施設・設備 (PDF 199KB)

10
施設・設備
【到達目標】
1)教育研究活動を推進・維持するために必要な施設・設備を整備する。
2)設備を点検し、省エネルギーを推進する。
3)教育用情報処理機器の整備を図り、インフラとしての運用と情報セキュリティ確保に留意する。
4)学生が快適に過ごせるようにアメニティ空間を確保し、継続的に整備する
5)地域社会との連携を推進・維持するために必要な環境を整備する。
※
1
本章は大学院の施設・設備の点検・評価を含むものである。
施設・設備等の整備
(A) 大学・学部、大学院研究科の教育研究目的を実現するための施設・設備等諸条件の整備状況の適切
性
10-1-1
【現状説明】(大学基礎データ表36, 36-2, 37, 38, 40 参照)
主要施設として本棟、体育館棟、資料館棟、薬品庫、ゴミ庫、除害施設及びサークルハウスがある。
また、薬学部 6 年制を迎え、教育・研究環境整備の充実強化を図るため、総合教育研究棟フロネシス
(2009 年 3 月完成予定)を建設している。
本棟は本部棟、研修・図書・厚生棟、講義棟、実習棟及び研究棟で構成されているが、学生などの
移動がスムーズになるよう各棟 1 階、2 階には連絡通路がある。特に実習棟は、研究棟にいる教員な
どの利便性を配慮し、5 階まで一体化したような構造になっている。
本部棟(3 階建)1 階には管理グループ、図書・情報支援グループ、2 階には入試・進路支援グルー
プ、学生支援グループがあり、学生及び教員の支援活動の拠点となっている。3 階には会議室、大学
院マルチメディア教室(90 人収容)、学長室、同窓会事務室及び法人事務局などがある。
研修・図書・厚生棟(地下 1 階、地上 3 階建)1 階には最新の LL システムを備えた PC を設置した
情報処理学習施設である CALL 教室(70 人収容)、学生ロッカー室、健康相談室、217 閲覧席を有す
る図書館(個人用 PC の持込・接続可能、図書館検索専用 PC 設置)、グループ学習にも利用している
視聴覚教室(10 人収容、PC 設置)、食堂(600 人収容)がある。2 階には学生実習室(103 人収容、
PC 設置)、購買部(生協売店)、教員室及び学生委員会室など、3 階には講義の他、特別講演などの
イベントスペースとしても活用している多目的大講義室(最大 600 人収容可能)がある。地階には上
水受水槽(150 t)、井水受水槽(50 t)、厨房除害施設などがあり、井水は樹木の散水などに利用している。
講義棟(4 階建)には計 25 の講義室があり、各室は PC、資料提示装置、ビデオプロジェクタ及び
音響装置を完備している。薬剤師生涯学習講座、市民大学講座などの会場としても利用している。4
階にはリベラルアーツ系の教員室(11 室)及び寄付講座が 2006 年 10 月 1 日から設置されている。
実習棟(5 階建)1 階には本棟の空調などをコントロールする中央監視室、熱源機械室などが、2 階
145
から 5 階に各 2、計 8 の実習室がある。熱源機械室の下には雨水貯留槽(700 t)があり、雨水を塩素
滅菌した後、雑用水としてトイレ水、冷却塔の補給水として利用している。
研究棟(6 階建)には、計 26 の研究室が、4 階に薬学教育研究センターがあり、本学の研究の中枢
を担っている。2 階には実際の薬局と同様な調剤室、DI 室を設け、調剤や窓口業務などのシミュレー
ション実習が体験できるモデル薬局がある。
付属研究施設として研究棟 1 階に機器分析センター、動物研究施設、RI 実験施設が、4 階に機器分
析センター(共同利用室)、構内に薬用薬物園があるが、それぞれの研究施設の概要及び整備状況は
後述する。
研究棟北側に位置する薬品庫(87.5 m2)は危険物屋内貯蔵所として類別に貯蔵していた。有効的に
活用するため、現在は危険物屋内貯蔵所として使用する以外に可燃性廃液の一時保管場所、産業廃棄
物保管庫、実験系廃棄物(ガラス、プラスチック、金属及びゴム類)、実験系廃棄物(擬似感染性廃
棄物、不燃性廃液)の一時保管場所として活用している。産業廃棄物保管庫の利用は、担当者立会い
のもとで行い、分別の徹底を図っている。
大学生活で発生するゴミは、講義棟、実習棟、研修・図書・厚生棟の廊下に一時集積所として専用
ボックスを設置し、7 分類 11 種類に分別回収している。また、同場所に本学の一般廃棄物(ごみ)に
対する取り組みを掲示し、ゴミの減量、分別の徹底を図っている。一時集積所で分別回収されたあき
カンなどの資源物等は、更に 9 分類 21 種類に分別し、ゴミ庫(110.7 m2、別名リサイクル庫)に集積
している。
本学は除害施設(76.3 m2)により、実験排水、動物実験排水などの処理を法規制に従って行ってい
る。
現在建設中の総合教育研究棟フロネシス(3 階建)1 階には 2 学科合同の講義、市民大学講座などに利
用できる大講義室(400 人収容)、有線 LAN、AV 機器など IT 環境を完備した講義室(200 人収容)、
高度な研究を支えるハイテクリサーチセンター(150 m2)及びロッカー室(600 人用)、2 階にも 1 階
と同様な講義室(200 人収容)、軽食ラウンジ(200 人収容)、学生自習室(80 人収容)、3 階には事
前実務実習室(モデル薬局、調剤、散剤、水剤、錠剤、注射、無菌調整、無菌手洗、病棟服薬指導及
び鑑査室)を計画している。事前実務実習室は、OSCE 形式での試験に対応できるよう考慮した構造
となっている。3 階のゼミ室は(OSCE 兼用、8 室、通常 30 人で利用)、スライディングウォールを
設置し、60 人までの利用を可能としている。
福利厚生施設として神奈川県の丹沢に山小屋(312 m2)がある。また、山梨県に八ヶ岳寮を有して
いたが、運営状況(利用者数の減少、補修費用など)を総合的に判断し、2006 年建物を有償で譲渡し、
所有権を移転した。
東京都千代田区紀尾井町にある剛堂会館ビル(地下 2 階、地上 6 階建)は収益事業(貸事務所、貸会
議室などの貸付業)としてビルの各室を企業に賃貸しているが、その 1 階に「明治薬科大学紀尾井町
サテライト・ラーニングセンター」を設置し、医学・薬物治療学を中心とした臨床薬学特論講義を夜
146
間に開講しており、
2009 年度まで科目等履修生(社会人)及び臨床薬学専攻博士課程(前期)の大学院生が
受講する。
本学のエネルギー使用量は原油換算で 2007 年度は 2,818 kL(過去 5 年間同程度)で「第二種エネル
ギー管理指定工場」に指定されている。本学も地球温暖化対策(1%削減/年)を強く求められている
が、教育・研究活動を維持・推進するためにはエネルギーの確保も重要となってくる。清瀬に移転統
合してから約 10 年が経過し、空調設備の主要機器を更新する時期とも重なり、より効果的にエネルギ
ーを確保し、省エネルギーを達成するか検討した。その結果、ESCO サービス事業(期間:15 年間、計
