Autodesk 3ds Max 2014 新機能概説書

WHAT’S NEW IN
操作性の向上
拡張メニューの追加
メインメニューバーをより使いやすく、また 使用頻度の高いコマン
ドにアクセスしやすいよう再構成されたワークスペースモードを追
加しました。
3ds Max を初めてインストールした直後は、従来型のメニュー構
成が設定されていますが、ワークスペース管理機能を使って、新
しいメニューバーに切り替えることが出来ます。
新しい拡張メニューでは階層的なコマンドへのアクセスとなります。
また、アイコン表示も可能なため直感的にコマンドの使用用途が
把握できるようにしています。
アイコン表示はグループ右上にあるアイコンをクリックすることで
任意に切り替えが可能です。
コマンドへのアクセスでは、メニュータイトルにマウスカーソルを
合わせて文字入力すると目的のコマンドへの検索が始まり短時
間でコマンドにアクセスが出来ます。求めるツールへより速くアク
セス出来るようになります。
メニュー内の各ロールアウトはドラッグすることでメニューから切
り離し、フローティング UI として使用できます。表示方法もメイン
メニューとは異なる形式(アイコン+文字、アイコンのみ、文字の
み)に変更が可能です。
2
アクティブビューの切り替え機能
キー +
Shift
キーを使って,アクティブビューポートを切り替え可能になりました。
全てのビューポートが表示されているマルチビュー状態では
キーを押しながら Shift
キーを押すことによって、
アクティブなビューを変更できます。
特定のビューポートが最大化されている場合は、
え用イ GUI が表示されます。 この状態で
キーを押しながら
キーを押したまま
Shift
Shift
キー を押すとビューポート切り替
キーを押すことで目的の ビューポート選
択できます。 最終的にキーを離すことにより選択したビューポートを最大表示させることが出来ます。
自動バックアップ キャンセル
設定した時間が経過し 3ds Max の自動バックアップ処理が開始された際に、プロンプトラインの表示されるメッセー
ジが変更されました。
作業中シーンが巨大なデータの場合、自動バックアップが開始されると作業が中断されますが、それを望まない場合
には
Esc
キーを押すことにより、即座にその保存プロセスを中断させることが出来ます。
自動バックアップファイルは、基本設定内で任意のファイルネームを指定することも可能になりました。
3
分離ツール(旧孤立ツール)の仕様変更
選択したオブジェクトのみをビューポート内に表示する[分離ツール]はシーンメニュー内に配置されました。選択され
たオブジェクトを分離するのと同じように、非選択の状態に変更するオプションが追加されました。
既定の状態では分離させた時点でビューポートをズームしない設定に変更されます。パースビューの際は[分離時に
全範囲ズーム]のチェックを入れることで 選択オブジェクトがズームされます。カメラビューの際は、全範囲ズームは
自動的にキャンセルされます。
パースビュー、カメラビュー どちらの場合も分離ツールがアクティブな場合に視点の移動/回転を行っても、解除した
場合に元の視点位置に戻るように設計されています。
4
マウスとビューポートの既定設定の変更
マウスと挙動とビューポート表示の既定設定が変更されました。
[選択ブラケット] の表示設定が従来はオンになっていましたが、本バージョンからは既定でオフになっています。代
わりに選択を [エッジ面で表示] が既定でオンになります。
バックグラウンドイメージに対するアスペクト比の既定設定が[レンダリング出力に一致させる]に変更されています。
キャディーUI のキャンセル機能
編集可能ポリゴンの各種設定ダイアログで表示されるキャディーインターフェイスを任意に旧タイプのユーザーイン
ターフェイスに切り替えることが出来るようになりました。
5
タブ ユーザーインターフェイス認知性の向上
様々な箇所で使用されているタブ インターフェースのカラー設定を見直し、アクティブなタブへの認知性を向上させ
