第2章 業 務 - 北海道立衛生研究所

第2章
業
務
本章では、
①各(総合)振興局保健環境部保健行政室・保健環境部○○地域保健室名を「○○保健所」と
通称名で表記し、北海道○○部○○局(室)○○課の場合は、局(室)名を省略した。
②部課名等は、平成 24 年度時点の名称で表記した。
参考:保健福祉部機構改正(当所関係分)
平成 24 年4月:健康安全局
→
同局「地域保健課」・「食品衛生課」
平成 22 年 4 月:保健医療局「健康安全室」
→ 「健康安全局」
保健医療局「医療政策薬務課」→ 医療政策局「医療薬務課」
平成 21 年 4 月:保健医療局「健康推進室」「食品衛生課」→保健医療局「健康安全室」
③行政試験等で、試験内容欄の番号は、「第3章試験検査一覧」の区分番号に対応している。
また、「第3章試験検査一覧」に件数計上しているものには、試験検査名の後に「*」を付
した。
④「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」を「感染症法」と表示した。
Ⅰ 企画総務部
企画総務部は、総務グループと企画情報グループの2グループで構成されている。
主な業務は、「庶務・財務・財産、庁舎・構内の保守管理に関する所全般の管理業務」及び「試験・研究・研
修等の企画及び総合調整、公衆衛生情報の収集及び提供等、図書・文献その他研究資料の整備及び研究実績の公
表」である。
平成23年3月11日に発生した東日本大震災による東京電力福島第一原発の事故の対応として、関係機関との調
整、報道機関への情報提供、道民への放射能情報提供(ホームーページ発信等)を行った。
平成 24 年度に実施した調査研究は、応募研究3課題である。
Ⅰ−1 企画総務部 総務グループ
主査(総務)、主査(会計)、主査(施設管理)の3主査を配置し、所全般の内部管理業務を行っている。
また、当所及び構内に設置されている地方独立行政法人北海道立総合研究機構(本部、環境科学研究センター、
地質研究所、工業試験場)の電気、冷暖房等に係る共用施設及び設備の保守維持管理を行っている。
(1) 内部管理業務
職員の服務、給与及び福利厚生などの庶務関係事務、維持運営に係る予算経理及び物品購入などの財務関係
事務、庁舎、構内の電気、ボイラー、電話などの施設や設備の維持管理業務を行った。
(2) 講師派遣及び技術指導
保健衛生の知識や技術の普及を図ることを目的として、当所の調査研究の成果を基本に、講演・技術指導を
行うため、保健所、大学や保健衛生関係団体の要請等に積極的に応じ、研究職員を派遣した(詳細は、各研究
部「3.その他の「講演、講義、技術指導等」」参照)。
(3) 職場研修
職員個人及び職場全体の能力開発を図るため、外部講師等により職場研修会を実施した(2回、詳細は、「職
員研修」参照)。
Ⅰ−2 企画総務部 企画情報グループ
事務職である主査(企画調整)と研究職である主査(情報管理)の2主査を配置し、試験・研究・研修等の企
画及び総合調整、研究課題評価、公衆衛生情報の収集及び提供、公衆衛生情報に関する調査及び研究(応募研究
3題)、図書・文献等の管理等を行っている。
また、感染症発生動向調査事業による北海道の基幹「地方感染症情報センター」として、厚生労働省・国立感
染症研究所、保健福祉部健康安全局・保健所との連携のもと、データの収集・確認及び解析・発信を行った。厚
生労働省のデータベース(NESID システム)から得た患者情報の集計・解析を行い、「北海道感染症発生動向調
査情報」を作成して毎週ホームページに掲載し、関係医療機関や道民に情報を還元した。
なお、平成 24 年度は、福島原発事故に係る環境放射能測定について、前年度に引き続き、関係機関と調整の上、
測定結果等をホームページで公表した。
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1.試験検査
行政試験等
企画S1(企画情報S1). 感染症発生動向調査業務
【依 頼 者】北海道保健福祉部地域保健課
【担当部等】企画総務部企画情報G(情報管理) 中野道晴、横山裕之
【法令根拠】感染症法(感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律の施行に伴う感染症発生動向
調査事業の実施について)、北海道感染症予防計画
【目
的】感染症法に係る医療機関から保健所と当所を通じて厚生労働省の NESID システムへ報告された患者
情報の結果から発生動向を調査する。
【方
法】NESID システムから、全国と北海道内の疾病ごとにまとめられているデータをダウンロードして、
全国及び道内保健所管内ごとの動向を図式化、CSV 形式で帳票化したウェブページを作成し、一般公開する。
【試験品目及び試料数】(更新した題名及びページ数)
題名
項目数
小見出し
ホームページ
4
総評
お知らせ
病原体情報
学校保健情報
感染症別情報
3
全数把握感染症
定点把握感染症(週単位報告)
定点把握感染症(月単位報告)
合
【結
計
7
ファイル数
52
16
12
221
7,956
2,912
1,368
備考
HTML ファイルの他に CSV ファ
イル、画像ファイルを含む。
HTMLファイルの他にCSVファ
イル、画像ファイルを含む。
13,312
果】 当所ホームページ( http://www.iph.pref.hokkaido.jp/kansen/index.html )にて、毎週金曜
日に情報を公開した。また、国立感染症研究所 感染症情報センターから、37 件の該当疾病の届出基準不備等
についての照会があり対応した。
企画S2(企画情報S2). エキノコックス症患者情報データベース化業務
【依 頼 者】北海道保健福祉部地域保健課
【担当部等】企画総務部企画情報G(情報管理) 中野道晴、横山裕之
【法令根拠】感染症法、北海道エキノコックス症対策実施要領第2の5、エキノコックス症患者調査実施要領
【目
的】エキノコックス症患者の詳細データをデータベース化し永年保存する。
【方
法】健康安全局から送付された「エキノコックス患者票(写)」をもとに、患者データを当所が管理す
るデータベースに保存する。
【試験品目及び試料数】平成 23 年度分患者数 25 名、入力項目 11、合計 275 件のデータを入力し、データベース
の更新を行った。
【結
果】北海道エキノコックス症対策協議会「エキノコックス症患者調査専門委員会」に情報提供を行った。
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2.調査研究
企画K1(企画情報K1) 応募研究(厚生労働科学研究費(健康安全・危機管理総合研究事業)分担)
(平成22∼24 年度)
健康危機事業の早期探知システムの実用化に関する研究
中野道晴(企画情報G)、神谷信行(東京都健康安全研究センター)、
菅原民枝、大日康史(国立感染症研究所感染症情報センター)
【目的】薬局サーベイランス、学校欠席者情報収集システム、保育園欠席者情報収集システム、救急車搬送システ
ム、避難所サーベイランス等の感染症早期探知システム情報を行政の感染症対策により役立たせるために、地
方感染症情報センターにおける活用実態の調査を 2011 年に行い、2012 年に再調査を行った。
【方法】2011 年 9 月 11 日∼9 月 30 日及び 2012 年 7 月 9 日∼7 月 20 日に「薬局サーベイランス等の感染症早期探
知システムの活用調査」を WEB 上に設置、メールで調査協力を依頼し、専用アドレスにアクセスしての回答とし
た。対象は、地方感染症情報センターの担当者とした。内容は、システムの認知、活用状況とし、薬局サーベイ
ランスについては、情報が役立った事例や今後の改善点とした。
【結果】47 都道府県 19 政令市にある地方感染症情報センターから 100%の回答があった。薬局サーベイランス認
知割合は 2011 年が 71.2%、2012 年が 52.9%、情報を見たことがあるはそれぞれ 53.0%、61.8%、活用したこ
とがあるは、それぞれ 15.3%、22.1%であった。1 年の経過後に活用したことがあるところが増加したが、認知
度は低下した。インフルエンザ流行中に自県を参照したところが最も多く、次週の発生動向調査を予測した、発
生動向調査の週報と比較した、インフルエンザ流行前に自県を参照したところが次に多かった。一方で、感染症
情報として県民向け対策に役立てたのは0ヶ所であった。
【考察】1年経過後に認知度が低下したのは、担当者の人事異動の際に、これらサーベイランスを確認(参照ある
いは閲覧)することが、引き継がれていないと考えられた。感染症対策では流行状況をより正確に、より早期に
把握することが必要であるが、個人の情報にとどまっていることは今後の課題とされた。
企画K2(企画情報K2) 応募研究(厚生労働科学研究費(健康安全・危機管理対策総合研究事業)協力)
(「 感染K2(細菌K2)」に同じ)
(平成 23∼24 年度)
地方衛生研究所における網羅的迅速検査法の確立と、その精度管理の実施、及び疫学機能の強化に関する研究
中野道晴(企画情報G)、小澤邦壽、吉住正和、後藤孝市(群馬県衛生環境研究所)、
岸本 剛、尾関由姫恵(埼玉県衛生研究所)、八幡裕一郎(国立感染症研究所)、
住友眞佐美、神谷信行、灘岡陽子(東京都健康安
全研究センター)、鈴木智之(岐阜大学医学部附属病院)、
吹屋貞子(山口県環境保健センター)、吉村健清(福岡女子大学)、坂本龍彦(福岡県保健環境研究所)
【目的】地方感染症情報センター(以下、地方センター)の担当職員に対する研修会について平成 22 年度の本研
究で「疫学」や「感染症サーベイランス」のテーマに大きな需要があることが確認された。研修会の一環として
地方センターを中心に保健所、国立感染症研究所(以下、感染研)、大学、行政の担当者がともに感染症対策上
の情報の活用事例を紹介し、課題を確認したうえで、今後の展望を検討する「感染症情報の現状と展望を考える
会」を開催し、職員の資質向上及び担当者間の情報共有を図った。また感染症情報の週報自動作成プログラムの
ニーズの確認、開発の試行を行った。
【方法】日本公衆衛生学会総会において自由集会(平成 22 年;東京都、平成 23 年;秋田市、平成 24 年;山口市)
を開催した。地域流行状況を把握する地方センター、保健所、本庁の担当者間でそれぞれの立場から経験した事
例を報告し、業務連携の在り方、特に情報共有の成果と課題について意見交換を行った。また感染症の地図とし
て定点把握疾患に報告数を地域別に塗り分ける QuantumGIS による作成法を試行した。
【結果】報告テーマは、平成 22 年「地域における感染症情報発信、新たなサーベイランス手法及びネットワーク
構築の試み」、平成 23 年「東日本大震災 その時、被災地の感染症情報はどうなったのか?東日本大震災によ
る被災地における活動及び避難所サーベイランスの取り組み」、平成 24 年「感染症集団発生事例を中心とした
連携および診断検査」であった。また国土数値情報による白地図をもとに定点あたり報告数、疾病・保健所・性
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別の塗り分け感染症地図を作成した。
【考察】自由集会は全国の感染症情報を集約する感染研感染症情報センター、地衛研を中心とする地方センター、
疫学調査を担当する保健所等の担当者が、具体的な対応事例等を報告し、情報交換する場として貴重な機会を提
供してきた。特に平成 23 年 3 月 11 日に東日本を襲った大地震と津波により、地方センターが通常行っている感
染症情報の収集や還元にも大きな影響を与えた。被災地の活動状況を岩手県、宮城県の地方センターから、急遽、
設定・運用された避難所サーベイランスについて感染研感染症情報センターから報告された。ここで中央及び地
方センターが恒常的に運用している情報ネットワークが、危機にあっても担当者の努力によりいち早く復旧さ
れ、感染症対策上有効に機能することが示された。また業務支援ツールとして無料ソフトウェアとデータを利用
する地図作成法を提供した。
企画K3(企画情報K3) 応募研究(厚生労働科学研究費(新型インフルエンザ等新興・再興感染症研究事業)協力)
(平成24∼26 年度)
自然災害時を含めた感染症感染症サーベイランスシステムの強化・向上に関する研究
― 地方感染症情報センターの視点からのサーベイランス戦略
中野道晴、横山裕之(企画情報G)、谷口清洲(国立感染症研究所)
地方感染症情報センターの機能強化、サーベイランス戦略検討の取り組みの一環として、公衆衛生情報研究協
議会総会(平成 25 年 1 月、那覇市)の関連会議「地方感染症情報センター担当者会議」を開催した。改正予定の
省令の概要、川崎市感染症情報センターの衛生研究所への移管の取組、東京都の実地疫学調査研修の取組を中心
とした機能強化について報告があった。
3.その他
(1) 研究課題の企画・調整
所独自または他機関との共同により行う調査研究課題の企画及び調整を行った。
・ 一般試験研究(保健医療及び環境施策の推進)
12 課題
・ 受託試験研究(国からの要請)
2課題
・ 民間等共同研究(民間企業等との連携)
2課題
・ 外部資金活用研究
1課題
・ 応募研究(国・団体及び民間等助成研究費への応募)
23 課題
(保健福祉部事業 1課題を除く。)
計 40 課題
(2) 研究課題評価
当所が取り組む研究課題について、その内容や必要性、有益性などに関する評価を行うことを通じて、より
一層効果的で効率的な研究開発を推進するため、研究課題評価を実施した。(事前評価 2課題、事後評価
9課題、中間評価 1課題 計 12 課題)
(3) 研究職員の派遣研修等
研究職員の資質の向上を図るため、先進機関へ派遣し、試験研究における専門的な知識や技術の習得を行
った(3件3人)。 (詳細は、第4章「職員研修」参照)
(4) ホームページの管理業務
ア.感染症発生動向調査のウェブページ化(「1.試験検査」参照)
イ.「北海道(札幌市)における放射能濃度の測定結果(環境放射線モニタリング測定結果)」のウェブペ
ージ化
① 空間放射線量率及び放射能濃度(月間降下物、水道水)の測定結果の更新を行った。
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・道内 10 カ所に設置したモニタリングポストによる空間放射線量率の測定結果(1時間値)
・サーベイメータによる当所敷地内(地上1m)の空間放射線量率の測定結果(月1回)
・月間降下物(札幌市)の放射能濃度の測定結果(月1回)
・水道水(札幌市)の放射能濃度の測定結果(3カ月1回)
②「北海道放射線モニタリング総合サイト」(北海道経済部)に対して、当所のウェブサーバを通じて、
毎日、モニタリングポストによる空間放射線率の9時のデータ(8時 50 分∼9時の 10 分値データ)を
提供した。
ウ.「花粉飛散状況調査」をはじめとする各研究部関係情報ホームページ発信の支援
エ.当所で実施した一般競争入札の告示と結果(各 19 件)、行事などの「お知らせ」の掲載
オ.アクセス数管理
アクセス数は 173 万件(日平均 4.7 千件)であった。
そのうち、感染症に関するディレクトリが 63 万件(最多アクセスページは 10 万件)、放射能に関する
ディレクトリが5万件(最多アクセスページは2万件)、花粉に関するディレクトリが 22 万件(最多ア
クセスページは7万件)、市販月刊誌「しゃりばり」に関するディレクトリが 33 万件(最多アクセスペ
ージは7万件)という順になっていた。(ウェブサーバで作成されるログから解析)
(5) 各種委員会等の開催
ア.主査(情報管理):広報・啓発実行委員会、図書委員会、遺伝子組換え実験安全委員会、倫理審査委員
会、動物実験委員会等の事務局を担当した。
審査課題数:①遺伝子組換え実験安全委員会
新規3題、経過報告2題、終了1題
②動物実験委員会
新規4題、終了1題
③倫理審査委員会
終了1題
イ.主査(企画調整): 調査研究委員会、研修委員会等の事務局を担当した。
(6) LAN の運用業務
情報の一元化、データ収集の迅速化を目的に設置されている所内 LAN の運用・管理を行った。
ドメインサーバの Active Directory ユーザ、コンピュータの設定及び DHCP 予約の機能により、各部から
申請があったユーザと PC に対して所内 LAN への登録、廃止を行った。また、これと同時に、Apple の Mac 機
等 Windows Server では制御できない PC やネットプリンタなど、未登録のネットワーク機器も接続不可にで
き、不正アクセスを防止する役割を持つネットワーク認証サーバを使って、クライアント PC 及びネットワ
ークプリンタの登録、廃止を行った。(平成 24 年度実績 ①ユーザ登録 3件、②PC 登録 14 件、③登録
PC 廃止 18 件、④ネットプリンタ登録 1件、⑤ネットプリンタ廃止 1件)
(7) 図書の登録、管理等業務
図書の登録及び管理を行った(所有蔵書約 18,000 冊)。所有蔵書内訳は、単行本:4,300 冊、和雑誌:約
7,300 冊(タイトル数 199、現在購読数 20)、洋雑誌:約 5,200 冊(タイトル数 185、現在購読数2)、そ
の他(報告書、年報、要覧など):約 1,000 冊である。本年度は、単行本 53 冊、雑誌 617 冊等の登録を行
った。
(8) 感染症対策地域支援ネットワーク
北海道における院内感染を含む感染症対策を目的に、地域の医療機関等と連携し、登録専門家によるネッ
トワークを運用している。担当者と感染症の専門家(ICD、ICN)によるネットワークを通じて、情報交換を
行った。
道内4社の登録衛生検査所の協力により、68 菌種、8分離材料別の毎月の細菌検査情報の提供を受け、集
計した。
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(9) 研究成果等の公開及び発表
ア.「北海道立衛生研究所報第 62 集」(20 報)及び 「平成 23 年度北海道立衛生研究所事業年報」の編
集・発行、ホームページ公開を行った。
イ.「平成 24 年度北海道立衛生研究所調査研究発表会」(平成 25 年3月 18 日、19 日)を開催し、調査研
究内容(21 演題)を発表した。
(10)啓発事業の実施
ア.「2012 サイエンス・パーク」に参加した。
(平成 24 年8月1日、北海道及び道総研主催、参加機関 30 機関、市民参加者 8,129 名)
イ.「第8回市民講座∼健康を<みんなで>考える∼」を開催し、パネル展、講演を行った。
(平成 24 年9月6日、市民参加者 38 名)。(詳細は、「啓発事業」参照)
(11)研修生、視察・見学者の受入れ
ア.大学や企業等の研究機関の技術者を対象にした検査技術研修(3件9人)及び保健所等職員を対象にし
た検査技術研修(4件 42 人)を実施した。
イ.各種団体、大学等からの視察・見学を受入れ、所の業務、試験検査・調査研究等の実施状況を紹介した
(7件 301 人)。(詳細は、「施設見学及び視察」、「研修受入」参照))
(12) 依頼検査の受付等
民間企業等からの依頼に基づく試験検査のための受付、試験成績書の交付業務を統括した(687件)。
(13)試験成績書のデジタルファイル保存
行政・依頼試験の試験成績書をデジタルファイル化し、透明テキスト付き PDF で保存した。
(試験成績書枚数 : 行政試験 359、依頼試験 284)
なお、本業務は、平成 24 年 12 月をもって終了した。
(14)報道機関等電話照会等
感染症情報、環境放射能、花粉等に係るホームページについて、報道機関や一般市民等から 278 件の照会に
対応した。
(15) 講演、講義、技術指導等
研修・講演名
派遣日
24.4.1
∼25.3.3
24.5.24
公衆衛生学2
(理化学部担当)
大気環境
(放射線モニタリングを含む。)
依 頼 元
北海道公立大学法人
札幌医科大学
国立大学法人
帯広畜産大学
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講
師
名
所長
後藤 良一
主幹
小林 智
Ⅱ 理化学部
理化学部は、生活保健グループと薬品保健グループの2グループで構成されている。
生活保健グループは、主査(飲料水)、主査(温泉)、主査(放射線)が配置され、薬品保健グループは、主
査(医薬品)、主査(有害化学物質)、主査(家庭用品)が配置されている。
主たる業務として、水道その他の飲料水、鉱泉、電離放射線、医薬品・医療機器、麻薬・向精神薬・大麻・覚
せい剤、家庭用品、生薬、植物毒、シックハウス対策、空中花粉飛散状況調査、有害化学物質の生体影響に関す
る試験検査、調査研究及び技術指導を行っている。
平成 24 年度に実施した調査研究は、一般試験研究4課題、受託試験研究1課題、民間等共同研究1課題、応募
研究4課題、計 10 課題である。また、行政試験 1,841 件、依頼試験 401 件、計 2,243 件を実施した。
Ⅱ−1 理化学部 生活保健グループ
生活保健グループは、主査(飲料水)、主査(温泉)及び主査(放射線)の3主査を配置し、道民の健康で快適
な生活と生活環境の維持・改善のために、生活保健に係る様々なニーズに応えながら、飲料水における有害化学物
質(揮発性有機化合物、重金属、農薬、放射能等)による汚染及び生活環境における放射能汚染とそれらに関する
生体影響の評価、温泉水の成分分析と療養利用などに関する各種の試験検査、調査研究(一般試験研究2課題、受
託試験研究1課題、計3課題)を行った。
また、検査精度の向上と信頼性の確保を目的として、道内の(民間の登録検査機関を含めた)水質検査機関(26
機関)の外部精度管理を実施した。
なお、平成 23 年 3 月に発生した東京電力福島第一原発の事故による放射能汚染の影響調査のための行政試験を
行い、報道機関対応、道民への放射能情報提供(ホームページ発信等)を引き続き企画情報グループとともに行っ
た。
1. 試験検査
(1) 行政試験等
理化S1(生活保健S1) 平成 24 年度水道水質外部精度管理
【依 頼 者】北海道水道水質管理協議会(事務局:北海道環境生活部環境推進課)
【担当部等】理化学部生活保健グループ(飲料水) 泉 敏彦、伊藤八十男
【法令根拠】水道法第 20 条、平成4年 12 月 21 日付厚生省生活衛生局水道環境部長通知衛水第 265 号、北海道水
道水質管理計画(平成6年9月(平成 17 年3月改訂))・平成 24 年度水道水質外部精度管理実施要領(環境生
活部)
【目
的】北海道水道水質管理協議会に所属する水道事業者及び登録検査機関を対象として、外部精度管理を行
うことにより、水質検査機関の分析技術の向上を図るとともに、水道水に係る水質試験検査結果の信頼性を確保
する。
【方
法】各水質検査機関に外部精度管理実施要領及び精度管理用統一試料を送付した。各機関は、平成 15 年
度厚生労働省告示第 261 号「水質基準に関する省令の規定に基づき厚生労働大臣が定める方法」(検査方法告示)
別表 24 に示された方法に従って統一試料の分析を行い、その結果及び分析方法等を当所に報告した。当所は各
機関からの報告内容の取りまとめと解析の他、必要に応じて各検査機関への助言・指導を行った。
【試験品目及び試料数】参加検査機関数は、26 機関であった。測定対象項目は陰イオン界面活性剤(LAS)(設定
総濃度:0.1mg/L(C10:0.015mg/L、C11:0.015mg/L、C12:0.020mg/L、C13:0.025mg/L、C14:0.025mg/L)とし、精
度管理用統一試料は LAS 水溶液とした。統一試料をそのまま分析試料とすることとした。
【結
果】分析試料について、平均回収率は 93.2%であり、検査機関間変動係数は、11.90%であった。26 機関
の測定値のうち、平均値から離れた幾つかの測定値について Grubbs の検定により異常値の有無の検定を行った
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(有意水準5%)が、異常値は認められなかった。26 機関中、23 機関においてZスコアの絶対値は2以内で「満
足」と評価され、3機関が2超3未満(質疑あり)であった。これらの結果について、報告書を依頼者宛提出し
た。結果は事務局を通じて各検査機関に通知された。
