1 第 章 知識経済、クラスター、バリュー・チェーン 東洋大学国際地域学部

第○章
知識経済、クラスター、バリュー・チェーン
東洋大学国際地域学部
准教授
久松佳彰
第1節
米墨の知識経済、クラスター、バリュー・チェーン
1.はじめに
世 界 銀 行 が 1998 年 9 月 に 出 版 し た 『 世 界 開 発 報 告 〈 1998・ 99〉 開 発 に お け
る知識と情報』
( 原 題 は Knowledge for Development)か ら 10 年 を 過 ぎ 、世 界
における知識経済の役割はますます高まっている。知識経済を、世界市場の中
で必要な知識を利用し、かつ生産することと定義すれば、現下の世界経済危機
を乗り越えた時にも、知識経済の役割は高まりこそすれ、低まることはないよ
う に 思 わ れ る 。 こ の 10 年 の 知 識 経 済 の 発 展 に 大 き く 寄 与 し た の が 、 教 育 の 向
上 と 共 に 、 情 報 通 信 技 術 ( Information and Communication Technology、 略
し て ICT) と 言 わ れ る イ ン タ ー ネ ッ ト と パ ー ソ ナ ル ・ コ ン ピ ュ ー タ に 代 表 さ れ
る通信ネットワークの普及、そして個人向け通信・計算機器の生産の拡大であ
ろう。これらの電子機器を知識経済のトップランナーである米国に供給してき
た 主 要 生 産 国 の 一 つ が 隣 国 メ キ シ コ で あ っ た 。 こ の こ と の 反 映 が い わ ゆ る IT
関 連 機 器 が メ キ シ コ の 輸 出 に 占 め る 大 き さ( 2007 年 で 23.4%)で あ る( 巻 末 資
料 を 参 照 の こ と )。 そ し て 、 こ の 生 産 プ ロ セ ス に あ た っ て は 世 界 大 で の バ リ ュ
ー・チェーンの展開(これはオフショアリングの別の名前である)およびメキ
シコ国内でのハイテク電気電子クラスターの発展があった。米墨間の国際分業
を IT 関 連 機 器 に つ い て 理 解 す る た め に は 、 こ の メ キ シ コ 国 内 の ク ラ ス タ ー 発
展 の 主 導 者 で あ っ た Electronic Manufacturing Service (EMS)企 業 ( 設 計 製 造
請負サービス企業)の動向および、グローバル化のなかでどのようにメキシコ
がグローバル・バリュー・チェーンの中に自らを埋め込んだかを理解する必要
がある。
以下 の本章 の構 成に ついて 図 1 を 利用 して 説明す る。本 節では、世界の 知識
1
経済のトップランナーの一国である米国および、米国と国境を接したメキシコ
の知識経済の現状を把握する。第二節では、知識経済を生産面で支えるクラス
タ ー の 主 要 ア ク タ ー で あ る EMS に つ い て 主 要 企 業 を ピ ッ ク ア ッ プ し て 取 り 上
げる。第三節では、バリュー・チェーンについて特にメキシコ一国に焦点をあ
てて垂直分業という視点から投入産出表を用いてデータ分析を行う。第四節は
結語である。
図1
本章の構成
ICT 製 品
知識経済度
高
米国
販 売 ・購 入 ・利 用
海 外 (アジ
ア)から
部品調達
<第 1 節 >
低
EMS 企 業 の
生産基地
メキシコ (クラスター発 展 )
<第 2 節 >
バリュー・
バリュー ・ チェーン
<第 3 節 >
出所:筆者作成
2.米国とメキシコの知識経済の現状
知識経済の現状を知るためには、世界銀行がまとめている知識経済指標
( Knowledge Economy Index: KEI) を 利 用 す る の が 便 利 で あ る 。 KEI は 、 世
界 の 140 カ 国 を 対 象 と し て 次 の 四 つ の 指 数 の 単 純 平 均 と し て 計 算 さ れ 、指 数 と
順 位 で 表 さ れ て い る ( 注 1 )。
① 経済インセンティブと制度の体系(インセンティブ指数)
② 教育と訓練(教育指数)
③ 技術革新と技術導入(技術革新指数)
④ 情 報 通 信 技 術 イ ン フ ラ ス ト ラ ク チ ャ ー ( ICT 指 数 )
2
この四つの指標が知識経済の程度を測る上で重要であることを世界銀行の説
明に従って簡単に説明しよう。第一に、一国の経済インセンティブと制度につ
いての体系が整備されていると、すでに存在する知識を効率的に利用できると
共に、企業家精神も開花することができる。第二に、教育と訓練により、熟練
を積み重ねた人々は知識を創造し、共有し、利用することに長けている。第三
に、企業、研究拠点、大学、各種コンサルタント、そしてその他の組織が形成
する効率的な技術革新のシステムができあがると、世界大の知識を把握し、こ
れを現場の必要に合わせて工夫し加工し、新しい技術を生み出すことが可能に
なる。第四に、高度な情報通信技術インフラストラクチャーがあることによっ
て、情報が効果的に創造され、配信され、そして加工されることになる。
表1は、知識経済指数の順位と指数を、先ほど説明した四つの下位指数の順