ました。
新規マテリアルライブラリの作成手法の変更…
マテリアル/マップ ブラウザー内で任意のマテリアルやマップを右クリックし、新たに作成するライブラリや既存のラ
イブラリへ直接コピーすることが出来るようになりました。
6
未インストールプラグインの確認
シーンエクスプローラの[カラムを設定]に新たに[プラグイン情報がありません]項目が追加されました。
これにより、外部の環境で作成されたシーンファイルに未インストールのプラグインが使用されていた場合、どのオ
ブジェクトにどういったサードパーティ製プラグイン使用されているかを瞬時に確認できるようになります。
ネットワークレンダリングやバッチレンダリングを行う際や、社外の協力会社などにデータを送る際に、未然にトラブ
ル発見し、それらを回避させることが容易になります。
スキンモディファイヤの改良
スキンモディファイヤを使用の際に、エンベローブの選択がより確実に選択できるようになりました。
エンベローブの編集の際に 以前のスキンモディファイヤではエンベローブの交点を確実にクリックする必要がありま
したが、2014ではエンベローブのライン上でクリックすることで、一番近いコントロールポイントを選択できるようにな
っています。
7
信頼性の向上
[メッシュの検証] 機能
新しく搭載された[メッシュの検証]は、編集可能メッシュや編集
可能ポリゴン オブジェクトのテクスチャーチャンネルやトポロジ
のエラーをチェックします。これにより 3ds Max で遭遇するフェ
イタルエラーの発生を抑えることが出来ます。
カスタマイズ メニュー内にある[メッシュの検証]コマンドで設定
することでテクスチャーチャンネルとトポロジの障害に対して、
シーンファイルの展開/保存するとき、さらにはトポロジ情報を
変更する際にデータを監視します。仮にエラーが存在した場合
に自動的に修復処理を行うか、手動で修復を試みるかを選択
できます。
ログファイルの更新
ログファイルに欄見出し(column heading)が含まれるようになりました。そしてそれらは 3dsmax.exe プロセス内
のプロセスとスレッドの ID もそれらに内包します。(全ての 3dsmax.exe プロセスが実行中は同じタイミングで
max.log ファイルが書き出されます。)
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ビューポート表示機能の改善
Nitrou 表示パフォーマンスの大幅な向上
Nitrous ビューポート モードでは様々なスピードのパフォーマンスを大幅に向上させるアップデートが行われました:
 パーティクルフローの再生パフォーマンスの向上
パーティクルフローの再生スピードが 3ds Max 2013 対比
でも大幅に向上しました。
 新しいインスタンスエンジンの搭載
シーン内に大量のインスタンス オブジェクトが作成されてい
る場合のパフォーマンスを大幅に向上
 2D シェイプ表示スピードの向上
AutoCAD 2D DWG ファイルなどの(膨大なシェイプデータ
が存在する場合)の表示パフォーマンスを大幅に向上
 スキニングされたオブジェクトの再生パフォーマンスを向上
スキニングモディファイヤや各種デフォーム
系モディファイヤを適用したオブジェクトのア
ニメーション再生のパフォーマンスが大幅に
高速化されました。
3ds Max 2014 の例 FPS : 45.20
3ds Max 2013 の例 FPS : 23.94
*上図のデータは共に変形可能 gPoly をオフにした状態での比較
9
 簡潔になったテクスチャーマネージメント
2D ビットマップイメージを任意の解像度で設定し、表示されます。ビューポート設定内の[パフォーマンスを表示]
タブ内で従来よりも少ない工数で設定が可能になりました。最大値はビットマッププロキシに上書きされます。
 ワイヤーフレーム表示での背面非表示機能
オブジェクトプロパティ内にある[背面非表示]モードが Nitrous ビューポートで使用できるようになりました.