理化S2(生活保健S2) 平成 24 年度水道水質検査精度管理のための統一試料調査*
【依 頼 者】厚生労働省健康局水道課水道水質管理室
【担当部等】理化学部生活保健グループ(飲料水)
泉 敏彦、伊藤八十男
【法令根拠】水道法第 20 条、厚生省生活衛生局水道環境部長通知衛水第 265 号、北海道水道水質管理計画(平成
6年3月策定、平成 17 年3月改正)
【目
的】水道法第 20 条第3項に基づく厚生労働大臣の登録検査機関、水道事業者及び水道用水供給事業者が
自己または共同で設置した水質検査機関、地方衛生研究所及び保健所等における水道水質検査の技術水準の把握
とその向上を図る。
【方
法】厚生労働省から送付された精度管理用試料を、平成 15 年度厚生労働省告示第 261 号「水質基準に関
する省令の規定に基づき厚生労働大臣が定める方法」(検査方法告示)別表 24 に示された方法に従って分析した。
【試験品目及び試料数】
試験内容
試験品目
試料数
項目数
無機物分析用試料
1
1
ヒ素
有機物分析用試料
1
1
テトラクロロエチレン
2
2
以上、Ⅰ-4(4) 特殊機器による定量試験 質量分析計による微量物質試験 2 件
合
【結
計
果】当所の分析結果を、参加検査機関全体の結果と比較したところ、検査精度はおおむね良好に維持され
ていることがわかった。(結果を国立医薬品食品衛生研究所宛送付した。)
理化S3(生活保健S3) 有珠山火山活動災害復興支援土地条件等調査*
【依 頼 者】北海道保健福祉部食品衛生課
【担当部等】理化学部生活保健グループ(温泉)
髙野敬志、内野栄治
【法令根拠】温泉法(温泉資源変動調査)、有珠噴火に係る温泉資源等調査チーム設置要綱(平成12 年5月9日施行)
【目
的】2000 年有珠山噴火による壮瞥温泉と洞爺湖温泉の泉質への影響を明らかにするため、各種成分の含有
量等を年2回採水し測定する。
【方
法】 鉱泉分析法指針に準じた。
【試験品目及び試料数】
試験品目
試料数
項目数
温泉水
31
372
合 計
【結
31
試験内容
pH、カリウム、カルシウム、マグネシウム等12項目の定量
Ⅰ-2(1)
93
硫酸、メタホウ酸、チオ硫酸の定量
Ⅰ-2(2)
62
ヒ素、水銀の定量
Ⅰ-2(3)
31
ラドンの定量
Ⅰ-8
Ⅰ-2(1) 理化学的試験 簡易なもの
372 成分
558
Ⅰ-2(2) 理化学的試験 やや簡易なもの
93 成分
Ⅰ-2(3) 理化学的試験 複雑なもの
63 成分
Ⅰ-8 ラドン含有量測定試験
31 件
果】 前年度と比較し、泉温は調査した 16 源泉中、8 源泉で低下していた。また、主要化学成分濃度も全
体的に低下する傾向にあり、特に炭酸水素イオン濃度は、壮瞥温泉の源泉を除く全ての源泉で減少した。一方で
爆裂火口列にある2源泉については、塩化物イオン、硫酸イオン濃度が前年比で 10%以上増加したが、他の2源
泉では減少した。(結果を依頼者及び胆振総合振興局(保健環境部保健行政室長)宛報告した。)
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理化S4(生活保健S4) 温泉水の分析及び判定試験(報告)
【依 頼 者】北海道保健福祉部食品衛生課
【担当部等】理化学部生活保健グループ(温泉)
髙野敬志、内野栄治
【法令根拠】温泉法、「温泉法第 13 条の運用について」(昭和 57 年5月 25 日付環境庁自然保護局長通知)、「温
泉法の一部を改正する法律等の施行について」(平成 14 年3月 29 日付環境省自然環境局長通知)
【目
的】温泉の保護、適正利用を図る。
【方
法】鉱泉分析法指針及び「温泉法第 13 条の運用について」(昭和 57 年5月 25 日付環境庁自然保護局長
通知)に従った。
【試験品目及び試料数】
試験品目
試料数
項目数
温泉水
11
407
試験内容
鉱泉試験 中分析
11
合
計
11
〃
Ⅰ-7(2)
医治効能判定試験(飲用または浴用の禁忌症及び適応症の判定)
Ⅰ-7(3)
418
(試料:依頼試験の申請があった温泉水)
【結
果】依頼検査分析試験成績書(写)(温泉分析表及び別表)を依頼者宛報告した(7件)。
理化S5(生活保健S5) 水道水の放射性物質モニタリング調査(行政試験)*
【依 頼 者】北海道環境生活部環境推進課
【担当部等】理化学部生活保健グループ(放射線) 青柳直樹、市橋大山、佐藤千鶴子
【法令根拠】水道法、「福島第一・第二原子力発電所の事故に伴う水道の対応について」(平成23年3月19日付健
水発0319第1号・第2 号厚生労働省健康局水道課長通知)、「乳児による水道水の摂取に係る対応について」(平
成23年3月21日付健水発0321 第1号・第2 号厚生労働省健康局水道課長通知)
【目
的】 東京電力福島第1原子力発電所事故による水道水への放射性物質の影響を調査するため、道内4地
点(函館市、稚内市、帯広市、根室市)において、毎月1回採取された水道水(蛇口水)の測定を実施する。
【方
法】 放射能測定法シリーズ 29「緊急時におけるガンマ線スペクトル解析法」(平成 16 年文部科学省)、
水道水等の放射能測定マニュアル(平成 23 年 10 月、厚生労働省健康局水道課)に準拠した。
【試験品目及び試料数】
試験品目
水道水
(蛇口水)
【結
試料数
項目数
48
144
試験内容
ヨウ素131、セシウム134、セシウム137の定量
Ⅱ-1(2) ア 放射能測定検査 核種分析 簡易なもの
48件
果】 対象とした全ての試料において、ヨウ素 131、セシウム 134 及びセシウム 137 は検出されなかった。
(試験成績書を依頼者宛送付した。)
理化S6(生活保健S6) 海水浴場の放射性物質モニタリング調査(行政試験)*
【依 頼 者】北海道環境生活部環境推進課
【担当部等】理化学部生活保健グループ(放射線) 青柳直樹、市橋大山、佐藤千鶴子
【法令根拠】「水浴場の放射性物質に関する指針について」(平成23年6月24日付環水大水発第110624001号環境省
水・大気環境局水環境課長通知)
【目
的】東京電力福島第一原子力発電所事故による海水浴場への放射性物質の影響を調査するため、道内9地
点(石狩市、稚内市、乙部町、留萌市、室蘭市、北見市常呂町、様似町、函館市及び小樽市)の海水浴場におい
て採取された海水の測定を実施する。
【方
法】放射能測定法シリーズ 29「緊急時におけるガンマ線スペクトル解析法」(平成 16 年文部科学省)に
準拠した。
- 19 -
【試験品目及び試料数】
試験品目
試料数
海水浴場海水
【結
18
項目数
試験内容
ヨウ素131、セシウム134、セシウム137の定量
54
Ⅱ-1(2) ア 放射能測定検査 核種分析 簡易なもの
18 件
果】全ての試料において、ヨウ素 131、セシウム 134 及びセシウム 137 は検出されなかった。(試験成績
書を依頼者宛送付した。)
理化S7(生活保健S7) 福島第一原発事故に伴う本道海域及び魚介類への影響調査(行政試験)*
【依 頼 者】北海道水産林務部水産経営課
【担当部等】理化学部生活保健グループ(放射線)
青柳直樹、市橋大山、佐藤千鶴子
【法令根拠】 食品衛生法、「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令の一部を改正する省令、乳及び乳製品の成
分規格等に関する省令別表の二の(一)の(1)の規定に基づき厚生労働大臣が定める放射性物質を定める件及び
食品、添加物等の規格基準の一部を改正する件について」(平成24年3月15日食安発0315第1号厚生労働省医薬
食品局食品安全部長通知)
【目
的】東京電力福島第一原発事故により、放射線による海域汚染が懸念されていることから、本道海域(釧
路沖、えりも沖及び室蘭沖)における海水及び本道沿岸域における魚介類等の放射能調査を行い、安全性を確認
する。
【方
法】放射能測定法シリーズ 29「緊急時におけるガンマ線スペクトル解析法」(平成 16 年文部科学省)に
準拠した。
【試験品目及び試料数】
試験品目
海
試料数
項目数
水
75
225
魚介類等
109
327
合
184
552
【結
計
試験内容
ヨウ素131、セシウム134、セシウム137の定量
〃
Ⅱ-1(2) ア
(要予備処理) Ⅱ-1(2) イ
Ⅱ-1(2) ア 放射能測定検査 核種分析 簡易なもの
75 件
Ⅱ-1(2) イ 放射能測定検査 核種分析 複雑なもの
109 件
果】海水: 全ての試料において、ヨウ素 131、セシウム 134 及びセシウム 137 は検出されなかった。
魚介類等: 全ての試料において、ヨウ素 131、セシウム 134 及びセシウム 137 は、不検出(ND)または基準値未満
であった。(試験成績書を依頼者宛送付した。)
理化S8(生活保健S8) 道内での農地及び玄米における放射性物質モニタリング調査(行政試験)*
【依 頼 者】北海道農政部技術普及課
【担当部等】理化学部生活保健グループ(放射線)
青柳直樹、市橋大山、佐藤千鶴子
【法令根拠】平成24年4月17日付技普第47号(農政部食の安全推進局技術普及課長)
【目
的】東京電力福島第一原子力発電所事故による道内農用地土壌、水稲栽培土壌及び玄米への放射性物質の
影響を確認するため、モニタリング調査を実施する。
【方
法】放射能測定法シリーズ 29「緊急時におけるガンマ線スペクトル解析法」(平成 16 年文部科学省)に
準拠した。
【試験品目及び試料数】
試験品目
試料数
項目数
試験内容
農用地土壌 ①
49
147
水稲栽培土壌 ②
6
18
〃
玄
米 ③
3
9
〃
計
58
174
合
ヨウ素131、セシウム134、セシウム137の定量 (要予備処理)Ⅱ-1(2) イ
(要予備処理)
〃
Ⅱ-1(2) ア
Ⅱ-1(2) ア 放射能測定検査 核種分析 簡易なもの
3件
Ⅱ-1(2) イ 放射能測定検査 核種分析 複雑なもの
55 件
- 20 -
試料:①北海道総合研究機構農業研究本部7農業試験場(道南、中央、上川、上川天北、北見、十勝、根釧)で採取
②及び③北海道総合研究機構農業研究本部3農業試験場(中央、道南、上川)で採取
【結
果】①農用地土壌:全ての試料において、ヨウ素 131 及びセシウム 134 は検出されず(ND)、セシウム 137
は ND∼17.9 Bq/kg 乾土であった。
②水稲栽培土壌:全ての試料において、ヨウ素 131 及びセシウム 134 は ND、セシウム 137 は ND∼7.7 Bq/kg 乾土
であった。
③玄米:全ての試料において、ヨウ素 131、セシウム 134 及びセシウム 137 は ND であった。
対象とした地域全ての試料について、北海道の土壌における環境放射能水準調査(文部科学省)の過去3年(平
成 20∼22 年)の結果(ヨウ素 131 及びセシウム 134:ND、セシウム 137:14∼19Bq/kg 乾土)と比較すると、
同水準で異常はなかった。(試験成績書を依頼者宛送付した。)
理化S9(生活保健S9) 道内で流通する道外産食品等の放射性物質モニタリング検査(行政試験)*
【依 頼 者】北海道保健福祉部食品衛生課、農政部食の安全推進局畜産振興課
【担当部等】理化学部生活保健グループ(放射線) 青柳直樹、市橋大山、佐藤千鶴子
【法令根拠】食品衛生法、「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令の一部を改正する省令、乳及び乳製品の成分
規格等に関する省令別表の二の(一)の(1)の規定に基づき厚生労働大臣が定める放射性物質を定める件及び食
品、添加物等の規格基準の一部を改正する件について」(平成24年3月15日食安発0315第1号厚生労働省医薬食
品局食品安全部長通知)、平成24年3月30日付健全第7630号、平成24年9月12日畜産第1378号、平成24年11月8
日畜産第1719号、平成24年11月15日畜産第1754号
【目
的】道内に流通する道外産食品等に含まれる放射性物質について、新たに設定された基準値に基づくモニ
タリング検査を実施する。
【方
法】「食品中の放射性物質の試験法について」(平成 24 年3月 15 日食安発 0315 第4号)に準拠した。
【試験品目及び試料数】
試験品目
食
試料数
項目数
肉
3
9
野菜類
9
27
12
36
合
計
試験内容
セシウム134、セシウム137の定量(要予備処理)
〃
Ⅱ-1(2) イ
放射能測定検査 核種分析 複雑なもの
Ⅱ-1(2)イ
〃
12 件
(試料は、道内各保健所及び食肉衛生検査所より送付された。)
【結
果】全ての検体において、放射性セシウムは検出されなかった。(試験成績書を依頼者宛送付した。)
理化S10(生活保健S10) 環境放射能水準調査*
【依 頼 者】文部科学省科学技術・学術政策局原子力安全課防災環境対策室
【担当部等】理化学部生活保健グループ(放射線)
青柳直樹、市橋大山、佐藤千鶴子、髙野敬志、
【法令根拠】エネルギー対策特別会計委託事業「環境放射能水準調査」(文部科学省科学技術・学術政策局原子力
安全課防災環境対策室)
【目
的】自然及び人工放射能の分布状況を把握するために放射性降下物の動向を調査する。また、放射線被ば
くや環境への放射能汚染の事象が発生した場合、モニタリング強化が指示される。放射能分析結果の信頼性を確
認し、技術の維持・向上に資するため、標準試料法による相互比較分析を実施する。
【方
法】委託実施計画書の調査実施要領に従った。
- 21 -
【試験品目及び試料数】
試験品目
空間放射線量率
試料数
項目数
試験内容
365
365
12
12
115
115
6
18
29
87
〃
降下物
11
33
〃
大気浮遊じん
11
33
〃
蛇口水
4
12
〃
寒天線源
5
45
模擬土壌
1
7
〃
(7項目) (相互比較)
〃
模擬牛乳
1
3
〃
(3項目) (相互比較)
〃
降
水
精米、牛乳、
海水海底土
モニタリングポストによる測定
Ⅱ-1(1)
サーベイメータによる測定(※1)
Ⅱ-1(1)
全ベータ放射能の測定 (要予備処理)
Ⅱ-1(2)イ
Ge 半導体検出器によるガンマ線放出核種の分析
Ⅱ-1(2)ア
降下物、陸水 、
土壌、農畜水産物
(要予備処理)
Ⅱ-1(2)イ
大気浮遊じん
計
560
730
Ⅱ-1(2)ア
(要予備処理)
(※2)
Ⅱ-1(2)イ
(要予備処理)
(※1)
標準試料法による分析(9項目) (相互比較)
Ⅱ-1(1)
合
(※2)
〃
Ⅱ-1(2)イ
放射能測定検査 放射線量率
377 件
Ⅱ-1(2) ア 放射能測定検査 核種分析 簡易なもの
17 件
Ⅱ-1(2)イ
放射能測定検査 核種分析 複雑なもの
166 件
※1: 東京電力福島第 1 原子力発電所事故に対応したモニタリング強化
※2: 北朝鮮地下核実験実施に対応したモニタリング強化
【結
果】委託実施計画書に基づく報告書を文部科学省に提出した(詳細については放射能調査年報 56(平成
24 年4月∼平成 25 年3月)を参照)。なお、標準試料法による相互比較分析において、当所の測定結果の信頼
性が確認された。
(2)依頼試験
試験品目
温泉水等
試料数
11
項目数
407
試験内容
鉱泉試験
中分析
Ⅰ-7(2)
① ナトリウム、カリウム等 18 項目の定量
②
計 198 項目
アルミニウム、マンガン等 11 項目の定量 計 121 項目
③ フッ素、ヒ素の定量 22 項目
原水等
水田土壌等
④
銅、鉛、水銀、カドミウム、亜鉛の定量 計 55 項目
⑤
ラドンの定量 11 項目
80
80
鉱泉試験
医治効能判定試験
Ⅰ-7(3)
2
2
鉱泉試験
可燃性天然ガス濃度測定(簡易法)
Ⅰ-7(4)
18
132
71
71
1
理化学的試験(簡易なもの) 水の PH、色度、温度等測定
Ⅰ-2(1)
理化学的試験(特殊なもの) ジアルジア試験
Ⅰ-2(4)
1
生物試験(簡易なもの)
Ⅰ-3(1)
3
3
特殊機器による定量試験(質量分析計による) 農薬試験
Ⅰ-4(4)
15
15
微生物試験(やや簡易なもの) 大腸菌群数(MPN)試験
Ⅰ-5(2)
71
71
2
6
〃
鉄バクテリア、真菌試験
(複雑なもの)クリプトスポリジウム試験
放射能測定検査 核種分析(簡易なもの)
- 22 -
Ⅰ-5(3)
Ⅱ-1(2)ア
2.調査研究
理化K1(生活保健K1) 一般試験研究
(平成 18∼29 年度、㉔予算額 163 千円)
北海道における放射線量率の分布及び人工放射性核種の動態について
青柳直樹、市橋大山、佐藤千鶴子(生活保健G)
北海道における東京電力福島第一原子力発電所事故の影響を評価するため、1 日に摂取している全飲食物(日
常食)に含まれる放射性核種の種類や量、それらから受ける放射線量について、H23 年度に引き続き H24 年7月、
11 月及び H24 年2月に調査を行った。H24 年度の結果を H23 年度の結果と比較すると、放射性セシウムの検出頻
度で 74.2 パーセントから 48.5 パーセント、濃度(Bq/人・日)で 0.51 から 0.14 となり、共に低くなる傾向が
みられた。
理化K2(生活保健K2)一般試験研究 (平成 24∼25 年度、㉔予算額 400 千円)
未規制化学物質ミクロキスチンを含むラン藻類産生毒素の定量法の確立と道内の水道水源などで発生するラン
藻類の毒素産生の確認
髙野敬志、泉 敏彦、伊藤八十男(生活保健G)
ラン藻産生毒素であるミクロキスチン3種(LR、RR、YR)及びアナトキシン a について、固相カラムによる前
処理と LC/ESI-MS による定量法を確立し、標準品を添加した蒸留水について回収率をもとめた。その結果、ミク
ロキスチン類は LR が 83. 2%、RR が 79.8%、YR が 94.1%、アナトキシン a は 72.0%で、全ての物質でおおむね良好
であった。
理化K3(生活保健K3) 受託試験研究 (昭和 32 年度∼、㉔予算額 5,666 千円)
環境放射能水準調査[文部科学省科学技術・学術政策局原子力安全課防災環境対策室]
青柳直樹、市橋大山、佐藤千鶴子(生活保健G)
平成 24 年度には、降下物、陸・海水、土壌、農畜水産物など通常のモニタリング 522 試料に加え、平成 23 年
3月 11 日に発生した東日本大震災による福島第一原子力発電所事故に対応したモニタリング強化として、
空間放
射線量率及び蛇口水 16 試料、平成 25 年2月 12 日の北朝鮮地下核実験実施に対応したモニタリング強化として、
定時降下物及び大気浮遊じん 22 試料について放射能分析を行った。
その結果、セシウム 137 の他に通常では検出されないセシウム 134 が検出され、当該事故の影響が示唆されたが、
人体への影響については問題となる濃度ではなかった。また、モニタリング強化では、当該原子力発電所事故及
び核実験による影響は見られなかった。
採取試料名、採取時期、測定項目、測定機器及び測定結果の詳細については、放射能調査年報 56(平成 24 年4
月∼平成 25 年3月)にとりまとめた。
3.その他
(1)北海道(札幌市)における放射能濃度の測定結果のホームページ発信
( リクエスト数 : 5万件 )
・ 平成 23 年3月 11 日に発生した東日本大震災よる福島原発事故を受け ① 空間放射線量率、②降下物
(月間)、③水道水、④大気中浮遊じんの測定結果を発信した。
・ 文部科学省、北海道放射線モニタリング総合サイト(北海道経済部)へデータ提供を行った。
・ 報道機関、住民等からの要望を受け、測定機器の写真、用語解説等を掲載した。
(2)放射線施設の管理
・ RI 装備機器の管理及びその利用者に対する安全教育を実施した。
・ 法令に基づき国際規制物資(核燃料物質:酢酸ウラン、硝酸トリウム)の管理を行った。
- 23 -
(3)放射能調査年報の発行
北海道における環境放射能水準に関する平成 23 年度の調査結果をとりまとめ、放射能調査年報第 55 号を発行
した。
(4)講演、講義、技術指導等
派遣日
研修・講演名
依 頼 元
講
師
名
平成 24 年度食品安全行政担当者
24. 5.31
研修
農林水産省北海道農政事務所
研究職員
市橋 大山
札幌市保健所
主査(放射線)
青柳 直樹
主査(飲料水)
泉
主査(放射線)
青柳 直樹
主幹
佐藤 千鶴子
主査(放射線)
青柳 直樹
研究職員
市橋 大山
(社)北海道食品衛生協会
主査(放射線)
青柳 直樹
ニセコ町・消費者庁
主幹
佐藤 千鶴子
主査(放射線)
青柳 直樹
研究職員
市橋 大山
主査(放射線)
青柳 直樹
主査(放射線)
青柳 直樹
主査(放射線)
青柳 直樹
「放射能と食品安全について」
食品衛生講習会
24. 6.26
「放射性物質の基本的事項および
人体への影響について」
24. 6.13
24. 7.21
24. 7.30
24. 9.12
24. 9.25
水環境(水道水、湧水等を含む。)
放射能と食の安全
∼これだけは知っておこう
放射線と放射性物質
福島原発事故の影響と道立衛生研
究所の対応について
食品の安全安心セミナー
国立大学法人
帯広畜産大学
公益社団法人
北海道栄養士会旭川支部
北海道立教育研究所
【北海道立衛生研究所で実施】
24.10.30
(苫小牧)
24.11.24
(釧路)
25. 2.27
(岩見沢)
敏彦
食品中の放射性物質に関する食の
安全・安心セミナー
「放射能と食の安全∼これだけは
農政部食品政策課
知っておこう」
25. 3. 8
(幌延)
24.11.27
食品の安全と放射能について
名寄市消費者センター
風連瑞生大学(高齢者大学)
市民講演会
25. 3.22
「放射能と食の安全∼これだけ
苫小牧市市民生活部
は知っておこう」
- 24 -
Ⅱ−2 理化学部 薬品保健グループ
薬品保健グループは、主査(医薬品)、主査(有害化学物質)及び主査(家庭用品)の3主査を配置し、次の
業務を行った。(調査研究:一般試験研究2課題、民間等共同研究1課題、応募研究4課題、計7課題)
医薬品関連業務としては、医薬品及び医療機器などの監視指導・品質管理のための検査業務、無承認無許可医
薬品・違法ドラッグ等試買検査を行った。
有害化学物質関連業務としては、室内空気・生活環境における有害化学物質(揮発性有機化合物、重金属、農
薬等)による汚染と生体影響の評価に関する各種の試験検査、調査研究を行った。さらに、検査精度の向上と信
頼性の確保を目的として衛生検査所の外部精度管理を実施したほか、シラカバ花粉症等の予防を目的として花粉
情報をインターネットなどで発信した。
また、家庭用品の安全性を把握するための家庭用品試買検査をはじめ、道内で販売される家庭用品規制法対象
外品目のホルムアルデヒド溶出について調査研究に取り組んだ。
平成 24 年に道内で4月と6月にトリカブト誤食による食中毒が発生し、4月には2名が死亡した。報道対応と
6月の事故については行政試験を行った。薬用植物園において約 600 種類の薬用植物を栽培・管理し、「一般公
開」及び毒草による食中毒を防止する啓発活動として「春の山菜展」を実施した。また、道産有毒植物の化学的
鑑定等の調査研究を行った。
1.試験検査
(1)行政試験等
理化S11 (薬品保健S1) 北海道衛生検査所外部精度管理調査(生化学・血清学的検査)
【依 頼 者】北海道保健福祉部医療薬務課(「感染S7(細菌S7)」に同じ)
【担当部等】理化学部薬品保健グループ(有害化学物質) 小島弘幸、武内伸治
【法令根拠】臨床検査技師法
【目
的】各衛生検査所の検査技術の向上を図り、適正な医療を確保する。
【方
法】北海道衛生検査所精度管理専門委員会による決定に従い、ブラインド方式調査を行った。
【試験品目及び試料数】ボランティアより採取した新鮮血を5施設に配付し、15 項目(生化学・血清学的検査)
を検査した。
【結
果】微生物学的調査結果とあわせて「平成 24 年度北海道衛生検査所外部精度管理調査結果報告書(保
健福祉部)」としてまとめて、依頼者を通して参加各施設及び関係諸機関に配付された。
理化S12 (薬品保健S2) 室内空気質試験
*
【依 頼 者】北海道保健福祉部地域保健課
【担当部等】理化学部薬品保健グループ(有害化学物質) 武内伸治、神 和夫、小島弘幸
【法令根拠】平成 12 年6月 30 日付厚生省生活衛生局長通知(生衛発第 1093 号)、平成 12 年 12 月 22 日付厚生
省生活衛生局長通知(生衛発第 1852 号)、平成 13 年7月 25 日付厚生労働省医薬局長通知(医薬発第 823 号)、
「室内空気中化学物質測定実施要領(平成 16 年4月1日改正)」
【目