位 と 指 数 と 共 に 米 国 と メ キ シ コ お よ び 数 カ 国( ハ ン ガ リ ー 、ロ シ ア 、ブ ラ ジ ル 、
中 国 、イ ン ド 、日 本 )に つ い て 示 し た も の で あ る( 注 2 )。い ず れ の 知 識 経 済 指
数およびいずれの下位指数においても米国がもっとも順位が高い。メキシコの
位 置 は 、知 識 経 済 指 数 で は 米 国・日 本 の み な ら ず ハ ン ガ リ ー よ り も 低 く 、中 国 ・
インドよりは高く、ロシアやブラジルとほぼ同じ位置にある。ロシア・ブラジ
ルと比べて、構成要素を見ると、ロシアおよびブラジルはインセンティブ指数
が低いという特徴があるのに対して、メキシコは教育指数が低いという特徴が
ある。
表1 知識経済の
知識経済の現状(
現状(2008年
2008年)
知識経済 知識経済 インセンティブ インセンティブ 技術革新 技術革新 教育指数
ICT指数
国名
教育指数
指数順位
指数
指数順位
指数
指数順位
指数
順位
順位
米国
9
9.08
14
9.16
7
9.45
13
8.77
13
メキシコ
59
5.45
63
5.38
52
5.82
73
4.85
59
ハンガリー
ロシア
ブラジル
中国
インド
28
61
54
77
100
7.85
5.40
5.57
4.35
3.12
23
124
73
80
91
8.39
1.55
4.30
4.01
3.67
ICT指数
8.93
5.77
26
38
49
64
81
8.14
6.89
6.07
5.12
3.97
33
37
54
87
105
7.62
7.09
5.84
4.11
2.26
40
55
54
84
112
7.25
6.08
6.08
4.16
2.59
日本
19
8.56
34
7.71
12
(出所)世界銀行、『KAM 2008』 www.worldbank.org/kam
9.15
14
8.71
19
8.66
3
以上から、米国とメキシコは知識経済の点から見て、大きな差のある二国間
関係であるということができる。米国はヨーロッパの小国が上位を占める中に
あ っ て 9 位 に つ け て い る が 、 メ キ シ コ は 140 カ 国 の 真 ん 中 よ り や や 上 の 59 位
で あ る 。 こ の 違 い は 、 当 然 な が ら 、 ICT 産 業 の よ う な 知 識 経 済 の 生 産 面 に お け
る 違 い に 現 れ る 。後 述 す る よ う に ICT 産 業 の バ リ ュ ー・チ ェ ー ン は メ キ シ コ を
含めて世界に広がっているが、バリュー・チェーンの中でもっとも利益をあげ
ているのは研究開発とマーケティングをおこなう製品ブランドを所有する企業、
す な わ ち 先 進 国 に 立 地 す る ブ ラ ン ド 企 業( iPod で 言 え ば ア ッ プ ル )で あ る こ と
が 知 ら れ て い る( 注 3 )。す な わ ち 、生 産 の グ ロ ー バ リ ゼ ー シ ョ ン の 恩 恵 は 先 進
国に大きく、メキシコのような中進国は、組み立て工程でバリュー・チェーン
には参加しているもののその恩恵をもっとも得ているわけではない。言い換え
れば、各国はその知識経済の発達程度に応じてバリュー・チェーンでの役割が
分相応に決まっているということになる。今後の方向性をメキシコ側から見れ
ば、今度はバリュー・チェーンの中で階段を上がっていけばよいということに
なるであろう。
知識経済を、とくに情報通信技術インフラストラクチャーの生産面、すなわ
ち エ レ ク ト ロ ニ ク ス 産 業 の 中 で も 情 報 通 信 技 術 産 業 (ICT 産 業 )に 特 徴 的 な 生 産
プ ロ セ ス に 絞 っ て デ ー タ か ら 見 て み よ う 。 ICT 産 業 の 生 産 面 で の 特 徴 は 、 一 地
域 で の 集 積 生 産 (agglomeration)、す な わ ち ク ラ ス タ ー 化 、と 世 界 に 広 が る バ リ
ュー・チェーンの拡大にあるが、その他のアパレルなどの製造業においてもし
ば し ば 見 ら れ る 特 徴 で あ る ( 注 4 )。
3.クラスターの発展とバリュー・チェーンの展開
世 界 経 済 フ ォ ー ラ ム に よ る「 世 界 競 争 力 報 告 書 2008-2009 年 版 」の 134 カ 国
の中での世界競争力ランキングの作成において、
「 ク ラ ス タ ー 発 展 の 現 状 」と「 バ
リュー・チェーンの幅」の二指標について各国を比較して指標化がなされてい
る 。い ず れ も 専 門 家 へ の ア ン ケ ー ト の 回 答 か ら 作 ら れ た も の で 、
「クラスター発
4
展 の 現 状 」に つ い て の 質 問 は 、
『 あ な た の 経 済 に お い て 、よ く 発 展 し た ク ラ ス タ
ーが無いもしくは稀であれば1、多くの分野に広がっていれば7、と答えてく
だ さ い 』と い う も の で あ り 、
