下垂体隆起葉における光周性シグナル分子

E~i 阻 l岡田 ~I畠1苗日樋語民主宰呂田I国首証言藍若者高温
下垂体隆起葉における光周性シグナル分子
2)
.
安尾しのぶ 1
図
.
)
f1
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Horst-WernerK
tyFrankfurt
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teofAnatomy1,GoetheUniver
u
t
i
nst
1I
1
21
九州大学大学院農学研究院資源生物科学部門
季節周期のもとで生命活動を営む生物は、繁殖活動を始めとした様々な生理機能に光周
性 変 化 を 示 す 。鳥 類 や 晴 乳 類 で は 、 下 垂 体 の 付 け 根 に 存 在 す る 下 垂 体 隆 起 葉 (pars
s,PT)が中枢的役割を果たし 、様々なシグナル分子や機能性分子の分泌を介して視
i
l
a
r
e
b
u
t
床下部一下垂体系の制御を行な う 。これらの PT由来分子は数十年前から探索さ れてきた
が、最近特にその解明が進み、甲状腺刺激ホルモン (TSH) や生理活性指質エンドカンナ
ビノイドなど、新たな役者が同定されつつある 。エンドカンナビノイドは生殖・代謝・情
動・免疫など様々な生物機能に関わるため 、幅広い光周性現象の機構解明 に繋がる可能性
がある 。本総説では、まず PTから分泌される分子について概説した後、そのーっとして最
近筆者らが PTにて同定したエンドカンナビノ イドシステムとその光周性にお ける役割を
論じ、最後に今後の展望について怖蹴する 。
. はじめに
1
[2]。 この下流分子は同定されていな いが、視床
温帯地域の生物は季節の変化 を上手く捉え、適し
経内分泌の光周性制御に
l
j
下部一下垂体系においてネI
た季節に適した生理機能を発揮する 。例えば、気温
かかわる PT由来分子が近年見つかってきて いる 。
が高く餌の得やすい春から夏に繁殖し、栄養の欠乏
以下、それらの知見について概説してゆく 。
する冬にはエネルギ一代謝を落として冬眠する、と
端
いった具合である 。季節を 測る指標には、 気候や E
境変動の影響が少ない日長が主に用いられる 。 この
ような性質は光周性と呼ばれ、繁殖 ・代謝 ・行動・
情動・ストレス反応 ・免疫系など、多彩な生物機能
が支配されている 。
脊椎動物において 、光周性は主に視床下部
下垂
のやjI経内分泌系を介して制御される 。中でも
体制l
メラトニン
,PD)、下
is
al
t
s
PTは視床下部、下垂体前葉 (parsdi
後葉
) 1市乳
、
垂体門脈系の中 心 という要所に位置し(図 1
類で日長情報を伝達する松果体ホルモン、メラ トニ
ンの受容体を高レベルで備えることから、日長入力
系と下垂体ホルモン分泌調節と を結ぶ重要なイン
。 このインター
ターフェースと考えられてきた[1]
遺伝子が関与しており、 PT
言│
寺
1
フェース機構には 1
にリズミックに発現している時計遺伝子が日長やメ
ラトニンによってその発現パタ ー ンを変化させ るこ
とで、下流分子の転写が調節されるといわれている
国
図 1 日甫乳類における視床下部一下垂体系の模式図
s,PT) は視床下部、下垂体
i
l
a
ber
u
st
r
a
p
下垂体隆起葉 (
s,PD)、下垂体門脈系の 中心に位置する 。
i
al
t
is
sd
r
a
p
前菜 (
PTか ら 分 泌 さ れ る シ ク ナ ル 分 子 に は 、 逆 行 性
、
TSH) や
e) に働く甲状腺刺激ホルモン (
d
a
r
g
o
r
t
e
r
(
未同定)などが
n(
i
l
a
r
e
b
u
e)に働く t
d
a
r
g
o
r
e
t
an
順行性 (
実日られる 。
1 福岡市東区箱 IIr~f6-10・ 1 )
8
5
8
2
1
〒8
p(
j
.
c
a
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u
u
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y
k
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syasuo@b
時間生物学
l
)
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1
0
2
1(
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J6,N
.