的】シックハウス症候群等の健康被害の予防対策に資するために、一般住民及び住宅施工業者等からの
依頼に基づき、室内空気中化学物質の測定を実施する。
【方
法】「室内空気中化学物質測定実施要領」に基づき、試料の採取・分析を行った。
【試験品目及び試料数】(道内1保健所が採取した室内空気2試料(1建築物2室))
試験品目
試料数
項目数
室内空気
1
1
試験内容
ホルムアルデヒドの定量
Ⅰ-10
【結
ホルムアルデヒド定量試験
1測定地
果】①室内空気中化学物質測定実施要領6に基づき、測定値を試験成績書として担当保健所長宛送付し
- 25 -
た。(担当保健所が申請者に測定結果を通知した。) ②測定結果の集計・分析を四半期ごとに行い、依頼者
に報告した。
理化S13 (薬品保健S3) 職場環境測定
*
【依 頼 者】北海道石狩振興局
【担当部等】理化学部薬品保健グループ(有害化学物質) 武内伸治、小島弘幸
【法令根拠】建築物における衛生的環境の確保に関する法律
【目
的】職場の健康管理の基本となる快適な職場環境の形成のため、職場環境の測定を実施し、その実態を
把握し、職員の健康の保持増進を図る。
【方
法】「職場環境測定実施要領(石狩振興局)」に基づき、試料の測定を行った。
【試験品目及び試料数】 (所内2室(4カ所)で、年2回採取)
試験品目
試料数
項目数
室内空気
8
48
温度、湿度、気流、浮遊粉じん、照度、騒音
Ⅰ-2(1)
16
炭酸ガス、一酸化炭素濃度の測定
Ⅰ-6(1)
64
Ⅰ-2(1) 理化学的試験 簡易なもの
48 成分
Ⅰ-6(1) ガス成分試験 簡易なもの
16 成分
合
【結
計
8
試験内容
果】測定結果は、企画総務部総務グループを経由して依頼者に報告した。
理化S14 (薬品保健S4) 平成 24 年度家庭用品試買検査(行政試験)*
【依 頼 者】北海道保健福祉部医療薬務課
【担当部等】理化学部薬品保健グループ(家庭用品、医薬品) 藤本 啓、林 隆章、姉帯正樹
【法令根拠】有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律、「家庭用品規制に係る監視指導について」(昭
和 56 年3月 10 日付厚生省環境衛生局長通知環企第 45 号)、平成 24 年 10 月3日付医薬第 2052 号
【目
的】家庭用品による健康被害を防止するために、繊維製品等の家庭用品について、法律で規制されてい
る有害物質の含有量を測定する。
【方
法】上記法律の施行規則に記載の試験法に従った。
【試験品目及び試料数】(道内4保健所で試買)
試験品目
繊維製品
試料数
88
項目数
試験内容
88
ホルムアルデヒドの定量
Ⅵ-2(1)
56
ディルドリン、DTTB の定量
Ⅵ-2(2)
48
48
ホルムアルデヒドの定量
Ⅵ-2(1)
家庭用毛糸
8
16
ディルドリン、DTTB の定量
Ⅵ-2(2)
家庭用エアゾル
7
7
メタノールの定量
Ⅵ-2(2)
14
トリクロロエチレン、テトラクロロエチレンの定量
Ⅵ-2(3)
トリフェニル錫化合物、トリブチル錫化合物の定量
Ⅵ-2(3)
ベンゾアントラセン、ジベンゾアントラセン、ベンゾピレンの定量
Ⅵ-2(3)
(乳幼児用)
繊維製品
(上記以外のもの)
製品
くつ墨・くつクリーム
8
16
クレオソート油
2
6
合
【結
計
161
251
Ⅵ-2(1) 定量試験 簡易なもの
136 成分
Ⅵ-2(2) 定量試験 複雑なもの
79 成分
Ⅵ-2(3) 定量試験 特殊なもの
36 成分
果】試験した試料は、基準に適合した。(試験成績書を依頼者宛送付した。)
- 26 -
理化S15 (薬品保健S5) 平成 24 年度医薬品等一斉監視指導に係る試験検査(行政試験)*
【依 頼 者】北海道保健福祉部医療薬務課
【担当部等】理化学部薬品保健グループ(医薬品、家庭用品) 林 隆章、藤本 啓
【法令根拠】薬事法、「平成 24 年度医薬品等一斉監視指導の実施について」 (平成 24 年 6 月 26 日付医薬第 0626
第7号)
【目
的】医薬品等の製造工程が適正実施されているか確認する。
【方
法】医薬品の製造承認書に記載の試験法に従った。
【試験品目及び試料数】
試験品目
試料数
項目数
医薬品
2
4
合
計
2
試験内容
性状、確認試験
1
pH
Ⅴ-1(3)
2
定量試験
Ⅴ-1(4)ア
7
Ⅴ-1(1)
日本薬局法等収載試験 確認試験
2 件(4項目)
Ⅴ-1(3)
日本薬局法等収載試験 物理的試験
1 件(1 項目)
Ⅴ-1(4) ア 日本薬局法等収載試験 定量試験(簡易なもの)
【結
Ⅴ-1(1)
2 成分
果】全ての試料で試験の基準に適合した。(試験成績書を依頼者宛送付した。)
理化S16 (薬品保健S6) 平成 24 年度無承認無許可医薬品試買検査(行政試験)*
【依 頼 者】北海道保健福祉部医療薬務課
【担当部等】理化学部薬品保健グループ(医薬品) 林 隆章
【法令根拠】薬事法、「健康食品・無承認無許可医薬品健康被害防止対応要領について」(平成 14 年 10 月4日付
厚生労働省医薬局長通知医薬発第 1004001 号)、平成 25 年 2 月 19 日付医薬第 3342 号
【目
的】強壮効果及び痩身効果を標ぼうする健康食品による健康被害を防止するために、医薬品成分等の含有
の有無を確認する。
【方
法】「シルデナフィル、バルデナフィル及びタダラフィルの迅速分析法について」(平成 17 年8月 25 日
付厚生労働省医薬食品局通知薬食監麻発第 0825002 号)を参考とし、HPLC/MS を用いて、シルデナフィル等9種
類の化合物の検出・定量を行った。
【試験品目及び試料数】(道内4保健所で試買)
試験品目
試料数
項目数
試験内容
健康食品
8
40
シルデナフィル類
5項目
32
その他の医薬品成分 4項目
以上、Ⅴ-2(2)ウ 日本薬局法等収載以外試験 定量試験 特殊なもの
72 成分
合
計
8
72
【結
果】全ての試料で試験した医薬品成分は検出されなかった。(試験成績書を依頼者宛送付した。)
理化S17 (薬品保健S7) 平成 24 年度違法ドラッグ等試買検査に係る試験検査(行政試験)*
【依 頼 者】北海道保健福祉部医療薬務課
【担当部等】理化学部薬品保健グループ(医薬品) 林 隆章
【法令根拠】薬事法、平成 24 年2月 24 日付医薬第 3395 号
【目
的】道内の違法ドラッグ等(「脱法ドラッグ」「脱法ハーブ」「合法ハーブ」等と称して販売等される
製品を含む。以下同じ。)販売店舗等における販売実績を把握し、当該販売店舗等に対して、薬事法に基づく
指定薬物検出事例等を周知・情報提供することにより注意喚起を図るとともに、必要に応じた指導等を行うこ
とを目的とする。
【方
法】HPLC-MS, GC-MS を用いて、指定薬物の検出・定量を行った。
【試験品目及び試料数】違法ドラッグ 403 試料
【結
果】244 試料から指定薬物を検出した。(試験成績書を依頼者宛送付した。)
- 27 -
平成 24 度後発医薬品の品質確保に係る試験検査(行政試験)*
理化S18 (薬品保健S8)
【依 頼 者】北海道保健福祉部医療薬務課
【担当部等】理化学部薬品保健グループ(医薬品、家庭用品) 林 隆章、藤本 啓
【法令根拠】薬事法、平成 24 年 7 月 18 日付医薬第 1333 号
【目
的】後発医薬品については、先発医薬品と同等であるとして厚生労働大臣が承認したものであるものの、
後発医薬品の品質に対する医療関係者の信頼は必ずしも高いとはいえない状況にあることを踏まえ、患者及び
医療関係者が安心して後発医薬品を使用できるよう、その信頼性を高め、一層の品質確保を図る。
【方
法】溶出試験器を用いて、医薬品成分の溶出率を試験した。
【試験品目及び試料数】
試験品目
医薬品
試料数
項目数
7
7
試験内容
溶出試験
Ⅴ-1(4)イ 日本薬局法等収載試験 定量試験(複雑なもの)
【結
7 成分
果】全ての試料で試験の基準に適合した。(試験成績書を依頼者宛送付した。)
有毒植物による食中毒(疑)に係わる試験検査(行政試験)*
理化S19 (薬品保健S9)
【依 頼 者】北海道保健福祉部健食品衛生課
【担当部等】理化学部薬品保健 G(家庭用品) 藤本 啓、姉帯正樹、食品科学部食品安全 G 佐藤正幸
【法令根拠】平成 24 年6月8日食衛第 101-11 号
【目
的】道内で発生した食中毒の原因植物を同定し、有毒成分を確認する。
【方
法】食品衛生学雑誌 37(4),202(1996)、道衛研所報 32,21(1982)参照。
【試験品目及び試料数】
試験品目
野 草
(食品残渣)
【結
試料数
項目数
試験内容
形態からの鑑別
1
5
有毒成分の検出:アコニチン、ジェサコニチン、メサコニチン、ヒパコニチン
Ⅴ-3(3)
生薬の鑑別試験 特殊なもの
1 件 (5 項目)
果】試料は、形態からの鑑別でオオヨモギ、有毒成分の検出でトリカブトの一種が混在していると同定
した。(試験成績書を依頼者宛送付した。)
(2)依頼試験
試験品目
試料数
項目数
室内空気
5
15
室内空気
5
5
ガス成分試験(複雑なもの)
4
4
日本薬局方等収載以外試験 定性試験(簡易なもの、付着血液検出)Ⅴ-2(1)ア
14
24
紙製品
プラスチック製品
合
計
試験内容
揮発性有機化合物定量試験(トルエン、キシレン、テトラデカン) Ⅰ-11
- 28 -
Ⅰ-6(2)
2.調査研究
理化K4 (薬品保健K1) 一般試験研究(平成 23∼24 年度、㉔予算額 378 千円(総額 756 千円))
室内環境中の難燃剤測定法の開発と道内住宅での調査
武内伸治(薬品保健G)、小島弘幸、小林 智
【目的】 難燃剤は、プラスチック、ゴム、木材、繊維等に使用され、火災による人的・経済的損失の防
止に貢献しており、北海道の住宅においても、カーテン、ソファ、壁紙、プラスチック製品をはじめ、
建材や内装品に難燃剤が広く用いられている。これらの難燃剤の中には、神経系への影響、発ガン性、
内分泌かく乱作用が疑われているものも存在し、長期間曝露や、胎児期や乳幼児期等の高感受性時期
の曝露による健康影響が懸念されている。本研究では臭素系難燃剤 11 物質、有機リン系難燃剤 14 物
質について測定法を検討し、住宅の室内空気 (6軒の居間と寝室) 及びダスト (2検体)の測定への適
用を試みた。
【方法】 室内空気中の化学物質の捕集は、石英ディスク及び逆相ディスクを用いて行い、室内のダスト
は直接採取及びダニ取り袋を装着した小型掃除機を用いて採取した。化学物質を捕集した各フィルタ
ー及び採取したダストは、それぞれアセトンを用いて超音波抽出を行った。室内空気試料の有機リン
系難燃剤の分析は、キャピラリーカラム DB-5MS を装着した質量分析装置付きガスクロマトグラフ
(GC/MS) を用いた。また、臭素系難燃剤の分析では、逆相カラム C18-BEH を装着したタンデム MS 付き
高速液体クロマトグラフ (LC/MS/MS) を用いてネガティブ APCI-MRM モードで測定を行った。
【結果及び考察】 有機リン系難燃剤 14 物質は、感度及び逆相 C18 ディスクでの添加回収率共におおむね良好で
あった。臭素系難燃剤5物質については、逆相 C18 ディスクでの添加回収率はおおむね良好であった。UA-PBDE
カラムを装着した GC/MS の他に、LC/MS/MS を用いて上記5物質に6物質を加えた臭素系難燃剤合計 11 物質を
測定したところ、GC/MS よりも格段に高感度であった。この手法を用いて道内住宅6軒の室内空気中難燃剤の
測定を行ったところ、有機リン系難燃剤 14 物質のうち9物質が検出された。最も高濃度で検出されたリン酸ト
リプロピルでも 0.32 mg/m3 と全体的に低濃度であった。臭素系難燃剤では、トリブロモフェノールが 0.1-2.1
ng/m3 と低濃度であるものの、6軒全ての室内空気中から検出された。ダスト試料については、リン酸トリスブ
トキシエチルが最も高く(4.5 及び 143 mg/g)、他にデカブロモジフェニルエーテル等が検出された。本研究に
より、有機リン系難燃剤 14 物質及び臭素系難燃剤 11 物質の室内空気及びダスト試料の測定法が確立され、実
際に様々な難燃剤が室内環境中に存在することが確認された。
理化K5 (薬品保健K2) 一般試験研究(平成 24∼25 年度、㉔予算額 350 千円)
「家庭用品の安全性に関する調査研究」-道内量販店等で流通する家庭用品中のホルムアルデヒド実態調査藤本 啓(薬品保健G)、兼俊明夫(食品安全G)
ホルムアルデヒド(FA)は防しわ等の目的で、繊維製品の樹脂加工剤などに使用されることが多く皮膚障害等の
原因物質となり得るため家庭用品規制法で基準が定められている。
今回はヒトの肌に直接触れるにもかかわらず、
行政検査の規制対象外品目の製品であり、
道内量販店で安価に販売されていたサポーター等 30 試料についてその
溶出量実態調査を行った。その結果、FA は検出されず(検出限界 10 ppm 未満)今回調査を行った製品に関して
その安全性が高いことが示唆された。
理化K6 (薬品保健K3) 民間等共同研究(平成 23∼24 年度、㉔予算額 150 千円(総額 300 千円))
リアルタイム花粉モニターを用いた空中花粉の自動計測に関する国際比較研究
小林 智、武内伸治(薬品保健G)、藤田敏男(㈱大和製作所)
【目的】㈱大和製作所が開発したリアルタイム花粉モニター(以下「花粉モニター」)を用いて、空中花粉の自
動計測を目的としている。花粉モニターにより、カバノキ属花粉も含めた北海道における主要な空中花粉につ
いてリアルタイムな情報が提供可能か検証する。また、同時にスイス・フランスにおいて実施している花粉観
測試験と比較検討し、より多くの花粉がリアルタイムで観測できるように機器の改良・調整を行う。
- 29 -
【方法】衛生研究所に花粉モニターを設置し、4月上旬∼9月末まで、飛散花粉を計数する。同時にスイス及び
フランスにおいても花粉観測を実施し、現地で行っているバーカード法による花粉観測結果と比較する。衛生
研究所に設置してあるダーラム型花粉捕集器で4月上旬から9月末まで空中花粉を捕集し、ハンノキ、シラカ
バ、イネ科、ヨモギ等主要な花粉を計数する。当所で実施するダーラム法による花粉の計数を基に、リアルタ
イム花粉モニターでのシーズン毎の主要な花粉の分析条件を検討する。また、当所においてカバノキ属花粉を
バーカード型捕集器で計測するとともに、花粉モニターで計測した散乱光の特性を解析し、空中花粉モニター
をカバノキ属花粉へ適用する際の問題点と改良方法を検討した。
【結果及び考察】対象花粉飛散中に共存する各花粉の散乱特性を調べ、対象花粉以外の影響を少なくした対象花
粉用の範囲(花粉レンジ)を設定した。飛散量が相対的に少なかった年のカバノキ属花粉を除いて、花粉モニ
ターの計測値とダーラム法の観測値に相関を示すことが確認でき、リアルタイムな情報提供に活用することが
できると考えられた。予備的試験としてバーカード型サンプラーで実測した空中花粉量を基準として、花粉モ
ニターによる観測値を検討した。カバノキ属花粉の全飛散期間を通して見ると、花粉モニターは、カバノキ属
花粉の濃度変動を全体として良好に観測できていた。
理化K7 (薬品保健K4) 応募研究(科学研究費(基盤研究C)代表)
(平成 24∼26 年度、㉔予算額 1,100 千円)
環境化学物質によるダイオキシン受容体を介した Th17 細胞分化に及ぼす影響
小島弘幸、武内伸治(薬品保健G)、室本竜太(北海道大学大学院薬学研究院)
近年、インターロイキン(IL) -17 を特異的に産生するヘルパーT細胞群(Th17)による免疫異常症への関与が
注目されており、この細胞分化を制御するマスター遺伝子としてダイオキシン受容体(AhR)が報告されている。
本研究では、in vitro レポーターアッセイ法を用いて環境化学物質の AhR 活性の有無を調べ、マウスリンパ腫 EL4
細胞での IL-17 遺伝子発現に及ぼす影響を検討した。さらに、マウス脾臓細胞を用いた AhR アゴニストによる
IL-17 産生の影響も調べた。
理化K8 (薬品保健K5) 応募研究(科学研究費(基盤研究C)分担)
(平成 22∼24 年度、
㉔予算額 50 千円
(総額 350 千円)
)
ブロム化難燃剤の甲状腺ホルモン撹乱における鍵を握る水酸化代謝物のターゲットの解明
小島弘幸(薬品保健G)、北村繁幸(日本薬科大学)
【目的】近年,ヒトの血液や母乳から臭素化難燃剤ポリブロモジフェニルエーテル類(PBDEs)やそれらの代謝
物(水酸化体)が検出されている。本研究では、主要な PBDE 水酸化体について、核内受容体に対するアゴニ
スト・アンタゴニスト作用を調べた。
【方法】6-OH-BDE-47 を含む PBDE 水酸化体8物質を試験し、これら化合物のヒト型核内受容体(ERa/b、AR、
GR、TRa1/b1、RXRa、PXR、CAR)に対するアゴニスト・アンタゴニスト活性をレポーター遺伝子アッセイ
法により測定した。
【結果及び考察】PBDE 水酸化体の多くは ERa/bアゴニスト・アンタゴニスト活性及び AR アンタゴニスト活性
を示した。また、GR アンタゴニスト活性や TRa1/b1アンタゴニスト活性を示す物質も認められた。これらのホ
ルモン受容体活性と PBDE 水酸化体の化学構造の関係から、水酸基の近傍にあるブロモ基の存在が受容体との
相互作用に大きく影響することが示唆された。一方、PBDE 水酸化体の多くは、PXR アゴニスト活性を示した
が、RXRa及び CAR への作用はほとんど認められなかった。
- 30 -
理化K9 (薬品保健K6) 応募研究(科学研究費(基盤研究B)分担)(平成 24∼26 年度、㉔予算額 300 千円)
胎児期の環境・ゲノム・エピゲノム交互作用と出生後の成長軌跡:DOHaD 学説の検証
小島弘幸(薬品保健G)、佐田文宏(国立保健医療科学院)
DOHaD 学説によると胎児期、幼小児期の環境要因と遺伝・エピジェネティック要因から胎児プログラミングと
呼ばれるエピジェネティック制御機構により、出生時の表現型が決まる。本研究ではとくに生活習慣病と関連の
深い核内受容体 Peroxisome Proliferators-activated receptor(PPAR)における遺伝子多型 V227A と有機フッ素
化合物との反応性に対する影響をレポーターアッセイにより調べた。
理化K10 (薬品保健K7) 応募研究(厚生労働省科学研究費(化学物質リスク研究事業)分担)
(平成 24∼26 年度、㉔予算額 1,500 千円)
室内環境における準揮発性有機化合物の多経路暴露評価に関する研究−室内空気中の可塑剤分析法の検討−
小島弘幸、武内伸治、神 和夫(薬品保健G)、小林 智(企画情報G)、
神野透人(国立医薬品食品衛生研究所)
室内空気中の可塑剤等(有機リン系難燃剤を含む)合計 49 物質について分析法を確立し、添加回収試験では
良好な結果を得た。さらに住宅の室内空気調査では、十分な測定感度が得られ、49 物質中 33 物質の濃度が明ら
かとなり、本法の有用性が確認された。また、非フタル酸系可塑剤として近年使用されるようになったジエチル
ヘキシルテレフタレート (DEHTp) が、濃度は低いものの国内ではじめて室内空気中から検出され、DEHTp の使
用が広まっていることが示唆された。
3.その他
(1) 花粉飛散状況調査のホームページの発信(リクエスト数:7万件)
・シラカバなどの花粉症予防のために、保健福祉部健康安全局と連携して道内6都市(函館、札幌、岩見沢、
旭川、帯広、北見)で花粉飛散状況の調査を実施し、情報提供を行った。
・札幌以外の5都市は管轄保健所試験検査課の協力で行われ、各保健所ホームページでも情報提供された。
・調査期間:函館3∼6月、札幌3∼10 月、岩見沢、旭川、帯広、北見4∼6月
(2)薬用植物園の管理
北方系を中心とした薬用植物約 600 種を栽培維持管理した。
(3)薬用植物園の一般公開等
5月∼9月の第1・3金曜日(13:30∼15:30)に一般公開を行い見学者 70 名を受け入れたほか、公開日以
外の見学希望者 17 名に対応した。施設見学の一環として、学生等 110 名を受け入れた(計 197 名)。
(4)山菜展・薬草観察会の開催
一般市民及び衛生行政関係者を対象とした春の山菜展を、薬用植物園にて北海道保健福祉部健康安全局、札
幌市保健所と共催した(来園者数 :415 名)。市民講座の一環として、薬草観察会を開催した(17 名)。
(5)植物・生薬等に関する相談
公的機関 20 件、民間等 14 件。
- 31 -
(6)講演、講義、技術指導等
派遣日
24. 4. 1
∼ 9.30
24. 4.1
研修・講演名
依 頼 元
公衆衛生学
国立大学法人
(非常勤講師)
北海道大学薬学部
天然物有機化学
∼25. 3.31 (非常勤講師)
講
師
名
主幹
小島 弘幸
研究職員
姉帯 正樹
札幌市
研究職員
神
北海道立総合研究機構
林産試験場
主査(有害化学物質)
武内 伸治
主幹
小島 弘幸
研究職員
神
主査(有害化学物質)
武内 伸治
主幹
小島 弘幸
主査(有害化学物質)
研究職員
武内 伸治
神
和夫
国立大学法人
北海道大学
大学院先端生命科学研究院
自然界におけるヒ素の分
24. 4.22
布、ヒ素の毒性の基礎的知
和夫
見
24. 5. 7
第2回学校室内環境対策会
議
ダイオキシン簡易測定法セ
ミナー
24.12. 7
日中友好環境保全センター
「遺伝子導入細胞を用いた高 (JICA 中国)
感度・生物分析法の開発と 【中華人民共和国北京市で開催】
活用範囲について」
24.12.21
ヒ素化合物の環境動態と
リスク評価
衛生化学 特別講義
25. 1.16
「内分泌攪乱化学物質と
シックハウス症候群」
衛生化学 特別講義
25. 1.23
「薬物乱用における違法
ドラッグの現状と課題」
25. 3. 5
∼ 3. 6
シックハウス分析技術に
関する講義・実習
(社)資源・素材学会
北海道支部
国立大学法人
北海道大学薬学部
国立大学法人
北海道大学薬学部
上川保健所・帯広保健所
【北海道立衛生研究所で実施】
- 32 -
和夫
Ⅲ 食品科学部
食品科学部は、食品安全グループと食品保健グループの2グループで構成されている。
主たる業務として農産食品・畜水産食品・容器・包装等に関する食品衛生学的・理化学的試験検査、食品に
関する遺伝子工学的試験検査、アレルギー食品・貝毒等に関する試験検査、調査研究及び技術指導を行ってい
る。
平成 24 年度に実施した調査研究は、一般試験研究4課題、受託試験研究1課題、外部資金活用研究1課題、
応募研究1課題、計7課題である。また、行政試験 6,542 件、依頼試験 24 件 計 6,566 件を実施した。
Ⅲ−1 食品科学部 食品安全グループ
食品安全グループは、主査(残留農薬)及び主査(遺伝子・アレルギー)の2主査を配置し、食品の安全性
を確保するための業務を遂行しており、食品中に残留する農薬、食品添加物やカビ毒、遺伝子組換え食品、ア
レルギー物質含有検査などに関する理化学的試験、調査研究(一般試験研究2課題、受託試験研究1課題、計
3課題)を行った。一般試験研究の成果はアレルゲン確認検査に活用され、受託試験研究の成果は厚生労働省
で集計され、全国の結果が公表される予定である。
また、道立保健所試験検査課職員に対する食品中に残留する農薬等の分析に係る研修も担当している。
1. 試験検査
(1) 行政試験等
食品S1(食品安全S1) 平成 24 年度農産物等の残留農薬検査(加工食品)*
【依 頼 者】北海道保健福祉部食品衛生課
【担当部等】食品科学部食品安全グループ(残留農薬) 青栁光敏、柿本洋一郎、千葉真弘
【法令根拠】食品衛生法、平成 24 年3月 30 日付健全第 7630 号
【目
的】道内に流通する輸入食品の安全性評価の一環として実施した。
【方
法】北海道立衛生研究所検査実施標準作業書に従った。
【試験品目及び試料数】
(道内4保健所収去)
試験品目
試料数
項目数
試験内容
全試料について次の 135 項目を検査した。
有機リン系
45 項目
135
1
穀類加工品
270
2
豆類加工品
含窒素系
12 項目
675
5
小麦加工品
N-メチルカーバメイト
6 項目
270
2
種実類加工品
ピレスロイド系
9 項目
675
5
野菜加工品
有機塩素系
6 項目
675
5
果実加工品
その他
57 項目
合
計
20
2,700
Ⅲ-4(3)
〃
Ⅲ-4(4)
〃
〃
〃
Ⅲ-4(3) 食品・添加物外含有成分試験(複雑なもの)