画削減率:14.1%)による省エネルギー手法が有効と判断し、2007 年 9 月サービス業者と契約を締結
した。その内容は以下のとおりである。
①空調機給気温度の最適化 ②バルブジャケットによる断熱強化
③熱源全面更新(氷蓄熱シ
ステムの導入と熱源機の高効率化) ④二次ポンプインバータ制御の最適化
ベルトへの更新
⑥照明器具の高効率化
調機のインバータ制御方法変更
⑤省エネファン
⑦照明の人感センサー制御(トイレ) ⑧研究棟外
⑨節水システムの導入
⑩井水の活用
この手法①∼⑦は 2007 年 5 月環境省の補助対象事業(環境省第 3 期自主参加型国内排出量取引制度
目標保有参加者タイプ A)に採択されている。省エネルギー、省資源などの環境保全活動を維持・推
進するための有効なツールとして、2007 年 11 月第三者審査登録機関(JACO)による環境マネジメント
システム(ISO14001:2004)の認証を取得した。
総合教育研究棟フロネシスの設備機器のエネルギーは全て電気で、空調は氷蓄熱電気式ヒートポン
プ方式を採用した個別空調である。省エネルギーを図るため、点灯時間の長い照明には LED を採用す
ると共に、廊下及びトイレには人感センサーを設け、無駄な点灯がないよう配慮している。
施設・設備の整備については毎年度 10 月の予算編成時に、学生厚生委員会の要請、学生のアンケー
トなどを参考にして施設チームが整備計画を立て実施している。主な取り組みとして 2006 年 1 月講義
室内温度環境改善工事を実施した。講義室内空調は中央監視室で一元管理し、全教室廊下・窓側に係
わらず同一温度設定、風量調整も不可であったが、講義棟 1 階∼3 階 22 箇所の講義室内に、廊下・窓
側を 2 系統のゾーンに分けた温度調整・風量調整スイッチを設置し、個別に対応できるよう改善した。
また、2008 年度より 6 年制の 3 学年以降を 2 クラス編成にすることに伴い 200 人収容講義室が必要と
なり、2007 年 8 月 20 日講義棟 1 階 101,104 講義室の拡張工事を行い、168 人を 204 人収容できるよ
う改修した。
【点検・評価】
教育・研究施設の中心として本棟が、その補助として体育館棟、資料館棟、薬品庫、ゴミ庫、除害
施設及びサークルハウスがあり、施設としての役割が明確で、運営・管理がしやすい構造になってい
る。特に本棟は構造が一体化しており、利便性が高いなど多くの利点があり、評価できる。
本学は省エネルギー対策などに積極的に取り組んでおり、2006 年 1 月に東京都に地球温暖化対策計
画書(計画削減率:13.5%)を、2007 年 6 月に同中間報告書を提出し、高い評価(AA)を得た。しか
147
し、総合教育研究棟フロネシスを建設中であるので、年間のエネルギー使用量が 3,000 kL を超え「第
一種エネルギー管理指定工場」に指定されるのは必須となり、エネルギー管理士の資格を有するエネ
ルギー管理者の選任、中長期計画の提出などが義務付けられることになる。
【改善方策】
薬学部 6 年制を迎え、教育・研究の充実強化を図るため多くの教員を採用した。研修・図書・厚生
棟 2 階の学生会議室、講義棟4階の講義室などを一時的に教員の居室として使用しているが、総合教
育研究棟フロネシス(新棟)の完成に伴い、在来施設の有効・効率的な活用を図りたい。その一環と
して研究棟 2 階のモデル薬局などを整理し教員の居室とすることを検討する。
日曜日に開講している薬剤師生涯学習講座、市民大学講座の会場として総合教育研究棟フロネシス
を利用することにより、日曜日の警備の範囲は縮小できる。しかし、通常の警備を強化するため機械
警備(監視カメラの設置)の採用などを検討する必要がある。
熱源機器室にある主要機器を高効率な機器に更新するなど、省エネルギー対策に取り組んでいるが、
まだ十分ではない。現在研究室などで使用中のエネルギー効率の悪い古い機器を、新しい高効率な機
器と交換していくよう大学として補助金を出すなど省エネルギー対策に協力しやすい環境をつくる必
要がある。また、環境カリキュラムなどの充実を図り、環境教育を通して高度な環境マインドをもつ
人材を育成していく必要がある。
(a) 機器分析センター
【現状説明】
機器分析センターは研究棟 1 階及び 4 階中央部に位置し、延べ床面積は約 790 m2 である。主な業務
は依頼された試料の測定、RI 実験施設、共同利用室の管理・運営及び実験排水の測定である。
1)施設
機器分析センターには研究棟 1 階に NMR 室、質量分析室、生物系測定室、元素分析室、水質分析
室、共同利用室(化学系測定室、生物系測定室)等、研究棟 4 階に共同利用室(化学系測定室、生
物系測定室、超遠心機室、低温室、滅菌室及び細胞培養室)がある。
2)設備機器
管理・運営している主な研究機器(300 万円以上)は次のとおりである。
液体シンチレ-ションカウンタ- (LSC-3050)、超遠心分離機(LB-60M 2 台)、FT-NMR 装置(JNM-EX270, JNM-AL300,
JNM-LA500)、生体微量成分分析システム、遺伝子解析システム、高性能トライセクター質量分析計(AutoSpec)、自動
細胞分取顕微機能形態解析システム、オートウエルガンマシステム(ARC-380, ARC-370M)、RI 高感度微量生体物質解
析システム、動物廃棄物用急速脱水装置(N-2)、分離用超遠心機(CP-100α)、有機元素分析装置(MT-6)、
全自動蛋白質一次構造分析装置(PPSQ-21A)、生体機能分子解析支援システム、質量分析計(JMS-700M)、
微量生体成分解析システム、高速細胞分取生体機能解析システム、薬物生体分子間相互作用解析システム、ガスクロ
マトグラフ質量分析装置(JGCMS-QP2010)。
148
3)運営
機器分析センターの管理・運営に従事する者の組織は、次のとおりである。
センター長
センター長補佐
センター助手
学 長
機器分析センター運営委員会
機器分析センター業務を円滑に運営するため、「機器分析センター運営委員会規程」により機器
分析センター運営委員会を置いている。審議する主な事項として私学施設、設備補助申請機器の機
種選定、機器分析センター設置機器の整備がある。
4)利用状況
利用時間:平日は 9 時∼17 時、土曜日は 9 時∼14 時
依頼検体数:機器分析センターに依頼された試料の測定数は表 10-1 のとおりである。測定数は研
究者の人数及び研究テ−マにより大幅に変わるので、過去 5 年間だけで判断するのは難しいが、プロ
テインシ-ケンサーが 2003 年度を境に大幅に減少するなど DNA シ-ケンサー以外の測定依頼は減少傾向にある。
測 定 機 器
GC-MS 装置 低分解能
高分解能
GC-MS
FT-NMR 装置
有機元素分析装置
プロテインシ−ケンサー
DNA シ−ケンサー
ペプチドシンセサイザー
高速アミノ酸分析計
表10-1 依頼された試料の測定数
2003 年度 2004 年度 2005 年度 2006 年度 2007 年度