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:
Te
u
n
. PT由来のシグナル分子としての TSH
2
n
i
l
a
r
e
b
u
. PT由来のプロラクチン制御因子 、t
3
PD、中葉、後葉) とは解
PTは他 の下垂体領域 (
PTは視床下部と PDに挟まれた位置に局在するた
剖学的特徴や機能が異なる 。例えば、メラトニン 受
め、そこから分泌されるシグナルは双方向への作用
容体 MT1はPTにのみ局在し、 他 の下垂体領域には
が可能である 。すなわち 、上記のように PTで合成
。 これは PTが光周性制御に特
発 現 し て い な い [1J
基底部に作用するよう
J
1
[
j
Hが視床下部内 1
された TS
化した組織であることを示唆している 。 PTを構成
) 経路」、およびPTから PD
ade
r
g
o
r
t
e
r
逆行性 (
な 「
c
i
f
i
c
e
p
s
PTする細胞は、 PT特 異 的 な 分 泌 細 胞 (
e)経路」
d
a
r
g
o
er
nt
a
性 (
行
i
'
i
I
I
J
に向かつて作用する I
、PDの細胞に類似した分泌細胞、ろ胞細胞の
)
ls
e
c
。後者のような順行性のシグナル分子
図 1)
である (
特異的な分泌
三種類に分けられるが、このうち PT
nJ と名付けられ、古くから探索されて
i
l
a
r
e
ub
t
は I
I
I
。 こ の 細 胞 は 抗TS
I胞 の 割 合 が 最 も 高 い [3J
U
キ
nの特徴は、
i
al
r
e
きたが、未だに未同定である 。 Tub
TSHB)抗体に対して免疫陽性反応を
it(
n
bu
u
as
t
e
b
1)分泌物質である (PTを浸した培養液使用や PT
との共培養にてその機能解析 が可能)、 2) PDから
制胞は PDのそれとは
示す特徴を持つが、PTのTSH
。
細胞内相粒数や分布など形態学的特徴が異なる [3J
のプロラクチン分泌を促進する、
機能面については、ラッ トではメラ トニン 受容体
条件で高く 、フォルスコリンやメラトニンによりそ
MT1 のmRNAがPTのTSH細 胞 に 存 在 す る こ と
の分泌調節が可能で、ある 、 4)PDに作用する際、 プ
、ジャンガリアンハムスターでは日長によっ
[4J
s遺伝子の
o
f
ロラクチン産生細胞 ・非産生細胞にて c
てTSHの 免 疫 陽 性 反 応 の 強 さ が 異 な る こ と か ら
。幾つ
発現上昇をともなう、などが挙げられる [1J
、その重要性が示唆されてきたが、正確な機能
[5J
かの研究室は、 PTを浸した培養液のサイズ分画に
は不明で、あった。
近年、ウズラを中 心 に光周性の分子機構の解明が
3)分泌量 は長日
rrで
:
l
nの同定を試みてきたが、 1kDa.
