「明 の安 」対話集会 in 広島

「明⽇の安⼼」対話集会
in 広島
〜社会保障と税の⼀体改⾰を考える〜
■ 日時
平成24年4月7日(土)13:15~14:45
■ 場所
メルパルク広島6階「平成」
(広島県広島市)
■ 参加者数
計52名
■ プログラム(司会:森本
久美子
アナウンサー)
・松崎総務副大臣からの説明
・米田総務省大臣官房審議官からの説明
・松井広島市長からの説明
・会場参加者との質疑応答
■ 集会の模様
※一般参加者のお名前については、英文字に置き換えさせていただきました。
○司会
皆様、お待たせいたしました。本日はお忙しいところ、お集まりいた
だきまして誠にありがとうございます。
ただいまから、
「『明日の安心』対話集会 in 広島」を開催いたします。私、本
日の会の進行をお手伝いさせていただきます森本久美子と申します。よろしく
お願いいたします。
まず、登壇されている方々を御紹介します。
総務副大臣、松崎公昭様です。
○松崎副大臣
○司会
こんにちは。
総務省大臣官房審議官、米田耕一郎様です。
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○米田審議官
○司会
よろしくお願いします。
総務省固定資産税課長、前田一浩様です。
○前田固定資産税課長
○司会
厚生労働省社会保障担当参事官室政策企画官、朝川知昭様です。
○朝川政策企画官
○司会
よろしくお願いします。
そして、広島市長、松井一實様です。
○松井市長
○司会
どうぞよろしくお願いします。
こんにちは。よろしくお願いします。
以上の皆様です。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
それでは、最初に松崎副大臣から開会の御挨拶を兼ねまして、会の趣旨や社
会保障と税の一体改革の背景、意義等につきまして基本的内容を御紹介いただ
きます。それでは、副大臣、お願いいたします。
○松崎副大臣
総務省の副大臣の松崎でございます。本日はよろしくお願いい
たします。座らせていただきます。
本日は土曜日にもかかわらず、こんなにたくさんの皆さんにお集まりいただ
きまして、ありがとうございます。また、松井広島市長さんにもお越しいただ
き、ありがとうございます。
「『明日の安心』対話集会 in 広島」の開催に当たりまして、私の方から挨拶
も兼ねまして、社会保障と税の一体改革の背景とか意義、そういったものをお
話しさせていただきたいと思っております。
社会保障と税の一体改革につきましては、一昨年から様々な角度から議論を
積み重ねてまいりました。2月 17 日には、政府といたしまして社会保障・税一
体改革大綱の閣議決定を行いました。また、3月 30 日には税制改正に関する法
律案を国会に提出させていただきました。これから国会で議論をいただくこと
になるわけでありますけれども、その前提として全国の皆さんに、国民の皆さ
んにまず御理解と御協力をいただかなくてはなりません。そのため、本日は一
体改革の内容はもとよりですが、その意義、必要性、そういったものについて
広島県の皆様にわかりやすく丁寧に説明をさせていただきまして、そして皆さ
んの御意見をしっかりと承りたい、そんなふうに思っております。
また、市長さんにもおいでいただいております。後ほど市長さんから、地方
の現場で皆さんのニーズにしっかりと応えてサービスを提供していらっしゃる
自治体の立場から、この社会保障分野についても非常に重要でございますので、
いろいろ御発言いただきたい、そんなふうに思っております。
さて、我が国におきましては、全国レベルのセーフティーネットであります
国の制度と、地域の実情にしっかり応じた細かなセーフティーネット、地方単
独の事業と2つ、社会保障の中にはあるわけであります。その2つがしっかり
と継続していかないといけない。したがいまして、国民の皆さんが安心できる
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社会保障サービスを実施する、そのために負担をお願いしているのは、国と地
方が協力して進めていかなければならないわけであります。そういう意味で、
市長さんにも御協力いただきながら一体改革の必要性を御理解いただけるよう
に進めたい、そう思っております。
よく社会保障という言葉でざっくりといいますけれども、医療・介護、年金、
雇用、あるいは子育て支援、そういったものを中心に私たちの暮らしの安心・
安全を確保する、それを将来にわたって維持していく、そしてより良くしてい
く、これが私たちの国にとって一番大事な政策の一つでありますが、それはま
た、社会を構成する一番の基盤、私たちはそう思っております。
その社会保障が今、日本の場合は少子高齢化ということで大きな転換点に差
しかかっております。
スライドを御覧いただけますか。今年の新成人が 120 万人。そして、昨年生
まれた赤ちゃんが 100 万人でございます。それは出生数です。それで団塊の世
代、昭和 22 年から始まっております。270 万人。これが特に3年連続で毎年 270
万人。この辺で大きく人口が増えております。その第1次ベビーブーマーの方々
が、今、65 歳を迎えまして、高齢の年代に入るわけであります。つまり、支え
る側から支えられる側に回るというのが、この人口の内容でございます。
この 200 万を超える人たち、270 万人の中でも、210 万人ぐらいの方がまだ元
気でございます。この方々が支えられる側に回るということで、これが何年か
続くんですけれども、御存知のとおり 100 万人、こういう出生数でありますか
ら、この若者、子どもたちが今度は支える側になる。いかに大事かということ
がこの表でもおわかりになると思います。
それで、今まで厚生労働省が考えておりました日本の平均的な家庭というの
は、夫婦と子ども2人、お父さんは仕事をする、そして定年まで大体ずっと長
く働く。そして、お母さんは家庭にいる。これが一つのパターンになっており
ました。ただ、今までと違いまして、最近は定年まで終身雇用という形の社会
が変わってまいりました。また、非正規労働の雇用者がどんどん増えておりま
す。昨年は 35.2%、1,733 万人ですから、約3分の1強がいわゆる非正規労働
であります。御夫婦でも働いている、そして自営の方々も、今までと違って社
会の構成上いろいろと変わってきました。流通や商売の仕方も変わってまいり
ました。そして、中小企業が厳しい状況となっている。そういう中で、本当に
社会全体が変わってきました。そういう中で、この社会の安心を、セーフティ
ーネットをどうやって維持していくかということは本当に大事なのでありまし
て、今、我々が今まで以上に重要に考えて、このシステムを維持し、少しでも
発展させる、そういうためには、この危機的な状況を、まずは共通認識を持っ
ていただきたい、そんなふうに思っております。
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皆さん、年金や医療・介護など、保険料を納めていただいていると思います
が、これらの制度が民間とは違いまして、保険料だけでは実は成り立っていな
いんです。そのことを是非御理解いただきたいと思います。かなりの部分が公
費といいましょうか、我々の税金で、みんなで支えるということで税金が投入
されているということでございます。
平成 23 年度の数字を具体的に見ていただきたいと思います。地方単独事業を
除きまして、社会保障分野だけで見ましても、給付費が 108 兆円です。皆さん
に納めていただいている保険料や過去に納めていただいた分の取り崩し、それ
が大体 70 兆円でございます。そして残りの 40 兆円、つまり、この 39.4 兆円が、
国が 30 兆円、地方から 10 兆円、そういう形でようやく成り立っているわけで
あります。そして、それが現在、少子高齢化が進んでいることによりまして、
年金、医療・介護などの社会保障サービス、そういうために必要となる公費が、
つまり、税金が、この維持をするためにも、自然増で国で1兆円、そして地方
で 7,000 億円、毎年追加になるわけであります。ですから、この額はこの高齢
化のスピードからいきますと、更に毎年増加していくということが言えるわけ
であります。そして、税の担う部分が増加せざるを得ない。そこで税を考える
必要があるということでございます。
さて、我が国の財政を平成 24 年度の予算で見ますと、42 兆円が税収でありま
して、歳出が 90 兆円。その半分さえ賄えません。長期債務残高は、御承知のと
おり、GDP の 196%、940 兆円ということであります。こういう中で、この増加
する社会保障に要する財源をこのような借金で賄うことはもはや限界に来てい
る。これは当然、皆さんも御存知だと思います。
一方で、もう一方の視点から行きますと、この大借金は国際社会、特に金融
市場から見ますと、これはやはり放っておけない。そこで財政健全化の取組と
いうことが始まっているわけでありまして、これが遅れますと、いわゆる世界
の金融から見ましても市場の信認が失われまして、国債金利が上昇するという
ことにもなるわけであります。ですから、それは日本経済全体にも大きな影響