1,303
983
842
697
832
820
712
616
506
644
2
2
23
21
2
169
156
88
82
106
220
264
251
206
176
633
131
216
162
111
3,234
4,625
2,886
4,308
3,027
28
10
5
2
11
493
303
403
132
2
5)共同利用室
使用資格は本学教員、大学院生及び研究生などに限定している。登録教室数は表 10-2 のとおりで、
生物系測定室 2 は 2004 年度高速細胞分取生体機能解析システムの設置を境に増加したが、全体として大き
な変動はない。
年度
2003
2004
2005
2006
2007
共同利用室 1 階
化学系 生物系
測定室 測定室
10
13
10
14
10
13
10
13
9
12
表10-2 共同利用室の登録教室数
共同利用室 4 階
化学系 生物系
生物系
生物系
超遠心
測定室 測定室 1 測定室 2 測定室 3
機室
7
10
2
2
10
7
10
2
2
10
7
13
12
2
11
6
22
11
2
9
6
20
12
2
7
149
低温室
滅菌室
12
11
10
13
12
4
3
4
4
6
細 胞
培養室
7
7
6
7
6
【点検・評価】
機器分析センターでは設備される機械の設置条件に対応した専用空調を設備している。NMR 室、質
量分析室の床は帯電防止付で床荷重 1 トンまで耐えられ、将来の大型機器の更新に配慮した構造にな
っている。共同利用室(1 階、4 階)はカードによる入退室システムを採用するなど、使用者が利用し
やすい施設になっている。
センター機械は大型で高額な機械である場合が多いため、耐用年数を過ぎた古い機器ほど修理費が
掛かるなど維持・管理が問題となっている。
【改善方策】
センター機器を維持・管理していくには、将来を見据えたしっかりとした中長期計画を立案し、早
急にそれを実行する必要がある。NMR、質量分析計などの機械も空調も 24 時間運転しており、エネ
ルギー消費は高い。機械の停止時間を多くする、夏場、冬場の室内の設定温度を変えるなど、できる
だけ省エネルギーになるよう協力する必要がある。
薬学部 6 年制に伴いセンター職員も事前実務実習の担当教員として参加することになり、オペレー
ト業務との兼ね合いが難しいと思われる。将来を見据えた機器分析センターのあり方を議論する必要
がある。
(b) 動物研究施設
【現状説明】
動物研究施設は、1998 年に明治薬科大学が東京都清瀬市に新キャンパスを建設した際に新設された。
動物研究施設が新設されたことにより、新キャンパス設立以前は各教室あるいは研究室ごとに行われ
ていた実験用動物の飼育管理が適切な条件のもとで一括して実施されるようになっている。本施設の
概要は、以下のとおりである。
1)施設面積
1169.05 m2
2)施設・設備内容
動物飼育区域は、コンベンショナルエリアと SPF (Specific Pathogen Free) エリアに分かれる。
コンベンショナルエリアは、マウス飼育室 1 室、ラット飼育室 2 室、モルモット飼育室 1 室、ウ
サギ飼育室 2 室を擁し、最大収容可能ケージ数は、ケージ架台を整備した場合、マウス 252 ケージ、
ラット 230 ケージ、モルモット 80 ケージ、ウサギ 100 ケージとなる。ただし、現在は、マウス 216
ケージ、ラット 148 ケージ、モルモット 40 ケージ、ウサギ 60 ケージが稼働している。
以上の動物飼育室に加え、コンベンショナルエリアには、処置室 2 室、代謝実験室 2 室が設けら
れ、動物を用いた種々の実験に利用されている。なお、コンベンショナルエリアには、上記のほか、
犬飼育室とそれに接続した犬洗浄室とその前室、さらに水生動物飼育室が用意されているが、現在
のところ稼働させていない。
一方、SPF エリアは、現在、十分に活用されていないが、マウス飼育室 2 室とラット飼育室 1 室を
150
有し、最大収容可能ケージ数はマウス 390 ケージ、ラット 150 ケージとなっている。とくに SPF エ
リアのマウス飼育室 1 室には、マイクロベントシステムを導入し、個々のケージごとに個別の換気
システムを備えたケージ架台を設置している。
以上の動物飼育区域の気温は、床敷ケージを採用している飼育室では 23℃、吊り下げ式ブラケッ
トケージを採用している飼育室では 25℃に設定し、湿度は全区域で 50%に設定している。また、光
周期は、明暗各 12 時間(午前 7 時点灯、午後 7 時消灯)としている。これらの条件は本学の中央監
視室にて絶えず監視するとともに、動物研究施設の現場においても適宜に測定を行い、適切かつ安
定した飼育条件が保たれるようになっている。
洗浄滅菌室は、動物研究施設内で使用されるケージ等の洗浄および滅菌を行うために設けられ、
設置されている機器として、洗浄用にロータリーワッシャーとバブリング水槽、滅菌用に高圧蒸気
滅菌機がある。
このほか、動物研究施設に関連し、2001 年 4 月には学内に動物慰霊碑を建立した。
3)管理・運営
動物研究施設は、「明治薬科大学動物研究施設規定」にもとづき、動物研究施設運営委員会が管
理ならびに運営にあたっている。また、施設長および施設教員を置き、ともに兼任であるが、現場
の業務を担当している。動物研究施設の利用方法については、動物研究施設運営委員会が「動物研
究施設利用細則」を定め、これにもとづいての利用が行われている。なお、動物研究施設における
動物の飼育管理と施設内の清掃等の業務は、外部の業者に委託している。
このほか、関連の組織として、本学における動物を用いた実験全般を掌握する動物実験員会なら
びにとくに動物福祉の観点から本学での動物実験を管理する動物実験倫理委員会を設置している。
明治薬科大学において動物実験を実施する者ならびに動物研究施設を利用する者は、学部学生を
含めてすべて、動物実験委員会が主催する講習会を受講することが義務づけられており、その受講
者のみが動物実験を実施し、動物研究施設を利用することができる。この許可は 1 年ごとの更新で
ある。
【点検・評価】
本学の動物研究施設の設置目的は、(1)実験に供する動物の飼育条件を一定に保ち、精度の高い動
物実験の実施を可能とすること、(2)実験に供する動物における疾病の発生をできる限り防止し、な
おかつ動物研究施設利用者と飼育動物間の相互の感染症の発生を予防すること、(3)実験に供する動
物の福祉に最大限の配慮を払うこと、である。
第 1 の動物の飼育条件を一定に保つ点に関しては、温度および湿度、さらに光周期の諸条件は設定
どおりに適正に維持されており、問題なく行われていると考えられる。
また、第 2 の疾病の予防に関しては、施設の開設から現在に至るまで、感染症の発生はまったく認
められておらず、この点は非常に高く評価できるといえる。
第 3 の動物福祉については、前述の動物実験員会ならびに動物実験倫理委員会の設置に加え、動物