ワイヤーフレーム表示での描画パフォーマンスが向上しています。
背面表示の場合
背面非表示の場合
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Nitrous ビューポートでの[最適化]ツール をフルサポート
Direct 3D モードでのみ有効であった最適化機能が、Nitrous ビューポートでサポートされました。最適化機能はオ
ブジェクトの移動やビューの回転やパン、アニメーションの再生時に指定したフレームレートを維持するようにビューポ
ート表示品質をバウンディングボックス表示に切り替えるなど表示負荷のレベルを変化させる機能です。
Nitrous ビューポートでの[最適化]モードでは、指定したフレームレートに満たない場合に、ライティング効果や、シ
ャドウ、アンビエントオクルージョンを自動的に解除する設定になっています。キャラクターアニメーションや大規模なシ
ーンの場合に効果的に表示レベルを可変させ、シーン全体のアニメーションを確認できるようになっています。
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Nitrous ビューポート上での頂点カラー+リアリスティック表示のサポート
テクスチャーのリアリスティック表示を使った場合でも、頂点カラー表示が可能になりました。
Direct3D 11 をサポート
Windows 7 以降の環境において Nitrous ビューポートは Direct 3D 11 ベースのドライバーとなります。Windows
XP ユーザーは Nitrous Direct 3D 9 ベースのドライバーを使用いただけます。
Direct 3D 9 モードは Windows 7 環境下でも使用できますが、グラフィックスアクセラレーションは効きません。
Direct X シェーダ マテリアルにおいても Direct X 11 用 FX シェーダを使用することが出来ます。
Nitrous ソフトウエア ドライバーを搭載
新しく、Nitrous ソフトウエア ドライバーを搭載しました。Nitrous ソフト
ウエア ドライバーでは使用グラフィックスハードウエアの制限を受ける
ことなく、Nitrous の表示機能を使用できます。ハードウエアをサポート
するドライバーと比べれば表示パフォーマンスは低くなりますが、マルチ
CPU やマルチスレッドに対応しているため CPU 環境を向上することに
よって表示パフォーマンスを上げることが可能です。(Windows XP 環
境ではサポートしません)
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2D パンとズーム
2D パン ズームモードを使って、ビューポートのレンダリングフレーム
を視野角などの設定を壊すことなく拡大表示したりパンさせたり出来る
ようになりました。
この機能はパース表示やカメラビューを使って新機能である [パース
マッチ] 機能を使用する場合に有用です。
またアニメ業界などからリクエストのあった画角を変えずにズームアッ
プ/ダウンが可能なため、カメラマップをかけた状態で細部のモデリン
グを行う際にも威力を発揮します。
この機能は従来の[ロック ズーム/パン]機能に置き換わります。
同じ画角、カメラアングルで、拡大したい箇所をズームし、パンするなどが可能です。
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Populate (ポピュレート)
Populate ツールセットを使用すると、短時間でなおかつシンプルな操作だけで作成中のシーンに群衆キャラクター
アニメ-ションを追加することができます。Populate を使えばキャラクターに対して、"フロー"パスに沿った歩行シミュ
レーションや"停滞"の領域で立ち止まって自然な動きを与えるなどができます。
アニメーションを行う各キャラクターには段階的に詳細レベルをコントロール可能で、スキンを用いた変形アニメーシ
ョンも自動的に設定されます。Populate で使用するスキンは専用に開発されたスキンシステムを用いるため、膨大な
群衆を作成しても不可の高いメッシュ変形処理は GPU によって高速に処理されアニメーションを再生できます。
建築ビジュアライゼーションにおける、高度な点景ツールとしてだけでなく、エンターテインメント映像製作におけるプ
リビジュアル制作の強力なツールとなり得ます。
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フロー
歩道や廊下上での歩行者の経路を定義して人の流れを作成します。各ラインの終点で、その流れ方向を示す矢印
があり、フロー上の赤と青のマークは、それぞれ女性と男性の方向を示します。
セグメントとそのエンドポイントを移動することにより、既存フローを編集することができます。また、パスを複雑にす
ることや、フローを細分化し、傾斜させる事も可能です。