li
a
er
b
u
より t
あるという報告や、
以上の
kDa
0
10kDaのものと 1
1-
進み 、視床下部内 側基底部に発現する 二型および三
ものがあるという報告など、 一貫した結果は得られ
e3
p
y
;t
o2
e,Di
s
a
n
odi
i
ype2 de
t
型脱ヨード酵素 (
ていない 。
io3)が光周性制御遺伝子と同定され
e,D
s
a
n
odi
ei
d
r
e
b
u
、 PTで合成 ・分泌される既存の因子が t
一方
、新 しい知見が蓄積されてきた。最近
6, 7J
るなど [
ある可能性も考えられる 。例えば、 TSHBや
nで、
li
a
では、ウズラにおいて光周性反応初期に作動する分
n
i
uanyl
、g
. 3J
1
CGA)[
t(
i
n
u
b
u
s
a
h
p
l
na
ei
t
o
r
p
o
c
y
l
g
子経路が網羅的に解析された結果、驚くべき結果が
J
4
1
bFGF)[
r(
o
t
c
a
tgrowthf
s
a
bl
o
r
b
i
cf
si
a
、b
3J
1
[
。すなわち、 PTにおける TSHBの発
発表された[8J
などである 。最近光周性引き金造伝子として注目を
現が長日 刺激にいち早く反応し、それにより合成さ
nとして
i
al
r
ube
集めている TSHBについては、その t
I--Iが視床下部内 側 基 底 部 の 第 三脳室上衣刺H
れた TS
の可能性は調べられていない。 また、 CGAや bFGF
o3
o2やDi
受容体を介して Di
胞層に存在する TSH
の発現量は日長に影響を受けるが、 PDからのプロ
といった光周性制御遺伝子群の発現を調節するとい
ラクチン合成に影響を及ぼさないことが報告されて
I
I
うものである 。 これらの知見は、 PTにおける TS
。
4J
.1
1
いる [
乳類とは全く別のアプ
i
l
r
I
合成能の重要性に関 して、I
ローチから到達したものであり、これまで不明で
由来の新規シグナル分子、エンドカンナビノイド
. PT
4
I--Iの機能的役割をも示す重要な結
あった PT由来 TS
nの同定は困難を極め、追
i
al
r
e
b
u
上記のように、 t
来である 。 ウズラにおける発表に続き、ヒツジやマ
い求めれども手に入らない“聖杯伝説"などと担I~撤
ウス、またシリアンハムスターにおいても、 PTの
されることもしばしばであった 。根本に立ち返り、
合成が光周性反応を引き起こす経路に 重要な
I
TSI
既存研究の前提部分に目を向けてみると、多くの 実
。興味深いことに、マウ
1J
1
ことが示されている[9-
nはペプチドシグナルであ
i
al
r
e
b
u
験系の根本には、 t
x様
o
b
IB遺伝子のプロモ ー ター領域に E
スでは TSI
るという暗黙の了角ヰがあることが分かる 。 ここで、
配列が存在し 、CLOCKとBMALの付加により遺伝
ペプチドシグ ナル以外の分子、例えば脂質シグナル
子発現が活性化 されることがルシフエラ ーゼア ッセ
分子に視点を変えてみてはどうであろうか。
。 これは、 PTの時計遺
2J
1
イにより示されている [
近年、脂質は細胞膜を合成するコンポ ー ネントで
IBとを結びつける重要な証拠といえ
I
伝子発現と TS
あるのみでなく、情報伝達物質としても働くことが
る。
解明されてきた 。脂 質シグナル分子には様々な種類
御に焦点を絞れば、
lJ
が存在するが、特に干 111経内分泌 i
H¥J生物学
,
I
I
1 (2010)
6.No.
.1
VoI
件す正
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lia
条条一//
{:
﹃
。
EEC) C
︼2
C000︿ fN
一︼回
DAGLa
圃
・
・
・
園
周
50505050
332211
コ
ω
( ω
FAAH
化合物には精神撹乱作用がなく医学的に必要な効果
を発揮できるものが多い。 この利点から、新薬とし
への応用研究開発が進められている [17J。主要エン
MAGL
PEbc)Eち旦E 且型ヒω旦色
化症、神経痛、癌など、現I
U
台性を含めた多くの疾病
76543210
DAGLb
病、パーキンソン病、アルツハイマー病、多発性硬
ドカンナビノイドには anandamid巴 (AEA) と 2ara-
14 4
b
〈
マリファナは古来より医薬品として利用されてきた
ての期待が高く、メタボリツクシンドロ ーム、うつ
0
~ 0.
02
性など実に様々な生物機能を制御している [
16,17J。
が、注目すべきことに、エンドカンナビノイド関連
Q)
5
t0.01
称、である 。エンドカンナピノイドは代謝 ・情動 ・生
反面、
i
'
i
1
i
t
:
1
t撹乱作用があることは周知的事実である
〉
ミ0.
03
Z
成分と結合する受容体に対する内 │
玉l
性リガンドの総
殖 ・記憶 ・学習 ・痛み受容 ・炎症 ・免疫 ・神経可塑
・
NAPE-PLD
日斗
長日短一
c
宮0.
