目次 全般 2001年度 地球電磁気学・惑星科学合同夏の学校日程表 .......... 2 参加者名簿 .......... 4 少年自然の家付近略図 .......... 7 アクセス .......... 9 月ヶ瀬駅到着時のお願い 宿泊棟に関する諸注意 .......... 10 .......... 10 けが・急病への対応 清掃活動分担表 .......... 11 .......... 12 レクリエーションについて .......... 13 惑星科学・地球電磁気学 合同セッション 講演予稿 「原始惑星系円盤における電磁流体課程」(松元亮治氏 ) .......... 14 ( ) 講演予稿 「スペースサイエンスの現在と未来」松本紘氏 .......... 34 ポスター発表者一覧 .......... 35 ポスター発表予稿 .......... 36 惑星科学 セッション 講演予稿 「すばる望遠鏡を用いた、星・惑星形成過程の観測的研究」 (伊藤洋一氏 ) .......... 46 : 講演予稿 「ダストから微惑星を作る物質科学的惑星形成論 (城野信一氏 ) .......... 53 講演予稿 「微惑星から原始惑星へ、原始惑星から惑星へ」 (伊藤孝士氏 ) .......... 67 ( ) 講演予稿 「木星型惑星の形成」山田耕氏 .......... 85 用語集 .......... 99 地球電磁気学 セッション 地球電磁気セッション ..........109 セッション一覧 ..........110 リコネクション ..........111 サブストーム 加速・加熱 ..........112 ..........113 不安定性 ..........114 ダイナモ・ 電流系 ..........115 カスプ ..........116 オーロラ・ 発光現象 ..........117 大気重力波 ..........118 太陽風 ..........119 固有磁場 ..........120 自由見学コース ..........121 2001 年度 惑星科学・地球電磁気学 夏の学校日程表 7/16 (Mon.) 12:00- 受付 14:00-15:00 入所式・入学式 [プレイホール] 15:00-17:00 招待講演 [プレイホール] 松元亮治 教授 (千葉大・理) 「原始惑星系円盤における電磁流体過程」 17:00-17:30 ポスター掲示 [プレイホール] 17:30-18:30 夕食 18:30- 懇親会・研究室紹介 [プレイホール] 7/17 (Tue.) 8:00-9:00 朝食・清掃 10:00-12:00 惑星・電磁気個別セッション 惑星科学 [プレイホール] 招待講演 伊藤洋一氏(神戸大・地惑) 「すばる望遠鏡を用いた、星・惑星系形成過程の観測的研究」 電磁気学 [研修室] セッション紹介 12:00- 昼食 (バーベキュー ) 14:00 頃- レクリエーション 17:30-18:30 夕食 18:30- 懇親会 (キャンプファイアー・花火) [会場]は都合により変更する可能性があります。 斜体は惑星科学・地球電磁気学夏の学校それぞれ単独で行われるイベントです。 7/18 (Wed.) 8:00-9:00 朝食・清掃 9:30-12:00 惑星・電磁気個別セッション 惑星科学 [プレイホール] 招待講演 城野信一氏(名大・地惑) 「ダストから微惑星をつくる:物質科学的惑星形成論」 電磁気学 セッション勉強会 [宿泊室] 12:00-13:00 昼食 13:00-17:00 惑星・電磁気個別セッション 惑星科学 [プレイホール] 招待講演 伊藤孝士氏(国立天文台) 「微惑星から原始惑星へ、原始惑星から地球型惑星へ」 招待講演 山田耕氏(東工大・地惑) 「木星型惑星の形成」 電磁気学 13:00-16:00 セッション勉強会 [宿泊室] 16:00-17:00 セッション報告会 [研修室] 17:30-18:30 夕食 18:30- 懇親会・ポスターセッション [プレイホール] 7/19 (Thu.) 8:00-9:00 朝食・清掃・退所準備 10:00-12:00 招待講演 [プレイホール] 松本紘 教授 (京大・宙空電波科学研究センター ) 「スペースサイエンスの現在と未来 -- 実社会への還元と将来への展望 --」 12:00-13:00 昼食 13:00-14:00 卒業式・退所式 14:00 解散 2001年度 地球電磁気・惑星科学合同 夏の学校 参加者名簿 氏名 田中伸 槌谷翼 井上友貴 岩田智司 河内亜希子 大瀧雄一郎 片岡龍峰 吉田純 中川広務 安達はるか 鈴木克 八重樫諭代 工藤理一 鍵谷将人 小泉尚子 黒田哲史 泉谷恭明 白石哲也 山本真行 関浩二 山崎敦 栗原純一 野口克行 小泉宜子 市川洋一 青木応樹 田口堅士 中林潤哉 井原亜紀史 田中宏樹 横田勝一郎 石井真一 秋場良太 小笠原桂一 志賀章紀 辻田大輔 阿部修英 松本洋介 銭谷誠司 竹井康博 一場伸元 水田孝信 岡光夫 中坂有希 今田晋亮 丹所良二 大内田敦郎 堀井直樹 高島貞裕 塩川和夫 今井田星子 足立和寛 玉川貴文 岩橋弘幸 隅山智子 山下真弘 高田拓 身分 部屋 バ M1 M1 M2 M2 M1 D3 D1 M1 M1 M2 D1 M2 M1 M1 M1 M1 M1 B4 専攻研究員 専攻研究員 専攻研究員 D2 D2 M2 M2 M1 M1 COE D2 D2 D2 M2 M1 M1 M1 M1 D3 D2 D1 D1 M2 M2 M2 M2 M1 M1 M2 M1 M2 助教授 M2 M2 M1 M1 M1 D1 D1 101 102 103 104 202 105 205 107 204 203 102 203 101 102 202 206 207 103 104 105 106 107 204 203 205 206 207 207 101 103 106 105 104 107 204 205 207 206 101 102 103 105 106 208 104 206 107 204 205 206 202 207 101 103 203 102 103 所属 6 北海道大学理学研究科地球惑星大気物理学講座 7 北海道大学理学研究科地球惑星大気物理学講座 東北大学大学院理学研究科宇宙地球電磁気学分野 1 東北大学大学院理学研究科宇宙地球電磁気学分野 東北大学大学院理学研究科宇宙地球電磁気学分野 3 東北大学大学院理学研究科惑星大気物理学分野 2 東北大学大学院理学研究科惑星大気物理学分野 5 東北大学大学院理学研究科惑星大気物理学分野 4 東北大学大学院理学研究科惑星大気物理学分野 茨城大学 4 東北大学理学研究科 惑星プラズマ・大気研究センター 6 東北大学理学研究科 惑星プラズマ・大気研究センター 6 東北大学理学研究科 惑星プラズマ・大気研究センター 5 東北大学理学研究科 惑星プラズマ・大気研究センター 5 東北大学理学研究科 惑星プラズマ・大気研究センター 7 東北大学理学研究科 惑星プラズマ・大気研究センター 東北大学理学研究科 惑星プラズマ・大気研究センター 3 東北大学理学研究科 惑星プラズマ・大気研究センター 1 独立行政法人 通信総合研究所 2 独立行政法人 通信総合研究所 3 独立行政法人 通信総合研究所 文部科学省 宇宙科学研究所 小山・安部研究所 文部科学省 宇宙科学研究所 小山・安部研究所 文部科学省 宇宙科学研究所 小山・安部研究所 文部科学省 宇宙科学研究所 小山・安部研究所 文部科学省 宇宙科学研究所 小山・安部研究所 文部科学省 宇宙科学研究所 小山・安部研究所 8 文部科学省 宇宙科学研究所 太陽系プラズマ研究系 9 文部科学省 宇宙科学研究所 太陽系プラズマ研究系 1 文部科学省 宇宙科学研究所 太陽系プラズマ研究系 2 文部科学省 宇宙科学研究所 太陽系プラズマ研究系 7 文部科学省 宇宙科学研究所 太陽系プラズマ研究系 3 文部科学省 宇宙科学研究所 太陽系プラズマ研究系 4 文部科学省 宇宙科学研究所 太陽系プラズマ研究系 5 文部科学省 宇宙科学研究所 太陽系プラズマ研究系 6 文部科学省 宇宙科学研究所 太陽系プラズマ研究系 7 東京大学大学院理学研究科 地球惑星物理学専攻(寺沢・星野・林・中村研) 6 東京大学大学院理学研究科 地球惑星物理学専攻(寺沢・星野・林・中村研) 4 東京大学大学院理学研究科 地球惑星物理学専攻(寺沢・星野・林・中村研) 5 東京大学大学院理学研究科 地球惑星物理学専攻(寺沢・星野・林・中村研) 9 東京大学大学院理学研究科 地球惑星物理学専攻(寺沢・星野・林・中村研) 2 東京大学大学院理学研究科 地球惑星物理学専攻(寺沢・星野・林・中村研) 1 東京大学大学院理学研究科 地球惑星物理学専攻(寺沢・星野・林・中村研) 4 東京大学大学院理学研究科 地球惑星物理学専攻(寺沢・星野・林・中村研) 8 東京大学大学院理学研究科 地球惑星物理学専攻(寺沢・星野・林・中村研) 3 東京工業大学大学院理工学研究科 藤本研究室 1 東京工業大学大学院理工学研究科 綱川研究室 9 東京工業大学大学院理工学研究科 綱川研究室 2 東京工業大学大学院理工学研究科 長井研究室 4 名古屋大学太陽地球環境研究所 第2部門(電磁気圏環境部門豊川) 名古屋大学太陽地球環境研究所 第2部門(電磁気圏環境部門東山) 3 名古屋大学太陽地球環境研究所 第2部門(電磁気圏環境部門東山) 名古屋大学太陽地球環境研究所 第2部門(電磁気圏環境部門東山) 2 名古屋大学太陽地球環境研究所 第2部門(電磁気圏環境部門東山) 7 名古屋大学太陽地球環境研究所 第2部門(電磁気圏環境部門東山) 5 名古屋大学太陽地球環境研究所 第3部門(太陽研環境部門・太陽風グループ) 6 名古屋大学太陽地球環境研究所 第4部門(総合解析部門) 氏名 身分 渡辺佑治 D1 岩政和俊 M1 柴田祥吾 M1 能勢正仁 助手 矢島彰 研修員 長尾大道 D5 寺田直樹 D4 竹内智彦 D3 宮下幸長 D3 二穴喜文 D2 細川敬祐 D2 山下哲 D1 津川卓也 D1 中野慎也 D1 吉田大紀 D1 小阪和宏 M2 松岡洋介 M1 金子雅裕 M1 桂華邦裕 M1 藤本桂三 M1 小田耕平 B4 菊地俊行 B4 下田忠宏 B4 米良恵介 B4 大島浩嗣 B4 西村紀子 M2 大久保綾子 M2 上田義勝 D3 梅田隆行 D1 三谷友彦 D1 岩田元希 M2 藤原亮介 M2 山本敦士 M2 堤恒次 M2 沖田英樹 M2 福田光紀 M2 山本修作 M1 金山 M1 榊間俊洋 M1 新島壮平 M1 田島勇人 M1 日比野勉 M1 川村誠治 D2 G.HassenpflugD2 横山竜宏 D1 山田仁志夫 M2 小澤雄一郎 M1 多田訓子 M1 古賀大樹 D1 大塚史子 D1 永田忠史 M2 山本英子 M2 山口類 D2 尾花由紀 D1 関悠子 M1 石原隆一 M1 設楽 伸之 M2 谷口 正晃 高木麻里 岡田 康佑 M1 部屋 バ 所属 104 7 名古屋大学太陽地球環境研究所 第4部門(総合解析部門) 105 8 名古屋大学太陽地球環境研究所 第4部門(総合解析部門) 106 9 名古屋大学太陽地球環境研究所 第4部門(総合解析部門) 107 京都大学理学研究科 地磁気世界資料解析センター 104 京都大学理学研究科 地球惑星科学専攻 太陽惑星系電磁気学講座 京都大学理学研究科 地球惑星科学専攻 太陽惑星系電磁気学講座 105 京都大学理学研究科 地球惑星科学専攻 太陽惑星系電磁気学講座 103 8 京都大学理学研究科 地球惑星科学専攻 太陽惑星系電磁気学講座 106 京都大学理学研究科 地球惑星科学専攻 太陽惑星系電磁気学講座 201 6 京都大学理学研究科 地球惑星科学専攻 太陽惑星系電磁気学講座 201 7 京都大学理学研究科 地球惑星科学専攻 太陽惑星系電磁気学講座 102 4 京都大学理学研究科 地球惑星科学専攻 太陽惑星系電磁気学講座 201 2 京都大学理学研究科 地球惑星科学専攻 太陽惑星系電磁気学講座 201 3 京都大学理学研究科 地球惑星科学専攻 太陽惑星系電磁気学講座 206 5 京都大学理学研究科 地球惑星科学専攻 太陽惑星系電磁気学講座 201 4 京都大学理学研究科 地球惑星科学専攻 太陽惑星系電磁気学講座 101 3 京都大学理学研究科 地球惑星科学専攻 太陽惑星系電磁気学講座 106 9 京都大学理学研究科 地球惑星科学専攻 太陽惑星系電磁気学講座 201 1 京都大学理学研究科 地球惑星科学専攻 太陽惑星系電磁気学講座 205 2 京都大学理学研究科 地球惑星科学専攻 太陽惑星系電磁気学講座 104 8 京都大学理学研究科 地球惑星科学専攻 太陽惑星系電磁気学講座 107 9 京都大学理学研究科 地球惑星科学専攻 太陽惑星系電磁気学講座 204 1 京都大学理学研究科 地球惑星科学専攻 太陽惑星系電磁気学講座 207 京都大学理学研究科 地球惑星科学専攻 太陽惑星系電磁気学講座 京都大学理学研究科 地球惑星科学専攻 太陽惑星系電磁気学講座 京都造形芸術大学 202 5 京都大学防災研究所 204 京都大学宙空電波科学センター 松本研究室 101 京都大学宙空電波科学センター 松本研究室 205 京都大学宙空電波科学センター 松本研究室 102 京都大学宙空電波科学センター 松本研究室 103 京都大学宙空電波科学センター 松本研究室 104 京都大学宙空電波科学センター 松本研究室 107 京都大学宙空電波科学センター 松本研究室 204 京都大学宙空電波科学センター 松本研究室 206 京都大学宙空電波科学センター 松本研究室 101 京都大学宙空電波科学センター 松本研究室 102 京都大学宙空電波科学センター 松本研究室 105 京都大学宙空電波科学センター 松本研究室 105 京都大学宙空電波科学センター 松本研究室 106 京都大学宙空電波科学センター 松本研究室 207 京都大学宙空電波科学センター 松本研究室 107 5 京都大学宙空電波科学センター 深尾研究室 204 6 京都大学宙空電波科学センター 深尾研究室 205 4 京都大学宙空電波科学センター 深尾研究室 206 8 京都大学宙空電波科学センター 深尾研究室 207 7 京都大学宙空電波科学センター 深尾研究室 202 2 神戸大学 207 1 九州大学大学院総合工学研究センター 羽田研究室 208 7 九州大学大学院総合工学研究センター 羽田研究室 106 九州大学大学院総合工学研究センター 羽田研究室 203 8 九州大学大学院総合工学研究センター 羽田研究室 206 2 九州大学院理学府 地球惑星科学専攻 太陽惑星系科学講座 宇宙電磁気学分野 202 9 九州大学院理学府 地球惑星科学専攻 太陽惑星系科学講座 宇宙電磁気学分野 203 1 九州大学院理学府 地球惑星科学専攻 太陽惑星系科学講座 宇宙電磁気学分野 205 3 九州大学院理学府 地球惑星科学専攻 太陽惑星系科学講座 宇宙電磁気学分野 101 8 東北大学大学院 地球物理 電磁気(小野研) 106 神戸大学大学院地球惑星科学科 202 3 メイン大学 104 9 東北大学大学院 理学研究科 地球物理学専攻 氏名 身分 三浦均 M1 赤川健一 青木 美希 深井 久史 脊戸柳 武彦M 早野一樹 M 山口 亮 M 玄田英典 林 和樹 樋口 澄人 町田 亮介 西村 美里 関根 康人 上原由希子 M1 細井 琢朗 D4 武田 隆顕 D3 納田 明達 D3 尹 栄石 D2 岩崎 一典 D2 山田 耕 D1 小林 浩 D1 酒井 圭 M2 菅原 悟 M2 松林 達史 M2 小南 淳子 M2 湯浅 勝人 M2 松下 友紀 M1 跡部 恵子 M1 姫野 洋平 M1 島井 啓行 M1 佐藤将史 福井 祥人 M1 高橋 啓介 M1 春日 敏測 M1 石原吉明 D1 浅田哲司 M1 吉村三智頼 B4 里見 和人 B4 古屋 泉 D2 森脇 一匡 D1 玉置美奈子 M2 樋口 有理可 M1 吉川 賢一 M1 富田 奈津美 M1 横畑 夕貴 B4 森 秀治 M2 湊 哲則 M2 黒原 康之 B4 林田 尚巳 B4 松山 浩子 B4 松柳 育子 B4 藤坂洋祐 M1 押上 祥子 B4 徳田 雄嵩 藤田 健太 B4 部屋 バ 207 101 203 102 102 104 205 103 105 106 107 203 206 208 204 201 201 107 201 201 201 103 105 201 203 206 104 202 205 207 204 204 206 9 6 4 7 6 8 7 1 3 4 5 2 2 3 6 4 5 3 2 9 1 2 3 4 2 1 9 1 8 7 5 8 1 101 105 103 106 203 205 203 202 207 208 203 102 205 104 202 202 203 107 202 6 7 5 8 3 6 4 6 7 5 7 4 5 8 8 1 9 9 6 102 所属 筑波大学数理物質科学研究科 宇宙科学研究所 宇宙科学研究所 加藤學研究室 宇宙科学研究所 藤原研究室 東京都立大学大学院理学研究科宇宙化学研究室 東京都立大学大学院理学研究科化学専攻宇宙化学研究室 東京都立大学大学院理学研究科化学専攻 東京大学 東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻 東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻 東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻 東京大学新領域創成科学研究科 東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻 東京大学理学系研究科地球惑星システム専攻阿部研究室 東京工業大学理工学研究科 井田・中澤研 東京工業大学理工学研究科 井田・中澤研 東京工業大学理工学研究科 井田・中澤研 東京工業大学理工学研究科 井田・中澤研 東京工業大学理工学研究科 井田・中澤研 東京工業大学理工学研究科 井田・中澤研 東京工業大学理工学研究科 井田・中澤研 東京工業大学理工学研究科 井田・中澤研 東京工業大学理工学研究科 井田・中澤研 東京工業大学理工学研究科 井田・中澤研 東京工業大学理工学研究科 井田・中澤研 東京工業大学理工学研究科 井田・中澤研 東京工業大学理工学研究科 井田・中澤研 東京工業大学理工学研究科 井田・中澤研 東京工業大学理工学研究科 井田・中澤研 東京工業大学理工学研究科 井田・中澤研 東京大学大学院地球惑星科学 名古屋大学 環境学研究科 地球環境科学専攻 名古屋大学大学院環境学研究科地球環境科学専攻M1 名古屋大学環境学研究科地球環境科学専攻 金沢大学 大学院 自然科学研究科 金沢大学理学部自然科学研究科 金沢大学 金沢大学理学部地球学科 神戸大学宇宙科学研究室 神戸大学大学院 宇宙科学研究室 神戸大学大学院自然科学研究科地球惑星科学科宇宙地球化学 神戸大学大学院自然科学研究科地球惑星科学専攻 神戸大学大学院自然科学研究科地球惑星科学専攻 神戸大学大学院自然科学研究科地球惑星科学専攻 神戸大学理学部宇宙科学研究室 神戸大学太陽系物理学研究室 神戸大学太陽系物理研究室M2 神戸大学理学部地球惑星科学科 神戸大学理学部地球惑星科学科 神戸大学理学部地球惑星科学科 神戸大学理学部地球惑星科学科 九州大学大学院理学府地球惑星科学専攻 九州大学 理学部 地球惑星科学科 東北大学理学部地球科学系 神戸大学大学院地球惑星科学科 部屋は部屋番号です。部屋に網が掛かっている方には部屋代表をお願いいたします バはバーベキューの時の班分けです ア ク セ ス 電車でお越しの方 JR 京都駅より ● −(JR 奈良線快速)− 京都 −(JR 関西本線)− 木津 JR 新大阪駅より … 大阪 … −(関西本線)− 亀山 乗車時間:約 1 時間 20 分 月ヶ瀬口 料金:1890 円 ※ ● 月ヶ瀬口 東京方面からは、京都回りより安いです。時間は変わりません。 −(関西本線)− 名古屋 −(JR 関西本線)− 加茂 料金:1280 円 ※ JR 名古屋駅より 乗車時間:約1時間 −(JR 関西本線大和路快速) − ● 月ヶ瀬口 九州方面からは、京都回りより速く安いです。 −(JR 東海道山陽本線)− 新大阪 −(JR 関西本線)− 料金:950 円 ※ ● 加茂 乗車時間:約 2 時間 10 分 大阪(伊丹)空港より リムジンで JR 奈良駅 or JR 天王寺駅へ −(JR 関西本線大和路快速) − ※ ● 天王寺経由:1730 円、奈良経由:1920 円 −(JR 関西本線)− 加茂 月ヶ瀬口 乗車時間はどちらも約 1 時間 40 分 関西国際空港より −(関空快速)− 関西空港 −(JR 関西本線大和路快速) 天王寺 − 料金:2100 円 ※ ● −(JR 関西本線)− 加茂 月ヶ瀬口 乗車時間:約 2 時間 名古屋空港より その後 JR で。(上記参照) リムジンで名古屋駅へ。 注意!!! 加茂−亀山間は 30 分∼ 1 時間に 1 本です。乗り換えの時間が相当かかると思われますのでご注意くだ さい。 お車でお越しの方 ● 京都方面より 名神高速道路京都南インター ● 国道 24 号 − − 国道 163 号 − 国道 163 号 大阪方面より 近畿自動車道守口インター ● 国道 163 号 − 名古屋方面より 東名阪自動車道亀山インター − 国道 25 号 国道 163 号から南山城少年自然の家まで 大阪、京都方面より (詳細はしおりの周辺地図を参照してください。) ・・・笠置トンネル通過 … 名古屋方面より やまなみホールを過ぎて 2 つ目の信号を右折 … 高山ダム(堰堤を渡ってすぐ) ・・・月ヶ瀬口駅交差点を左折 … … 橋を渡って左折 しばらく進んで次の T 字路を右折 月ヶ瀬口駅到着時のお願い ● 月ヶ瀬駅からは徒歩で約 30 分です。ただし、約半分がかなりの山道になります。事務局側では、でき る限りピストン輸送を考えていますが、車の台数に限りがありますので、徒歩での来所にご協力くださ い。 ● 1 日目(16 日)は 12 時ごろより、月ヶ瀬口駅に事務局側が待機していますが、15 時以降および2日目 以降は待機していません。駅に到着されましたら、事務局の電話に連絡をしてください。 ● 夜に到着予定の方は、あらかじめ事務局のほうに到着予定時刻をお知らせください。 夏の学校事務局 電話番号 惑星 090-6547-7337 電磁気 0 9 0 -9616-9152 ※ 少年自然の家への直接の問い合わせは絶対にしないでください! 宿泊等に関する諸注意 ごみ処理 「持ち込んだものは持ち帰る」ことになっています。来所の際持ってこられた物(ペットボ ?? 原則として、 トル、缶など)は、各自が責任を持って持ち帰ってください。特にコンビに弁当などは、残飯を捨てる ところがありませんので注意してください。 ?? 日常生活上出るごみは、所内のごみ箱に分別して捨ててください。 食事 ?? 食事はセルフサービスになっています。 ?? 朝食は朝 8 時から8時半まで、昼食は 12 時から 12 時半まで、夕食は夕方 5 時半からです。夕食は集合 時間を厳守してください。 宿泊 ?? 部屋割りは当日発表いたします。 ?? トイレは2F が女性用、1F が男性用になっています。 ?? 宿泊室での飲食はしないでください。 ?? 宿泊室の冷房は、勝手に付けないようお願いします。 ?? シーツは 2 泊で 1 枚使っていただきます。したがって全日程参加の方(3 泊される方)のみ 3 日目の朝 に交換していただきます。 ?? シーツ交換時およびお帰りになる日の朝、使ったシーツを所定の位置(当日お知らせします)に持って きてください。シーツの畳み方が決まっています。各部屋入り口付近にあるパネルに畳み方が書いてあ りますので、それを厳守してください。 ?? 布団の片付け方も決まっています。こちらも各部屋のパネルを見て、厳守してください。 ?? 貴重品の管理は各自で行ってください。特に、3 日目は電磁気側が宿泊室(男性部屋)でセッションを 行いますので、各自で管理をしてください。 ?? 洗面所にコンセントはありません。宿泊室にはあります。 入浴 ?? 入浴は夕方 4 時から夜 10 時までの間にお願いします。 ?? 浴室には石けんのみ用意してあります。 清掃 ?? 朝食後、分担して清掃をしていただきます(分担は当日お知らせします)。 ?? 清掃用具入れの図は、1F シーツ室の窓に張ってあります。 ?? 清掃用具が足りないときは、事務所の方へお尋ねください。 その他 ?? 喫煙は各階のロビーでのみとなっていますのでご協力お願いします。野外では吸殻等捨てないようお願 いします。 ?? 館内では、玄関にあるスリッパをお使いください。 ?? 携帯電話は、J-phone はギリギリ、AU は OK です。その他の機種に関しては、確認できていません。 けが、急病への対応 近くには診療所、車で 15 分ほどのところに病院があります。事務局側でも、救急箱は用意いたしますが、 対応できない場合は病院、診療所のほうへ行っていただく事になります。万一のときのために、各自、保険 証(コピーで可)をご持参いただきますよう、お願いいたします。 場所 1 宿泊室 掃除の仕方 〇畳や敷居の上をはく 〇ごみを各階の大きなゴミ箱 に捨てる 〇荷物棚の上や中をきれいにする 2 浴室 A (男) 〇浴室 A 湯船のせんをぬき、中をブラシで洗う。 〇浴室 BC 湯を抜かない。 (湯はそのまま) 3 浴室 B (男) 〇ABC とも 洗い場のいすやおけを洗い整頓する。 4 浴室 C (女) 脱衣場をそうじして、 足ふきマットを中庭に干す。 5 1階トイレ (男) 〇床や便器を洗う。 〇手洗い器や鏡を拭く。 〇トイレットペーパーを補充する。 6 1階トイレ (女) 〇汚物を捨てビニール袋を取り替える。 <所定の場所へ> 〇スリッパを整頓する。 7 1階廊下、 渡り 〇ごみを拾う。 〇クリーナーでごみを吸い取る。 廊下 <ごみパックがいっぱいなら取り替える。> 8 2階廊下、 渡り 〇大型ゴミ箱がいっぱいなら捨ててビニール袋を取り 替える。<所定の場所へ> 廊下 9 1階洗面所 〇棚や鏡をふく。 〇流しを洗う。 〇ごみを拾う。 〇洗面器を洗い整頓する。 10 2階洗面所 11 1階ベランダ 〇ほうきではく。 〇外の草をとる。 〇ごみを拾う。 〇サンダルを各部屋2足ずつそろえる。 12 2階ベランダ 〇ほうきではく。 〇ごみをひろう。 〇サンダルを各部屋2足ずつそろえる。 13 プレイホール 〇ごみを拾い床のモップがけをする。 〇次の入所団体のいすを並べる。 <いすの数と並べ方を所員に確認して下さい。> 14 研修室 〇ごみを拾い床のモップがけをする。 15 階段 〇クリーナーでごみを吸い取る。 〇図書の整頓。 プレイホール前 〇ロビーの灰皿の灰を捨てる。 ロビー 16 玄関、 ロビー 〇ごみを拾う。 〇ほうきではく。 〇靴箱の砂をとる。 〇玄関タイルの上は外用ほうきではく。 17 洗い場 〇砂をとる。 〇ブラシで洗う。 〇周りをはく。 18 ファイアー場 〇燃え残り、 炭、 灰などを片付ける。(用具は倉庫 へ) <灰を炊飯場横の灰捨て場に> 19 前庭 〇ごみを拾う。 〇草を引く。 20 外トイレ (男) 〇ごみを拾う。 〇砂のはき出し <床に水をまかない > (女) 〇汚物を捨てビニール袋を取り替える。 <所定の場所へ> 〇トイレットペーパーを補充する。 ◎清掃用具入れの図は、一回シーツ室の窓に張っています。 <外用ほうきなどは、非常口外のらせん階段の下にあります> ◎清掃用具が足りないときは、事務所に申し出てください。 ◎持ち帰るのごみを整理しておいてください。 17 日 18 日 19 日 各自 各自 各自 101 102 202 105 106 203 205 206 202 103 203 204 202 207 203 104 207 101 105 103 102 106 208 各自 104 208 各自 103 208 各自 各自 各自 各自 107 101 104 204 205 102 206 105 106 206 102 107 − − 106 107 − − 207 − − 205 204 202 204 − − レクリエーションについて 2 日目の昼食 晴天時:バーベキュー 調理を自分達で行うため、包丁等の扱いには十分注意してください。 2 日目の午後:スポーツ(自由参加) 種目(場所) 晴天時 ● ソフトボール(村営グラウンド) ● サッカー(村営グラウンド) ● グラウンドゴルフ(キャンプファイアー場) ● バスケットボール(トレーニングセンター、体育館) 雨天時 ● バスケットボール(トレーニングセンター、体育館) 持ち物 ● 運動できる服装 ● 保険証のコピー ● グローブ、スパイクなどのご自分が愛用なさっている道具 (道具はこちらでもある程度は用意します) その他 ● 近くの病院までは車で 15 分ぐらいかかります。あまり無茶なプレーはしないように してください。 スポーツに参加しない方:自由行動 サイクリング、観光する、議論する、室内ゲーム等、各自工夫して使ってください。 2 日目の夜、夕食後 晴天時:キャンプファイアー 注意点 ● 飲みすぎ、はしゃぎすぎ ● 打ち上げ花火は禁止です(山火事の原因になるので)。したがって、線香花火、鼠等 でお楽しみ下さい。花火は持ち込んで頂いて結構です。 ● ゴミは出さないようにしてください 雨天時は普通の懇親会になります。 原始惑星系円盤における電磁流体過程 千葉大学理学部 松元亮治 1 はじめに (HST) ハッブル宇宙望遠鏡 に代表される高分解能観測によって原始星をとりまく原 を用いて 始惑星系円盤を直接観測することができるようになってきた。図 左図は らによって観測された原始惑星系円盤である。トーラス形状の円盤と、それを包 による 天体 む繭状のガス分布がよく捉えられている。図 右図は の画像である。原始星のまわりを回転するトーラスが黒いシルエットとして浮かびあが り、トーラス表面が中心星に照らされて輝いている。トーラス中心軸付近からは数十 の幅に絞り込まれたジェットが双極方向に噴出している。ジェットの加速、絞り込み コリ メーション には磁場が重要な役割を果たしていると考えられる。 J.Bally 1 1 HST HST Herbig-Haro HH30 ( ) 1: AU 図 ハッブル宇宙望遠鏡により観測された原始惑星系円盤。左図:オリオン分子雲内の 。右 原始惑星系円盤とジェット、それらを包む繭 。目盛のサイズは 。 図:原始星天体 HH30 (Burrows 1995) (J.Bally, H.Throop, C.R. O'Dell 2001) 1000AU 原始惑星系円盤内部の磁場は磁気乱流の生成を通して微惑星形成にも影響を与える。 によって、差動回転円盤において、回転のタイムスケールで成 長する磁気不安定性が存在することが指摘されて以来、その非線形時間発展が調べられ、 磁場とガスがカップルした差動回転円盤では磁気乱流が生成、維持されることが明らかに なった。惑星は磁場とガスの結合が弱く、磁気乱流が生成されにくい領域でのみ形成され たのだろうか? 以下では、銀河ガス円盤から分子雲が形成され、星形成に至る過程を概説したのち、 角運動量を持ったガスが中心天体に落下する際に形成される回転ガス円盤(降着円盤)に おける磁気流体力学的過程について解説する。 Balbus and Hawley (1991) 2 銀河ガス円盤からフィラメント 状星間雲へ 2.1 星間分子ガスの分布 2 M51 (CO) 星は星間分子雲の中で生まれる。図 に渦状銀河 の光学写真と分子ガス の 。渦状碗に沿って分子ガス密度の高い領域が離散的に分 分布を示す の特に密度の高い領域に形成され、質量が 布している。これらの分子雲は中性水素 4 5 M を越えるものは巨大分子雲と呼ばれている。分子雲の典型的な密度は n 2 3 03 、温度は 程度である。 (Nakai et al. 1994) 10 0 10 10 0 10 cm (HI) 10K = 2: 左図:渦状銀河 M51 の光学写真( Ferris 1980)。右図:M51 の分子ガス (CO) の分布 (Nakai et al. 1994) 図 2.2 ジーンズ不安定性 星間分子雲の形成機構として、ガス円盤が自己重力不安定性により分裂する可能性を 考えてみる。回転と磁場を無視するとき、自己重力等温ガス雲の時間発展は以下の方程式 で記述される。 @ + r(v) = 0 @t (1) dv 2 + c r + r = 0 (2) dt s r2 = 4G (3) ここで、 は密度、v は速度ベクトル、cs は音速、 は重力ポテンシャルである。初期に 系は密度一様の平衡状態にあるものとする。x 方向 1 次元の変化のみを考え、 = 0 + 1 (1 0) のような微少摂動を与えて方程式を線形化すると 2 2 0 ( @@t21 0 c2s @@x21 ) + 4G01 = 0: (4) ここで、1 / exp(i!t 0 ikx) とおいて上式に代入すると、以下の分散関係式が得られる。 !2 = c2s k2 0 4G0: (5) したがって、ゆらきの波長 = 2=k が > J = cs (=G0 )1=2 を満たすならば系は不安 定になる (ジーンズ不安定性) 。臨界波長 J はジーンズ波長、MJ = 0 3J はジーンズ質量 と呼ばれる。平衡状態の密度が一様というのは現実的ではないため、回転も磁場もない自 c 2 z=H ただし H cs = Gc 1=2 を用いると、この 己重力ガス平板の平衡解 : H である 平板は波長 > H の揺ぎに対して不安定、成長率最大の波長は max 。 や電離領域 領域 が 渦状銀河では渦状碗に沿って若い星の集団 の規則的間隔で並んでいる例が見られる。図 に示した の分子ガス密度の高 約 としてジーン い領域も渦状腕に沿ってほぼ等間隔になっている。