交差して流れるところでは、緑の十字型の矢印が表示されます。1 つのフロー上の特定の歩行者が交差する際に別
の流れに移動し、ランダムに方向を変えることができます。
停滞領域
停滞状態の人々が公園や特定の場所などで立ち止まり、自然なアニメーションを行う領域です。密度やグループ構
成などが設定可能で、フローの動きとは区別されます。領域の設定はブール演算のように追加し削除するなどが可能
です。
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レンダリング
3ds Max 2014 では 従来にはなかった新しいテクスチャリングの技術や、iRay の機能強化、IBL(イメージ・ベー
スド・ライティング)の設定の簡易化、新しいカメラ設定、その他レンダリング作業に関わる管理・運用に関する多くの
改善を行っています。
ベクトル マップ
ベクトルマップを用いてオブジェクトのテクスチャー素材としてベクターベースのグラフィックス素材を直接使用すること
が出来ます。また、これらにはアニメーション情報も含めることが出来ます。
従来のビットマップデータではカメラアングルやレンダリング解像度にあわせたビットマップデータを用意する必要があ
りましたが、ベクトルマップではそういった問題も解決できます。
*Adobe Illustratr CS6 の編集画
取り込み可能なベクターファイルは、Adobe Illustrator(AI), SVG
圧縮(svgz)、SVG(svg)、パターン(pat)、Portable Document Format(pdf)の 4 種類をサポートします。
Adobe Illustrator ファイルは最新の CS6 形式もサポートします。テキストデータに関しては Illustrator などでアウ
トライン化しなくてもご使用のシステムにそのフォントがインストールされていれば、そのまま使用することが出来ます。
同様に PDF ファイルもテキスト情報のままベクターデータとして扱われます。
ベクトルマップではそこまで拡大してもテクスチャーの乱れ(ピクセルの乱れ)が現れることがありません。
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Adobe Illustrator 上で各種フィルター効果を適用した場合、ライスタライズすることなく、そのままの状態でマップデ
ータとして取り込むことが出来ます。
PDF ファイルの場合は、ページ構成をアニメーション設定によって、ページめくりの効果を与えることができます。もち
ろんフォント表現も PDF Viewer と同等の表現が可能です。
ページ トランジションの効果は、[ブレンド][スクロール][ズームイン][ズームアウト]から選択でき、各トランジション
の方向やスピードも調整が可能です。
アニメ作品などで、キャラクターの表情をテクスチャーで表現し、アニメーション
フレームによってそのテクスチャーを切り替える際は、PDF でページ構成された
ベクターデータを活用すると効果的です。
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頂点法線ならびに法線バンプマップの管理
頂点法線の扱いや、法線バンプマッピングの制御方法が選択できるようになり、正確なビューポート表示やレンダリ
ングが可能となりました。
 従来の R4 頂点法線を使用
3ds Max 初期のバージョンでは、頂点の法線をより少ない計算で正確に表現する方法を使用していました。 3ds
Max の R1〜R4 のバージョンで作成されたファイルを使用するには、シーンファイル互換のため、このチェックボック
スをオンにします。
 法線バンプ モード
法線バンプマップを Nitrous ビューポートで表示する、または QuickSilver レンダラーでレンダリングする際の手法
を選択できるようになりました。
3ds Max モード(既定) : テクスチャツールでベイクレンダリングした法線マップの正確な表示やレンダリング
をする際は、これのモードを選択します。
このモードでは、頂点の接線と従接線は、面法線に垂直になります。面の法線は三角形ポリゴンに常に垂直
になります。通常のバンプの計算に使用されているピクセルシェーディングの間に、接線と従接線は、三角形
の頂点から補間されます。
Maya モード : Autodesk Maya でベイクされた法線マップの正確な表示やレンダリングを行うためには、こ
のモードを選択します。 このモードでは、頂点の接線と従接線は頂点法線に垂直になります。頂点の法線を
計算する際に自身のスムージンググループを考慮します。 法線編集モディファイヤを使用することにより面法
線を調整することができます。ピクセルシェーディングを処理する際には、通常のバンプ計算する前に、法線に
対して直交化され、接線と従法線は、三角形の頂点から補間されます。
DirectX モード : DirectX シェーディングの表示を正確に行うためには、このモードを選択してください。