「 バ リ ュ ー・チ ェ ー ン の 幅 」に つ い て の 質 問 は 、
『あ
なたの経済における輸出企業は、バリュー・チェーンの中の一つの部分に留ま
っていれば1、バリュー・チェーンの全体に広がっていれば7、と答えてくだ
さい』というものであった。すなわち、両指標において、数字が高ければ良い
ということになる。
国名
米国
メキシコ
ハンガリー
ロシア
ブラジル
中国
インド
表2 クラスター発展
クラスター発展の
発展の現状と
現状とバリュー・
バリュー・チェーンの
チェーンの幅
クラスター発展 クラスター発展 バリュー・チェー バリュー・チェー
の現状(順位) の現状(点数) ンの幅(順位) ンの幅(点数)
2
5.6
8
5.7
58
3.6
59
3.8
51
96
43
19
24
3.7
3.0
3.9
4.6
4.5
46
105
66
56
28
日本
5
5.2
2
(出所)世界経済フォーラム、「世界競争力報告書2008-2009年版」
4.0
3.0
3.6
3.8
4.5
6.0
表 2 では米 国・メ キ シコお よびそ の他 の数 カ国に ついて 、この 二 つの指 標を
示 し て い る 。 米 国 は い ず れ の 指 標 も 上 位 10 位 に 入 っ て お り 、 メ キ シ コ は 134
カ国の中の真ん中に位置しており、両国には大きな差があることがわかる。イ
ンドが両指標で比較的高い点数をつけており、中国もクラスター発展では高い
点数をつけていることに注意されたい。
そ れ に も か か わ ら ず 、 メ キ シ コ の IT 関 連 機 器 の 輸 出 は メ キ シ コ の 全 体 の 輸
出の約 4 分の1を占めるまでになっている。クラスターの発展やバリュー・チ
ェ ー ン の 幅 が 要 求 さ れ る ICT 産 業 に お い て 、表 2 の よ う に 必 ず し も 発 達 し て い
るとはいえないメキシコにおいてなぜこのような発展が可能だったのだろうか。
その答えは、米国系多国籍企業を中心とするクラスターの形成と、米国およ
5
び世界を巻き込んだバリュー・チェーンの形成であった。なるほど、そこには
メキシコ人の現地マネージャーの輸入代替工業から輸出促進への積極的な転換
努 力 が あ っ た こ と も 事 実 で あ る( 注 5 )。し か し 、そ の 発 展 の 源 は 、米 国 系 多 国
籍企業がメキシコを組み立て加工において積極的に活用したことにあった。特
に、
『 南 の シ リ コ ン・バ レ ー 』と の 異 名 を と っ た ハ リ ス コ 州 グ ア ダ ラ ハ ラ 市 の 近
郊 に 広 が る ハ イ テ ク 電 子 機 器 ク ラ ス タ ー の 展 開 に は こ れ が 顕 著 で あ っ た( 注 6 )。
グ ア ダ ラ ハ ラ 近 郊 の ク ラ ス タ ー に は 、 IBM、 HP、 Intel な ど の 有 名 企 業 が 立
地 し て い る が 、 生 産 と 雇 用 の 中 心 は Foxconn、 Flextronics、 Jabil Circuit、
Sanmina SCI な ど の Electronic Manufacturing Service (EMS)と も Contract
Manufactures (CM)と も 呼 ば れ る 設 計 製 造 請 負 サ ー ビ ス 企 業 で あ る 。 こ こ に 、
メキシコのクラスター発展を、世界大のバリュー・チェーンの中に位置づけた
米 墨 間 の 国 際 分 業 が ICT 産 業 を 中 心 と す る ハ イ テ ク 電 気 電 子 部 門 に お い て 成
立 し た の で あ る 。 す な わ ち 、 EMS 企 業 の 活 動 を 抜 き に し て は 、 現 状 の ICT 産
業 に お け る 米 墨 間 の 国 際 分 業 は 語 る こ と は で き な い で あ ろ う 。 言 わ ば 、 EMS
企業が大挙してメキシコを離れれば、この分野での国際分業は大幅に縮小する
可 能 性 も あ る の で あ る 。 次 節 で は 、 メ キ シ コ に 立 地 し て い る 主 要 な 海 外 EMS
企業を取り上げて、その動向を明らかにする。
第2節
ク ラ ス タ ー の 発 展 を 支 え る EMS
1 . ICT 産 業 に お け る EMS の 重 要 性
設 計 製 造 請 負 サ ー ビ ス( Electronic Manufacturing Service: EMS)企 業 の 重
要 性 を 示 す エ ピ ソ ー ド は 、 ア ッ プ ル 社 の iPhone も 任 天 堂 の Wii の コ ン ソ ー ル
も 、EMS の ト ッ プ 企 業 で あ る 台 湾 の Hon Hai Precision Industry Co., Ltd.( 鴻
海 精 密 工 業 , 通 称 Foxconn) が 生 産 を お こ な っ て い る こ と だ ろ う 。
現在、多くの産業においてグローバル・サプライヤーと呼ばれる企業が、重