銀河円盤で H : となり、ジーンズ不安定性 ズ不安定性の最大成長波長を上式から見積ると max によってガス円盤が分裂して巨大分子雲が形成されるというストーリーが成り立つように 見える。しかしながら、回転円盤では円盤の回転がジーンズ不安定性を安定化する方向に 作用する。これは、円盤とともに回転する系に乗った場合、コリオリ力により収縮運動が 回転運動に転化されることからも理解できる 図 。無限に薄い円盤を考え、円盤の表面 。 密度を とするとき分散関係式は次式で与えられる = sech ( ) 2 (Elmegreen and Elmegreen 1978) = (2 ) =44 (OB Association) (HII 2 M51 100pc 1 5kpc 1kpc ( 3) ) (Hunter 1972) !2 = c2s k2 0 2Gk + 2 : (6) ここで、 はエピサイクリック振動数であり、回転角速度を (r) として次式で与えられる。 " # 2 d 2 1=2 = (r ) : r dr (7) 不安定モード が存在するための条件は Q= Toomre cs <1 G 1 (8) である。この Q は の Q パラメータとして知られている。銀河円盤では Q > のた めガス円盤は安定であり、ジーンズ不安定性によって巨大分子雲を作ることは難しそうで ある。 2 ω Ω 2υ x Ω κ 2 O unstable 図 k 3: 回転系における自己重力ガス円盤の分裂。左図:コリオリ力の作用。右図:分散関係。 2.3 銀河磁場とパーカー不安定性 巨大分子雲の形成には磁場が重要な役割を担っている可能性がある。渦状銀河では磁 力線方向はほぼ渦状腕に沿い、磁場強度は 程度である。星間空間の多くの体積を占め 4 であり、ガス圧と磁気圧の比 : 03 、温度 T る希薄ガス領域では個数密度 n Pgas =Pmag は 程度の大きさになる。 = 0 1cm 1 g G 10 K buoyancy (ρ’ − ρ)g ρ’ ρ ∆z ∆z λ/4 λ/4 2r’ r’ r’ = 2 1 1 (λ/4 ) ∆z 2 4: 図 パーカー不安定性の機構を示す模式図。磁力線に沿って物質が落下することにより 軽くなった部分に働く浮力が磁気張力よりも大きい場合,磁気ループは膨張し続ける。 Parker (1966) は重力によって成層化されたガス層での磁気不安定性により星間ガス雲 が形成されるというモデルを提唱した。この不安定性 (パーカー不安定性) は磁気浮力不 安定性の一種であり、磁力線に沿ってガスが落下することによって軽くなった部分に働く 浮力が、それを引き戻そうとする張力よりも大きくなる場合に成長する。図 を参照しな がら、不安定性が成長するための条件を求めてみよう。 平行平板状の平衡状態においてガス圧と磁気圧の比 が一定であるとすると,次式が 成立する。 4 (1 + 01) dP = 0g: (9) dz 重力加速度は一定、音速 cs も一定、比熱比 = 1 とすると P = c2s より、 = (0) exp(0z=H 0 ) 、 ただし H 0 = (1 + 01 )c2s =g はスケールハイトである。磁場がない場合の密度分布は = (0) exp(0z=H ) 、このときのスケールハイトは H = c2s =g である。磁気ループが 1z だけ 浮上したとすると磁気ループの外側ではスケールハイトが H 0 だから密度変化は 10 = 0(z)1z=H 0 、磁気ループの内側では磁束流出によりスケールハイトが H に減少している とすると密度変化は 1 = 0(z )1z=H 、したがって磁気ループに働く浮力は (10 01)g = (1=H 0 1=H 0)(z)g1z = (z )g1z=(H 0) になる。他方、磁気張力は磁気ループの曲率半 径を r0 とすると B 2 =(4r 0 ) で与えられる。摂動の波長を とするとき図の三角形の辺の比 から 1z : =4 = =4 : 2r0 、したがって r 0 = (=4)2 =(21z ) である。不安定性が成長するた めの条件は、浮力 > 磁気張力より求めることができ、以下の条件式を得る。 > c = 8 q 1 + 01H: (10) スケールハイトよりも十分に長い波長の摂動を与えた場合に不安定性が成長することに なる。 5: 2 図 鉛直方向の重力加速度分布を持つガス円盤におけるパーカー不安定性の 次元シミュ 。左図は初期に の場合の磁力線 実線 、速度ベクトル レーション結果 松元ら 矢印 、密度分布 濃淡 。右図は密度等高線を示す。 ( ) ( ( 1988) ) =1 ( ) 以上の議論は重力加速度を一定と仮定してきたが、銀河円盤や降着円盤では重力加速 度は z とともに変化する。堀内ら は、鉛直方向の重力分布をもつ等温円盤における パーカー不安定性の線形解析を行った。その結果、最も成長がはやいのは、磁力線が赤道 によ 面を横切って波うつようなモードであることが明らかになった。図 に松元ら シミュレーションの結果を示す。鉛直方向の重力分布 るパーカー不安定性の 次元 2 2 3 = 2 GMz= r0 z とした。不安定性の成長の結果、磁気ループが形成され、 はg z 磁気ループとともに持ち上げられた円盤物質は磁力線に沿って超音速で落下して磁力線の くぼみの部分に高密度領域を形成する。また、落下物質が円盤部のガスと衝突する場所に 衝撃波が発生する。図 右図で密度等高線がこみあっている部分が衝撃波である。 (1988) ( )=0 5 2 MHD ( + ) (1988) 5 6: CO Maddalena et al. (1986) による。右図:パー (Shibata and Matsumoto 1991) 図 左図:オリオン分子雲の マップ。 カー不安定性によるオリオン分子雲生成のモデル HI HII パーカー不安定性は星間空間の希薄な ガス、 ガスを磁力線のくぼみの部分に集 める作用がある。これらのガスが集められた高密度領域では冷却により温度が低下してガ スは分子ガスとなり、分子雲が形成される。分子雲の例として、図 にオリオン座領域の 電波強度図を示す 。オリオン分子雲は銀河面 巨大分子雲群の 以上離れた領域にあり、フィラメント状の形状をしている。銀河面方向に開い から た「ハ」の字形の分布はシミュレーション結果の衝撃波面の形に類似している。オリオン 分子雲がパーカー不安定性によって形成された可能性については で、より詳しく議論しているので参照されたい。 円盤の回転はパーカー不安定性の成長率を下げるが、ジーンズ不安定性の場合のよう 。 に不安定性そのものを安定化してしまうことはない 100pc CO (Maddalena et al. 1986) 6 Shibata and Matsumoto (1991) (e.g., Chou et al. 1997) パーカー・ジーンズ不安定性 2.4 パーカー不安定性への自己重力の効果を調べてみよう。一様な水平磁場に貫かれた 、 無限に薄い自己重力回転円盤の分散関係式は以下の式で与えられる 。 (Lynden-Bell 1966 Hanawa et al. 1992) ! 4 0 [2 0 2s g + s2 (1 + 2= )]! 2 + sm2 (s 0 2g ) = 0: (11) ここで、s = kcs 、g = G=cs 、m = kvA 、ただし vA はアルフベン速度である。上式 より、s < 2g 、すなわち k < 2G=c2s のとき、回転の速さによらずに ! 2 < 0 となる解 が存在することがわかる。この条件は、回転がない場合のジーンズ不安定性条件と一致す の安定性条件 Q > を満たす円盤でも、円盤に水平な磁場があれば円盤の分 る。 裂が可能となる。これは、磁場がコリオリ力による収縮塊の回転を抑制し、磁力線に沿っ てガスが集まることができるようになるためである。 Toomre 7: 1 3 MHD 図 パーカージーンズ不安定性の 次元 数値実験結果。実線は磁力線。黒い領域 倍以上の高密度領域。左図:回転のない場合。右図:角速度 は初期の赤道面密度の : cs =H の回転がある場合。 =05 2.7 円盤の厚みと初期磁場の非一様性を考慮すると上記の不安定性とパーカー不安定性が カップルしたパーカー・ジーンズ不安定性が生ずる。図 にパーカー・ジーンズ不安定性 。磁力線に沿ってガスが集まり、 の 次元磁気流体数値実験結果を示す 磁力線に垂直なフィラメントが形成されている。円盤が回転している場合の方がより細長 いフィラメントが形成される。 3 7 (Chou et al. 2000) 3 磁気雲の重力収縮による星形成過程 回転していない磁気雲の動的収縮 3.1 フィラメント状星間雲は自己重力不安定性によりさらに分裂し、分子雲中に高密度の 分子雲コアを形成する。磁化されたフィラメント状星間雲の安定性については、たとえ らによって調べられている。図 に彼らの計 ば、 算結果の一例を示す。円筒状フィラメントから形成された分裂片が自己重力収縮をはじ め、磁力線に垂直な円盤を形成している。 Nakamura, Hanawa and Nakano (1995) 8 8: 磁化した円筒状フィラメントの分裂、収縮のシミュレーション結果 (Nakamura et al. 1995)。磁力線に垂直な円盤が形成され、中心密度が増大していく。 図 磁化された半径 R の球状の星間雲が自己重力収縮するための条件は、圧力が無視でき = GM 2 =R 、磁気エネルギー WB を用いて るとき、重力エネルギー WG 0(3 5) WG + WB < 0 (12) 8 = R2B を保って収縮するとき、 2 3 82B 883BR4 ( 4R ) = (13) 3 62R から求めることができる。星間雲を貫く磁束 B WB Z B2 8 dV より 8 8 2 2 82B < 0 + 0 3GM 5R 62R (14) が得られ、 B < cr G1=2 M が条件となる。ある臨界質量より重い星間雲は自由落下 のタイムスケールで収縮することが予想される。臨界質量よりも軽い星間雲は平衡状態を 保つことができるが磁束の散逸がある場合には、その領域での臨界質量が減少し、動的収 、 縮に移行すると考えられる。磁場も回転もない場合の球対称な動的収縮解が によって得られている。これらの解とその性質については、たとえば花輪 を参照されたい。 Penston(1969) (1999) Larson(1969) 3.2 磁場と回転がある場合の磁気雲の収縮 分子雲コアにわずかでも回転運動があれば、コアの収縮に大きな影響を及ぼす可能性 シミュ がある。最近、富阪は、回転磁気雲が収縮していく過程を含めた軸対称 次元 。図 に計算結果の例を示す。分子雲コアの密度が レーションを行った 10 03 n に達するまでは動的な等温収縮が続き、回転の効果は顕著ではない 左図 。 密度がこの臨界値を越えると中心部が光学的に厚くなり、放射冷却が利きにくくなる。こ のため水素分子ガスが断熱的になり、ほぼ力学的につりあったコアと回転円盤 原始惑星 系円盤 を形成する。 (Tomisaka 2000) 10 cm 2 9 MHD ( ) ( ) 9: 2 MHD ( ) 図 回転磁気雲収縮過程の 次元 シミュレーション結果 富阪による 。左図は等温 の暴走的収縮段階、右図は断熱コア形成後のアウトフローを伴う降着の様子。等密度面、 。 速度ベクトル 矢印 、磁力線 実線 を示す。円盤の差し渡しは約 ( 10: ) ( ) 300AU 1 図 磁気雲中心部の構造。密度等高線、磁力線、速度ベクトルを示す。左:第 コア形 成期、中:第 収縮期、右:第 コア形成期 2 2 10 cm その後、中心密度が 15 03 に達すると水素分子の解離が起こって断熱指数が小さく なり、コアは及び暴走的に収縮して断熱的な第 コア 原始星 が形成される。図 に各 段階の密度分布と磁力線を示す。第 コア、第 コアの形成期にアウトフローが発生して いる。アウトフローは円盤の角運動量を排出する作用があり、これによって「なぜ、星の 角運動量にくらべてはるかに大きな角運動量を持つ磁気雲から星を形成することができ るのか?」という角運動量問題を解決することができる。アウトフローの形成機構につい ては後に説明する。 1 2 2 ( ) 10 4 原始惑星系円盤の磁気流体力学 4.1 降着円盤としての原始惑星系円盤 2 ( ) 回転収縮する星間雲の中心に第 コア 原始星 が形成された後、磁気雲の中心部では 動径方向の収縮運動よりも回転運動が卓越し、回転平衡状態にある原始惑星系円盤が成長 していく。原始惑星系円盤は、角運動量を持った物質が重力源に引かれて落下していくと きに形成される回転円盤− 降着円盤 − の一種とみなすことができる。降着円盤では、物 質の持つ重力エネルギーを放射や運動エネルギーとして取り出すことにより、 線放射、 ジェットの形成をはじめとする種々の活動的現象のエネルギー源になっていると考えられ ている。 降着円盤において重力エネルギーを解放するためには物質が中心天体に向けて落下し ていく必要がある。円盤物質の降着は角運動量を外向きに輸送することによってはじめて では、この角運動量 可能になる。標準的な降着円盤のモデル 輸送の問題を円筒座標系におけるストレステンソルの r' 成分 tr' が圧力 P に比例すると P という現象論的な扱いをする。この 仮定して、その比を とおく すなわち tr' ようなパラメータ を導入した降着円盤モデルは モデルと呼ばれる。白色わい星のまわ りの降着円盤の活動周期についての理論と観測を比較することによって の大きさは から であると推定されている。分子粘性によっては、このように大きな の値を説明 することはできない。そこで、円盤が乱れた流れ 乱流 になることによって角運動量輸 送率が分子粘性だけを考えた場合よりもはるかに大きくなるのではないかと考えられて きた。 X (Shakura & Sunyaev 1973) ( =0 ) 0.01 0.1 4.2 ( ) 降着円盤中の乱流生成 1980 年代には超音速のシアー流れに起因する流体力学的不安定性によって円盤が乱流 的になるのではないかというモデルが詳しく調べられた。流速が異なるふたつの流体層 の接触面ではケルビンヘルムホルツ不安定性が成長し、渦が生成されることが知られて いる。しかしながら、降着円盤では方位角方向の流速が連続的に変化しており、また回転 の効果が含まれている点が通常のシアー流れとは異なる。このため、単純なケルビンヘ 、 ルムホルツ不安定性の条件は適用できない。 は、差動回転の効果を考慮した大局的な安定性解析を行い、円盤は非軸対称なゆらぎに関 して不安定になることを見いだした。この不安定性はとくに円盤が細いリング状のときに による 次元の数値実験によると、太いド ーナッ 速く成長する。しかし、 ツ状のトーラスでは、この不安定性の成長がすぐに飽和してしまい、乱流的にならない。 また、ケプラー回転している円盤の場合、不安定性の成長率が低い上にすぐに飽和してし vr v' =P O 03 程度の輸送率しか得ることができない。 まい、v 年代になってから、流体力学的な乱流にかわって磁気乱流による角運動量輸送が 詳しく調べられるようになった。これらの理論を原始惑星系円盤に適用する場合、原始惑 星系円盤で磁場と物質が十分相互作用できるかどうかが問題となる。まず、それをチェッ クしておこう。 Papaloizou & Pringle (1984) Drury (1985) Hawley (1991) 1990 =h i (10 ) 3 4.3 弱電離ガス中の粒子拡散と磁場散逸 原始星円盤は原始星近傍を除くと電離度が低い。このような円盤の中で磁場と物質は 十分相互作用できるだろうか? 磁場とカップルするのは荷電粒子である。荷電粒子と中 性粒子の衝突頻度 cn が十分高ければ荷電粒子と中性粒子はほぼ同速度で運動し、中性粒 子も磁場とカップルしているように振舞う。衝突頻度が低ければ、中性粒子は磁力線をす と呼 り抜けて運動することができる。このメカニズムは両極性拡散 ばれる。荷電粒子、中性粒子の速度を c 、 n とするとき、各々の運動方程式は (ambipolar diusion) v v dv 1 c c = cg 0 rpc + J 2 B 0 ccn(vc 0 vn ) dt c dvn = g 0 rp 0 ( v 0 v ) (15) (16) となる。圧力項が無視できる場合、定常状態では荷電粒子に働くローレンツ力 (J 2 B 力) と衝突による荷電粒子・中性粒子間の力 c cn (vc 0 vn ) がつりあい、 v =v 0v = J2B (17) n n dt D c n n nc n c cn c n c (e.g., Tajima and Shibata 1997) v ( ) 10 sec tD = L=vD 3 2 106(x=1007 )yr: を得る 。この D は両極性ド リフト速度で、電離度を x 、 2 系のサイズを L とするとき vD vAc = cn L である。磁気雲の磁束 B が B cr を満た 09 01 nn より、両極性拡散のタイムスケール tD は すとき cn 8 8 =8 (18) 他方、自由落下のタイムスケール tdyn は 10 tdyn 1=(G)1=2 105(nn =106 cm03 )01 yr: 3 2 10 cm (19) 07 のように電離度が低い場合でも、nn > 4 03 であれば両極性 したがって x 拡散のタイムスケールは自由落下のタイムスケールよりも長い。 磁場の散逸は電気抵抗によっても起こる。基礎となる方程式は誘導方程式 @B @t 2 = r 2 (v 2 B) + 4c r2B (20) であり、右辺第 2 項が磁気拡散をあらわす。ここで、 は電気伝導度である。Nakano and Umebayashi (1986) は、電荷を持つダスト粒子を考慮し、両極性拡散とジュール散逸の効 果を含めて磁場の散逸のタイムスケールを求めた。その結果、nn 109 cm03 では散逸 のタイムスケールは自由落下タイムスケールの 10 倍以上であることが示された。密度が 1011cm03 を越えるとダスト粒子が主たる電荷の担い手となり、Movability が下がるため に電気伝導度が小さくなってジュール散逸が重要になる。Sano (2000) によると標準的な 原始太陽系円盤のモデルでは磁気拡散係数は以下で近似できる。 = c2 4c r 05 2 01 7:2 2 1022( 1AU ) cm sec 10{30AU (21) ( (e.g, Matsumoto and Tajima ジュール散逸が重要になるのは よりも内側の領域である。ジュール散逸 磁気拡 散 は次節で延べる磁気回転不安定性を安定化する働きがある 。以下の議論は原始太陽系円盤では よりも外側、および電離度の上がる 中心星近傍に適用できる。 ) 1995) 10 { 30AU 磁気回転不安定性 4.4 差動回転している円盤に弱い磁場がある場合、回転のタイムスケールで成長する磁気 不安定性(磁気回転不安定性)が存在する。この不安定性は回転軸方向の磁場に貫かれ 年にベリコフによって発見されていた た差動回転する円筒状プラズマの研究により によって指摘されるまで見落され が、降着円盤における重要性は による,鉛直方向の磁場に貫かれたケプラー回 ていた。図 に 転円盤の一部を取り出した 次元シミュレーション結果を示す。横軸は動径座標、縦軸は 回転後の磁力線形状である。磁気回転 鉛直座標、実線は磁力線をあらわす。下右図は 不安定性の成長の結果、磁力線が変形し、角運動量を得て外向きに移動する部分と角運動 量を失って落下する部分に分かれている。 1959 Balbus & Hawley(1991) 11 Hawley & Balbus (1991) 2 3.3 B z r 11: 2 (Hawley and Balbus 1991) 図 磁気回転不安定性の 次元シミュレーション結果 。上 図:座標系、下左図:初期条件、下右図: 回転後の磁力線。初期のガス圧と磁気圧の の場合。 比 0 3.3 = 4000 12 磁気回転不安定性は、重力回転系で生じる不安定性の一種であり、図 に示すような モデルによって理解することができる。いま、重力を及ぼす天体のまわりを回転する二つ の質点を弱いバネかゴムひもで結んでみる。内側の質点ほど回転角速度が速いため、外側 の質点に角運動量が輸送され、内側の質点は角運動量を失って中心天体に向けて落下す る。ところが、重力回転系では落下するとさらに回転角速度がはやくなるため、ますます 角運動量が外へ輸送されやすくなる。この結果、内側の質点は角運動量を失ってさらに内 側へ、外側の質点は角運動量を得て、さらに外側に移動していく。 磁気回転不安定性が成長するための条件を図 をもとにして導いてみよう。降着円盤 は初期に鉛直方向の磁場に貫かれているものとし、中心天体から距離 r だけ離れた点での 円盤の密度を 、回転角速度を とする。ケプラー回転する円盤の場合、中心天体の質量 GM=r3 1=2 である。流体要素を図 のように内側に を M 、重力定数を G とすると r だけ変位させてみる。理想電磁流体の近似が成り立つ場合、磁場は流体に凍結 しているため、流体要素の変位とともに磁力線も図のように変形する。磁力線に沿っ r 2 のように小さくなる。他 ては角速度が一定になる性質があるため、遠心力は r r=r のように増加し、動径方向内向きに重力 遠 方、動径方向の重力は GM=r2 2 r の力が働く。この力が、変形された磁力線をもとに戻そうとする磁気張力 心力 13 =( 1 in) =3 1 ( ) )(1+21 ) 13 ( 01 ) (frozen + Angular Momentum 12: 図 重力回転系における不安定性。ふたつの質点を弱いバネで結ぶと角運動量が輸送 されて質点間の距離はしだいに離れていく。 よりも大きければ不安定性が成長する。磁気張力の大きさは、磁力線の曲率半径を r 0 とす ると B 2 = r 0 と書ける。磁力線方向の波長を とするとき右図に示したような 角形の 相似性から、近似的に r0 = = r 。したがって磁気張力は B 2 = r= = 2 となる。よって、不安定性が成長するための条件は " # 2 (4 ) 2 : 4= 4:1 F ( 3 4 )[21 ( 4) ] B = 42(= 0 3 2 1r < 0: 2 4) (22) q この結果、 > c = vA = を満たす十分長い波長のゆらぎが不安定になることがわ かる。ここで、vA はアルフベン速度である。 =4 2 3 B z λ r λ/4 gravity +centrifugal force ∆r r’ ∆r λ/4 tension 2r’ 2r’ : λ/4 = λ/4 : ∆ r Ω= const r’ = 1 ( λ/4 )2 ∆1 2 r 13: + 図 磁気回転不安定性が成長するための条件。流体要素を 力 遠心力が磁気張力より大きい場合に不安定になる。 1r だけ変位させたときの重 磁気回転不安定性の成長率のゆらぎの波長への依存性を求めてみよう。ケプラー回転 する円盤の一部を取りだして半径 r r0 で円盤とともに角速度 r0 で回転する座 標系に乗り、x r r0 とする。鉛直方向の重力は無視する。また、非圧縮流れを仮定す る。軸対称なゆらぎだけを考えることにして、ゆらぎの振動数を ! 、波数を kx 、kz とし、 i !t kx x kz z とおくと、以下の分散式を得る。 ゆらぎの形を = 0 = = ( ) exp[ (0 + + )] k2 2 3k2 2 !4 0 2(!A2 + z 2 )! 2 + !A2 (!A2 0 z2 ) = 0: 2k k 2 2 2 ただし k = kx + kz 、!A = kk vA 、kk は磁力線方向の波数である。 (23) 3 0 2 < 2 k2 =k 2 のとき !2 < となる不安定な解が存在することがわかる。 これより、!A z 平衡状態の磁場が鉛直方向を向いている場合 kk kz であるから、不安定性が成長する 2 2 2 で与えられる。 ための条件は k vA < = 3 (ω/Ω) 2 5 4 Alfven Wave 3 2 split 1 0 unstable -1 0 1 3 2 k // v A / Ω 14: ケプラー回転する非圧縮性磁気円盤における軸対称な磁気回転不安定性の分散関係。 図 14 に kx = 0 の場合の分散関係を実線で示す。横軸は !A = 、縦軸は (!= )2 である。 点線は回転がない場合のアルベン波の分散関係 ! = kk vA である。差動回転によって、アル ベン波がふたつに分離し、磁場がない場合には中立安定 (! = 0) な振動が磁場があると不 2 = (15=16) 2 安定 (! 2 < 0) になることがわかる。不安定性の成長率が最大になるのは !A のとき、最大成長率は (3=4) である。 図 磁気回転不安定性の特徴として、最大成長率が磁場の強さに依らないことをあげるこ とができる。このため、磁場が弱い円盤 高ベータ円盤 でも、この不安定性は回転のタイ ムスケールで成長する。磁気回転不安定性が成長してくると磁力線が方位角方向に引き延 ばされて磁場が強められ、磁気エネルギーが指数関数的に増大していく。 円盤を鉛直方向に貫く磁場が強い場合、臨界波長 c が円盤の厚さ H よりも厚くなると 2 < 2 磁気回転不安定性は安定化される。音速を cs として不安定性が成長する条件 k 2 vA に H cs を代入すると k2 H 2 < c2s =vA2 が得られ 、kH > を満たすためには Pgas =Pmag > = 2 でなければならない。 ( = ) 3 = 3 (2 3) (a) (b) B 15: (a) 初期状態、(b) 図 初期磁場が方位角方向を向いている場合の磁気回転不安定性。 非軸対称な磁気回転不安定性が成長した状態。 ( 磁気回転不安定性は平衡状態で磁場が方位角方向を向いている場合でも成長する 図 参照 。この場合に成長するのは非軸対称な不安定性であり、磁力線方向の波長を円盤 の厚さよりも長く取ることができるため、軸対称な不安定性の場合にくらべて、より磁場 が強い場合でも成長が可能になる。 15 ) 5 計算機の中に降着円盤をつくる 近年、降着円盤の時間発展を記述する方程式をコンピュータを用いて数値的に解くこ とにより、従来は現象論的に扱わざるを得なかった角運動量輸送率などを求めることが可 能になってきた。以下では降着円盤の時間発展を 次元の電磁流体数値実験によって調べ 。 た結果を紹介する 座標系としては円筒座標 r; '; z を用いる。質量 M の中心天体のまわりを回転する降着 L0 ra 、状態方程式がポリトロピックな関係式 P K 1+1=n 円盤の角運動量分布が L にしたがうとき、その平衡形状は次式で与えられる。 3 (Matsumoto 1999) ( ) = = 0 (r2 +GMz 2)1=2 + 2(1 10 a) L20r2a02 + (n + 1) P = 一定: (24) この解は一般にトーラス形状になる。トーラスの外は = h exp [(r0 =r 0 1)] という密 度分布を持つ等温ハローで満たされているものとした。ここで、 = (GM=RThalo )=r0 、 基準半径 r0 はトーラス中の密度最大の点の動径半径に選ぶ。モデルパラメータは Eth = c2s0 =(v'2 0 ) 、Emag = c2A0 =v'2 0 、および h=0 である。ここで cs0 、cA0 = B0=(40)1=2 、 v'0 = (GM=r0)1=2 はそれぞれ、(r; z ) = (r0 ; 0) での初期の音速、アルフベン速度、回転速 度である。 16: 図 方位角方向の磁場に貫かれたトーラスのシミュレーション結果。左図は初期状態。 である。右図は t : r0=v'0 における磁力線 実線 と密度分 初期磁場の強さは 布 濃淡 を示す。 ( = 100 ) = 67 8 ( ) 一例として、中心天体による重力ポテンシャルのもとで等温球対称静止コロナ中を回転 のトーラスを方位角方向の磁場が貫いている する角運動量一定、ポリトロープ指数 n 03 : 、 = 、h =0 場合の計算結果を示す。他のモデルパラメータの値は、Eth である。なお、初期状態ではトーラス内でガス圧と磁気圧の比 0 が一定とした。図 左 のモデルの初期条件、右図は初期状態に微少なランダム摂動を加えて計算 図は 0 をはじめてから約 回転後の赤道面付近の磁力線と密度分布を示す。磁気回転不安定性 の成長によってトーラス内部の磁場が乱されて、磁場の方向があちこちで反転する複雑な 磁場形状になること、トーラス内部には多数の渦が生成され、磁気乱流が発達しているこ と、磁気乱流中の磁場のゆらぎによる磁気ストレスにより角運動量が効率良く外向きに輸 送され、トーラスが円盤状に変形していくことがわかる。 のトロイダル磁場モデルにおけるガス圧と磁気圧の比 Pgas =Pmag 図 に 0 の等値面の時間発展を示す。磁場強度が増大し、約 回転後にはトーラス内部にフィラ =3 = 100 17 = 0 05 = 5 3 = 10 16 10 = 100 10 = 17: 図 方位角方向の磁場に貫かれたトーラスのシミュレーションにおけるガス圧と磁気 、淡いグレーが の領域を示す。初期の磁場 圧の比 の等値面。濃いグレーが とした。 強度は = 10 = 100 =1 メント状の磁気圧優勢領域があらわれている。この結果より、差動回転円盤では平均する と > の場合でも局所的に磁気圧優勢な領域が形成されることがわかる。磁気圧優勢な 領域で、磁気リコネクション等によって磁気エネルギーが解放されるとプラズマが激しく 加速、加熱されるであろう。 1 1.6 -0.5 β_0=10 -1 Angular Momemtum 2 log10 <B /(8π P0 )> 0 -1.5 100 -2 -2.5 1000 -3 1.4 0.4 0 15 7.3 0.6 -4 10 t=0 0 20 0.5 ORBIT 18: 10.8 0.8 0.2 5 0 1 -3.5 0 β =100 1.2 1 1.5 2 2.5 Radius 4.1 3 3.5 図 方位角磁場に貫かれたトーラスにおける磁気エネルギーと角運動量分布の時間変 化。左図は B 2 = P0 の時間発展。初期の磁場強度パラメータ 0 への依存性を示す。右 図は角運動量分布の時間変化。時刻の単位は回転時間 = 。 h (8 )i 18 2 h (8 )i ( ) = ( 0) hi 図 の左図は磁気エネルギー B 2 = P0 の時間発展を示す。ここで、記号 は初期 r0 ; から半径 : r0 内の平均をあらわす。パラメー のトーラスの密度最大の点 r; z タ 0 は r r0 での初期のガス圧と磁気圧の比である。初期にトーラスが弱い方位角磁場 に貫かれている場合、磁気回転不安定性の成長とともに磁気エネルギーが指数関数的に の準定常状態に達する。図 の右図は角運動量分布の時間変化を 増大した後、 示している。磁気回転不安定性によって励起された磁気乱流により角運動量が効率的に r1=2 に近づいている。角運動量輸送効率は 輸送され、角運動量分布はケプラー分布 L B Br B' = P0 : : 程度になった。 = 10 = 0h (4 )i = 0 01 0 0 1 03 18 / 6 鉛直磁場に貫かれた回転円盤からのジェット 形成 宇宙ジェット の内田・柴田モデル 6.1 19 CO 1 10km/sec 原始星からは図 に示すような 分子双極流、高速中性風、図 に示した光学ジェッ 程度、高速中性 トなどのアウトフローが観測されている。分子双極流の速度は 、光学ジェットは である。 風は 200km/sec 19: 200-300km/sec HH211 CO (Gueth and Guilloteau 1999 によ 20km/sec 以下の低速成分、右図は 図 原始星 における分子双極流の観測結果 、グレースケールは H2 輝線。左図は る 。等高線は の高速成分。 ) 20-100km/sec (1995) 内田・柴田 は、回転円盤を貫く大局磁場があるとき、磁気捻れの非線形伝搬に ともなって円盤物質が磁力線に沿って加速され、双極ジェットを形成するというモデルを 数値実験によって回転軸方向にコリメートされた双極ジェッ 提唱し、軸対称 次元の 左図に、この機構の模式図、右図にシミュレーショ トが形成されることを示した。図 ン結果の例を示す。図 に示した原始惑星円盤と光学ジェットの構造との類似性に着目し てほしい。図 の分子双極流先端部に類似した構造も再現されている。ジェットの速度 程度から噴出すれば分子双極流 は噴出領域の円盤の回転速度程度であり、中心から 程度から噴出すれば光学ジェットを説明することができる。 を、 2 19 0.05AU MHD 1 20 10AU 20: 図 左図:回転円盤からの磁気流体ジェット形成機構の模式図。円盤の回転によって大 局磁場が捻られ、磁力線に沿って円盤物質が噴出する。磁場の方位角成分によるピンチ力 シミュレーション結果の によりジェットは回転軸方向にコリメートされる。右図: 例 桑原による 。グレースケールは密度分布、実線は磁力線。 ( ) MHD 6.2 磁気流体ジェット の加速機構 21 磁気流体ジェットの加速機構を図 に模式的に示す。降着円盤を貫く回転する磁力線 によっ に沿って流体要素が遠心力によって加速される機構は て調べられ、磁気遠心力加速とよばれる。この機構を理解するには、ビーズのささった針 金を振り回していると考えると良い。ビーズは遠心力によって飛び出すであろう。実際に は、これを引き止める重力があるため、もう少し詳しく調べてみよう。磁力線に沿って回 転角速度 が一定、系は定常状態にあるとする。