DirectX では、頂点の接線と従接線は頂点の法線に垂直になります。通常のバンプの計算に使用されている
ピクセルシェーディングの間に、接線と従接線は、各三角形の頂点から補間します。
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NVIDIA® mental ray® レンダラー
 Mental ray レンダラーの安定性
Mental ray レンダラー内部でフェイタルエラーが発生した際でも、3ds Max は動作を続けることができるようになり
ました。その時点でのシーンを保存して、3ds Max を再起動かければ mental ray レンダラーを再実行します。
 文字列オプション
mental ray レンダラーは文字列オプションロールアウトを搭載し、
mental ray MI ファイルのオプションを入力してレンダリング操作を拡張さ
せることが出来ます
 スカイライトと環境ライティング(IBL)
ファイナルギャザーからのスカイライト イルミネーションかイメージから直
接のイルミネーションかを選択できるようになりました。ファイナルギャザーを
設定せずに IBL(イメージ ベースド ライティング)を処理が出来るために、
商品撮影のようなシンプルなシーン設定では、レンダリングに関わる設定時
間を節約することが出来ます。
mental ray に新しく加わったサンプリング機能を用いることで、発生する
ノイズを効率的に削減することが可能です。
[IBL からのスカイライトイルミネーション]では、[シャドウの質]を下げると、計算は速くなりますが、ノイズが目立つ
ようになります。しかし、FB のようなフリッカーノイズにはならないので、アニメーションに向いています。
発生したノイズは新しく搭載したイメージのサンプリング設定で消し去ることが可能です。
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 サンプリング品質 ロールアウト
mental ray でのレンダリング サンプリングモードを選択できるよう
になりました。
統一/レイトレース モード :
アンチ エイリアッシングとモーションブ
ラー計算を同じサンプリング方法で処理を行います。結果として従来
の方法よりも高速に処理が可能になります。
クラッシック/レイトレース モード:
Autodesk 3ds Max 2014 以前のバージョンで使用されていた、最小/最大サン
プリング強度で設定する方法です。
ライスタライザ/スキャンライン モード:
従来のクラシックモードに似ていますが、このモードを選択するとレイトレー
ス処理は非アクティブになります。最小/最大モードではなくサンプリング値で設定を行います。コントラストノイズ調整
は出来なくなります。
統一/レイトレース モードでは、[品質]、[最小]、[最大]の 3 つの項目で設定を行います。
品質 0.25(既定値)
品質 0.1
品質 20
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NVIDIA® iray®
 使用可能マップの追加
Iray レンダラーは以前のバージョンではレンダリングできなかった様々なマップをサポートするようになりました。チェ
ック、カラー補正、へこみ、グラデーション、グラデーションランプ、大理石、パーリン大理石、しみ、Substance、タイル、
波、木目、mental ray Ocean Shader などが利用できます。
 NVIDIA® iray® 3.1 の新機能
iray 3.1 では様々な新しい表現が可能になっています。コースティックスや新しいサンプラーは今までにない表現を
可能にしています。標準機能にない Feature も内部には搭載しており、カスタムシェーダを使用するとメタリックペイン
トやサブサーフェイス効果、レイヤー化されたマテリアルさらには光の分光効果も実現することが出来ます。
現在、インターネット上の様々なサイトから、iray 用のカスタムマテリアルをダウンロードすることが出来ます。
アーキテクチャルサンプラー
インテリアシーンにおいてオンにすると、インテリア照明の精度を向上させ、レ
ンダリングの際に発生する粒状ノイズを低減させます。
コースティクスサンプラー
オンにするとコースティクスを含むシーンを作成します。コースティクスは光が
鏡面反射や透過を介してサーフェスを照らすときに発生する光のパターンであ
り、テーブルクロスの上にある水の入ったコップが影響して発生する光の効果
を超高速に計算、表現することができます。
特に外光が差し込むインテリアのシーンでは、きわめて正確なレンダリング結果を生成することが可能です。
床からの指向性を持った反射光の光学現象を正確にシミュレートできます。
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パースマッチ
全く新しい[パースマッチ] ユーティリティは従来の[カメラマッチ]ユーティリティをさらに使
