第127回手稲区在宅ケア連絡会開催 資料1(PDF)

20160419ケア連 認知症の告知にまつわる諸問題
・告知には積極的、消極的両方の意見あり
・アルツハイマー型認知症のうつ病合併は、認知症のない人よりも多い(報告にも
よるが20%前後)
・ADのうつ病に対する薬物療法の有効性もあまり証明されていない
・認知症の病名告知に関する考え方→ベルギーの調査では半数以上が告知推奨、フ
ランスでは逆の結果
・医師への日本の調査では80%が「原則として告知すべき」、82%が「本人への告
知の是非は一概には決められない」(2012日本認知症ケア学会誌)
→全員に行っている医師は8.2%、場合によって行っている57%、場合によって告知
していない15%、全く告知していない10%
・一般人対象の調査では自分が認知症の場合に告知してほしい人の割合
81%(1629/2012人)、介護者も約8割が告知希望
→告知希望の理由
①病名を知りたい
②判断力が残されているうちに遺書など残したい
③自分の最期のことを考えたい
・告知されていない場合の理由、告知のデメリット
①治療の選択肢が限られている(希望を失わせる?)
②認知症患者本人の記憶力、理解力に問題が生じている
③告知後に不安やうつ状態が出現したり、家族への負担や罪悪感が増加する(本人
の精神面への配慮)
④初期段階では診断が不確実なおそれ
⑤告知後一切の治療を拒否した例があった
⑥家族への配慮(介護負担、金銭負担など)
・告知のメリット
①本人の自己決定権を尊重できる
②病状の説明を行いやすい
③患者にケアの選択権を与えられる
④自分の生活能力の限界を受け入れやすくなる
⑤経済被害にあう恐れを減少することができる(権利擁護、後見人制度)
⑥家族や周囲との不必要なトラブルを防ぐことが可能かもしれない
告知を意図せずとも認知症という病名が本人にわかってしまう場合
→診療明細書の「認知症専門医療機関連携加算」や、処方箋の「アリセプト」など
の薬品名
→医師の説明義務(医療法第1条の4第2項:インフォームドコンセント、民法第645
条:受任者の報告義務
認知症と癌の告知の類似点・相違点(癌⇄認知症)
・罹患年齢(70代以降が中心⇄40∼60代多い)
・理解力(低下している⇄保たれている)
・診断の正確性(時に曖昧で90%程度⇄ほぼ100%)
・治療方法と有効性、完治の可能性(治癒なし、QOL向上⇄ステージ、癌種により
様々)
・身体能力(落ちている場合が多い⇄初期はほぼ問題なし)
・経過、予後(数年∼10年以上⇄数ヶ月∼数年)
・支援体制、社会的理解(不十分な点もある⇄かなり整っている)
*法定後見人には治療同意の権限が与えられていない(実際には家族が行う患者へ
の治療同意にも法的効力なし)
参考文献
住田裕子:認知症の告知の問題. 老年精神医学雑誌22(増刊-I):138-142(2011)
三山吉夫:誌上ディベート「初期の認知症患者に積極的に告知すべきか?」慎重に
告知すべきとの立場から. Cognition and Dementia 10(3): 271-273, 2011.
武地一:誌上ディベート「初期の認知症患者に積極的に告知すべきか?」積極的に
告知すべきとの立場から. Cognition and Dementia 10(3): 266-270, 2011.
今井幸充:認知症患者に薬物療法を始める際の病名告知について. 治療 93(9):
1830-1834, 2011.