を与えるということで、この状態を放っておきますと、ギリシャは日本よりも
借金は少ないのでありますが、それでもあの状態で、あるいは格付会社の動き
もヨーロッパでも行われている。こういう中で、日本がそのままではいけない
のではないかということが言われております。
まして、金利の水準が今は1%ですから、非常に低いということで、何とか
10 兆円未満の利払いということでやっておりますけれども、これも少しでも上
がりますと、巨額の利払いだけでも増えてしまう、そういうことになるわけで
あります。ですから、今よりもより良い社会保障制度をつくりながら、暮らし
の安心・安全を増していく、これが国民の一番の願いでありますけれども、ま
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た政治の責任でもあります。しかし、負担が大変だということで、何もしない
ということであれば、これらの財政事情からいきましても、もう放っておけな
いというのが現状であります。そして、借金をこれ以上増やすということは、
子どもたちに、次の世代に負担を回すということになります。
こういう状況ですから、待ったなしの状況だということで、国民の皆さんに
御負担をいただくということ、つまりは税制の改革という、抜本的な改革をし
なければならない、それが今回の皆さんへの御説明の趣旨でもあるわけであり
ます。
それでは、社会保障の安定財源としてどのようなものがあるかということを
考える必要があります。候補といたしますと、主要な税目として所得税、法人
税、消費税があります。ただ、少子高齢化が進みまして、団塊の世代が支える
側から支えられる側に移る、そんなことを考えますと、社会保障制度の財源に
ついては幅広い世代で負担を分かち合うという仕組みをつくらなければならな
い。つまり、税制面からも世代を超えて、国民の皆さん同士が支え合う、言う
なれば国民のきずなを確かにするものが必要であるということになります。
所得税については、働く世代に対する負担のさらなる増加につながってきま
す。また、法人税につきましても、我が国の国際競争力を強化して、雇用や国
内投資の拡大を図るという点では、実効税率を、今、5%を下げようではない
かということになっております。各国の法人税を比較しましても、かなり日本
は高いわけであります。
そうした中で、もう一つの消費税。これが消費税の性質からいきましても、
働く世代、特定の人に負担が集中することがないということ。それから、景気
の動向に左右されにくい、安定性がある。それから、経済活動に与えるゆがみ
が比較的少ないのではないか。そういうことで、社会保障の安定財源として最
もふさわしいのかな、そういうことで今回の提案になっているわけであります。
今回、国会に提出しております税制改正に関する法律案、これでは、2014 年
4月に8%、2015 年 10 月に 10%、こういう法案を提出しております。なお、
今回の消費税率の引上げ分5%は全額、社会保障の財源にするということで皆
さんにお約束しております。社会保障の充実と安定化、そのために使うという
ことになっております。また、5%のうち地方への配分が 1.54%になります。
自治体が実施いたしております社会保障サービスの財源にもしていただこう、
これによって地域に根ざした取組にもしっかりと頑張っていただけるだろう、
そんなふうに考えております。
一方で、皆さんもよく御指摘のとおり、消費税にはいわゆる逆進性の問題が
あります。課題もあります。つまり、所得の少ない家庭ほど食料品などの消費
支出の割合が高いですから、消費税の負担率が高くなります。そこで今回の一
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体改革におきましては、社会保障の充実の一環として、低所得者への年金の加
算や介護保険・国民健康保険の保険料の軽減など、様々な形で低所得者対策を
実施しよう、そのように考えております。
また、一体改革におきましては、消費税による安定財源の確保とともに、社
会保障分野の効率化、これも大事であります。これは社会保障の切捨てではあ
りません。あくまでも必要な社会保障を必要な方々にきちんと公平・公正に届
くようにするための見直し。例えば幾つかありますが、生活保護の不正受給が
よく話題になりますが、こういったことも公平・公正の原則に正していかなけ
ればいかないだろう。あるいは年金の最低保障機能を強化すると同時に、高所
得者への年金給付を見直す、こんなことも検討しております。
また、介護保険では軽度の方に対して機能訓練等を行うことによって重度化
を予防する、そういうサービスも考えております。
また、医療分野では、機能が同等ながら価格が安い後発医薬品、こういった
ものも更に使っていただけるようにしたい。こんなことも一つの例として取り
組む考えでございます。
もちろん、消費税の引上げを国民の皆さんにお願いする大前提として、私た
ちも実際に実感しておりますけれども、自分たちの身を切る、そういう取組、
これが本当に大事だと思っておりまして、まず行政の無駄を無くす、徹底した
行改を進める。また、つい先般、国家公務員の給与の臨時特例法が成立いたし
ました。一応2年ということになっておりますが、これは財源を今回の災害に
回していくということもありますが、もちろん、この 7.8%の削減の期間がどう
なるか、今のところ2年でございますけれども、今後の検討になるかと思いま
す。とりあえず、今は2年間、7.8%の削減。
それから、つい最近、大体決まりつつございますけれども、来年度の国家公
務員の新規採用を、平均で 56%削減。これもほぼ進んでおります。もちろん、
公務員の人件費の削減については、更に私たちは、特に総務省も中心になって
頑張っていきたい。
また、我々の身も、一番身近な議員の定数削減。それから、議員の歳費の大
幅な削減。議員歳費は、年間 300 万円の削減を与党では合意しております。た
だ、野党との協調がまだ進んでおりません。こういったことを私たちは頑張っ
ていきたい、そのように思っておる次第でございます。
そういうわけで、今、基本的なことをお話し申し上げました。後でもう少し
詳しくお話ししますが、今日は是非、皆さんと一緒にこの社会保障と税の問題
をしっかりと議論させていただき、皆さんの率直な御意見を承りながら、少し
でもいい国にしたい、安定的な、安心のできる国にしたい、そういうことで頑
張っていきたい、そう思っておりますので、最後まで実りのある議論をお願い
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したいと思います。
ありがとうございました。
○司会
副大臣、ありがとうございました。
次に、社会保障と税の一体改革の具体的な内容につきまして、米田審議官か
ら御説明いただきたいと思います。お願いいたします。
○米田審議官
それでは、私の方から、社会保障と税の一体改革を、前のスラ
イドに従って御説明いたします。なお、このスライドの内容はお手元にお配り
いたしました、この白黒の資料と同じでございますので、また後ほど御確認い
ただければと存じます。
それでは、最初のところからお願いいたします。
社会保障と言いましても、様々なものがございます。先ほど副大臣からも御
説明がありましたが、ここに一覧にしております。一生にわたって国民生活を
支えていくというのが社会保障であります。この社会保障の今の仕組みに非常
に問題が出てきている。これが今回の社会保障と税の一体改革を進める一番大
きな原因であります。
次のページをお願いします。
これは1人の人が生涯にわたっていくら社会保障のサービスを受けているの
か。逆に、その負担を行っているのかということをお示ししたグラフです。
少しわかりにくいですが、ちょうど真ん中のところよりも上のラインがいく
らもらっているか、給付の状況でございます。下の方が、それに対して負担の
状況であります。
左の方から、生まれた方から言いますと、最初の方は出産一時金とか保育所・
幼稚園のサービスといったところで少し大きな給付を受けるということになっ
ています。ただ、御覧いただいたらわかりますとおり、お年を召されてからの
年金、医療・介護というところにいっぱい給付が来ている。逆に言うと、そこ
にお金がかかっているというのはこれで御覧いただけるのではないかと思いま
す。高齢化が進みますと、この右の部分、お年を召された部分のお金が社会保
障として非常に増えてくるということであります。
次のスライドをお願いします。
これは先ほど副大臣の方から、高齢化が進んだらどのようになりますかとい
うことを申し上げたものを少し模式的にしたものです。昔、1965 年ごろ、これ
は大体9人ぐらいで1人の高齢者を支えるという形になっておりました。現在
は 2.4 人で1人を支えるということであります。更に進んで、2050 年になりま
すと1人で1人を支えるということが予想されているわけであります。
次のページをお願いします。
財政面の方からこれまでの 20 年間を振り返ってみますと、社会保障に係る給