いやすく、より正確に実行可能なパースマッチを行う機能です。写真イメージなどのパース
空間に 3DCG カメラのプロパティを一致させる工程は、従来 作業工数も多く 手間のかか
る作業となっていました。新しいパースマッチ機能を使って 3ds Max シーンを背景イメージ
のパースペクティブに短時間で正確に一致させることが可能です。
XYZ 各 2 本の消失線を背景イメージの XYZ ライ
ン上に配置するだけで、背景イメージの視野角、撮
影ポイントに視点を一致させます。その際、煩わし
い距離の設定やスケール合わせなど、背景イメー
ジの撮影時に気を遣う必要がなく、短時間でパース
マッチさせることが出来ます。
RGB のラインを背景イメージのライン上に配置す
ればマッチング作業は終わりです。消失線の端点距離などは考慮する必要はありません。パースマッチはパースビュ
ーもしくはフリーカメラでマッチングが可能です。
一度パースを合わせてしまえば、シーンのスケール調整や、カメラの方角、Z 値(高さ)の基準基本的な画面のパン
操作やズームなどで気軽に調整が可能です。バックグラウンドイメージと消失線を正確にマッチさせる際に、新しく搭
載された[2D パン ズームモード]を活用出来ます。
ビットマップのための オートマティック ガンマ補正
ガンマ補正が有効な場合、3ds Max はビットマップファイル保存され
たガンマ値を読み込み時に使用します。そして、ガンマ値はビットマップ
ファイルを保存する際にそのファイルに組み込みます。もし、ファイルフ
ォーマットによってガンマ値の組み込みがサポートされていない場合は
8 ビットイメージフォーマットではガンマ値 2.2 が使用され、浮動小数点
でログイメージフォーマットの場合はガンマ値 1.0 が自動的に使用され
ます。
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ステート セット
ステートセット上で記録させる項目にオブジェクト モディファイヤの変更内容が加わり、レンダーパス コントロールや
シーン管理がより便利になりました。
右クリックメニューによってステートの調整も可能になり、ステートセット UI もビューポート内へ組み込むことが出来る
ようになります。
3ds Max と Adobe® After Effects®間の連携もより強化され、2 項目の機能が追加されました。
テキスト属性の追加 : 3ds Max と Adobe After Effects 間で新たにテキストオブジェクトをサポートしました。
テキストオブジェクトが持つ属性情報(フォント、フォントサイズ、カーニング)の交換が可能になります。
アニメート情報の追加 : 位置情報やスケールに関するアニメーション化されたプロパティを双方向に共有すること
が出来るようになりました。
ステート セット内で正しいガンマ値を保ったままファイルを保存できるようになりました。
レンダリング設定ウインドウ
ドロップダウンリストには、すべてのビューポートレイアウトで使用可
能なビューポートが全て含まれるようになりました。
各ビューポートには、ハイフン、その後ビューポート名が続き、最初の
レイアウトの名前で表示されます。
Backburner ネットワークレンダリング運用に関する改良
従来 Backburner を使ったレンダリングワークではシーン組み込まれているビットマップファイルなど各種アセットデ
ータへのファイルパスが完全な状態でないと、Backburner Server でのレンダリング実行時にエラーで終了していま
した。 3ds Max 2014, 3ds Max Design 2014 では見つからないデータがあってもレンダリング処理を実行する
ように変更されているため、実際には使用していないマップファイルのために全体のレンダリングプロセスが止まって
しまうトラブルを防ぐことが出来ます。
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パーティクルフローの新機能
新たに標準機能となった MassFX mParticles と Advanced Data Manipulation、さらには新しいキャッシュ機能
はパーティクルフローシステムの柔軟性と威力を増大させます。アーティストは洗練された、リアリスティックでカスタマ
イズ性の優れた物理シミュレーションを以前のバージョンよりも短時間で製作することが出来ます。
既に 3ds Max 2013 Extension として Subscription 契約ユーザー様へはご使用頂けた機能ですが、3ds Max
2014 では標準機能としてご利用頂けます。また、Entertainment Creative Suite ユーザー限定機能であった
Advanced Data Manipulation は 3ds Max 2014 単体製品をご使用の方々もご利用頂けるようになりました。
新たに、カメラカリング、カメラ IMBlur、コピーアウト テスト オペレータなど、複数の新オペレータが追加され、さら