1,140 項目
Ⅲ-4(4) 食品・添加物外含有成分試験(特殊なもの)
1,560 項目
【結
果】マカロニ1検体、スパゲティ 1 検体より農薬 0.01∼0.05μg/g を検出した。
(試験成績書を依頼
者宛送付した。
)
- 33 -
食品S2(食品安全S2) 平成 24 年度食品衛生検査施設の外部精度管理調査〈報告〉 *
【依 頼 者】北海道保健福祉部食品衛生課
【担当部等】食品科学部食品安全グループ(残留農薬) 青栁光敏、柿本洋一郎、千葉真弘
【法令根拠】食品衛生法、
「食品衛生検査施設等における検査等の業務の管理の実施について」
(平成9年4月
1日付厚生省生活衛生局食品保健課衛食第 117 号)
【目
的】保健所及び衛生研究所の食品衛生検査業務における検査精度の維持、向上を図る。
【方
法】北海道立衛生研究所検査実施標準作業書に従った。
【試験品目及び試料数】 ((財)食品薬品安全センターより送付)
試験品目
試料数 項目数
試験内容
漬物
1
5
食品添加物(ソルビン酸)×5回
Ⅲ-3(2)
ほうれんそうペースト
1
30
残留農薬(GC/MS 一斉法:種農薬の定性と定量)×5回
Ⅲ-4(4)
合
計
2
35
Ⅲ-3(2) 食品・含有添加物試験(複雑なもの)
Ⅲ-4(4) 食品・添加物外含有成分試験(特殊なもの)
5 項目
30 項目
【結
果】当所の分析結果を全国の参加施設全体の結果と比較し、統計学的な解析を行った結果、当所の検
査精度は良好に維持されていた。(結果を(財)食品薬品安全センターに送付した。)
食品S3(食品安全S3) 遺伝子組換え食品検査 *
【依 頼 者】北海道保健福祉部食品衛生課
【担当部等】食品科学部食品安全グループ(遺伝子・アレルギー) 鈴木智宏、菅野陽平、兼俊明夫
【法令根拠】食品衛生法、「食品衛生法施行規則及び乳及び乳製品の成分規格等に関する省令の一部を改正す
る省令等の施行について」平成 13 年3月 15 日付厚生労働省医薬局食品保健部長通知食発第 79 号、「遺伝
子組換え食品に関する表示について」平成 13 年3月 21 日付厚生労働省食品保健部企画課長・監視安全課長
通知食企発第3号及び食監発第 47 号
【目
的】輸入ダイズ穀粒中の遺伝子組換え体の混入率を調査すること及びトウモロコシ加工品中の
CBH351 遺伝子の有無を調査する。
【方
法】厚生労働省「組換え DNA 技術応用食品の検査方法について」、独立行政法人農林水産消費技術セ
ンター「JAS 分析試験ハンドブック 遺伝子組換え食品検査・分析マニュアル」に準拠した。
【試験品目及び試料数】 (道内保健所収去)
試験品目
試料数
項目数
試験内容
30
30
遺伝子組換えダイズの混入率の定量
輸入ダイズ穀粒
トウモロコシ加工品
30
30
CBH351 遺伝子の検出
合
計
60
60
以上、Ⅲ-2(4) 食品・成分試験(特殊なもの)
60 項目
【結
果】輸入ダイズ穀粒: 遺伝子組換え体の混入率が5%を超えた場合、組換え体使用の表示をしなけ
ればならないが、遺伝子組換えダイズの混入率は全ての試料において表示義務基準以下であった。
トウモロコシ加工品: 全ての試料から CBH351 遺伝子は検出されなかった。(試験成績書を依頼者宛送付し
た。)
食品S4(食品安全S4) 道内産加工食品アレルギー物質含有検査 *
【依 頼 者】北海道保健福祉部食品衛生課
【担当部等】食品科学部食品安全グループ(遺伝子・アレルギー) 鈴木智宏、菅野陽平、兼俊明夫
【法令根拠】「食品衛生法施行規則及び乳及び乳製品の成分規格等に関する省令の一部を改正する省令等の施
行について」平成13年3月15日付厚生労働省医薬局食品保健部長通知食発第79号、「アレルギー物質を含む
食品の検査方法について」平成14年11月6日付厚生労働省医薬局食品保健部長通知食発第1106001号、「食
品衛生法施行規則の一部を改正する省令の施行について」平成20年6月3日付厚生労働省医薬食品局食品安
全部長通知食安発第0603001号
【目
的】アレルギー物質(特定原材料)の含有が疑われる製品について、その含有の有無を調査する。
【方
法】消費者庁「アレルギー物質を含む食品の検査方法について」
(平成 22 年9月 10 日付消費者庁次
長通知消食表第 286 号)に準拠した。
- 34 -
【試験品目及び試料数】
(道内保健所収去)
試験品目
試料数
項目数
試験内容
小麦のスクリーニング検査
16
食
品
8
そばのスクリーニング検査
16
8
落花生のスクリーニング検査
12
6
乳のスクリーニング検査
16
8
卵のスクリーニング検査
14
7
えび・かにのスクリーニング検査
12
6
合
計
43
86
以上、Ⅲ-2(4) 食品・成分試験(特殊なもの)
86 項目
【結
果】全ての試料は、スクリーニング検査において陰性を示した。(試験成績書を依頼者宛送付した。)
(2) 依頼試験
試験品目
食品容器材料
(晒し布)
試料数
項目数
1
6
試験内容
理化学的試験(簡易なもの)
Ⅳ-1(1)
2.調査研究
食品K1(食品安全K1) 一般試験研究(平成 23∼24 年度、○
24 予算額 414 千円(総額 828 千円)
)
マルチプレックスリアルタイム PCR によるアレルゲンの検出に関する研究
鈴木智宏(食品安全グループ)
【目 的】食品に起因するアレルギーは、微量のアレルゲン(アレルギーの原因となる物質)を摂取した場合
でも発症する可能性があることや症状の重篤化により命を落とすこともある。アレルゲンによる健康被害を
防止するには、消費者が食品表示をもとに安心して適切に食品を選択・購入できることが必要である。その
ためには、アレルゲンを含む食品表示の適正性を監視することが不可欠であり、食品中のアレルゲン検査法
の迅速性と正確性のさらなる向上も重要な課題の一つである。そこで本研究では、マルチプレックスリアル
タイム PCR によるアレルゲンの検出を試みた。
マルチプレックスリアルタイム PCR は、多種の標的を同時検出できるマルチプレックスアッセイの特性と
PCR 増幅量を、従来の PCR のようにゲル電気泳動バンドの濃淡に基づく目視判定ではなく、増幅曲線により
解析するリアルタイム PCR の特性を兼ね備えた手法である。従って、従来の方法よりも迅速かつ正確に標的
を検出することができる。
【方 法】蛍光標識プローブには TaqMan プローブを使用し、プライマーとともに委託合成した。標準 DNA と
して用いた鋳型 DNA は、市販の落花生粉末、そば粉及び小麦粉などから抽出・精製した。
【結果及び考察】TaqMan プローブによるマルチプレックスリアルタイム PCR を行うための蛍光色素の選定を行
った。種々の検討から、リアルタイム PCR 装置の励起/検出特性に適応し、蛍光色素間における蛍光スペク
トルの重複が少ないなどの条件を満たす蛍光色素を決定した。
それら蛍光色素で標識したプローブを用いて小麦、そば、落花生をそれぞれ対象としたシングルプレック
スリアルタイム RCR による検出系を確立した。この方法は従来法に比べ、感度及び定量性の点で優れてい
た。さらに、これらの検出系を組み合わせた2種類の標的遺伝子を同時に増幅するデュプレックスリアルタ
イム PCR 法を確立した。この検出法は迅速性に優れていたが、検出感度の点では複数の蛍光色素が存在する
ため、シングルプレックスリアルタイム PCR 法に比べやや減少した。
食品K2(食品安全K2) 一般試験研究(平成 24∼25 年度、○
24 予算額 450 千円)
北海道産毒キノコの毒成分分析法に関する研究
佐藤正幸(食品安全グループ)、林 隆章、姉帯正樹(薬品保健グループ)
- 35 -
道内で食中毒が発生する可能性のある毒キノコを対象に、簡便・迅速な試験法を開発し食中毒の原因究明
及び適切な治療等に資することを目的とする。ベニテングタケ及びテングタケ地上部を採取し、これらの毒
成分であるイボテン酸及びムッシモールの分析法を検討した。毒成分の添加回収試験をした結果、回収率は
それぞれ 91%(CV 11.4)及び 95%(CV 9.6)といずれも良好であった。そこで、本法を用い採取したキノ
コ中の毒成分を定量した。
食品K3(食品安全K3) 受託試験研究
(平成 24 年度、予算額 3,010 千円)
平成 24 年度食品残留農薬等一日摂取量実態調査[厚生労働省医薬食品局食品安全部]
青栁光敏、柿本洋一郎、千葉真弘(食品安全グループ)
【目的】 厚生労働省では、国民が日常の食事を介してどの程度の農薬を摂取しているかを把握し、食品の安
全性を確認するため、毎年マーケットバスケット方式による調査事業を行っている。平成 17 年度からは、
ポジティブリスト制導入に伴って広範囲の農薬について調査を行うこととなり、これを契機に当所も本事業
に参加している。平成 24 年度は、個別試験法が適用可能な7農薬(ピラゾキシフェン、ピリミジフェン、
フルオピコリド、フルオメツロン、フルベンジアミド、ベンチアバリカルブイソプロピル、メトコナゾー
ル)を担当し、北海道における摂取量調査を行った。
【方法】 平成 19 年度国民健康・栄養調査における北海道ブロックの食品群別摂取量をもとに、飲料水(水道
水)を含む 173 食品を選び、これを 14 食品群に分類して均一化し分析用試料を調製した。食品群ごとに調
査対象7農薬の分析を行った。
【結果及び考察】 各食品群に含まれる測定対象7農薬を GC/MS または LC/MS/MS により測定した。その結果、
7群からベンチアバリカルブイソプロピルが 0.0020μg/g 検出された以外は、全て定量限界未満であった
(定量限界 0.001μg/g)。これらのデータは、厚生労働省において集計され、全国の結果がまとめて公表
される見通しである。
3.その他
講演、講義、講師派遣
派遣日
研修・講演名
24. 9.20
北海道と衛生動物
24.10.12
エキノコックスの動物間流行と対策
24. 5. 9
フレッシュマンゼミナール
残留農薬試験法に関する研修
24.5.14
∼ 5.16
24.11.29
∼11.30
道立保健所等理化学検査担当者研修
依 頼 元
北海道ペストコントロ
師
名
部長
高橋 健一
部長
高橋 健一
東海大学
研究職員
菅野 陽平
ホクレン農業総合研究所
主査(残留農薬)
青栁 光敏
主査(残留農薬)
青栁 光敏
ール協会
全国食肉衛生検査所協議会
北海道・東北ブロック
保健福祉部健康安全局
−食品中に残留する農薬等に関する試
験法に関する妥当性評価について−
講
【北海道立衛生研究所で実施】
- 36 -
Ⅲ−2 食品科学部 食品保健グループ
食品保健グループは、主査(動物用医薬品)
、主査(水産食品)及び主査(貝毒)の3主査を配置し、主と
して畜水産食品の安全性を確保するための業務を遂行している。これらの食品に残留する有害化学物質として
有機塩素系農薬、PCB、有機スズ化合物、水銀、合成抗菌剤や抗生物質などの動物用医薬品などについて理
化学的試験、調査研究(一般試験研究2題、応募研究1題、計3題)を行っている。また、道産及び道内流通
二枚貝の麻痺性貝毒及び下痢性貝毒に関する試験検査、調査研究(外部資金活用研究1題)を行っている。
また、全道4ヵ所に設置されている食肉衛生検査所の動物用医薬品検査における確認試験を実施するととも
に、食肉衛生検査所の検査体制を強化するために理化学研修も担当している。
1.試験検査
(1) 行政試験等
食品S5(食品保健S1) 平成 24 年度道内産畜水産食品の環境汚染物質検査(行政試験)*
【依 頼 者】北海道保健福祉部食品衛生課
【担当部等】食品科学部食品保健グループ(動物用医薬品、水産食品) 西村一彦、橋本 諭、山口博美
【法令根拠】食品衛生法、平成 24 年3月 30 日付健全第 7630 号
【目
的】畜水産食品の安全性評価の一環として実施した。
【方
法】北海道立衛生研究所検査実施標準作業書に従った。
【試験品目及び試料数】(道内 18 保健所で試買)
試験品目
試料数
項目数
試験内容
魚介類
15
225
有機塩素系農薬 12 項目、クロルデン3項目
Ⅲ-4(4)
15
PCB
〃
45
有機スズ化合物3項目
〃
15
総水銀
Ⅲ-2(3)
食 肉
11
165
有機塩素系農薬 12 項目、クロルデン3項目
Ⅲ-4(4)
8
PCB
〃
合 計
26
473
Ⅲ-4(4) 添加物外含有成分試験(特殊)
Ⅲ-2(3) 成分試験(複雑)
458 項目
15 項目
【結
果】有機塩素系農薬及びクロルデンはすべての試料で不検出または基準値未満であった。PCB はすべ
ての試料で不検出または規制値未満であった。有機スズ化合物は1検体でジブチルスズが検出されたが、食
品衛生上問題となる数値ではなかった。総水銀濃度は暫定的規制値未満であった。(試験成績書を依頼者宛
送付した。)
食品S6(食品保健S2) 平成 24 年度輸入畜水産食品中の残留抗菌性物質検査(行政試験)*
【依 頼 者】北海道保健福祉部食品衛生課
【担当部等】食品科学部食品保健グループ(動物用医薬品、水産食品)西村一彦、橋本 諭、山口博美
【法令根拠】食品衛生法、平成 24 年3月 30 日付健全第 7630 号
【目
的】道内で流通する輸入畜水産食品の安全性評価の一環として実施した。
【方
法】北海道立衛生研究所検査実施標準作業書に従った。
【試験品目及び試料数】(道内 10 保健所にて収去)
試験品目
試料数
項目数
試験内容
食 肉
15
150
サルファ剤9項目、オキソリニック酸
Ⅲ-4(4)
50
サルファ剤9項目、オキソリニック酸
Ⅲ-4(4)
エ ビ
5
15
テトラサイクリン類3項目
Ⅲ-4(3)
合 計
20
215
Ⅲ-4(3) 添加物外含有成分試験(複雑)
Ⅲ-4(4) 添加物外含有成分試験(特殊)
15 項目
200 項目
【結
果】すべての試料で試験項目は不検出または基準値未満であった。(試験成績書を依頼者宛送付し
た。)
- 37 -
食品S7(食品保健S3) 平成 24 年度畜水産食品中の残留動物用医薬品モニタリング検査(行政試験)*
【依 頼 者】北海道保健福祉部食品衛生課(「感染S9(細菌S9)」に同じ)
【担当部等】食品科学部食品保健グループ(動物用医薬品、水産食品)
西村一彦、橋本 諭、山口博美
【法令根拠】食品衛生法、平成 24 年3月 30 日付健全第 7630 号、平成 24 年 10 月 18 日付食衛第 723 号
【目
的】道内で生産される畜水産食品の安全確保を図る。
【方
法】北海道立衛生研究所検査実施標準作業書に従った。
【試験品目及び試料数】道内4食肉衛生検査所及び道内 18 保健所が収去した試料について理化学的試験を実
施。(微生物学的試験は、感染症部細菌グループにて実施)
試験品目
試料数
項目数
試験内容
食 肉
121
25 合成抗菌剤等 34 項目のうち指定項目
Ⅲ-4(3)
Ⅲ-4(4)
1,816
鶏 卵
13
274 合成抗菌剤等 22 項目のうち指定項目
Ⅲ-4(4)
養殖魚
5
115 合成抗菌剤等 24 項目
Ⅲ-4(4)
乳
18
532 合成抗菌剤等 27 項目のうち指定項目
Ⅲ-4(4)
はちみつ
4
16 テトラサイクリン系抗生物質3項目、ミロサマイシン Ⅲ-4(4)
合
【結
計
161
2,778
Ⅲ-4(3) 添加物外含有成分試験(複雑)
Ⅲ-4(4) 添加物外含有成分試験(特殊)
25 項目
2,753 項目
果】すべての試料で試験項目は不検出であった。(試験成績書を依頼者宛送付した。)
食品S8(食品保健S4) 平成 24 年度食品衛生検査施設の外部精度管理調査 *
【依 頼 者】北海道保健福祉部食品衛生課
【担当部等】食品科学部食品保健グループ(動物用医薬品、水産食品) 西村一彦、橋本 諭、山口博美
【法令根拠】食品衛生法、「食品衛生検査施設等における検査等の業務の管理の実施について」(平成9年4
月1日付厚生省生活衛生局食品保健課衛食第 117 号)
【目
的】保健所及び衛生研究所の食品衛生検査業務における検査精度の維持、向上を図る。
【方
法】北海道立衛生研究所検査実施標準作業書に従った。
【試験品目及び試料数】((財)食品薬品安全センターから送付)
試験品目
試料数
項目数
試験内容
動物用医薬品(スルファジミジン)×5回
鶏肉ペースト
1
5
Ⅲ-4(3) 添加物外含有成分試験(複雑)
5 項目
【結
果】当所の分析結果を全国の参加施設全体の結果と比較し、統計学的な解析を行った結果、当所の検
査精度は良好に維持されていた。(結果を(財)食品薬品安全センターに送付した。)
食品S9(食品保健S5) 貝毒検査−1 *
【依 頼 者】北海道保健福祉部食品衛生課
【担当部等】食品科学部食品保健グループ(貝毒) 上野健一、高橋哲夫、田沢悌二郎、林 玲子
【法令根拠】食品衛生法、「麻痺性貝毒等により毒化した貝類の取扱について」(昭和 55 年7月1日付厚生
省環乳第 29 号)
【目
的】麻痺性貝毒及び下痢性貝毒による食中毒を防止するために、貝類についてこれらの貝毒検査を行う。
【方
法】昭和 55 年7月1日付厚生省環乳第 30 号別添「麻痺性貝毒検査法」及び昭和 56 年5月 19 日付厚
生省環乳第 37 号別添「下痢性貝毒検査法」に従った。
【試験品目及び試料数】(道内 15 保健所が収去)
試験品目
試料数
項目数
試験内容
ホタテガイ
6
12
麻痺性貝毒検査(むき身、中腸腺)
Ⅶ-6(1)
6
下痢性貝毒検査
Ⅶ-6(2)
ホタテガイ製品
10
10
麻痺性貝毒検査(可食部)
Ⅶ-6(1)
10
下痢性貝毒検査
Ⅶ-6(2)
ホタテガイ以外
18
18
麻痺性貝毒検査(むき身)
Ⅶ-6(1)
の二枚貝
18
下痢性貝毒検査
Ⅶ-6(2)
合 計
34
74
Ⅶ-6(1) 毒性病理学的試験(麻痺性)
Ⅶ-6(2) 毒性病理学的試験(下痢性)
- 38 -
40 項目
34 項目
【結
果】麻痺性貝毒は 10 月のホタテガイ検体から中腸腺試料で 3.8 MU/g の毒力が検出されたが、自粛
規制値未満であった。下痢性貝毒は1年を通して検出されなかった。(試験成績書を依頼者宛送付した。)
食品S10(食品保健S6)ホタテガイ衛生管理高度化推進事業−対EU 輸出ホタテガイの生産海域モニタリング検査 *
【依 頼 者】北海道保健福祉部食品衛生課・水産林務部水産経営課
【担当部等】食品科学部食品保健グループ(貝毒) 上野健一、高橋哲夫、田沢悌二郎、林 玲子
【法令根拠】「対 EU 輸出ホタテガイ等二枚貝の取り扱いについて」(平成8年3月 27 日付厚生省生活衛生局
衛乳第 43 号、平成 14 年7月 15 日付食発 0715004 号最終改正)
【目
的】欧州連合へのホタテガイ輸出に向け網走中部海域産及び噴火湾北西部海域産ホタテガイの安全性
を確認する。
【方
法】北海道立衛生研究所検査実施標準作業書に従った。
【試験品目及び試料数】
(網走中部海域保健所・水産技術普及指導所から送付された 58 試料(試験期間:平成 24 年5月∼11 月)、
網走北部海域保健所・水産技術普及指導所から送付された5試料(試験期間:平成 24 年 10 月)、
噴火湾北西部海域保健所・水産技術普及指導所から送付された 19 試料(試験期間:平成 24 年4∼5月、平
成 25 年2∼3月))
試験品目
試料数
項目数
試験内容
ホタテガイ
73
73
麻痺性貝毒
Ⅶ-6(1)
6
記憶喪失性貝毒
Ⅲ-4(3)
ホタテガイ製品
9
9
麻痺性貝毒
Ⅶ-6(1)
9
記憶喪失性貝毒
Ⅲ-4(3)
18
下痢性貝毒
Ⅶ-6(2)
合
計
82
115
Ⅲ-4(3) 添加物外含有成分試験(複雑)
Ⅶ-6(1) 毒性病理学的試験(麻痺性)
Ⅶ-6(2) 毒性病理学的試験(下痢性)
15 項目
82 項目
18 項目
【結
果】麻痺性貝毒は7月のホタテガイ1検体から 1,059μg(サキシトキシン相当量)/kg の毒力が検出
され、EU 規制値を超えた。下痢性貝毒及び記憶喪失性貝毒はすべて EU 規制値未満であった。(試験成績書
を依頼者宛送付した。)
食品S11(食品保健S7) 平成 24 年度食品衛生検査施設の外部精度管理調査 *
【依 頼 者】北海道保健福祉部食品衛生課
【担当部等】食品科学部食品保健グループ(貝毒) 上野健一、高橋哲夫、田沢悌二郎、林 玲子
【法令根拠】食品衛生法、「食品衛生検査施設等における検査等の業務の管理の実施について」(平成9年4
月1日付厚生省生活衛生局食品保健課衛食第 117 号)
【目
的】保健所及び衛生研究所の食品衛生検査業務における検査精度の維持、向上を図る。
【方
法】北海道立衛生研究所検査実施標準作業書に従った。
【試験品目及び試料数】(財)食品薬品安全センターから送付)
試験品目
試料数 項目数
試験内容
麻痺性貝毒×1回(デカルバモイルサキシトキシンによる標準化試験を含む)
ホタテガイペースト
1
1
Ⅶ-6(1) 毒性病理学的試験(麻痺性)
18 項目
【結
果】当所の分析結果を全国の参加施設全体の結果と比較し、統計学的な解析を行った結果、当所の検
査精度は良好に維持されていた。(結果を(財)食品薬品安全センターに送付した。)
(2) 依頼試験
試験品目
試料数
項目数
畜水産食品
2
6
添加物外含有成分試験(残留動物用医薬品)
Ⅲ-4(2)
肉骨粉
6
6
成分試験(簡易なもの)
Ⅲ-2(1)
ホタテガイ
6
6
毒性病理学的試験(貝毒試験、麻痺性貝毒)
Ⅶ-6(1)
14
18
合
計
試験内容
- 39 -
2.調査研究
食品K4(食品保健K1) 一般試験研究(平成 23∼24 年度、○
24 予算額 342 千円(総額 684 千円))
LC/MS による下痢性貝毒成分と遊離多価不飽和脂肪酸の一斉分析法の開発
橋本 諭、上野健一(食品保健グループ)
【目的】下痢性貝毒と遊離多価不飽和脂肪酸の一斉分析法の開発を目的とした。欧州連合(EU)は下痢性貝毒
の検査法を、貝抽出物を投与したマウスの生死を観察する方法から、貝抽出物中の毒の量を機器で分析する
方法に変更することを決定し、検査法を記載した標準作業書を公表している。北海道は EU 諸国にホタテガ
イを輸出していることから、その作業書に基づいた機器分析法を用い検査ができるよう、あらかじめ準備す
る必要がある。また、将来、日本の貝毒検査に機器分析が導入された場合、食用二枚貝のマウス検査は“既
知”の貝毒の検出ではなく、“未知”の海産生物毒の検出を目的とするものに変更されると考えられる。
“未知”の毒を検出するためのマウス検査では、観察されたマウスの症状が“未知”の毒を原因とするもの
か,“既知”の毒を原因とするものかを判断する必要がある。このため、マウス試験と並行して試料中の
“既知”の毒の量も監視しなければならない。監視は機器分析で行うのが適当だが、“既知”貝毒だけでは
なく、同マウス試験で毒性を発揮する二枚貝由来の遊離多価不飽和脂肪酸の測定も必要となる。両者は通常
別々の方法で測定されるが、検査を効率的に行うために、同時に測定する一斉分析法の検討を行った。
【方法】EU への輸出を考慮すると、分析法は EU 作業書の条件を満たす必要がある。そのため、一斉分析法の
開発は EU 作業書記載の機器分析法を基本とした。作業書では、貝毒を酸性溶出液またはアルカリ溶出液に
より高速液体クロマトグラフで分離し、タンデム型の質量分析計(LC/MS/MS)で測定する方法が採用されて
いる。本研究では、より低価格で幅広く使用されているシングル型の質量分析計(LC/MS)の使用を前提と
し、その場合に EU 作業書の方法が適用できるかどうかを検討した。また、遊離多価不飽和脂肪酸を同時に
測定するための条件を調べた。
【結果及び考察】研究の結果、酸性溶出液を使用し、質量分析を行うために測定物質に電荷を帯びさせるイオ
ン化をエレクトロンスプレー法で行うこと、かつ、その際にかける電圧の極性を切替えながら測定すること
で両者を直接一斉分析できることが明らかとなった。この方法によるホタテガイ中腸腺試料の測定について
検討を行い、実際の試料でも問題なく両者の測定ができることが確認された。
食品K5(食品保健K2) 一般試験研究(平成 24∼25 年度、○
24 予算額 405 千円)
畜水産食品中に残留する有害物質分析法に関する検討−HPLC/MS/MS を用いた動物用医薬品分析法の再検討−
西村一彦、橋本 諭、山口博美、平間祐志(食品保健グループ)
畜水産食品中に残留する抗生物質をはじめとする動物用医薬品を高感度、高選択制のタンデムマス
(LC/MS/MS)で測定する方法について検討を行った。H24 年度は、ベンジルペニシリン系抗生物質の