151
飼育ケージのサイズを大きくしているのが本施設の特長である。マウスおよびラットに関しては、1
ケージに収容する動物の個体数を少なくし、その結果として動物 1 個体あたりのケージ床面積の増大
を図り、米国 NIH の基準を満たすようにしている。また、モルモットとウサギのケージについては、
大型のものを導入し、とくにウサギ用ケージは国内では最大級のものを使用している。これらの点か
ら、動物福祉の点でも、十分に評価できると考えている。
【改善方策】
この動物研究施設は開設から 10 年が経過しており、次第に諸設備の老朽化が進んでいる。今後、設
備の更新等のための準備を進めていく必要がある。
現在、マウス、ラット、モルモット、ウサギの飼育管理を行っているが、今後、動物実験の多様性
が増大し、他種の動物の飼育が要望される可能性がある。そうした状況への対応を考慮し、今後は哺
乳類に限らず、ゼブラフィッシュやメダカなどの魚類、さらにはカイコなどの昆虫類の飼育管理も視
野に入れ、施設の管理体制を整えていく必要がある。
(c) RI実験施設
【現状説明】
放射性同位元素(Radioisotope, RI)及び RI によって汚染された物の取扱いをする実験施設として、
1998 年「明治薬科大学研究棟 RI 実験施設(RI 実験施設)」(延べ床面積約 820 m2)が建設された。
この施設では毎年、薬剤学、薬物体内動態学、薬効学及び生化学など約 17 教室が使用登録している。
in vitro 実験の他、in vivo 実験ができるよう動物代謝実験室、動物飼育室が、RI を使用した組換え実験
ができるようバイオハザード実験室が設けられている。
1)施設
RI実験施設には使用施設(実験室3室、動物代謝実験室、飼育室、測定室、暗室、汚染検査室)、
貯蔵施設(貯蔵室)、廃棄施設(廃棄物保管室、廃棄作業室、空調機械室)及び管理室がある。貯
蔵室の貯蔵能力は1群換算で485 MBqである。空調機械室には排気設備及び排水設備がある。排気設
備として排風機3台、排気浄化装置(プレフィルタ、HEPAフィルタ)、排水設備として排水浄化槽(貯留槽、
希釈槽)がある。
2)設備機器
RIを取扱う実験室にはウオーターバスインキュベーター、冷却多本架遠心機、ハイブリダゼーション用インキュベーターなど、
組替え実験を行う実験室には高速遠心分離機、炭酸ガス培養器など、動物代謝実験室にはサンプルオキシダ
イザ-、飼育室にはアイソレ-ションボックス、動物廃棄物用急速脱水装置、廃棄作業室には有機廃液焼却装置、
測定室には液体シンチレーションカウンター、オートウエルガンマシステムなど、汚染検査室にはハンド・フット・クロスモニター、GMサーベイ
メ-ターナなどの放射線管理機器、管理室には入退室管理システム、中央監視装置(空調機械室に設置し
ているβ・γ線ガスモニター、β線ダストモニター、β線水モニター、γ線水モニター及び事業所境界に設置しているγ線モニタリ
ングポストから得られる情報の記録)の他、排水処理遠方操作パネルを設備している。
152
3)運営
RI実験施設においてRIなどの取扱いに従事する者および安全管理に従事する者の組織は次のとお
りである。
放射線取扱
主任者
放射線安全
管理責任者
放射線業務
責任者
放射線業務
従事者
学 長
放射線管理委員会
放射線障害の防止に関し、「明治薬科大学放射線障害予防規定」の制定・改廃、許可内容(RIの
種類、使用数量など)の変更及び放射線管理に関する必要事項を審議するため、放射線管理委員会
を置いている。委員長は学長が任命し、委員は放射線取扱主任者、放射線安全管理責任者及び利用
する各教室の放射線業務責任者で構成され、任期は2年である。学長は、放射線障害の発生の防止に
ついて総括的な監督を行わせるため放射線取扱主任者を、放射線管理業務を行わせるため放射線安
全管理責任者を本学の職員の中から選任している。 RI実験施設の毎月の放射線の量、RIによる汚染
の状況の測定及び清掃は外部業者に委託している。
4)放射線障害予防規程
2005年6月から施行される法令に対応するため、使用許可申請書の内容を見直し、一部の密封され
ていない放射性同位元素の使用数量及び貯蔵能力を減少(1群換算値:715MBqから485MBqに)するこ
とにした。2005年3月「許可使用に関する軽微な変更に係る変更届」を、2006年5月放射性同位元素
の受入れ、払出しに関する事項、放射線取扱主任者に対する定期講習に関する事項を追加した「放
射線障害予防規程変更届」を文部科学省に届け出た。
5)教育・訓練
放射線業務従事者登録申請書の提出された教室の教員、院生、研究生などを対象として、初めて
RI実験施設を利用しようとする者には立ち入り前教育・訓練、それ以外の者には再教育・訓練を実
施している。その受講者数を表10-3に示す。なお、大学のカリキュラムの中で放射化学の講義・実習
があり、基礎的な知識は与えられている。
年度
2003
2004
2005
2006
2007
表10-3 教育・訓練受講者数(人)
立入り前教育・訓練
再教育・訓練
教 員
院生,研究生等
教 員
院生,研究生等
1
16
36
34
0
24
38
18
3
22
33
28
0
24
39
21
1
22
35
25
153
6)実効線量
RI実験施設に立ち入る者に対する外部被ばく線量の測定は、フィルムバッジによって行われている。専
門業者によって現像・解析された結果は毎月報告されるが、現在まで全て検出限界未満である。
7)許可核種
文部科学省から交付されている放射性同位元素等使用許可証の許可年月日、許可番号及び許可核
種は次のとおりである。
許可年月日;平成10年5月12日
3
14
32
35
許可番号;使第4801号
45
許可核種; H、 C、 P、 S、 Ca、125I
RI実験施設で許可されているRIの種類と数量、動物飼育室で使用する核種の限定及び使用数量の
内数はそれぞれ表10-4、表10-5のとおりである。
表10-4
RI実験施設で許可されているRIの種類と数量 (MBq)
密封されていないRI
45
125
32
35
3
14
Ca
I
P
S
H
C
核種
2
10
100
50
500
100
1日最大使用数量
75
750
2,500
4,000
40,000
5,000
3月使用数量
200
2,000
5,000
10,000
100,000
15,000
年間使用数量
表10-5 動物飼育室で使用許可する核種の限定及び使用数量の内数 (MBq)
密封されていないRI
125
3
14
I
H
C
核種
8
400
80
1日最大使用数量
75
4,000
500
3月使用数量
200
10,000
1,500
年間使用数量
8)利用状況
使用時間:平日は9時∼17時、土曜日は14時まで
ただし、平日及び土曜日に限り、所属する教室の放射線業務責任者が「時間外使用届」を
放射線取扱主任者に提出することにより、22時までの時間外使用を認めている。