に既存のオペレータにも多くの改良が施されています。
MassFX mParticles
シミュレーションソルバーの一つである MassFX システムを
用いた mParticles モジュールは現実世界の物理効果を再
現させるパーティクルシミュレーションを作成します。今までの
パーティクルフロー システムを拡張させた mParticles は自
然な運動や人工的な動き、パーティクル間の粘着やそれらの
切り離し、パーティクル同士の衝突や他のオブジェクトとの相
互干渉 等々をシミュレート可能にするオペレータやテスト オ
ペレータをアーティストに提供します。MassFX シミュレーショ
ン用の発生オペレータ、パーティクルフローの初期設定をより
迅速にするプリセット化されたフローや、標準メッシュオブジェ
クトに影響を与えるための 2 つの斬新なモディファイヤ 等々
mParticles を使って面倒な作業をすることなく魅力的なシミュレーション製作環境を手に入れることが出来ます。
NVIDIA®が提供するマルチスレッドに対応した PhysX® シミュレーション エンジンを活用して mParticles は生産性
を大幅に向上させます。
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Advanced Data Manipulation
新しい Advanced Data Manipulation ツールセットを使ってカスタマイズされたパーティクルフローツールを作成
できます。モーショングラフィックス アーティストやビジュアルエフェクトスペシャリストは自身でイベント駆動型データオ
ペレータを作成し、オリジナルのオペレータノードをプリセットとして保存が可能です。 またそれらは通常のパーティク
ルビューに標準機能のように配置して使用することはもちろん、他のデザイナーたちと共有することが出来ます。
様々な用途で使える応用性の高さや、高度なビジュアルを製作するエディターに使用しやすい開発環境を備え、27
種類もの異なるサブペレータを連結させて、個性あふれる作品製作に求められる特別な要求に答える膨大な数のパ
ーティクルフロー ツールセットを手に入れることが可能となります。
作成したデータオペレータはオペレータノードとしてまたはプリセットノードとして保存することが出来ます。
オブジェクトがグローバルイルミネーションのライティング効果を維持しつつ、粒子化して崩壊しているシミュレーショ
ンを Advanced Data Manipulation で表現した例
ベースとなるジオメトリを定義するサブペレータ
パーティクルの位置情報をジオメトリの情報から
定義するサブオペレータ
パーティクルの色情報を定義するサブオペレータ
定義された色情報を頂点カラーに変換して出力
25
キャッシュディスク と キャッシュ選択
様々な用途で使用可能なパーティクルフロー ツールセット向けの新しい 2 種類のキャッシ
ュオペレータを用いて効率的な製作環境を提供します。新しいキャッシュディスクオペレータ
はパーティクルフローシミュレーションの事前計算結果を 3ds Max シーンファイルから分離
してハードディスク上に格納します。これによりアーティストはより迅速に様々な計算結果を
比較することが可能で、反復作業を激減させます。キャッシュ選択オペレータは、アーティス
トが特定のデータタイプのみをキャッシュできるようにします。パーティクルシステムのプロパ
ティを操作し、たった 1 回の事前計算でパーティクルシステムの最も重要な計算結果のプロ
パティ(通常はモーション)のみをキャッシュさせ、後のポスト処理にて他のパーティクルの
様々なプロパティ(形状、大きさ、向き、マッピング、カラー)を付加させることが出来ます。結
果、キャッシュの容量を削減でき、操作性の向上やデータの圧縮を実現できます。
追加されたオペレータ
3ds Max 2013 では mParticle や Advanced Data Manipulation 以外にも強力なオペレータが複数追加され
ています。いずれも従来のオペレータでは手間のかかるフロー作成を 1 ノードで完結できる便利なオペレータです。
 カメラカリング オペレータ
カメラカリングは、カメラの視野角やクリッピング範囲
外のすべてのパーティクル(カメラから見えていない)
をフィルタリングすることにより、ビューポート表示、お
よびレンダリング時にジオメトリ負荷を軽減します。グ
ループ選択ツールでは、カメラの視野角によってグル
ープを定義することも可能になります。
 カメラ IMBlur オペレータ
カメラ IMBlur オペレータはカメラがアニメーション設定されている場合にパーティクルフローシステムに適用されるイ
メメージ モーションブラーが正しく表示されない不具合を修正します。カメラ IMBlur は、それがビューポートの表示お
よび/またはレンダラーに渡される前に、カメラの動きを計算し、レンダラーに転送するパーティクルスピードを調整しま