磁力線の根本が重力中心から rd の距離に GM=rd3 1=2 である。遠心力ポテンシャルを含めた有効ポテンシャル あるとすると、 =( ) Blandford and Payne (1982) GM 1 = 0 2 2 1=2 0 r2 2 (r + z ) 2 (25) (r; z ) = (rd; 0) のまわりでテイラー展開すると 3GM + 2 1z2 0 3 2 1r2 = (26) 2rd 2 2 であるから、1z 2 < 31r2 なら磁力線に沿って有効ポテンシャルが減少し、磁力線 (針金) に沿って流体要素 (ビーズ) は加速される。円盤と磁力線のなす角度が 60 度よりも小さい を 場合に加速が起きる。 21: 図 磁気流体ジェットの加速機構。左図:磁気遠心力加速。回転する磁力線に沿って遠 心力により流体要素が加速される。右図:磁気圧加速。 = 磁力線に沿う回転角速度を一定に保つためには比角運動量 j r 2 が回転軸から離れ るにつれて増加する必要があり、角運動量が外向きに輸送されていなければならない。角 運動量を輸送しているのは磁気ストレスである。ジェットの形成によって磁力線に沿って 流出するガス密度が増大するため円盤からジェットに受け渡される角運動量も増大し、角 運動量を失った円盤物質はさらに内側へ落下する。角運動量をジェットとして排出するこ とにより円盤物質の降着が可能になるのである。 中心天体から遠方では磁場が弱くなるため磁気ストレスも小さくなり物質の回転角速 度を一定に保つことができなくなる。回転角速度が小さくなると磁力線が捻られ、図 右図のような状況になる。捻れた磁力線は「ばね」のように振る舞い、磁気圧によって物 質を回転軸方向にさらに加速することができる。 の解説を参照されたい。 磁気流体ジェットの加速機構の詳細については工藤ら 21 (1999) 7 原始星と原始惑星系円盤の磁気的相互作用 日本の X 線天文衛星「あすか」によって原始星からの X 線フレアが発見された。フレ アの全エネルギーは太陽フレアの 1 万倍以上に達するが、X 線強度の時間プロフィール は、太陽フレアに良く似た、速い立ちあがりとゆっくりとした減光を示す。太陽 X 線観 測衛星「ようこう」により、太陽フレアは磁気リコネクションを伴うエネルギー解放現 象であるという観測的証拠が次々と得られている。原始星フレアも同様な、しかしエネ ルギー解放領域の体積が桁違いに大きな現象ではないのだろうか? は、原始星フレアは原始星とそのまわりの原始惑星系円盤を結ぶ磁力 線が円盤の回転によって捻られ、蓄積された磁気エネルギーが磁気リコネクションによっ て解放される現象であるというモデルを提唱した。この機構によるフレアは円盤コロナと ともに円盤表面を加熱するため、原始惑星系円盤の進化に重大な影響を及ぼす可能性が ある。 シミュレーション結果を示す。実線は磁力線である。初 図 に軸対称 次元の 期条件は中心星の双極子磁場の中を円盤が回転しているものとした。シミュレーションに コードを用いた。電気抵抗としては、電 は電気抵抗の効果を含めた軸対称の散逸性 J= が臨界値を越えた場合に異常抵抗を加えるモデルを採用 流密度 J と密度 の比 vd :原始太陽系円盤の場合 : AU で円盤が 回転する程度 している。基準半径 r のタイムスケールで、膨張する磁気ループ中に電流シートが形成され、磁気リコネクショ ンが発生してプラズマを加熱する。この機構により 線フレア現象を説明することがで を形 きる。また、プラズモイド が放出され、次第に回転軸方向にコリメートする 成する。右図に模式図を示す。高温のプラズマジェットは光学ジェットに、円盤表面から 流出する低温の流れは高速中性風に対応していると考えられる。 Hayashi, Shibata and Matsumoto(1996) 22 2 MHD MHD = ( =1 0 03 ) 1 X (a) 22: (a) = 1. (b) fast shock optical jet v ~ 2-5 v K hot plasmoid high velocity neutral wind = 5 4 z 3 Log10 T 2 1.0 1 0.5 0 0.0 -0.5 -1.0 time = 2.68 outow cold disk wind v ~ vK X-ray loop 1 2 3 4 star disk r 図 原始星の双極磁場と原始惑星系円盤の磁気的相互作用のシミュレーション結果。 グレースケールは温度、実線は磁力線、矢印は速度ベクトルを示す。 シミュレーショ ン結果の模式図 (b) 8 おわりに 原始惑星系円盤に関連する磁気流体過程について概説した。磁場とガスの結合が弱く 領域を扱うためには磁気拡散、両極性拡散を含めた数値実験が必要であ なる 数値実験が によって る。円盤の一部を取り出した局所的な 次元 行われている。大局的な数値実験は今後の課題である。 0.1 { 30AU 3 MHD Sano et al.(1998) 参考文献 [1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [10] [11] [12] [13] [14] [15] [16] [17] [18] [19] [20] [21] [22] [23] Balbus, S. A., & Hawley, J. F. 1991, ApJ, 376, 214 Blandford, R., & Payne, D. 1982, MNRAS, 199, 883 Chou, W., Tajima, T., Matsumoto, R., & Shibata, K. 1997, PASJ, 49, 389 Chou, W., Matsumoto, R., Tajima, T., Umekawa, M., & Shibata, K. 2000, ApJ, 538, 710 Drury, L. O'C 1985, MNRAS, 217, 821 Elmegreen, B. G., & Elmegreen 1978, ApJ, 220, 1051 Gueth, F., & Guilloteau, S. 1999, A & A, 343, 571 Hanawa, T., Nakamura, F., & Nakano, T. 1992, PASJ, 44, 509 Hanawa, T. 1999, in 「活動する宇宙」, 柴田、福江、松元、嶺重 編、裳華房 Hawley, J. F. 1991, ApJ, 381, 496 Hawley, J. F., & Balbus, S. A. 1991, ApJ, 376, 223 Hayashi, M. R., Shibata, K., & Matsumoto, R. 1996, ApJ, 468, L37 Horiuchi, T., Matsumoto, R., Hanawa, T., & Shibata, K. 1988, PASJ, 40, 147 Hunter, C. 1972, Ann. Rev. Fluid Mech., 4, 219 Kudoh, T., & Shibata, K. 1999, in 「活動する宇宙」, 柴田、福江、松元、嶺重 編、 裳華房, p.241 Larson, R. B. 1969, MNRAS, 145, 271 Lynden-Bell, D. 1966, Observatory, 86, 57 Maddalena, R. J., Morris, M., Moscowitz, J. & Thaddeus, P. 1986, ApJ, 303, 375 Matsumoto, R., Horiuchi, K., Shibata & Hanawa, T. 1988, PASJ, 40, 171 Matsumoto, R., & Tajima, T. 1995, ApJ, 445, 767 Matsumoto, R. 1999, Numerical Astrophysics, Ed. S. Miyama, K. Tomisaka, T. Hanawa, Kluwer Academic, p.195 Nakai, N., Kuno, N., Hanada, T., & Sofue, Y. 1994, PASJ, 46, 527 Nakamura, F., Hanawa, T., & Nakano, T. 1995, ApJ, 444, 770 [24] [25] [26] [27] [28] [29] [30] [31] [32] [33] [34] Nakano, T., & Umebayashi, T. 1986, MNRAS, 218, 663 Papaloizou, J. C. B., & Pringle, J. E. 1984, MNRAS, 208, 721 Parker, E. N. 1966, ApJ, 145, 811 Penston, M. V. 1969, MNRAS, 144, 425 Sano, T., Inutsuka, S.I., & Miyama, S. 1998, ApJ, 506, L57 Sano, T., Miyama, S., Umebayashi, T., & Nakano, T. 2000, ApJ, 543, 486 Shakura, N. I. & Sunyaev, R.A. 1973, A & A, 24, 337 Shibata, K., & Matsumoto, R. 1991, Nature, 353, 633 Tajima, T., & Shibata, K. 1997, Plasma Astrophysics (Addison Wesley) Tomisaka, K. 2000, 天文月報, 93, No. 10, p.604 Uchida, Y., & Shibata, K. 1985, PASJ, 37, 515 ポスターセッション < 地球電磁気学 > 岩田 智司 イオ・ウェイクでの発電効果 岩橋 弘幸 EISCAT レーダーの紹介 大塚 史子 ゆらぎのある磁場中での宇宙線の垂直拡散:パーコレーション統計 岡 光夫 星間空間起源ピックアップ イオンの観測 片岡 龍峰 磁気インパルス現象の発生と太陽風不連続の関係 鈴木 克 衛星イオ近傍におけるナトリウム雲分布の研究 関 浩二 アラスカ州ポーカーフラットに設置されたフーリエ変換型赤外分光計を用いた大気微量成分の観測 関 悠子 Pi2型地磁気脈動の磁力線共鳴振動に関する研究 銭谷 誠司 相対論的磁気リコネクションにおける非熱的粒子の生成 水田 孝信 多成分プラズマ中における重イオンの選択的加速 山本 英子 衛星データにより得られた大振幅磁気流体波動の相関の統計解析 山本 真行 観測ロケットによる航跡構造と航跡関連プラズマ擾乱の研究 吉田 純 金星大気探査衛星における雷放電発光の光学観測 < 惑星科学 > 高木 麻里 MUSES-C 搭載蛍光 X 線分光計の現状 EPMA を用いた南極宇宙塵のバルク分析 Geomorphoc Mapping and Analysis of the Eastern Medusae Fossae Region of Mars 古屋 泉 ダ スト層の重力分裂による微惑星形成 三浦 均 衝撃波加熱コンド リュール形成における蒸発の効果 森脇 一匡 連星系における惑星の軌道安定性 武田 隆顕 月形成の数値計算シミュレーション 小林 浩 恒星の 青木 美希 脊戸柳 武彦 Close Encouter による影響 自分の研究を皆さんに知ってもらうチャンスです。飛び入りでの発表も歓迎します ので、是非ポスターをお持ち下さい。 次ページより、地球電磁気学分野の予稿があります。 惑星科学で発表をされる方は、参加費が1000円割り引きになります。 イオ・ウェイクでの発電効果 東北大学 岩田智司 木星は太陽系最大の惑星であり、強大な磁場を持つとともに自転周期 10 時間という非常に早い自転をし ているため、巨大で活動的な磁気圏を持っている。そこで起こる様々な電磁現象は非常に興味深いもので あるが 、衛星イオの存在によって木星の電磁環境はいっそう興味深いもとのなる。イオは木星の潮汐力の ためその内部は融解し 、活発な火山活動を行っている。火山から噴出した大量の中性ガスは、太陽紫外線 や電荷交換によってイオン化することにより、大量のプラズマとして木星磁気圏に供給される。粒子はイ オン化されたその瞬間に木星の磁場に捕まり、木星磁場と共回転になるまで加速される。粒子はイオ軌道 に沿ってばらまかられるため 、木星の周りをトーラス状に取り囲み、木星と共回転するイオ・プラズマ・ トーラスが形成されることになる。 木星磁気圏のプラズマの起源としてはイオの他に木星電離圏や太陽風からの供給も考えられるが 、ボ イ ジャーの観測結果から、イオを起源とするプラズマの寄与は木星電離圏や太陽風に比べてはるかに大きい と考えられる。また、イオ・トーラス・プラズマとイオとの相互作用によって、イオ付近では発電が起き ていると推定されている。イオ付近での発電は、木星電離層でのオーロラやデカメートル電波放射に深く 関わっていると考えられており、この領域での発電効果について研究を行うことはこれらの現象を解明す るために非常に重要であると言える。 イオ周辺ではイオ本体とイオ・ウェイクでの 2 つの領域で発電が行われていると考えられる。過去の研 究ではイオ本体での発電のみが注目されてきた。本研究では、イオ本体での発電効果と比較してイオ・ウェ イクでの発電効果がどの程度の割合であるのかを明らかにすることを目標としている。2 次元のシミュレー ションによって研究を進める予定であるが 、いまだコード は完成していないため、ポスターではこれまで に調べたことを中心に経過報告として発表を行う。 EISCAT レーダーの紹介 名古屋大学 岩橋弘幸 我々のグループは、太陽風の磁気圏への侵入機構、極域電離圏―磁気圏におけるエネルギー結合過程、下 部熱圏―中間圏相互作用などに注目し 、主に観測に基づいて研究を進めている。我々の用いる主たる観測 EISCAT レーダーであり、人工衛星等の飛翔体観測などとともに 、大変重要な役割を担っている。 EISCAT( European Incoherent SCATter )レーダーとは、EISCAT 科学協会( 英、独、仏、ノルウェー、 スウェーデン 、フィンランド の6ヶ国及び日本)によって運営されている非干渉( IS )レーダーシステム である。日本は 1996 年に EISCAT 科学協会の正式加盟国となった。その年間観測時間の半分は各国共通 機器は の実験に割り当てられ 、また残りの半分は参加国の出資負担に応じて観測時間を分配され 、各国独自の実 験がなされている。以下に、各レーダーの主な特徴を挙げる。 UHF レーダー( 送信周波数 931MHz ) トロムソ( 69.59 °N )、キルナ( 67.86 °N ), サダンキラ( 67.36 °N )に設置。3局1点 方式による、 3次元的なイオン 、電子の物理量測定が可能。アンテナはパラボラ型であ り、その直径は 32 m。主 にオーロラ帯の観測が可能。 VHF レーダー (送信周波数 224MHz) トロムソに設置。4つの可動式シリンダー型のアンテナから成り、同時に最大4方向の 観測が可能。 アンテナの大きさは 120 m× 40 m。UHF レーダーに比べ、高高度または低高度の双方の観測に適 する。 ESR レーダー (送信周波数 500MHz) ロング イヤービン( 78.15 °N )に設置。アンテナは可動式( 直径 32 m)と沿磁力線方向 固定式(直 径 42 m)の2基より構成。上記のレーダーに比べ高緯度に設置されているた め、太陽風粒子が直接 流入するカスプ域や、ポーラーキャップにおける物理現象の観測 に適する。 IS レーダーからは、イオン速度、電子密度、電子及びイオン温度などの電離圏物理量が得られ、 それらから更に電気伝導度、電場、中性風速度などを求めることが出来る。本発表では 、これら IS レー これらの ダーの基本的な原理や、観測から得られる物理量、観測対象としている物理現象について説明する予定で ある。 ロ ゆらぎのある磁場中での宇宙線の垂直拡散:パーコレーション統計 九州大学 大塚史子 宇宙線の加速機構については、明らかでない部分が多い。ここでは特に天体プラズマ中の垂直衝撃波に よるフェルミ加速を考える。衝撃波の上流域と下流域のそれぞれに存在する磁気流体 (MHD) 乱流による 拡散による、少数の宇宙線粒子は衝撃波を何度も横切ることにより、高エネルギーにまで加速される。こ のためには 、宇宙線粒子は磁力線に垂直方向に拡散されることが必要である。この観点から本研究では 、 ゆらぎのある磁場中における粒子の拡散過程について、テスト粒子シミュレーションを行い、その結果の 統計解析を行った。 時間的には定常であるが 、空間的にゆらぎをもつ垂直磁場の存在する 2 次元空間を考える。磁場ゆらぎ の大きさはベキ乗則で与え、境界は周期的とする。与えるパラメータは磁場ゆらぎのベキ指数、強度、最 大波長、粒子のエネルギーである。また、磁場ゆらぎの位相をランダム変数の組として与え、幾つかの run を行った。粒子の実空間拡散係数を評価し 、粒子のラーマ半径と磁場ゆらぎの特性長の比 (以後、これを断 熱パラメータ a と呼ぶ ) 、磁場ゆらぎの平均磁場にたいする大きさをパラメータとして、その依存性を考察 した。 幾つかの run の結果、a>>1 の場合には、粒子は 1 周のラーマ運動の間にランダムな磁場を感じるため、 案内中心の、ほぼ古典的なランダムウォークとなった。a<<1 の場合には粒子は磁場の等高線に沿って運 動し 、磁場の構造に捕捉される粒子と境界周期性のため輸送され続ける粒子が共存する。これらの粒子群 は、それぞれ単独では時間スケールに比例および反比例する拡散係数をもたらす。さらに a ∼ 1 の場合に は、長時間スケールで見ると 、ラーマ半径が比較的大きいため、ときど き等高線の乗り換えがおこり、ラ ンダムウォークとなる。拡散係数の準線形理論との比較およびパーコレーション的観点からの数値計算結 果の議論を行う。 星間空間起源ピックアップ イオンの観測 太陽圏侵入から衝撃波加速まで 東京大学 岡光夫 太陽圏は温度約 1 万度,密度約 0.1 個/cc の 「局所星間雲」の中にある.この星間雲を構成する中性ヘ リウムは太陽圏に侵入し ,太陽重力により集められて「ヘリウムコーン 」を形成するが,近年このヘリウ ムコーンの観測データと理論モデルとから星間雲のパラメータが間接的に調べられるようになってきてい る.とくに中性ヘリウムの一部は太陽紫外光などによって電離されプラズマ化するため(ピックアップ過 程),日本の NOZOMI や GEOTAIL など も国際的観測網に参入し大きな成果を挙げている( 野田, 山崎, 2001 ). 2001; そこで今回のポスター発表では GEOTAIL による最新の観測結果を紹介するとともに,6 月下旬にスイ スで行われる予定の研究報告会での見聞をリポートする.また,ピックアップ イオンは無衝突衝撃波によっ て加速されることが間接的に示されていたが,最初の直接観測報告はやはり日本の GEOTAIL によっても たらされた.同観測は異常宇宙線生成過程ならびに地球前面定在衝撃波におけるイオン・ダ イナミクスの 問題に一定の示唆を与えるものと考えられ,現在さらなる解析を進めている.その一部はポスターで発表 し ,詳細は「衝撃波」セッションにて報告する. 磁気インパルス現象の発生と太陽風不連続の関係 東北大学 片岡龍峰 磁気インパルス現象 (Magnetic Impulse Event: MIE) は、昼側カスプ域でしばしば観測される振幅 50-200 nT 、継続時間 5-20 分の突発的な地上磁場変動現象である。MIE は 、太陽風変化に対する磁気圏の過渡 的応答過程、昼側磁気圏のエネルギー流入過程を理解する上で最も重要な研究課題の一つである。しかし ながら、MIE の発生メカニズムとその起源に関しては未だに統一した見解が無い。振幅 100 nT を超える MIE について、SSC に伴う MIE を3例、朝側の MIE を3例、磁気正午付近の MIE を2例、夕方側の MIE を3例、計11例の事例解析を行った。使用したデータは、南極無人観測所 (Automatic Geophysical Observatories: AGO) ネットワークの全天オーロラ画像、南北高緯度における磁力計ネットワーク、太陽 風モニター衛星のデータである。MIE に伴う伝搬性対流渦構造 (Traveling Convection Vortex: TCV) と オーロラの関係、MIE 時の太陽風の状態に関し 、主に以下の点が明らかとなった。 1) MIE に伴うオーロラは、沿磁力線上向き電流を伴う TCV が通過する際、昼側オーロラオーバルよりも 低緯度に出現し 増光する。その際の降下粒子のエネルギーは朝側の MIE では高く、磁気正午付近の MIE では低い。 2) MIE を引き起こす太陽風不連続面は、朝側の MIE では bow shock 面と朝側で直交し 、磁気正午の MIE では bow shock 面と磁気正午付近で直交する。また、太陽風の状態は 、尽く従来の MIE 発生メカニズム には対応しない。 発表では 、太陽風不連続と bow shock の相互作用が MIE の発生に重要な役割を果たしているという立 場から、MIE の発生機構について議論する。 衛星イオ近傍におけるナトリウム雲分布の研究 東北大学 鈴木克 木星の第一衛星イオは活発な火山活動を行っており、噴出した火山性ガスは木星磁気圏プラズマとの相 互作用によって磁気圏の電磁環境に大きな影響を与え、様々な興味深い現象を引き起こしている。イオか ら放出される粒子量はイオ火山活動の規模によっても変動すると想像されるが 、その変動を見るためには ジオメトリ変化による空間分布変動を再現できる標準モデルが必要となる。 そこで本研究では木星の衛星イオから 3RJ 内の近傍領域のナトリウム分布に注目し 、ナトリウム雲の詳 細な空間分布を得るとともに、連続観測時のジオメトリ変化による空間分布の変化をモデル計算によって 再現することを試みた。観測は国立天文台岡山天体物理観測所の 91cm 望遠鏡及び OOPS を用いて行い、 モデルは過去の研究で提案された 2 種類のナトリウム放出モデルの組み合わせにより構築した。それに加 え、本研究では過去不十分であった低速ナトリウム成分の放出初速度分布について考察を行い、初速度分 布の違いによる発光分布の変化を求めた。 アラスカ州ポーカーフラットに設置された フーリエ変換型赤外分光計を用いた大気微量成分の観測 通信総合研究所 関浩二 通信総合研究所( CRL )ではアラスカ域大気観測計画の一環としてポーカーフラット( 65 N 、147 W ) にフーリエ変換型赤外( FTIR )分光計を設置している。この FTIR 分光計を用いて 1999 年より対流圏・ 成層圏における大気微量成分の観測を行っている。この分光計(ブルッカー社 HR120 )の周波数分解能は 0.0019 cm;1 、観測周波数領域は 750 - 4200 cm;1 であり、太陽光を光源とした吸収スペクトルおよび大 気中の分子の放射スペクトルを観測している。フォワード 法を用いた解析により、吸収スペクトルの吸収 強度から大気微量成分濃度の柱密度が求められる。また、スペクトルには大気の圧力による圧力広がりが 観測されており、圧力広がりを利用したインバージョン法により大気微量成分濃度の高度プロファイルを 求める事が可能である。 O3 の 3000 cm;1 付近の吸収スペクトルに対して解析を行った。このスペクトルはド ップラー広がりに より周波数を 0.0045 cm;1 以下に分解できないため、分解能を 0.0035 cm;1 に設定して積算回数を増やす ことで S/N 比を向上させた。フォワード 法、インバージョン法には NIWA 、NASA ラングレー研究所の開 発した SFIT2 プログラムを用いた。SFIT2 解析により O3 の柱密度と高度プロファイルが求められる。高 度プロファイルの中で有為な情報は高度 20 km 程度までであり、高度分解能は 10 km 程度である。SFIT2 解析による解析結果の信頼性を客観的に評価するために、2001 年 3 月から 4 月にかけて米、加、日が参加 して行われた TOMS 3 ; F キャンペーンにおいて、TOMS 、オゾンゾンデ、ミリ波ラジオメータ等との相 互検証実験を行った。SFIT2 解析から求められた TOMS 3 ; F 期間中の O3 の柱密度はオゾンゾンデ等の 観測結果と傾向は良く一致するが 、全体として他の観測機器と比べて数%低く見積もられる。この数%の 差は FTIR 分光計内の装置関数を補正することで是正されると考えられる。現在、過去 2 年間分の FTIR スペクトルの SFIT2 解析を進めており、本ポスター講演では O3 の柱密度、高度プロファイルの年変動を 議論する。 Pi2型地磁気脈動の磁力線共鳴振動に関する研究 九州大学 関悠子 Pi2型地磁気脈動は、磁気圏サブ ストームのon−setと強い関連性を持つ、globalに観測 される現象である。Pi2の発生メカニズムとしては、大きく分けて、 (a )オーロラ磁力線のアルフベン振動 ( b)PlasmasphereのCavity振動 の2つのモデルが 、これまでに行われた研究より提案されている。特に、 (a )のモデルに関しては、磁力 線共鳴を励起する可能性が示唆されている。 本研究では 、磁力線共鳴振動に着目し 、振幅比法、位相差法という新しい解析法を用いた。データは 、 経度方向への伝播効果を除き、かつ、緯度方向のglobalなPi2の構造を見るため、210 °子午 線に沿った11のStationのものを用いた。解析結果は以下の通りである。 (1 )高緯度(KTN,TIK,CHD)においては、磁力線共鳴構造が有り、 ( 2)中・低緯度( ZYK以下)においては、磁力線共鳴構造が無い。 解析結果より、高緯度のPi2に対しては、 (a )のモデル、中・低緯度のPi2に対しては、 ( b)のモ デルが適合すると考えられる。 本研究においては、FFTを用いたが 、この手法は 、波形が不規則なPi2に対しては 、限界がある。 今後は、最尤法、修正ピザレンコ法等、新しい手法を用いて、Pi2の本質を抜き出す解析を行っていく 予定である。また、磁力線共鳴振動を同定するためには、隣り合うStation間が 、せいぜい1∼2 °でなければならない。よって、新たに磁力計を設置し 、特に高緯度地域において、密な観測網を設置し た観測研究が望まれる。 相対論的磁気リコネクションにおける非熱的粒子の生成 東京大学 銭谷誠司 プラズマ中で逆向きの磁力線が繋ぎかわる磁気リコネクションは 、太陽フレアや磁気圏サブ ストーム、 高エネルギー天体等、さまざ まな物理現象に関わる素過程として非常に重要である。最近は、パルサー近 傍の相対論的電子-陽電子プラズマ中においてもリコネクションの役割が注目される( Coroniti [1990] ApJ, Lyubarksky and Kirk [2001] ApJ )など 、リコネクションと宇宙プラズマ・相対論との関わりが議論の対 象になってきた。 このような背景を踏まえ、我々は、相対論を含めたリコネクションの基礎研究として、電子-陽電子プラ ズマのプラズマシート構造における相対論的リコネクションの数値シミュレーションを行った。その結果、 X型領域で磁場が繋ぎ代わってプラズマの Outow が生じるという、電子- イオン系で研究されてきた磁気 リコネクションと同様の現象が再現され 、磁気リコネクションが宇宙プラズマにおいても起こる普遍的な 現象であることが確認された。 さらに、筆者が取り組んだ相対論的リコネクション過程で最も重要な点は、一部の粒子が非常に強く加 速され 、係数-1 のべき乗分布に従うフラットな非熱的スペクトルが形成されたことである。この非熱的粒 子群の生成に関して、リコネクションのX領域近傍の電磁場構造が深く関与していることがわかった。 X領域近傍では、リコネクションに伴って誘導電場が発生しているが 、誘導電場と比べてリコネクシン 磁場が弱い領域では、Lorentz 変換の性質上 frozen-in や speiser 運動が成り立たず、粒子は電場によって 強く加速されることになる。磁気圏リコネクションの電場が優勢な領域サイズはじゅうぶん無視できるが 、 我々の計算系では、速い Outow(∼ 0.9c )に呼応して強い電場が誘導され 、リコネクション領域の空間 スケールにわたって電場優勢の加速領域が出現した。さらに加速領域では、相対論的慣性によって粒子を 加速領域にトラップする効果が働き、粒子はますます加速されていく。このような正のフィード バック効 果が働いた結果、加速された粒子が Power Law 型の非熱的なエネルギースペクトルを生成していることが わかった。 Fermi 加速に代表される旧来の加速プロセスでは、粒子が何度も加速領域を通過することで高エネルギー を実現していた。しかし 、本研究で発見された加速過程は、粒子を一度に高エネルギーに加速する効率的 なものであり、宇宙の非熱的粒子の生成に磁気リコネクションが関わっていることも示唆するものである。 多成分プラズマ中における重イオンの選択的加速 東京大学 水田孝信 重イオンの選択的加熱・加速は、オーロラ領域、地球磁気圏、太陽風、太陽コロナなど 多くのプラズマ 環境で観測されている。理論的モデルはいくつか提唱されているが 、決定的なものはない。重イオンの選 択的加熱・加速は、陽子・電子を含むプラズマ全体へのフィード バックにより、プラズマそのものの加熱・ 加速に影響を与えている。重イオンの選択的加熱・加速の研究は、太陽風の加速や太陽コロナの加熱など 、 太陽物理学での長年の懸案事項の解決につながると考えられる。 宇宙空間プラズマ中での重イオンと電磁流体波動との相互作用を理論的に研究した。電子、陽子に加え、 重イオンを加えた3成分系のプラズマ中での、粒子−波動相互作用を考察した。3成分系プラズマでは、2 成分系プラズマには存在しない、長波長で周期が重イオンのラーマー周期に近い磁力線平行伝搬の電磁流 体波動 (Lpモード ) が存在する。Lpモード は、粒子の共鳴速度より大きい位相速度を持つ。このモード と通常の電磁流体波動が共存するとき、重イオンが磁力線垂直方向に選択的に加速されることをテスト粒 子シミュレーションで発見した。そして、この選択的加速の理論モデルも提唱した [Mizuta and Hoshino, GRL, in press]。また、線形解析も行っており、温度非等方ビームによって Lp モードが励起さることも分 かっている。 Lpモード の重イオンのピッチ角散乱は、他のモード のそれとは異なり、電場擾乱が卓越していおり、そ れが選択的加速の本質であることが分かった。これにより一般性の高い理論モデルを得ることができ、重イ オンほどではないが陽子も磁力線垂直方向に加速することが分かった。これは多くのプラズマ環境に適応 出来ると考えられる。現在は Hybrid シミュレーションにより重イオンの選択的加速・加熱を解析している ところである。詳細は、http://stp-www.geoph.s.u-tokyo.ac.jp/ mizuta/jindex.htm にまとめてあります。 Geotail 衛星データにより得られた 大振幅磁気流体波動の相関の統計解析 九州大学 山本英子 太陽風中、また地球磁気圏近傍には 、比較的大振幅の磁気流体( MHD )乱流が観測される。観測され る磁場B (x) は、多くのフーリエモード B(k)sin(kx+p(k)) の重ね合わせとして表現する。ここにp (k) は 各モード の位相であるが 、これはしばしば仮定されるように完全にランダムな組ではなく、ポンデロモー ティブ力などによる波動間の非線形相互作用の結果、相関が作られていると考えられる。位相p (k) が完 全に揃った極限では、波形は孤立波になる。 以上のことを踏まえ、Geotail 衛星による磁場データを用いて、宇宙空間に存在する磁気流体波動間に、 非線形相互作用が働いているかど うかを検証することを目的とした解析を行なった。まず、元となる観測 された磁場データ (OBS) を用意する。これをフーリエ変換し 、波動のパワーはそのままとして、位相のみ (PRS) 、また比較のために位相を完全に揃えて、実空間 に戻したサロゲート (PCS) を作成する。もしも波動間の非線形相互作用が全くなければ 、OBS と PRS の をランダム化した後、実空間に戻したサロゲート 統計的性質は同じになるはずである。3 種の波動データの統計を特徴付けるために、フラクタル解析を行 ない、波動データの「長さ( ノルム)」を、これを測る基準ノルムの関数として評価した。様々な波動振幅 レベル、波動スペクトルの場合に対して解析を行なった結果を報告する。 観測ロケットによる航跡構造と航跡関連プラズマ擾乱の研究 通信総合研究所 山本真行 発表者は東北大学大学院に在学中、観測ロケットを用いた電離層の in-situ 観測に関わってきました。計 7機のロケット実験においてインピーダンスプローブによる電子密度計測を実施し 、そのうち2機のロケッ トにはHF帯スペクトルアナライザを搭載しプラズマ波動の観測も担当しました。飛翔体は電離層の「直 接」観測を可能にしますが 、ここでも計測上の問題がやはり生じます。特に飛翔体がプラズマ中を飛翔す ることによって周辺プラズマが擾乱を受けるという問題は、直接観測において避けられない課題です。航 跡 (wake) は、飛翔体が電離層プラズマ中を超音速で飛翔するために飛翔体後方に生じる低密度領域のこと で、電子密度計測に大きな影響を与え、その精確な補正法確立は重要な課題でした。