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付費、1990 年には 47 兆円という金額でございましたが、一番新しい 2008 年度
で約 108 兆円ということになっておりまして、社会保障給付費は2倍以上にな
っているということであります。これを賄うべき税収がどうなっているかとい
うことでありますと、これはむしろマイナスになっているということになりま
す。
次のスライドをお願いします。
国の税収、平成2年度は 60 兆円でありましたけれども、平成 24 年度の当初
予算では約 42 兆円ということになります。
その左の方に公債金、これは借金の支払いであります。交際費というあっち
の方ではありませんで、借金の支払いなんですけれども、これが 44 兆円という
ことになっているということで、今はその年その年の本当の収入である税収よ
りも借金の方が多い予算になっているということであります。
それでは、1枚戻ってください。
そこで、この社会保障がどのような財源で賄われているかということです。
もちろん、多くの部分は保険料で賄われているわけでありまして、これが約 60
兆円で、これに資産収入、これはこれまでに積み立てていただいた年金の積立
金を取り崩したものがほとんどでありますけれども、これを加えましても約 70
兆円です。残りの約 40 兆円というのは公費負担ということでありまして、税金
が入っているということであります。
我が国の社会保障の大きな特徴としては、この公費の割合が高いということ
が挙げられております。したがいまして、現在、この税収よりも借金の方が大
きいというふうに申し上げましたが、この 40 兆円のうち税金で賄われている部
分よりも結果的には借金で賄っているところが大きいというのが今の姿であり
ます。
それでは、次のスライドをお願いします。
そこで社会保障ですが、入ってくる方が少なければ社会保障を削減すればい
いではないかというような議論も一方にはございます。しかし、我々の今のこ
の社会保障の水準をこれから落としていくということになりますと、社会全体
にとって非常に大きな問題となります。必要なところには必要な社会保障がこ
れからも必要です。そこで、もっと社会保障を好意的に、経済の面からも、こ
れから経済を支えるものとしてとらえたらどうなるかというのがこの好循環と
書かれたページであります。
世界的に見ましても、社会保障の負担が日本よりも重い国というのは結構ご
ざいますけれども、経済の状況はむしろ良くなっているというようなデータも
ございます。そこで、やはり一定の社会保障を確保しながら、これに必要な負
担をお願いするというのが経済的にもこれからの面で非常に良いのではないか
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というふうに我々は考えているわけであります。
それでは、次のスライドをお願いします。
ただ、このような改革を行う前に、先に行うことがあるのではないかという
ことが、当然、声として上がってまいります。先ほど副大臣の方からも御説明
がありましたが、身を切る改革というのを、今、次々と進めているところであ
ります。これをまとめましたのがこの表であります。
それでは、次をお願いします。
ここからは、今回の一体改革が目指す社会保障の将来像の中身を御説明いた
したいと思います。
一言で申し上げますと、働き方、家族の構造が非常に変わっておりますので、
これに合わせまして現役世代の支援を強化したいというのが大きな考え方にな
っております。現在の消費税、国におきましては高齢化の経費に使うというこ
とで進んでおりますけれども、今回の改革では、これに加えまして、子ども・
子育ての対策、若い人のための医療の経費、こういったものにも消費税を使う
という考え方にしております。
次のスライドをお願いします。
それでは、具体的に今回の税の引上げ分がどのように社会保障に使われるか
ということです。今回の一体改革では、消費税率にしまして5%の引上げをお
願いしております。これは全額が社会保障の財源として使われます。
この表にありますように、そのうちの1%、一番上のところですけれども、
2.7 兆円を社会保障の充実に使います。残りの4%につきましては、現在行って
いる社会保障を安定化させるために使う。今の社会保障制度が破たんしないた
めに使うというふうに考えております。
次のスライドをお願いします。
それでは、この充実の 2.7 兆円の中身についてお示しいたします。子ども・
子育てに 0.7 兆円、医療と介護が 1.6 兆円、年金制度は 0.6 兆円、そして、特
に最近問題となっております貧困・格差対策の観点から、低所得者対策の強化
に、今、申し上げた3つの各制度を通じた内容になりますが、1.4 兆円程度を充
てる、そちらに重点的に振り向けるということを考えております。
次をお願いします。
まず、子ども・子育ての支援であります。今、全国では約2万 5,000 人を超
える待機児童が存在しております。その中心が3歳未満児になっています。非
常に育てるのに人手のかかる、この3歳未満児の保育の充実ということで、2014
年には 102 万人程度まで受け入れられるように充実を図ります。
また、現在、保育所と幼稚園という別の制度になっておりますが、このそれ
ぞれの良さを併せ持つような施設を創設いたしまして、給付も同じ子どもには
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同じような形の給付を行おうということで新しい制度をつくることにしており
ます。その法律を先日、国会の方に提出いたしました。
次のスライドをお願いします。
2番目は、医療と介護であります。医師不足等々の問題がありますけれども、
特に重点を入れておりますのは、介護の職員や看護の職員といった、実際にケ
アに携わる方々を増やそうということであります。救急から慢性、そして在宅
医療へと続く一体の医療、これを支えるところを充実させたいと思っておりま
す。
それから、非常に心配されております医療保険・介護保険制度につきまして
は、長期にわたって高額な医療を受けられる患者さんの負担の軽減や低所得者
対策の強化といったことを考えております。
次をお願いします。
次は年金であります。皆様、マスコミ等を通じて御承知のとおり、新しい年
金制度の創設ということが議論されておりますけれども、まず現行制度自体、
改善が必要であるということで、基礎年金の国庫負担を2分の1に引き上げる
ということになっておりますけれども、これを恒久化するということを消費税
でやらせていただきたいということが1点。もう1つは、最低保障機能の強化
といった、所得または年金額が低い方への加算ということを検討中であります。
次のスライドをお願いします。
貧困・格差対策であります。御承知のとおり、現在、生活保護の対象者が 207
万人という規模になっておりまして、これは戦後すぐの時代を上回っている規
模であります。職を失った方、それから、生活保護の対象になった方が働く場
に戻れるようなきめ細かな支援、こういうところを中長期的な作戦を立てなが
ら充実させるということで、今、市長さんはじめ市町村の現場の方々とも検討
の場を持って進めているところであります。
次をお願いします。
このような社会保障の充実、機能強化、更には維持のために、その財源とし
て消費税率を国と地方合わせて、段階的に 10%まで引き上げようというのが提
案であります。子どもからお年寄りまで全世代対応型の社会保障制度をつくる
とともに、その財源についても幅広い国民が負担を分かち合う仕組みをつくら
せていただきたいということであります。消費税の特質、このところに書いて
おります。先ほども副大臣の方から御説明を申し上げました。このような特質
から、消費税は社会保障の財源としてふさわしいのではないかという御提案で
あります。
次のスライドをお願いします。
この改革に当たりましては、国だけではなくて地方も社会保障の安定財源の
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確保が必要になってまいります。それは地方も社会保障制度の欠かせない一員
として、そのサービスを提供しているからであります。ここに書きましたよう
に、引上げ分の消費税収につきましては、社会保障給付における国と地方の役
割分担に応じて配分することとしております。国分が 3.46%、地方分は 1.54%
というふうになっております。いずれにしましても、この引上げ分は全額を社
会保障財源化し、国民に還元するということにしております。
次のスライドをお願いします。
今回の税制の改革、消費税の税率の引上げだけがクローズアップされること
が多いわけですけれども、それだけではありません。それぞれの大きな、税目
全般にわたりまして改革を行うことにしております。例えば所得税につきまし
ては最高税率の引上げということを行っていきますし、相続税につきましても
課税ベースの拡大というようなことを行います。こういうことを通じまして、
所得の再配分機能を回復し格差を是正したいということであります。
あとは省略させていただきます。
このような改革を通じまして、国内外の経済社会情勢の変化に対応した改革