使用者数:登録教室数と放射線業務従事者数は表10-6のとおりである。登録教室数と放射線業務従
事者数に大きな変動はない。
表10-6 登録教室数と放射線業務従事者数(人)
放射線業務従事者数
年度
登録教室数
教員
院生, 研究生等
2003
17
37
50
2004
17
38
42
2005
16
36
50
2006
18
39
45
2007
17
36
47
合計
87
80
86
84
83
使用量:核種別年間使用数量と年間購入数を表10-7に示す。使用数量、購入数の変動は実験テ−マ
154
及び実験者の人数によるところが大きいが、核種別年間使用数量は3H以外減少傾向にあり、年間購
入数は明らかに減少している。RI を使用する分析法の利用は本学に限らず減少傾向にある。これは、
RIを使用しない新分析法の開発が進んでいるところに起因している。
年度
2003
2004
2005
2006
2007
表10-7 核種別年間使用数量 (MBq)と年間購入件数
45
125
32
35
3
Ca
I
P
S
H
購入件数
35
0
0.44
289.50
46.25
203.40
28
0
0
314.00
46.25
166.50
22
0
0.09
363.25
0
187.48
20
0
0.35
203.25
0
206.24
10
0
55.50
0
114.89
14
C
2.60
0.05
0
0.03
0.05
9)安全管理
毎年6月初め、前年度のRIの保管状況、放射線業務従事者数、実効線量分布及び施設の点検の実施
状況などを記入した「放射線管理状況報告書」を文部科学省に報告している。2007年度から放射性
同位元素等の保管廃棄の状況も報告することが求められている。
【点検・評価】
RI 実験施設内を、半減期の短い 32P, 35S, 45Ca, 125I を使用する実験室、半減期の比較的に長い 3H, 14C
を使用する実験室、動物代謝実験室、バイオハザード実験室というように使用場所を限定することで、
管理・運営のしやすい構造になっている。
核種別年間使用数量と年間購入数が減少しているのに、登録教室数と放射線業務従事者数が変わら
ない。登録された人数と実際の使用人数が大きく違うのは管理上問題である。
また、RI 実験研施設の利用が低下しているのにエネルギー使用量はあまり減らない。省エネルギー
対策が今後の課題である。
RI 実験研施設を学部学生に使用させて欲しいという意見がある。様々な問題を含んでいるが今後の
課題である。
【改善方策】
放射線業務従事者数の登録は、使用者が使いたい時にすぐ使えるように、教育・訓練、健康診断な
どを工夫し、すぐに登録できるような体制を構築する必要がある。
RI 実験施設の排気設備は、RI を使用していない日でも、運転をしているが、排気設備の能力は RI
の 1 日最大使用数量と関係しており、運転時間を変更できないので、冷暖房の方でエネルギーをを節
約する必要がある。
学部学生の使用の問題は、使用を認めていない他の共同利用室(機器分析センター、動物研究施設)
の利用とも関係してくるので、それらを含めて総合的な判断をする必要がある。
(d) 附属薬用植物園
【現状説明】
155
薬系大学・薬学部における薬用植物園(以下、薬草園)は、昨今のセルフメディケーション、健康
への関心の高さもあり、一般市民の関心も高く、大学が社会貢献できる最も重要な施設の一つである。
現在の薬草園は 1998 年に清瀬市に移転・統合した際、これまでの薬草園の全保有植物を整理・縮小し、
貴重な種のみ現在の清瀬キャンパスに移植した。薬草園では、日本薬局方収載生薬の基原植物をはじ
めとして、多種の薬用植物を展示植栽している。またキャンパス内には多くの樹木も植栽されており、
生薬として重要なオウバクの基源である薬木も見られる。
薬草園は清瀬キャンパスを正門から入って右手方向にある標本園を中心に約 920 m2 の面積を占めて
いる。正門から薬草園付近は樹木や草花など緑が多いことから「明薬の森」と称して、憩いの場とし
て一般の方にも解放している。一番広い区画には、主に日本薬局方収載生薬の基原植物や民間薬とし
て使用される薬草などがあり、半日陰の区域に多くの山野草類を植栽している。第二薬草園には、ト
リカブト等の毒草もあるため、一般には公開していないが、ハシリドコロなど多くの薬用植物が観察
できるので、開花時期など必要に応じて案内している。第二薬草園内のガラス温室には、重要な医薬
品の原料植物であるインドジャボクも栽培している。また、研究用サボテンも多数管理されている。
かつては本学職員が専任で担当していたが、2005 年 4 月より外部に委託して管理が行われている。薬
学教育 6 年制に関連した新棟建築(2009 年完成予定)に伴い、2008 年にハーブ園は正門から南門へ通
じる側へ移設し、水生植物区は現在廃止し、第一薬草園内にポット等にて植栽している。
また、本園は教室の研究テーマと関連のある実験材料を管理栽培するなど、研究を側面からサポー
トする役割も果たしている。
日本薬剤師研修センターが推し進めている生涯研修の一つに、日本生薬学会との協力のもと行われ
ている、「漢方薬・生薬認定薬剤師制度」がある。1年間講習を受け、さらに薬用植物園での実習を
行い、試験を受けることができる。本園はその薬用植物観察実習の受入れ薬草園の一つとして協力し
ている。また、本学の地域貢献の一環として行っている「市民大学講座(旧:漢方やハーブに親しむ
会)」の集会にも活用されている。
また本園は、清瀬市が例年 4 月上旬に催している「清瀬カタクリ祭り」の散策ルートにもなってい
る。なお、1981 年より、社団法人日本植物園協会(第 4 部会)に加盟している。この法人は関連団体
との連絡提携を緊密にし、植物園事業の普及発展に寄与することを目的としている。
年間の予算請求や事案の決定は運営委員会にて行われる。日常の維持・管理は外部に委託している。
【点検・評価】
薬草園は学生教育や薬剤師研修で、十分利用されている。また、オープンキャンパス、学園祭期間
などの時期に一般に公開し、大勢の訪問者がある。これは、薬用植物や生薬は日常の生活に密着して
おり、セルフメディケーションや予防医学の見地から漢方や薬草への関心の高さが伺える。
これらのことから、薬草園は一般の方々、特に地域住民に充分貢献していると評価できる。
【改善方策】
見学者の利便性を考慮し、植物の説明用案内板の設置が必要である。また、現在所有の温室は簡易
156
型であるので、熱帯性植物のより充実が必要である。
(B) 教育の用に供する情報処理機器などの配備状況
10-1-2
【現状説明】
全ての講義室に PC、資料提示装置、VTR,プロジェクターを設備(大学基礎データ表 38)し、ネ
ットワークを利用して情報を共有化できる総合情報マルチメディア教育システムを採用している。そ
の情報機器の管理・運営は、情報教育研究センターで行っている。
CALL 教室は、語学授業用の LL 設備を併設し、授業で使用されない時間は学生に PC を開放してい