また今回の観測結果 から航跡内において発生したと考えられるプラズマ波動が発見されました。本研究は、ロケット航跡にお ける観測結果と理論計算の両面からのアプローチによって、航跡密度構造、航跡に伴うプラズマ擾乱の描 像、擾乱域からの波動発生のメカニズムについて研究結果を紹介します。 金星大気探査衛星における雷放電発光の光学観測 Lightning and airglow measurement by Venus Climate Orbiter (VCO) # 吉田 純 [1] # Jun Yoshida [1] [1] 東北大・理・地球物理 [1] Dept. Geophysics, Tohoku University 金星における雷放電現象は、20 年余にわたる光学および電波による観測が行われてきたが、 その有無をめぐる論争は未だ決着を見ない。本発表では、これまで行われてきた観測を光学の面 から検討する。また、現在我々が着手している金星大気探査衛星搭載予定の雷・大気光カメラ (LAC ; Lightning and Airglow Camera)の開発状況について報告する。 雷放電の観測は、大気運動の活動度や雲粒の物性の指標として重要かつユニークな情報を提 供する。とりわけ、メソスケールの気象現象の解析において威力を発揮すると期待される。最近 の Galileo 探査機による観測は、木星においても雷放電発光が積乱雲と推測される雲の領域と一 致して起きていることを明らかにした。金星でも、雷放電は鉛直対流の活発な領域に発生してい ると推測される。 金星における雷放電現象は、20 年余にわたる光学および電波による観測が行われてきたが、 その有無をめぐる論争は未だ決着を見ない。光学観測で初めて雷発光であると思われる現象を捕 らえたのは、Venera 9 号に搭載されたスペクトロメータで、70 秒間に及ぶ発光からスペクトル を求めている。 米国アリゾナ大学のグループは地上望遠鏡と高速 CCD カメラによる観測を試み、 3 時間に 6 ないし 7 個の雷放電発光を捕らえたと報告している。彼らは、金星大気を模した室内 での発光実験結果に基づき、特定の輝線(酸素原子 777 nm)を狭帯域フィルターを用いて撮像 した。その雷放電発光のエネルギーは、地球での平均的な雷の数百倍以上と推定されている。し かし、PVO (Pioneer Venus Orbiter)に搭載されたスタートラッカーのデータ解析や、VEGA の Balloon 観測からは、雷放電の発生を裏付ける有力な証拠は得られなかった。しかしこれらは、 計測器が感度などの面で雷放電発光に対応していなかったり、観測領域が極めて限られていたり したためと推測される。金星での雷の存在は、高時間分解能と十分な感度を有する光学観測機器 を用いなければ、実証することが困難であると考えられ、専用に設計された計測機器による観測 の実施が強く望まれている。 東北大学では 2007 年打ち上げ予定の金星大気探査衛星(VCO ; Venus Climate Orbiter)に搭載予 定の雷・大気光カメラ(LAC)の基礎開発を行っている。現在我々が抱えている最大の問題は、観 測対象(雷・大気光)に対して 108 倍の光量を持つ金星昼面からの散乱光を、いかにしてディテクタ に直接入射させないようにするかということである。本発表ではこれまで試みてきた装置設計、 実験結果を報告する。 すばる望遠鏡を用いた、 星・惑星系形成過程の観測的研究 神戸大学自然科学研究科,伊藤 洋一 [email protected] 2001.7.17 要旨 太陽程度の重さを持った星、褐色矮星、系外惑星、惑星程度の重さを持った天体などの形 成過程を理解するために、私がこれまでに行なってきた研究と、すばる望遠鏡によって得られ た最新の成果を紹介する。 1 光の基本事項 1.1 波長と周波数 光が波として表される場合、波長 と周波数 の関係は以下の式で表される。 = ここで c は光速である。波長の単位を「ミクロン ガへルツ (GHz)」で表すと、 c (1) (m、マイクロメートル)」、周波数の単位を「ギ (m) 2 (GHz ) = 300 (2) の関係になる。可視、赤外の観測は波長単位で、電波は周波数単位で光を表すことが多い。 一方で、 X 線などの高エネルギー領域では、光の単位として「エレクトロンボルト (eV)」を使 うことも多い。この場合,以下の関係が成り立つ。 E (eV ) 2 (m) = 1 1.2 (3) 分類 光は波長ごとにおおよそ次のように分けられる。この分類は主に観測手法の違いに起因してい て、観測技術の進歩とともに変化する。 1 名前 ガンマ線 エックス線 紫外線 可視光 近赤外線 中間赤外線 遠赤外線 サブミリ波 電波 (m) < 0:00001 0:00001 < < 0:01 0:01 < < 0:3 0:3 < < 1:0 1<<5 5 < < 30 30 < < 200 200 < < 1000 1000 < 波長 観測手法 衛星 ( ) 衛星 (IUE) 地上観測 (すばる) 地上観測 (すばる) 地上観測 (すばる),衛星 (ISO) 衛星 (IRAS) 地上観測 (富士山, JCMT) 地上観測 (野辺山) 衛星 あすか,チャンドラ 黒体放射 1.3 ある有効温度を持った天体のスペクトルは、その温度を持った黒体で近似できる。 1. 黒体輻射の有効温度 T(絶対温度) とピーク波長 peak (m) は以下の関係がある。 T peak = 3000 2. 短波長ではウィーンの近似則が成り立ち、波長が短くなると急激に輻射は弱くなる。 3. 長波長ではレーリージーンズの近似則が成り立つ。 B / T 04 より詳しい基本事項の説明は、たとえば (4) (5) Rybicki & Lightman(1979) や Glass(1999) などを参照 するとよい。 2 距離と離角 (AU): 太陽と地球の距離。 1:5 2 108 km 天文単位 光年 専門ではあまり使わない。 : (pc): 年周視差が 1 秒の距離。 x パーセクの距離の天体で 1 秒の離角は x AU に相 当する。 3.26 光年、 3 2 1013 km パーセク 最も近い星はケンタウルス座アルファ星で、距離は 1.3pc。太陽から 25pc 以内に 1000 個程度の (Gliese & Jahreiss 1991)。最も近い星形成領域は「おうし座分子雲」「へびつか い座分子雲」「カメレオン座分子雲」などで、どれも距離約 150pc にあり、太陽程度の質量の星 (低質量星) が生まれている。これら星に 100AU の原始惑星系円盤が付随していると、みかけの大 きさは 0.7 秒程度になる。最も近い大質量星形成領域は「オリオン座分子雲」であり、距離はおよ 星が存在する 2 そ 500pc である。オリオン座分子雲に 100AU の原始惑星系円盤があっても、たかだか 0.2 秒にし か見えない。 回折限界 1 は、観測波長 と望遠鏡の口径 D で決まる。 1 = D (radian) (6) 波長が短いほど、口径が大きいほど、回折限界は小さい。たとえば,すばる望遠鏡 (D=8.2m) で K バンド ( = 2:2m) の観測をすると、回折限界は 0.06 秒である。ただし地上からの通 常の観測では、大気揺らぎにより 0.5 秒以下の分解能は得られにくい。最近では大気揺らぎを補正 する「アダプティブオプティクス (AO)」が稼働を始め、近赤外域では地上からでも回折限界の分 近赤外 解能が得られつつある。 3 星の形成と進化 主系列に達する前の低質量星の進化の概観をまとめる。詳しくは Lada et al.(1993) などを参考 にするといいだろう。 星の種類 年齢 Class I(原始星) 105 年 Class II(古典的 T タウリ型星) 106 年 Class III(弱輝線 T タウリ型星) 106 107 年 構成物 観測 中心星、エンベロープ 赤外線、電波、 中心星、原始惑星系円盤 可視光、赤外線、電波 中心星 可視光、 X線 X線 Class II 段階の中質量星を Herbig Ae/Be 型星といい (Hillenbrand et al. 1992)、主系列に達 しても星周円盤を持っている大質量星をベガ型星という (Smith & Terrile 1984)。 4 可視光による観測 可視光は最も古くから観測が行なわれている波長域であり、観測技術が最も進んでいる。可視 光は波長 0.5 m 程度であり、有効温度 6000 度ほどの天体を観測するのに適している。このよう な天体は、星、星の光を反射する反射星雲、星の集合体である銀河などである。可視光は「ちり」 による吸収の影響を受けやすいので、分子雲に深く埋もれている天体や、大量の星周構造のある 天体を観測するのには適していない。誕生してから タウリ型星 4.1 (Joy 1945) の観測に適している。 100 万年程度たち、原始惑星系円盤を持つ T 全体を俯瞰するサーベイ観測 T タウリ型星のサーベイで有名なものは Herbig Bell Catalog(1988) や Cohen & Kuhi (1979) である。昔はプリズムを使って分光サーベイを行なった。 H の等価幅が 10 A 以上のものを「古 典的 T タウリ型星」という。この天体は原始惑星系円盤から質量降着があると考えられている。 10A 以下のものは「弱輝線 T タウリ型星」といい、原始惑星系円盤が星の周囲に存在するが、質 3 図 1: ハッブル宇宙望遠鏡による HH30 の可視光画像。中心星の反射光で原始惑星系円盤が光って いる。中心星からは、緑色で表されているジェットが吹き出している。 量降着は起っていない天体と考えられている。おうし座分子雲に付随する前主系列星サーベイと しては Briceno et al. (1998) などがあるが、現在では可視光サーベイはそれほど活発には行なわ れていない。 4.2 個々を詳細に調べる観測 可視光による星、惑星系形成の研究は、主にハッブル宇宙望遠鏡によってなされている。最も Burrows et al. (1996) による HH30 の観測であり、原始惑星系円盤が真横に (エッ ジオンで) 見えている。 O'Dell et al.(1993) はオリオン座分子雲のトラペジウム周辺を観測し、シ ルエットディスク (電離ガスによる背景光を星周円盤が遮っている様子) が多数存在することを発 有名な例は 見した。 5 赤外線による観測 赤外線による天文観測は 40 年程度の歴史を持つ。波長は 1m から 300m 程度であり、絶対温 度十度から数千度までの幅広い天体に対応する。地上から観測できる領域もあるが、大気が不透 明なためと地上からの輻射を避けるため、衛星を使って観測する波長域もある。ここでは主に、 地上から観測可能な波長の短い赤外線、近赤外線について述べる。 5.1 全体を俯瞰するサーベイ観測 Strom et al.(1976) などによって精力的に行な われた。また、 Elias (1978) はおうし座分子雲やへびつかい座分子雲を観測し、約 80 個の前主系 先駆的なサーベイ観測は一素子検出器を用い、 列星を検出した。 二次元検出器の登場はサーベイ観測の効率を飛躍的に向上させた。先駆的な観測は Lada et al. (1991) によるオリオン座分子雲の K バンドサーベイであり、分子雲中で星が集団的に生まれてい 4 ることがわかった。 Itoh et al.(1996) は、おうし座分子雲の一度四方をサーベイし、 50 個以上の前主系列星を検出 した。これらの多くは既知の T タウリ型星よりも 2 等から 6 等も暗い天体である。暗い原因とし て考えられる理由は 2 つあって、一つは「天体の質量が軽い」ということ、もう一つは「天体の 年齢が,通常の T タウリ型星よりも年取っている」という可能性である。どちらが事実かを知る ために、近赤外域で分光観測を行ない、暗い天体は質量の軽い天体であり、その質量は星と褐色 (Itoh 1998)。 1995 年の褐色矮星の発見 (Nakajima et al. 1995) や系外惑星の発見 (Mayor & Queloz 1995) を 契機に、こうした低質量天体の形成についての研究も活発になった。たとえば Oasa et al. (1999) は南天のカメレオン座分子雲をサーベイし、 Itoh et al. (1996) がおうし座分子雲で発見した天体 よりも、さらに暗い YSO を発見した。これらの天体の質量は、年齢を通常の T タウリ型星と同 矮星の境界程度であるということがわかった じとするならば、木星の数倍の質量と推定された。褐色矮星と惑星の違いを定義することは、い まだに議論の余地があるが、定義の一つとして「形成時に重水素が燃える天体を褐色矮星、燃え ない天体を惑星」という定義がある。この定義は惑星と褐色矮星の違いを天体の質量で区別する ものであり、その境界は約 13 木星質量である。この定義にのっとると, Oasa et al.(1999) で発 見された暗い天体は、惑星質量を持った生まれたての天体である可能性が高い。その後、このよ うな天体は他の星形成領域でも発見され 「浮遊惑星 (Lucas & Roche 2000; Zapatero-Osorio et al. 2000)、 (oating-planets)」とも呼ばれる。しかし、こうした天体を「惑星」と呼ぶには反対 意見も多く、我々は「浮遊微小天体」と呼ぶことにしている。 さらに我々のグループでは、大質量形成領域での浮遊微小天体形成についても研究を行なった。 Oasa et al.(2001) は、すばる望遠鏡を用いて距離 600pc の大質量星系星領域 S 106 を観測し、 100 個程度の浮遊微小天体を発見した。このような天体の形成は理論的にほとんど予測されておら ず (Boss 2001)、今後の理論的な研究が望まれる。同様の天体はオリオン座分子雲でも見つかって いる (Kaifu et al. 2000)。 星は連星として生まれることも多い。 Ghez et al.(1993) や Leinert et al.(1993) は、おうし座 分子雲やへびつかい座分子雲を観測し、少なくとも半分の星に伴星があることがわかった。 Itoh et al.(1998) はおうし座の暗い前主系列星に 6 つの伴星を発見した。これらの天体は非常に暗く、 生まれた直後の褐色矮星や惑星の可能性もある。連星系の形成は理論的、観測的に研究が少なく、 今後は連星、褐色矮星伴星、惑星の探査が精力的に行なわれるだろう。 5.2 個々を詳細に調べる観測 サーベイから得られた前主系列星のリストから、興味深い天体を詳細に観測することも行なわ T タウリ型星の GG Tau/A は連星であり、その周囲に circumbinary disk が存在することが Roddier et al. (1996) の AO を使った近赤外観測によりわかっ た。ハッブル宇宙望遠鏡により GG Tau の追観測が行なわれ、リング状の構造をした circumbinary disk がはっきりと確認できている (Silber et al. 2000)。 れている。おうし座分子雲に付随する 5 S106 領域の近赤外疑似カラー合成図。中心に若い大質量星 IRS4 があ り、アウトフローが光っている。 IRS4 とともに褐色矮星や浮遊微小天体も多数形成されている。 図 2: すばる望遠鏡による L 1551 IRS 5 は、原始星の典型例として数多くの研究 がなされてきた。しかし Rodriguez et al.(1998) による電波干渉計の観測によって、この天体も連 おうし座分子雲に付随する有名な原始星 星であり、それぞれの天体に星周円盤が付随していることが判明した。その後のハッブル宇宙望 遠鏡を用いた可視の観測 (Fridlund & Liseau 1998) や、すばる望遠鏡を用いた赤外の観測 (Itoh et al. 2000) から、連星のそれぞれからジェットが吹き出していることがわかった。 原始惑星や原始惑星系円盤は、中心星に対して非常に暗く、また中心星のすぐ近くに存在する ため、通常の観測手法では検出が難しい。そこで、私たちのグループは ロナグラフを開発した CIAO というステラーコ (Tamura et al. 2000)。この装置は AO で星像を改善した後、オカルティ ングマスクという目隠しで中心星を隠すことによって、中心星のごく近傍にある暗い天体を検出 しようとする装置である。世界最高性能を誇るすばる望遠鏡に、この装置を搭載することによっ て、おうし座分子雲にある原始木星型惑星は十分程度の、原始惑星系円盤は数時間の観測で検出 できると期待される (Itoh et al 1999)。 CIAO の試験観測を通じて、 GG Tau やへびつかい座分 子雲に付随する前主系列星、ベガ型星など、いくつかの興味深い結果が得られているので、講演 では最新の結果も紹介したい。 6 参考文献 Boss, A., 2001, ApJ, 551, L167 6 Briceno, C. et al. 1998, AJ, 115, 2074 Burrows, C.J. et al. 1996, ApJ, 473, 437 Cohen, M. & Kuhi, L.V., 1979, ApJS, 41 743 Elias, J.H. 1978a, ApJ, 224, 453 Elias, J.H. 1978b, ApJ, 224, 857 Fridlund, C.V.M. & Liseau, R., 1998, ApJ, 499, L75 Ghez, A. et al. 1993, AJ, 106, 2005 Glass, I.S. 1999, Handbook of Infrared Astronomy Gliese, W. & Jahreiss, H. 1991, Preliminary Version of the Third Catalogue of Nearby Stars. Herbig、 G.H. & Bell, B.K., 1988, Lick Observatory Bulletin Hillenbrand, L.A. et al. 1992, ApJ, 397, 613 Itoh, Y. et al. 1996, ApJ, 465, L129 Itoh, Y., 1998, Ph.D. thesis, Univ. of Tokyo Itoh, Y. et al. 1998, PASJ, 50, 55 Itoh, Y. et al. 1999, AJ, 117, 1471 Itoh, Y. et al. 2000, PASJ, 52, 81 Joy, A.H., 1945, ApJ, 102, 168 Kaifu, N. et al. 2000, PASJ, 52, 1 Lada, E.A. et al. 1991, ApJ, 371, 171 Lada, E.A. et al. 1993, in Protostars and Planets III Leinert, Ch. 1993, A&A, 278, 129 Lucas, P.W., & Roche, P.F., 2000, MNRAS, 314, 858 Mayor, M. & Queloz, D, 1995, Nature, 378, 355 Nakajima, T. et al. 1995, Nature, 378, 463 Oasa, Y. et al. 1999, ApJ, 526, 336 Oasa, Y. 2001, Ph.D. thesis, Univ. of Tokyo O'Dell, C.R. et al. 1993, ApJ, 410, 696 Roddier, C. et al. 1996, ApJ, 463, 326 Rodriguez, L.F. et al. 1998, Nature, 395, 355 Rybicki, G.B. & Lightman, A.P. 1979, Radiative Processes in Astrophysics Silber, J. et al. 2000, ApJ, 536, L89 Smith, B.A. & Terrile, R.J., 1984, Science, 226, 1421 Strom, K.M. et al. 1976, AJ, 81, 308 Strom, S.E. et al. 1976, AJ, 81, 314 Tamura, M. et al. 2000, SPIE, 4008, 1153 Zapatero-Osorio, M.R. et al. 2000, Science, 290, 103 7 ðïñëìúýøîõíê ûöòóùýøô÷ü åéæÛ3 (èäÝçßçßÜàâßãáÞ) 1 ´®µ ëæñ^¬ÙGÏÊ£±ëæñÒß áÔñkï¢ÌËÜ3ñãÔç²ï +£«ëæñÒß áÔñ¹^¥ð³ºÌË^¥ðkï¢ÌË52¶±È³µËüèæÏ ¡¸'²¹7ù¥Ë|'¸½&¹µ¸7¶Â³ÅË¡³²Ë¡¸7^¥ð¢É¶¹¥ ðm¸kï¶ÈµEϹ«¥ GFI>DKE@I4lf Wr5PrNif=7./k&'~Q*: GFI>DKE@I%dt\j389gn*:,635so4lf Wr= _./#:(1%x0": ¡¸ïÜæñ¸Ì¹-¸-Ê 2× µ¨ iº3D4¥ðk¸^¥ð¸kï52Ïv?¥Ë¡³¶ÈÊ^¥ð¹È²k ï¢Ì˸²¹µëæñ^¬K¸c"¥µÎj¬K²kï¢ÌË¡³ÎË¡¡ É¥ðkï52¸iºîñÂÌË 3× ©Ì²¹ëæñ¹0ɲ±Ë¸? 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¡¡²¹¯¸ßtÏƳ¶ëæñ¸ÿ ïÏxôÆ®±ÃËðK"¸J8ÉDÉÌËßtoæýÞñÉëæñ^¬¹ë 2 ¸È µ5Ï£±ËƸ³ÉÌ±Ë Greenberg 1982 #æ¶ä àÔñ¸âÒ©¸;6¶ H2O Ϲ¤Å³¥Ë_ȼ©¸_¶°;ûµ´«Ë¡³¶ÈÊkï¢ÌËQiɵˡ¡²¹ ä àÔñQi_¸ºZÏf²4¶YűÃË (Greenberg 1998) ` 1 ¶m¶Ë½zþ¸¡:϶¥¡¸ÿïÉaÉ+:iº¸Ì¶ÿïÏm ÿïɧ£±+²aɥ˸¹ä àÔñ²Ë¡¸52² Mg, Fe, Si ¥¿±Õ[¢ÌË `³£±Ù ùÏ2/¥Ë³Mg, Fe, Si ¸{¬¶ O 4 ¯¯ (Mg2 Fe202 SiO4 (0 x 1) ¬ É)¥Ë³ O ¹ 4 2 (0:38+0:36+0:32)=3 = 1:41 Õ[¢ÌË-¥¿±ìþ¸¡:Ï 104 ³£«³¸ 3ÛÉä àÔñâÒ¸º Msil ¹0:38 2 24:3+0:36 2 28:1+0:32 2 55:8+1:41 2 16 = 59:8 ³µË åÙíñ¶ÈËö¦ð¸ëæñ¸ºjót4¶È˳ä àÔñïj³Qiïj¸ºZ¹¬ « 1:1 ²Ë¡³Î®±Ë«Qiëæñ¸ÿï¸5j4µ¹C:O:N:H=1:0.6:0.04:1.2 ²ËQi¶ÈË C ¸Õ[Ï A ³¥Ë³ä àÔñïj³Qiïj¸ºZ 1:1 ²Ë¡³ É x x ` 2: ¦ð?¸zþ¡: (Greenberg 1998) ìþ¸¡: 104 ¶¥Ë3 ?¸ÿï ä àÔñ Qi þ9êÔ O C N Mg Si Fe 7:44 4:44 0:93 0:38 0:36 0:32 1.41 0 0 0.38 0.36 0.32 1.54 2.56 0.10 0 0 0 4.49 1.56 0 0 0 0 ` 3: ðK_¸j¬¡: (Langer et al. 2000) H2O ¸¡: 100 ¶¥Ë3 j¬À Elias 16 NGC7538 W33A GL2136 GL2591 Comets CH3OH CH4 H2CO CO (total) (polar) (apolar) CO2 (total) (polar) (apolar) Tgas (K) <3 25 3 22 18 18 10 4 2 16 2 14 24 16 8 26 22 2 9 7 2 14 13 1 23 6 7 2 2 13 10 3 17 4 <1 12 8 4 38 Msil = 59:8 = A 2 (12 + 0:6 2 16 + 0:04 2 14 + 1:2) 0.3-5 0.2-1.2 0-5 5-7 3-20 - (3) ¶ÈÊ A = 2:56 ³µË¡¡É ONH ¸Õ[ƳÂÊQi¸ÿï` 2 ¸È¶µË Qi¸º¹ä àÔñ³B¤² MOR = 59:8 ²Ë Æ®³ÆaÉ+:.¸¹ H2O Ϲ¤Å³¥Ëþ9êÔµj¬¸_²ËISO ¶ÈËJ8« ¦ðâ0¸J8É_ïj²½µÆ¸¹µ¸ 6 ÀH2O, CO, CO2, CH3OH, CH4 , H2CO ²Ë (` 3 ¥Ö)` 3 Ï(ű¦ð¸_¸ÿïÏ H2 O:CO:CO2 :CH3OH:CH4:H2CO=100:20:20:5:2:5 ³Â¨®±Ë O Ï¥¿±Õ[¥Ë³¥Ë³©Ì¶Î§± C ¹ 4:49=150 2 52 = 1:56 }Ë¡ ³¶µË¡¡É H ¸Õ[ÆÎÊ_¸º¹ Mice = 4:49 2 16 + 1:56 2 12 + 234 2 0:03 = 97:58 ³µË©¸ H2 O ¸º MH2O = 61:2 ²Ë Û¸ÉxôÆʶÈ˳ä àÔñâÒ:Qi0ñ:þ9êÔ_=1:1:1.6 ²ÊH2O _ ¬Ë³ºZ¹ÀÁ 1:1:1 ¶µË£«®±ëæñÒß áÔñ¸DiîÏ˳¶¹ä àÔñQi_¸EîÏ£µÌºµÉµ¶j¬"¶ËÛæ:ëæñ¸ºZ¹ ¡¸xôÆʶÈ˳ 1:1 2 104 : 60 2 2 + 98 = 60 : 1 ³µË 4 ÖËòÑÆÉØ®ÇÏÕ̲ÕÎ ëæñ^¬¸ÿï¹ä àÔñ:Qi:_=1:1:1.6 ²Ë¡³Î®«¡Ìɸiº¸½Ë¶ ÈÊëæñÒß áÔñ¸D4îºpÎÊ»±¹¥ðkï52¶#`ÏÈÁ¥¡¡²¹µ¸ 3 7¶¯±Ë¿Ë ãU ëæñ`¸iº¹+:¶)¤±ãUaÉϥ˩ƩÆëæñ^¬Ïï¥Ëiº¹E/¸ +:²£³£±¹¡²µ `=¦ ëæñ^¬`¸iº¹^¬K¸F(Ï}ÅËȶ=¦¥Ë¡Ì¶ÈÊëæñÒß áÔ ñ¸î_:p.¥Ë Qi¸Mî4îº ëæñ^¬¸Qiïj¸D4y4¶8/¢Ì« (H 2001)»y¶È˳4ð Qi¹Mî4îºÏ£Å£+:¶È®±Mî³îp.¥Ë }^S4Z\AJLB! ëæñ^¬Ïï¥Ëiº¶±½µEÏ'¦Ëj¬Kt¹µ¸¤À²Ë©ÌªÌ¸t ¸t×ôݸÙëÏ@¶Ì±À£ ^t 8¬Ï^¥Ë¡³¶ÈËtSi{O Ç C=C < ^t¸t×ôÝ: Si{O 3.8 eVC=C 6.2 eVC=O 7.1 eV ìþt H2O Ç CH3OH ²ÈµtÀ¸ò843¢t×ôݹ 0:1 eV 2: ûÑðæt ´Ðµ{¬j¬K¶Æ¹«ÉËË8®±Ë8¬¢Ë0d¬v¸{¬ (j¬) ¶0d ¬43ñÏT£©ÌÉ3¢¥Ët×ôݹ 0:01 0:1 eVCH4 µ´²½ µOÏ¥Ë 4.1 ev üË£«È¶ 2 ×ëæñÒß áÔñ¹{«¥ðm&Y¶¡¥ËÛæ¶ÈË1¶È®±# 渶-¥Ë¶f°¶¯Ìëæñ¹u¼²K§ÉÌËK§ÉÌ˳iº¹ãU¥Ë j¬¸ãU¹j¬K¸tÏö®±j¬]¼Ê¥52²Ë©¸«Å¶¹j¬¹j¬Kÿïä5 ÏÜÊ%µÌºµÉµj¬¢ E ¸ÿïä5ÚmÏÜÊ%Ë@ p ¹ÚõóÚjd 4.2 p / exp(0E=kT ) (4) ¶Æ¸ (4) É`ÉãU¥Ëj¬¸í¹ exp(0Ee=kT ) ¶Z¥Ë¡³¶µËÒóÕæ 7x¤ãR Pe Æ+:¸®íLí³µÊPe = P0 exp(0Hevap=kT ) ³µËÞ9ÕåÕæÞ9ý Ô¸¸¡¡² Hevap ¹ãU¸×êú²Ë` 4 ÏÃ˳ H ¹j¬K¸t×ôݳ B¤Ùëϳ®±Ë¡³x±¾ÌË ` 4: ãU¸×êú j¬À ×êú (eV) Ê5 pure CH4 0.10 1 pure H2O 0.48 1 pure CO 0.08 1 pure CO2 0.27 1 pure CH3OH 0.36 2 CO on H2O 0.15 2 CO2 on H2 O 0.25 2 1 pure SiO2 8.9 3 1)Yamamoto et al. (1983), 2) Sandford and Allamandola (1993) (ãU¸Fî.×ôÝ), 3) Hashimoto, (1990). x¤ãRϱ{«mð"¶Ëiº¸aÉ+: Tc ¹µ¸v2¸Ï7¡³¶ÈÊYÅË ¡³²Ë fnkTc = Pe (Tc ) (5) ¡¡² f ¹©¸iº¸ìþ¶¥Ë¡Zn ¹ìþj¬¸í:²Ë¸ (5 ) Ï Pe(Tc) ¸ Tc ¶¯ ±7³ H Tc = (6) ln(kP0=fnkTc) / H ³µË¯¸iº¸aÉ+:ÏñÃ˳ (Yamamoto et al. 1983)Tc CH4 20KTc CO2 50K Tc H2 O 120K ³µË (n 1010 ¶Ë)Tc Ä·ãU¸×êú¶Z£±Ë¡³¶% (` 4 ¥Ö) ; ; ; aÉ+: Tc {«¥ðm&Y¶Ëiº¸¡Ïs/¥ËTc ÈÊÆ+:²¹iº¹ ãU£±£Âëæñ³£±¹¡²µÂ«iº¸ãU¶ÈÊëæñKÏt¼cËiºÎ ÊÒß áÔñ¸D4îºp.¥Ë¡³¶µË yR] `¶¹>¬rM³£±g¡£±Ëj¬g¶A£Æ³«Þζ諶gϯ Ë¡³¶ÈÊj¬¹`ÏA¥Ëj¬çAí ²çA£±Ë³¥Ë³j¬³µÊ¸g¶ ]¼Ëa: p ¹ Esurf Ïj¬¸`=¦¸Fî.×ôÝ (ÿïä5¸¢) ³¥Ë³ 4.3 p exp(0Esurf =kT ) (7) ³Ë`Û x ³ x + l ¶ (l:>¬KC) I|¸ûÏËx ¶±¹+¢«Ê S(x) ¸gÊÆv¶¹ S (x + l) ' S (x) + ldS(x)=dx ¬g˳¥Ë. x É x + l ¶Ëg ¶]¼Ëj¬¸í¹ pS (x + l) ²ÊX¶ x + l É x ¶]¼Ëj¬¸í pS (x) ³µË£«® ±j¬¸ x ¹v¸û9íÞæ¹ pldS=dx ³µËnh g¸`í:¬³¥Ë³ S = lnh µ¸²j¬ ¸û9íÞæ¹ J h = pl2 dn dx ³µËdnh=dx ¸ií¹`=¦ií Dsurf ³ÈºÌ Dsurf ¹ D = l2 exp(0Esurf =kT ) (8) (9) H2Oa H2O (0001) Ih ` 5: `=¦¸Fî.×ôÝ Fî.×ôÝ (eV) 0.3 0.1 2.6-3.6 Berland et al. (1995) Kiefer and Hale (1977) Drury and Fitzgerald (1998) Ù ù 1 1) Diusion creep ¸Fî.×ôÝ ³µË¯¸iº¸`=¦¸Fî.×ôÝÏ` (4) ¶¶¥j¬Kt×ôݳB¤Ù ëϳ¯¡³¶% ë 3: ôíÞ¸¸ëa: ëæñ^¬Vl : ôíÞ¸cVl x: ôíÞ¸Vl `¶Ëg¸í: nh ¹gñï¸Fî.×ôÝÏ Ef ³¥Ë³ nh = ns exp Ef 0 kT (10) ³Ë¡¡² ns = 1=l2 l:>¬KC¹`¶Ë{¬ (j¬) ¸í:²Ë ëæñ¬¸`¹c®±Ë¸²cϳ¯¬K¸tgj (ôíÞ) ²¹E¶c (ë 3 ¥Ö)ôíÞ²¹©¡¶Ëc¸«Å 1P = = :`×ôÝ:ôíÞ¸cVl¸f¸ ®±Ë¡¸ 2 {¬ô ¸j¬g¸ñï×ôݹ-Ë£«®±ôíÞ `¶Ëg¸í: nneck ¹c鸶Z¿±µÊ 1 nneck = ns exp 0 Ef 0 kT (11) ³µË£«®±ôíÞ¶Ëg:³¬`¸g:¶¹²Ë¡³¶µË¡¡Ég ¸=¦¡Ê»±¹iº¬`ÉôíÞ¶Ìôí޹ˡ³¶µË©Ì²¹ôíÞ¸ ï+9:ÏYűÃÈôíÞcf¸gO:¸SÏ rnh ' (nneck 0 nh)= ²f²¥Ë³´K «Ê¶Vl x ¸ôíÞ¶ÌÄj¬¸ô¹ dV dt = 4x J = 4x Drnh ' 4x D nneck0 nh ' 4x D ns: kT 2 (12) ns ' am (j¬Vl) ²Ë¸² dV dt = 4a2mkTx D ³µËv a ²¹ôíÞ¸ô¹f²4¶ V êÔ2æà neck ¹ (13) ' a2 Vl x ' p2a µ¸²ôíÞï+¥Ë 3 3 = dVV=dt ' 4aamxkT D = 1:3 2 1008T exp(Esurf =T ) (s) (14) ³µÊE = 0:3 eV(Ò4ûÑæ H2O ¸`=¦Fî.×ôÝ; ` (5) ¥Ö) ÏJ¥Ë³T = 100 K ² 140 LT = 80 K ² 84 ~L³µË¡³jË£«®±{«¥ðmð"H²Ë2:¸+:µ neck ɺôíÞ¸ï+¹Åj¡Ë¡³¶µË T|4ulfpfb H2O Ͻ³¥Ëþ9êÔ_¶¹ðKj¬"H¶± UV µ´¸ $û«¦Ö¼¢Ì±Ë ©¸t4³£±µQiñï¢ÌË¡³»y4¶@ÅÉÌ±Ë (Greenberg 1999)»y²ñ ï¢Ì«Qi¸ÿïÏƳ¶ï¢Ì«4ðQi¹Mî³îÏΧ³¯Mî²Ë¡ ³É³µÊ (H 2001)+:¸Lí³£±Mî (ë 4 ) ³î (ë 4 ) 8/¢Ì« 4.4 ë 4: :4ðQi¸Mî:4ðQi¸î({.+w>¯¸ðêÏƳ¶¢ï) ë 4 ÉMîƶ+:¶£±p.¥Ë¡³x±¾Ì˩̸̪ p.¥Ë 200 < T < 280 K ¶±ÒóÕæ7 (/ exp(0E=kT )) ϱûÓíñ¥Ë³î ¶£±¹Fî.×ôÝ Eela ' 0:5 eV ³µÊM±¹ Evis ' 0:3 eV ³µËP¢Ì Ë-Ê¡¸¹ìþt¸¸Ùë²Ë _¹ãU¥ËQi¹¨Ë 170 < T < 400K ²¹ëæñ^¬¹Qi1Ï6£±t¥Ë¡ ¸²¹Qi¸î¸p.ëæñÒß áÔñ¸Di#`ÏË×¥Ö 5 ¹»À¼º¿²ÕÎ ëæñÒß áÔñ¸DiîÏE'°Ë¸¹î³_:²Ë¡¡²¹î_:¹´¸2: ¸Â«¶¹´¸2:¸h˸ÏxôÆ®±ÃË lf Òß áÔñ¹ëæñ^¬Éï¢Ì±Ëî¹^¬¸S ¶¥Ëkm²¹ טּS ^¶pˬ²Æm¸î4p.