を税制の面からも進めたいということであります。
私からは以上であります。
○司会
米田さん、ありがとうございました。
先ほど副大臣から御紹介がありましたように、社会保障の分野においても国
と地方は車の両輪ということで、地方自治体も独自の創意工夫による福祉事業
などによって国民生活のセーフティーネットとしての役割を果たしております。
本日は松井市長に御出席いただいておりますので、このような点を踏まえて、
地方から見た社会保障の在り方についてお話をいただきたいと思います。松井
市長、よろしくお願いいたします。
○松井市長
ありがとうございます。それでは、市における財政状況と社会保
障分野の取組を今の御議論に併せて御紹介するということで、検討素材にさせ
ていただきます。
次をお願いします。
実は、広島市の財政状況、一般会計の予算規模は 6,000 億円あるわけですけ
れども、そのうちの約 2,700 億円、これが市税、地方交付税、臨時財政対策債
といった収入で賄われております。そのうちの市税、ここを見ていただくとわ
かりますように、実は平成 23 年度で 1,991 億円、そして地方交付税と臨時財政
対策債、これは 695 億円。いずれも平成9年とか、それから、これは市税です
けれども、地方交付税のピークが実は平成 15 年でございましたが、それから見
ると減っております。増えることはない。とりわけ市税の方につきましては、
景気後退等がございますので、伸びる状況にない、厳しい状況が続いておりま
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す。
次をお願いします。
そして、こういった状況の中で、今度はお金を出さなければいけない、義務
的な支出として位置づけられている経費の二大柱があります。これが社会保障
費と言われるものと公債費、つまり、市が借金しておりますので、借金は返さ
なければいけません。その2つがあります。
前者の社会保障費は、やはり平成 23 年度ベースで見ますと 1,616 億円ありま
す。平成9年当時から比べると倍。公債費は、これを見ていただくとわかりま
すけれども、平成 23 年で 828 億円、借金ですけれども、これも増えてきており
ます。つまり、収入は減るにかかわらず支出が増える。公債の方は少し後で説
明いたしますが、社会保障費については、ここにありますように、生活保護費
等、生活困窮者等々、あるいは介護、こういったところで出るわけです。その
中で生活保護費だけ、ここに数字が出ておりませんから背景を申し上げますと、
広島市における生活保護世帯は約 1.9 万世帯、この生活保護費を受ける方々の
頭数でいくと約2万 7,000 人おられます。そして、この数字はいずれも 10 年前
に比べると2倍、5年前でも 1.5 倍、こんなふうになっております。
更に、これをもう少し数字で見てまいりますと、この社会保障に関わる費用
負担、市がやはり負担するようになっておりますけれども、実は国の方が4分
の3、4分の1が市ということですけれども、それでさえ、ここ数年は毎年 10
億円ずつ負担が増えつつある、こういった状況があります。
次を見てください。
これは、今、言ったものの 1,616 億円の内訳であります。一番右を見ていた
だくとわかります。上の方から特別会計繰出金、これは別といたしまして、実
際の生活保護層、451 億と書いてありますね。どんどん伸びております。それか
ら、原爆被害者の対策は広島固有のものというふうに見ていいんですけれども、
これはほとんど水準は変わっていません。ずっと 340 億~350 億円。そして、新
しくできた子ども手当、その他の扶助費、こんな構成になっております。
次をお願いします。
こんな中で、市として社会保障分野、今、申し上げたような中で、先ほどの
税収の消費税を上げた場合の充実する分野ということで、どんなことで取り組
んでいるかを御紹介いたしますと、まず子どもに関する福祉については、やは
り国の施策と歩調をそろえております。待機児童ゼロを目指す対策、子育て家
庭への支援、それから、高齢者の福祉ということで、援護を必要としている方々
の公費。それは当然、自助・共助という、自らが助け、自分たちの身の回りで
助ける。そして、最終的に行政府が助けるという公助ということなんですけれ
ども、こういった公助も充実するけれども、同時に自助・共助というものもし
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っかりやるということをやりたい。そしてハンディキャップドパーソン、つま
り、障害者の方々の福祉も充実する。その中でバリアフリー化もやっていく。
それから、広島固有の被爆者援護の充実もするというようなことを目指してお
ります。
次をお願いします。
それともう一つは、高齢化という中で、個々人にとって高齢化すること自身
はハッピーなことで、つまり、長生きできるわけですから、しかし、その長生
きした中で、健康体で長生きするということがなければ意味がないわけであり
ますので、健康寿命という対策をやっております。そして、いざ疾病にかかっ
たときに救急体制を充実するということで、救急の搬送受入機能の強化、これ
は市民病院を中心に。それからもう一つ、今、一番死亡率が高くなっておりま
すがんに関しての診療等を市内の病院の4基幹病院を使っての機能の充実・強
化をするというふうな対策を講じております。
次をお願いします。
そうした中で、先ほど義務的な給付のほかに公債が増えていると申し上げま
した。この公債が増える理由があるんです。ここにありますように、実は広島
はずっと以前にアジア競技大会をするということで、相当大規模な公共投資を
行いました。そのとき、一時金が足りないものですから、多額の市債を発行し
た、そんな経緯があって、その後も、そこでピークを迎えましたけれども、そ
こから借金返しが始まるんですけれども、その後も借金しないと財政がもたな
いというようなこともあったということ。
それから、臨時財政対策債というものがありますけれども、これはいわゆる
国の方から地方に、地方交付税を出すというルールがあったんですが、今でも
ありますけれども、現金では、最近、国の方も地方に配れないということで、
配れない分を自治体は自分で借金していいですよ、後で返すときに助けてあげ
ますからね、そういった形で、結果、地方自治体が借金するということが起こ
っております。それらが積み上がって、平成 23 年度で1兆 317 億円、こういう
ふうにふくれ上がっております。
このふくれ上がった額を政令市グループで平均を取ってまいりますと、他の
政令指定都市、今度は 20 になりました、これは多分 19 のときですけれども、
1人当たり大体 63 万円ぐらいですが、広島ではこれが 78 万円と、相当高いと
いう状況があります。こういった意味で、この借金をなるべく増やさない、そ
して、確実に返すといったようなこともしなければならない。しかしながら、
8年減っていかないという構造があります。
次をお願いします。
それともう一つ、お金を出すときによく、公務員については人件費が高過ぎ
13
るのではないかといったような御意見があろうかと思います。これはいわゆる
広島市の人件費がどうなっているかということを見てみたんですけれども、数
字的には決して増えておりません。着実に減少させているということをまず御
理解いただきたい。
そして、この人件費のどれくらいの対象者が出ているかといいますと、広島
の場合、1万 1,000 人ちょっとの職員を抱えております。そして、その方々に
出す額、そして、1人当たりどれくらいかなということになりますけれども、
ざっと見て大体、年額、これは平均ですよ、1人の年収が 700 万円ぐらいで出
しているというオーダーであります。そして、これを多いと言うか、少ないか
ということもあるのかと思いますが、決して増やすというような状況にないと
いうことを頭に置いていただきたい。
次をお願いいたします。
そんな中で、私は市政に携わって、昨年9月、これからの市の財政状況をち
ょっと点検してみようということで、中期財政収支を出しました。今までの市
政の政策展開を、私が手をかけることなく、そのまま継続したとしますと、今
まで申し上げたような財政構造でありますとどうなるかというのを試算しまし
た。平成 24 年から平成 27 年を見通してまいりますと、年々赤字が積もるとい
う状況でありまして、4年間足し上げると、何と 582 億円、何も処置をしない
でおると大赤字になるということが判明いたしました。
次をお願いいたします。
そこで、歳入・歳出についての手当てをしなければいけない状況だというこ
とであります。
まず歳入面の対応で、市の税収は先ほど言ったように右肩下がりで増えてお
りません。そして、これは経済状況を良くして、本当に企業群、皆さん生活す
る方々の所得が増えないと税収は上がりません。大きな構造改革がなかなかで
きない中で、簡単にこれは増えない状況がある。
それから、地方交付税についても、現行制度の中でいきますと、決して国も
十分に出さない。そして、むしろ自治体に借金してくれなければ困るというく
らいの状況ですから、大幅な増収は見込めない、こんな状況がまずあるという
