ロボティクス・メカトロニクス 講演会 2013

特集
学生の研究活動報告−国内学会大会・国際会議参加記 19
ロボティクス・メカトロニクス
講演会 2013
畠
中
拓
海
Takumi HATANAKA
機械システム工学専攻修士課程
2年
(a)Photograph of robot
1.はじめに
Fig. 1
(b)Picture of
simulation model
Quadruped robot and simulation model
日本機械学会ロボティクス・メカトロニクス講演
会 2013(ROBOMEC 2013)が 5 月 22 日∼24 日に
じである.
茨城県つくば市つくば国際会議上にて開催された.
ま た , 実 機 体 を 基 に , Open Dynamics Engine
私はこの講演会の 2 日目に「脚移動ロボット」と
(ODE)を用いてシミュレーションモデルを作成し
いうセッションで「馬型 4 脚ロボットの首振りによ
た.首 1,前脚 2,後脚 3 の計 11 個の部品に分けら
る歩容の安定に関する研究」という題目をポスター
れていて,それぞれの部品は直方体で構成されてい
セッション形式で発表した.
る.それぞれの部品に重心位置を設定しており,各
部品の質量も実機の部品質量を基に設定した.シュ
2.研究内容
ミレーションモデルの図を Fig. 1(b)に示す.
本研究では移動速度により歩容を遷移させエネル
ギー消費の最適化を行っている 4 脚動物に着目し,
4.脚先軌道の変更
なかでも最も効率の良いとされる馬をモデルにした
これまで本研究では,後脚の立脚期において,足
4 脚ロボットの研究を行っている.馬のリンク長比
先が接地面に対して一定の姿勢を保つような脚先姿
に合わせて製作された 4 脚ロボットの首振り動作に
勢をとっていた.しかし,4 足歩行動物が歩行する
よる歩行中の安定性を,シミュレーションを通して
際の接地面に対する足先の姿勢は変化し続けてい
胴体のピッチおよびロール角を用いて評価した.本
る.そこで,機体の制御についても地面に対する足
発表では,製作したロボットの概要,シミュレーシ
首の姿勢を変化させることにした.後脚は 3 自由度
ョンモデル,設定した歩行パラメータ,および首振
あるので,平面運動に於いて姿勢変更が可能であ
り動作の胴体の姿勢への影響について述べた.
る.今回採用した足先の姿勢の概要図を Fig. 2 に示
3.4 脚ロボットの概要とシミュレーション
モデル
製作したロボットの写真を Fig. 1(a)に示す.
す.
本研究でこれまで用いていた脚先軌道を Fig. 3 に
示す.Fig. 3 において,縦軸は脚の高さ,横軸は脚
の前後方向の位置を表す.そして,左側が進行方向
ロボットの胴体長さは 520 mm,横幅は 256 mm,
前脚長は 520 mm,後脚長は 580 mm,質量は 19.5 kg
である.前脚は肩,膝の 2 自由度,後脚は肩,膝,
足先の 3 自由度,首関節 1 自由度の合計 11 自由度
で構成されている.また,各関節に DC モータを
取り付け,4 足動物の関節に近い回転関節機構を用
いている.各リンクの長さの比は,馬の比とほぼ同
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Fig. 2 Schematic drawing of foot posture
in stance phase
Fig. 3
Fig. 4
Previous foot trajectory
Fig. 5 Roll(upper)and pitch(bottom)angles
with neck swing motion whose amplitude is 40
−60 deg
New foot trajectory
これらから首振り角度の初期位置が小さいと躓いて
である.
Fig. 3 の軌道は馬の脚先軌道を参考に作ったもの
しまうか,ロール角の変動が大きいと言える.
である.しかし,この軌道による歩行シミュレーシ
40 deg 以上では Fig. 5 に示すように,時間の経
ョンを行ったところ,歩行中のロール方向の傾きに
過に伴いロール角が減少・ピッチ角が増加する傾向
より遊脚が地面と接触してしまうことがわかった.
にあり,長時間の歩行の安定が見られた.しかし,60
そのため,支持脚期間が終わったらすぐに足先を上
deg∼80 deg や 70 deg∼90 deg では,一度減少した
げる軌道になるよう足先軌道を変更した.変更した
ロール角が再度,増加し始め歩行が不安定になっ
足先軌道を Fig. 4 に示す.これにより,躓かずに歩
た.このことから,本研究で用いた脚先軌道の場
行が可能になった.
合,首振りは 40 deg∼60 deg の間で行うことが良い
と考えられる.
5.首振り動作の影響
4.で述べたことは,短時間の歩行には有益だっ
6.おわりに
たが,長時間になると,途中で躓いたりして歩行不
発表はポスターセッション形式で行われ,私の発
可能な場合が多かった.このため,首振り動作によ
表は 2 日目の 22 日,時間は 11 : 30∼13 : 00 の後半
り長時間の歩行が可能かどうかを調べた.
である 12 : 45∼13 : 00 だった.
しかし,首振り角度を 10 deg としたところすぐ
私は,学外での発表は初めてだったので,緊張し
に転倒してしまった.そこで,次に 20 deg の振幅
て上手く説明できなかったり,質問に対して明確に
で首を振ることとした.首振り角度の振幅は 20 deg
回答できなかったりしたこともあった.また,他の
として,首振りの絶対角を変えて,胴体のロールお
発表者のように機体やシミュレーションの動画を用
よびピッチ角への影響を調べた.まず,0 deg∼20 deg
いたらもっとわかりやすく説明できたのではないか
の低い位置での首振りでは,ロール角の変動は大き
と感じた.
いが,ピッチ角の変動は小さかったが 577 s で転倒
今回,ロボティクス・メカトロニクス講演会 2013
した.10 deg∼30 deg では,ロール角はほぼ変わら
参加し自分と同じ分野である移動型ロボットの研究
ないがピッチ角の変動が大きくなった.20 deg∼40
をされている方の発表を見て刺激を受けた.また,
deg では,ロール角の変動が若干小さくなったが,
それまで興味の無かった分野の研究を知ることで新
ピッチ角の変動が時間と共に大きくなっていった.
しい発見をすることができた.講演会への参加で得
30 deg∼50 deg では歩行後すぐに転倒を起こした.
られたことを,今後の研究に役立てていきたい.
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