要な生産工程について看板企業を代行して営んでいる。例えば、自動車におけ
るマグナ社が一例である。これらはしばしば事業の外部委託、すなわちアウト
6
ソーシングと呼ばれる。また、企業内外に関わらず、海外に移管されるとオフ
シ ョ ア リ ン グ と 呼 ば れ る 。 ICT 産 業 が 位 置 す る エ レ ク ト ロ ニ ク ス 産 業 に お い て
は 、世 界 大 に 広 が る バ リ ュ ー・チ ェ ー ン の 中 で 最 適 生 産 配 置 が 、EMS 企 業 を 利
用 し て 行 わ れ て い る 。表 3 が 業 界 誌 で あ る EDN.com が 調 べ た 2007 年 の ト ッ プ
10EMS 企 業 で あ る 。 台 湾 系 の 企 業 と 米 国 系 の 企 業 が 多 い 。 Flextronics 社 は シ
ンガポールに本社が存在しているが、実質的には米国系企業と言ってよいと思
わ れ る ( 注 7 )。
表3 EMSトップ
EMSトップ10
トップ10企業
10企業(
企業(2007年
2007年ランキング)
ランキング)
売上(2006年)
本拠地(もしくは上場地)
従業員(2006年)
備考
百万ドル
Hon Hai Precision Industry 台湾
40,527.2
200,000
Flextronics
シンガポール
17,707.8
100,000
Asustek
台湾
17,195.7
100,000
Quanta Computer
台湾
16,503.4
30,000
Solectron
米国・カリフォルニア州
11,200.0
50,000 2007年にFlextronicsが買収
Sanmina-SCI
米国・カリフォルニア州
10,955.4
54,397
Jabil Circuit
米国・フロリダ州
10,300.0
75,000
Celestica
カナダ
8,800.0
42,000
Inventec
台湾
7,890.3
21,847
TPV Technology
香港/シンガポール
7,176.3
25,582
(出所)"2007 Electronic Business Top Contract Manufactures" EDN.com (September,2007)に筆者が加筆修正
企業名
な お 、EMS 企 業 の 動 向 を 具 体 的 に 叙 述 す る 際 に 、考 慮 す べ き 点 を 二 点 述 べ る 。
一つは、現下の世界経済危機による不確実性である。今後、世界経済の動向に
よ り 多 く の 企 業 が 苦 境 に 陥 る で あ ろ う し 、EMS 企 業 も 例 外 で は な い だ ろ う 。も
う 一 つ は 、 こ の 世 界 経 済 危 機 に よ っ て EMS と い う 形 態 が 打 撃 を 受 け る の で は
ないかという疑問である。
世 界 経 済 危 機 に よ る 不 確 実 性 に つ い て は 、 ま さ に EMS 企 業 自 身 も 十 分 に 認
識 し て い る 。世 界 最 大 の EMS 企 業 で あ る Hon Hai Precision Industry Co., Ltd.
( 鴻 海 精 密 工 業 , 通 称 Foxconn) の ト ッ プ で あ る テ リ ー ・ ゴ ウ 氏 が 、 2008 年
12 月 22 日 付 け の ウ ォ ー ル・ス ト リ ー ト・ジ ャ ー ナ ル 紙 に お い て 、
『最悪の事態
は ま だ 来 て い な い 。困 難 は 、全 て の 人 が 考 え る よ り も 三 倍 悪 く な る だ ろ う 。』と
述 べ て い る ( 注 8 )。 す な わ ち 、 今 後 の 経 済 動 向 に 多 く の 不 確 実 性 が あ る た め 、
次節でサーベイする企業行動については、現下の収益性よりも企業の経営戦略
7
に焦点を当てることにする。
次 に 、 世 界 経 済 危 機 に 直 面 し て の EMS と い う ビ ジ ネ ス の 今 後 で あ る が 、 理
論的には国際的なアウトソーシングの発展については次の四点が重要であると
指 摘 さ れ て い る ( 注 9 )。 こ れ は 、 単 純 に Make or Buy の 問 題 と し て 考 え れ ば
よ い 。 す な わ ち 、 自 前 で 生 産 す る (make)か 、 EMS 企 業 に 生 産 を 委 託 す る (buy)
かの選択である。第一に、部品や組み立て工程などを供給する市場に世界的に
厚 み が あ る 、す な わ ち 多 く の 企 業 が 存 在 し て い る こ と が 生 産 委 託 に 重 要 で あ る 。
た と え ば 、EMS 企 業 が 独 占 的 で あ れ ば 、請 負 生 産 を 注 文 す る 企 業 は 注 文 後 に ホ
ールド・アップをされてしまうリスクが生じてしまうので自前で生産したほう
が よ い か も し れ な い 。 第 二 に 、 ど の EMS 企 業 に 注 文 を 行 う か 判 断 す る 探 索 過
