃度の増加 3. 拡散係数の増加(多孔コーティング層) 12 球からの拡散(2) -新しいナノ粒子の合成法- 塩を添加して粒子凝集を防止→ナノ粒子 図出典http://home.hiroshima-u.ac.jp/aerosol/npc/topic-sasp.html 13 表面反応を伴う球面上の拡散(1) 1)拡散 過飽和 2)表面反応 仮定1)球表面でB→Aの1次反応 2)球は無限に広い水中にあり R2→∞ 球表面(r=R1)におけるモル流束は x A2 − x A1 1 N A = − DAB Ct 1 / R1 − 1 / R2 r 2 R1 結晶核 x A2 − x A1 1 = − DAB Ct 1 / R1 R12 ∴NA x A1 − x A 2 = DAB Ct R1 14 表面反応を伴う球面上の拡散(2) 一方、球表面における反応速度は1次反応なら rA = kCB1 = kCt xB1 = kCt (1 − x A1 ) 単位:k[m/s], Ct[mol/m3] 定常状態で球表面で反応速度とモル流束は等しいから x A1 − x A 2 N A = DAB Ct = kCt (1 − x A1 ) R1 従って NA x A1 = 1 − kCt 代入すると NA 1 − − x A2 kCt N A = DAB Ct R1 15 表面反応を伴う球面上の拡散(3) 整理すれば ( DAB / R1 )Ct (1 − x A 2 ), NA = DAB / R1 1+ k x A1 = 1 − 1 1+ k (1 − x A 2 ) DAB / R1 特別な場合 1)DAB/R1>>k 拡散速度に比べて反応速度が非常に遅い (反応律速) N A = kCt (1 − x A 2 ), x A1 = x A 2 (濃度勾配は消滅) 2)DAB/R1<<k 拡散速度に比べて反応速度が非常に速い (拡散律速) 拡散律速 反応律速 DAB Ct NA NA = (1 − x A 2 ), x A1 = 1 R1 DAB/R1 16 ミッション: □ 質量平均速度とモル平均速度を質量分率とモル分率の関数として記述することができる □ 質量流束とモル流束を固定座標系および質量(モル)平均速度基準で記述することができる □ 濃度場のシェルバランスを取ることができる □ フィルム中への等モル相互拡散の濃度分布を求めることができる □ フィルム中への一方拡散の濃度分布を求めることができる □ 均一反応を伴う拡散の濃度分布を求めることができる □ 表面反応を伴う拡散の濃度分布を求めることができる □ 円柱面上における拡散の濃度分布を求めることができる □ 球面上における拡散の濃度分布を求めることができる □ 物質移動係数の物理的意味を述べることができる □ 等モル相互拡散および一方拡散の物質移動係数を記述することができる □ 異相界面を横切る質量流束を記述することができる □ 総括物質移動係数を用いて質量流束を記述することができる □ ガス吸収装置内の物質収支を取ることができる □ 設計条件を満たすガス吸収装置の高さを求めることができる □ 吸着装置内の物質収支を取ることができる □ 設計条件を満たす吸着装置の高さを求めることができる □ 膜分離装置内の物質収支を取ることができる □ 設計条件を満たす膜分離装置の長さを求めることができる □ 乾燥装置内の物質収支を取ることができる 17 球面上の拡散 –report6- 氏名 [問1]球面上にコーティングされたフィルム内の拡散を考える。 シェルバランスをとり固定座標系における成分Aのモル流束NAに ついて次式を導出せよ。ただし定常状態を仮定してよい。 0= ( d 2 r NA dr ) [問2]フィルム内の成分Bは静止していると仮定する。この一方拡散の 条件下で、拡散係数を一定と仮定したとき、境界条件r=R1 : xA=xA1、 r=R2 : xA=xA2 の場合の成分Aのモル分率分布は次式で与えられることを示せ。 1 / r −1 / R1 1 − x A 1 − x A 2 1/ R2 −1/ R1 = 1 − x A1 1 − x A1 [問3] 成分Aの濃度が非常に薄い(xA<<1)場合、次の近似が成り立つ。 k k 1 − x A 2 x A1 − x A 2 x −x = 1 + ≈ 1 + k A1 A 2 1 − x A1 1 − x A1 1 − x A1 この近似式を用いて、 問2で導いた一方拡散のモル分率の式が、 下に示す等モル向流拡散の式に一致することを示せ。 x A − x A1 1 / R1 − 1 / r = x A 2 − x A1 1 / R1 − 1 / R2 18
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