¥Ë¡³ÉÌ±Ë (Liu and Nagel 1992)ëæñ^¬¸S ¹©¸ÙG¸©¶¥Ë«Å¶s/¥Ë¡³¹²µ£«®± |ø³µø²¸xôÆʹ²Ư¸ ³±ÆÉ« ^¬µz4¶¡t£«ìÖ>¬â¶¯µ®±Òß áÔñï¢Ì±ËƸ³//¥ ˳Òß áÔñ¸î¹ìÖ¸c ¶¥Ëî²s/¢ÌË (Sirono and Greenberg 2000) ëæñ^¬²ï¢Ì«ìÖÏVl x (ë 3 ¥Ö) ¸z²f²¥Ë³ìÖ¸c ¶¥Ëî /í G ¹ G = Ex4=8a ³ÏË (9ëÕ ûäíî î£)¡¡² E ¹z¸6ßÒß áÔñ¸0Þµî K ¹ G ϱ K ' 4G=d3 ³µËd ¹ìÖ¸+¢ìÖ¸+¢¹¬ «^¬Vl¸íTµ¸² d a ²Ë£«®±Òß áÔñ¸î K ¹È© 5.1 K 4 Ex 32a4 (15) ³µËH2O _¸ E = 7 2 1010 dyn cm02 x=a = 0:1(0:1 m ¸ H2O _¸Z÷䣱˳¸) Ï J¥Ë³K 106 dyn cm02 ³µË`=¦é¥Ë³ôíÞ¸Vl4£ x ¹ a ¶f°£ «®±ôíÞï+¥Ë¶¯ÌÒß áÔñ¸î/í¹4£ 4 qÛӥˡ³¸ (15) ÉÎË _ãU¥Ë³ëæñÒß áÔñ¸î¹Qi0ñ¸î²s/¢ÌË¡¸Þ¸ (15) ¶Ë E ¹Qi¸ÏµÌºµÉµvë 4 ÉQi¸î¹ 4 qÛp.¥Ë Òß áÔñ¸î K ơ̶£«®± 4 qp.¥Ë¡³¶µË¡¸4¹ 6 ײ½ÌË O.m9Wr4~Q î/íBÒß áÔñ¸_:Æëæñ^¬¸S ¶¥Ë^¬¸S ¶)¤±_:Æp. ¥Ë«Å¡¡²¸ß ûÓæÞ9íÞ¸£¶ÈËxôÆÊƯ¸ ¶5µ Òß áÔñH¶¡¥ËU ï+¥Ë¡³¶ÈÊR9¡ËIµz4µU Ï)7 u¢Ì±ËÏ0r r¢ r ¸¤Ak²f²¥Ë³©¸¸ô¹ S = 2r2 ³µË;g É1É̱Ë)Ï î/íÏ K ³¥Ë³7u¢Ì«î×ôݹ 2S=2K = 2Kr2 ³µ Ëm¸×ôݹ¡¸j¬-Ëv諵kï¢Ì«¡³¶`×ôÝ 4er ¬m¸ ×ôݹÛËj¬Bª¸t¹¬K¸÷ä²£¡®±µ«Å e ¹Òß áÔñH¸ gpÏЫ Eective µ`×ôݲÊÙë³£±¹ e (x=a)2 ³µË (¡¸Æ|¶ ¹^¬¸S ¶ÈË)tbÞ9íÞkï¸m¸×ôݹ 5.2 W 2 2 = 0 Kr + 4er (16) ³µË¸ (16) ¹ c ²ÏƯ ©ÌÛ¶µË³ W ¹)¶}ҥ˯ÂÊÞ9í ޴де®±R9¡Ë¡³¶µËc ¹ dW=dr = 0 É c = r 2Ke r (17) ³YÂËr a 1005 cmK 106 dyn cm02(¸ 15 ¥Ö)e 100 2 0:12 = 1erg cm02(100erg cm02 ¹ H2 O _¸`×ôÝ) ÏJ¥Ë³c = 3 2 105 dyn cm02 ³µË 4.3 ø²Ë¿«È¶ôíÞ ¸Vl x ¹`=¦é¥Ë¡³¶ÈʵËK / (x=a)4 e / (x=a)2 ²Ë¡³Ï˳ c / (x=a)3 ³µË0:1 < x=a < 1 ²Ë¸²Òß áÔñ¸_:Æq²p.¥Ë¡³2¢ÌË ZB¸«Å¶¥¶µË϶£±³tÔ_¸R9_:¹ 107 dyncm02 ²Ê (Hobbs 1974) ä73Úù 9 ¦ð¸®&Ê_:¹ 103 0 104 dyncm02 (Sekanina 1993, Greenberg et al. 1995) ³xôÆÉ̱ËëæñÒß áÔñ^¥ð¸_:Æ¡¸X2:¶hË¡³P¢ ÌË 6 ¾½¿¹»À¼º¿²ÑÆÍÓ ë 5: ín§¸0 = 103 dyn cm02, T0 = 104 dyn cm02, : _:ÛÓÊ¸Þ : _:ÛÓµ£ ¸Þ ¡¡²¹ëæñÒß áÔñ¸3ÙG¸íä17ä8 (Ý 2000) ¸t4ÏI¶Ø6¥Ë ëæñÒß áÔñÏ¡ ³Ãµ£n§âò¸À²Ë SPH wϱín§Ï®« üø²¸W£²É¶µ®«È¶Òß áÔñ¸Diî¹q²p.¥Ëp.¸hÏ£± 8¸n§¶«ø93êÏ` 6 ¶¶¥ Òß áÔñ¶Ë)Ë¢Ï%˳ëæñ¬3¸tö¢ÌÒß áÔñ¹ R9¢ÌËëæñ^¬¹ûÑðæ<¸j¬K¶È®±3¶t£±Ët¹: ö¢Ì±Æ½««¼÷äT̺j¬K¶ÈÊt¥Ë (Johnson 1985)È®±®&ÊÆ£ ¹äҶȮ±Òß áÔñR9¢Ì«³£±ÆR9¢Ì«¸:Ûӥ̺¼ëæñ^ ¬Bª¸÷ä¡ÊÒß áÔñ¸_:¹ÛÓ (D ¸}Ò) ¥Ë¡³P¢ÌËÈ®±|w[² ¹_:¸ÛÓ¡ËÞ³¡ÉµÞ³I-Êín§Ï®« t4¸Ïë 5 ¶¶¥0 = 103 dyn cm02, T0 = 104 dyn cm02 , ¹_:ÛÓʸ޲ˡ ¸Þ¹ÀÁHý¶¡®±Ë¡³j˸2:¹ =ÙG¸Rq¶N ÂÌË SPH ¬¸í{53117 /1433 ²`£«HýµÉ = 1 ²Ê, < 0 ¹Þê ßH ýR9<¶)¥Ëë 5 ¸Þ²¹ = 0:98 ²ÊÀÁHý¶£±Ëv_:ÛÓµ Þ (ë 5 ) ²¹¹§¦Òß áÔñ¹ÚêæñûÓíÞ¶R9¢Ì±£Â ( = 036). 0 , T0 ¸Lí³£± ÏÉÎ¥³_:ÛÓʵ£¸Þ©ÌªÌë 6 ³µËë 6 ²Ç ¹*¹¹©ÌªÌ cv (:ÍP:c:,9v:ÙG9:) ²S>.£±Ëë 6 Ïñɵ¡³¹ 1 _:ÛÓ1Þ¶x˳ï^¬t¥Ë¡³¶Èˡɵ³£µ 2 T0 > 0 ` 6: ín§¸ø93ê ôî K 106 dyn cm02 äÒî 5 2 105 dyn cm02 p ,9 K= 2:2 2 103 cm s01 : 0:2 g cm03 É_: 0 103 0 106 dyn cm02 ®&Ê_: T0 103 0 106 dyn cm02 ÙG9: v 103 cm s01 SPH ¬¸í 53117{1433 ë 6: ^¬Ä¸É_: (0=vc)®&Ê_: (T0=vc) ¸Lí³£±¸:_:ÛÓÊ ¸Þ :_:ÛÓµ£¸Þ ²Ê¯©ÌªÌE/¸ÏÆ«µ³£µ ¸I7²Ë 4.4 ø²½Ì«È¶Qi¸î¹+:¶È®±p.¥Ë©¡²ë 7 ¶¹ë 5 ¸n§Ï î¸Ã 1/10 (-)1/100(-) T¶£±¡µ®«Þ϶¥ÙG9:¹/µ¸²î} ҥ˶¯ÌÒß áÔñ¸,9}Ò¥Ë,9}ҥ˳ÙG¹,9É*,9¶µÊÙoQ Uñ¥ËÙG¸ ¸Uñ¹,9¸Þ cv*,9¸Þ¹ v2 ³µË\2XÉ¶È Ë×ôݦ¹ÀÁUñ¶Z¥Ë!A×ôݹ v2 =2 µ¸²×ôݦ/ !A×ôݸZϳ˳,9¸Þ c=v ¶Z£*,9¸Þ¹9:¶Èɦ/³µËÈ®± ,9¸ÙG¸v34¶×ôݦÈéÄ*,9¸Þ¹X¶µÊɲ×ôÝ ¦£Ì¦¶R9飱£Â 2/£Ëø93êgK¸gj£ín§²±µ££µÉ©¸#²¢ëæñ Òß áÔñ²Ëø93ê¹É̱ˡ³¶¢Ì«vÒß áÔñ¸î _:¹+:¶È®±p.¥Ë¡¡É2¢ÌË¡³¹ëæñÒß áÔñ¸ï+¹{«¥ðm ð"¶±E/¸+:¶±¸Ãé¥Ë³¡³²Ën¸²³ wh4}{5zXb0": ë 7: î¸Ãp.¢§«ÞÛ:K = 106 dyn cm02(ë 5 ³B¤ )-:K = 105 dyncm02 -:K = 104 dyn cm02 Û¹ÍPâ É_: 0 = 103 dyncm02, ®&Ê_: T0 = 104 dyn cm02 ³¡³¶µË¡¸7É\µ¨ð¹ðÚÔ¸?" \µ¨Z¹ì¥ð¶µ®«¸" \ѥ𹠵¨Ñ¥ð"(H 2001) µ´¸V¶¥Ë¿ÊDÉÌËƸ³ÎÌË ÊÈ×Å [1] Chokshi, A., Tielens, A. 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Astrophys. 惑星科学夏の学校 2001 微惑星から原始惑星へ、原始惑星から惑星へ 国立天文台 天文学データ解析計算センター 伊藤孝士 ([email protected]) 原始太陽系円盤内のダストが凝縮して出来た微惑星は、原始太陽を周回しながら衝突合体を 繰り返して成長して行く。その集積過程は暴走成長と呼ばれ、特定の粒子だけが選択的に急速 成長する興味深いモードである。暴走成長を完了した微惑星系は、原始惑星系と呼ばれる中間 段階の天体群へと成長進化する。原始惑星達は軌道運動のランダム速度が小さく、また間隔も 適度に開いており、そこから惑星系へ成長する過程は未だ明確ではない。本講演では主として 現在の地球型惑星領域に注目し、微惑星から原始惑星への暴走的な成長、および惑星形成過程 の最終段階とも言える原始惑星から惑星への進化について、理論的な見積もりと数値計算の 結果を交えながら概観してみたい。 1. はじめに |微惑星から惑星へ 松元亮治・北村良実・城野信一各氏の講演にあったように、星間分子雲から様々な物理過程を経 由して原始太陽系星雲が誕生し、その中でダストが降着して微惑星と呼ばれる天体が形成される。 この微惑星から現在の惑星へと至る道は惑星形成過程の最終段階とも呼ぶべきものであり、惑星 の個数や配置・惑星間隔などはこの段階に於いて発生する物事によりほぼ決定されると考えられ ている。本講演ではこの段階を二つに分けて説明する。微惑星が集積して原始惑星と呼ばれる中 間的な天体へと進化する局面と、原始惑星同士が衝突合体して現在の惑星へと至る局面である。 微惑星の成長については近年、重力多体問題専用計算機と呼ばれる極超高速計算機を駆使した 大規模な数値計算によって急速な研究の進展があった。微惑星の集積は暴走成長と呼ばれる或る 種の不安定現象であり、特定の天体だけが他の天体を差し置いて選択的に成長してしまうという 現象が理論的にも数値的にも確かめられている。本講演ではこの状況について、東京工業大学お よび東京大学駒場の研究グループの成果を中心に紹介する。 原始惑星の衝突合体の過程については未だよくわかっていないことが多く、現在も盛んに研究 が行われている最中である。まず、微惑星の暴走成長によって出来上がった原始惑星系は非常に 安定であることがわかっている。従って、何らかの力学的機構によって不安定化から衝突合体成 長へと至る過程が加速されないと、そう簡単には現在の惑星系にまで進化しないであろうという 予想がある。また、衝突合体のためには隣接する天体同士が近付く必要があることは言うまでも ないが、そのためには天体の軌道運動のランダム速度がある程度以上は大きくなければならない。 言葉を変えれば、原始惑星同士の衝突で出来上がった惑星の軌道は円から外れ、楕円軌道になっ ているのが自然である。けれども現在の太陽系惑星の軌道はどれも非常に円に近く、原始惑星同 士の衝突合体の力学的痕跡を残していない。現在行われている原始惑星系の衝突合体進化の研究 は、主としてこの二点を解決することが主眼となっている。 本講演では、基本的に質点系としての微惑星系・原始惑星系・惑星系の力学を扱う。古典的な ニュートン重力以外の力は扱わない。但し、原始太陽系星雲ガスとの相互作用は惑星系の進化に とって非常に重要であることがわかっている。特に、最終的に形成される惑星の軌道を円に近付 けるためには原始太陽系星雲ガスとの相互作用が重要である可能性があるので、これに関する幾 つかの数値計算結果を紹介する。 惑星形成過程の研究は私達の太陽系に留まるものではない。 年初頭、太陽以外の恒星の周 りに惑星が周回していることが初めて確認された。いわゆる太陽系外惑星の発見である。それか 1995 1 惑星科学夏の学校 6 2001 『微惑星から惑星へ』 2001 5 70 年 月現在までに確認された太陽系外惑星は 個近くにものぼってい らわずか 年だが、 る。太陽系外惑星系の多くは私達の太陽系とはかなり異なる姿を持っており、その多様性は本講 演で述べるような惑星形成の最終段階に於ける各種の力学過程を反映していると考えられる。本 講演の最後には太陽系外惑星系の発見の現状を概観し、今後の惑星形成過程研究の指針に関する 予想を巡らせてみることにしたい。 2. 微惑星から原始惑星へ 微惑星が暴走的に集積して原始惑星系を作り上げる様子については、国立天文台の小久保英一 郎氏と東京工業大学の井田茂氏らによる重力多体問題専用計算機 を駆使した超大型数値 シミュレーションによって完全に解明し尽くされたと言っても過言ではない。少なくとも重力多 体系としての微惑星系の力学の本質解明は、彼らの数値計算とその結果解析に於いてほぼ終了し た。本節では、小久保氏と井田氏の数値実験の概要を紹介し、微惑星から原始惑星への成長過程 に関する現在の知見を復習する 。微惑星の集積 過程に関しては、岩波講座『地球惑星科学』内の渡邊誠一郎氏と井田氏の邦文解説 渡邊 井田 、および小久保氏と井田氏と著書 井田 小久保 や解説記事 小久保 井田 が 非常にわかりやすい。本稿でもこれらの文献に準拠した説明を行う。 GRAPE (Kokubo and Ida 1995, 1996, 1998, 2000, 2001) ( 1997) 2.1 , , 1999) ( , ( , , , 1997) 微惑星の暴走成長 惑星形成過程の標準理論として今や名高い『京都モデル』に於ける大きな問題のひとつは、木 星型惑星の形成時間があまりにも長くなり過ぎることであった 阿部 。惑星形成に必要な 時間スケールは公転周期 いわゆるケプラー時間 と深く関連するので、太陽系の外側に行くほど 惑星の形成に必要な時間は長くなる。京都モデルでの見積もりでは木星と土星の固体コアの形成 に必要な時間が長すぎ、木星や土星が現在の大気に相当するガスを原始太陽系星雲から捕獲し切 る前に原始太陽系星雲が散逸してしまう。天王星や海王星に至っては、最終的な形成時間の見積 りが太陽系の年齢である 億年を大きく越える値になってしまう。 このような背景を鑑み、惑星形成過程の時間スケールを短縮するための物理的機構の探索が長 年行われて来た。その結果明らかにされた重要な事項のひとつに、微惑星の成長モードが暴走的 であるということがある 。例えば、等質量で分布する微惑星群が あるとする。ここで衝突合体がわずかに進行すると、ある微惑星は少しだけ大きく 重く なり、 他の微惑星は小さい 軽い まま残される。重い微惑星は己の重力で周辺の微惑星を集めて成長し 質量を増し 、更に周辺の微惑星を集め易くなる。かくして大きな微惑星は一方的に成長し、そ れ以外の微惑星はいつまでも小さいまま残り、大きな微惑星と小さな微惑星の質量の比は時間と 共に増大する。この正のフィード バック過程が暴走成長 と呼ばれるプロセス であり、微惑星系の集積時間を劇的に短縮する力学過程である。 ( ) ( , 1997) 46 (Wetherill and Stewart, 1989) ( ) ( ( ) ) (runaway growth) 2.2 重力 N 体問題 微惑星の運動の時間進化を知る研究は重力多体問題と呼ばれる。天体の数を自然数 N で表す場 合が多いことから、重力 N 体問題あるいは単に N 体問題と略されることもある。重力 N 体問題を 解く原理は非常に簡単で、N 個の天体 質点 間の重力相互作用を表すニュートンの運動方程式を 解き、天体の位置と速度を時間の関数として表現するだけである。i 番目の天体の質量を mi 位 ( ) , 2 惑星科学夏の学校 2001 『微惑星から惑星へ』 , , 置ベクトルをr i 万有引力定数を G 時刻を t とすると、i 番目の天体に関する運動方程式は以下 のようになる。万有引力以外の力はここでは取り敢えず考慮しない。 mi d2 r i dt2 =0 N X Gmi mj jri 0 rj j3 ri 0 rj : j =1 j =i ( ) (1) 6 (1) = 1 .. . 微分方程式 を天体 i ; ; N に関して解けば、微惑星だろうが原始惑星だろうが惑星だ ろうが、質点たる天体の運動はすべて時間の関数r i t として知ることができる。本講演で述べら れる議論はすべてこの運動方程式 を解いた、あるいは解の振舞いについて考察を行った結果 の産物である。 重力 N 体問題には解析的な一般解が存在しない。これは良く知られた事実であり、唯一 N 、 つまり重力二体問題の場合にケプラー運動 楕円軌道 放物線軌道 双曲線軌道 という解が知ら れているだけである。太陽系では太陽の重力が非常に強いため、微惑星をはじめとする天体の軌 道はケプラー運動に非常に近い。だが微惑星同士の重力相互作用を無視することはできず、その 軌道は時々刻々と進化する。この時間進化を詳細に追い掛けることによって微惑星の暴走成長の 描像が明らかにされるのである。が、運動方程式 に解析的な解が存在しない以上、その解を 求めるには計算機シミュレーションに頼るしか方法はない。 微惑星系のように天体の数 N が大きい場合、重力 N 体問題の数値計算量は極めて膨大 O N 2 になる。この量的困難のため、従来の重力 N 体問題の解法には多様な近似方法が用いられて来た。 天体の数をごく少数に限ったり、天体の運動の振舞いを確率的なモデルで置き換えて計算を簡略 化したり、運動方程式そのものを解き易い形に変形したりする様々な工夫が長い年月にわたって 行われて来た。しかしそうした簡易モデルから得られた結果は、最終的には運動方程式 を直 接解いた結果と比較して初めて妥当性を示されるべきものであることは言を待たない。 近年の計算機技術の発展により、多数の天体を使った重力 N 体問題の現実的な数値計算が可能に なってきた。とりわけ東京大学教養学部らで開発され続けている重力多体問題専用計算機 シリーズは強力であり、本講演で紹介する微惑星系の進化計算の結果はすべてこの シ リーズを用いて行われたものである。 はホスト計算機 一般の やワークステーショ ン から天体の位置と質量を受け取り、天体間の相互重力を計算し、その値を再びホスト計算機へ 返す。天体の軌道の時間進化など、天体間の重力相互作用以外の計算はホスト計算機に任せられ、 本体は天体間の重力相互作用のみを専門に計算し続ける。 が重力多体問題『専 用』計算機と呼ばれる所以がここにある et al. et al. et al. 。 () (1) ( , , =2 ) (1) ( ( )) (1) GRAPE ) GRAPE ( (Sugimoto , 1997) GRAPE GRAPE PC GRAPE , 1990; Ebisuzaki , 1993; Makino 暴走成長の様子 2.3 微惑星の暴走成長の様子を説明する前に、ケプラー軌道要素と呼ばれる六個の変数を導入して おこう。これは通常の直交座標で三次元の位置と速度を表す場合の六変数 x; y; z; x; y; z に対応 する変数であり、具体的には以下である 軌道半長径 a 離心率 e 軌道傾斜角 i または I 近点引 数! 昇交点経度 平均近点離角 lまたは真近点離角 f 図 。微惑星の衝突確率にとりわけ重要 な物理量は微惑星の軌道の円軌道からのずれ ランダム速度 であるが、これは上記のケプラー軌 1 1 道要素 離心率 e と軌道傾斜角 I の二乗平均値として e2 2 I 2 2 などと表現される場合が多い。 , : , ( ) , ( 1) ) , ( , ( _ _ _) , ランダム速度が大きな微惑星系は一般に微惑星同士の相対速度が大きいと言える。 を用いて行った微惑星系の重力 N 体問題の数値計算結果の一例を図 に示した 小久 保 井田 。軌道半長径 天文単位 の距離に微惑星をリング状に分布させ、微分方 GRAPE , , 1997) 1AU (1 ) 3 2 ( 惑星科学夏の学校 2001 『微惑星から惑星へ』 Planet ne al pla Orbit ane e pl enc r e f Re f a Sun P B Planet f Sun P b I A A ( ) , , A, P, = 1 ( ) ( ) ) Reference plane A B , 図 1. ケプラー軌道要素の概略。 左 軌道半長径 a 軌道半短径 b 昇交点 近日点 春分点 p 2 近日点引数! 真近点離角 f の関係。離心率 e は e 0 b=a で定義される。 右 現在の軌道 を 基準となる時刻 元期と呼ばれる の軌道が とし、軌道傾斜角 I 昇交点経度 近日点引数! 真近点離角 f の関係を示した。 と はそれぞれ昇交点と降交点、 は近日点、0 は元期に於ける春分点である。 , Orbital plane, , , P , ( (1) 程式 を数値的に積分することでその時間進化を追ったものである。微惑星の総質量は京都モ デルに於ける原始太陽系星雲の固体成分の面密度と同等にし、初期の離心率と軌道傾斜角は分 2 1 1 散が e2 2 I 2 rH a に等しくなる正規分布で与えている。ここで rH は微惑星の 半径と呼ばれ、微惑星の質量 m と軌道半長径 a 太陽からの距離 d 太陽の質量 M を用いて rH m= M 1=3 d と定義される。 半径は回転座標系上での微惑星の重力圏の大きさを表す ものと思えば良い。 23 図 左 では、 体の等質量 m 微惑星系の時間進化の様子を軌道半長径 a と離心 率 e の関係として a; e 平面上に示した。この計算では、微惑星の数は二万年間で初期の か ら に減少している。すぐにわかることは、一万年後くらいから二個の微惑星だけが飛び抜け て成長してしまっていることである。この時、最大質量の微惑星と全系の平均質量の比は 倍 以上にも達している。このように特定の微惑星だけが突出して成長してしまう現象が暴走成長で 1 1 ある。図 右 は微惑星の質量と離心率 e および軌道傾斜角 I の二乗平均値 e2 2 I 2 2 の関係を 表す。大きな微惑星ほどランダム速度が小さくなっていることがわかるが、この効果は力学的摩擦 と呼ばれるものである。力学的摩擦は、天体のランダム速度エネルギーのエネ 1 1 ルギーを質量の異なる天体達に等しく分配するように、即ち e2 2 / m01=2 および I 2 2 / m01=2 =2 =2 =( 3 ) 2( ) 1054 , Hill 3000 ( ) Hill , ( = 10 g) 3000 400 2( ) , (dynamical friction) (Binney and Tremaine, 1987) が成り立つように働く 。従って力学的摩擦によって質量の大きな微 惑星ほどランダム速度が小さくなり、質量の小さな微惑星ほどランダム速度が大きくなる。 2.4 原始惑星系の形成 Hill 暴走成長によって生成した巨大な微惑星を原始惑星と呼ぶ。原始惑星の成長過程に於いて、 半径で規格化したその軌道間隔はほぼ一定である。これは軌道反発と呼ばれる力学的機構のため である 。周囲の微惑星との力学的摩擦により、原始惑星の軌道は円軌道 に近くなっている。原始惑星が成長して質量を増すと原始惑星同士の重力散乱が発生し、一時的 に軌道の間隔は広がって離心率が大きくなる。この散乱で大きくなった離心率はしかし、軌道間 隔を変えることなく、周囲の微惑星から受ける力学的摩擦によって再び低減する。その結果、原 始惑星は円に近い軌道を保ったまま軌道間隔だけを広げることになるのである。これが軌道反発 (Kokubo and Ida, 1995) 4 惑星科学夏の学校 2001 『微惑星から惑星へ』 (1997) からの引用。(左) 微惑星の暴走成長の様子。円の半径は粒子の実半径 1 に比例している。(右) ランダム速度の天体質量依存性と時間進化。黒丸 () が e2 2 , 白丸 () が 1 図 2. 小久保・井田 I 2 2 を表す。 5 惑星科学夏の学校 2001 『微惑星から惑星へ』 と言われるメカニズムである。軌道反発は原始惑星同士の重力散乱の効果が周囲の微惑星とのラ ンダムな重力散乱の効果と同程度の大きさになるまで続き、その典型的な間隔は約 rH であるこ とがわかっている。 24 図 には、 体の等質量 m 微惑星系の時間進化を追った数値計算の一万年後の様 26 子を示した。図 に比べてより広い領域を計算している。ここでも、ほぼ等質量 m の 原始惑星群がほぼ等間隔 rH で形成していることがわかる。このような原始惑星の成長の仕方を 『寡占的成長』と呼ぶ。微惑星を更に広い範囲に分布させた数値計算に於いても寡占的成長の傾向 は不変であることがわかっている 。 原始惑星の寡占的成長が集積の最終段階に至るまで継続したとすると、原始惑星の質量 m は地 球型惑星領域の a では m : M8 M8 は地球の質量で、 M8 2 06 M 木星 土 星領域の a では m M8 天王星 海王星領域の a では m M8 となる。地 球付近での原始惑星系は、言ってみれば地球質量の = の天体が 個ずらっと並ぶという描像 になり、地球型惑星への進化まではまだ数歩あろうかという感じである。一方、木星 土星領域で の原始惑星の質量は、急速なガス捕獲が開始される臨界質量である数 M8 を既に越えている。天 王星 海王星領域での原始惑星の質量は現在の惑星の値とさほど変わらない。そもそも天王星や海 王星は固体コア部分とガス大気の質量比が木星や土星に比べて大きいのである。 10 3 4000 2 ( = 10 g) ( = 10 g) 10 (Shiidsuka and Ida, 1999; Kokubo and Ida, 2001) = 1AU = 7AU 7 , 02 ( { 1 = 25AU 1 10 10 3 10 17 ), { { { ( , , 1997) 図 3. ほぼ等間隔に形成する原始惑星の計算例 小久保 井田 。円の半径は天体の実半径に 比例している。最大質量天体の = 以上の質量を持つ天体を原始惑星と定義し、その中心から左 右に6 rH の長さで横線を引いてある。 5 15 6 惑星科学夏の学校 2001 『微惑星から惑星へ』 原始惑星から惑星へ 3. 10 ここまでは、原始太陽系円盤内のダストが凝縮して出来た微惑星が暴走的に成長し、およそ rH の等間隔で並ぶ原始惑星系が形成される過程について述べて来た。この原始惑星達が更に衝突合 体を繰り返して現在の惑星系に至るわけであるが、その道程は単純なものではないと予想されて いる。本講演の後半では原始惑星系の不安定性と軌道進化について、現状の知見を復習する。原 始惑星系から現在の惑星系への進化に関する問題点は大別すると二つある。ひとつは進化の時間 スケールの問題で、いかにして現実的な時間内で原始惑星系が現在の惑星系へと進化したのかと いう問題である。もうひとつは原始惑星系の衝突進化の結果たる現在の惑星系の軌道が、直感的 に予想されるよりも極めて円に近くなってしまっているという問題である。 3.1 原始惑星系の安定性 微惑星の暴走成長によって形成した原始惑星達のランダム速度は、暴走成長しなかった微惑星 との力学的摩擦により非常に小さくなっている。即ち原始惑星の軌道は円に近いのだが、これは原 始惑星系のその後の進化速度を大いに鈍らせる可能性がある。この予想を最初に具体的な数値計 算で確かめたのは 今後は と略記 であった。 1 の研究では、等質量の原始惑星を 半径で規格化 して 等間隔の平面円軌道に配置し、数値 積分により軌道の進化を追った。目的は、原始惑星系の初期不安定が発生するまでの時間の計測 である。初期不安定が発生するまでの時間は、原始惑星系の進化過程に於けるひとつの重要なタ イムスケールとなる。 では、計算を開始してから系内で最初に原始惑星同士の近接遭遇が 発生するまでの時間を不安定時間 TI と定義した。近接遭遇の定義にも様々なものがあるが、ここ では原始惑星同士が互いの 半径以内に接近した場合を近接遭遇と呼んでいる。 半径以内 の近接遭遇が発生すると、その後には高い確率で天体の軌道が大局的に乱れ始める。このように して定義・計測された不安定時間 TI は、初期の原始惑星の規格化間隔 脚注1 参照 に対して指 数的に増えて行くことがわかった。即ち、 TI と に線形関係があるのである 図 。今後はこ の ; TI 図を 図と呼ぶ 。例えば質量 07 M の原始惑星を で 個並べた状 況を考える。これは前述した の一連の研究で確認された微惑星の暴走成長の最終 的な状況に近い。 の計算結果によれば、この場合には初期の不安定 近接遭遇 が発生する 7 までに 年以上の時間が掛かる可能性が示されている 図 の右下 。しかもここでは初期不安定 の定義が単なる近接遭遇とされているので、実際の衝突合体までにはもっと時間が掛かる。また の数値モデルは二次元であるから、実際の三次元現象に於ける衝突までの時間はこの 7 年という数値に比べて随分と長くなるはずである。しかも衝突合体の結果として天体の数が少な 1 ここで用いている Hill 半径は前述の rH とはやや異なり、相互 Hill 半径 RH で定義されるものである。二惑星の質 Chambers, Wetherill and Boss (1996, (Hill ) CWB ) CWB CWB Hill (1 log ) log CWB 1( ) ( 4 1 = 10 20 1 10 ) Kokubo & Ida CWB 10 Hill ( 4 ) ( CWB ) 10 , ( ) は以下のように定義される 量を mi ; mj 主星 質量 M からの距離を ri ; rj とすると、Ri;j H i;j RH = + 3 mi mj 13 ri M + 2 rj (Gladman, 1993)。 : 惑星軌道の離心率が小さい場合には、上式の rを軌道半長径 a で置き換えても大差ない。 i;j RH = mj M CWB で用いる原始惑星系モデルの軌道半長径 れる。 +1 は ai と ai+1 の関数である。 但し Ri;i H + 3 mi ai 13 ai + 2 aj : 1 は、この Ri;j とパラメータ を用いた次のような漸化式で表さ H i;i+1 : +1 = ai + 1 2 RH ai 7 惑星科学夏の学校 2001 『微惑星から惑星へ』 CWB 図を右側に外挿して考えると不安定 くなると原始惑星間の平均的間隔が大きくなるので、 時間 TI は文字通り指数関数的に大きくなってしまうはずである。現在の地球型惑星の規格化間隔 は、最小の地球 金星間で > もある。このように、微惑星の暴走成長によって形成した原始 惑星系は大変に安定であり、そこから現在の地球型惑星に到達するには現実的な時間では足りな いのではないかという懸念が発生した。 { 図 4. 1 26 二次元円軌道から出発した原始惑星系の規格化平均間隔と初期不安定までの時間 TI の関係 (Chambers et al., 1996)。N は原始惑星の個数、原始惑星の質量は 1007Mで均一、最内原始惑 星の軌道半長径 a1 は 1AU である。図中の直線は対数グラフ上での直線フィット。 3.2 原始惑星系の不安定性 CWB の研究結果から発生した懸念に対し、原始惑星系の不安定時間を短縮する力学的メカニ ズムとして幾つかが提案されている。以下では、その中でも原始惑星系のランダム速度の効果、 および木星型惑星からの重力摂動の効果について考えてみる。 3.2.1 原始惑星のランダム速度 微惑星の暴走成長が終息した直後の原始惑星系のランダム速度が非常に小さいことは繰り返し述 べた。だがその後の原始惑星間の重力相互作用により、原始惑星系のランダム速度は増大すると思 8 惑星科学夏の学校 2001 『微惑星から惑星へ』 われる。このランダム速度の増分は、原始惑星系の不安定性を加速する要因になる可能性が高い。 の研究は、 個の原始惑星から構成される こうした背景の下で行われた 系の不安定時間 TI が初期のランダム速度に対してどのように依存するかを検分するものであった。 予想通りではあるが、原始惑星系の不安定時間 TI は初期のランダム速度に強く依存することがわ 1 2 1 かった。図 左 は原始惑星系の初期ランダム速度を e2 2 I 2 ; h; h; h; h と変化さ せて行った計算のサマリである。ここで h は h rH =a と定義される換算 半径 2 1 2 1 と呼ばれる無次元量である。ランダム速度が最大の e 2 I 2 h の場合、 2 1 2 1 での原始惑星系の不安定時間は円軌道初期値 e 2 の場合に比べて二桁以上短縮 I 2 されている。原始惑星同士の重力相互作用が自らの不安定を加速する機構が、地球型惑星の形成 時間の短縮に大いに寄与するということがこの計算によって定量的に確認された。 Yoshinaga et al. (1999) 5( ) 10 =2 =0 1 2 3 4 Hill (reduced Hill =2 =4 1 10 = 0) = radius) ( =2 10000000 T_I [years] 1000000 100000 10000 1000 autonomous Jupiter perturbation Jupiter + Saturn perturbation 100 10 4 ( ) Yoshinaga et al. (1999) 40 ( ) Ito & Tanikawa (1999) 6 8 10 12 Delta 14 16 18 20 10 10 CWB 5 10 , = 14 \autonomous" \Jupiter + Saturn perturbation" 図 5. 左 からの引用。原始惑星 個の質量はどれも 07 M で、横 軸の各値に対して 個の数値実験を行った結果の中央値をプロットした。直線は の結果を 0 7 示す。 右 からの改変引用。原始惑星の質量は 2 M N で、 横軸の各値に対する十数個の数値実験の結果の対数平均値をプロットした。 は木 星型惑星なし、 は木星のみ考慮、 は木 星と土星の摂動を考慮した場合。 \Jupiter perturbation" 3.2.2 木星型惑星からの重力摂動 木星型惑星領域で形成した原始惑星はそもそもが大きな質量を持っている。例えば木星付近で は地球質量の数倍から十数倍の原始惑星が微惑星の暴走成長によって形成されると見積もられて いることは既に述べた。