程に費用があまりかからないことが重要である。費用がかかれば、自前で生産
し た ほ う が よ い か も し れ な い 。第 三 に 、EMS 企 業 に と っ て 、部 品 や 組 み 立 て 工
程を製品ごとにカスタマイズする費用があまりかからないかである。それぞれ
の企業が、それぞれの商品を委託するわけであるから、なんらかのカスタマイ
ズが必要になる。しかし、この費用が高すぎると請負生産企業の大量生産メリ
ットが小さくなる。第四に、契約が行われる各国での法体系である。契約が無
視されたり、覆される可能性のある法体系の国に存在している企業とは取引が
行われにくいからだ。
上記の四点について、現下の世界経済危機がどのように影響するか簡単に考
察 し て み よ う 。も っ と も 懸 念 さ れ る の は 第 一 の 点 で あ る 。経 済 危 機 に よ り 、EMS
企 業 間 で 合 併 や 買 収 が 加 速 す る と 、よ り 競 争 が 押 さ え 込 ま れ 、EMS 企 業 は 自 ら
の 首 を 絞 め る こ と に な り か ね な い 。第 二 の 点 に つ い て は 、さ ら な る ICT の 発 達
に よ り EMS は 推 進 さ れ る か も し れ な い 。 第 三 の 点 は 、 既 存 の 製 品 に つ い て は
デ ジ タ ル 化 が 進 化 し て お り ( 例 、 テ レ ビ )、 生 産 シ ス テ ム を 簡 素 化 さ せ る た め 、
EMS の 推 進 要 因 で あ る 。し か し 、画 期 的 な 新 製 品 の 登 場 は 技 術 的 な 特 性 に よ り
EMS を 抑 制 す る 可 能 性 が あ る 。こ の 点 、経 済 危 機 に よ り 新 規 の 研 究 開 発 に 抑 制
が か か る と す る と 、EMS 抑 制 の 可 能 性 は 小 さ く な る 。第 四 の 点 は 、必 ず し も 景
8
気動向によって法体系の安定性が大きく変動することは想像しにくい。以上の
よ う に 考 え る と 、EMS 業 界 の 競 争 性 が 確 保 さ れ る 限 り 、今 後 も EMS と い う 業
態は継続することが想定される。
以 上 の 考 察 か ら 、 次 項 で は 、 米 墨 の 国 際 分 業 に 関 わ る 主 要 EMS 企 業 の 動 向
を経営戦略に焦点をあてながらレビューすることにする。
2 . 米 墨 国 際 分 業 に 携 わ る 主 要 EMS 企 業
本 項 で は 、 表 3 に 紹 介 し た 世 界 ト ッ プ 1 0 の EMS 企 業 の 中 か ら 米 墨 の 国 際
分 業 に 関 わ る Flextronics、 Sanmina-SCI、 Jabil Circuit、 Celestica の 動 向 と
経営戦略を取り上げる。表4に特徴を掲げる。
表4 主要EMS
主要EMS企業
EMS企業の
企業の特徴
企業名
欧州
Flextronics
ハンガリー、
ポーランドな
ど
アジア
主要セグメント
インフラストラクチャ、移動通
信機器、コンピュータ、消費
中国、日本な 米国、メキシコ シンガポールが
者向けデジタル機器、工業、
ど
など
本拠
半導体、白物製品、自動車・
海・飛行機、医療用品
ハンガリー、
Sanmina-SCI フィンランドな 中国など
ど
アメリカ大陸
備考
コミュニケーション、コン
カリフォルニア
ピュータ、マルチメディア、工
米国、メキシコ
州サンノゼが本
業・半導体システム、防衛・
など
拠
航空、医療、自動車
フロリダ州セン
ト・ピータース
バーグが本拠
Jabil Circuit
ハンガリー、
ポーランドな
ど
Celestica
チェコ、アイル 中国、日本な 米国、メキシコ
カナダを本拠
ランドなど
ど
など
中国、台湾な 米国、メキシ
ど
コ、ブラジル
ネットワーキング、テレコム、
コンピュータ・ストーレッジ、
自動車、医療、ディスプ
レー、移動、周辺機器
企業通信、テレコミュニケーション、
サーバー、工業・航空・防
衛、消費者向け製品、ストー
レッジ
(出所)各社のホームページ、Annual Reportを参考に筆者作成
EMS 主 要 企 業 の 特 徴 は 、第 一 に 、研 究 開 発・ デ ザ イ ン・ 部 品 購 買・ 製 造・ テ
スト・梱包という請負生産委託の全ての面をカバーしていることにある。第二
に、三大陸(欧州・アジア・アメリカ大陸)にまたがってグローバル展開をお
こなっていること、第三に広範な市場セグメントを取り扱っていることが特徴
である。前者については、消費地に近接した労働費用の安価な生産地に工場を
9
もち、大規模な生産を行うことができるようになっている。後者については、
この数年で従来のコンピュータ、移動通信、サーバーなどの分野から自動車・
医療・防衛などの新分野への進出が顕著になっている。
これらの企業は、メキシコ国のグアダラハラ市郊外や北部州に進出して米国
と共にバリュー・チェーンを形成している。多くの場合、アジアから部品を輸
入し、これを国内で生産された部品と合わせて加工組み立てを工場で行い、米