LC/MS/MS 分析法が確立できた。また、食肉衛生検査所で用いる筋肉中の動物用医薬品分析法について改良と
妥当性評価を行った。
食品K6(食品保健K3) 外部資金活用研究(平成 24 年度経済産業省化学物質安全確保・国際規制対策
推進等(特定物質危機管理体制構築事業)受託事業) (平成 24 年度)
代替標準物質を用いたサキシトキシン化学分析法の開発
上野健一(食品保健G)、渡邊龍一、鈴木敏之(独立行政法人水産総合研究センター)
【目的】麻痺性貝中毒の原因として知られるサキシトキシン(STX)は、も化学兵器禁止条約及び爆弾テロ
防止条約の適確な実施確保のため、化学兵器の製造等の禁止・特定物質の製造等の規制等を行う
「化学兵器の禁止及び特定物質の規制等に関する法律」において、「特定物質」に指定されている。STX は
法の施行以前から、貝類の安全性を評価する生物試験の標準物質として、また、イオンチャネル機能の解明
のための生化学試薬として国内外で広く使われてきた。他にも、汚染した貝類によって引き起こされる食中
- 40 -
毒防止のため、原因生物の特定や自然界の動態解明等の基礎研究において、化学分析の標準として多くの研
究機関が使用してきた。この STX の利用を最小限に抑えるため、当該物質と危険性の低い類似物質との相関
関係を明らかにして類似物質を標準物質として代替使用することを目的とする。
【方法】独立行政法人水産総合研究センターが作成した試料について、複数の国内試験研究機関(特定物質許
可使用者の試験研究機関を含む)による検証試験(試験所間比較技能試験)に参加した。液体クロマトグラ
フィー/ポストカラム/蛍光検出法により試料中のネオサキシトキシン(neoSTX)の定量、代替物質デカルバ
モイルサキシトキシン(dcSTX)による試料中の STX の同定及び定量精度の検証を行った。
【結果及び考察】検証試験における当所の成績は、neoSTX の定量精度及び代替物質 dcSTX による STX の定量
精度はともに精度目標値(真度 70-120%、室内標準偏差:<10%、室間相対標準偏差:<15%)を満たし、
かつ、Zスコアが|Z|<2 に収まり、良好な結果であった。
本検証結果から「サキシトキシン標準品代替標準物質使用マニュアル」を作成した。
食品K7(食品保健K4) 応募研究(厚生労働科学研究費(食品の安心・安全確保推進研究事業)協力)
(平成 22∼24 年度)
食品を介したダイオキシン類等有害化学物質摂取量の評価とその手法開発に関する研究
高橋哲夫(食品保健G)、松田りえ子(国立医薬品食品衛生研究所)
【目的】トータルダイエット(TD)試料を用いたダイオキシン類等の有害化学物質の摂取量調査は、平成9年
から厚生科学研究(現厚生労働科学研究)として毎年実施されており、国民のダイオキシン類暴露量とその
経年推移に関する知見が得られている。平成 21∼24 年度も継続して調査を実施した。
【方法】全国7地区8機関において調製した TD 試料中のダイオキシン類を分析し、1日摂取量を求めた。な
お、これまでの調査により比較的ダイオキシン含有量が多いことが予想される第 10∼12 食品群(魚介類、
肉・卵類、乳・乳製品)は、各群それぞれ食品内容を変えて3セットずつ調製し分析した。当所では北海道
地区の調査試料の調製を担当した。検査項目は、WHO が毒性係数(TEF)を定めている PCDDs7種類、
PCDFs10 種類及び Co-PCBs12 種類の計 29 種類である。ダイオキシン類の分析は「食品中のダイオキシン類
測定方法ガイドライン(厚生労働省、平成 11 年 10 月)に従い分析担当機関が行った。測定結果は、一日摂
取量を体重当たりの毒性等量(pgTEQ/Kg 体重/日)で示した。
【結果及び考察】平成 24 年度の調査結果の概要を以下に記す。TD試料分析により推定されたダイオキシン
類の平均一日摂取量は 0.69pgTEQ/Kg 体重/日であり、日本における耐用1日摂取量(TDI)である4pg の
約 17%であった。なお、ダイオキシン摂取量のほぼ7割は Co-PCBs であった。ダイオキシン摂取量は経年
的に減少傾向にあるが、食品の安全を確保するため、今後もダイオキシン類摂取に対する寄与が大きい魚介
類、肉・卵類に重点を置いた調査を継続し、動向を見守る必要がある。
3.その他
講演、講義、講師派遣
派遣日
24.11.27
24.11.29
∼11.30
研修・講演名
身近な危険物質
−動植物から薬物、サプリ、放射能まで−
道立保健所等理化学検査担当者研修
−食品中に残留する農薬等に関する試験法に
関する妥当性評価について−
依 頼 元
講
師
名
北星学園大学
主幹
保健福祉部健康安全局
主査(動物用医薬品)西村 一彦
主査(水産食品)
【北海道立衛生研究所で実施】
- 41 -
平間 祐志
橋本 諭
Ⅳ 感染症部
感染症部は、細菌グループ、ウイルスグループ及び医動物グループの3グループで構成されている。
平成 23 年6月の機構改正により、細菌グループは、微生物部細菌科と食品微生物科の2科を統合、ウイルスグ
ループは、微生物部ウイルス科と腸管系ウイルス科の2科を統合、医動物グループは、生物科学部感染病理科、
衛生動物科及び生物資源管理科(実験動物管理業務)の3科を統合し、感染症、感染症起因病原体、媒介動物等
に関する試験検査及び調査研究を行う部として発足した。
主たる業務として、細菌感染症、ウイルス感染症、寄生虫・原虫・リケッチア等の感染症、感染症媒介動物・
衛生昆虫に関する試験検査、調査研究及び技術指導を行っている。また、実験動物に関する飼育管理を行ってい
る。
平成 24 年度に実施した調査研究は、一般試験研究4課題、民間等共同研究1課題、応募研究 16 課題、その他
(保健福祉部事業)1課題 計 22 課題である。
また、行政試験 4,753 件、依頼試験 261 件 計 5,014 件 を実施した。
Ⅳ−1 感染症部 細菌グループ
細菌グループは、道民の健康で快適な生活の維持・向上のために、細菌が原因で引き起こされる感染症や食中
毒の原因調査とその対策のための調査研究(応募研究5題)を行い、また保健所職員等を対象とした技術指導等
の研修を行っている。また、感染症発生動向情報の発信、検査精度の向上を目的に、道内臨床検査センター(衛
生検査所)を対象とした外部精度管理調査等を実施している。
なお、腸管出血性大腸菌、劇症型溶血性レンサ球菌の発生動向調査及びレジオネラ属菌検査法の開発研究につ
いて主査(細菌感染症)を中心に取り組み、食中毒事例の原因究明調査及びカンピロバクター属菌等の食中毒原
因菌検査方法の研究について主査(食品細菌)を中心に取り組んでいる。
1.試験検査
(1) 行政試験等
感染S1(細菌S1) 道内で発生する感染症の発生動向調査−腸管出血性大腸菌試験 〈 行政試験 〉 *
【依 頼 者】北海道保健福祉部地域保健課
【担当部等】感染症部細菌G(細菌感染症)
森本 洋、長瀬敏之、小川恵子
【法令根拠】感染症法・感染症発生動向調査事業実施要綱(厚生労働省、平成 11 年4月1日施行)
【目
的】道内で発生した腸管出血性大腸菌感染症の発生情報の正確な把握と分析。
【方
法】菌株の血清型、病原遺伝子の保有、志賀毒素産生性、生化学的性状及び薬剤感受性試験を実施した。
大規模食中毒に係る原因究明調査を行い、検出菌に対し上記試験を実施した。
【試験品目及び試料数】 (道内 10 保健所から送付)
試験品目
試料数
項目数
試験内容
172
血清学的型別検査 ( 2 項目)
Ⅶ-1(3)イ
大腸菌
86
258
病原遺伝子保有検査( 3 項目)
〃
172
志賀毒素産生性検査( 2 項目)
〃
1,806
生化学的性状検査 (21 項目)
〃
1,643
(53)
〃
(31 項目)
Ⅶ-1(7)
1,272
(53)
薬剤感受性検査
(24 項目)
Ⅶ-1(4)イ
合
計
86
5,323
Ⅶ-1(3)イ
細菌学的試験 菌株同定試験
Ⅶ-1(4)イ
細菌学的試験 薬剤感受性試験 特殊なもの 53 件(1,272 項目)
Ⅶ-1(7)
細菌学的試験 特殊細菌検査
- 42 -
特殊なもの 86 件(2,408 項目)
53 件(1,603 項目)
【結
果】86 試料について調査した結果、次の血清型が確認された。O8:H9、O26:H11、O63:NM、O91:HUT、
O103:H2、O115:NM、O121:H19、O157:H7、O157:NM、OUT:H2、OUT:NM。これらについて、志賀毒素産生性、生
化学的性状、薬剤感受性検査等の結果を併せ、試験成績書を依頼者宛送付した。また、白菜切り漬け食中毒事
例菌株を中心に国立感染症研究所に送付した。
感染S2(細菌S2) 道内で発生する感染症の発生動向調査−劇症型溶血性レンサ球菌試験 〈 行政試験 〉
【依 頼 者】北海道保健福祉部地域保健課
【担当部等】感染症部細菌G(細菌感染症)
森本 洋、長瀬敏之、小川恵子
【法令根拠】感染症法・感染症発生動向調査事業実施要綱(厚生労働省、平成 11 年4月1日施行)
【目
的】道内で発生した劇症型溶血性レンサ球菌の発生情報の正確な把握と分析。
【方
法】菌株の溶血性、群別、血清学的型別及び薬剤感受性試験を実施した。
【試験品目及び試料数】 (道内3保健所から送付)
試験品目
溶血性レンサ球菌
合
計
試料数
7
7
項目数
21
14
5
105
145
*
試験内容
溶血性確認検査
群別検査
血清学的型別検査
薬剤感受性検査
Ⅶ-1(3)イ
〃
〃
Ⅶ-1(4)イ
Ⅶ-1(3)イ
細菌学的試験 菌株同定試験
Ⅶ-1(4)イ
細菌学的試験 薬剤感受性試験 特殊なもの
特殊なもの
7 件( 40 項目)
7 件(105 項目)
【結
果】A群溶血性レンサ球菌 T1、T12、G群溶血性レンサ球菌が確認された。これらについて、薬剤感受
性検査等の結果を併せ、試験成績書を依頼者宛送付した。また、溶血レンサ球菌レファレンスセンター(福島
県衛生研究所)に菌株を送付し詳細検査を行い、解析結果を依頼者宛送付した。
感染S3(細菌S3) 道内で発生する感染症の発生動向調査−A群溶血性レンサ球菌試験 〈 行政試験 〉 *
【依 頼 者】北海道保健福祉部地域保健課
【担当部等】感染症部細菌G(細菌感染症)
森本 洋、長瀬敏之、小川恵子
【法令根拠】感染症法・感染症発生動向調査事業実施要綱(厚生労働省、平成 11 年4月1日施行)
【目
的】道内で発生したA群溶血性レンサ球菌の発生情報の正確な把握と分析。
【方
法】菌株の溶血性、群別、血清学的型別及び薬剤感受性試験を実施した。
【試験品目及び試料数】 (道内3保健所から送付)
試験品目
試料数 項目数
試験内容
75
溶血性確認検査
Ⅶ-1(3)イ
A群溶血性レンサ
25
34
球菌
群別検査
〃
17
血清学的型別検査
〃
255
薬剤感受性検査
Ⅶ-1(4)イ
合
計
25
381
Ⅶ-1(3)イ
細菌学的試験 菌株同定試験
特殊なもの
Ⅶ-1(4)イ
細菌学的試験 薬剤感受性試験 特殊なもの
25 件(126 項目)
25 件(255 項目)
【結
果】次のT型別タイプが確認された。T1、T4、T6、T12、T28、TB3264。これらについて、薬剤感受性
検査等の結果を併せ、試験成績書を依頼者宛送付した。また、溶血レンサ球菌レファレンスセンター(福島県
衛生研究所)にもこれら検査情報を提供した。
感染S4(細菌S4) 道内で発生する感染症の発生動向調査−サルモネラ パラチフスA菌試験〈 行政試験 〉
【依 頼 者】北海道保健福祉部地域保健課
【担当部等】感染症部細菌G(細菌感染症)
森本 洋、長瀬敏之、小川恵子
【法令根拠】感染症法・感染症発生動向調査事業実施要綱(厚生労働省、平成 11 年4月1日施行)
【目
的】道内で発生したサルモネラ パラチフスA菌の発生情報の正確な把握と分析。
【方
法】菌株の血清型、生化学的性状及び薬剤感受性試験を実施した。
- 43 -
*
【試験品目及び試料数】 (道内1保健所から送付)
試験品目
試料数 項目数
3
血清学的型別検査
サルモネラ パラ
1
16
生化学的性状検査
チフスA菌
24
薬剤感受性検査
合
【結
計
1
43
試験内容
Ⅶ-1(3)イ
〃
Ⅶ-1(4)イ
Ⅶ-1(3)イ
細菌学的試験 菌株同定試験
特殊なもの
Ⅶ-1(4)イ
細菌学的試験 薬剤感受性試験 特殊なもの
1 件(19 項目)
1 件(24 項目)
果】Salmonella enterica subspecies enterica serovar Paratyphi A が確認され、生化学的性状、薬
剤感受性検査等の結果を併せ、試験成績書を依頼者宛送付した。また、ファージ型別のため国立感染症研究所
に菌株を送付し、解析結果を依頼者に送付した。
感染S5(細菌S5) 浴槽水におけるレジオネラ属菌の検査−レジオネラ属菌試験 〈 行政試験 〉 *
【依 頼 者】北海道保健福祉部食品衛生課
【担当部等】感染症部細菌G(細菌感染症)
森本 洋、長瀬敏之、小川恵子
【法令根拠】感染症法
【目
的】道内で発生したレジオネラ症の原因究明。
【方
法】新版レジオネラ症防止指針((財)ビル管理教育センター)及び病原体検出マニュアル−レジオネ
ラ症−(国立感染症研究所)に従った。
【試験品目及び試料数】 (道内1保健所から送付)
試験内容
試験品目
試料数 項目数
3
検体調製
浴槽水
3
36
培養検査
(レジオネラ属菌
36
観察検査
検査)
23
確認検査
46
血清学的型別検査
3
菌種同定
以上、Ⅶ-1(7)
細菌学的試験 特殊細菌検査
3 件(147 項目)
合
計
3
147
【結
果】次の血清群が確認された。Legionella pneumophila 血清群1、2、5、6、10、不明、Legionella
maceachernii 。浴槽水中のレジオネラ属菌数と併せ、試験成績書を依頼者宛送付した。
感染S6(細菌S6) 生物学的製剤基準による血液製剤の無菌試験〈 報告 〉
【依 頼 者】北海道保健福祉部医療薬務課
【担当部等】感染症部細菌G(細菌感染症)
森本 洋、長瀬敏之、小川恵子
【法令根拠】薬事法、平成 24 年6月 27 日付医薬第 1098 号
【目
的】抜き取り検査を実施することにより製造技術の確認等を行い、品質の確保を図る。
【方
法】日本薬局方の無菌試験法に従った。
【試験品目及び試料数】人赤血球濃厚液 30 件、洗浄人赤血球浮遊液 30 件、新鮮凍結人血漿 20 件、計 80 検体に
ついて試験した。
【結
果】全ての製剤において、菌の発育を認めなかった。(試験成績書として依頼者を通し、血液センター
に送付された。)
感染S7(細菌S7) 北海道衛生検査所外部精度管理調査(微生物学的検査) *
【依 頼 者】北海道保健福祉部医療薬務課(「理化 S11(薬品保健 S1)」に同じ)
【担当部等】感染症部細菌G(細菌感染症)
森本 洋、長瀬敏之、小川恵子
【法令根拠】 臨床検査技師法、「衛生検査精度管理指導対策事業について」(平成 11 年3月 16 日付厚生省健康
政策局長健政第 273 号)
【目
的】登録衛生検査所における検査技術と精度管理の質的向上を図る。
【方
法】ブラインド調査の1方式で実施した。微生物試料を作製し、協力医療機関を通し各衛生検査所に配
付し、検査結果を回収、解析した。
- 44 -
【試験品目及び試料数】(ブラインド調査対象:5施設)
試験品目
試料数
項目数
199
細菌同定
微生物試料
10
72
薬剤感受性
(2)
10
結果評価
(10)
合
計
10
281
試験内容
Ⅶ-1(4)イ
細菌学的試験 薬剤感受性試験 特殊なもの
Ⅶ-1(7)
細菌学的試験 特殊細菌検査
Ⅶ-1(7)
Ⅶ-1(4)イ
Ⅶ-1(7)
2 件( 72 項目)
10 件( 209 項目)
【結
果】生化学・血清学的検査結果とあわせて「平成 23 年度北海道衛生検査所外部精度管理調査結果報告書
(保健福祉部)」としてまとめて依頼者宛送付し、依頼者を通して参加各施設及び関係諸機関に配付された。
感染S8(細菌S8) 食品衛生検査施設における共通内部精度管理調査(微生物学的検査)
【依 頼 者】北海道保健福祉部食品衛生課
【担当部等】感染症部細菌G 清水俊一、熊田洋行(保健福祉部健康安全局)
【法令根拠】食品衛生法
【目
的】食品衛生検査施設における検査等の業務管理要綱により検査等の業務の管理を定めた施設のうち、食
品等の検査を実施している施設における検査精度の維持、向上を図る。
【方
法】検査対象細菌1種類を保健所試験検査課用としては滅菌した疑似食材(白菜浅漬け)に、食肉衛生
検査所用としては疑似拭き取り検体に添加し試料を作成し検査機関に送付した。保健所には漬け物の衛生規範
に基づく検査を、食肉衛生検査所には枝肉拭き取り検査検体からの菌分離を求めた。
【試験品目及び試料数】食品等の検査を実施している衛生研究所担当グループ、保健所(12 施設、政令指定都市
の施設を含む)及び食肉衛生検査所(5施設)の 17 施設を対象とし、衛生研究所担当グループ、保健所には
Esherichia coli を、食肉衛生検査所には Esherichia coli と Salmonella Braenderup を添加し送付した。
【結
果】1 施設において検体の取り違いがあったものの、他は良好であった。評価結果については健康安全
局から各検査施設に通知された。
感染S9(細菌S9) 平成 24 年度畜水産食品の残留動物用医薬品モニタリング検査 *
【依 頼 者】北海道保健福祉部食品衛生課(「食品S7(食品保健S3)」に同じ)
【担当部等】感染症部細菌G(食品細菌)、食品科学部食品保健G
池田徹也、久保亜希子、清水俊一
【法令根拠】食品衛生法、平成 24 年3月 30 日付健全第 7630 号
【目
的】道内で生産される畜水産食品の安全確保を図る。
【方
法】北海道立衛生研究所検査実施標準作業書に従った。
【試験品目及び試料数】(道内4食肉衛生検査所及び道内 23 保健所で収去)
試験品目
試料数
項目数
試験内容
食 肉
95
95
抗生物質の検出
〃
鶏 卵
13
13
〃
養殖魚
5
5
〃
乳
16
16
〃
はちみつ
3
3
合
計
132
132
以上、Ⅲ-1(2)イ 微生物培養試験 (複雑なもの)
132 項目
【結
果】食肉、鶏卵、養殖魚、乳、はちみつの全ての試料から抗生物質は検出されなかった。(試験成績書
を依頼者宛送付した。)
感染S10(細菌S10) ナチュラルチーズのリステリアモニタリング調査 *
【依 頼 者】北海道保健福祉部食品衛生課
【担当部等】感染症部細菌G(食品細菌) 池田徹也、久保亜希子、清水俊一
【法令根拠】平成 24 年3月 30 日付健全第 7630 号
【目
的】北海道産乳・乳製品のリステリア汚染防止を図り、衛生向上に資する。
【方
法】 平成5年8月2日付厚生省生活衛生局通知衛乳第 169 号「乳及び乳製品のリステリアの汚染防止等
について」に従った。
- 45 -
【試験品目及び試料数】(道内 20 保健所管内の事業場から収去)
試験品目
試料数
項目数
道内産
103
103
リステリアの検出
Ⅲ-1-(2) )イ微生物培養試験(複雑なもの)
ナチュラルチーズ
【結
試験内容
103 項目
果】全ての試料からリステリアは検出されなかった。(試験成績書を依頼者宛送付した。)
感染S11(細菌S11) 食中毒事例等に係る原因究明調査 *
【依 頼 者】北海道保健福祉部食品衛生課
【担当部等】感染症部細菌G(食品細菌) 池田徹也、久保亜希子、小川恵子、長瀬敏之、森本洋、清水俊一
【法令根拠】食品衛生法第 58 条第2項
【目
的】食中毒事例の原因を究明するとともに、被害の拡大防止及び再発防止を図る。また、食品衛生法に
違反する食品等について、違反事実を確認し健康被害の防止を図る。
【方
法】食品衛生検査指針及び関係文献
【試験品目及び試料数】(道内3保健所管内で発生した食中毒事例等)
試験内容
試験品目
試料数 項目数
1
1
培養試験
Ⅲ-1(2)ウ
食 品
(腸管出血性大腸菌)
便
(腸管出血性大腸菌)
菌 株
(腸管出血性大腸菌)
菌 株
(黄色ブドウ球菌)
食 品(カビ)
6
102
21
2
6
6
8
1
102
102
306
102
21
9
48
2
培養試験
毒素試験
遺伝子検査
血清型
培養試験
毒素試験
遺伝子検査
血清型
培養試験
毒素試験
遺伝子検査
カビの同定
Ⅲ-1(2)ウ
Ⅲ-1(2)イ
Ⅲ-1(2)ウ
Ⅲ-1(2)イ
Ⅲ-1(2)ウ
Ⅲ-1(2)イ
Ⅲ-1(2)ア
Ⅲ-1(2)イ
Ⅲ-1(2)ウ
Ⅲ-1(2)イ
21項目
222 項目
Ⅲ-1(2)ウ 微生物培養試験(特殊なもの)
471 項目
果】腸管出血性大腸菌食中毒事例については、便や食品から菌分離を行い、保健所等から搬入された分
Ⅲ-1(2)ア
合
【結
Ⅲ-1(2)ウ
Ⅲ-1(2)イ
計
132
714
微生物培養試験(簡易なもの)
Ⅲ-1(2)イ 微生物培養試験(複雑なもの)
離株とあわせて、菌株の性状試験、血清型別、毒素産生性試験、遺伝子検査等を行った。黄色ブドウ球菌食中
毒事例については、分離株の遺伝子検査並びに毒素産生性試験を行った。また、2品目についてカビの同定試
験を行った。結果が判明し次第関係保健所、健康安全局食品衛生課と随時連絡をとりながら原因究明を行った。
(試験成績書を依頼者宛送付した。)
感染S12(細菌S12) 食品衛生検査施設における業務管理に伴う精度管理調査 *
【依 頼 者】北海道保健福祉部食品衛生課
【担当部等】感染症部細菌G(食品細菌)
池田徹也、久保亜希子、清水俊一
【法令根拠】食品衛生法第 29 条、食品衛生法施行規則第 37 条
【目
的】食品検査における検査精度の信頼性確保のため、検査精度の評価を受ける。
【方
法】北海道立衛生研究所検査実施標準作業書に従った。
- 46 -
【試験品目及び試料数】(食品衛生外部精度管理業務調査機関から送付、及び内部精度管理試料)
試験品目
試料数
項目数
試験内容
外部精度管理
3
3
一般生菌数
Ⅲ-1(2)ア
(模擬食材)
2
E. coli
Ⅲ-1(2)ア
内部精度管理
1
大腸菌
Ⅲ-1(2)ア
1
腸炎ビブリオ
Ⅲ-1(2)イ
(模擬食材)
1
Ⅲ-1(2)ア 微生物培養試験 (簡易なもの)
6 項目
合
計
4
7
Ⅲ-1(2)イ 微生物培養試験 (複雑なもの)
1 項目
【結
果】各項目とも、適正に検査されている旨の報告を得た。なお、調査結果については各調査機関から依
頼者、GLP 信頼性確保部門責任者及び当所 GLP 検査部門責任者宛に報告書として提出されている。
感染S13(細菌S13) ホタテガイ衛生管理高度化推進事業−対EU 輸出ホタテガイの生産海域モニタリング検査 *
【依 頼 者】北海道保健福祉部食品衛生課・水産林務部水産経営課 (「食品S12(食品保健S8)」に同じ。)
【担当部等】感染症部細菌グループ(食品細菌) 池田徹也、久保亜希子、清水俊一
【法令根拠】「対 EU 輸出ホタテガイ等二枚貝の取り扱いについて」(平成8年3月 27 日付厚生省生活衛生局衛
乳第 43 号、平成 14 年7月 15 日付食発 0715004 号最終改正)
【目
的】欧州連合へのホタテガイ輸出に向け網走中部海域産及び噴火湾北西部海域産のホタテガイ製品の安
全性を確認する。
【方
法】北海道立衛生研究所検査実施標準作業書に従った。
【試験品目及び試料数】(道内水産加工場で処理された製品)
試験品目
試料数
項目数
9
糞便性大腸菌群の検出
ホタテ製品
9
9
サルモネラの検出
合
【結
試験内容
Ⅲ-1(2)ア
Ⅲ-1(2)イ
9 項目
Ⅲ-1(2)イ 微生物培養試験 (複雑なもの)
9 項目
果】 糞便性大腸菌群は 18MPN/100g 以下で、サルモネラは全ての試料から検出されなかった。(試験成
計
9
Ⅲ-1(2)ア 微生物培養試験 (簡易なもの)
18
績書は依頼者宛送付した。)
(2) 依頼試験
試験品目
浴槽水
血液製剤
食
品
試料数
2
項目数
54
80
160
21
56
(ビート糖、でん
10
ぷん、パンなど)
合
計
1
103
試験内容
細菌学的試験 特殊細菌検査 (*1)
Ⅶ-1(7)
細菌学的試験 無菌試験
Ⅶ-1(5)
微生物培養試験(簡易なもの)
Ⅲ-1(2)ア
〃
〃
(複雑なもの)
Ⅲ-1(2)イ
(特殊なもの)
Ⅲ-1(2)ウ
281
(*1) : レジオネラ属菌、自由生活性アメーバなどについての詳細検査
2.調査研究
感染K1(細菌K1)
一般試験研究
(平成 24∼26 年度、㉔予算額 414 千円)
細菌感染症検査技術向上に関する研究-ウェルシュ菌、腸管出血性大腸菌、カンピロバクター検査における効率