0
4
エンドカンナピノイドはいわば生体内マリファナ様
物質であり、マリファナ (
C
a
n
n
a
b
i
ss
a
t
i
v
a
) の主要
tfe
U 0.05
A
B
1
5J。
エンドカンナピノイドシステムが重要で、ある [
AG) が知られるが、ラット
chidonoyl
gl
ycerol (2-
今
4
・
圃
・
・
・
・
-
1
5
2
1
(
時)
の脳では 2AGの量が AEAより数百倍多く、またカ
ンナビノイド受容体である C
B1/
CB2に対する選
図 2 シ リア ンハムスタ ー の 下 垂 体 隆 起 葉 (
p
a
r
s
t
u
b
e
r
a
l
i
s,PT) にお けるエンドカンナビノイド合成・代
択性も高い [
1
6,1
7
J。生理活性脂質であるこれらの
謝酵素の発現と 日長の影響
(
A)シリ
ア ンハムスタ ーのPTにおけるエンド
カ ンナビノイド合
成・代謝酵素の発現。
Anandamideの合成酵素である N
物質は、必要な時に必要なだけ合成され(オン ・デ
マンド合成)、用途が終われば速やかに代謝される 。
したが って、合成酵素と代謝酵素のバランスが重要
なポイン トである 。ネ
I
jl経内分泌市J
I御については、
AEAや
2-AGの投与によりプロラクチンを始めとし
た多くのホルモン分泌量が顕著に変化することが知
られている [
1
5J。
筆者らは最近、エンドカンナビノイドと光周性と
の関連を解明すべく、 AEAや 2AGの合成酵素およ
a
c
y
l
p
h
o
s
p
h
a
t
i
d
y
l
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t
h
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cphosph
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a
s
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(
NAPEPLD)、anandamideの代謝酵素である f
a
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l
g
l
y
c
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r
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l (2amideh
y
d
r
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l
a
s
e(
FAAH)、 2AG)の 合 成 酵 素 で あ る s
n1
-sel
e
c
t
i
v
ed
i
a
c
y
l
g
l
y
c
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r
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p
a
s
e
s(
DAGLaandDAGLb)、 2-AGの代謝酵素である
m
o
n
o
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c
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l
g
l
y
c
e
r
o
ll
i
p
a
s
e(
MAGL
)の発現が PTにみられた。
各写真 中の左上のボッ
クスは PTの拡大を示す。(
8-D)PT
の
工ンド
カンナヒ ノ
イドシステムおよび、血中プロラクチン量に対す
る日長の影響。
長日条件において、 PTにおける DAGLbの発
現(
8)、2-AG含有量 (
C)、血中プロ
ラクチン量 (
D)が 増加
していた(中く0.
0
5,t
t
e
s
t)
。
文献 1
8より改変
。
び代謝酵素の発現をシリアンハムスターの PTにお
いて調べた [18J。すると、検討した全ての酵素が
PTに発現していた(図 2A
)。 また幾つかの酵素に
5
.
PT由来エンドカンナビノイドの作用部位と機能
ついては、免疫組織化学に より タンパク質の局在も
PTで合成 ・
分泌されたエンドカンナビノイ ドはど
PTに確認できた 。 さらに、日長に対する反応を調
こに作用するのであろうか?この質問に答えるべく、
2AGの合成酵素である diacyl
gl
ycerol
筆者らはカンナ ビノイド受容体の C
B1およびCB2
iacyl
glycl
i
p
a
s
e
be
t
a (DAGLb) の m RN A発現量や d
の発現を PTおよぴ:PDにおいて調べた [
18J。すると、
べたところ、
erol
l
ipasealpha (DAGLa) のタンパク質 量 が長日
CB1受容体は PTには発現せず、
条件で増加していた(図 2B
)。 これらの 2-AG
合成
いることが分かった(図 3A)。一方 C
B2はPT,PD
機能を雌認するため、パンチアウ トし たPT組織中
ともに発現が見られなかった(図 3A)。他にも、
/MS
に て 様 々 な エ ン ド カ ン ナ ビ ノ イ ド 量 を LC-MS
peroxisomep
r
o
l
i
f
e
r
a
t
o
r
s
a
c
t
ivatedreceptor-alphaお
PDのみに発現して
2AG含量が長日条件で有
よびgammaや G-protei
ncoupl
edreceptor55もエン
意に増加 していた (
図 2C)。以上のことから、エ ン
ドカ ンナビノイ ド受容体と して働くことが知られる
ドカンナビノイドが PT由来のシグナル分子であるこ
が、いずれも PTや PDに発現は見られなかった。 こ
が日長に制御
と、またエンドカンナピノイドのうち 2-AG
れらのことから、 PTで合成されたエンドカンナビ
される光周性シグナルであることが示唆された。
ノイドの標的が PDのC
B1受容体であることが示唆
により測定したところ、
H
寺間 生 物学
VoI
.