ことがわかりました。
次をお願いします。
そして、歳出の方をどうするかであります。歳出については、大きく3つに
分けて見なければなりません。
先ほど申し上げた支出の大きな柱、すなわち1つ目が社会保障であります。
この社会保障につきましては、私自身は、社会保障というのはやはり何といっ
ても自らを助けること、そして近隣の、自分の近い方々で共助すること、そし
14
てそれが届かないときに公助と、こういった自助、共助、公助の3つの組み合
わせということをもう一遍しっかりするということをここでやらないと大変な
ことになるのではないか。ただ、それをやる上で、給付内容を安易に切り込む、
そして市民生活を不安に陥れるということのないようにするという行為をしな
がら、この自助、共助、公助、このバランスをどうするかということで歳出の
抑制が図れるかどうか、これが大きな課題になってまいります。
市の人件費の方は、先ほど申し上げましたように、決して増える状況にあり
ません。しかしながら、歳出・歳入面について厳しい取組をしていかなければ
いけない。その先頭に立つ公務員でありますから、行政は自ら率先垂範して、
この定数とか職員の頭数とかについて見直していくということも同時にやる必
要がある、こういうふうに考えております。
次をお願いします。
もう一つの歳出の大きな柱は、借金返し、公債費等々であります。これらに
ついては、放っておいても確実に増えます。借金を返さなければいけない。そ
うしますと、それを抑えるためのやり方というのは、どちらかといいますと、
これからの借金を増やさない。そういう意味では、公共事業について長期的な
視点に立っての、一定の計画性を持たせた圧縮を図る、こんな課題が出てまい
ります。
次をお願いします。
今、言った切り口を改めて別の角度から見てまいりますと、次の3つの柱が
出てまいります。
1つは、この一番下の3番目から入ります。つまり、こういった市の状況の
中で、我々自身も大変なんですけれども、なるべく、この大変さを将来の世代
に引き継がない。健全な財政をつくる、こういうことをまず目標として掲げな
ければいけない、こういうふうに思います。
そして、この目標を掲げていくためにどう取り組むか。1番に戻ります。持
続可能な財政運営を確立するという覚悟を決めたい。そのときには、これから
起こるであろういろんな借金を抑えるためにも、そして、効率的な支出をして
いくためにも、いろんな政策について選択をかける。そして、絞り込んで集中
して効果を上げて、その成果が税収に回るようにする、こういった考え方で政
策展開をしていかなければいけない。そのときに実はどうかというと市だけで
は十分間に合わない。是非とも、やはり国のいろんな制度改革を踏まえながら、
地方自治体に対する税源の拡充ということもやっていただきたい。これは同時
並行しないとうまくいかないと思っています。
そうした中で、公的な組織でのこういった見直しをやると同時に、民間の方
も努力していただく。これは民間が努力することを支援する、促すということ
15
になります。地域における活力の生みだしをやる。そのために、個の地域にお
いて企業活動をする多くの企業群を誘導していく。そして、人々もここで安ら
ぎ集う。そういった形での税収を確保する。更には、そのやり方の即効性を狙
って、例えば観光振興など、こういった経済対策も打つ。こういった枠組みの
中で財政運営の健全化を図っていくということをやらなければいけないと思っ
ております。
次をお願いいたします。
以上、市としてやっていかなければいけないという方向性を持って取り組ん
でおるところですけれども、こういった市の取組について御理解いただき、国
の方の制度改革の進行状況に応じて、必要な地方への支援というものを是非拡
充していただくということをお願いしたいと思います。
以上であります。
○司会
市長、ありがとうございました。
それでは、この後は会場の皆様と意見交換を行う時間とさせていただきたい
と思います。質問でも結構です。今日のテーマは幅広い観点を含んでおります
ので、2つの切り口に分けて意見交換を進めてまいりたいと思います。
まず1つ目は、社会保障における地方自治体の役割や取組、社会保障制度へ
の御意見や御質問などについて。そして2つ目は、消費税の在り方を中心とし
た税制改革や財政の状況、行政改革の取組などについてとします。それぞれの
テーマにつきまして、順番に皆様から御意見や御質問を伺います。挙手された
方を私の方で指名させていただきます。その際、係の者がマイクを持って伺い
ますので、御発言ください。
なお、より多くの皆様の御意見を頂戴したいと思っておりますが、何分、時
間に限りがございますので、的確に簡潔にお願いいたします。
それでは、まず最初の切り口からです。事前に皆様からお寄せいただきまし
た関心事項としましては、子ども・子育て支援など、自治体が中心となって取
り組んでいる施策や、年金、医療・介護など、社会保障制度の今後の姿に関す
る御意見・御質問が多く見受けられました。まずはこのテーマに関しまして、
御意見や御質問のある方、挙手をお願いいたします。
では、お二方いただきましたので、まずは最初にジャケットを羽織っていら
っしゃる、黒のシャツの男性の方、お願いいたします。
○参加者
広島医療生協に務めますAと申します。
まず、社保・税の一体改革とおっしゃいますが、社会保障の改革が私には見
えません。つまるところ、消費税の増税ではないかと思います。
まず、竹下内閣のときに消費税が導入されましたが、国民世論の論議のさな
かに、論議も十分されないままに強行採決されました。その後、相当の税収が
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あったにもかかわらず、法人税の輸出戻し税などで、大企業に税制優遇で、ほ
とんど大企業に還付されております。それから、橋本内閣の際に3%を5%に
上げたとき、未曾有の大不況に見舞われました。たくさんの業者が倒産されま
した。そういう場の中で、我々は非常に不信を持っております。
竹下内閣のときに増税、昭和63年の暮れに導入されたときにも、社会保障を、
先ほど出ておられたようなたくさんの人が支えているけれども、これが少なく
なっていくということが散々されました。ですけれども、全然それにまわって
いない。また、介護保険制度を導入するにしても、保険料を取るということで、
非常にだまされた思いが強いです。
そしてこのたび、さきの総選挙で民主党は、4年間は消費税は全然手を付け
ないということを国民に公言されて、圧倒的多数をとったわけです。それを4
年の年も変わらないうちに増税されるというものを出すことは、これはもう本
当に国民に対する政権公約違反だと思います。ですから、即刻それをされるな
らば、こういうことをされる前に説明をされて、解散をして、国民世論に打っ
て出て、そしてそれが支持されましたら、こういうことをされればいいのでは
ないかと考えております。
まだまだ言いたいことはありますが、とりあえずこのぐらいにしておきます。
○司会
ありがとうございました。
消費税の歴史やマニフェストの関係について御意見をいただきました。
では、まとめてお答えをさせていただきたいと思いますので、続いての方、
どなたかいらっしゃいましたら、挙手をお願いいたします。
では、後ろの方、お願いいたします。
○参加者
説明を聞いてびっくりしました。23年前に、当時は自民党政府です
が、高齢化社会が来る、国の財政が大変だ、消費税が一番安定した財源で、所
得税や法人税はだめだ。特に、法人税がそのままだと企業が海外に出ていく。
所得税はこのままだと勤労意欲を無くす。それから23年たって、今、同じよう
なことが言われているのにびっくりしました。これは私の感想です。
質問です。先ほどの方も言われたように、橋本内閣のときに3%から5%に
引き上げられました。後に橋本首相自身が、これで景気が悪化して、財政赤字
も一気に増えて、後の小渕大臣は借金をして、今の財政状況をつくりました。
まさに経済がめちゃめちゃになった。これは自身の口から反省の弁が出ている
のです。これは新聞報道ですが、野田首相は、消費税を上げれば景気が良くな
って、今日のテーマですが、
「明日の安心」ができるんだということを言われま
した。その理由と、橋本内閣時代と今となぜ違うのか。橋本自民党政府がやろ
うとしていることと、今、民主党がやろうとしていることは、税率を上げるこ
とには違いないのですが、その違いについてわかるように説明してください。
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○司会
ありがとうございました。
消費税アップについて御質問いただきました。
では、違う切り口でどなたかいらっしゃいますでしょうか。
では、前の方にいらっしゃる、今、手を挙げていらっしゃる方、お願いいた
します。
○参加者
先ほどからのお話を聞きまして、市長先生のお話を今、賛成できま
した。すばらしい考え方だと思います。それに引き替えまして、問題は国とい
うことになります。
失礼ながら、安心というと、年金、医療、介護制度ですけれども、今も外で、
ここの会場に来るときに何やら熱心に運動をやっておられるグループもありま