的検査法の構築池田徹也、久保亜希子、小川恵子、長瀬敏之、森本洋、清水俊一(細菌G)
好熱性カンピロバクター3菌種判別用及び黄色ブドウ球菌エンテロトキシン遺伝子検査用の multiplex
- 47 -
real-time PCR をそれぞれ確立した。ウロ付きホタテから複数種類のウェルシュ菌(毒素産生株含む)の存在を
確認し、注意喚起をした。また、PCR やイムノクロマト検査で偽陰性リスクのある VT2f 産生株の存在を確認し、
各種薬剤感受性試験により基質拡張型β-ラクタマーゼ(ESBLs)産生 O121:H19 の存在を確認したことから、これ
らについても注意喚起をした。
感染K2(細菌K2) 応募研究(厚生労働科学研究費(健康安全・危機管理対策総合研究事業)分担)(平成22∼24 年度)
(「企画K2(企画情報K2)」に同じ)
地方衛生研究所における網羅的迅速検査法の確立と、その精度管理の実施、及び疫学機能の強化に関する研究
後藤良一(衛生研究所)、山口敬治(感染症部)、池田徹也(細菌G)、
調 恒明(山口県保健環境センター)
【目的】RFBS24(平成 19∼21 年度の厚生労働科学研究で開発された 24 種類の食水系感染症原因菌遺伝子を網羅
的に検出するリアルタイム PCR)の検出感度・特異性の向上、精度管理方法の確立を目指した。
【方法】6道県(北海道、富山県、静岡県、島根県、山口県、福岡県)において、食中毒・感染症・有症苦情等、
行政対応した 77 事例以上(どの事例に含まれるか不明な検体もあり正確な事例数は不明)364 検体の患者便を
用いて、RFBS24 の有用性について検討を行った。
【結果及び考察】行政上、病因物質が細菌と特定されたものは 25 事例 140 検体であった。ウェルシュ菌(4事例
24 検体)、サルモネラ(3事例 16 検体)、カンピロバクター(7事例 33 検体)、腸管出血性大腸菌(4事例
26 検体)については、RFBS24 と培養法(直接分離)の検出率に大きな差は認められなかった。黄色ブドウ球菌
(3事例 14 検体)については、培養法の検出率が RFBS24 の検出率に比べ 2 倍程度高かった。これは RFBS24 に
おける黄色ブドウ球菌の検出感度が PCR チューブあたり 103 コピーと他の病原細菌(101∼102 コピー)に比べて
低いことが原因と考えられる。また、仮性結核菌やリステリア・モノサイトゲネス、病原性大腸菌(ETEC、EAEC
の混合感染)はそれぞれ 1 事例だけであったが、RFBS24 で十分検出できた。行政上、特定の病原細菌が原因と
判定されなかった 52 事例以上(ノロウイルス、クドアと判定された事例も含む)の 224 検体からは、カンピロ
バクター・ジェジュニ(13 検体)やカンピロバクター・コリ(3検体)、サルモネラ(6検体)の DNA が検出
され、他にも astA 保有大腸菌(45 検体)、黄色ブドウ球菌(10 検体)、eae 保有大腸菌(10 検体)、エロモナ
ス・ハイドロフィラ(7検体)等の病原細菌 DNA が検出された。RFBS24 は食中毒・感染症・有症苦情などの患
者便に対し、短時間で判定できる上、培養法と同程度の検出率であることから、食水系感染症検査において非常
に有用な検査法であると考える。また、原因不明事例等において RFBS24 を行うと、複数の患者から同一の病原
細菌 DNA が検出されることがあり、その病原細菌を対象とした培養検査を重点的に行うことにより、原因究明に
つながると期待される。
感染K3(細菌K3) 応募研究(厚生労働科学研究費(健康安全・危機管理対策総合研究事業)分担)
(平成 22∼24 年度、㉔予算額 1,000 千円(総額 3,500 千円))
公衆浴場等におけるレジオネラ属菌対策を含めた総合的衛生管理手法に関する研究
森本 洋、長瀬敏之、小川恵子(細菌G)、倉 文明(国立感染症研究所)
【目的】検査機関ごとのレジオネラ属菌検査結果に対するバラツキを改善するために、検査法安定化に向けた取
り組みを行った。
【方法】地方衛生研究所のレジオネラレファレンスセンターを中心メンバーとしたレジオネラ属菌検査精度管理ワーキ
ンググループ(以下「WG」)を発足させ、1)レジオネラ属菌検査方法の現状を把握するために、全国の 77 地方
衛生研究所に対し、アンケート方式による実態調査を行った。 2)公衆浴場における衛生等管理要領について
(厚労省通知)及びレジオネラ症防止指針の再確認、また実験による検査法の検証等から、標準的な検査法の
整理と提示を行った。 3)今後必要となる研修システムのハードとソフト両面の基本的な考え方について検討
した。 4)配付試料を検討し、WG内でプレ精度管理を行い、今後の精度管理に向けた検討を行った。
【結果及び考察】アンケート方式による実態調査の結果、 1) 標準的な検査法の整理と提示、 2) 研修システムの構
築、 3) 精度管理の3点を柱とし、行政・民間の検査機関を問わず検査精度の安定に向けた取り組みを進める必要
があるとの認識に至った。
- 48 -
これらを WG で検討した結果、 1) まず改訂版病原体検出マニュアルに反映させ、次に検査定義をより明確にし、行
政・民間の検査機関を問わず浴槽水等の自主検査に適切に対応した検査方法をまとめた。 2) については、標準的
な検査方法提示後、それに基づいた研修会を開催するのが妥当と思われるが、参集範囲を考慮し、厚労省や地方衛
生研究所協議会等に働きかけ、行政・民間に対する研修会システムを構築する必要があるとの認識に至った。 3) に
ついては、WG 内( 9 地方衛生研究所)でプレ精度管理を行った。その結果、配付試料や検査法、培地等について改
善を行い、適切な評価システムを構築する必要があると思われた。配付試料については、民間企業との協力も視野
に入れ検討する必要があると思われた。また、外部精度管理に加え内部精度管理の必要性を指摘した。
感染K4(細菌K4) 応募研究(厚生労働科学研究費(新型インフルエンザ等新興・再興感染症研究事業)協力)
(平成 24∼26 年度)
病原体解析手法の高度化による効率的な食品由来感染症探知システムの構築に関する研究
清水俊一(細菌G)、寺嶋 淳(国立感染症研究所)
北海道東北新潟ブロックの共同研究として、腸管出血性大腸菌O157H7 用分子疫学解析キット IS-printing
System の制度管理を行った。当ブロックの研究分担者(秋田県健康環境センター)から送付された腸管出血性
大腸菌O157 遺伝子4種を検体として、IS-printing を実施し、泳動結果を研究分担者に送付した。当所の実施
分については、適切に判定されていた。
感染K5(細菌K5) 応募研究(大同生命厚生事業団地域保健福祉研究助成 代表)
(平成23∼24 年度、
予算額300 千円)
生食用鯨肉の微生物学的危機分析 − 人の消化管感染症との関係に関する検討−
清水俊一、久保亜希子(細菌G)
【目的】店頭で販売される遠洋捕鯨及び沿岸捕鯨の鯨肉について、複数の病原菌等を検査し鯨肉における病原細
菌による危害の解析を試みた。また、バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)について北海道内において感染症とし
て分離された菌株とパルスフィールドゲル電気泳動法(PFGE)を用いて比較し由来を検討した。
【方法】平成 23 年 10 月∼平成 24 年6月までの間に、北海道内5カ所、13 店舗の店頭で販売された鯨肉 19 検
体(遠洋捕鯨7検体、沿岸捕鯨 12 検体)について調査を実施した。対象とした細菌は志賀毒素産生性大腸菌
(STEC)、大腸菌(EC)、サルモネラ属菌、リステリア属菌、VRE とし、汚染指標として一般生菌数も測定し
た。また、沿岸捕鯨 12 検体についてはカンピロバクター属菌も併せて検査した。
【結果及び考察】市販鯨肉 19 検体からは STEC、サルモネラ属菌は検出されなかった。また、沿岸捕鯨 12 検体か
らカンピロバクター属菌は検出されなかった。EC は 19 検体中 1 検体(沿岸捕鯨分)から検出された。リステ
リア属菌では、ヒトに病原性を示す L . monocytogenes は検出されなかったが、L . innocua は 13 検体から
検出された。VRE は 13 検体から検出されたが、VanA 及び VanB 遺伝子保有 VRE は検出されず、全て VanC2,3
遺伝子保有 VRE であった。なお、1 検体から VanC2,3 遺伝子に加えて VanC1 遺伝子陽性 VRE が検出された。一
般生菌数は 8.7×102cfu/g∼8.4×106cfu/g の範囲内で、中央値は 3.9×103cfu/g であった。VanC1 遺伝子陽性
VRE について、北海道内で患者から確認された菌株 2 株と PFGE(制限酵素 ApaⅠ)で比較した結果、バンドパ
ターンは異なり由来が同一と考えられるものはなかった。
今回、STEC、サルモネラ属菌、カンピロバクター属菌は検出されなかったものの、過去に斃死鯨を食べサル
モネラによる食中毒事例が発生していることから、病原体の混入には十分注意して、消費までの経路で食品
衛生の一層の向上を図る必要がある。
感染K6(細菌K6) 応募研究(財団法人湯浅記念会 研究助成 代表)(平成24 年度、予算額300 千円)
Multiplex Real-Time SYBR Green PCR 法による VRE 遺伝子の網羅的検出と自然汚染試料を用いた評価
山口敬治(感染症部)、清水俊一、池田徹也(細菌G)
【目的】vanA、vanB 及び vanC 保有バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)の菌分離のために、Multiplex Real-Time
SYBR Green PCR(MRT SG-PCR)法を用いて、安価に効率的に分離する方法を考案し、糞便や食品等からの VRE
検出を従来法と比較した。
- 49 -
【方法】食品(鶏肉、豚肉、鯨肉、生ハム、ローストビーフ、スモークサーモン、シラス、カット野菜)・野鳥
糞便等を緩衝ペプトン水で 1 次増菌し、4μg/mL バンコマイシン(VCM)加 BBL Enterococcosel broth で2次
増菌した。VCM 加 Enterococcosel broth 培養液をアルカリ熱抽出し vanA、vanB、vanC1、vanC2,3 遺伝子を検出
する MRT SG-PCR と従来の PCR を行うと同時に、Chromocult Enterococci agar で分離培養した。分離したコロ
ニーに対しては PCR 及び生化学性状検査を行い同定した。なお、MRT SG-PCR 反応用プライマーは、「primer
3(v.0.4.0)」(http://frodo.wi.mit.edu/)を使用し設計した。
【結果及び考察】陽性対照 DNA を 10 倍段階希釈して MRT SG-PCR を実施したところ、vanA、vanB、vanC2,3 それぞ
vanB、
vanC1、
vanC2,3
れの検出限界は 0.1pg/tube となった。
陽性対照を用いたMRT SG-PCR では、
増幅された vanA、
遺伝子の Tm 値の差により融解曲線が分かれ、それぞれのピークにより含まれる van 遺伝子の種類が確認できる
ことがわかった。複数の van 遺伝子が存在する場合は二峰性を示し、容易に複数の van 遺伝子を確認すること
ができた。次に、食品試料ならびに野鳥糞便等試料の増菌液を用いて、MRT SG-PCR 法、PCR 法、培養法を比較
した。食品試料では MRT SG-PCR 法で 33/35 例(94.2%)、PCR 法で 32/35 例(91.4%)から van 遺伝子を検出し、
培養法で 31/35 例(88.6%)から VRE を分離した。野鳥糞便等の試料では MRT SG-PCR 法で 52/55 例(94.5%)、
PCR 法で 53/55 例(96.4%)から van 遺伝子を検出し、培養法で 43/55 例(78.2%)から VRE を分離した。MRT SG-PCR
法と PCR 法は、ほぼ同等の成績が得られた。しかし、培養法では若干検出率が低くなった。用いている分離培
地が腸球菌用の選択培地であるため VRE だけを選択的に分離することができず、結果的に検出率が下がったと
考えられる。今回検討した MRT SG-PCR 法は、vanA、vanB、vanC 遺伝子を網羅的に検出でき、PCR 法と遜色のな
い結果を示し、時間と費用を節約することができ、スクリーニング試験法として非常に有用であると考える。
3.その他
講演、講義、技術指導等
派遣日
24.8.29
研修・講演名
消費生活リーダー養成講座
「食品と微生物」
依 頼 元
(社)北海道消費者協会
講
師
名
部長
山口 敬治
主幹
清水 俊一
平成 24 年度保健所微生物等
担当者研修会
25.2.19
∼2.22
① 腸管出血性大腸菌及び黄色ブ 保健福祉部健康安全局
ドウ球菌等の検査法に関する
実習及び講義
【北海道立衛生研究所で実施】
主査(細菌感染症)森本 洋
主査(食品細菌) 池田 徹也
② バイオセーフティ講習会実
技指導
平成 24 年度食肉・食鳥肉微生物
25.2.26
∼2.28
研修会
① 腸管出血性大腸菌の検査法
群に関する実習及び講義
② リアルタイムPCRに関す
保健福祉部健康安全局
【北海道立衛生研究所で実施】
主幹
清水 俊一
主査(細菌感染症)森本 洋
主査(食品細菌) 池田 徹也
る実習及び講義
25.3.7
∼3.8
食品・環境衛生監視員研修会
「黄色ブドウ球菌の性状及び
制御」
渡島総合振興局
(渡島保健所)
- 50 -
主査(食品細菌) 池田 徹也
Ⅳ−2 感染症部 ウイルスグループ
ウイルスグループは、ウイルスが原因で引き起こされる感染症や食中毒の原因調査とその対策のための調査研
究(一般試験研究1題、応募研究6題、計7題)、保健所職員等を対象とした技術指導等の研修、感染症発生動
向情報(病原体検出情報)の発信を行っている。
インフルエンザや麻疹の原因ウイルス検査及び流行予測調査を主査(ウイルス感染症)で実施し、感染症や食
中毒の原因となる胃腸炎ウイルス検査を主査(腸管系ウイルス)で実施した。
1.
試験検査
(1) 行政試験等
感染S14 (ウイルスS1) 北海道における感染症の原因ウイルス検査−インフルエンザウイルス分離・同定試験 *
【依 頼 者】北海道保健福祉部地域保健課
【担当部等】感染症部ウイルスG(ウイルス感染症) 駒込理佳、三好正浩、長野秀樹
【法令根拠】感染症法、感染症発生動向調査事業実施要綱(厚生労働省、平成 11 年4月1日施行)
【目
的】ヒトからのウイルス分離及び同定試験の結果から発生動向を調査する。
【方
法】分離同定試験については道衛研所報、42、37(1992)記載の方法に、遺伝子検査については感染研
により提示された方法に従った。
【試験品目及び試料数】(道内5保健所管内の病院から送付)
試験品目
試料数
項目数
試験内容
鼻ぬぐい液
45
45
45
43
咽頭ぬぐい液
27
髄 液
1
簡易キット残液
2
27
27
23
1
1
2
2
2
218
合
計
75
インフルエンザウイルス遺伝子のリアルタイムRT-PCR法による検出
インフルエンザウイルスの分離
インフルエンザウイルスの同定
インフルエンザウイルス遺伝子のリアルタイムRT-PCR法による検出
インフルエンザウイルスの分離
インフルエンザウイルスの同定
インフルエンザウイルス遺伝子のリアルタイムRT-PCR法による検出
インフルエンザウイルスの分離
インフルエンザウイルス遺伝子のリアルタイムRT-PCR法による検出
インフルエンザウイルスの分離
インフルエンザウイルスの同定
以上、Ⅶ-4(1)ア ウイルス学的試験ウイルス同定試験(複雑なもの)
75 件(218 項目)
【結
果】AH3 亜型ウイルスを 63 株、AH1 亜型ウイルスを2株、B 型ウイルス(ビクトリア系統)を2株、B
型ウイルス(山形系統)を1株分離した。(試験成績書を依頼者宛送付するとともに、陽性例については国立
感染症研究所に報告した。)
感染S15 (ウイルスS2)
北海道における感染症の原因ウイルス検査−麻疹、風疹ウイルス同定試験
*
【依 頼 者】北海道保健福祉部地域保健課
【担当部等】感染症部ウイルスG(ウイルス感染症) 駒込理佳、三好正浩、長野秀樹
【法令根拠】感染症法、感染症発生動向調査事業実施要綱(厚生労働省、平成 11 年4月1日施行)
【目
的】ヒトからのウイルス同定試験の結果から発生動向を調査する。
【方
法】遺伝子検出には RT-PCR 法を用いた。麻疹 IgM の測定はデンカ生研(株)社製の測定キットを用いた。
また、培養細胞を用いたウイルス分離を行い、ウイルスが分離された場合、遺伝子検査等で同定することとし
た。
- 51 -
【試験品目及び試料数】(道内 14 保健所管内の病院から送付)
試験品目
試料数
項目数
試験内容
34
麻疹ウイルス遺伝子のRT-PCR法による検出
咽頭ぬぐい液
35
風疹ウイルス遺伝子のRT-PCR法による検出
24
風疹ウイルス遺伝子のシークエンスによる確認
7
原因ウイルスの分離
35
31
麻疹ウイルス遺伝子のRT-PCR法による検出
尿
31
23
風疹ウイルス遺伝子のRT-PCR法による検出
5
風疹ウイルス遺伝子のシークエンスによる確認
31
原因ウイルスの分離
末梢血単核球
24
麻疹ウイルス遺伝子のRT-PCR法による検出
25
(PBMC)
麻疹ウイルス遺伝子のシークエンスによる確認
1
風疹ウイルス遺伝子のRT-PCR法による検出
17
2
風疹ウイルス遺伝子のシークエンスによる確認
25
原因ウイルスの分離
24
麻疹IgMの測定
血
漿
24
麻疹ウイルス遺伝子のRT-PCR法による検出
1
12
麻疹IgMの測定
血
清
13
12
麻疹ウイルス遺伝子のRT-PCR法による検出
11
風疹ウイルス遺伝子のRT-PCR法による検出
10
原因ウイルスの分離
合
計
128
329
以上、Ⅶ-4(1)ア ウイルス学的試験ウイルス同定試験(複雑なもの)
128 件(329 項目)
【結
果】麻疹ウイルス RNA は1件、風疹ウイルス RNA が 16 件から検出され、風疹ウイルスが4件から分離さ
れた。(試験成績書を依頼者宛送付した。)
感染S16 (ウイルスS3)
北海道における感染症の原因ウイルス検査−ヘルパンギーナ起因ウイルス同定試験
*
【依 頼 者】北海道保健福祉部地域保健課
【担当部等】感染症部ウイルスG(ウイルス感染症)
駒込理佳、三好正浩、長野秀樹
【法令根拠】感染症法、感染症発生動向調査事業実施要綱(厚生労働省、平成 11 年4月1日施行)
【目
的】ヒトからのウイルス同定試験の結果から発生動向を調査する。
【方
法】遺伝子検出に RT-PCR 法を用いた。また、培養細胞を用いたウイルス分離を行い、ウイルスが分離さ
れた場合、中和試験等で同定することとした。
【試験品目及び試料数】(道内 1 保健所管内の病院から送付)
試験品目
試料数
項目数
試験内容
1
エンテロウイルス遺伝子のRT-PCR法による検出
咽頭ぬぐい液
1
1
エンテロウイルスの分離
2
以上、 Ⅶ-4(1)ア ウイルス学的試験ウイルス同定試験(複雑なもの)
合計
1
1件(2項目)
【結
果】エンテロウイルスは検出されなかった。(試験成績書を依頼者宛送付した。)
感染S17 (ウイルスS4)
HIV 抗体検査
*
【依 頼 者】北海道保健福祉部地域保健課
【担当部等】感染症部ウイルスG(ウイルス感染症)
三好正浩、駒込理佳、長野秀樹
【法令根拠】感染症法、後天性免疫不全症候群の予防に関する法律、「後天性免疫不全症候群の発生動向の把握
のための診断基準について」(平成 11 年3月3日付厚生省保健医療局エイズ健康推進課長通知健医疾発第 17
号)、「保健所における HIV 抗体迅速検査法の導入について」(平成 16 年3月 10 日付疾病第 11059 号)
【目
的】HIV 感染の血清学的診断を行う。
- 52 -
【方
法】抗原抗体同時検出法を用いて確認試験を行った。
【試験品目及び試料数】(道内3保健所から送付)
試験品目
試料数
項目数
試験内容
抗原抗体同時検出法
4
Ⅶ-4(3)イ ウイルス学的試験ヒト免疫不全ウイルス試験(複雑なもの)
血
清
4
4件(4項目)
【結
果】検査件数及び陽性件数について、月ごとに「HIV 検査実施状況報告書」を保健福祉部長宛送付した。
(試験成績書を保健所長宛送付した。)
感染S18 (ウイルスS5)
感染症流行予測調査−インフルエンザ感受性試験
*
【依 頼 者】北海道保健福祉部地域保健課
【担当部等】感染症部ウイルスG(ウイルス感染症) 駒込理佳、三好正浩、長野秀樹
【法令根拠】感染症法、「平成 24 年度感染症流行予測調査の実施について」(平成 24 年6月 21 日付厚生労働省
健康局長通知健発 0621 第3号)
【目
的】ヒト血清中のインフルエンザウイルス抗体価を測定し、流行予測を行う。
【方
法】0.5%ニワトリ赤血球を用いたマイクロタイター法により、
A/カリフォルニア/07/2009(H1N1)pdm09、
A/ビクトリア/361/2011(H3N2)、B/ブリスベン/60/2008(ビクトリア系統株)、B/ウィスコンシン/1/2010(山形系
統株)に対する HI 抗体価を測定し、40 倍以上の抗体保有率で表した。
【試験品目及び試料数】(北海道社会保険病院、手稲渓仁会病院、日本赤十字社北海道支部、市立札幌病院から
分与)
試験品目
血
清
試料数
項目数
249
996
試験内容
インフルエンザウイルス抗体価の測定(4抗体)
Ⅶ-4(2) ウイルス学的試験ウイルス血清学試験
996 項目
【結
果】
年齢区分別 40 倍以上の HI 抗体保有率(%)
A/カリフォルニア/07/
A/ビクトリア/361/2011
B/ブリスベン/60/2008
B/ウィスコンシン/1/2010
年齢区分
2009(H1N1)pdm09
(H3N2)
(ビクトリア系統)
(山形系統)
4
2
21
35
0∼ 4歳
8
12
68
72
5∼ 9
31
31
77
81
10∼14
57
23
46
69
15∼19
43
13
43
63
20∼29
13
34
30
21
30∼39
17
17
69
47
40∼49
9
9
27
36
50∼59
0
4
9
18
60∼
(試験成績書を依頼者宛送付するとともに、国立感染症研究所にオンラインで報告した。)
感染S19 (ウイルスS6) 感染症流行予測調査―麻疹感受性試験
*
【依 頼 者】北海道保健福祉部地域保健課
【担当部等】感染症部ウイルスG(ウイルス感染症)
駒込理佳、三好正浩、長野秀樹
【法令根拠】感染症法、「平成 24 年度感染症流行予測調査の実施について」(平成 24 年6月 21 日付厚生労働省
健康局長通知健発 0621 第3号)
【目
的】麻疹の PA 抗体価測定及びワクチン接種歴調査から、麻疹の流行予測を行う。
【方
法】被検血清中の麻疹ゼラチン粒子凝集抗体価(PA 抗体価)は麻疹ウイルス抗体価測定キットを用いて
測定した。
- 53 -
【試験品目及び試料数】(北海道社会保険病院、手稲渓仁会病院、日本赤十字社北海道支部、市立札幌病院から
分与)
試験品目
試料数
血 清
【結
項目数
249
試験内容
麻疹ウイルス抗体価の測定
249
Ⅶ-4(2) ウイルス学的試験ウイルス血清学試験
249 項目
果】
○年齢別 PA 抗体保有状況
∼1
PA 抗体
<16
6
16
2
32
0
64
2
128
1
256
3
512
4
1024
2
2048
0
4096
0
≧8192
0
○年齢別予防接種歴
年齢区分
2∼3
4∼9
10∼14
0
1
0
0
0
2
2
4
4
0
1
1
1
2
3
1
3
9
7
5
0
1
0
0
1
0
0
5
7
6
2
1
0
合計
(①+②+③)
15∼19
20∼24
1
2
0
0
2
5
3
6
4
3
0
① 非接種者
②
25∼29
30∼39
1
0
0
2
4
4
5
4
1
0
0
0
0
1
0
2
2
4
6
5
1
2
1
0
0
2
1
6
5
6
1
1
0
接種者
③不 明
0∼ 1
20
6
13
1
2∼ 3
14
0
14
0
4∼ 9
33
1
31
1
10∼14
22
0
21
1
15∼19
26
2
19
5
20∼24
23
1
15
7
25∼29
21
2
13
6