る。教師用 PC 1 台、学生用 PC と LL ブース 70 台があり 2 セットごとに 1 台のモニターディスプレイ
が設置されている。学生用 PC は、ワープロ、表計算、統計処理、化学構造式描画、Web ブラウザー
(Web メール)、SCP(サーバとのファイル転送)など各アプリケーションを搭載しており、学生たちは授
業のない時間にもレポート作成や情報収集などに学生用 PC を用いている。自習室には 20 台、図書館
内の視聴覚室には 6 台の PC があり、CALL 教室と同様にユーザー管理を行っている。
情報教育研究センターには、「情報教育研究センター規定」に基づき、情報教育センター長のほか、
職員(情報チーム員)を運営員として置く。この他、情報教育研究センターの業務の公正かつ円滑な
利用と運営を図るため、情報教育研究センター運営委員会を置く。運営委員会で審議する主な項目と
しては、情報ネットワークの新規接続及び接続変更申請の審査、情報ネットワークの利用申請の審査
などがある。
【点検・評価】
学内の情報ネットワークシステムを用いることにより、コンピュータを使って音声、画像、動画を
自由に加工して多様な教材を作成し、講義に利用することができる。これらの教材(そして、コンピ
ュータを利用した講義)は、保存(録画)後、サイバーキャンパスにて公開し、学生の自習に供する
ことができる。また、キャンパス内では学生たちは日常的にコンピュータに触れる環境が与えられて
おり、必然的に情報リテラシーを向上させることができる。自分のホームページを開設することによ
って、情報発信の技術や態度を習得することができる。
情報ネットワークシステムは情報量の増加に対応して通信路は高速化されており、機能の分散化に
よってシステム全体としての安全性を高める一方、ハード的には一体化することによって消費電力を
抑えている。
情報ネットワークシステムを要する情報処理作業が多様になっているが、ポータルにより認証機能
を一元化することによってユーザビリティーを上げている。また、ファイアウォールやスパムフィル
ターを配置することによって学外に対する情報セキュリティが高い。
一方、情報ネットワークシステムが生活基盤として欠かせないものになっている今日、障害による
機能停止に対する対策が手付かずの状態にある。また、学術情報、様々な業務情報、学生情報など大
学として扱う情報は、種類においても件数においても膨大なものであり、現在ではデジタル化されて
157
学内を移動しているが、セキュリティレベルにおいても多くのランクを考慮する必要がある。
以上のことから、【到達目標】3)の教育用情報機器の整備はほぼ満足できる程度にあるが、学内の
情報セキュリティルールを十分確立するには至っていない。
【改善方策】
障害による機能停止は避けられない問題なので、想定されるケースに対応した復旧手順の見直しと
リスクを最小限にするための適切な予備システム導入を検討する。
情報セキュリティ確保のために、大学が扱う情報を分類整理してセキュリティポリシーを確立する。
(C) 記念施設・保存建物の管理・活用の状況
10-1-3
資料館
【現状説明】
本学の資料館は、創立者恩田剛堂の偉業を偲び、本学の歴史、薬学・薬業の歴史資料を保存して薬
学教育に貢献することを目的に掲げ、創学 80 周年の記念事業として旧世田谷校に 1982 年 11 月に竣工
された。1998 年の世田谷・田無両校の清瀬キャンパスへの統合・移転に伴い、それを現在の地に移し
たのが今の資料館で、その概要は以下の通りである。
建物:地上 1 階・地下 1 階建て、展示室 1 室・研修室 1 室・事務室 1 室(1 階)
収蔵室 2 室・作業室 1 室(地下)、総面積:876.16 m2 (266 坪)、研修室:50 席
設備:ビデオデッキ・インターネット用端末・プロジェクター
資料:
展示資料:433 点
大原薬業資料:216 点(宝歴 5 年[1775 年]3 月の薬舖開業以来、大原家が収集して自宅敷地内の
大原薬業資料室に収めていた薬業関係の資料を、本学卒業生[1930 年、専門学校
第 5 回卒]の大原紋三郎が 1982 年に寄贈したもの)
大学資料:33 点(創立者恩田剛堂の生涯及び本学開設以来の大学関係者資料)
薬学資料:89 点(リトレのヒポクラテス全集やパラケルスス全集、ラヴオアジェの「化学要覧」
、ディオスコリデス「薬
物誌」ウィーン写本複製、マッティオリ「ディオスコリデス注解書」、ウッドヴィル「薬用植物学」な
ど、医学薬学科学関係の主要な典籍を中心とした資料)
生薬資料:95 点
収蔵資料:3,192 点(展示資料を含む)
内訳
大原薬業資料:629 点/大学資料:736 点/写真:597 点
本学名誉教授佐藤文比古寄贈書籍:約 1,200 点
生薬標本・さく葉資料:約 2 万点
入館者数の推移を表 10-8 に示す。
158
表 10-8 入館者数の推移(2005-2007 年度)
区分
2005 年度
2006 年度
2007 年度
487
188
186
本学学生
159
33
61
本学教職員
72
18
4
本学卒業生
490
127
403
父母
5
2
9
外国人
947
591
642
高校生
649
713
246
近隣住民その他
合計
2809
1672
1551
開館日:火・水・木:午後 1 時∼4 時/土:午前 10 時∼午後 1 時
日曜日・祭日:不定期に開館(月・金・大学休業期間は閉館)
入館料:無料
【点検・評価】
清瀬へのキャンパス移転に伴い、世田谷キャンパスの旧資料館の資料を新たな資料館に移設展示し
ている。2003∼2006 年は、学芸員ではないが常勤職員が 1 名いたが、退職に伴い現在は非常勤の職員
が開館日に合わせて1人勤務するのみである。
しかしながら、資料館創設時に掲げられた、薬業薬学の歴史と成果、将来の可能性を一般の人たち
に知ってもらい、かつ薬学教育に貢献するという目的を再認識して、展示資料に関しては特に一般の
来館者や本学の学生の興味を引くものを厳選し、展示資料を詳しく解説したプレートを各々の資料に
添え、現在でもそのまま活用している。また、資料館の入り口から展示室の扉まで車いすを利用する
来館者のために緩やかなスロープを設けた。
大学ホームページにはすでに資料館の展示資料の画像データを掲載してあるため、展示内容をある
程度知ることができるようになっている。資料館は一般に公開しているが、特に学園祭の期間やオー
プンキャンパスの日などは多くの見学者が訪れ賑わう。来館者数は表 10-8 に見るように、資料館の展
示資料が薬用植物学や生薬学の講義に利用されているときは本学の学生の来館も多かったが、薬学部
のカリキュラム改正に伴い、全体としては減少傾向が見られる。しかし、いくつかの高校の集団見学
者も来館している。また、資料館の貴重な資料は全国版の新聞への資料提供や国立科学博物館から出
展の依頼がある等、その存在価値は高く評価されている。その意味では資料館は大きな役割を果たし
