建築設計における画像処理システ

抄録
西松建設接報VOL.8
なり,データの入力方法も,形状ミスが見つけにくい数
値(ディジタル)から図形主体(アナログ)入力に変っ
建築設計における画像処理システ
たので,作業量・作業時間とも大巾に削減できるように
ム
なった(Fig北
現在の処理
前崎 正三*
Shoz?, Maeshaki
当社建築設計部での,建物の日影吉個などに関する一
連のコンピュータ利用件数は200件/年を超える。これは
当社の2世代前の一括処理型コンピュータ利f耶寺の5倍
Fig.1設計作業の処理の流れ
以上の量になる坑 現在これに要する作業時聞は約%∼
克 と大巾に減少している。
ここに,省力化に貢献している当社の画像処理システ
2.設計のシミュレーション
ムを紹介する。
シミュレーションとは,ある条件のもとで設計Lた計
画案が,様々な規制などを満足するかどうかを種々の手
1.画像処理の意義
ひと頃CAD−コンピュータを利用した設計】と言う
文字が新開・雑誌をにぎわしていたが,最近また各種の
メディアで盛んに取りざたされている。1970年代の場合
と比べその意味が少し変わったと感じるのは,設計分野
での製品である図面を,グラフィック端末機を使いイン
法を駆使して評価し,満足しない場合には原因を見出し
て,再度設計し直す一連の試設計作業のことをいう。
主な処理手順と具体例を以下に示す。
1)処理手順
敷地の入力
座標読取機で図形を読み取
り人力する方法と,敷地求積
タラクティブに作成・修正する製図作業だけをとらえて
図作成プログラムを使用し
CADと呼んでいることである。これはCADの一部で
はあるが,狭義でのCADであり,CADが末端ユーザに
て人力する方法の2通りが
ある。
まで広がってきたことは大変喜ばしい限りで,将来,あ
誤差を考慮して,前者を吉個
らためてCADの定義が見直された時に,広義のCAD
用に,後者を実施用に使用し
の普及が始まっていくはずである。現在の設計業掛二お
ている。
いて作業を円滑に進めるためには,CADによる画像処
理は必要不可欠なものになってきている。
建築の設計作業を大まかにとらえると,イメージ&デ
日影規線の算定,
敷地の建築可能な空間を基
形態制限の計算
にして,任意のモジュールで
ィスプレイ作業(画像処理)が,大きな役割を果してい
ることが分る。従来,この画像処理に当る作業は,頭の
の最大ボリュームを計算す
る
中でイメージしたものを図化したり,コンピュータを使
数回のデータミスの修正を経て図化する手順をふんでい
座標読取機で人力する方法
−−・−
う場合でも,一度ディジタルなデータに置き換えて,複
ッドを発生させて形状を入
−
ン・エリアを定義する方法な
−
どがある。
−
よって,人間の思考過程に近い形の画像処理が可能とな
った。繰り返し作業でのルートは,大循環から小循環と
ログラムでポイント・ライ
−・−−
利用した新システム(NACS 建築企画設計)の開発に
−
■▼
*建築設計部設計課係長
力する方法及び図形処理プ
−
しかし,TSSの時代になると,グラフィック端末機を
−・
た。
20l
と,モジュールを決め,グリ
西松建設才走報VO」.8
抄録
計画建物の【1影規制線上の
日影時間の算定
して他の大型ジョブが実行されると対話性がかなり損な
日影時間を算定する。
われる。
ホストの容量・機能がレベルアップすると,アプリケ
ーション・ソフトの規模も大きくなり,じん速な処理を
建物の評価
前の処理で作られたモデル
行うために更にハイレベルのホストが必要になるという
を種々の評価プログラムを
繰り返しに陥りやすい。
用いて計算,作図を行う。
一方,最近のパーソナル・コンピュータは,漢字処理
評価プログラムとして,面
を含めた小まわりのきく挽仲仕の良い点では汎用機以上
積容積率の算定,日影時間の
であり,中にはホストとのデータのやりとりも簡単にで
算定,パースの作図,日照チ
きるものもある。
計画図作成
ャートの表示,天空図の作成
実施図作成
などがある。
以上紹介した画像処理を含めた対話システムは,レス
ポンス等を考慮するとローカルな処理にすべきである。
現在それが可能な環境になってきているので,これから
は極力パソコンなどの下位機種に移行していきたいと思
っている。
2)具体例
シミュレーションの具体例の一部をFig.2∼4に示
す。Fig.2は,計画された建物の形状 日影規制線,指
定点のl】影時間,及びパースの出力例である。9∼14ポイ
ントの冬至における日影時間は,3時間の規制を越えて
いる。
Fig.3は,12ポイントから天空を仰いだ時の天空図の
出力例である。当該点から見た太陽の軌跡と建物形状が
表ホされており,時間を追ってゆくと,規制時聞を越え
たのはどの部分が影響しているかが一目瞭然に解り,建
物の形状・高さ変更の目安がつく。
Fig.4は,前図をもとに,建物の形状を変更して規制
時間内におさめた出力例である。
00
450
1
nVD
南
5
緯 度
36度0分
詞査点番号 NO−12 Z=4.0
調査点座標 Ⅹ=47.74,Y=52.75
北の方位 −1度30分
3
25
Fig.3 ポイント番号により見た天空図
0
2
0
5
0
4
3
9
3
1
司甲
5
爪U
0
qU
0
2
5
9
0
1
5
N①
2
Dロ
2
5
2
11
2
A﹁
.4−9
2・AT
2
7
3
3
3
0
2
7
9
7
1
▲4
l
2
O
2
▲‖U
1
∩−0 5 9 5
2 A︼ 6 0
A︼
9
QO
2
3
7
1
5
2
2
6
∧U
2
0
■﹂J
3
3
5
1
3
AT
8 9 亡じ 亡じ
つん 亡U 3 0
2
00
0
1
0
﹂T
3
2
2
3
2
4
2
7
7
9
2
2
0
2
7
3
2
2
0
︵XU
3
2
A︼
︹−0
2
1
1
﹁⊥
仁U
nU
RU
2
1
Fig.2 最初に計画された建物形状と日影時間
ハリO
453
10
軍−10軍
1
9
3
O
AT
7
5
0
9
2
7
︵hV
6
∩入U
1
4
1
爪U
1
3
1▲
8
∧U
亡じ
1
7
3
2
2
0
1
2
0
5
2
2
9
7
5
2
3
0
2
2
0
4
5
2
9
2
3
2
6
AV
4
2
1
0
2
1
qU
l
3
QU
nU
2
5
5
nV
史U
5
A︼
∧U
7
1
1
nU
1
2
1
9
亡U
2
3
2
5
2
0
2
QO
2
2
7
2
3
1
1
ハリ
7
2
O
2
2
1
1
︵hV
▲−AU
3
2
1
7
9
2
1
アップされ,処理時間が大巾に短縮された。しかし,端
末機側のレスポンスは同じ比率では上がっておらず,ま
1
2
1
7
6
当社のホストコンピュータは,昭和59年1月にレベル
7
1
3.おわりに
3
Fig・4 規制時間に納めた計画例
202