30∼39
23
2
8
13
40∼ 歳
67
13
27
27
(試験成績書を依頼者宛送付するとともに、国立感染症研究所にオンラインで報告した。)
感染S20 (ウイルスS7)
感染症流行予測調査−日本脳炎感染源調査
40∼ 歳
1
1
1
2
6
12
8
11
10
9
6
罹患歴あり
0
0
1
1
3
5
5
7
37
*
【依 頼 者】北海道保健福祉部地域保健課
【担当部等】感染症部ウイルスG(ウイルス感染症) 三好正浩、駒込理佳、長野秀樹
【法令根拠】感染症法、「平成 24 年度感染症流行予測調査の実施について」(平成 24 年6月 21 日付厚生労働省
健康局長通知健発 0621 第3号)、平成 24 年7月 5 日付地保第 1171 号
【目
的】ブタ血清中の日本脳炎ウイルスに対する抗体を測定することにより、本ウイルスの浸淫状況を把握
し、流行を推定する。
【方
法】HI 抗体試験、2-ME 感受性抗体保有率の測定。感染症流行予測調査検査術式(平成 14 年6月)に記
載の方法に従った。
【試験品目及び試料数】 (道内4と畜場において採取、6カ月齢ブタ血清)
試験品目
試料数
項目数
試験内容
日本脳炎ウイルス抗体価の測定
血 清
70
70
Ⅶ-4(2) ウイルス学的試験ウイルス血清学試験
- 54 -
70 項目
【結
果】道内のブタにおける日本脳炎ウイルス HI 抗体陽性率は次のとおりである。
と畜場
採血月日
道南
(八雲保健所)
道央
9月10日
9月25日
8月 6日
8月29日
8月 8日
9月11日
7月26日
8月16日
(苫小牧保健所)
北見
(網走保健所)
空知
(富良野保健所)
検査数
10
10
10
10
5
10
10
5
HI 抗体
≧10
<10
10
0
10
0
10
0
10
0
5
0
9
1
10
0
5
0
2-ME 感受性抗体
検査数
感受性
陽性率
0
0
0
0
0
1
±
0
0
0
-
陽性率
0%
0%
0%
0%
0%
10%
0%
0%
(試験成績書を依頼者宛送付するとともに、国立感染症研究所にオンラインで報告した。)
感染S21 (ウイルスS8)
北海道における感染症の原因ウイルス検査−胃腸炎ウイルス検査
*
【依 頼 者】北海道保健福祉部地域保健課
【担当部等】感染症部ウイルスG(腸管系ウイルス) 石田勢津子、吉澄志磨、後藤明子
【法令根拠】感染症法
【目
的】ウイルスを原因とする感染症を疑う急性胃腸炎患者の集団発生事例について、原因を究明するとと
もに、被害拡大防止及び再発防止を図るために実施する。
【方
法】「ウイルス性下痢症診断マニュアル」(平成 15 年7月国立感染症研究所・衛生微生物技術協議会レ
ファレンス委員会発行)、「ノロウイルスの検出法について」(平成 15 年 11 月5日付厚生労働省医薬食品局
食品安全部監視安全課長通知食安監発第 1105001 号)に記載の方法に従った。
【試験品目及び試料数】(道内で発生した感染症(疑)胃腸炎集団発生 45 事例)
試験内容
試験品目
試料数 項目数
糞 便
204
198
ノロウイルス遺伝子のRT-PCR 法による検出
223
ノロウイルス遺伝子型のシークエンスによる決定
4
A群ロタウイルスのイムノクロマト法による検出
116
A群ロタウイルス遺伝子のRT-PCR法による検出
12
A群ロタウイルス遺伝子型のシークエンスによる決定
116
C群ロタウイルス遺伝子のRT-PCR法による検出
20
サポウイルス遺伝子のRT-PCR法による検出
12
サポウイルス遺伝子型のシークエンスによる決定
13
アストロウイルス遺伝子のRT-PCR法による検出
6
アデノウイルス遺伝子型のPCR法による検出
合 計
204
720
以上、 Ⅶ-4(1)ア ウイルス学的試験ウイルス同定試験(複雑なもの)
204 件(720 項目)
【結
果】RT-PCR 法により糞便 156 試料からノロウイルス、12 試料からA群ロタウイルス、9 試料からサポウ
イルスを検出した。また、RT-PCR 法により陽性になった試料については全てシークエンスを行い、ウイルス
の確認と遺伝子型の同定を行った。(試験成績書を依頼者宛送付した。)
感染S22 (ウイルスS9)
食中毒原因ウイルス調査−胃腸炎ウイルス検査
*
【依 頼 者】北海道保健福祉部地域保健課
【担当部等】感染症部ウイルスG(腸管系ウイルス) 石田勢津子、吉澄志磨、後藤明子
【法令根拠】食品衛生法、「ノロウイルスの検出法について」(平成 15 年 11 月5日付厚生労働省医薬食品局食
品安全部監視安全課長通知食安監発第 1105001 号)
【目
的】ウイルスを原因とする食中毒を疑う急性胃腸炎患者の集団発生事例について、原因を究明するとと
もに、被害拡大防止及び再発防止を図る。
【方
法】「ノロウイルスの検出法について」(平成 15 年 11 月5日付厚生労働省医薬食品局食品安全部監視
- 55 -
安全課長通知食安監発第 1105001 号)に記載の方法に従った。
【試験品目及び試料数】(道内で発生した食中毒(疑)胃腸炎集団発生 19 事例)
試験品目
試料数
項目数
試験内容
糞
便
223
223
ノロウイルス遺伝子のRT-PCR法による検出
236
ノロウイルス遺伝子型のシークエンスによる決定
ノロウイルス遺伝子のRT-PCR法による検出
食
品
8
8
ノロウイルス遺伝子型のシークエンスによる決定
13
合
計
231
480
Ⅶ-4(1)ア
〃
Ⅲ-6
〃
Ⅶ-4(1)ア ウイルス学的試験ウイルス同定試験(複雑なもの) 223 件(459 項目)
Ⅲ-6
ウイルス同定試験(複雑なもの)
8 件( 21 項目)
【結
果】 RT-PCR 法により糞便 131 試料、食品6試料からノロウイルスを検出した。RT-PCR 法により陽性に
なった試料については全てシークエンスを行い、ウイルスの確認と遺伝子型の同定を行った。(試験成績書を
依頼者宛送付した。)
感染S23 (ウイルスS10)
北海道における感染症の原因ウイルス検査−感染性胃腸炎ウイルス検査 〈 報告 〉*
【依 頼 者】北海道保健福祉部地域保健課
【担当部等】感染症部ウイルスG(腸管系ウイルス) 石田勢津子、吉澄志磨、後藤明子
【法令根拠】感染症法、感染症発生動向調査事業実施要綱(厚生労働省、平成 11 年4月1日施行)
【目
的】ウイルスを原因とする感染症を疑う急性胃腸炎患者について原因ウイルスの検出を行い、感染性胃
腸炎の発生動向を調査する。
【方
法】「ウイルス性下痢症診断マニュアル」(平成 15 年7月国立感染症研究所・衛生微生物技術協議会レ
ファレンス委員会発行)、「ノロウイルスの検出法について」(平成 15 年 11 月5日付厚生労働省医薬食品局
食品安全部監視安全課長通知食安監発第 1105001 号)に記載の方法に従った。
【試験品目及び試料数】(道内で発生した感染症(疑)胃腸炎集団発生 74 事例)平成 24 年 7 月より実施
試験内容
試験品目
試料数 項目数
糞 便
202
202
ノロウイルス遺伝子のRT-PCR 法による検出
388
ノロウイルス遺伝子型のシークエンスによる決定
14
A群ロタウイルス遺伝子のRT-PCR法による検出
8
C群ロタウイルス遺伝子のRT-PCR法による検出
8
サポウイルス遺伝子のRT-PCR法による検出
8
アストロウイルス遺伝子のRT-PCR法による検出
8
アデノウイルス遺伝子の PCR 法による検出
8
アイチウイルス遺伝子のRT-PCR法による検出
8
パレコウイルス遺伝子のRT-PCR法による検出
8
ボカウイルス遺伝子のPCR法による検出
合 計
202
660
以上、 Ⅶ-4(1)ア ウイルス学的試験ウイルス同定試験(複雑なもの) 202 件(660
項目)
【結
果】 RT-PCR 法により糞便 194 試料からノロウイルスを検出した。RT-PCR 法により陽性になった試料に
ついては全てシークエンスを行い、ウイルスの確認と遺伝子型の同定を行った。
(結果を依頼者宛報告した。)
感染S24 (ウイルスS11)
北海道における感染症の原因ウイルス検査−E型肝炎ウイルス検査
*
【依 頼 者】北海道保健福祉地域保健課
【担当部等】感染症部ウイルスG(腸管系ウイルス) 石田勢津子、吉澄志磨、後藤明子
【法令根拠】感染症法、感染症発生動向調査事業実施要綱(厚生労働省、平成 11 年4月1日施行)
【目
的】北海道内で発生したE型肝炎届出事例について原因ウイルスの検出を行う。
【方
法】RT-PCR 法を用いた。
- 56 -
【試験品目及び試料数】(道内5保健所管内で発生したE型肝炎届出事例)
試験品目
試料数
項目数
試験内容
血 清
34
34
E型肝炎ウイルス遺伝子の RT-PCR 法による検出
26
E型肝炎ウイルス遺伝子型のシークエンスによる決定
合 計
34
60
以上、Ⅶ-4(1)ア ウイルス学的試験ウイルス同定試験(複雑なもの)
34 件(60 項目)
【結
果】RT-PCR 法により血清 26 試料からE型肝炎ウイルスを検出した。RT-PCR 法により陽性になった試料
については全てシークエンスを行い、ウイルスの確認と遺伝子型の同定を行った。
(試験成績書を依頼者宛送
付した。)
感染S25 (ウイルスS12)
北海道における感染症の原因ウイルス検査−A型肝炎ウイルス検査
*
【依 頼 者】北海道保健福祉部地域保健課
【担当部等】感染症部ウイルスG(腸管系ウイルス) 吉澄志磨、石田勢津子、後藤明子
【法令根拠】感染症法、感染症発生動向調査事業実施要綱(厚生労働省、平成 11 年4月1日施行)
【目
的】北海道内で発生したA型肝炎届出事例について原因ウイルスの検出を行う。
【方
法】RT-PCR 法を用いた。
【試験品目及び試料数】(道内1保健所管内で発生したA型肝炎届出事例より採取)
試験品目
試料数
項目数
試験内容
血 清
1
1
A型肝炎ウイルス遺伝子の RT-PCR 法による検出
糞 便
1
1
〃
以上、Ⅶ-4(1)ア ウイルス学的試験ウイルス同定試験(複雑なもの)2 件(2 項目)
合 計
2
2
【結
果】A型肝炎ウイルスは検出されなかった。(試験成績書を依頼者宛送付した。)
感染S26 (ウイルスS13)
生食用カキのノロウイルス検査
*
【依 頼 者】北海道保健福祉部食品衛生課
【担当部等】感染症部ウイルスG(腸管系ウイルス) 吉澄志磨、石田勢津子、後藤明子
【法令根拠】食品衛生法、「ノロウイルスの検出法について」(平成 15 年 11 月5日付厚生労働省医薬食品局食
品安全部 監視安全課長通知食安監発第 1105001 号)、平成 24 年5月 18 日付食衛第 197 号、平成 24 年 11 月
16 日付食衛第 772 号、 平成 25 年2月 18 日付食衛第 1067 号
【目
的】生食用カキの安全性評価の一環としてノロウイルス検査を行う。
【方
法】北海道立衛生研究所検査実施標準作業書に従った。
【試験品目及び試料数】(道内 17 カ所の養殖海域で水揚げ)
試験品目
試料数
項目数
試験内容
ノロウイルス遺伝子の
RT-PCR
法による検出
生食用カキ
46
46
ノロウイルス遺伝子型のシークエンスによる決定
3
合
計
46
49
以上、Ⅲ-6 ウイルス学的試験 ウイルス同定試験(複雑なもの)46 件(49 項目)
【結
果】3海域の生食用カキからノロウイルスが検出された。RT-PCR 法により陽性になった試料については
全てシークエンスを行い、ウイルスの確認と遺伝子型の同定を行った。(試験成績書を依頼者宛送付した。)
感染S27 (ウイルスS14) 感染症流行予測調査−ポリオウイルス感染源調査
*
【依 頼 者】北海道保健福祉部地域保健課
【担当部等】感染症部ウイルスG(腸管系ウイルス)後藤明子、 吉澄志磨、石田勢津子
【法令根拠】感染症法、「平成 24 年度感染症流行予測調査の実施について」(平成 24 年6月 21 日付厚生労働省
健康局長通知健発 0621 第3号) 、平成 24 年7月5日付地保第 1171 号
【目
的】ポリオウイルスの分離、同定を行い、野生株の流行を調査する。
【方
法】「感染症流行予測調査事業検査術式」(厚生労働省健康局結核感染症課・国立感染症研究所感染症流
- 57 -
行予測調査事業委員会発行(平成 14 年6月))に記載の方法に従った。
【試験品目及び試料数】(苫小牧保健所管内の保育所で採取(46 名分))
試験内容
試験品目 試料数 項目数
ポリオウイルスの分離
糞便
46
46
2
ウイルスの同定
以上、Ⅶ-4(1)ア ウイルス学的試験ウイルス同定試験(複雑なもの) 46 件(48 項目)
合計
46
48
【結
果】ポリオウイルスは分離されなかった。コクサッキーB 群ウイルス1型2株が分離された。(試験成
績書を依頼者宛送付するとともに、国立感染症研究所に報告した。)
感染S28 (ウイルスS15)
感染症流行予測調査−ポリオウイルス 感受性試験
*
【依 頼 者】北海道保健福祉部地域保健課
【担当部等】感染症部ウイルスG(腸管系ウイルス) 後藤明子、吉澄志磨、石田勢津子
【法令根拠】感染症法、「平成 24 年度感染症流行予測調査の実施について」(平成 24 年6月 21 日付厚生労働省
健康局長通知健発 0621 第3号)
【目
的】ポリオウイルスに対する抗体価測定及びワクチン接種歴調査から、ポリオの流行予測を行う。
【方
法】「感染症流行予測調査事業検査術式」(厚生労働省健康局結核感染症課・国立感染症研究所感染症流
行予測調査事業委員会発行(平成 14 年6月)に記載の方法に従った。
【試験品目及び試料数】(市立札幌病院、手稲渓仁会病院、北海道社会保険病院、日本赤十字社北海道支部から
分与)
試験品目
試料数
項目数
試験内容
ポリオウイルス抗体価(1型、2型、3型)の測定
血 清
248
744
Ⅶ-4-(2) ウイルス学的試験ウイルス血清学試験
【結
果】
○年齢別抗ポリオウイルス1型抗体保有状況
抗体価
0∼1
2∼3
4∼9
10∼14
<4
6
0
0
2
4
0
1
1
0
8
2
0
2
1
16
0
0
2
3
32
0
2
7
1
64
1
1
1
4
128
0
2
5
6
256
2
3
7
2
512
3
3
3
1
≧1024
6
2
5
1
○年齢別抗ポリオウイルス2型抗体保有状況
抗体価
0∼1
2∼3
4∼9
<4
7
0
1
4
0
0
0
8
1
0
3
16
0
1
4
32
2
0
3
64
2
5
9
128
2
4
3
256
1
1
8
512
2
1
1
≧1024
3
2
1
10∼14
0
0
1
5
4
7
2
2
0
0
- 58 -
15∼19
0
0
2
5
3
4
7
4
1
0
15∼19
0
1
4
5
10
3
2
1
0
0
20∼24
2
0
1
3
7
1
2
4
1
2
20∼24
0
2
5
4
7
2
0
1
2
0
25∼29
2
1
3
4
2
2
4
2
1
0
25∼29
1
0
2
7
5
3
1
1
1
0
744 項目
30∼39
3
1
5
4
6
1
2
0
1
0
30∼39
1
1
4
7
4
5
1
0
0
0
40∼ 歳
9
4
12
18
8
5
8
3
0
0
40∼ 歳
5
5
16
11
12
5
8
3
1
1
○年齢別抗ポリオウイルス3型抗体保有状況
抗体価
0∼1
2∼3
4∼9
<4
11
2
8
4
1
2
4
8
1
0
4
16
1
5
5
32
3
3
5
64
1
1
3
128
0
1
3
256
1
0
1
512
0
0
0
≧1024
1
0
0
10∼14
15∼19
6
2
7
6
0
0
0
0
0
0
5
3
5
6
5
1
0
1
0
0
20∼24
6
5
3
3
3
2
0
0
1
0
25∼29
40∼ 歳
30∼39
8
4
3
4
1
1
0
0
0
0
7
4
5
2
4
1
0
0
0
0
15
6
10
11
18
4
3
0
0
0
○年齢別予防接種歴
年齢区分
合計
接種者
非接種者
生ワクチンのみ 不活化ワクチンのみ
両方
0∼ 1
20
6
9
4
0
2∼ 3
14
0
11
3
0
4∼ 9
33
0
32
0
1
10∼14
21
0
17
2
2
15∼19
26
4
9
0
0
20∼24
23
4
5
0
0
25∼29
21
5
4
0
0
30∼39
23
2
8
0
0
40∼ 歳
67
8
14
0
0
(試験成績書を依頼者宛送付するとともに、国立感染症研究所にオンラインで報告した。)
(2) 依頼試験
試験品目
血
清
合
計
試料数
4
項目数
3
4
4
7
不 明
1
0
0
0
13
14
12
13
45
試験内容
ヒト免疫不全ウイルス試験(抗原抗体同時検出法)
ヒト免疫不全ウイルス試験(ウエスタンブロッティング法)
Ⅶ-4(3)イ ウイルス学的試験ヒト免疫不全ウイルス試験(複雑なもの)
Ⅶ-4(3)エ ウイルス学的試験ヒト免疫不全ウイルス試験(特殊なもの)
2. 調査研究
感染K7(ウイルスK1) 一般試験研究 (平成 24∼25 年度、㉔予算額 405 千円))
食品中の E 型肝炎ウイルスの新しい精製濃縮法の開発検討
後藤明子(ウイルスG)
食品中の E 型肝炎ウイルスの精度・感度の高い精製濃縮法の開発に利用するため、E 型肝炎ウイルスと反応す
る組換え抗体の作製を試みた。E 型肝炎ウイルス組換え蛋白質抗原を接種して免疫したマウスの脾臓を摘出し、
リンパ球 B 細胞の mRNA を抽出して、マウス体内で産生された抗体遺伝子の cDNA ライブラリを作成した。組
換え抗体全長を発現するクローンを選別し、E 型肝炎ウイルス組換え抗原との反応性を確認した。
- 59 -
感染K8(ウイルスK2) 応募研究(科学研究費(基盤研究C)代表)(平成24∼26 年度、㉔予算額1,800 千円)
新規2色蛍光高感度検出/型別法の確立と E 型肝炎ウイルス地域流行の解析
石田勢津子、吉澄志磨、後藤明子、長野秀樹、三好正浩、駒込理佳(ウイルスG)
E 型肝炎の発生届が提出された散発例について、RT-PCR によりウイルス遺伝子を検出して塩基配列を決定し、
分子疫学的解析を行った。2011 年 12 月∼2012 年2月に道央地域において E 型肝炎発生届が急増し、互いに塩基
配列相同性が 99∼100%と高い8株が検出された。時期の集中などから共通の原因食品の存在も示唆されたが、
飲食店利用や食品の購入など、疫学調査による裏付けは得られなかった。
感染K9(ウイルスK3) 応募研究(厚生労働科学研究費(エイズ対策研究事業)分担) (平成 24∼26 年度)
HIV 検査相談体制の充実と活用に関する研究
長野秀樹、三好正浩、駒込理佳(ウイルスG)加藤真吾(慶応義塾大学医学部)
北海道における2012年の新規HIV感染者・エイズ患者数は26名(エイズ患者8名、HIV感染者18名)であった。
エイズ患者の割合は31%で、前年同様低い傾向を示した。一方、保健所で実施された即日検査件数は794件で前年
とほぼ同数であった。このような状況下においては受検者増に向けた新たなアプローチが必要である。また、ス
クリーニング検査法として第4世代であるエスプラインHIV Ag/Ab(富士レビオ)の試行を実施したが、検体数不
足のため継続する必要がある。
感染K10(ウイルスK4) 応募研究(厚生労働科学研究費(新型インフルエンザ等新興・再興感染症研究事業)協力)
(平成22∼24年度)
早期麻疹排除及び排除状態の維持に関する研究
長野秀樹、三好正浩、駒込理佳(ウイルスG)、岡野素彦(感染症センター)、竹田 誠(国立感染症研究所)
【目的】北海道では、2001 年の流行を受け、「北海道はしかゼロ作戦」が展開された。その後、麻疹患者報告数
は減少傾向を示したが、2006 年末からの関東地方における麻疹の発生に続き、2007-08 年には北海道において
も複数の地域で報告数の増加をみた。一方、2008 年、麻疹は風疹とともに全数報告の対象疾患となり、そのた
めの病原体サーベイランスをさらに充実させることが重要となった。本研究は、北海道における麻疹患者報告
状況を明らかにし、さらにそのサーベイランス体制を検証することを目的とする。
【方法】医療機関から提供された麻疹疑い患者の咽頭拭い液、血液及び尿については、キアゲン社のキットを用
いて RNA を抽出した。この RNA を鋳型として RT-PCR 法にて麻疹ウイルス H タンパク質の 349 塩基と N タンパ
ク質の C 末端側をコードする遺伝子領域の 536 塩基を増幅した。RT-PCR 法の手技は国立感染症研究所が作成
した病原体検査マニュアルに従った。増幅された PCR 産物を精製し、ダイレクトシークエンス法にて塩基配列
を決定した。そのうち、N タンパク質の C 末端 150 アミノ酸残基をコードする 450 塩基について近隣接合法に
よる系統樹解析を実施し、麻疹ウイルスの遺伝子型を決定した。また、これらの試料について Vero/hSLAM 細
胞を用いたウイルス分離を試みた。麻疹抗体価は、血漿あるいは血清を用い IgM を測定した(ウイルス抗体
EIA「生研」麻疹 IgM;デンカ生研、エンザイグノスト麻疹/IgM;シーメンス社)。
【結果及び考察】2010-12 年の道内の麻疹検査件数はそれぞれ 16、53、及び 36 例であった。麻疹ウイルスにつ
いては、2010 年に2例(遺伝子型 H1 及び D4)、2011 年に D8 の2例が検出された。2012 年にも 1 例検出され
たが、遺伝子型 A のワクチン類似株であった。一方、2010-12 年の麻疹報告数については、それぞれ 5、8、及
び 1 例であったが、PCR 検査で麻疹ウイルスが確認されたのは 2010、11 年の2例ずつの4例のみであった。
2012 年の 1 例については 50 歳代の男性、麻疹ワクチン既接種者で、その症状は発熱、結膜充血、発疹で、肝
炎を併発していた。本例の遺伝子検査では、麻疹、風疹、パルボウイルスが陰性で、E 型肝炎ウイルスのみが
陽性であった。血清検査では、デンカ生研のキットで IgM 抗体指数が 9.65 と強陽性を示したが、シーメンス
社のキットでは 0.07 と陰性であり、その結果に相違がみられた。E 型肝炎の血清検査では IgM、IgA ともに陽
性を示した。これらの結果から、本症例は E 型肝炎と診断され、麻疹である可能性は低いと思われた。このよ
うに、麻疹の検査室診断の重要性を提示することはできたが、麻疹特異的 IgM の検査結果のみで診断できない
症例もあり、PCR などのウイルス学的検査を含め総合的に判断することが肝要である。
- 60 -
感染K11(ウイルスK5) 応募研究(厚生労働科学研究費(新型インフルエンザ等新興・再興感染症研究事業)協力)
(平成22∼24 年度)
地方自治体との連携による新型インフルエンザおよび高病原性インフルエンザ変異株、薬剤耐性株等の早期検
出、 検査診断系の改良および流行把握に関する研究
長野秀樹、駒込理佳、三好正浩(ウイルスG)、小田切孝人(国立感染症研究所)
【目的】インフルエンザウイルスの亜型や抗原性の変化、薬剤耐性の有無を把握することは治療及び予防方針に
関する基礎的情報として重要である。そこで、北海道において 2010/11 から 2012/13 シーズンにかけて病原体
定点から採取された臨床検体よりウイルスを分離し、性状を解析した。また、薬剤耐性ウイルス検出用のリア
ルタイム RT-PCR 法について検証を行った。
【方法】インフルエンザ疑いの臨床検体から RNA を抽出し、リアルタイム RT-PCR 法によって型別を行った。さら
に、ウイルス遺伝子陽性検体から分離したウイルスについて、HI 試験により抗原性の解析を行った。また、
2009/10 シーズンに北海道で分離されたウイルス株について、国立感染症研究所で開発された AH1pdm09 亜型の
オセルタミビル耐性遺伝子変異検出用のリアルタイム RT-PCR 法を実施し、検証した。AH3 亜型については NA
遺伝子のダイレクトシークエンスによりオセルタミビル耐性変異の有無を解析した。
【結果及び考察】インフルエンザ遺伝子が陽性の検体は、2010/11 シーズンは AH1pdm09 亜型 66 件、AH3 亜型 103
件,B 型16 件、2011/12 シーズンは AH3 亜型57 件 、B 型17 件、2012/13 シーズンはAH1pdm09 亜型2件、AH3 亜型
63 件、と最近の3シーズンは AH3 亜型が流行の中心であった。HI 試験により、これらのシーズンの分離株の多
くはワクチン類似株であることが明らかとなった。