国市場に輸出するという仕組みである。
では、最近そして今後のメキシコの電気電子クラスターの状況はどうだろう
か。もちろん世界経済危機による需要減退の影響を受けると考えられるが、米
国内の生産工場よりは、メキシコへの生産移管が考えられるため、やや影響は
小 さ く な る こ と が 予 想 さ れ る 。 実 際 、 2008 年 11 月 の 時 点 で 、 グ ア ダ ラ ハ ラ 郊
外 の 電 気 電 子 ク ラ ス タ ー の 振 興 組 織 で あ る CADELEC の 代 表 は 「 2008 年 に
4500 人 の 雇 用 が 増 え 、輸 出 は 10% 増 加 す る 」と い う 発 言 を お こ な っ て い る( 注
10)。 し か し 、 今 後 の 米 国 内 の 景 気 の 動 向 お よ び 保 護 主 義 の 高 ま り な ど に は 企
業も注意せざるをえないであろう。
第3節
垂直分業:メキシコにおけるグローバル・バリュー・チェーンの形成
1.垂直分業の概念
前 節 で は 、EMS 企 業 が メ キ シ コ に 進 出 し て 、ク ラ ス タ ー を 形 成 し 、米 大 陸 を
世界と結びつけたバリュー・チェーンを展開したことを述べた。この背景には
1994 年 に 施 行 さ れ た 北 米 自 由 貿 易 協 定 ( NAFTA) お よ び 1994 年 以 降 の テ キ
ーラ危機でメキシコの為替レートが著しく減価したことが挙げられる。こうし
て今日のメキシコ経済の大きな特徴の一つが、メキシコへの直接投資を行なう
外資系企業が対米国を目的とする加工貿易を活発に行っていることであると言
える。国際貿易論では、このような生産・輸出状況を工程間分業もしくは垂直
分業と呼んでいる。このような垂直分業は製造業を中心に、電気電子産業だけ
でなく、アパレル産業、自動車産業において拡大している。本節では、メキシ
10
コ の 垂 直 分 業 状 況 を 一 国 大 で 実 証 的 に 調 べ る ( 注 11)。
国際的なバリュー・チェーンに一国が組み込まれるとき、多くの部品などの
中間財が海外から自国にもたらされ、国内で生産される中間財と共に、自国で
設備・機械および労働を利用して加工・組み立てが行われ、最終財が自国で消
費されたり、また海外に輸出されたりすることになる。この度合いがどのくら
い 一 国 大 で 伸 び て い る か を 計 測 す る 指 標 を 垂 直 分 業 比 率 ( Vertical
Specialization Share) と 呼 ぶ 。 図 2 を 利 用 す れ ば 、 垂 直 分 業 比 率 は 、 海 外 中
間 財 ( A) を 分 子 と し て 、 国 内 販 売 ( D) と 輸 出 ( E) の 和 を 分 母 と し て 計 算 し
た分数で表される。しかし、現実には多数の産業が存在しており、一国内でも
多くの産業の間に複雑な取引関係が存在している。このため、実際にこのよう
な 比 率 を 計 算 す る た め に は 一 国 の 産 業 連 関 表 (Input-Output Table)が 必 要 と な
る。
図 2 「垂 直 分 業 比 率 」の概 念
中 間 財 (部 品 など)
国1
A
国内中間財
B
C
生産要素
(資 本 と労 働 )
国2
最終財
国内販売
D
垂直分業比率
= A/(D+E)
E
国3
輸出
(出 所 )Hummels, Ishii, and Yi (2001)
11
Hummels, Ishii, and Yi( 2001) は 、 世 界 大 で 垂 直 分 業 が 盛 ん に な っ て い る
ことに注目して、ある国の輸出のうちどれだけの部分が直接・間接の輸入財に
よって占められているかについて産業連関表を使って実証的に考察した 。
1990 年 に お い て 日 本 は 11% 程 度 、米 国 も 11% 程 度 、フ ラ ン ス は 24% 程 度 、イ
ギ リ ス は 26% 程 度 、ド イ ツ は 20% 弱 、台 湾 は 40% 程 度( 1995 年 )、韓 国 は 30%
強( 1995 年 )と 計 算 し た 。も ち ろ ん 、こ れ ら の 比 率 を 見 て 、単 純 に あ る 国 は 別
の国に比べて垂直分業が進んでいるということはできない。例えば、石油を専
ら輸入に頼っている国はこの比率が高くなることが予想される。また、しばし
ば経済規模の大きい国は小さい区に比べて比率は小さくなることが知られてい
る。垂直分業が高ければよいとか低ければよくないというようなことは言うこ
とはできない。しかし、経済全体でバリュー・チェーンにどう組み込まれてい
るかを明らかにしてくれる指標といえよう。次項では、メキシコについて垂直
分業比率を計算した結果を紹介する。
2 . メ キ シ コ ( 2003 年 ) の 垂 直 分 業 比 率 の 計 算
メ キ シ コ に つ い て は 、 最 新 の 産 業 連 関 表 は 2003 年 の も の を 利 用 す る こ と が