したが、要するに国の保障は充実せよということではないかと思うわけです。
このような国の保障云々という制度を言っている限り、豊かな福祉文化の実現
はいつまでたっても実現不可能ではないかと思うわけです。
そのことは人類の歴史を見れば明らかではないか。現在、日本国民は豊かな
衣食住文化のある社会を獲得しておりますが、この豊かな衣食住文化は、国の
保障では決して獲得できなかった。国の保障でやろうとした国は崩壊したか、
もしくは現在、最貧国に沈んでいる状況でございます。豊かな衣食住文化の獲
得は、事業を中心にして、それをサポートする制度、本当に困った人に絞った
国の介入。そういった重的経済システムでこそ獲得できている。国の保障で云々、
国の保障で獲得しようとできなかった制度を今も延々とやっている。ここに問
題があると思うわけです。
日本は現在、平等性のある豊かな衣食住文化が獲得できております。豊かな
衣食住文化だけなら世界の先進国諸国も実現できております。しかし、平等性
があって豊かな衣食住文化となると、世界のどこの国もなし得ておりません。
日本国民は理想的な社会を実現していることになります。これは世界の奇跡で
あり、輝かしい業績です。これを実現したのは何より全体主導の方針を示した
政治家先生方、更に日々努力し、改善に改善を重ねられた公務員諸君の英知と
努力の賜物ではないか。功績でもあると思うわけです。世界のどこもなし得な
い平等で豊かな衣食住文化を実現させた功績は、世界の英雄と呼ぶにふさわし
い働きであると思うわけです。
このように、日本国民は世界にまれな平等性の高い豊かな衣食住文化国家を
創造しております。世界の奇跡を実現できているわけです。これを達成すると
き、世界のどこにもモデルなどありません。日本国民の英知と工夫により、自
ら未知なる課題にチャレンジし、開拓し、創造したのです。平等性のある豊か
な福祉文化の獲得でも、この優れた経験を活かせばよいのではないですか。世
界の英雄、日本の政治家先生方、そして公務員諸君の輝かしい業績に学べばよ
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いのです。世界に秀でた公務員諸君、もう一働きしていただき、既に衣食住文
化の獲得で実績がある、福祉文化でも日本の優れた公務員諸君の働きがあれば、
世界のどこもなし得ない平等性のある豊かな福祉文化は獲得可能である。平等
性のある豊かな福祉国家は、自由主義経済システムで運営してこそ創造できる
のであると考えます。
反対者は更に言うわけです。自己責任では封建時代に戻るのか、こう言って
批判する。全くとんちんかんな批判です。いかにとんちんかんかは、これも人
類の歴史に学べば事実で論証可能です。
例えばかつて中国共産党は、人民服を支給し、社会主義官僚による衣料文化
を全人民に保障しておりました。これを中止し、自由化するとき、人民服の支
給を中止することは昔に戻るのか。ぼろをまとっていた封建時代に戻るのかと
批判するに似ているわけです。歴史の技術で検証したらいいのに、中国共産党
は人民服の支給を中止し、自由化したその後はどうなったか。ぼろをまとった
昔に戻ったか。そうではなかった。中国の衣料文化は自由化により大きな発展
を遂げました。中国の衣料文化は自由化により目覚ましい発展をしたのです。
社会福祉もそうではないのでしょうか。官僚企業社会主義システムを廃止し、
自由主義を推進すれば、昔に戻るどころか大きく発展する。その完成した姿は
だれにもわからないほどになるのではないか。想像を絶する発展をすることに
なるのではないか。日本国民は衣食住文化の獲得で平等性のある豊かな、世界
のどこにもないモデルを自ら築き上げた実績を持っております。勇気を持って
チャレンジしてほしい。このチャレンジに政治家先生方、是非とも先頭に立っ
てほしい。これをしない限り、いつまでたっても増税は続く。いかに熱意のあ
る政党が熱意を持って政権につこうが、優秀な政治家先生方が総理になって指
導なさろうが、明るい未来は決して開けない、こう思うわけです。
○司会
貴重な御意見、ありがとうございました。
まず、お一方目ですが、消費税の歴史やマニフェストとの関係、お二方目が
消費税アップ、そして自民党と民主党の違い、お三方目が日本の平等性、豊か
な衣食住文化について御意見を頂戴しました。
では、副大臣あるいは審議官、いかがでしょうか。
○松崎副大臣
まず、デフレ化、1997年でしょうか、3%から5%に上げたと
きに景気後退をした。もちろんそういう見方もありますけれども、冷静に考え
ますと、その年の7月にアジアの通貨危機があったり、11月に金融システム不
安定化という要素も重なったこともありますので、そこは冷静に判断しなけれ
ばいけないと思います。
1989年の3%導入のときは、税収が、経済が好調だったのです。ですから、
翌年の1990年は、先ほども表にありましたように、一般会計の税収もピークで
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ありました。60兆円まで達していたのです。ですから、一概に消費税を上げる
ことで全て景気が悪くなるのだということは極めてそれは一方的な見方ではな
いかと思っています。
野田さんが景気を良くするという発言をしたかどうか、私は今のところ記憶
にないのですけれども、消費税を上げることによって景気が良くなるという言
い方はしていないと思います。
公約で消費税を上げないと言ったと言うのですけれども、今、実際に上げよ
うという法案の予定は2014年です。あと2年後であります。ですから、来年の
9月が任期でありますから、任期中には消費税を上げない。しかし、議論はし
てもいいはずでございます。それは議論をするということは言っているはずで
あります。法案を出しても、実際にはやっておりませんので、この2年間でや
るべきことをやる。議員の数の問題あるいは国家公務員の給与の問題、来年の
採用も56%削減するということ、これもかなりいろいろ議論がありますけれど
も、本当に思い切ってやるのだという意思を示しながら、我々はこの2年間で
国民の皆さんに納得していただける努力をするということでございますので、
よろしく考えていただきたいと思っております。
○米田審議官
3点目にいただいた方の意見は、貴重な御意見を頂戴いたしま
した。
先ほど松井市長からも自助、共助、公助という考え方が大変大切だというこ
とをおっしゃっていただきました。私どもの今回の改革も全てを公助に頼ろう
ということではなくて、あくまで自助をできるだけ助けるという改革。生活保
護におきまして、できるだけ働く場に戻っていただく手助けができる改革も検
討しております。そういう意味で、原則としまして、自助、共助、公助という
考え方をメインに、フィールドでは同じような考え方に立っているのではない
かなと思います。
貴重な御意見をありがとうございました。
○司会
続きまして、先ほど消費税に関しての御意見などをいただきましたが、
社会保障における質問においてどなたか。
では、後ろの方、お願いいたします。
○参加者
私は自営業です。Bと申します。
まず、
「社会保障と税の一体改革を考える」の表題ですが、去年の初めごろは
こういうことを謳っていました。「税と社会保障の一体改革を考える」。文字が
入れ違っております。これはどういった意味で文字が入れ替えられたのか。
お話の中で、今から高齢者が増えるので、肩車社会になるということがしっ
かり書いてありますけれども、社会保障を支えるのは、働いている人がお年寄
り、弱い方を支えるだけではありません。この中に盲点が1つあります。企業、
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法人税とのことが出ています。1つも書いてありませんが、これは皆さんもい
ろいろなテレビを見て御存知かと思うのですけれども、他の税金が加味されて
いません。それと生活保護は社会保障の一端ですけれども、非常に増えている
とマスコミでも発表されております。戦後、昭和25年、30年ごろは約6,000~
7,000万人の人口です。今、ざっと1億3,000万人です。人口は2倍になってい
るんです。増えたといっても、比率から言うと増えていない。その当時の3分
の2ぐらいです。社会保障の面で生活保護はやり玉に上がっていますが、今日
は、マスコミの方もお見えでしょうけれども、何人になっている、何人になっ
ているではなくて、土台が違うのです。そういうところをしっかりと掲載、リ
ポートしてほしいと思います。
社会保障は別に法律でこうこうこうということは出ていないと思うのですけ
れども、社会保障の概念は、所得、収入の再配分だということが学説として定
着していると思います。それを切り離すことは国としても、この学説を切り離
す要因があれば反論してください。反論というより、こういうことでと説明し
ていただきたいと思っています。社会保障は大事です。
もう一点、消費税が諸外国では高い。フランスは17.5~20%まで行っている。
日本は5%から10%に上げたいと言っておりますが、フランスの税の収入と日
本の5%の収入時では、ほとんど同じです。パーセントは違うけれども、国の