ていると言える。
清瀬キャンパスに新たに設立されて以来、いくつかの書物については、展示しているページを時々
変更しているが、それ以外の展示品については、そのままであるので、近隣の方や再度来館する機会
がある方に対応できる展示も必要である。
しかし、一部の書物以外、展示されていない資料も多く、また、幅広い層の来館者がいるにも関わ
らず、現在の状態では展示資料に入れ替えがほとんど行われず、開館日も限定されている。可能であ
れば専従の学芸員をおいて展示資料の入れ替えも行う必要があるだろう。また、以前からの課題であ
159
ったが、生薬標本とさく葉資料、書籍などの整理も充分に行われておらず、誰が担当するかも明確に
されていない。
図書館・資料館運営委員会が、教職員で構成されているため兼務であること、役割が多様であるた
め、特に資料館に関連した業務が最小限になっているものと考えられる。
【改善方策】
以前からの懸案であったが、常時の開館及び資料の入れ替え、整理を行うためには専従の学芸員を
勤務させる必要がある。しかし、薬学教育に貢献するといっても資料館はあくまで大学にとっては補
助的な施設なので、本学の大学の業務より優先的に予算の配分を受けられることは難しい。
当面の改善策としては、現在の展示内容を維持しつつ、収蔵庫内の整理棚を増設して写真及び生薬
資料やさく葉資料の整理を継続すること、寄贈された資料の中の貴重書を展示できるようにすること、
ホームページに掲載している資料に解説を追加すること、再度の来館者や来館したことのない人に見
に来てもらえるように、充実した資料館案内のパンフレットを作成し広報活動することが以前よりあ
げられていたが、実現していない。一方、定期的にテーマを設定して資料館見学会や講演会等をとお
してアピールすることは大学ホームページを通して十分可能である。このように、現状維持において
も資料館としての役割を十分果たしてはいるが、さらなる充実を目指すには、専従員の配置ならびに
貴重な展示内容の充実があげられるが、多額の経費が伴う案件なので、委員会が中心となり、さらに
大学全体として方向性を今一度深く検討し、定めていく必要がある。
2
キャンパス・アメニティ等
(A) キャンパス・アメニティの形成・支援のための体制の確立状況 10-5-2
「学生のための生活の場」の整備状況 10-6-1
【現状説明】
研修・図書・厚生棟 1 階にはカフェテリア方式を採用し、常時 80 以上のメニューを有する食堂(600
人収容)、2 階に自動販売機 6 台を備えたラウンジ、旅行、映画、絵画展などのチケットをはじめ、
生活用品、教科書や参考書、ドリンク、軽食及び弁当など販売している購買部(生協売店)がある。
生協売店前には常時コピー機 4 台が、定期試験期間中には講義棟 1 階、実習棟 1 階にもコピー機 2 台
が設置され、多くの学生が利用している。また、学生などの要望により、講義棟 1 階に自動販売機 2
台を設置している。
学生用ロッカーは本部棟 1 階に第 1 ロッカーと第 2 ロッカーが、研修・図書・厚生棟 2 階に第 3 ロ
ッカーがあり、1 年生から 3 年生全員に貸与している。
研修・図書・厚生棟1階にキャンパス内の怪我の応急手当、急病の看護、健康相談及び健康管理の
お手伝いをする健康相談室がある。
サークルハウス(3 階建、1,681.5 m2)には計 46 の部室があり、サークル活動の拠点となっている。
また、1 階にはミーティングルーム、更衣室、シャワー室がある。
160
体育館棟(2 階建、2,159.8 m2)1 階には柔道、空手部が使用している武道場、剣道、卓球部が使用
しているサブアリーナ、軽音楽部などが使用しているスタジオが、2 階にはバレーボール部、バスッ
ケトボール部などが使用しているメインアリーナがある。また、1 階には更衣室、シャワー室、2 階に
はエアロバイクをはじめとした最新のトレーニングマシンを完備したトレーニングルームなどがある。
学生厚生施設の充実を図るため、毎年度 10 月の予算編成時に学生厚生委員会の要請、学生のアンケ
ートなどを参考にして施設チームが整備計画を立て実施している。主な工事として次のようなものが
ある。
① 2006年4月1日、学生の食堂利用時の混雑緩和のため、研修・図書・厚生棟1階の食堂に隣接し
た場所に、屋根可動式のテラス(テーブル12式、48人収容)を新設した。
② 2006年4月12日、研修・図書・厚生棟1階の健康相談室に騒音・振動など多大な影響を及ぼした
ため、2階にあったスタジオを体育館1階トレーニング室に移転した。
③ 2006年5月22日、自転車通学者が増加し、非常用車両の通路を確保するため、旧駐輪場3ヶ所を
廃し、本部棟と資料館の間に屋根付きの新駐輪場(500台収容)を新設した。
④ 2007年4月1日、旧駐輪場跡地に屋根付きベンチ(一時的な喫煙場所)、研修・図書・厚生棟2
階屋上にテラス(懇談場所)取り付け工事を実施した。
【点検・評価】
多くの学生に快適なキャンパスライフ環境を提供したいという観点で、アメニティ空間を確保して
きたが、学生が十分満足しているとは思えない。理科系大学特有の月曜日∼金曜日の午後に講義・実
習の時間割が組まれており、昼休み 1 時間の内に約 1900 名の学生全員が、ゆっくりと食事ができる場
所を確保することは難しい。限られたキャンパス内に学生のための生活の場をいかに確保するかが課
題である。
新駐輪場はほぼ 100%の学生が利用している。
建物内及び本棟 1 階連絡通路での喫煙を禁止し、本部棟と講義棟の間、講義棟の前、研究棟と実習
棟の間及びサークルハウスの前、計 4 か所に灰皿などを用意し一時的な喫煙場所としたことは、受動
喫煙対策として一応の成果を上げている。
【改善方策】
研修・図書・厚生棟 2 階にある購買部(生協売店)は明らかに狭く、休憩時間中は現在でも混雑し
ているので、早急に拡張できる場所の確保を検討する必要がある。
総合教育研究棟フロネシス内にラウンジ機能をもった 200 人収容の軽食ラウンジ、80 人収容の自習
室を設け、薬学部 6 年制を迎え増えた 600 人の学生の生活の場を確保する計画だが、病院実習(2.5
ケ月)、薬局実習(2.5 ケ月)、5 年次後期に希望進路に即してより実践的な実習や研修を学外で受け
る本学独自のカリキュラム(6 ケ月)が設定されているなど、学生の生活活動に現段階では不明な点
が多く、継続的にアメニティを見直す必要がある。
161
(B) 大学周辺の「環境」への配慮の状況
10-6-2
【現状の説明】
本学にアクセスするには西武池袋線「秋津」駅下車し 12 分徒歩、JR 武蔵野線「新秋津」駅下車し
17 分徒歩することになる。大学正門に向かって下り坂を自転車でスピ−ドをだして通学する学生がい
るので危険である。学生が横に広がって車道を歩くので危険である。歩行中にタバコを吸っているの
は、薬学生としていかがなものか。等々移転時は地域住民から交通マナーについての苦情が多くあっ