で き る( 注 12)。Hummels, Ishii, and Yi( 2001)の 方 法 を 20 部 門 の 産 業 連 関
表 に 適 用 し て こ の 比 率 を 計 算 し た と こ ろ メ キ シ コ 全 体 で は 26.1% と な り 、メ キ
シ コ の 輸 出 の 内 訳 に お い て 、そ の 4 分 の 1 が 直 接 ・ 間 接 の 輸 入 投 入 に よ り 占 め
ら れ て い る こ と が 確 認 さ れ た 。 Hummels, Ishii, and Yi( 2001) の 方 法 を 利 用
し て 2002 年 の 中 国 を 計 算 し た Koopman, Wang, and Wei (2008)の 計 算 結 果
( 26.1% ) と ほ ぼ 同 じ 数 字 で あ り 、 加 工 貿 易 で 競 う 両 国 の 内 実 を 示 唆 し た も の
と 言 え る ( 注 13)。 製 造 業 だ け に 絞 る と 、 比 率 は 32.8% に 上 が る 。
垂直分業比率の大きさは、メキシコのグローバルな経済との関わりが不可欠
であることを象徴している。
12
第4節
結語
本章は、米墨間の国際分業関係を知識経済の主要産業である情報通信技術
( ICT) 産 業 に つ い て 検 討 し た 。 世 界 で ト ッ プ ク ラ ス の 知 識 産 業 の 発 達 度 を 見
せている米国と比べ、メキシコは中位度であった。特に、教育程度で劣ること
が今後の課題であろう。一国単位で見たクラスターの発展度合いやバリュー・
チ ェ ー ン の 幅 の 広 さ に つ い て も 世 界 で 中 程 度 で あ る メ キ シ コ は 、 ICT 産 業 に 参
入するためには米系を中心とする多国籍企業を迎え入れ、生産基地となるのが
対処法であった。
メ キ シ コ を 加 工 組 み 立 て の 中 心 と し て 利 用 し た の が 請 負 生 産 組 立( EMS)企
業と呼ばれる多国籍企業であった。これらの企業は、欧州・アジア・米大陸に
またがって効率的な大規模生産を展開しており各地でクラスターと呼ばれる集
積 を 行 っ て い る 。最 近 は 製 品 分 野 に お い て ICT 産 業 だ け で な く 自 動 車 ・防 衛 ・
航 空・医 療 に ま で 拡 大 し て い る 。こ の 基 調 は 当 面 は 継 続 す る で あ ろ う 。そ し て 、
メキシコは生産基地として魅力がある限りは利用されるであろう。
そ の 結 果 と し て 、メ キ シ コ は 国 際 的 な バ リ ュ ー・チ ェ ー ン の 中 に 組 み 込 ま れ 、
垂直分業が進むことになった。この様子は、産業連関表を利用することで検討
し た 。付 加 価 値 ベ ー ス で メ キ シ コ の 輸 出 の 約 4 分 の 1 が 輸 入 さ れ た 海 外 中 間 財
に よ っ て 占 め ら れ る こ と が わ か っ た 。メ キ シ コ の 輸 出 の 8 割 以 上 が 米 国 向 け で
あることを考えると、米墨間の国際分業はアジアなどその他の国を巻き込んだ
多国間のバリュー・チェーンによって支えられていると言うことができる。
今後のメキシコの課題は、マクロ経済の安定を保ちながら、中長期的に知識
経済の度合いを着実に向上させていくことであろう。そのことによって、国内
ではクラスター発展を推進し、国内外に幅の広いバリュー・チェーンを構築し
て い く こ と が で き よ う( 注 14)。90 年 代 以 降 、メ キ シ コ の 低 成 長 を 揶 揄 す る 向
きもあるが、簡単に飛びつける対処療法は存在しないのであろう。地道な知識
経済の向上が望まれる。
13
(注 1)
知 識 経 済 指 数( Knowledge Economy Index)の 詳 細 に つ い て は 、以 下
の 世 界 銀 行 の ホ ー ム ペ ー ジ を 参 照 の こ と 。 www.worldbank.org/kam
(注 2 )
アメリカ、メキシコ以外の国を選択したのは次の理由からである。日
本と中国の製造業における補完的関係は、アメリカとメキシコの関係
に 近 い 。 ブ ラ ジ ル 、 ロ シ ア 、 中 国 、 イ ン ド は い わ ゆ る BRIC と 呼 ば れ
る国々であり、ハンガリーは欧州先進国に対して、製造業において補
完的関係を持っている。下記に一人あたりGDPと人口のデータを掲
載した。
付表 付表 一人あたり
一人あたりGDP
あたりGDPと
GDPと人口(
人口(2006年
2006年)
一人あたりGDP (PPP,米
国名
国ドル)
人口
米国
メキシコ
43,968
12,177
299,398,000
104,221,361
ハンガリー
ロシア
ブラジル
中国
インド
18,277
13,116
8,949
4,644
2,469
10,067,200
142,500,000
189,322,987
1,311,797,692
1,109,811,147
日本
31,947
(出所)世界銀行、World Development Indicators 2008.