このような大質量の原始惑星がこのガスの中に存在すると重力とガス圧 力の静水圧平衡が崩れ、ガスが連続的に原始惑星に雪崩れ込む不安定現象が発生する可能性が高 い et al. 。詳しくは山田耕氏の講演にて述べられるであろうが、こ の急速なガス捕獲過程の時間スケールは非常に短く、 6 年も経てば現地球質量の 倍という木 星の質量を獲得してしまう可能性のあることが指摘されている et al. 。一方、木 星のガス捕獲の核になる部分、つまり木星付近で暴走成長を行う原始惑星の形成に必要な時間は 6 年から 7 年であると考えられる。従って、微惑星の暴走成長とそれに続く急速なガス捕獲に 6年 7 年程度ということになる。ここで考慮され 必要なトータルの時間スケールは 7 年 るべきは、内側の地球領域に形成した原始惑星は木星領域に形成した原始惑星に比べて質量が小 (Mizuno 10 10 , 1978; Mizuno, 1980) 10 10 + 10 10 9 (Pollack 300 , 1996) 惑星科学夏の学校 2001 『微惑星から惑星へ』 さいために、不安定な急速ガス捕獲を開始することはないという事柄である。事実、現在の地球 型惑星はどれも木星や土星のようなぶ厚いガスに覆われてはいない。更に、前述したように地球 領域の原始惑星系の力学的安定性時間は長く、 7 年程度の時間で現在の地球型惑星にまで進化を 遂げる可能性は低い。ここに至り、私達はひとつの仮説を立てることができる。即ち、急速なガ ス捕獲を完了した時点で木星型惑星は地球型惑星の進化を追い越してしまい、その後、地球領域 に存在する原始惑星達は巨大な木星型惑星からの摂動の下で進化を再開するという仮説である。 上記の仮説に基付き では、地球型惑星領域に放置された原始惑星系の 初期不安定が木星型惑星の摂動を考慮した場合と考慮しない場合とでどの程度異なるのかを検証 する数値実験を行った。その結果、ランダム速度が小さな原始惑星系に於いては初期不安定時間 に対する木星型惑星の影響が顕著に現れることが判明した 図 右 。木星型惑星の影響は具体的 には、木星の近日点が土星との相互作用によって移動 周回 することによって地球型惑星領域 にある原始惑星達の離心率を増大させ、結果的に原始惑星同士の近接遭遇を発生することで顕在 化する。この現象は天体力学業界の用語で永年摂動 公転周期に比べて非常に長周期の重力摂動、 くらいの意味 と呼ばれているが、地球型惑星領域にある原始惑星系の不安定時間はこの永年摂 動の時間スケールの数倍から数十倍、 6 年から長くても 7 年であることがわかった。これは木 星型惑星が無い場合の初期不安定時間に比べて二桁ほども小さい値である。 もちろん原始惑星同志の近接遭遇の確率は初期軌道が持つランダム速度に大きく依存する。初 期に大きなランダム速度を持つ原始惑星系は、木星型惑星の摂動が無い場合にもかなり短い時間 スケールで進化が進む。しかし問題は、現在の惑星系のランダムな軌道速度 離心率と軌道傾斜 角 が非常に小さいという事実である。大きな初期ランダム速度によって原始惑星系の進化が促進 されたとしても、惑星形成過程のいずれかの段階に於いてはそうしたランダムな速度成分が何ら かの原因によって低下し、現在の状況に近づいて来たはずである。それがどのような要因であっ たにせよ、もしも原始惑星系のランダム速度が再び低下してしまった場合には、上述したように 木星型惑星の重力摂動の効果が再び顕在化するであろう。その意味で、木星型惑星の重力摂動の 効果は最悪 =原始惑星系が長期安定すぎて困るような の場合に不安定性を加速する『保険』の 如きものとして働くという予想に至っている。 10 Ito & Tanikawa (1999) ( 5 ) ) ( ( ) 10 10 ( ) ( ) 原始惑星系の衝突合体進化の直接計算 3.3 原始惑星系の初期不安定以降の状況を検分するには、微惑星系の場合と同様に重力 N 体問題の 直接数値計算を実行する以外にない。だが微惑星系とは異なり原始惑星系は天体数 N が小さいた め、 のような重力多体問題専用計算機やベクトル並列型計算機では効率的な数値計算を 行うことができない。原始惑星系の軌道進化を再現する数値実験は従って、小型だが高速の や ワークステーションで延々と時間を掛けて行うことになる。この手の長期計算の先駆けとなった研 究が 以下では と略記 である。前述した らの数値計算が原始惑星系の初期不安定発生の時点で計算を 止めていたのに対し、 論文の計算は原始惑星の合体衝突がほぼ終息するまでの全期間を追っ ている。計算例数は少ないが積分期間は数 8 年と非常に長く、この計算専属の を 複数台駆使して三年以上の実 時間を要したという膨大な計算である。 論文の計算によれば、地球型惑星領域の原始惑星系は初期不安定を経て散乱や衝突合体を 開始するが、次第に数を減じて成長は遅くなり、遅くても 2 8 年以内には数個の地球型惑星が 形成して落ち着く。 図 の上段 。但しこれは木星型惑星の重力摂動を考慮した場合の話であり、 木星型惑星を置かない数値実験では 8 年経過後にも原始惑星系は未だに軌道交差の状態にあり、 GRAPE PC Chambers & Wetherill (1998, al. (1999), Ito & Tanikawa (1999) CW CW ( 6 ) CWB, Yoshinaga et 10 CPU CW ) alpha server 3 10 10 10 惑星科学夏の学校 2001 『微惑星から惑星へ』 Chambers & Wetherill (1998) 図 6. の数値計算に於ける原始惑星系の最終状態。上段の三個は 木星型惑星を考慮した例で、下段の三個は木星型惑星を考慮しなかった例。 11 惑星科学夏の学校 2001 『微惑星から惑星へ』 ( 6 ) 成長が終息したとは言えない 図 の下段 。 論文の数値実験の結果で興味深いことのひとつは、原始惑星系の衝突合体進化を促進する ためのランダム速度増大の要因として、原始惑星同士の近接遭遇よりも木星型惑星との あるい は原始惑星同士の 永年摂動 あるいは各種の共鳴現象 による寄与の方が大きい可能性があるこ とを見い出した点がある。近接遭遇によるランダム速度 離心率 e や軌道傾斜角 I の変動は或る 特定の時点でのジャンプとして現れるが、総体としての e; I の変化にはさほど大きな寄与をもっ ていないように思われる 例えば図 右下 。微惑星系の力学進化は微惑星同士の散乱・衝突・合 体が推進力となるが、原始惑星系の場合にはより長い時間スケールでの共鳴現象が系の進化に寄 与しているということである。また、初期条件が皆似たようなものであったとしても、最終的に 形成する惑星系はどれも大きく異なるものになる 図 。天体数 N が小さい原始惑星系の進化は 極めて確率的であり、進化の予測が困難であることが示された形と言える。これは原始惑星系に 限らず天体数 N が小さい系の本然的性質であり、多種類の初期値から出発した計算を繰り返して 系の統計的な振る舞いを知る以外に採るべき方法はない。 論文の後、原始惑星系を直接に重力多体計算する論文が幾つか発表されている et al. et al. 。 論文を含めたいずれの結果に於いても残される問題は、生 き残った惑星の離心率と軌道傾斜角が現在の地球型惑星と比べると有意に大きいという実験事実 である 例えば図 の上段 。円・平面に近い現在の地球型惑星の軌道は太陽系惑星の最大の力学 的特徴のひとつであるが、これを説明し切らないうちは惑星形成過程の理論モデルが完結したと 言うことはできない。この事実の説明のためには、原始惑星系を保存系 エネルギー散逸のない 質点系 として扱うのではなく、原始太陽系星雲ガスとの相互作用を考慮することが必要であろ うという予想がある。これに関連した研究の例を次節で紹介する。 CW ) ( ( ) 7 ( ( ) ) ( 6) CW , 1998; Agnor ( 6 (Levison , 1999) CW ) ( ) Chambers & Wetherill (1998) に於ける原始惑星系の離心率の時間変化の例。四個の原始 10 万年分だけをプロットしている。横軸の単位は年。 図 7. 惑星について、初期 3.4 原始太陽系星雲ガスの摩擦効果 原始惑星系に対する原始太陽系星雲ガスの効果は大別して二種類あると思われる。ひとつは らが研究したような原始惑星系の初期不安定時間への影響であり、もうひとつは最終的に 形成する地球型惑星のランダム速度を下げる効果である。 前者については、原始太陽系星雲のガス抵抗を考慮することで 的な意味での原始惑星系 の初期不安定時間が非常に長くなり得る、即ち原始惑星から惑星への進化の時間スケールが大い に長くなり得るということが重要である。例えば では、ガスとの相対速度 CWB CWB Iwasaki et al. (2001) 12 惑星科学夏の学校 2001 『微惑星から惑星へ』 CWB 的数値実験を行い、原始惑星系の不安定時間 の二乗に比例するようなガス抵抗を考慮した がガス抵抗の存在によってどのような影響を受けるかを検証した。その結果、 図で示され る原始惑星系の初期不安定までの時間が、原始太陽系星雲のガス抵抗の影響で非常に長くなる場 合があることがわかった。例えば、微惑星の暴走成長の典型的終末状況とされる規格化天体間隔 の場合で言えば、ランダム速度が小さな初期状態から出発する限り、いわゆる最小質量 原始太陽系星雲 と同程度のガス量があれば 原始惑星同士の近接遭遇が発生しない可能性がある。 での計算結果の例を 図 左 に示しているが、ガス抵抗を考慮した原始惑星系に於いては、原始惑星系全体の離心率 の平均値 が大きくなって近接遭遇が発生しかかるが、ランダム速度はガス抵抗によって急激に 低減され、不安定化を免れる。ここでの計算結果を現実の系に直接当て嵌めるにはあと何歩かの 道のりがあるが、少なくとも原始太陽系星雲のガス抵抗が原始惑星系の安定化に対して十分な寄 与を果たし得ることは明らかになったと言える。 1 10 ( 8( ) CWB (minimum mass solar nebula; Hayashi et al, 1985) Iwasaki et al. (2001) ) ( ) Iwasaki et al. (2001) 図 8. 左 からの引用。原始太陽系星雲ガスを入れた場合と入れない場合 の原始惑星系の離心率の二乗平均値の進化。 右 からの引用。原始太 陽系星雲ガスの力学的摩擦の大きさを変えた数値計算の最終結果 白丸 。黒丸は現在の太陽系の 地球型惑星四個で、円の面積は天体の質量に比例している。ガス抵抗の効果は が最大で、 の順に弱くなって行く。 ( ) Kominami & Ida (2001) ( ) (b) (a) (c), 後者、すなわち最終的に形成する地球型惑星のランダム速度を下げる効果については、原始太 陽系星雲ガスの力学的摩擦効果を取り込んだ数値実験が成功を収めつつある 。微惑星の暴走成長の節で述べた力学的摩擦は、サイズの小さな微惑星群がサイズの大きな 微惑星に及ぼす摩擦の如き効果であり、サイズの大きな微惑星のランダム速度を下げ、サイズの 小さな微惑星のランダム速度を上昇させる効果を持つ。しかし原始惑星系が形成してしまった後 には、微惑星の総数はこの意味での力学的摩擦を発生させるほどには多くない 。だが、この時期に未だ原始太陽系星雲ガスが散逸し切っていないとすれば、原始惑星の 成長過程に於いて原始太陽系星雲ガスが力学的摩擦を及ぼし、最終的に形成する地球型惑星の離 (Kominami and Ida, 2001) (Kokubo and Ida, 1998) 13 惑星科学夏の学校 2001 『微惑星から惑星へ』 Kominami & Ida (2001) では、原始太陽系星雲ガス 心率や軌道傾斜角を低減する可能性がある。 の力学的摩擦効果を運動方程式中の項として明示的に与えて数値計算することにより、原始惑星 系の成長過程に於いてランダム速度がどのように低減されて行くかという状況を検分した。その 結果は非常に興味深く、京都モデルに於ける最小質量原始太陽系星雲ガス の = から = 程度のガスが残っていれば、形成される地球型惑星のランダム速度 は十分に低減し、現在の状況と似通った地球型惑星が形成されることが判明した 図 右 。惑 星形成過程の最終段階であるこの時期には原始太陽系星雲ガスはそれなりに散逸を開始していた であろうから、 の = から = という量は十分にあり得る値 である。図 右 で得られたような結果は数値計算の初期値として採用した原始惑星系の初期間 隔にあまり依存しないことからも、原始太陽系星雲ガスとの力学的摩擦が原始惑星系の衝突合体 進化に普遍的な影響を与えたという可能性が考えられる。 原始太陽系星雲ガスの効果はかくも重要なものではあるが、そもそもの原始太陽系星雲ガスの 性質は、現在のところ質・量ともに明確に判明しているものではない。また、観測的研究によれ ば原始太陽系星雲ガスは時間スケール 7 年で散逸し、太陽系から消失したと考えられるが、そ の詳細なメカニズムもわかっていない。原始太陽系星雲ガスが惑星形成過程に於いて本質的な役 割を果たして来たことは確実だが、緻密な定量的研究は未だその端緒に着いたばかりである。 nebula) 1 100 (minimum mass solar 1 1000 ( 8( )) minimum mass solar nebula 1 100 8( ) 1 1000 10 惑星系の長期安定性 3.5 2 2 (a) (b) 1 1 0 0 -1 -1 -2 -2 -2 -1 0 Ito & Tanikawa (2001) = 0 0547 10 ) = 4 9886 10 ) 23684 1 2 (a) -2 -1 0 1 2 ( = 0 から ( = 4 9339 2 108 2190 年間隔 図 9. からの引用。 ある長期数値積分の開始時付近 t t : 2 9年 までの地球型惑星四個の軌道位置の平面図。 終了時付近 t : 年から t : 2 9年 までの軌道位置の平面図。 : 2 7 年分の計算結果が で 個プロットされている。実線は現在の惑星軌道を表す。 (b) 5 47 10 ここまで述べられたような過程を経て現在の惑星系が形成されたとして、そこから現在までの 数億年間、惑星系は何をやって来たのだろうか?太陽系年齢の大半を占めるこの期間はしかし、 惑星の運動論的には非常に退屈な時期でもある。原始太陽系星雲ガスは消失し、ある程度の質量 を持った少数の惑星が太陽の周りを淡々と回り続けるのみだからである。 40 14 惑星科学夏の学校 2001 『微惑星から惑星へ』 9 (Ito and Tanikawa, 2001) では、現在の惑 主 惑星を考慮して惑星系の安定性を検証した研究 星軌道の付近から幾つかの初期値を選んで6 億年の数値積分を複数回実行した。その結果、惑 星運動は数十億年を経ても非常に安定であり、惑星同志の衝突や近接遭遇も無ければ軌道が交差 するような徴候も見られないという結果を得た。 例えば図 は或る数値積分の開始時付近 万年間 と終了時付近 万年間 につい て地球型惑星四個の軌道をプロットしたものである。左右の図の間には約 億年の時間が経過し ている。にも関わらず、各惑星に関する点の集合は でほとんど変化していない。こうした 惑星運動の超長期安定性は空間領域のみならず周波数領域に於いても確認されており、数値積分 の期間内で惑星軌道要素の変動の特徴的周期が大きく変化するようなことはなかった。 もし仮に現在の惑星系が力学的不安定を発生させるとしたら、それはケプラー時間が短い地球 型惑星からであろう。けれども地球型惑星は木星型惑星に比べて 半径で規格化した 間隔 が大きく開いており、その割には離心率や軌道傾斜角などのランダム速度が小さいので、今後も ちょっとやそっとでは近接遭遇するような状況に至ることはないと予想される。 40 9 5400 (a) 5400 50 (a)(b) (b) (Hill おわりに |太陽系以外の惑星へ 0.8 18 0.7 16 0.6 14 mass [MJ] eccentricity 4. ) 0.5 0.4 0.3 0.2 12 10 8 6 4 0.1 2 0 0.01 0.1 1 10 semimajor axis [AU] 100 2001 5 0 0.01 0.1 1 10 100 semimajor axis [AU] 図 10. 年 月上旬現在までに発見された太陽系外惑星。左が軌道半長径 a と離心率の関係、 右が軌道半長径と質量の関係。軌道半長径の単位は 質量の単位は木星質量 地球質量の約 倍 。黒丸 が太陽系外惑星のデータ、白丸 が私達の太陽系の木星型惑星のデータ。 ) () () AU, ( 300 惑星形成過程の最終段階である微惑星から惑星に至る過程の概略を紹介して来たが、未解決の 問題は山ほどある。私達の太陽系の起源を説明するだけでもそれほど十分に難儀なのに、ここ数 年の間に太陽以外の恒星の周りにも数多くの惑星系が発見されてしまった2 。そうした惑星系 太 陽系外惑星系と呼ばれる は 年に最初されたが 、 年 月現 在でその数はもう 個近くにも及んでいる 井田 et al. 。こうした太陽系外惑星系の軌道半長径と軌道離心率および質量の関係を図示 したのが図 である。白丸で示された私達の太陽系の木星型惑星 木星・土星・天王星・海王星 と比べるとすぐにわかるが、発見された惑星系の姿は実に多様である。惑星の質量は木星の質量 の 倍から 倍と大きくばらついている。惑星の軌道半長径は 天文単位 以内に収 まっているが、特筆すべきは よりも小さな軌道半長径を持つ惑星が非常に多いということ 2 例えば http://exoplanets.org/や http://cfa-www.harvard.edu/planets/を参照。 and Butler, 2000) 10 0.16 17 70 ) 1995 ( (Mayor and Queloz, 1995) 2001 5 (Boss, 1996; , 1997; Marcy , 2000; Marcy ( ) 3.5AU ( 0.1AU 15 ) 惑星科学夏の学校 2001 『微惑星から惑星へ』 である。即ち、木星に匹敵する巨大な質量を持つ惑星が主星の極く近傍を短い周期で公転してい るという描像が得られているのである。また多くの場合、惑星の軌道離心率は私達の太陽系惑星 のそれに比べてかなり大きい。これらの事実より、太陽系外惑星系の姿は一般に私達の太陽系と は大きく異なることがわかり、時には異形という形容で表現されることすらある。 図 に示されるような太陽系外惑星の描像には、実はその観測方法と観測限界に依存する選択 効果が大きく寄与している。が、いずれにせよ太陽系外惑星系の姿は私達の予想を大きく越えて 多様であった。必然的に、従来の惑星形成過程の理論モデルは大幅な拡張を余儀なくされている。 年以上前、 「地球を知るためには他の惑星を知る必要がある」というスローガンの元に『比較惑 星学』という分野が確立されて来た。現在の天文観測技術の進歩は、この比較惑星学を『比較惑 星系学』へと発展せしめている。太陽系外惑星系の観測で発見されている惑星は未だに木星型の 巨大惑星ばかりであるが、近い将来には地球型の小型惑星も確認されることであろう。その日を 遠望しつつ、惑星形成過程研究の黄金時代は正にこれから始まるところである 。 10 20 (Ida and Kokubo, 2001) 参考文献 Agnor, C.B., Canup, R.M., and Levison, H.F. 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Soc., , 737{749. 53 114 123 131 143 116 480 112 378 64 60 124 307 17 惑星科学夏の学校 2001 『微惑星から惑星へ』 Sugimoto, D., Chikada, Y., Makino, J., Ito, T., Ebisuzaki, T., and Umemura, M. (1990) A special-purpose computer for gravitational many-body problem, Nature, , 33{35. Wetherill, G.W. and Stewart, G.R. (1989) Accumulation of a swarm of small planetesimals, Icarus, , 330{357. Yoshinaga, K., Kokubo, E., and Makino, J. 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気圧での温 大気中で観測されているヘリウムの質量比, a: 軌道長半径 Mp (g) Req (cm) J2 J4 J6 T1bar (K) Y a (AU) Jupiter 1.90210 7.14 210 1473661 -58765 31620 16565 0.1860.04 5.20 30 9 Saturn 5.68210 6.03 210 16331618 -914661 10865 135 65 0.0660.05 9.55 29 9 Uranus 8.68210 2.56210 351663 -31.960:5 28 9 76 62 0.26260.05 19.2 Neptune 1.02210 2.78210 353869 -38.061 29 9 69 62 0.3260.05 30.1 また、近年では観測技術の向上により恒星に対する視線方向のドップラーシフトの観測 によって太陽系以外の惑星系(一般的にこれらの惑星は系外惑星と呼ばれる)が、発見さ れてきている (Marcy and Butler 1998) 。いくつかの系外惑星に対する観測データを、表 1 に載せておいた。 表 2: 系外惑星に対する観測値 (http://cfa-www.harvard.edu/planets/catalog.html 参照) 。各記号の意味 は以下の通りである。 Mp sin(i): 惑星質量 (i: 惑星の軌道傾斜角), a: 軌道長半径, T: 軌道周期, e: 軌道離 心率 Mp sin(i) a (AU) T (days) e (g) 51Peg 8.36210 0.05 4.23 0.013 29 47UMa 4.43210 2.11 1082 0.096 30 16 Cyg B 2.77210 1.72 804 0.67 30 CrB 2.09210 0.23 39.6 0.028 30 表 1 からわかるように、系外惑星の主な特徴は、中心星近傍に位置していることと木 星質量程度の質量を持っていることである。このように、系外惑星は我が太陽系 (中心星 からだいぶ離れたところに木星型惑星が存在する) とはかなり様子が異なる惑星系である ことがわかる。では、このような系外惑星はどのように形成されたのであろうか?この問 題に関しても、近年その形成を探ろうとする様々な研究が行なわれだしてきている。 2 節では、まず木星型惑星に対するイメージを鮮明に持っていただくために現在考えら れている内部構造について説明する。3 節、4 節では過去から現在までの木星型惑星の形 成理論の発展を紹介し、5 節では系外惑星の形成についての最近の研究を述べる。 2 木星型惑星の内部構造 この節では、木星型惑星の内部がどのような構造になっているかについて述べる。現在 考えられている各惑星の内部構造は、図 1 のようになっている。基本的には、惑星中心 に氷 (H2 O,CH4 ,NH3 ) と岩石 (SiO2 ,MgO,FeS) からなる中心核 (以後、中心核のことを「コ ア」と呼ぶことにする) があり、その周りを主に水素とヘリウムからなる大気が取り囲ん でいる。 さらに、木星、土星の大気は水素の物性の観点から2つの領域に分けられている。内側 の領域は圧力が高いために、水素がイオン化して陽子と電子からなる低密度プラズマ状 態になっていると考えられている。この水素の状態を「金属水素」と言い、この内側の領 域を「金属水素層」と言う。一方、外側の領域では圧力が低いために、水素がイオン化せ ず分子状態でいられ、この領域を「分子水素層」と言う。現在、分子水素から金属水素の 相転移は、圧力で言うと 1 3Mbar 付近で起こると考えられている。また、大気の上層 部以外では熱流量が大きいためにその中で激しい対流が起こっていると考えられている (Guillot et al. 1994)。 さて、我々は地上観測、探査機 Voyager や Gallieo による観測などによって、惑星半径、 質量、1bar での温度、また、重力ポテンシャルの形状 (J2 ,J4,J6:球面調和展開の 2,4,6 次 の帯成分) などが求められている (表 1) 。これら観測値を使うことによって、各惑星のコ ア質量や大気中に含まれているヘリウムや重元素の量を推定することができる。具体的 には 状態方程式が与えられれば、一様回転流体の静水圧平衡の式を解くことによって惑 2 図 1: 木星、土星、天王星、海王星の内部構造図 (Guillot 1999) 。木星型惑星の構造は、 大雑把に言えば固体物質からなるコアと水素とヘリウムに富んだ大気からなる。さらに、 木星と土星の内部は 3 つの領域に分けられる。つまり、コア、金属水素層、分子水素層。 金属/分子水素の相転移は、1 3Mbar 付近である。木星と土星大気の上層部にある点線 は輻射領域を示す。天王星、海王星の内部も 3 つの領域に分けられる。つまり、コア、氷 を多く含んだ層、水素とヘリウムに富んだ表層大気。天王星、海王星の大気の中では圧力 が低いため、水素は金属水素状態にはなっていない。 3 星内部の構造を求めることができる。従って、観測で与えられた半径、質量、重力ポテン シャルを満たすように、コアの質量や大気中のヘリウム量を調整し最適な内部構造モデル を見つけるといった方法で内部構造を推定している。 10ME (ME :地球質 この方法を使った最近の研究によると、コアの質量は木星で 0 量) 、土星で 6 15ME 、天王星、海王星は 10 15ME と推定されている (Wuchterl et al. 1999)。また、各惑星の大気中に含まれている重元素量が、太陽系組成よりも多いことが 示されている。木星、土星のコア質量の不定性は主に内部構造を決める際に使われる水 素-ヘリウム系の状態方程式の不定性による。 2004 年頃に Cassini が土星に到着し、観測を行なう予定である。これにより、より精度 の高い観測データを得ることができ、土星の内部構造、特に、コア質量などを今よりも狭 い範囲で決めることが可能となる。また、水素-ヘリウム系の状態方程式も精力的に計算 されており、最近では実験により、高圧高温下での水素の振舞いを知ることができるよう になった。 さて 、現在、観測により木星と土星の表層大気でのヘリウム量がそれぞれ YJupiter = 0:238 0:007 、YSaturn = 0:06 0:05 と見積もられている。この値は、太陽系組成のヘリ ウム量 (Y = 0:27) よりも低くなっている。3 節で説明することだが、もともと木星、土 星の大気はガスディスクからできたと考えられているので、形成初期の頃は表層大気でも 太陽系組成程度の量のヘリウムがあったはずである。では、表層大気のヘリウムはどこに いってしまったのであろうか?現在、多くの研究者は、表層大気のヘリウムは大気のより 深い領域 (金属水素層) に沈んでしまったと信じている。この原因としては、金属水素中 でのヘリウム不混和現象 (金属水素中にヘリウムに富んだ成分が分離し、それが周りの水 素に富んだ成分に比べて重いために重力によって沈降分離する現象) が木星と土星内部で 生じているためと考えられている。この不混和現象のイメージとしては単純な例ではあ るが、塩水を冷やしていった時に塩が析出して沈殿するという現象を想像していただけ れば大体よい。この時、水が水素で、塩がヘリウムに対応する。ヘリウム不混和が起きて いる領域を「不混和層」といい、この領域ではヘリウムや重元素量が均一に混ざっておら ず、そのため分子量の勾配によって対流が妨げられているのではないかと考えられている (Stevenson and Salpeter 1977)。現在、この不混和現象については、理論的にも実験的に もはっきりしたことはわかっておらず、まだ議論がなされている所である。しかし、この 現象が内部で起こっていると考えるとうまく説明できる現象がいくつかある。1つは、上 記の表層大気のヘリウム量が少なくなっている問題、もう1つは、以下で説明する土星の luminosity 問題である。土星は、木星に比べてその質量が小さいために形成時に蓄えた熱 では、現在宇宙に放出している熱流量を説明することはできない。つまり、このことは土 星内部では何らかの内部熱源を持っていることを意味する。今、ヘリウムの不混和現象を 考えると、この内部熱源をうまく説明することができる。すなわち、金属水素層中でのヘ リウムの重力分離によって解放される重力エネルギーによって、現在の過剰な熱流量を供 給することができるからである。 現在、このヘリウムの不混和現象はおそらく分子/金属水素層の境界付近で生じている と思われているが、今の所まだはっきりしたことはわかっていない。また、ヘリウム不混 和現象による影響が内部構造やコア質量の見積もりにどのくらい影響するかもよくわかっ ていない。今後、この不混和現象を解明し、内部構造に対する影響をきちんと考えていか なければならない。 さて、ここで注目してもらいたいのは、各惑星の中心に太陽からの距離に関係なく大体 10ME 前後の質量を持ったコアが存在することである。このことは、木星型惑星の形成に 6 6 4 関して重要な情報を与え、このことから形成に対してなんらかの制限を考えることができ るようになった。次節で、この木星型惑星の形成について紹介していく。 3 木星型惑星の形成 まず、この節では木星型惑星の形成が現在どのようなモデルに沿って考えられているか をきちんと理解するために、木星型惑星の形成モデルとして提唱された 2 つのモデルにつ いて紹介する。そして、その後、木星型惑星の形成に関して重要な考え方を提示した研 究、水野プロセス (Mizuno 1980) の内容について解説したいと思う。 3.1 木星型惑星の形成モデル 現在、木星型惑星の形成シナリオには2つのモデルが考えられている。1つは、Cameron (1978) や DeCampli and Cameron (1979) などが提案した Gas instability model であり、 もう1つは、Perri and Cameron (1974) や Mizuno et al. (1978) などが提案した Core instability model(もしくは、Nucleated instability model) である。 まず、Gas instability model というのはガスディスクが自己重力によって分裂して、木 星質量程度のガス塊ができるというモデルである。このモデルは、短時間 ( 1000 年程 度) で木星質量程度のガス塊を作ることができるというメリットがあるが、一方で、 ガスディスクの自己重力によって分裂するためには、ガスディスクの質量が 1Msun (Msun: 太陽質量) ぐらいないといけない (現在、このような重いガスディスクは観測されて いない) 。 このモデルでは、木星質量程度のガス塊が数百個できてしまう。 重元素が太陽系組成よりも高く、また、天王星、海王星がほぼ岩石、氷成分から成っ ていることを説明できない。 といった様々な問題があるために、現在木星型惑星形成の標準的なモデルには考えられて いない。 次に、Core instability model というのは、先に微惑星集積によって固体物質からなる原 始惑星 (コア) が作られ、それがある程度大きくなるとその原始惑星の重力によって、周 りにあるガスを集積し大気を形成するというモデルである。このモデルのメリットは、 惑星中心にあるコアの存在について説明できる。 大気の質量やその中に含まれている重元素量の違いについても説明することがで きる。 などがあり、内部構造から推定された木星型惑星の特徴を説明するのに大変都合がいいた め、現在このモデルが木星型惑星形成の標準的なものとして考えられている。しかし、こ のモデルでの問題点は、現在 T タウリ星の観測から推定されているガスデ ィスクの散逸 時間 ( 107 年) に比べて惑星の形成時間が長くなってしまう場合があるという点である。 5 図 2: 各 f の値に対する惑星の質量 (横軸) とコア質量 (縦軸) の関係を木星領域 (a) と海 王星領域 (b) で示した図。横軸、縦軸共に地球質量で規格化されている。破線の箇所で は、大気が微小摂動に対して不安定になる所を示している。 以下では、この Core instability model に沿って、現在木星型惑星の形成がどのように考 えられているかについて説明していく。 3.2 水野プロセス このモデルでの先駆的な研究として、Mizuno (1980) がある。Mizuno (1980) では、コ ア (一様密度の固体球) と静水圧平衡の大気を仮定して、静水圧平衡の式を外側の境界か らコア表面まで積分することによって、コア質量を与えた時の大気の構造と大気質量を求 めた。その際、大気中のエネルギー輸送としては対流輸送と輻射輸送が考慮され、また、 大気に供給されるエネルギーは微惑星がコアに落ちてくるときに解放する重力エネルギー によって供給されるとした。 彼の計算によると、微惑星集積率が M_ core = 1006 ME =year とし、(大気のダスト /ガス 比) と (ガスデ ィスクのダスト /ガス比) の比を表すパラメータ f を f = 0 1 まで変えた 時のコア質量と惑星の全質量 (コア質量+大気質量) の関係は、図 2(a) と (b) のようにな る。