財政の中の消費税が占める割合は日本が多いぐらいです。ということは、日本
は消費税の他の税金が安いということです。
今の所得税を40%から50%に引き上げたいということを新聞で拝見しました
が、以前は最高税率が75%。これは段階税率なので、恐らく収入からすると30
~40ぐらいになると思うのです。とんでもない。
それと住民税。今、フラット化で市と県民税を合わせて10%です。県が6%、
市が4%。市税が落ち込む要因は、住民税のフラット化であると思います。前
は5%、7%、13%と段階税率だったのですけれども、どんなに金持ちであっ
ても10%です。今度の松井市長、是非考えてほしいんです。市税が落ち込んで
いる原因はそこにもあるかと思うのです。
4つぐらいお聞きしましたけれども、端的に1つずつお答えをお願いしたい
と思います。よろしくお願いします。
○司会
ありがとうございました。
まずは、
「税と社会保障」から「社会保障と税」と書き方が変わった違いは何
か。生活保護について、そして、消費税、国際比較についてなどの意見、質問
をいただきました。
ありがとうございます。
では、時間の都合上、次に指名させていただく方で最後となります。
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では、女性の眼鏡をかけていらっしゃる方にお願いしたいと思います。
○参加者
主婦の立場から消費税そのものについて申し上げたいのですけれど
も、消費税は今、内税になっていますので、なかなか消費者一人ひとりがどれ
だけ消費税を払っているか自覚しにくい状況になっているのです。
私たちの友人が4~5人集まって消費税の話になったときに、社会保障が充
実されるのだったら、消費税が値上がりしてもしようがないかという声があっ
たのです。では、消費税をどのぐらい払っているのかということを、なかなか
みんな家計簿はつけていないのですけれども、レシートでいいから1か月間考
えてみようか、統計をとってみようかということになりました。
そして、ここで老夫婦2人の世帯ということなのですが、26万円、これは税
金をいろいろ払った後の可処分所得ということになるのでしょうか。そのお金
で1か月の消費税が8,458円になった。これが1年分となりますと、10万1,496
円になるわけです。10%になりますと倍ということになるわけですから、20万
円も1年間に消費税を払うことになる。
それぞれ計算した人たちはみんな、こんなに消費税を払っていたのだ。本当
に1円でも安くといって近所のスーパーにあちらが安い、こちらが安いと言っ
て買い物をしている主婦にとって1年間に20万円、4人家族の統計では1年間
で現在14万6,916円を払う。これが10%になったら30万円になる、こんなことは
もう到底できない。
本当に社会保障というものが充実されてきたのだろうかということにも話は
及びました。この23年間、本当に良くなった社会保障があるのでしょうか。私
が覚えておりますのは、もっと前かもしれませんが、例えば医療費は窓口無料
ということがありましたね。サラリーマンは窓口では無料だった。お年寄りも
無料だった。それが今は1割だの、2割だのということになっているわけです。
23年間で本当に社会保障が良くなったものがあったら、列挙していただきた
いと思うわけですし、これからも新聞報道によりますと、年金も医療保険も介
護保険も子育て世帯に対する施策、子ども手当は児童手当に戻ってしまったわ
けです。そして、これでは住民税の年少扶養控除が廃止になったら、かえって
税金を払わなくてはいけないという世帯も生まれる。やはり社会保障というの
は充実しないではないか、こういうことになったわけですから、私たちは本当
に23年間、社会保障のためだ、社会保障のためだと言われ続けて、ちょっと悪
く言えば、だまされ続けてきたのではないか、こういう不信感があるわけです。
私は先ほど、松井市長のお話の中で市の財政も大変厳しいということで、公
共事業は見直して節約をしなくてはいけないというお話がありました。大変そ
のことについてはその通りだと思います。具体的には、二葉トンネル。私が仕
事に行っているところは東区ですので、二葉トンネルのことが今、かなり話題
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になっております。
この無駄遣いを中止して、無駄遣いをやめていただきたいということと同時
に、国に対しても例えば八ッ場ダムは民主党はやめるということは大きな公約
に掲げたのに、それはやるのですね。そして、高速道路にしても新幹線にして
も次々とやって、これも新聞報道によりますと、3兆5,000億円余り、この公共
事業をする、無駄遣いをする。防衛費も4兆7,138億円という数字が出ておりま
した。ここをやめて消費税は上げないでほしい、これが私たちが一生懸命計算
をした主婦の立場からの願いです。
○司会
ありがとうございました。
まずは、内税、外税について、そして、年間1世帯30万円の消費税負担にな
るという御意見。更には近年の社会保障の充実について御意見をいただきまし
た。ありがとうございます。更には地方の公共事業の見直しということでいた
だいております。
まずは、
「税と社会保障」、
「社会保障と税」というこの違いについて、そして、
生活保護や消費税、国際比較についてどなたかお答えいただければと思います
が、いかがでしょうか。
○松崎副大臣
「税と社会保障」のネーミング、名前なのですけれども、これ
は私どもも議論をしております。税金を上げる、これは見方によれば、財務省
主導型と見られてしまうのですが、そうではなくて、先ほどからも説明しまし
たように、これだけの高齢化、少子化で等しくなるべくほとんどの方々が何と
か最後は安心して生活できるということになると、これだけ毎年1兆8,000億も
自然増が増えている社会保障費ですから、これをどうしても賄うためには国民
それぞれ皆さんが負担をしていただくしかないわけです。
その中でどの税目かということで、先ほどから言っておりますように、選択
をしたのは広く浅く万遍なくいく。法人税の話を挙げられる方もおりますけれ
ども、これも国際比較しますと、日本はかなり高いです。そういうことで、資
源のない国が世界に出て行って、そして、稼がなければなりませんので、そう
いう方たちから言いますと、世界規模で競争のできる法人税も必要だというこ
とでございます。
ですから、名前のことはあくまでも社会保障をしっかりとやるのだという意
思を表すということで、
「税」が先にきたのではおかしいということで、私ども
も議論の中に入って変えたということでございます。
それから、先ほど主婦の方から社会保障が全然良くなってないというお話が
ありましたけれども、介護保険にしましてもこれだけ、ドイツは働き出すと介
護保険料を取られるのです。我々だと40歳からということで、しかも、これだ
けの高齢化の中で介護をみんなで支えようということは、私はすばらしい制度
23
ではないかと思います。もちろん、欠陥はありますけれども、直していく。
最近になりまして、私どもの政権は2年半前からですが、そこから子ども手
当あるいは高校の無償化、これは本当に歓迎をされております。あまりプラス
のところは国民の皆さんおっしゃいませんから、実際には日本の社会保障、医
療保険は世界に冠たるものでありますから、これを支えていくということも。
ですから、冷静に見ていただいて、本当に我々の生活の中で日本の社会保障が
問題はたくさんありますけれども、しっかりやってきているなということだけ
は御理解いただきたいなと思います。
○米田審議官
続けて御回答させていただきます。
総額の表示で外税制の話をされました。これは消費者の方にとっては税額が
わかるという利便性もございますが、外税と内税と混在しているので、最終的
な価格がどれぐらいかわからないというお声も随分あったということで、平成
16年度に必ず総額表示を入れてくださいという今の法律になっているというこ
とです。
ただ、これはもう一つ、消費者の方以外にも事業者間での取引でどれだけの
税が転嫁できているかどうか、例えば下請けと元請けとの間で下請けの方に消
費税分が転嫁できないという負担になっていないかどうかという問題もありま
す。いろいろな問題があるものですから、今回の一体改革の中ではこの点をも
う一度、検討するという法案文になっているという、それだけ付け加えさせて
いただきます。
○前田固定資産税課長
すみません、一連で答えさせていただきたいと思いま
す。
先ほど日本の消費税とフランスの付加価値税の比較の話がございました。こ
れは基本的に私どもはフランスに比べると、日本の消費税は低いと認識してお
ります。御指摘のありました話は恐らく税収規模で見れば、日本とフランス云々
ということだと思いますが、御案内のように日本とフランスは人口規模も違い
ますし、当然のことながら財政規模も違います。したがって、税収の規模が違
うということになってまいりまして、個々の納税者の負担を見るということに
なりますと、当然、適用される税率に着目するのが妥当だと思います。
例えば変ですけれども、東京都と広島県ないし広島市の税収規模を比較すれ
