2014年度 Financial Times/IFC共催 Transformational Business Awards インクルーシブ・ビジネス部門 最終選考候補 Jain Irrigation Systems Ltd. (JISL) 会社概要 1987年創業のJISLは世界最大手のマイクロ灌漑システム(MIS)メーカーで、果物や野菜の大手加工業者でもあり、マンゴーピ ューレでは世界最大、乾燥玉ネギでは世界3位の規模を誇ります。さらに同社はパイプとプラスティックシートの製造、再生可能 エネルギーの利用、組織培養植物、農業投入物、融資の促進などの分野でも事業を展開しています。JISLはインドだけでなく、 中東、ヨーロッパ、オーストラリア、中南米、米国にも拠点を置いています。 BOP層へのインパクト MISやその他の事業を通じて、350万人の農家を支援しており、そのうち50万人が農業普及指導を受け、1万人が同社の契約 農家となっています。JISLが有する4,000人の販売業者ネットーワークは4万人以上の雇用を生んでいます 課題 戦略 ▪▪ 降雨に依存した農法を採用する農家の収 穫量が乾季や干ばつ時に大きく減少 ▪▪ 非効率な水の利用方法がインド各地で見 られ、灌漑を導入する耕地の約6%のみが MISを採用 ▪▪ 農業生産に必要な投入物やトレーニングへ の限られたアクセスによる、小規模農家の 低い生産性 ▪▪ MISやその他の農業資材を購入するために 小規模農家が必要とする融資へのアクセ スが不足 ▪▪ MISの製造と商品開発に取り組み、政府から 支給される補助金を活用し、農家が負担する 初期投資費用を半減 ▪▪ 適切な農業生産規範、貯水と水の管理、気 候変動への適応など、さまざまな分野のトレ ーニングと農業投入物へのアクセスを提供 ▪▪ 加工食品生産に必要な果実や野菜を農家 から買い取るだけでなく、農家が持続可能な 農業生産方式や同社の認証基準JAINGAPを 取り入れられるよう支援 ▪▪ 銀行やJISLが経営するノンバンク系融資会 社Sustainable Agro Commercial Finance Ltd. (SAFL)を通じてMISやその他の資材購入向け の融資を円滑化 成果 ▪▪ MISの利用によって年間収穫高が60~200 %の割合で増加(農産物の種類と耕作地 域によって増加率に幅有り) ▪▪ 農産物の種類によって、農家の年収が500 ~6,000ドルの幅で増加 ▪▪ 1万人以上の農家が超高密度植栽方式の トレーニングを受ける ▪▪ 9,056人の小規模農家がSAFLから融資を 得て、その総額は2013年1月時点で6億 8,780万インドルピーに上る IFCの役割 ▪▪ 2007年以降、IFCはJISLとSAFLに対し、1 億2,000万ドルの融資を提供し、1,640万ド ルの資本参加を行う ▪▪ IFCのアドバイザリー・サービスはJAINGAPの 基準策定に関わり、JISLのプロジェクト開発 や実施、モニタリング評価、適切な管理基 準の実践などにも協力 ▪▪ IFCのアドバイザリー・サービスはJISLと共 同で水の消費量削減にかかる査定を行 い、MISの利点を文書化し、情報普及に努 める JISLのインクルーシブ・ビジネスモデル JISLは農家に農業投入物、融資の促進、トレーニングを提供し、農産物の生産高増加と品質向上の実現を支援しています。同社は果実や野菜を農 家から調達し、加工したものを、海外および国内市場で販売しています。つまり、JISLは農家を顧客としてだけでなく、供給元としても同社の事業に取り 込み、インパクトを与えています。 湛水灌漑からJISLの点滴灌漑やスプリンクラーなどのシステムを切り替えた農家は、従来の灌漑システムより30~65%の水を節約することができま す。MISは溜池の水を水源とし、水が不足する時期も水源が枯渇しないよう調整できます。政府から支給される補助金がMISの購入費用の50%を負担 するほか、融資によって農家はMISをさらに購入しやすくなります。農家の平均借入額は約817ドルです。JISLは銀行と協力し、MIS購入向けの融資を円 滑にしており、さらに2011年にはノンバンク系融資会社Sustainable Agro Commercial Finance Ltd.(SAFL)を設立し、融資を促します。将来的にはSAFLは 農業セクターにおける融資へのさまざまなニーズを満たしていくと考えられます。 また供給面では、JISLは農家から果実や野菜を調達しており、取引業者を介して農産物を買い取ったり、あるいは契約農家の場合は直接、農産物を 買い取っています。JISLの契約農家モデルは、先進的かつ受容性の高い農家をえり抜き、彼らに高品質の種子、MIS、肥料、苗木、およびその他の農 業投入物を提供し、運営しています。これに併せて、JISLの農業普及指導員による作物栽培トレーニングを実施することで、農家は植え付けから肥料 の投入方法、耕地の活用方法に至るまで、あらゆる分野で指導を受けることになります。また、JISLは同社が製造するマンゴーピューレの主要取引先で あるインドのコカ・コーラ社と提携し、同社は超高密度植栽方式の導入を進めるプロジェクトUNNATIを立ち上げました。これによって、マンゴーの生産量を 倍増させ、水の消費と農薬の利用を減らすことが可能になると見込まれています。詳しくはwww.jainirrigationinc.comをご参照ください。
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