16
.
N
o
.
1(
2
0
10
)
“
ヮ
A
クチン細胞などのホル モ ン産生細胞を形態的に支持
B
n
i
t
c
a
l
o
r
P
神 t3,';.¥../砲、 1
税
:
W
1
ら
¥
CB1 に;
すると同時に、様々なホルモン調節因子を放出して
9J。 このような調
1
ホルモン分泌を複雑に制御する [
ca
tgrowthf
s
la
b
o
r
b
i
f
節因子には、各種成長因子 (
'
PT/
CB2
)やサイ
ter
c
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elgr
lalc
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r,vascu
o
t
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i
ib
h
n
eukemiai
.l
6
n
i
k
leu
r
e
t
n
i
トカイン (
.
.
。現在の
9J
1
ideなどが挙げられる [
x
no
e
g
o
r
t
i
また n
J
'
j
l
ところ、 CB1受容体とこれらの因子との関連は I
C
らかではないが、いずれかの因 子を 介してプロラク
CB1
S-100
チン分泌を制御 して いる可 能性が十分に 考えられる
ため、今後の研究が則待される 。
2-AGやAEAとプロラクチン分泌との関連を示す
結巣は多数報告さ れている 。例 えば、
CB2
AGやAEA、
2-
また CB1受容体アゴニス トをラットやマウスに皮
.
5
1
下投与すると、血中プロラクチン 量 は減少する [
。注意が必要な ことに、末梢投与されたエンド
0J
2
rs
a
p
図 3 シ リア ンハムスタ ー の 下 垂 体 隆起葉 (
s,PO)における CB1
i
l
a
t
s
i
rsd
a
p
s,PT)と前葉 (
l
i
ra
e
b
u
t
およびCB2受容体の発現
CB2の発現。PTには CB1、
A) PTとPOにおける CB1I
(
CB2ともに発現は見 られず 、POには CB1の発現が見ら
B,C)POにおける CB1受容体の局在。二重蛍光
れた。 (
、 CB1はプ ロラ クチン細胞には存在
免疫染色によ って
してい ない こと (B)、またろ胞星状細胞のマ ーカーであ
C)
0タンパク質と同じ細胞 に存在していること (
0
1
るS
8より改変。
が示された 。文献 1
カンナビノイドは視床下部に作用し、プロラクチン
抑制因子であるド ーパミン 放出を介して下垂体か ら
方、筆者ら
]。 ー
21
のプロラクチン分泌を調節する [
の結果はエン ドカンナビノイドが下垂体に直接作用
することを示唆している 。 この作用についても幾っ
か報告があり、例えはラッ ト下垂体の初代培養細胞
にCB1のアゴ ニストを投 与すると、プ ロラクチン
必およびcAMP量 が増加することが示されている
分i
身にも 2-AGやAEAの合成酵
l
三
される 。 なお、 PDI
AGがプロ
。現在 筆 者らは組織培養により 22J
2
[
素・代謝酵素の発現が見られたが、その発現量は PT
ラクチン分泌、に及ぼす影響やその経路にかかわるシ
に比べて低く、日長に対する変化 も見られなか った
グナリング経路を 探索している 。将来的には、 PT
8J。 また PDでもエンドカンナビノイドが検出さ
1
[
AGの合成量がメラ 卜ニ ンやフォルスコ