すパーティクルフローのエンジンの内部は、破綻のないアニメーションを維持するために正しいパーティクルスピードを
使用し続けています。カメラ IMBlur オペレータは作成したどのイベントに組み込んでもかまいませんが、作成するア
ニメーション全体に均一なブラー効果を割り当てるには、グローバルイベント(一般的には PF ソース01)内に追加し、
そのイベントのオブジェクトプロパティからイメージモーションブラーをオンにします。
26
 コピーアウト テストオペレータ
コピーアウト テストオペレータは、シンプルに各パーティクルを 1
つまたは複数にコピーし次のイベントへ転送します。スポーンオペ
レータを使わずにパーティクルを複製する場合は、パーティクルシ
ステムのオーバーヘッドを減らすことができます。
コピーされたイベント内で各種テストオペレータを使用した場合は、
オリジナルのパーティクルをそのまま維持させることが単純なフロ
ーで作成できます。
 スクリプトを表示 オペレータ
[スクリプトを表示オペレータ]は、ビューポ
ート内の各パーティクルに関連付けられてい
るデータを表示することができる一種の診断
ツールです。 浮動小数点、整数、またはベ
クトルなどイベント内での演算が発生するた
びに、パーティクル ID やユーザーが指定し
たラベルといった、1 種類のデータを表示す
ることができます。各パーティクル(例えばオ
ブジェクトの速度や距離)に対応して、複数
の異なるデータを表示する必要がある場合は、イベント中にオペレータを複数回使用できます。
 停止オペレータ
通常、パーティクルフローでは、パーティクルを停止したいと
きは、スピードやスピンオペレータ(またはその両方)を追加し、
その値を後 0 に設定する必要があります。停止オペレータを使
うことにより、出来上がりをドロップすることができます。パーテ
ィクルは停止オペレータの入っているイベントに入るとすぐに移
動と回転の運動を停止します。
 徐々に停止 オペレータ
パーティクルが減速を開始する時間の設定だけでなく、
完全に停止する時間を設定することができます。両方の
時間はアニメーション全体、またはパーティクルのエイジ
(寿命)、またはイベントの期間と同期させることができ、
オプションとしてランダムにこれらの時間を変えることが
できます。[徐々に停止オペレータ]はテストオペレータに
なっているので、パーティクルが完全に停止した際に、別
のイベントにリダイレクトすることができます。
27
ヘアとファーの新機能
新しいスクラッフル パラメータはヘアーを束ねる際のコントロールをより柔軟にさせます。束の乱れ感を強調します。
[束] を設定したヘアー
スクラッフル=125.0
スクラッフル=400.0
環境と効果
環境設定に関する初期設定内容が一部変更されました。
球状環境マップ
環境マップに関する既定の座標設定が[球状環境マップ] に変更され
ました。 HDR パノラマイメージを背景に設定する頻度が高くなっている
現状に考慮しました。
レンダリングプリセット読み込み時の設定値に関する変更
レンダリングプリセットを読み込んだ際に、環境マップのマッピングモード が変更されなくなりました。 従来のバージ
ョンでは設定にかかわらずスクリーン座標に戻る設定になっていました。
露出制御プレビューの mrPhysical Sky のサポート
露出制御パラメータ内にあるプレビュー内で mrPhysical Sky の効果を反映するようになりました。また背景に設定
した HDR イメージ等も確認が出来るように改良されています。
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Smart データ
外部アプリケーションとの連携において、変更・追加された機能項目
ファイルリンクマネージャー
デイライトシステムが含まれている Revit ファイルもしくは FBX ファ
イルをリンクする際に、ファイルリンクマネージャーはシーンの露出コ
ントロールに関してのプロンプトを表示するようになりました。
VRML 読み込み
3ds Max 64 ビットバージョン上でも従来の 32 ビットバージョンと同様に VRML ファイルを読み込めるようになりま
した。VRML ファイルを取り込むためだけに、32 ビットバージョンを使用する必要は無くなりました。
送信
[送信]機能内の Autodesk Infrastructure modeler (AIM)への連携機能は削除されました。
注意:本書に記載されている新機能や更新内容は Autodesk 3ds Max 2014 並びに Autodesk 3ds Max Design 2014 において追加・変
更された内容になりますが、全ての追加機能や更新内容のリストではありません。より詳細な追加機能や更新内容に関しては、ソフトウエア製品か
らアクセスできるオンラインヘルプを参照ください。
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