た。しかし、清瀬市による歩道の整備、本学の指導員を配置して交通ルールを守るよう徹底した事な
どにより、最近、苦情の数は減ってきている。
清瀬市に本学の敷地を一時避難場所として提供している。また、清瀬市消防団第六分団に 6 月∼9
月の期間中 23 日間、午後 8 時 30 分∼午後 10 時 30 分まで消防訓練場所としての使用を認めている。
市民公開講座などを通じ、地域社会に対し広く環境教育の啓発、普及活動を推進している。また、
清瀬市に芝 300 m2(20 万円)分を寄付し緑化活動に協力している。
本学の実験排水は除害施設で処理した後下水道に放流しているが、定期的(1 回/月)に水質測定
を実施し、下水排除基準値を超えないよう注意している。
【点検・評価】
環境マニュアルに外部の利害関係者からの環境に関する要望、問合せ、苦情などに対応する外部コ
ミュニケーションの手順を確立しており、その都度、関係者と協議し、速やかに対応していることは、
評価できる。
【改善方策】
本学の環境方針に「自然環境を常に意識し、自然と共生した、自然にやさしい大学になる」ことを
目指すという基本理念を掲げている。それは、地域と共生した、地域に信用される大学でありたいと
いう意味も含んでいる。社会的信用を得るためには、一層社会的責任を果たす必要がある。
約 1900 人の学生が1限の講義の始まる 9:20 に集中するので、交通問題を完全に解消するのは物理
的に難しい。さらに、学生数が 600 人も増えるので、現在閉門している南門を利用するなど駅から大
学までの交通ルートを再度検討する必要がある。
3
利用上の配慮
(A) 施設・設備面における障がい者への配慮の状況
10-7-1
【現状説明】
エレベータ 4 台全てに障がい者対応の点字版を設置するなど本棟は「バリアフリー」な構造となっ
ている。体育館入口にはスロープを用意している。本部棟 2 階、講義棟 1 階∼3 階、研修・図書・厚
生棟 1 階∼3 階、計 7 か所に車椅子でも対応できる障がい者用トイレを設置している。障がい者用の
駐車スペースを 1 台分用意している。
162
総合教育研究棟フロネシスは、全ての講義室で車椅子のままで受講できるなど障がい者に配慮した
構造となっている。
【点検・評価】
本棟から他の施設に移動するとき少し段差があるなど、詳細な部分での配慮に欠けているものの、
十分に配慮して建築した。体育館、サークルハウスにはエレベータは設置していないので車椅子での
移動はできない。
【改善方策】
詳細な部分でも障がい者に配慮した構造にする必要がある。サークルハウスを使用する場合は、1
階の部室と交換するなど運用で解決する必要がある。
(B) キャンパス間の移動を円滑にするための交通動線・交通手段の整備状況
10-7-2
該当しない
4
組織・管理体制
(A) 施設・設備等を維持・管理するための責任体制の確立状況
10-8-1
【現状説明】
毎年度 10 月の予算編成時に施設維持保全計画などに基づき、施設チームが施設・設備の整備計画を
作成し、学内施設委員会及びその親委員会である予算・施設委員会で審議する。その後、理事会施設
委員会及び理事会会計委員会のヒアリングなどを経て、理事会の承認を得るという手順である。そこ
で決定された事項に関し、施設チームが日常点検、月例点検、年次点検を実施し、施設・設備を維持・
管理している。しかし、緊急を要する事態が発生した場合は、学長又は理事長の判断により、トップ
ダウンで対処する場合もある。
【点検・評価】
委員会制度を採用しているので責任体制は明確になっており確立されている。決定までに時間がか
かるのは問題だが、場合によっては、学内予算・施設委員会、理事会施設委員会、理事会会計委員会
を合同に開催し、情報の共有化を図るなど、臨機応変に対応している点は評価できる。
【改善方策】
施設を維持する上で、素早く対応した方が有効な場合も少なくない。もう少し施設チームに裁量権
を与えることを検討する必要がある。
(B) 施設・設備の衛生・安全の確保を図るためのシステムの整備状況 10-8-2
【現状説明】
施設・設備の衛生・安全の確保を図るため、安全衛生委員会を月例として開催している。総括安全
衛生管理者に学長、安全管理者に事務局長、衛生管理者に環境衛生に造詣が深い教員が選任されるの
163
が慣例となっており、その任を果たしている。委員は法令に定められた方法により選出されているが、
大学の意見が集約できるよう配慮された構成になっている。
2005 年 3 月震災対策を含めた消防計画を作成し、東京消防庁清瀬消防署に届け出た。管理権限者に
理事長があたり、自衛消防隊長に学長を任命している。2008 年 4 月防火管理者に事務局長を選任し届
け出ている。学生に対しては科学入門総合実習の中で東京消防庁清瀬消防署及び施設チームの協力に
より、1 年生全員に自衛消防訓練を実施している。講義棟 1 階で講演「初期消火の重要性」、講義棟 3
階で疑似煙体験、構内駐車場などで消火器を使用した消火訓練など現実的な内容となっている。
震災に備え防災倉庫に飲料水 、非常用食料(カンパン)、携帯用ラジオ、懐中電灯、医薬品及び毛
布などを備蓄している。
警備の基本体制として、東門に 2 名、正門に 1 名警備員を配置し、受付及び来校者記帳、案内、不
審者(車)の侵入阻止、鍵の貸与管理・保管、各棟の巡回などを実施している。
1999 年 8 月、2006 年 8 月の過去2度に渡る落雷被害を受け、2007 年 4 月、20 m 以下の建物には設
置義務はないが、学生、教職員、来学者を含めた人命の安全・保護、建物・施設の財産保護を目的と
して講義棟、本部棟、資料館棟、研修・図書・厚生棟、薬品庫及びサークルハウスに避雷針を設置し、
外部雷対策を実施した。落雷警報センサー、自動放送設備及び外部スピーカーを設置した落雷警報シ
ステムも採用している。
【点検・評価】
安全衛生委員会の委員として産業医、総務、施設、学生支援チーム員の他、多くの理事が選任され
ているのが本学の特徴で、緊急性の高い案件には迅速に対応できる体制が構築されている。
毎年1年生に東京消防庁清瀬消防署の隊員と共同で自衛消防訓練を実施するのは、非常に有意義であ
る。
【改善方策】
総勢約 2000 名の教職員と学生をどこにどのように避難させるかシミュレーションし、計画すること
は難しくない。しかし、学生などが実際にどのような行動をとるか不明で、大学全体での避難訓練を
実施する必要がある。また、教職員は全員が指揮班員、通報連絡班員、消火班員又は安全防護班にな
っているが、時間の経過と共に自分の役割を忘れてしまい、実際には役に立たないのが現実で、定期
的に周知する必要がある。
震災に備え、防災倉庫に食料品、飲料水などを備蓄しているが、消費期限を定期的に確認する必要
がある。
危機管理マニュアルを作成し、実行している大学も多いが、本学でも早急に作成する必要がある。
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