127,756,000
(注 3 )
Shin, Kraemer, and Dedrick (2008)
(注 4 )
こ の よ う な 動 き は ICT 産 業 が 位 置 す る エ レ ク ト ロ ニ ク ス に の み に 限
ら れ る も の で は な い 。こ の こ と に つ い て は 、バ ー ガ ー 他( 2006)を 参
照のこと。
(注 5 )
こ の 点 に つ い て は 、 Hisamatsu (2008)を 参 照 の こ と 。
(注 6 )
こ の 点 に つ い て は 、Hisamatsu (2008)を 参 照 の こ と 。メ キ シ コ 国 内 の
他 の ク ラ ス タ ー と の 比 較 に つ い て は 、Kuznetsov and Dahlman (2008)
を参照のこと。
(注 7 )
な お 、日 本 企 業 と し て は 大 阪 に 本 社 を 持 つ シ ー ク ス 社 (SIIX)が 19 位 に
エントリーされている。また、類似のランキングを提供しているサイ
14
ト と し て Manufacturing Market (www.mfgmkt.com) が あ り 、 The
MMI Top 50 EMS providers for 2007 に は 、 Hon Hai Precision,
Flextronics, Jabil Circuit, Sanmina-SCI, Celestica, Elcoteq, Kinpo
Electronics, Benchmark Electronics, Venture, Universal Scientific
Industrial が ト ッ プ 10 と し て 挙 げ ら れ て い る 。
(注 8 )
Ting-I Tsai, “Taiwan Tech Firm Forecasts more Gloom.” Wall Street
Journal , December 22, 2008.
(注 9 )
Grossman and Helpman (2005)に 基 づ い て い る 。
(注 10)
Milenio 紙 2008 年 11 月 19 日 ”Emilio apoyaría con fondo a sector
electrónico”.に 掲 載 さ れ た CADELEC 代 表 の Octavio Parga Jiménez
氏 の 発 言 。 な お 、 Parga Jiménez 氏 は Sanmina-SCI グ ア ダ ラ ハ ラ 工
場 の 副 社 長 を 2003 年 か ら 務 め て い る 。
(注 11)
本 節 は 、2008 年 ラ テ ン・ア メ リ カ 政 経 学 会( 上 智 大 学 )に お け る 筆 者
の報告に部分的に依拠している。
(注 12)
メ キ シ コ 国 立 経 済 地 理 情 報 院 (INEGI)の ホ ー ム ペ ー ジ か ら 産 業 連 関 表
はダウンロードすることができる。
(注 13)
Koopman, Wang, and Wei (2008) Table 3。な お 、Koopman, Wang, and
Wei (2008)は 、 輸 出 向 け 産 品 と 国 内 向 け 産 品 の 輸 入 投 入 係 数 が 同 じ と
い う 仮 定 を 行 な っ た Hummels, Ishii, and Yi( 2001)の 方 法 を 批 判 し 、
修正法を提案した。彼らの方法を使って、メキシコ・データで再計算
するのは今後の課題である。
(注 14)
本 章 の こ の 見 通 し は 、 中 進 国 に つ い て の UNIDO (2009)の 提 言 と 基 本
的には同方向にある。
15
参考文献
ス ザ ン ヌ・バ ー ガ ー 、MIT 産 業 生 産 性 セ ン タ ー『 MIT チ ー ム の 調 査 研 究 に よ る
グ ロ ー バ ル 企 業 の 成 功 戦 略 』 草 思 社 、 2006 年 。
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Economy.” Review of Economic Studies , 72, pp.135-159, 2005.
Hisamatsu, Yoshiaki. “The Evolution of the High-Tech Electronics Cluster
in Guadalajara, Mexico.” in A. Kikuchi and M. Tsuji, eds. The
Flowchart Approach to Industrial Cluster Policy . IDE-JETRO-Palgrave
Macmillan. 2008.
Hummels, David, Jun Ishii, and Kei-Mu Yi, “The Nature and Growth of
Vertical Specialization in World Trade” Journal of International
Economics 54 (2001) pp.75-96.
Koopman, Robert, Zhi Wang, and Shang-Jin Wei, “How Much of Chinese
Exports is Really Made in China? Assessing Domestic Value-Added
When Processing Trade is Pervasive” NBER Working Paper No.14109
(June 2008)
Kuznetsov,
Yevgeny,
and
Carl
Dahlman.
Mexico's
Transition
to
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Knowledge-Based Economy: Challenges and Opportunities . World Bank
Institute. 2008.
Shin, Namchul, Kenneth L. Kraemer, and Jason Dedrick. “R&D, Value
Chain Location and Firm Performance in the Global Electronics
Industry.” mimeograph. 2008.
UNIDO. Industrial Development Report 2009: Breaking In and Moving Up:
New
Industrial
Challenges
for
Middle-Income Countries . 2009.
16
the
Bottom
Billion
and
the