における 2-
れたものの、その 量 はPTより著しく低く、 PTから
リンで調節できるか否か、また 2-AG合成酵素の発
のパラク リン 因子としてのエンドカンナビノイドが
時計遺伝子に 制御 されるか否か、といった研 究
現がl
重要と考えられる 。
が必要であろう 。
以上の結果から、エンドカンナビノイド の 2-AG
nの一つで、ある可能性が示唆される 。 さら
i
al
uber
がt
にこの可能性を探るため、 PDにおける CB1受容体
. 新たな挑戦 :
6
代謝・情動機能の光周性とエンドカンナビノイド
がプロラクチン産生細胞に 存在するか否かを 二重蛍
季節の変化 は繁殖機能のみではなく、代謝や情動
。 しかし予想に
8J
1
光免疫組織化学法 により調べた [
機能にも影響を与える 。 ヒトにおいては、冬期にう
反して、 CB1受容体はプロラクチン産生細胞には
ce
f
f
easonala
s
態害 (
つ症状を発症する季節性感情 │
。 そこで CB1受容体細
存在していなかった(図 3B)
欧 米における有病率
.SAD)が知られ、 l
r
e
d
r
o
s
i
ved
i
t
胞の形態や分布を詳しく観察すると、細胞突起を放
は1-10%、日本においてもうつ病全疾患の 1-3%
射状に広げていることや、プロラクチン産生細胞を
3J0 SAD
2
がSADの基準を満たすといわれている [
包み込むように分布していることが分かった。 これ
K、炭水化物飢餓を特徴とし
I
患者の症状は過食、過 I
oト
f
らはホル モン非産生細胞であるろ胞星状細胞 (
ており、代謝機能の季節性調節とも何らかの関係が
細胞)と考えら れたため、 FS細
,FS
els
ec
t
ela
t
os
l
lcu
i
!1fi類でも日
あることがうかがえる 。 また、小型げつ l
00タンパク質抗体を用いて
-1
胞のマーカ ーである S
長によって不安行動やうつ様行動が変化することが
雌 認 したとこ ろ、予想どおり CB1受容体分布はFS
J、SADの校本には本来生物が備
4
2
報告されており [
細胞分布と一致していた(図 3C)0 FS細胞 はプロラ
える季節応答性があるといえる 。
0)
1
20
.1(
o
N
l6.
.
o1
J生物学 V
¥
/
時I
l
司六d
前述したように、エンドカンナピノイドは代謝や
く、取り出す際にどうしても視床下部組織が混入し
情 動 機 能 に も 深 い 関 わ り を 持 つ 。D
iMarzoらは
てしまう 。 この問題を解消するために、生細胞のマ
2
0
0
1年
、 CB1ノ ックアウトマウスは 絶食処理後の
イクロダイセクション技術、あるいは PT
細胞由来
摂食量が激減することや、肥満モデル動物で視床下
の細胞株の樹立などが望まれる 。 また、ヒツジ ・ヤ
部内のエンドカンナビノイド量が増加していること
ギ・ウシなとe大型動物の PTは比較的単 V
J
Wしやすいた
を示し、 CB1による摂食促進機構を解明した [
2
5
J。
め、必要に応じて 利用す ることも 一つの手である 。
これらの知見から、 CB1アン タ
ゴ
許 ニ ストであるリ
近年、 PTを中心として光周性の根本的な分子機
モナパントは肥満症の新薬として注目され、欧米を
構 が1
昨明されてきたが、そこから派生して起こる
中心に治験が進め られてきた結果、 3
.
9ふ 4kgの体
様々な現象(代謝 ・情動 ・ストレス反応 ・免疫系等
重減少や 3
.
34.