図 2 (a) は、木星領域で計算された結果で、(b) は海王星領域で計算された結果であ る。領域が異なるということは、計算する際に外側の境界条件が異なることを意味してい る。この場合、木星領域よりも海王星領域の方が外側の境界条件である密度、温度が低い ことに対応している。また、f を大きくするということは大気中のダスト量を増やすこと に対応している。大気中のダスト量が増えると、大気中のエネルギー輸送率が悪くなりな かなか惑星の外にエネルギーが放出されなくなる。このため、ダスト量が増えると大気中 に熱がこもりやすくなり、この状態で、大気にエネルギーが注入され続けると大気はどん どん温かくなる。 さて、図 2 (a), (b) において、最初の極大値から右側は実際に実現されない解である。 なぜなら、惑星は左下より成長していくため、この線に沿ってゆくと極大値を超えた所で 惑星質量が減少するというおかしな現象が起きてしまうからである。この時、この極大値 の時のコア質量は「限界コア質量」と呼ばれ、この質量を超えると大気の静水圧平衡解 がなくなり、ガスの集積が始まると考えられる。実際、Bodenheimer and Pollack (1986) 6 図 3: 惑星の進化の典型的な例。破線はコア質量 (Mcore ) を、実線は大気の質量 (Menv ) を _ core = 1006ME =year で 示している。質量の単位は地球質量。この時、微惑星集積率は M 一定である。 は準静的な進化計算を行い、コアが限界コア質量を越えると、急速なガス集積が始まり コアの周りに大気を形成することを示した。この準静的進化の計算例を図 3 に示してお く (Ikoma et al. 2000) 。計算を始める際のコアサイズは Mcore = 1ME で、微惑星集積率 _ core = 1006ME =year で一定である。この図は、横軸に時間、縦軸にコアと大気の質 はM 量がそれぞれとられている。この図からわかるように、コアが限界コア質量付近で大気質 量が急激に増加していることがわかる。ガスが急激に集積される理由は、以下のように 理解される。コアが限界コア質量よりも小さいと微惑星が解放する重力エネルギーによっ て、大気が温められて、惑星重力による収縮を妨げる。しかし、コアが限界コア質量ぐら いになると、惑星重力が大気の圧力に比べて強くなるために収縮して、ガスが流入する。 そうすると、惑星の質量がますます増えて、重力が強くなるためさらに収縮してガスが流 入する。このため、急激なガス集積が起こる。また、f が大きくなると限界コア質量が大 きくなるのは、f が大きくなると大気がより温かくなるためである。すなわち、惑星質量 が増えて重力がかなり強くなるまで、大気の圧力によって重力収縮を妨げることができよ うになるためである。 さて、図 2 (a), (b) からわかるように、限界コア質量はディスク内の位置、言い換えれ ば、太陽からの距離には依存しないことがわかる。このことより、木星型惑星で現在のコ ア質量が大きく異なっていないことの説明とすることができる。また、限界コア質量が太 陽からの距離によらないのは、惑星大気の外側に輻射領域ができるためである。 図 4 は、M_ core = 1006 ME =year とした時の横軸に f 、縦軸に限界コア質量をプロットし crit た図である。彼の計算によると、限界コア質量 Mcore は近似的に M crit core で表される。Stevenson いる。 ' 10 M_ core 1006ME=year !0(0 300 4) : : f 0 100 2ME : : (1) (1982) では、解析的な計算から式.(1) と同じような表式を導いて 7 crit 図 4: パラメータ f の関数として表した限界コア質量 (Mcore ) の図。限界コア質量は、地 球質量で規格化した。 パラメータ f の値は、大気中のダストの成分や量、そのサイズなどに依存するパラメー タである。現在、初期の大気中にどのようなダストが存在し、それが大気中でどのような 状態であったかについてはまったくわかっていない。単純に考えると、コアの周りの大気 は微惑星ができた残りのガス、すなわち、ダスト成分が絞り出されたガスがらできたの で、この時、f は 1 よりもずっと小さい値をとると予想されるためである。しかし、これ は、大気に微惑星が突入した時に微惑星からまき散らかされたダストやコア表面からまき 上げられたダストなどを考えると、大気中で f 1 となる場合も十分あり得る。パラメー タ f に関しては現在その値を制限する術を我々は持っていない。 Mizuno (1980) の研究により、各惑星のコアサイズがほぼ同じである理由が定量的に説 明された。また、Bodenheimer and Pollack (1986) は、大気の準静的進化の計算を行ない、 コアが限界コア質量以上に成長すると、急激なガス捕獲が起こることを確かめた。これに より、木星や土星はガスディスクが散逸する前に限界コア質量に達して十分なガスを捕獲 することができ、一方、天王星や海王星は限界コア質量に到達する時期が遅かったため、 ガスデ ィスクが散逸しガスをあまり集めることができなかったと理解することができる。 _ core = 1006ME =year であれば、デ ィスクの散逸時間の問題もギ また、微惑星集積率が M リギリクリアすることができる。但し、ここでの議論には注意しなければならない。なぜ なら、ここで使われた彼らの結果は、惑星形成の間ずっと微惑星集積率が一定という仮定 の下で得られた結果であるためである。この微惑星集積率一定という仮定は、最近の惑星 形成の理論によるとあまりよくないことがわかっている。次節では、微惑星集積率に時間 依存性を考慮した研究について説明する。 ' 8 図 5: 微惑星集積率に時間依存性を考慮した時の惑星の進化の典型的な例。実線がコア 質量 MZ 、点線が大気質量 MX Y 、破線が惑星質量 Mp を示している。初期の面密度は、 10g=cm2 である。質量の単位は地球質量。この図で、Phase 1 は約 106 年頃までで、Phase 2 は大体 106 年から 7 106 年の間、それ以降が Phase 3 に対応している。 2 4 最近の木星型惑星形成理論の発展 最近の惑星集積理論によると、5M の原始惑星を作るのにかかる時間は木星領域にお いて 5 2 10 年、土星領域では 3 2 10 年であり、さらに天王星や海王星領域では 10 年よ りもはるかに長い時間を要することがわかっている (Tanaka and Ida 1999) 。これは、特 に天王星、海王星領域では、ガスディスクの散逸時間 ( 10 年) よりもずっと長くなって おり、ガスディスクが散逸する前にコアが Mizuno (1980) で求められた限界コア質量まで 成長できるかどうかは問題である。また、Kokubo and Ida (1998) では、惑星がある大き E 7 8 8 7 さ以上になると微惑星集積率が急激に減少し、ほとんど成長しないことが示されている。 集積率が急激に減少しだす質量は 8 > > > < 0:1 2 Miso = > > > : 1:7 2 ! a 6 6 ! 1AU a 6 6 5AU 3=2 3=4 3=2 3=4 d H d d H d ME a < 2:7AU ME a > 2:7AU (2) で表される。このような質量を「孤立質量」と呼ばれる。ここで、a は惑星の軌道長半径 で、6d と 6H d はそれぞれダスト成分の初期の面密度と最小質量太陽系星雲での面密度で ある。式.(2) によると、木星領域において原始惑星、つまり、コアは 2ME ぐらいまでしか 成長できないことがわかる。過去の研究では、微惑星集積率が時間に対して一定という仮 定の下でコアの成長と大気の準静的な進化の計算がなされてきた。Pollack et al. (1996) は、微惑星集積率の時間依存性を考慮した準静的進化の計算を行なった。彼らの結果によ ると,初期のガスディスクが最小質量太陽系星雲の質量の 3 4 倍大きければ、107 年以 内でコアは限界コア質量まで成長できることを示した。彼らの計算結果を図 5 に示してお く。数値計算において初期のコア質量は、0:1ME で、また微惑星の面密度は 10g=cm2 で 9 ある。この図の横軸、縦軸の意味は図 3 と同じである。彼らは、惑星の形成において3 つの Phase があることを指摘した。まず、Phase 1 は微惑星集積率が減少する前の時期に 対応しており、Phase 2 は微惑星集積率の減少後の時期に対応している。Phase 2 の特徴 は、微惑星集積率とガス集積率が共に急激に減少し、しかも時間に対してほぼ一定となっ ている。つまり、惑星の成長がこの時期では鈍くなる。Phase 3 はガス集積率が急激に増 加する時期である。彼らの主要な結論として、微惑星集積率に時間依存性を考慮すると、 Phase 2 という時期が存在するということである。過去の研究では、Phase 2 という時期 は確認されなかった。これは、図 3 と比較すれば明かである。しかし、彼らの計算におい て使用された微惑星集積率は、微惑星同士による重力散乱の効果を無視したためにかなり 大きくなっており、彼らによって与えられた微惑星集積率が、実際に実現されるかどうか は疑問である。 Ikoma et al. (2000) では、限界コア質量や木星型惑星の形成時間などが微惑星集積率 _ Mcore と grain opacity(gr) にどのように依存しているかを調べた。彼らは、コア質量があ る大きさになったら微惑星集積率を 0 にするという極端な場合の数値シュミレーションを 行なった。それによると、大気の典型的な質量増加時間 g 、すなわち、Phase 2 の時間間 隔が近似的に ! g 108 M core 02 5 : M E gr 1cm2 =g year (3) となることを示した。ここで、gr は、grain opacity を示す。ここで、grain opacity(gr ) と 3 節で出てきたパラメータ f の関係は、gr = 1:0 f cm2 =s である。また、Phase 2 の 時間はその前のコアの成長時代の過程 (Phase 1 の時期) にはほとんど依らないことを指 摘した。つまり、Phase 2 に入った時の大気の状態 (grain opacity の値など) やコア質量 で Phase 2 の時間間隔は決められてしまうことを意味している。但し、ここで与えられた Phase 2 の時間間隔は微惑星集積に伴う大気の温めの効果がないために Phase 2 の期間と してはもっとも短い時間間隔となっている。すなわち、微惑星の集積が少しでもあれば、 それによって解放されたエネルギーによって、大気の重力収縮が妨げられる。これによ り、周りからのガス流入が遅らされるために Phase 2 の期間がより長くなる。Pollack et al. (1996) の計算では、Phase 2 の時期でも微惑星の集積があるために式.(3) で与えられ る時間よりも Phase 2 の時間間隔がかなり長くなっている。また、コア質量が孤立質量に なる前に限界コア質量に到達した時は Phase 2 はなくなる。この状況は、3 節で説明した 状況と基本的には同じであり、孤立質量が限界コア質量よりも大きくなるという状況は、 大気中のダスト量が少ない、つまり、f が十分小さい時、もしくは、ガスディスクの面密 度が高い時に実現される。 さて、Ikoma et al. (2000) の結果を最近の惑星集積の理論に適用することを考える。図 6 は、横軸に太陽からの距離、縦軸には惑星の形成時間をプロットしたものである。ここ で、惑星の形成時間というのは、惑星が急激なガス捕獲を始める (Phase 1 から Phase 3 の始め) までの時間を意味する。この時、コア質量 M が、M = min(Miso ; Mcrit core ) となった 時に微惑星集積率を 0 にした。図 6 より、木星型惑星の形成時間がもっとも短いのは、木 星領域付近である。木星型惑星の形成時間は、木星領域よりも左側では Phase 2 の時間に よってほぼ決められ、逆に、右側ではコアの成長時間によってほぼ決められている。 さて、彼らの結果を使って、木星型惑星が形成できるかどうかを考える。観測されてい るガスディスクの質量の不定性 (1003 Msun 1001 Msun ) を考慮し、また、ガス散逸時間を 最大 108 年と仮定する。すると、この時、図 6 より木星、土星、 天王星を現在の軌道長 2 10 図 6: grain opacity が gr = 1cm2 =g (a) と 0:01cm2 =g (b) の時の惑星の形成時間。横軸 H H は、軌道長半径。実線、破線、点線は、それぞれ 6 = 6H d ; 26d ; 46d の時の形成時間を表し H ている。ここで、6d は、最小質量太陽系星雲の面密度である。a > 2:7AU では氷が融け ずに固体として存在できる。そのため図において惑星の形成時間が急激に減少したのは、 惑星の材料としての固体物質が増えて惑星を早く形成できるようになったためである。 半径の場所で内部構造の見積もりと矛盾しないサイズのコアを形成することができる。つ まり、10ME 程度の質量のコアをガスディスク散逸時間内に形成することができるように なる。但し、上記の見積もりはガスディスクの散逸時間などの制限を緩めているため、実 際は天王星、場合によっては土星も今の場所で形成できないということもあり得る。しか し、海王星は上記の不定性を考慮しても、現在の場所で内部構造の見積もりと一致するぐ らい大きなコアを作ることはできない。 このことは、木星型惑星の形成にとって重要な問題であり、天王星、海王星の形成に関 してはその場でコアを成長させるというプロセスを考えるのではなくて、何らかの別の プロセスを取り入れた上でコアの成長を考えなくてはいけない。現在、惑星集積理論より 原始惑星が大きくなるとお互いに軌道反発をおこし、外側へ移動することがわかっている (Kokubo and Ida 1998)。ゆえに、このようなプロセスを加味することによって、天王星 や海王星を形成することが出来るかも知れない。また、木星型惑星形成に関する別の問題 として惑星の落下問題がある (Ward 1997) 。これは、1ME 程度の原始惑星がガスデ ィス クとの相互作用により、惑星の角運動量が失われて内側へ移動する現象である。木星領域 では、1ME の原始惑星が太陽に落下する時間は、6 105 年と見積もられている (Tanaka and Ida 1999)。これは、コアが大量のガスを集める前に太陽に落ちてしまい、木星型惑 星が形成されないことになる。このことは重要な問題であり、コアが太陽に落ちる前にガ スを獲得するなんらかのプロセスを考える必要があるが、今の所まだはっきりとした理論 的説明はされていない。 2 11 5 系外惑星について 現在、かなりの数の系外惑星がドップラーシフトの観測により発見されている。1 節で 述べたように、多くの系外惑星は中心星のごく近傍を回っていることがわかる。このよう な系外惑星を中心星近傍で形成させることは、木星型惑星形成理論にとって大変困難な問 題である。なぜならば、最小質量太陽系星雲の中では惑星の軌道長半径が小さくなると 式.(2) で与えられる孤立質量が大変小さくなるため、コアが周りのガスを捕獲できない、 もしくは、ガス捕獲に 107 年以上の時間がかかり、現在の大きさまで成長できないからで ある。これは、図 6 を見ても明かである。そこで、最近では系外惑星の形成に関して様々 な方法でその形成を説明しようとする試みがなされてきている。 Papaloizou and Terquem (1999) では、外側から内側へと原始惑星を移動させて、その 間に微惑星を集めることによって、コアを成長させるというモデルを提案した。 一方、観測されている場所で系外惑星が形成できるのではないかという研究も Bodenheimer et al. (2000) や Ikoma et al. (2001) などで行なわれている。Bodenheimer et al. (2000) は、47UMa と 51Peg の系外惑星に対してその形成を説明しようとした。まず、 47UMa に対して、2:1AU 付近で微惑星の面密度が 90g=cm2 程度あれば、2 106 年で惑 星を形成することができることを示した。また、51Peg に対しては外側から落ちてくる微 惑星によって 0:05AU 付近に微惑星が供給されるというプロセスを考えることによって、 51Peg のその場形成を議論した。その結果、51Peg の微惑星集積率が M_ core = 1005 ME=year であれば、約 4 106 年で形成できることを示した。この時、コア質量は 40 50ME にな る。しかし、彼らの計算で使われた微惑星集積率はかなり大きく、惑星形成の間ずっと微 惑星が供給され続けるとは考えにくい。また、面密度に関しても最小質量太陽系星雲のそ れに比べて 40 倍ぐらい高く設定されており、このような重たいデ ィスクが実際に存在す るかどうかはわかっていない。 Bodenheimer et al. (2000) ではある系外惑星に対してその形成を説明するために、個々 の系外惑星に対して特殊な状況を設定した。そこで Ikoma et al. (2001) ではそのような 特殊な状況を設定せずに、すべての系外惑星の形成を現在の標準モデルの枠組みの中で 説明しようとした。そのために、様々な質量を持ったディスクを考え、その中で限界コア 質量がどのように変化するかを調べた。その結果、十分重いデ ィスクや最小質量太陽系 星雲の質量程度のデ ィスクでも惑星の軌道長半径が十分小さければ、惑星大気の外側に あった輻射層がなくなり、全対流となるため限界コア質量がその軌道長半径に依存するこ とを指摘した。つまり、中心星からの距離に応じてコアの限界コア質量が異なることにな る。彼らは、この結果から最小質量太陽系星雲の 20 倍程度の面密度を持つディスクなら ば、限界コア質量が 0:1AU で 2 3ME となることを示した。この値は、式.(2) の孤立質 量 ( 1:6ME ) と比べてもさほど大きくなっておらず、系外惑星のその場形成が現在の標 準モデルの枠組みの中で十分説明可能であることを示唆した。しかし、仮定されたディス クの面密度が観測されている上限値よりもまだ大きい値となっているのは、問題である。 さて、系外惑星の形成において、特に中心星近傍の系外惑星形成において、そのコアが 限界コア質量まで成長できるかどうかという問題の他に、惑星が木星質量程度のガスを捕 獲できないのではないかという問題も指摘されている。惑星は、自分の重力圏 (Hill 半径 内) の中にあるガスを集積すると、惑星はデ ィスクとの間にギャップを作り、それ以上ガ スを集める事ができなくなる (Lin and Papaloizou 1993) 。結局、惑星が集積できるガス 2 2 12 の量は、最小質量太陽系星雲モデルを使うと M ' 3:0 2 1001 6 6 g H g !3 2 = a 3 =4 1AU MJ (4) となる。ここで、MJ は木星質量を、6g と 6H g はそれぞれガスディスクのガスの面密度と 最小質量太陽系星雲のガス面密度を表している。さて、式.(4) の見積もりは、たとえ惑星 のコアが限界コア質量まで成長しても、Table 1 にあるような質量までガスを捕獲できな いことを意味している。しかしながら、Eq.(4) からわかるように集められるガスの量は ディスクの状態に大きく依存している。また、このガス量は、惑星とガスディスクとの間 のギャップ幅によっても大きくその量を変化させる。このため、ガス集積量の問題もコア の成長問題と同様に様々な議論がなされているところである。 現在、形外惑星の観測は盛んに行なわれており、今後たくさんの系外惑星が発見される だろう。しかも、最近では中心星の周りに 3 つの系外惑星が回っている"系外惑星系"も見 つかってきている。また、光学的な観測により系外惑星の半径や軌道傾斜角なども徐々に わかってきている。理論的には、系外惑星の形成は、惑星集積理論で予想されるコア質量 の頭打ちの問題や惑星落下問題、ガス集積の問題などをクリアしなければならず、また、 これらの問題はまだ不確定なデ ィスク内側の状態 (密度や温度など) に大きく関係してい る。今後、我々太陽系の木星型惑星の形成だけでなく、このように多様な軌道にいる木星 型惑星の形成を、特別な仮定を使わないで無理なく説明できるようにしなくてはならな い。また、このことが、これからの我々の課題であると考えている。 6 参考文献 1986. Calculations of the accretion and evolution of giant planets: the eects of solid cores. Icarus, 67, p.391 Bodenheimer, P., O. Hubickyj, and J. J. Lissauer 2000. Models of the in situ formation of detected extrasolar giant planets. Icarus, 143, p.2 Cameron, A. G. W. 1978. Physics of the primitive solar nebula and of giant gaseous protoplanets. Protostars and Planets (Eds. T. Gehrels, Univ. of Arizona Press, Tucson) , p.453 DeCampli, W. M., and A. G. W. Cameron 1979. Structure and evolution of isolated giant gaseous protoplanets. Icarus, 38, p.367 Guillot, T., G. Chabrier, P. Morel, and D. Gautier 1994. Nonadiabatic models of Jupiter and Saturn. Icarus, 112, p.354 Guillot, T. 1999. Interiors of giant planets inside and outside the solar system. Science, 286, p.72 Ikoma, M., K. Nakazawa, and H. Emori 2000. Formation of giant planets: Dependences on core accretion rate and grain opacity. Astrophys. J., 537,2, p.1013 Ikoma, M., H. Emori, and K. Nakazawa 2001. Formation of giant planets in dense nebulae: critical core mass revisited. Astrophys. J., 553,2, p.999 Kokubo, E., and S. Ida 1998. Oligarchic growth of protoplanets. Icarus,131, p.171 Bodenheimer, P., and J. B. Pollack 13 Lin, D. N. C., and J. C. B. Papaloizou 1993. On the tidal interaction between protostellar disks and companions. Protostars and Planets III (Eds. E. H. Levy and J. I. Lunine, Univ. of Arizona Press, Tucson) , p.749 Marcy, G. W., and R. P. Butler 1998. Detection of extrasolar giant planets. Annu. Rev. Astron. Astrophys.,36, p.57 Mizuno, H., K. Nakazawa, and C. Hayashi 1978. Instability of a gaseous envelope of proto-Jovian planets. Prog. Theor. Phys.,60, p.699 Mizuno, H. 1980. Formation of the giant planets. Prog. Theor. Phys.,64, p.544 Papaloizou, J. C. B., and C. Terquem 1999. Critical protoplanetary core masses in protoplanetary disks and the formation of short-period giant planets. Astrophys,521,2, p.823 Perri, F., and A. G. W. Cameron 1974. Hydrodynamic instability of the solar nebula in the presence of a planetary core. Icarus,22, p.416 Podolak, M., W. B. Hubbard, and J. B. Pollack 1993. Gaseous accretion and the formation of giant planets. Protostars and Planets III (Eds.E. H. Levy and J. I. Lunine, Univ. of Arizona Press, Tucson), p.1109 Stevenson, D. J., and E. E. Salpeter 1977. The dynamics and helium distribution in hydrogen-helium uid planets. Astrophys. J. Suppl., 35, p.239 Tanaka, H., and S. Ida 1999. Growth of a migrating protoplanet. Icarus,139, p.350 Ward, W. R. 1997. Protoplanet migration by nebula tides. Icarus,126, p.261 Wuchterl, G., T. Guillot, and J. J. Lissauer 2000. Giant planet formation. Protostars and Planets IV (Eds.V. Mannings, A. P. Boss, and S. S. Russell, Univ. , p.1081 of Arizona Press, Tucson) 阿部豊 1997. 太陽系の起源、松井考典(編) 比較惑星学、岩波講座 地球惑星科学, No.1, 岩波書店、第 5 章 渡邊誠一郎、井田茂 1997. 比較惑星系形成論、松井考典(編 ) 比較惑星学、岩波講座 地球惑星科学, No.12, 岩波書店、第 3 章 14 用語集 AO(Adaptive Optics:補償光学) 観測天体の近くにある星を参照星として使って、波面の乱れる様子を測定し、 鏡を変形制御することで波面の歪みを補正する光学系。現在は主に近赤外観測 に応用されている。トラペジウム アモルファス 結晶性をもたない原子配列をした固体の状態。 アルフベン速度 磁力線とガスがカップルしているとき、磁力線は質量を持ち張力をかけられた 糸のように振舞う。この糸が弾かれた時に起こる擾乱の伝播がアルフベン波で あり、その時の速度がアルフベン速度。磁気が強い程速く、ガスの密度が濃い ほど遅くなる。 アレニウス則 反応速度と活性化エネルギー(ある化学反応を起こさせるのに必要なエネル ギー)との関係を表した式。 SPH Smoothed Particle Hydroynamics の略。流体の代わりに擬粒子を用いた流体 計算の手法。 エピサイクリック振動数 ある天体が円運動以外の軌道で、ある重力源をまわっているとする。その場 合、この天体は、重力源に近付いたり遠ざかったりすることになる。その周期 のことをエピサイクリック振動数という。ケプラー軌道の場合には、この振動 数は、近点→遠点→近点の周期のことを指しているので、ケプラー周期と等し くなる。重力源が点源ではない一般の場合には、(7) 式(原始惑星系円盤にお ける電磁流体過程)のように表される。 MHD プラズマを流体として記述するには、電子とイオンを別々の流体として記述す ることになるが、それを2つを合わせた単一流体として扱う手法。荷電粒子が 磁力線の周りを回転する半径( Larmor 半径)が充分に小さければ、この手法 でプラズマを扱っても問題はない。 エンタルピー 熱含量、熱関数ともいう。系の熱力的学関数で、内部エネルギーを U とした とき、H = U + P V で表される量。P は圧力、V は体積である。定圧変化を 論じるのに便利な量である。 回折限界 望遠鏡のもつ限界の分解能のこと。光の回折効果によって決まるので回折限界 と呼ばれる。 回転座標系 ここでは、着目している軌道半径で Kepler 円運動する座標系を指す。 寡占的成長 成長した原始惑星は、重力散乱によって、周囲の微惑星のランダム速度を跳ね 上げ、自身の成長を鈍らせる。この効果は、重い原始惑星になる程強く働くの で、結果、原始惑星同士は互いの質量が等しくなるように成長率を調節され る。この様な成長様式を寡占的成長と呼ぶ。 褐色矮星 重力エネルギーで水素ガスが圧縮され高温にはなるが、太陽質量の8%以下で あるため水素の核融合反応が起きず、恒星に比べると非常にくらい星のこと。 ダークマターの候補とも考えられる。 活性化エネルギー 反応前の状態のエネルギーと遷移状態のエネルギーの差。 カノニカル分布 体積 V 、粒子 NI (i = 1 のうちエネルギーが Er という状態が出現する確率 Pr が Pr = C exp( Er =kT ) であるような統計的集団をカノニカル集団あるい は正準集合という。但し、k はボルツマン定数、また、C は 6Pr = 1 より、 C = 1=6 exp( Er =kT ) で決まる定数である。 0 0 軌道周期 物体が中心星の周りを一周する時間のことを示す。 軌道長半径 楕円の軸で長い軸のこと。楕円を x2 =a2 + y 2 =b2 表す。 = 1(a > b) と表すと a の事を 凝縮温度 物体がある温度に達すると過飽和状態となり、凝縮し始める。その温度を凝縮 温度と呼ぶ 共鳴現象 ここでは、個々の天体の運動に含まれる振動周期が整数比となった時に起こる 共鳴のことを指す。Kepler 公転周期に関する共鳴(平均運動共鳴)や楕円軌 道の歳差運動の周期(即ち、近日点引数及び昇降点経度の回転周期)に関する 共鳴(永年共鳴)等がある。一般に、共鳴関係にある天体同士は、高い軌道離 心率を持つことになる。 空間密度 空間的に分解した時の物質の密度を表す。 クラウジウス−クラペイロンの式 一成分二相系が平衡状態にあるとき、それぞれの相における1モル当たりのギ ブズエネルギー ( G = H - TS で定義される量) は等しい。 クラック ヒビのこと グリーンバーグモデル 星間空間中の微粒子は 2 重,3 重の複雑な内部構造をもち,太ったりやせたり を繰り返す、という、ダスト微粒子のモデル グリフィスクラックの理論 破壊(ひび割れ )に関する理論。表面エネルギーの増加とひびを結び付けて いる。 グレインオパシティー 粒子の不透明度 系外惑星 太陽系外にある惑星で、現在数十の系外惑星が間接的に発見されている。 ケプラー速度 惑星が太陽の周りを円軌道で回転する速度 ケルビンヘルムホルツ不安定 並行して流れる流体の速度に差がある場合に、流体境界が波うつ現象。 限界コア質量 大気の静水圧平衡が実現できなくなる質量。この質量を超えると急速なガス集 積が起こり始める。 原始太陽系星雲 銀河系内空間に漂う星間雲が凝縮し、その結果原始太陽が形成される。このと きにできる原始太陽の周りの円盤状の星雲のことを示す。 原始惑星系円盤 若い星の周囲にある円盤状構造。中心星のまわりの分子雲が中心星に落下する さいに、角運動量の保存から円盤状の構造になる。 光学的に厚く 光が通過しにくい状態を光学的に厚い、光が通過しやすい状態を光学的に薄い という。光学的に厚いと、放射した光を再び自分自身で吸収してしまうので、 放射によってエネルギーを逃がしづらくなる。 格子欠陥 結晶格子中の原子配列が規則的に乱れていること。 黒体 あらゆる波長の電磁波を完全に吸収する物体を黒体と呼ぶ.この黒体はその物 体の温度に応じた電磁波を放射する.ウィーンの近似則・レイリージーンズの 近似則 コリメート 並行になる、一直線にする。 circumbinary disk 連星の各星の周りではなく、連星を取り囲むようにある円盤。 差動回転 円盤の内側の方が速く回転し、外側の方が遅く回転するような、回転速度に差 がある回転 シア 『剪断』ともいう。場所による流速の変化のことをいい、原子惑星系円盤の半 径方向ではケプラー速度の違いによりシアが生じている。 ジオット ヨーロッパ宇宙機関(ESA)の探査機。ハレー彗星核への突入観測で有名 磁気圧 磁場の圧力。磁場に圧力があるの?という人は、次のように考えるといい。磁力線 は一箇所に集めようとすると、ばらけようとする性質がある。電離したガスも、 磁力線と一緒に動こうとする。