国立感染症研究所で開発された H275Y オセルタミビル耐性 AH1pdm09 亜型検出用のリアルタイム RT-PCR 法によ
る解析により、2009/10 シーズンの AH1pdm09 亜型 176 株(NA 遺伝子解析済み)のうち、プローブ部位に変異が
ある感受性株1株を除いて、感受性株 174 株及び耐性株1株はシークエンスの結果の通り適切に判定できた。
2010/11 シーズンの AH1pdm09 亜型 63 株については、2株がリアルタイム RT-PCR 法で H275Y の耐性変異が検出
された。NA 遺伝子のシークエンス及び薬剤感受性試験によっても、これらの2株がオセルタミビル耐性である
ことが確認されたので、本検出系によるスクリーニング試験の実用性が実証された。 AH3 亜型ウイルスに関し
ては、最近の3シーズンにおいて NA 遺伝子に耐性変異は認めなかった。
感染K12(ウイルスK6)
応募研究(厚生労働科学研究費(食品の安心・安全確保推進研究事業)協力)
(平成 22 年∼24 年度)
食品中の病原ウイルスのリスク管理に関する研究
吉澄志磨(ウイルスG)、野田 衛(国立医薬品食品衛生研究所)
【目的】食中毒が疑われる事例の原因究明にあたり、ウイルス検索の第一の選択肢はノロウイルス(NoV)である。
NoV 以外の腸管系ウイルスについては、NoV の検出率が低い場合に一部のウイルスについて検査が実施されてい
るに過ぎず、食中毒起因ウイルスとしての情報の集積は NoV に比べて大幅に遅れている。そこで本研究では、各
種腸管系ウイルスの食中毒及び感染症事例への関与の実態について調査を行い、
食品媒介による感染リスクの高
いウイルスの特定と検査体制の確立を試みた。
【方法】北海道で発生した集団胃腸炎事例のうち、二枚貝喫食事例 50 件から得られた患者糞便 366 検体及び二枚
貝6ロット、非二枚貝関連の食中毒疑い事例 80 件の患者糞便 541 検体、感染症疑い事例 157 件の患者糞便 812
検体を検査対象とした。糞便検体は 9 種類、二枚貝は 10 種類の腸管系ウイルス(NoV を含む)について検索を
行った。
【結果及び考察】 二枚貝喫食事例では、ウイルスが検出された 49 件のうち、NoV のみ検出された事例が 28 件(57
%)、NoV と他のウイルスの組み合わせで複数の腸管系ウイルスが検出された事例が 20 件(41%)あり、NoV
検出事例は合わせて 98%であった。NoV 以外の検出ウイルスは、多い順に、アイチウイルス(AiV)、サポウイ
ルス(SaV)、アストロウイルス(AstV)であった。また、原因疑い食品として検査を実施した二枚貝からは、NoV、
AiV、AstV、A 群ロタウイルス(RV-A)が検出された。非二枚貝関連の食中毒疑い事例では、NoV のみまたは主に
- 61 -
NoV が検出された事例が 96%を占め、NoV 以外のウイルスでは、SaV と RV-A の単独感染事例が1件ずつ確認され
た。SaV と RV-A は、感染症疑い事例においても、乳幼児から成人、高齢者までの幅広い年齢層で検出が認めら
れた。以上の結果から、食中毒が疑われる事例のウイルス検査においては、まずは NoV 検査を実施し、NoV の検
出率が低かった場合は、二枚貝喫食事例では AiV、SaV、AstV、RV-A などを、非二枚貝関連事例では SaV と RV-A
を第二の選択肢とするのが適当と考えられた。これらのウイルスについては、食品検査にも対応できるよう、早
急に検査体制を整えておく必要がある。
感染K13(ウイルスK7)
応募研究(大同生命厚生事業団地域保健福祉研究助成 代表)
(平成24∼25 年度、予算額300 千円)
薬剤耐性インフルエンザウイルスの迅速検出系の構築
駒込理佳、三好正浩、長野秀樹(ウイルスG)
AH3 亜型インフルエンザウイルスの薬剤耐性検査は手技が煩雑で高額な費用を要するダイレクトシークエンス
法が主なため、 検査に供する検体数は限られている。そこで簡便性、迅速性に優れたリアルタイム RT-PCR 法に
よるオセルタミビル耐性ウイルスの検出系を新規に作製した。この方法により、陽性コントロールでは耐性変異
の検出が可能であり、AH3 亜型ウイルス株を用いた検証でも、シークエンスと一致した結果が得られた。
3.その他
(1) 動物実験取扱従事者に対する「腎症候性出血熱」検査
職員特別健康診断の一環として、実験動物の飼育及び実験業務の従事者に対して、抗 HFRS 抗体値検査を行
った。(対象者 14 名、H24. 8.10)
(2) 動物実験棟安全実験区域のホルマリン燻蒸
全所停電に伴い、動物実験棟安全実験区域(P3)のホルマリン燻蒸を行った。(H24.9.3∼4)
(3) 講演、講義、技術指導等
派遣日
研修・講演名
依 頼 元
講
師
名
平成 24 年度保健所微生物等
担当者研修会
25.2.20
∼2.21
−ノロウイルスに関する実習
主幹
長野 秀樹
保健福祉部健康安全局
及び講義−
主査(腸管系ウイルス) 石田勢津子
バイオセーフティ講習会
- 62 -
Ⅳ−3 感染症部 医動物グループ
医動物グループは、寄生虫や原虫、リケッチアが原因で引き起こされる感染症の検査及び調査研究、生活環境に発
生する衛生害虫の同定検査、食品中の動物性異物に関する同定検査及び調査研究などを行っている。
(調査研究 : 一般試験研究 2 題、民間等共同研究1題、応募研究5題、その他(保健福祉部計上)1題、計9題)
管理業務として、実験動物施設において動物の飼育・管理を行い、所内で実施する実験動物を用いた各種試験・調査
研究に対する支援を行っている。
1.試験検査
(1) 行政試験等
感染S27(医動物S1) エキノコックス症二次検査 *
【依 頼 者】北海道保健福祉部地域保健課
【担当部等】感染症部医動物G(感染病理)
山野公明、孝口裕一
【法令根拠】感染症法、北海道エキノコックス症対策実施要領4の2の(2)
【目
的】エキノコックス症は、発見が遅れると生命に関わる疾病であることから、患者の早期発見を目的に
感染の疑いのある者を対象に二次検査を実施する。
【方
法】 北海道エキノコックス症対策実施要領の血清検査項目に従った。
【試験品目及び試料数】 道内 26 保健所から送付された試料について検査した。
試験品目
試料数
項目数
試験内容
169
抗エキノコックス抗体(IgG)の定量試験(ELISA法)
Ⅶ-3-(1)
血 清
169
169
〃
定性試験(ウェスタンブロッティング法) Ⅶ-3-(2)
合
計
169
338
Ⅶ-3(1) エキノコックス症血清反応試験(簡易なもの)
169件
Ⅶ-3(2) エキノコックス症血清反応試験(複雑なもの)
169 件
【結
果】
検査項目
簡易なもの(ELISA 法)
複雑なもの(ウェスタンブロッティング法)
判 定
−
±
+
−
±
+
該当数
161
7
1
160
2
7
(試験成績書を依頼者宛送付した。依頼者を通して各担当保健所から受診者に通知された。)
感染S29(医動物S2) 医動物同定試験(衛生害虫)*
【依 頼 者】北海道保健福祉部地域保健課・保健所
【担当部等】感染症部医動物G(衛生昆虫)
八木欣平、浦口宏二、伊東拓也
【法令根拠】地域保健法(第6条第4号)、「衛生害虫の同定依頼について」(平成 10 年4月1日付廃棄物対策
課環廃第1号)、「建築物における衛生的環境の確保に関する法律」等に係る事務処理について」平成 22 年3
月 22 日付事務連絡)
【目
的】 生活環境に発生した衛生害虫の種類名を明らかにし、健康被害の有無などを含めて対策の指導に役
立てる。
【方
法】 試料に応じた標本作成を行い、顕微鏡等で形態観察等を実施した。
【試験品目及び試料数】
試験品目
試料数
項目数
試験内容
形態学的同定検査
衛生害虫等
12
12
Ⅶ-5(2)ア 医動物学的試験(医動物同定検査(簡易なもの))
【結
12 件
果】節足動物 12 試料、その他0試料であった。(試験成績書を依頼者及び保健所長宛送付した。)
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感染S30(医動物S3) 医動物同定試験(エキノコックス症媒介動物)*
【依 頼 者】北海道保健福祉部食品衛生課
【担当部等】感染症部医動物G(媒介動物)
浦口宏二、高橋健一
【法令根拠】北海道エキノコックス症対策実施要領第4の3の(2)
【目
的】エキノコックス症媒介(宿主)動物対策として、媒介動物の解剖調査等を実施し、流行状況等を把
握する。
【方
法】形態学的検査を実施した。
【試験品目及び試料数】
試験品目
試料数
項目数
試験内容
形態学的同定検査
キツネ等
124
124
Ⅶ-5-(2)ウ 医動物学的試験(医動物同定検査(特殊なもの))
124 件
【結
果】試験可能なキツネ 60 検体のうち虫体保有件数はキツネ 20 件であった。(試験成績書を依頼者宛送
付した。)
(2) 依頼試験
試験品目
血 清
試料数
20
項目数
20
試験内容
エキノコックス症血清反応試験(簡易なもの)(ELISA法)
Ⅶ-3(1)
〃
(複雑なもの)(ウェスタンブロッティング法)
41
41
寄生虫等
(人体由来)
3
8
3
8
医動物学的試験 (精密寄生虫卵検査)
〃
(医動物同定検査(簡易なもの))
Ⅶ-5(1)
Ⅶ-5(2)ア
衛生害虫
16
16
医動物学的試験 (医動物同定検査(簡易なもの))
Ⅶ-5(2)ア
17
105
17
医動物学的試験 (医動物同定検査(簡易なもの))
Ⅶ-5(2)ア
Ⅶ-3(2)
食品混入異物
合 計
105
2.調査研究
感染K14(医動物K1) 一般試験研究
(平成 24∼25 年度、㉔予算額 405 千円))
エキノコックス症血清診断法の改良に関する研究−糖脂質に由来する糖鎖の抗原性に関する調査−
山野公明(医動物G)
エキノコックス症血清診断においては、使用する抗原の良し悪しが精度に影響を及ぼす。そこで、抗原成分を
解析する一環として、まだ未解明な点の多い糖鎖抗原について調査をこれまで進めてきた。本課題では、比較的
低分子の糖脂質について着目し調べているが、初年度は、構造既知の成分に関する抗原性についてのデータをま
とめるとともに、その他の有用な成分の探索をするべく精製方法の検討を行った。
感染K15(医動物K2) 一般試験研究(平成 23∼25 年度、24 予算額 342 千円)
北海道における感染症媒介蚊の分布・生態・対策に関する研究
伊東拓也(医動物G)
北海道の特に都市部における蚊相の把握と対策のための同定法の構築、発生状況の調査を目的として、平成 24
年度は、札幌市内 1 カ所のほか、釧路保健所と渡島保健所の協力により管内の住宅地各 1 カ所においてもライト
トラップによる定点調査を行った。結果、ヤマトヤブカが各地点で採集されたが、逆にヤマトハボシカなど泥炭
湿地に多い蚊が釧路で得られた。また、幼虫発生源調査及び遺伝子データ収集も継続した。
- 64 -
感染K16(医動物K3) 民間等共同研究 (平成 24 年度、予算額 920 千円)
北海道の多包条虫感染に対する猫の感受性及び市販スポットオン駆虫薬(エモデシプド・プラジクアンテル製剤)
の駆虫効果の検討
八木欣平、孝口裕一(医動物G)、バイエル薬品株式会社
【目的】北海道のエキノコックス症におけるネコの危険性については、疫学及び実験的なデータからイヌやキツネ
ほどは重要でないことが推測されている。しかしながら、2008 年に北海道の飼いネコの糞便中に多包条虫の虫
卵を検出した症例が報告され、ネコの感染も人への感染リスクとなり得ることが示された。感染リスクを下げる
ために、イヌやキツネなどの終宿主動物への駆虫薬投与は有効な手段であるが、ネコへ駆虫薬の経口投与は困難
を伴うことが多い。本研究の目的は北海道産のエキノコックスのネコへの感染に対して、適用が容易なスポット
オン駆虫薬の有効性を評価する事にあった。
【方法】実験動物として市販されている5∼7ヶ月齢雌ネコ8匹に当所で継代維持している北海道分離株多包条虫
を用い感染実験を行った。あらかじめ虫卵感染を行ったコトンラットからシストを分離し、10 万原頭節が投与
されるようにシスト重量を調整し、経口投与、感染後 21 日目に市販スポットオン駆虫薬(エモデプシド・プラ
ジクアンテル製剤)を、単回、頭蓋基部一カ所に経皮投与し、感染後 23 日目に剖検、寄生状況を観察した。
【結果及び考察】回収された虫体数は、駆虫薬投与群のネコ4匹では、全て寄生を認めなかったが、駆虫薬未投与
群のネコ4匹は、全て虫体を確認し、その回収虫体数は2、18、425、1,681 匹であった。駆虫薬未投与群の幾
何平均は 71.21 匹であり、この薬剤の有効率は 100%と算出された。すなわち、本試験の結果、ネコの多包条虫
北海道分離株感染に対して、市販スポットオン駆虫薬(エモデプシド・プラジクアンテル製剤)の投与が有効で
あることが明らかとなった。野ネズミを多数捕食する環境にあるネコに対する本駆虫薬の適用は、エキノコック
ス感染予防に有効であると考えられた。
感染症K17(医動物K4) その他(保健福祉部計上)(平成24∼26 度、㉔予算額 1,080 千円)
エキノコックス症感染源対策としての駆虫薬散布の応用に関する検討
浦口宏二(医動物G)、高橋健一(食品科学部)
ベイト散布市町村の支援を目的に、根室市が作製したベイトの成分分析を行ったほか、キツネの生息数とエキ
ノコックス感染状況を調査して、ベイト散布の効果を評価した。都市部でのエキノコックス対策検討を目的に、
札幌市内で事故死したキツネの感染状況を調査し、
30∼40%の感染率のキツネが市街地に多数出没している実態を
明らかにした。また、札幌市からの依頼により、札幌市円山動物園でキツネの侵入状況調査を行い、侵入防止策
の提言を行った。
感染症K18(医動物K5) 応募研究(科学研究費(基盤研究C)代表)
(平成 23∼25 年度、
㉔予算額 1,200 千円)
特殊感染実験施設を利用した媒介動物標的抗エキノコックスワクチン開発の包括的研究
八木欣平、孝口裕一(医動物G)
中間宿主への有効な免疫を行うため、ワクチン候補の tetraspanin 蛋白と、アジュバント効果が報告されてい
るヨーネ菌の fibronectin-attachiment protein(FAP)との融合蛋白を用いた免疫を行い、その有効性を示した。
また、中間宿主の応答を解析するため、感染マウスの肝臓病変部の mRNA の増減を経時的なマイクロアレイ解析に
より感受性/抵抗性に関与する遺伝子の解析を試みた。
- 65 -
感染K19(医動物K6) 応募研究(科学研究費(若手研究B)代表)
(平成 23∼24 年度、㉔予算額 1,000 千円(総額 2.000 千円))
粘膜免疫法を利用したエキノコックス終宿主経口ワクチンの開発
孝口裕一(医動物G)
【目的】道内のエキノコックス(多包条虫)の生活環は一般的にキツネと野ネズミの間で維持されており、それに
イヌが重要な役割を果たすことは無いと考えられている。しかしながら、このような流行地において、イヌが
感染野ネズミを捕食した場合、キツネと同じようにエキノコックスに感染し、その糞便中に虫卵を排出するこ
とになる。イヌとヒトとの接触頻度を考慮すると、イヌの感染は飼い主のみならず、その家族・地域住民にと
って重大な脅威となる。終宿主ワクチンの開発は将来的に飼いイヌからヒトへ、あるいは終宿主動物の感染率
を長期的に下げる有力な手段になり得る可能性がある。
【方法】前年度に引き続きワクチンとして有力な候補を見出すため、エキノコックスに感染させたイヌから、血清
及び腸管拭い液を採取した。これらの検体に反応する抗原を二次元ウェスタンブロッティング(2D-WB)法によ
りスクリーニングした。特に強く反応した成分を、幼虫の細胞破砕液からゲルろ過カラムによって精製した。こ
の抗原の性質を免疫染色及び糖鎖染色によって調べた。
さらにこの抗原を粘膜アジュバントとともに4回経鼻及
び3回経口免疫を行い、実験感染後、腸管内に寄生する成虫の数を測定することで、感染防御効果を調べた。
【結果及び考察】エキノコックス感染イヌから採取した腸管拭い液を用いて 2D-WB を行った結果、タンパクスポッ
トには全く反応を示さず、
膜の上端にスメアーバンドとして分離される巨大糖タンパク質成分に強い反応を示し
た。この成分は、先に報告した感染イヌ血清が強く反応する成分と同一であると考えられ、本成分が感染イヌの
免疫に強く認識されていることが明らかになった。
この抗原に対する抗血清を用いて幼虫シスト及び成虫の免疫
染色を行うと、幼虫及び成虫のどちらにおいても虫体表面に局在していることが明らかになった。この抗原を用
いて免疫したイヌに 50 万原頭節を含むシストを投与し、実験感染を行うと、何も投与しないグループに比べて
86.7%の寄生成虫数の減少が認められた。一方、アジュバントのみを投与したグループに 49.1%の寄生数の減
少が確認され、
アジュバントによる感作がイヌのエキノコックス感染に対する防御機構に何らかの関係を持つこ
とが示唆された。今後、どのようなメカニズムによってイヌの感染防御効果が誘導されているのか検討する必要
がある。
感染K20(医動物K7)
応募研究(科学研究費 基盤研究B 協力)(平成 23∼25 年度)
東アジア共通性マダニが媒介する新興アナプラズマ症、紅斑熱群、ライム病の分子疫学
伊東拓也(医動物G)、高田伸弘(福井大学)、増澤俊幸(千葉科学大学)
6 月 21∼24 日に稚内市、豊富町及び天塩町にて「ネル旗ずり法」によるマダニ類の採集を行った。シュルツェ
マダニは数の多少はあるが、住宅地やキャンプ場周辺を含む各地で得られた。ヤマトマダニは日本海側海岸線近
くかやや内陸にかけてのみ採集された。これらのマダニからアナプラズマの分離を試みたが、分離することはで
きなかった。
感染症K21(医動物K8) 応募研究(厚生労働科学研究費(新型インフルエンザ等新興・再興感染症研究)分担)
(平成 24∼26 年度、㉔予算額 3,000 千円)
動物由来感染症に対するリスク管理手法に関する研究
−エキノコックス等寄生虫感染撲滅のための方策の研究と効率の良い有効性評価法の開発−
八木欣平、浦口宏二、山野公明、孝口裕一(医動物G)、吉川泰弘(千葉科学大学)
エキノコックス駆虫キツネベイト剤の効果的散布による環境中のエキノコックスの清浄化方法を確立すること
を目的とし、小清水町、羊蹄山山麓及び鹿追町において、ベイト散布実験を行った。また犬への感染実験による
ワクチンの開発、中間宿主動物へのワクチン開発を行うとともに、札幌市円山動物園の霊長類感染事例について
調査を行った。
- 66 -
感染症K22(医動物K9) 応募研究(厚生労働科学研究費(新型インフルエンザ等新興・再興感染症研究)協力)
(平成 24∼26 年度)
ダニ媒介性細菌感染症の診断・治療体制構築とその基盤となる技術・情報の体系化に関する研究
伊東拓也(医動物G)
ロシアや米国で報告が相次いでいる Borrelia miyamotoi による回帰熱の日本における症例を見い出すため、上
川管内を中心とした医療機関に、疑いのある症例を診察した際の皮膚病変や血液などの提供について協力を依頼
した。さらに、マダニ媒介性感染症の潜在リスク評価のため、留萌管内及び上川管内においてマダニ類及びネズ
ミ類を採集し、Borrelia 属菌の保有状況を調査した。
3.その他
(1) 動物実験施設の維持管理
施設における感染防止等のための消毒、清掃及び廃棄物処分を行った。また、施設の適正な稼働のため点
検、保守管理等を実施した。
(2) 実験動物の飼育管理
所内の生物学的試験検査・調査研究のための実験動物(マウス、コトンラット、ウサギ等)の飼育、繁殖
及び系統維持を行った。
(3) 実験動物の供給、試験補助を行った試験検査等
ア. エキノコックス症診断用抗原調製
イ. 多包条虫の虫卵感染を用いた継代維持
ウ. 貝毒検査
エ. ボツリヌス食中毒疑いの検査
(感染症部医動物G)
(感染症部医動物G)
(食品科学部食品保健G)
(感染症部細菌G)
(4) 実験動物の供給、技術提供を行った調査研究
ア. 特殊感染実験施設を利用した媒介動物標的抗エキノコックスワクチン開発の包括的研究
(感染症部医動物G)
イ. 新規2色蛍光検出/型別法の確立と E 型肝炎ウイルス地域流行の解明
(感染症部ウイルスG)
ウ. 粘膜免疫法を基礎としたエキノコックス終宿主経口ワクチンの開発
(感染症部医動物G)
エ. 北海道の多包条虫感染に対するネコの感受性および市販スポットオン駆虫薬の駆虫効果の検討
(感染症部医動物G)
(5) 動物実験取扱従事者に対する「エキノコックス症」検査
職員特別健康診断の一環として、実験動物の飼育及び実験業務従事者等に対して、抗エキノコックス抗体
(IgG)の定量試験(ELISA 法)検査を行った。(対象者 10 名、H24. 7.11)
- 67 -
(6) 講演、講義、技術指導等
派遣日
研修・講演名
24. 4. 1
病理学
∼25.3.31
(非常勤講師)
24. 4.27
24.6.1
∼12.12
24. 6. 6
24. 7. 9
(北見市)
24.7.18
(八雲町)
24. 9. 6
札幌医科大学
中心に
北海道大学 医学部
エキノコックス症の概要及び対
健康安全局食品衛生課
策について
(エキノコックス症媒介動物対策会議)
講 師 名
主幹
八木 欣平
主幹
八木 欣平
主査(媒介動物) 浦口 宏二
※9振興局管内で開催(詳細欄外記載)
地方衛生研究所における獣医師
国立大学法人
の役割
北海道大学 獣医学部
主幹
八木 欣平
平成 24 年度エキノコッックス症
第二次検診医療従事者研修
「エキノコックス症第二次検診血清
健康安全局地域保健課
主査(感染病理) 山野 公明
(社)北海道獣医師会
主幹
八木 欣平
主幹
八木 欣平
検査について」
エキノコッックスの歴史と疫学
験で明らかにされたその生態と
課題
24.11.28
北海道公立大学法人
寄生虫の話:エキノコックス症を 国立大学法人
北海道のエキノコックス、感染実
24.10.12
依 頼 元
札幌市動物管理取扱責任者研修会
「ペットとエキノコックス」
全国食肉衛生検査所協議会
北海道・東北ブロック
札幌市動物管理センター
主査(媒介動物) 浦口 宏二
北海道立地質研究所
主査(衛生昆虫) 伊東 拓也
札幌市保健所
主査(媒介動物) 浦口 宏二
安全衛生職員研修会
25. 1.18
「スズメバチ・マダニへの対策に
ついて」
生活衛生業務担当職員研修
25. 2. 5
「エキノコッックス症及び媒介動物に
ついて」
防除作業従事者研修会
25. 2. 7
「感染症対策」、「ネズミの生態と防
除」、「その他の害虫の生態と防除」
(財)北海道建築物衛生管理
研修センター
主査(媒介動物) 浦口 宏二
国立大学法人北海道大学
25. 2. 7
キタキツネとエキノコックス
北方生物圏フィールド科学
主査(媒介動物) 浦口 宏二
センター
第 47 回ペストコントロール
25. 2. 8
フォーラム「ボレリア症とダニ脳炎、
北日本の視点から」
食品・環境衛生監視員研修会
25. 2.22
「食品害虫を中心とした衛生害虫
の対策」
ねずみ衛生害虫駆除研究
協議会
胆振総合振興局
(室蘭保健所)
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主査(衛生昆虫) 伊東 拓也
主査(衛生昆虫) 伊東 拓也
派遣日
25. 2.25
25. 2.26
研修・講演名
札幌市動物管理取扱責任者研修会
「ペットとエキノコックス」
北海道のエキノコックス
獣医師が担うこと
狂犬病予防対策打合せ会議
25. 2.27
「狂犬病の進入リスクと北海道の
特殊性」
依 頼 元
講 師 名
札幌市動物管理センター
主査(媒介動物) 浦口 宏二
道南獣医師会
主幹
オホーツク総合振興局
(紋別保健所)
八木 欣平
主査(媒介動物) 浦口 宏二
※「エキノコックス症媒介動物対策会議」開催日時・場所
①24.6.1 後志総合振興局(倶知安町)、②24.6.8 渡島総合振興局(函館市)、③24.7.30 宗谷総合振興局(稚内市)、
④24.8.9 十勝総合振興局(帯広市)、⑤24.8.10 釧路総合振興局(釧路市)、⑥24.8.31 オホーツク総合振興局(網
走市)、⑦24.11.6 胆振総合振興局(苫小牧)、⑧24.11.19 上川総合振興局(旭川市)、⑨24.12.12 石狩振興局(札
幌市)
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