7cmのウエスト減少が確認されてい
の季節変化)の制御機構解明はこれからの謀題であ
る [
2
6
J。 また中性脂肪の減少や HDLコレステロー
る。本総説の 6節で述べたように、各生理機能の光
ルの増加など、動脈硬化の危険因子レベルに対して
周性は密接に関連しているため、狭い視野にて“木
好ましい結果も得られている [
2
6J
。 その一方で、副
を見て森を見ず"といった状況に陥らぬよう、総合
作用として目 n
立、吐き気、うつ症状、不安症状が報
的視野から取り組んでいく必要があると思われる 。
告さ れており、うつ病などの精神疾患を煩う患者に
は処方すべきでないとされている[部]。 これらの報
告 は、リモナパント利用にともなう注意を喚起する
謝辞
本稿執筆の機会を与えてくださった富岡憲治先生
と同時に、エンドカンナピノイドには情動調節機能
に感謝いたします。本研究は LOEWEL
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が あ る こ と を 示 す。 このことについては、 CB1
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k
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LiFF)にサポー
ノックアウ トマウスは深刻なう つ様症状を示すこと
卜されています。 なお、本総説の内容は、第 1
1回欧
や、うつ病患者の血中エンドカンナビノイド量が減
州│時間 生物学会若手奨励賞受賞シンポジウム (
2
0
0
9
少していること等からも明らかである [
2
7J
。
年 8 月 22 日 ~28 日、ス トラ スブ ール、フラ ンス)で
以上の議論を術│散すると、情動 ・代謝機能はとも
発表されたものです。
に関連しあいながら季節に影響を受け、かつ、その
両機能にエンドカンナビノイドが深く関わっている
引用文献
ことが分かる 。 これらのことから 筆者 は、エンドカ
1)Morgan P1
: J N巴uroendoc
ri
n
o
l1
2・ 2
8
7
2
9
5
ンナビノイ ドと情動 ・代謝機能の季節応答性との関
連に興味を抱いている 。 この観点からみると、光周
性機構の中枢部位である PTにおいてエンドカンナ
(
20
0
0)
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1
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0
0
3
)
ピノイドシステムが同定されたことは大変興味深い
3
) Wittkowski W, Bockmann J
. Kreutz M,
といえよう 。今後は、 PT、PD、また視床 │
ご部におけ
BockersTM:I
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tRevC
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1
8
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:1
5
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1
9
9
9)
るエンドカン ナビノイド の役割について、情動・代
4) Kl
o
s
e
nP,Bienv巴nuC,De
marteau0,Dardente
謝機能の光周性という側面からも探っていきたい。
H
.Guerrero H
.Pev巴tp, MassonPevet M: J
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mCytochem5
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0
2)
7
. おわりに
PTは数細胞層からなる小さな組織であるが、本
5
) Wittkowski W, Bergmann M, Ho
百mann K
.
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1
9
8
8)
総説でみてきたように、様々なシグナル分子を分泌
6
) YoshimuraT
.YasuoS.WatanabeM,I
i
g
oM,
し、視床下部や│
ご垂体の機能を広く調節する 。特に
YamamuraT,H
i
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iK Ebi
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:Nature
ここ数年において、光周性の分子機構が解明される
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2
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:1
7
8
1
8
1(
2
0
0
3
)
につれて、その重要性が脚光を浴びてきた。今後は、
7)Yasu
o S,Watanabe M,Nakao N.Takagi T,
本総説に登場したような様々な分子について機能解
F
o
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t BK
. Ebihara S, Yoshimura T
:
析が不可欠であるが、 PTを扱う 実 験 にはその組織
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1
2
5
5
4(
2
0
0
5)
の微車Iさゆえの技術的困蹴がともなう 。すなわち、
8) Nakao N,Ono H
.Yamamura T
. Anraku T,
機能解析のための細胞培養や PT
特異的な物質含有
Takagi T, H
i
g
a
s
h
i K Yasuo S
. Katou Y,
量測定には、 PT
細胞のみ取り出す必要があるが、ハ
Kageyama S,Uno y,Kasukawa T.I
igo M,
ムスターやウズラなど小型動物の PTは極めて小さ
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. Iwasawa A
, S
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. Sugano S,
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3)三 島和 夫:気分障害第 17章季節性感情障害、
pp466・480、医学書院
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