その力を Maxwell 方程式をつかってエイヤと変形 すると、圧力のように書くことができて、F = (Pmag + Pgas ); Pmag = B 2 =8 π となる。正確な理解には、電磁気の教科書を読むこと。 r 自己重力不安定 原子惑星系円盤のダストが赤道面に沈降する。その密度がある一定の密度 ( Roche 密度 )を超えると 、そのダストの自己重力により、重力不安定が生 じ、微惑星が形成される。 磁場とガスがカップルした 磁場中では電荷を持つ粒子は運動方向に対して横向きに力を受ける(フレミン グの左手の法則を覚えているか?) 。そのため、荷電粒子の運動は磁力線の周 りをぐるぐるまわる運動になる。この状態で磁力線を動かすと、荷電粒子ガス は磁力線と一緒に動き、また荷電粒子ガスを動かすと逆に磁力線がガスに引き ずられて動く。このように磁力線とガスが一緒に動く状態を磁場とガスがカッ プルした状態という。 シューメーカーレビー第9彗星 1994年夏、木星に衝突した彗星。その痕跡は半年以上も観ることができた。 準静的変化 気体が平衡から無限小だけずれた状態を考えて、熱平衡を保ったまま外部に対 し仕事をするような変化。この場合、逆過程をたどることもできるので可逆変 化である。 数密度 単位体積あたりの粒子の数。 スケールハイト 系の特徴的な高さ。この場合には円盤の厚さと思って良い。 ステラーコロナグラフ・オカルティングマスク ステラーコロナグラフは中心にある星を覆い隠し、通常では星の光で遮られて 見えない星の周辺構造や近くにある天体を観測するための装置である。これは 中心星を隠すオカルティングマスクと周辺の回折・散乱光を抑えるためのリオ ストップで構成されいる。 スト レステンソル 摩擦によって、どのような力が働くのかを記述する量。r φ成分であれば、動 径方向に垂直な面を通して(つまり、円盤の内側の物質から、外側の物質に対 して)与えられるφ方向の摩擦力を意味する。 スペクト ル 振動,波動現象において,ある量 X の時間的あるいは空間的変動を正弦関数 的成分に分解したとき,各成分の強さ (振幅の絶対値の 2 乗) の組を X のスペ クトルという. 星間雲 銀河系内の空間 (星間空間) に広がるガス雲をいう.ふつう,中性水素雲 (水素 原子の雲) ,電離水素領域,分子雲,高温ガス雲 (ホットプラズマ) を指す.広 義には惑星状星雲,超新星残骸なども含む.いずれも成分はガスがほとんど で,ほかに塵がわずかに混在するため,星間ガスとも呼ばれている. 静水圧平衡 外場(重力場など)がある状態での力学的な平衡状態。 赤道面 球の中心を通り自転軸に垂直な平面。地球の場合、赤道を通り自転軸に垂直な 平面。 線形化 微小な摂動を考えている場合に、方程式に微小な量同士のかけ算の項が現れる ことが良くある。その場合、その項は非常に小さな値になるので、無視が出来 ることが多い。これらの項を削って行くと、式は非常にシンプルになり、解析 しやすくなる。この操作を線形化という。 双極子 2 重極ともいう.微小距離 l をへだてておかれた正負のわき出しの 1 対のこと をしめす。 双極子モーメント 双極子の強さを表わす量を示す。 速度分散 速度の分散をとったもの。 太陽放射 太陽から地球に降り注ぐ光のこと。波長約 0.5 マイクロメートルが最大値。 対流輸送 流体の対流によって起こるエネルギー輸送。 ダスト 原子惑星系円盤に浮かぶ塵のことをいう。これらが衝突を繰り返して微惑星が 形成される。 弾性定数 物質の弾性としての性質を表す定数。ヤング率、ポワソン比、体積弾性率、剛 性率の4つがある。 弾性率 ひずみ(物体や物体の一部の体積や形が変化すること)と応力(物体を変形さ せるための力、あるいは物体がそれに抵抗する逆向きの力)の比。 地球型惑星 太陽に近い水星、金星、地球、火星は「地球型惑星」と呼ばれる。おもに岩石 や金属から構成され、半径が小さい割には密度が大きい(約 3g=cm3 )。偏平 率は小さくて、ほとんど球形をしている。衛星数は木星型惑星に比べると少な く、大気は木星型惑星に比べると薄い。水星のように、ほとんど大気がない惑 星もある。 中心星 真ん中にあるおほしさま。 T タウリ星 恒星の進化の一過程。原始惑星系円盤があるときは恒星はこの状態である。 ト ーラス 円環体、つまり、ド ーナッツ状の曲面のこと。 ド ップラーシフト 波源と観測者の相対的な運動がある場合に生じる波の振動数や波長の変化。こ の効果 は 視線速度 と呼ばれる観測者に向かう方向、または遠ざかる方向の 速度成分によってのみ生じる。光の場合、光源が速度 v で運動しているとする 0 v と、波長のずれは 0 0 = c により与えられる。ここで と 0 はそれぞれ観 測される波長と実験室での波長である。光源の相対速度は、観測者から離れて いくとき に正にとり、観測者に近づいていくときに負にとる。前者の場合は 波長は長波 長側にずれ、後者の場合は短波長側にずれる。 ハロー こんにちは。ではなく、円盤の周囲に存在する薄いガスのこと。 微惑星 原始惑星系円盤のガス中に浮かんでいた小さなチリが集まってできた半径 1 10 キロメートルまで成長したもの。微惑星が衝突合体し、地球型惑星、木星型惑 星の中心核ができると考えられている。 輻射輸送 輻射によって起こるエネルギー輸送。熱エネルギーの輸送には対流輸送、輻射 輸送、伝導輸送の3つがある。 プラズマ 荷電粒子と中性子とによって構成され、集団的ふるまいをする準中性気体を 示す。 プラズモイド ちぎれたプラズマの塊。 分散関係式 / 0 ある媒質の中の波は、 exp(i!t ikx) という形で表されれる。この波の時間 発展と波長の関係を ! と k の関係で書き表した式を、分散関係式という。音 波のように、進行速度が音の高さによらず一定の場合には、! は k によらずに 一定の値をもっていることになる。しかし、一般には ! は k の関数になってお り、波の時間発展は波長に依存する。この時、k の値によっては ! が虚数成分 を持ち、複素数になる場合もある。この場合、exp(i!t ikx) という波の i!t の部分は実数成分を持ち、この波は伝わって行く間に指数関係的に増大(また は減衰)することになる。このような場合には、波はどんどん大きく成長して 行くことになり、その系は不安定である。 0 分子雲コア 星の元となる分子雲の中で密度が高い部分。 分子間結合エネルギー 分子同士の結合エネルギー。分子間力によるエネルギー。 分子間力 分子間に働く引力または反発力(斥力)の総称。ファンデルワールス力、水素 結合など。 β ガス圧/磁気圧。βが小さいほど磁場が強いことに注意。電磁気学初心者は間 違えやすいのよ∼。 偏光 ある特定の方向にだけ電場ベクトルの振動する光。直線偏光、楕円偏光、円偏 光がある。 ボラタイル 揮発性の高いという意味。英語『 volatile 』 ポリト ポピックな関係式 一般には、圧力は密度と温度の2変数によって決まるが、圧力が密度のみに よって決まると仮定して、P = K1+1=n と置いた関係式。温度が密度のみに よって決められると考えても良い時に使える。 G 磁場の強さの単位。といわれても、惑星系の学生には、どの程度の強さだか さっぱりの人も多いだろう。ちなみに地球磁場の強さは、0:5G = 5 105 G 程度であり、ピップエレキバンの強さが 800G = 8 108 G 程度である。 2 2 木星型惑星 木星、土星、天王星、海王星は「木星型惑星」と呼ばれる。大部分は水素やヘ リウムなどの軽いガスによって構成されている。このため、半径が大きい割に 密度が小さい (約 2g=cm3 ) 。また、衛星の数が多く、それぞれ環を持つことも 特徴的である。偏平率は比較的大きい。これは自転周期が地球よりも短く( 16 時間以下。木星は 10 時間ほどである)、遠心力によって赤道方向が少しふくら んだ形をしているからである。 ヤング率 物質が弾性的に挙動する場合の応力 S とひずみ a の比。 ランダム速度 軌道離心率 e 、軌道傾斜角 i 、で楕円運動している天体を Kepler 円運動する座 標系から見ると、速度 vr sqrte2 + i2 vK( vK:Kepler 速度)で飛び回ってい るように見える。この速度 vr をランダム速度と呼ぶ。一般に、ランダム速度 が小さい天体同士が接近すると、相対速度が小さいので衝突し易く、逆に、ラ ンダム速度が大きい天体同士だと、相対速度が大きくなって、衝突しづらく なる。 力学的摩擦 統計力学におけるエネルギー等分配に対応する効果。Kepler 円運動している 座標系における、質量 m の天体の運動エネルギーは、ランダム速度 vr を用い て、1=2m(vr )2 と表されるので、重力相互作用によってエネルギーが等分配さ れ、天体のランダム速度(即ち、軌道離心率 e 、軌道傾斜角 i )は、m01=2 に 比例するような大きさに緩和して行く。→ランダム速度 (磁気)リコネクション 磁力線がぐるぐるにねじれてしまった時には、磁力線をより単純に繋ぎ替えた 方がエネルギー的に有利になる。何らかのきっかけで起こる磁力線の繋ぎ替え をリコネクションといい、ねじれていた磁力線のエネルギーが解放される。詳 しいメカニズムは未だに良くは分かっていない。 YSO Young Stellar Object の略で、主系列段階にはいる前の若い星の総称。 地球電磁気・セッション 日程 7/17 10:00 – 12:00 7/18 09:30 – 16:00 16:30 – 17:30 セッション紹介 セッション勉強会 セッション報告 @1F 研修室 @1,2F 宿泊室 @1F 研修室 セッション紹介 地球電磁気夏の学校参加者全体で集まって、自分の公演の概要を OHP を用いて紹介し ます。他のセッションの人にも自分の公演の概要を聞いてもらい、その後の懇親会や自 由時間等のディスカッションに繋げていくことが目的です。 注意事項 • 1 人あたり 1 分程度、O H P 1 枚程度です。 • 発表者は O H P 1 枚程度に、自分の公演の概要をまとめてきてください。 セッション勉強会 各自が登録したセッションにて、セッションのテーマに沿った議論を行います。セッシ ョンの議事進行に関しては、各セッションの座長に従ってください。各セッションの時 間割、及び公演者と公演タイトルは次ページ以降をご確認ください。セッションに関す る質問等は、座長にお願いいたします。 注意事項 • 施設の都合上、OHP は使えません。座談会風の発表になることを考えて講演の準 備をしてきてください。 • 公演はレジュメを用いて行ってください。レジュメの部数は、「セッション参加者」 + 「 事 務 局 提 出 分 ( 一 部 )」+「自由見学者、フリーディスカッション用」を目安 に準備をしてきてください。 • 夏の学校終了後、各セッションの座長は参加者のレジュメを集めて、事務局まで持 ってきてください。後日、レジュメをまとめて、電子文書形式で配布する予定です。 セッション報告 セッション終了後、地球電磁気夏の学校参加者全体で集まり、各セッションの座長にセ ッションの報告をしてもらいます。セッションにてどのような議論がなされたか、どの ような意義や問題点があったのかなどを議論し、今後の夏の学校のセッション改善に役 立てていくことが目的です。また、自由見学コースの方に一言ずつ感想を述べてもらい ます。 注意事項 • 座長が発表を代表して行いますが、セッションの反省点などはセッションの最後に セッション参加者全員で話あってください。 セッション一覧 セッション リコネクション サブストーム 加速・加熱 不安定性 ダイナモ・電流系 カスプ オーロラ・発光現象 大気重力波 太陽風 固有磁場 自由見学コース 座長 場所 時間 銭谷誠司 102 号室 10:00 – 15:50 103 号室 09:30 – 15:50 104 号室 10:00 – 16:00 105 号室 10:00 – 15:00 106 号室 10:00 – 14:00 107 号室 10:00 – 15:50 204 号室 09:30 – 15:55 205 号室 10:00 – 15:00 206 号室 10:00 – 16:00 207 号室 10:00 – 16:00 (東大 STP) 古賀大樹 (九大羽田研) 水田孝信 (東大 STP) 梅田隆行 (RASC 松本研) 松岡洋介 (京大理) 市川洋一 (宇宙研小山研) 足立和寛 (名大 STE-2) 横山竜宏 (RASC 深尾研) 片岡龍峰 (東北大福西研) 大内田敦郎 (東工大綱川研) リコネクション @102 号室 座長:銭谷誠司(東大 STP D1) プラズマ中で逆向きの磁力線が繋がりあう磁気リコネクション過程は、太陽フレアや磁気 圏サブストーム、高エネルギー天体等、さまざま領域の物理現象に関わっています。この セッションでは、基礎的な理論、地球磁気圏の観測、数値シミュレーションといったさま ざまな切り口から、リコネクションを紹介していきたいと思います。さらに、これまでの 2次元リコネクションモデルの延長で3次元性を取り入れた場合、どんな面白い効果が見 つかるのか、議論・アイデアを募りたいと思っています。 Time Table 10:00 - 10:30 Introduction 銭谷誠司(東大 STP D1) 10:30 - 10:50 Diffusion region における electron の振る舞い 藤本桂三(京大理 M1) 10:50 - 11:10 リコネクションジェット先端領域の不安定についての流体的研究 丹所良二(東工大藤本研 M1) 11:10 - 11:40 磁気リコネクションの3次元ハイブリッドシミュレーション 中林潤哉(宇宙研 STP COE) (休憩) 13:00 - 13:30 プラズモイドの非線形発展 阿部修英(東大 STP D3) 13:30 - 13:50 plasmoid の counter stream の観測 辻田大輔(宇宙研 STP M1) 13:50 - 14:20 サブストーム開始時の磁気圏尾部の変化: GEOTAIL 衛星のデータによる統計解析 宮下幸長(京大理 D3) 14:20 - 14:50 電離圏擾乱から推測する昼間側リコネクションの描像 細川敬祐(京大理 D2) 14:50 - 15:20 マグネトテイルの SOC 永田忠史(九大羽田研 M2) 15:20 - 15:50 相対論的磁気リコネクションにおける非熱的粒子の加速生成 銭谷誠司(東大 STP D1) サブストーム @103 号室 座長:古賀大樹(九大羽田研 D1) 『サブストーム』という言葉はすでに確立されたものであるかのように、数々の文献や本 などに登場します。しかし、本質的なところはいまだ解明されておらず、現在もなお磁気 圏物理の中心にこのテーマは存在し続けています。本セッションでは、これまで細分化さ れていた各領域(磁気圏尾部、内部磁気圏、地上、木星磁気圏)における現象を包括的に 理解し、サブストームという現象をグローバルな視点から捉えることを目的として行いた いと考えています。また本セッションでは、塩川氏によるレビューも予定されており、サ ブストーム研究の過去の業績や今後の発展などを基本的なところから詳しく話して頂く予 定です。 形式は各参加者が興味を持っている現象に対して、基本的なところからお話いただき、 それについて議論を行う予定です。 Time Table 09:30 - 11:00 サブストームオンセットメカニズムに関するレビュー 塩川和夫(名大 STE-2 助教授) 11:00 - 11:30 サブストーム時の磁気圏遠尾部の描像 高田拓(名大 STE-4 D1) 11:30 - 12:00 サブストーム開始前後の磁気圏尾部の変化と質量・エネルギー輸送 宮下幸長(京大理 D3) (休憩) 13:00 - 13:30 サブストーム時の磁気圏尾部圧力変動の位置及びサブストーム強度依 存性 山口類(九大電磁研 D2) 13:30 - 14:00 Pi2 型地磁気脈動とプラズマ圏との関係 小阪和宏(京大理 M2) 14:00 - 14:20 Pi2 型地磁気脈動の磁力線共鳴振動に関する研究 関悠子(九大電磁研 M1) 14:20 - 14:40 静止軌道からみたオーロラ発光現象と Pi2 型地磁気脈動 古賀大樹(九大羽田研 D1) 14:40 - 15:00 AE 指数の異常変化時におけるグローバルな磁場変動 金子雅裕(京大理 M1) 15:00 - 15:20 木星デカメートル電波の出現特性について 河内亜希子(東北大小野研 M1) 1520 - 15:50 木星磁気圏で観測されたストームライクな現象 工藤理一(東北大 PPARC M1) 加速・加熱 @104 号室 座長:水田孝信(東大 STP M2) 宇宙空間プラズマは、衝突が少なく、熱平衡にならないため、一般には Maxwell 分布をし ていません。粒子は場との相互作用により、ある方向のみの粒子加熱、少数の粒子の大き なエネルギーの獲得、特定の粒子のみ加熱、さらにはとても複雑な分布関数の形成などが おきます。その相互作用は電離層や磁気圏、宇宙空間での現象に大きな役割を果たしてい ます。本セッションでは、このような非流体的な粒子の、場との相互作用による振る舞い の理解を目指します。 Time Table 10:00 - 10:05 このセッションについて 水田孝信 (東大 STP M2) 10:05 - 10:25 論文紹介:Ionosphere-magnetosphere simulation of small-scale structure and dynamics 岩政和俊 (名大 STE-4 M1) 10:25 - 10:45 金星イオノポーズ周辺での superthermal ion 寺田直樹 (京大理 D4) 10:45 - 11:05 Earth's Bow Shock 上流および magnetosheath で見られる高エネルギー 粒子 flux の解析 桂華邦裕(京大理 M1) 11:05 - 11:25 準垂直衝撃波におけるピックアップイオン加速 岡光夫(東大 STP M2) 11:25 - 11:45 tail における粒子加熱 今田晋亮(東大 STP M1) (休憩) 13:30 - 13:50 月周辺におけるプラズマ物理 二穴喜文(京大理 D2) 13:50 - 14:10 太陽フレアにおける電子の選択的加速 秋場良太(宇宙研 STP M1) 14:10 - 14:30 Super-Alfvenic electromagnetic ion-cycrotoron wave による heavy ion の選 択的加熱 水田孝信(東大 STP M2) 14:30 - 14:50 ゆらぎのある磁場中での宇宙線の垂直拡散:準線形理論の妥当性 大塚史子(九大羽田研 D1) 14:50 - 15:10 軟ガンマ線リピーター 竹井康博(東大 STP D1) 15:10 - 16:00 総合討論会 不安定性 @105 号室 座長:梅田隆行(京大 RASC 松本研 D1) 「不安定性」って一体何種類ぐらいあるんでしょうか?集まったみんながそれぞれ別の不 安定性を研究している、そんなグループです。そこでこのセッションでは、参加者がそれ ぞれ、自分の研究に関連のある不安定性について紹介してもらうことにしました。数種類 の不安定性の基本的な原理および実際の宇宙空間の現象についての理解を目指す、素人に やさしいセッションです(たぶん) 。 Time Table 10:00 - 10:40 Beam-Plasma 不安定性(I): 分散関係式と線形理論 山本敦士(京大 RASC 橋本研 M2) 10:40 - 11:20 Beam-Plasma 不安定性(II): 非線形発展と静電孤立波 梅田隆行(京大 RASC 松本研 D1) 11:20 - 12:00 Beam-Plasma 不安定性(III): バウショック周辺におけるプラズマ波動 励起 岩田元希(京大 RASC 松本研 M2) (休憩) 13:00 - 13:40 LLBL(低緯度境界領域)における二成分プラズマについて 高島貞裕(東工大長井研 M2) 13:40 - 14:20 Kelvin-Helmholtz 不安定を介した異種プラズマ混合過程の物理 松本洋介(東大 STP D2) 14:20 - 15:00 地磁気擾乱に見られる自己組織化臨界現象 渡辺佑治(名大 STE-4 D1) ダイナモ・電流系 @106 号室 座長:松岡洋介(京大理 M1) 当セッションでは、ダイナモ作用やオーロラジェットに伴う電離層電流をはじめとする地 球を取り巻く種々の電流系をテーマとしています。発表時間は基本的に 15 分+(質問)5 分 の 20 分ですが、時間的にかなりの余裕があるので、予備の時間を設け延長が可能にしてあ ります。発表形式は若い人が多いので、レジュメを使った勉強会のようになればいいかと 思います。ドクターの方々のアドバイスなどを期待しております。 Time Table 10:00 - 10:05 軽く自己紹介 10:05 - 10:25 ダイナモの基礎理論 松岡洋介(京大理 M1) 10:25 - 10:45 磁気赤道領域における Electrodynamics 青木応樹(宇宙研小山研 M1) 10:45 - 11:05 FM-CW レーダーを用いた電離層電場の研究 石原隆一(九大電磁研 M1) 11:05 - 11:25 イオ・ウェイクでの発電効果 岩田智司(東北大小野研 M2) 11:25 - 12:00 予備の時間 (休憩) 13:00 - 13:20 ULF 波動の伝搬過程における、真の電離層効果成分を抽出するには? 尾花由紀(九大電磁研 D1) 13:20 - 13:40 Auroral electrojet と中緯度東西磁場変動との関係 中野慎也(京大理 D1) 13:40 - 14:00 オーロラ粒子加速と沿磁力線電流の関係 矢島彰(京大理 研修員) 14:00 - 予備の時間 free time? カスプ @107 号室 座長:市川洋一(宇宙研小山研 M2) 前半は昨年 12 月に打ち上がった SS-520-2 ロケットに搭載された個々の観測機器の概要及 び取られたデータ解析結果(波動、光、粒子)をそれぞれの担当者に発表していただきま す。その際、始めに上田様にロケットプロジェクトの概要を話していただきます。また後 半はカスプに限らず、磁気圏-電離圏結合領域におけるダイナミクスを衛星などの観測結果 を基にお話ししていただきます。 Time Table 10:00 - 10:25 SS-520-2 ロケット実験:全体概要 上田義勝(京大 RASC 松本研 D3) 10:25 - 10:50 北極ロケット実験搭載プラズマ波動受信機の仕様及び観測結果報告 藤原亮介(京大 RASC 松本研 M2) 10:50 - 11:00 時間調整&休憩 11:00 - 11:25 SS-520-2 ロケット XUV による酸素イオンの光学観測 中坂有希(東大 STP M2) 11:25 - 11:50 カスプ領域から散逸する酸素イオンの光学観測 山崎敦(CRL 専攻研究員) (休憩) 13:00 - 13:25 SS520-2 ロケット実験における粒子観測 田中宏樹(宇宙研 STP D2) 13:25 - 13:50 SS520-2 号機搭載 ESA/ISA の取得データの考察 石井真一(宇宙研 STP M2) 13:50 - 14:00 時間調整&休憩 14:00 - 14:25 電離圏カスプ領域における極方向へ移動する高電子密度領域 玉川貴文(名大 STE-2 東山 M1) 14:25 - 14:50 南極点における全天オーロライメージについて 泉谷恭明(東北大 PPARC M1) 14:50 - 15:00 時間調整&休憩 15:00 - 15:25 静止軌道衛星による magnetopause 観測時に於ける電離圏 cusp 領域の 緯度変化 吉田大紀(京大理 D1) 15:25 - 15:50 あけぼの衛星が観測した極冠域電離圏高密度プラズマ 市川洋一(宇宙研小山研 M2) オーロラ・発光現象 @204 号室 座長:足立和寛(名大 STE-2 東山 M2) 自然の発光現象には、オーロラ、大気光、雷などがある。これらは地球に限った現象で はなく、他の惑星でも起こっているものである。本セッションでは、それぞれの現象の レビューや観測方法などを議論し、そこから得られる物理について考えたい。 Time Table 09:30 - 09:40 はじめに 09:40 - 10:05 オーロラ 発光について 隅山智子(名大 STE-2 東山 M1) 10:05 - 10:30 4波長分光型フォトメータを用いたオーロラ粒子エネルギーの導出 岩橋弘幸(名大 STE-2 東山 M1) 10:30 - 10:55 オーロラスペクトログラフによるオーロラ観測 - キャリブレーション編 小泉尚子(東北大 PPARC M1) 10:55 - 11:20 惑星のオーロラ 八重樫諭代(東北大 PPARC M2) 11:20 - 11:45 雷雲−地上間放電に伴う発光現象 足立和寛(名大 STE-2 M2) (休憩) 13:00 - 13:25 All-sky imaging of 630nm night airglow at the dip-equator in Vietnum 一場伸元(東大 STP M2) 13:25 - 13:50 金星、火星の大気光 大瀧雄一郎(東北大福西研 D3) 13:50 - 14:15 金星大気光 557.7nm の謎 栗原純一(宇宙研小山研 D2) 14:15 - 14:40 金星大気探査衛星搭載 雷・大気光カメラの基礎開発状況 吉田純(東北大福西研 M1) 14:40 - 15:05 木星衛星における大気発光現象 鈴木克(東北大 PPARC D1) 15:05 - 15:30 ファブリーペロー分光撮像装置によるイオプラズマトーラス硫黄イオ ン発光の観測 鍵谷将人(東北大 PPARC M1) 15:30 - 15:55 月ナトリウム大気について 黒田哲史(東北大 PPARC M1) 大気重力波 @205 号室 座長:横山竜宏(京大 RASC 深尾研 D1) 「大気重力波」セッションでは、下層大気から電離圏・熱圏まで、幅広い領域での物理現 象に関する発表を行います。大気重力波を専門としない発表者も多く、"大気重力波につい て詳しい議論をする"というよりは、"大気重力波について一緒に勉強する"といった感じ のセッションになると思います。他のセッションと比較して対象となる領域が地上に近く、 一味違った魅力のあるセッションです。 Time Table 10:00 - 10:20 中緯度電離圏イレギュラリティの生成に関する研究 横山竜宏(京大 RASC 深尾研 D1) 10:20 - 10:40 空間領域干渉計による流星の観測 山田仁志夫(京大 RASC 深尾研 M2) 10:40 - 11:00 流星痕同時観測キャンペーン 1998-2000 山本真行(CRL 専攻研究員) 11:00 - 11:20 フォイル・チャフによる中性風測定と大気重力波検出 小泉宜子(宇宙研小山研 M2) 11:20 - 11:40 北極域中間圏・下部熱圏におけるプラネタリー波の季節変化 今井田星子(名大 STE-2 東山 M2) 11:40 - 12:00 MU レーダーによる電離圏・熱圏・中間圏同時観測 川村誠治(京大 RASC 深尾研 D2) (休憩) 13:00 - 13:20 GPS 受信機網を利用した大規模伝搬性電離圈擾乱の研究 津川卓也(京大理 D1) 13:20 - 13:40 FAI observations with MU Radar in February 2000 G. Hassenpflug(京大 RASC 深尾研 D2) 13:40 - 14:00 未定 小澤雄一郎(京大 RASC 深尾研 M1) 14:00 - 14:20 電離圏からの地震予測(仮) 田口堅士(宇宙研小山研 M1) 14:20 - 14:40 フーリエ変換型赤外分光計を用いた対流圏・成層圏中の大気微量成分 の観測 関浩二(CRL 専攻研究員) 14:40 - 15:00 オゾンゾンデによる重力波の観測 野口克行(宇宙研小山研 D2) 太陽風 @206 号室 座長:片岡龍峰(東北大福西研 D1) 太陽風の様々な構造と、それが惑星環境へ与える影響。どちらも最近の研究の現状ま で正確に知りたいところですが、片方に集中して勉強を進めている方が殆どかと思い ます。本セッションは、 「太陽風」という言葉に反応して、脈絡なく集まった若手研 究者たちが、各自の研究発表とレビューを勝手に行うことで、自由に学んでいく勉強 会です。太陽まわりの研究の現状、惑星まわりの研究の現状について、多方面から大 きく捉えることができるよい機会になると思います。 Time Table 10:00 - 10:20 自己紹介 10:20 - 10:40 火星上層大気と太陽風との相互作用のはずだったのに 中川広務(東北大福西研 M1) 10:40 - 11:00 Geotail 衛星データにより得られた大振幅磁気流体波動の相関の統計 解析 山本英子(九大羽田研 M2) 11:00 - 11:20 太陽周期と磁気雲の磁場特性 安達はるか(茨城大 M2) 11:20 - 11:40 太陽風の三次元構造 山下真弘(名大 STE-3 D1) 11:40 - 12:00 のぞみ衛星が観測した沿磁力線電子から磁気フラックスロープの太陽 表面接続状態を探る 井原亜紀史(宇宙研 STP D2) (休憩) 13:00 - 13:20 プラズマシートパラメターの太陽風によるコントロール 能勢正仁(京大理 助手) 13:20 - 13:40 低緯度での地磁気脈動共鳴現象の発生頻度と太陽風活動度との関係 高崎聡子(九大理 M2) 13:40 - 14:00 太陽風不連続について 片岡龍峰(東北大福西研 D1) 14:00 - 14:20 木星 non-Io 電波源における太陽風・木星磁気圏相互作用の研究 井上友貴(東北大小野研 M2) 14:20 - 14:40 Shock Normal の求め方 竹内智彦(京大理 D3) 14:40 - 15:00 コーヒーブレイク 15:00 - 16:00 飛び入り発表&総合討論 田中伸(北大渡部研 M1) 、槌谷翼(北大渡部研 M1) 、 志賀章紀(宇宙研 STP M1) 固有磁場 @207 号室 座長:大内田敦郎(東工大綱川研 M2) 固有磁場セッションでは、地球や月、水星の磁場に関連したセッションを行います。地球 に関しては、沿磁力線電流とブラジル磁気異常の関係、非均質磁化構造 2 次元茂木モデル による磁場変化のケーススタディ、月に関しては、主にルナプロスペクターが観測した磁 気異常について、水星に関しては固有磁場観測についての発表があります。 Time Table 10:00 - 10:30 地球の沿磁力線電流とブラジル磁気異常の関係 山下哲(京大理 D1) 10:30 - 11:00 非均質磁化構造 2 次元茂木モデルによる磁場変化のケーススタディ 大久保綾子 (京大防災研 M2) (休憩) 11:15 - 11:45 地上磁場データから、コア、マントルの情報がどこまで引き出せるの か? 長尾大道(京大理 D5) (休憩) 13:00 - 13:30 13:30 - 14:00 水星の固有磁場観測 小笠原桂一(宇宙研 STP M1) 月の磁気異常について 横田勝一郎(宇宙研 STP D2) (休憩) Prospector による磁場観測 堀井直樹(東工大 M1) 14:15 - 14:45 Lunar 14:45 - 15:15 月の磁気異常について ∼ルナプロスペクターで何が分かったのか?∼ 大内田敦郎(東工大 M2) 15:15 - 16:00 総合討論 自由見学コース 地球電磁気・地球惑星圏関連の若手研究者たちが、どのような分野でどのような研究をし ているかを、セッションにとらわれずに自由に見学、議論できるコースです。2 日目(17 日)午前に行われる全体での研究紹介や、各セッションのタイムテーブルを見て、自分の 興味ある分野、領域、人物を見つけてセッションに参加してください。セッション終了後 に行われるセッション報告会で、どのような分野や、領域、人物などに興味が沸いたか、 今後どのような研究をしていきたいか等の感想を述べてもらいます。 登録者 白石哲也 柴田祥吾 三谷友彦 沖田英樹 堤恒次 福田光紀 日比野勉 新島壮平 山本修作 金山 菊地俊行 下田忠宏 米良恵介 東北大 PPARC(B4) 名大環境(M1) 京大 RASC 松本研(D1) 京大 RASC 松本研(M2) 京大 RASC 松本研(M2) 京大 RASC 松本研(M2) 京大 RASC 松本研(M1) 京大 RASC 松本研(M1) 京大 RASC 松本研(M1) 京大 RASC 松本研(M1) 京大理(B4) 京大理(B4) 京大理(B4) 夏の学校 2001 製作 京都大学大学院理学研究科 地球惑星科学専攻 地球物理学教室 太陽惑星系電磁気学講座 東京工業大学理学部 地球惑星科学科 中澤・井田研 STAFF 校長 校長 副校長 副校長 二穴 喜文 武田 隆顕 津川 卓也 山田 耕 会計 小南 淳子 中野 慎也 広報 吉田 大紀 講演調整 山下 哲 会計 HP/WEB 納田 明達 製本/Circular 岩崎 一典 細井 琢朗 竹内 智彦 尹 栄石 小林 浩 湯浅 勝人 細川 敬祐 小阪 和宏 西野 将樹 酒井 圭 菅原 悟 金子 雅裕 松林 達史 島井 啓行 跡部 恵子 桂華 邦裕 藤本 桂三 松岡 洋介 姫野 洋平 松下 友紀 連絡先 住所: 京都府相楽郡南山城村田山ツルギ55-2 Tel: 090-9616-9152(電磁気) 090-6547-7337(惑星) E-mail: [email protected](電磁気) [email protected](惑星)
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