ば、東京都の方が大きいわけですが、東京都の方が税負担が大きいかというと、
決して個々の納税者レベルで見ると、日本の場合は一緒でございますので、そ
れの裏返しだと思います。
それから、住民税の税率構造の推移のお話でございますが、私もうろ覚えで
恐縮ですけれども、竹下内閣のときの税制の抜本改革のときに住民税の税率構
造も3段階に簡素化されました。たしか5%、10%、15%だと思っております
24
が、これが橋本内閣のときの恒久的な減税のときに5%、10%、13%と改めら
れました。その後、小泉内閣のときに三位一体改革の税源移譲に伴いまして、
現在、比例税率の10%、フラット化となっておるわけです。
まさに国税から市税に税源を移譲するために、5%の部分も10%に上げる。
ただし、最高税率を10%に引き下げるという形でフラット化を図ったというい
きさつがございますので、フラット化が税源移譲という形で市町村の税源を充
実させるためになされたということは歴史的な事実だと認識しております。
○朝川政策企画官
あと、もう一つ、厚生労働省ですが、高齢者の生活が消費
税引上げに伴って苦しくなるのではないかという点に関して、社会保障制度側
での今回の改革の対応を申し上げます。
高齢者の例でおっしゃいましたので、高齢者についてどういう対応をされる
かでございますが、幾つかございます。1つは、低所得者についてでございま
すが、最低保障機能の強化ということで年金については低所得者について加算
をすることを制度化する法案を出してございます。
2つ目は、65歳以上の方に介護保険料をお払いいただいておりますが、これ
も低所得者の方を対象に今の制度よりも保険料の軽減を強化する。これは公費
の投入を増やすことによって強化する、そういう内容を盛り込んでございます。
3つ目は、消費税が上がりますと、物価がおのずとそれに伴って上がります
が、年金額の改定の仕組みは物価の上昇を加味して年金額を改定することにな
りますので、その分、年金受給者については、消費税引上げ分に伴う物価上昇
分はある程度の対応はされるということになります。
あともう一つ、これは今、政府・与党で議論中でございますが、逆進性対策
として将来的には給付付き税額控除ということが検討になってございますけれ
ども、その前段階の措置として簡素な給付措置ということで少し低所得者の対
策を一定程度行うことを今、検討中でございます。
○司会
そして、地方の公共事業の見直しについてということでもお話を伺っ
ておりますので、市長、お願いいたします。
○松井市長
こういう個別の問題で御意見いただきましたけれども、非常に悩
ましい問題だと思っております。ただ、自分の判断のポイントを申し上げたい。
どうするかは今からしっかりとやっていかなくてはいけない。今、ボーリング
調査をやっていますので、その結果を踏まえて判断しなくてはいけないのです
けれども、その判断の視点は市民の安心・安全というものを確保するというこ
とは欠かせない要素です。
それと、そうは言いながら安心・安全だけであっては市が発達いたしません
ので、もう一つ、安心・安全は特定の地域の方々に問題があれば、安心・安全
を確保しなければいかぬ。しかし、それを本当に完璧にするためには、地域全
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体の経済活性化、皆が日ごろの生活を豊かにできる視点を考えて、全体の利益
のことも考えなければいけない。これが2つ目の視点。
3点目、とりあえず、公共事業についてはそういったものが経済の活性化で
あれ、市民の安全・安心であれ、そういうことを果たす機能は公共事業にある
ものもあります。そうすると、限られた財源の中でどういう公共事業をやるか
というときに選択、よくよく絞り込んだ上で集中的にやる。
その3つの組合せから5号線問題についてどうなるかということを今からし
っかり考えたいと思うのです。そして、安心・安全についての検証ができるか
どうかが、今、ボーリング調査にかかっている。それを踏まえて今、申しまし
た3つをどういうふうに判断していくかということをやりたいというのが現段
階の考えでありますので、御理解いただきたいと思います。
○司会
ありがとうございました。
御意見や御質問、なかなか尽きないと思いますが、予定の時間を過ぎており
ますので。
○参加者
○司会
1分でいいからしゃべらせてもらえませんか。
それでは、お願いいたします。
○参加者
私、基本的に消費税の増税には賛成なのです。ただ、先ほどの消費税増税の
1997年のことを詳しく皆さん調べてこられたのですけれども、私も若干、調べ
てみたら、消費税3%が5%に上がったのは、1997年、平成9年4月1日なの
ですよ。今回、消費税を上げようと政府の方が考えておられるのは、平成26年
4月からです。
何が決定的に違うかというと、私は自営業をやっているのですけれども、先
ほど言われたように内税方式でやるのと外税方式でやるのかという、違いがあ
ると思います。97年4月1日は、夜のうちにレジの設定を3%から5%に変え
れば、次の日、お客さんから例えば103円いただいていたものを105円いただけ
るわけなのですよ。今の総額表示のままで、5月1日から消費税が上がります。
今、105円の商品が更に5%上がって110円。消費者の方々からいただけなかっ
たら、5円はだれが払うのです。
今でさえ、先ほど言われました。民主党さんのこういう会議の場でイオンの
悪口を言っちゃいけないのでしょうけれども、イオンはいいですよ。業者さん
から協賛金や何かが出て、消費税だけで還付されているわけだし、みんなつら
い思いをして持っていて、持っていかないと商売にならないからです。それは
みんな知っていますよ。お客様のためなら身を削っていますよ。自分たちの生
活のために商売をしているのが第一なのですから。
だから、私が何を言いたいかというと、消費税を上げるのはものすごく賛成
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なのですけれども、上げるのであれば、表示方法を変えていただかないと。4
月30日まで105円の商品が5月1日から110円になります。その5円をここにい
らっしゃる一般の方々に御負担いただかないと、今までずっと売っている側が
消費税を負担し続けているわけなのです。
私、政権交代になるときに、みんなのところに電話をしたのです。100円のレ
ギュラーガソリンと105円のレギュラーガソリン、どちらを入れますか。消費税
がほしかったらとったらいいじゃないかと、私は怒られました。それは100円の
レギュラーガソリンがいいに決まっていますよ。安いですもん。
でも、さっきの女性もおっしゃっていますけれども、内税方式で税金が含ま
れてしまっている。税金が含まれている中で値段を上げようしていれば、デフ
レにもなるだろう。私みたいなばかが考えてもわかりすますよ。だから、増税
するのであれば、嫌だろうけれども、みんなが負担し合うような表示方法にし
てもらわないと。
先ほど自営業の方もいらっしゃいましたが、チラシがあるのですけれども、
98円のホウレンソウとピーマンは消費税が上がった後もお客さんからお値段い
ただけるのかというのがものすごく心配なのです。5%など言われたら、お米
などは そ うですと、3,000円のお米は数百円の利益しかないのですよ。それで
5%を売る側に持てなど言われたら、とんでもない。そこら辺は何とかしてい
ただきたいと思っています。よろしくお願いします。
○松崎副大臣
大変貴重な、私もよく小売商のことを知っておりますので、現
場の意見をしっかり承りながら、しっかり検討していきたいと思っております
ので、よろしくお願いいたします。
○司会
ありがとうございました。
では、これをもちまして、皆様、今日の意見交換は終了させていただきます。
では、これより副大臣から締めくくりの御挨拶を申し上げます。
お願いいたします。
○松崎副大臣
どうも皆さん、長時間にわたりまして、ありがとうございまし
た。
まだ言い足りないこともたくさんお有りだと思います。是非、メールとかで
いろいろ御意見をいただきたいと思いますし、今日、伺った様々な角度の御意
見、本当に貴重な御意見でして、我々もしっかり検討させていただきたいと思
っておりますので、これからもよろしくお願いをいたします。
何としてもこの国を守る、そして、生活が第一の国にするために頑張ってま
いりますので、よろしくお願いを申し上げます。
松井市長、ありがとうございました。
ありがとうございました。
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○司会
ありがとうございました。
会場の皆様、本当に活発な御発言をありがとうございました。本日の議論の
ように、皆様の身の回りでも社会保障と税の一体改革に関して、いろいろと話
し合い、考える機会が増えていくことが大切だと感じました。本日はありがと
うございました。
登壇者の方々にもう一度拍手をお願いいたします。(拍手)
これをもちまして、「『明日の安心』対話集会in広島」を終了とさせていただ
きます。
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