【Manufacturing Indonesia 2012 への長野県出展企業の支援について】 長野県では、現在、県内中小企業が取り組む海外の販路開拓や海外企業との技術連携等の国 際展開を支援するため、海外展示会への出展支援事業を実施しています。 今年度は、公益財団法人長野県中小企業振興センター(以下「センター」という。)または公 益財団法人長野県テクノ財団に委託し、「環境・エネルギー」「次世代交通」分野の「アジア新 興市場」 「先進国の有望市場」における8つの展示会への出展支援(専門職員によるアドバイス 等の人的支援と、出展費用の一部補助等の財政的支援)を行う計画です。 その一つとして、センターが、インドネシア・ジャカルタで開催される機械類の国際総合展 示会「Manufacturing Indonesia 2012 」に長野県コーナーを設け、金属加工機械関係等の高 い技術力や製品群を持つ県内中小企業の出展支援を行いましたので、その様子を報告します。 Manufacturing Indonesia 2012 の概要 1 (1) 会期 2012 年 12 月 5 日~8 日 4 日間 (2) 会場 ジャカルタ国際展示場(JI エキスポ) (3) 主催 パメリンド・インドネシア社 (4) 出展者数 約 40 か国から約 2,400 社 (5) 来場者数 約 25,000 人(見込み) (6) 日系企業 JETRO パビリオン 20 社の他、196 社が出展 (7) ナショナルパビリオン 日本の他、ドイツ、英国、米国、中国、韓国、マレーシア、シンガポール、台湾、タイな ど 24 か国の国と地域 (8) 長野県からの出展企業 ア 株式会社エグロ 出展品目:精密小型 CNC 旋盤 NUCBOY-8EX イ 株式会社アルプスツール 出展品目:NC 旋盤用ツーリング、MC センタ用ツーリング、回転工具 ウ 株式会社ダイヤ精機製作所 出展品目:コレットチャック、高速スピンドル エ 株式会社共進 出展品目:カシメ接合法による高精度部品の安価な機械加工 オ 株式会社エムケーセラ 出展品目:ファインセラミクス 2 展示会準備・懇親会(12 月 4 日) (1) 展示会の準備 展示会の前日の朝から会場で準備を行いました。会場は、朝からエアコンが入る予定でし たが、電気系統のトラブルのため、夕方近くまでエアコンが入らず、30 度を超える暑さの中 の作業となりました。 エグロ、アルプスツール、ダイヤ精機、エムケーセラの4社は、日本からの輸送等にトラ ブルもなく、夕方までにはセッティング完了しました。 共進は、日本からではなくインドネシア現法の工場から日本人駐在員が車でサンプル等を 搬入予定でしたが、渋滞にはまり、到着予定時間より大幅に遅れて、夕方の準備時間終了間 際の到着となりました。このため、サンプルやポスターのディスプレイ等の準備は、展示会 初日の朝、行うことになりました。 (2) ジェトロ・ジャパンパビリオン懇親会 展示会の準備終了後、ジェトロ主催の懇親会が展示会公式ホテル(アルヤドゥタ・ジャカ ルタ)近くのレストランで開催されました。 懇親会では、単に参加企業同士が交流するだけでなく、食事の合間にジェトロジャカルタ 事務所長をはじめ、現地に進出した日系企業の方や、ローカル企業に勤める方などによる簡 単なプレゼンを行うなど、インドネシアの現場の声も聴けるような工夫がなされていました。 3 展示会(12 月 5 日~8 日) (1) ブースの配置について 展示会は 4 日間の日程で開催されました。 これまで出展した展示会(マレーシア IGEM、タイ METALEX)では、長野県コーナーと いう括りで、長野県からの参加企業のブースは一か所にまとまって配置されていましたが、 今回のジェトロパビリオンでは、出展品目の近い企業同士をまとめるという方針があるとの ことで、長野県企業も出展品目に応じバラバラの配置となりました。 具体的には、だいたい、工作機械コーナー、工具(ツーリング)コーナー、機械加工・部 品コーナーといった形に分けられていました。長野県企業の場合、エグロが工作機械のコー ナーに、アルプスツール及びダイヤ精機が工具のコーナーに、共進及びエムケーセラが機械 加工・部品のコーナーにといった具合に配置されました。 長野県企業のブース配置はばらばらになりましたが、他の展示会と同様、各ブースには、 県のロゴや県の観光ポスターを飾ったり、センターが作成した出展企業を紹介する共通の英 語パンフレットや県の観光パンフレットを置くなど、長野県の企業であることが分かるよう 工夫をしました。 (2) 出展企業の動向 エグロは、現在インドネシアに拠点はなく、今回は、インドネシアでの工作機械の販路拡 大のため、販売代理店となりうるパートナーを探すのが主な目的とのことでした。同社の製 品の中でも比較的小さな NC 旋盤の実機を展示していました。 アルプスツールは、昨年度の METALEX 参加企業です。タイに工場があり、今回はイン ドネシアでの販路拡大のため出展したとのことです。様々な種類の NC 工作用ツーリングを 展示していました。 ダイヤ精機は、既にインドネシアに販売代理店があるとのことです。元社員で、現在はバ リでウェブデザインなどの仕事をしている方が手伝いに来ており、ブースがきれいに装飾さ れていました。初日は社長が来て自らブースで営業されていました。主にチャックユニット 等のサンプルを展示していました。 共進は昨年度の JAPPE(広州日系自動車部品調達販売展示会)参加企業です。2012 年 4 月にインドネシア工場を立上げています。ブースでの営業自体は、日本の営業担当者と現法 の日本人駐在員が中心に行っていましたが、社長自ら全日程参加し、重要な取引先との対応 等に当たっていました。また、協力関係にあるソーデナガノのインドネシア現法の社員も手 伝いに来ていました。カシメ接合法という独自技術を使って作った部品を多数展示していま した。 エムケーセラは、ベトナムに工場があり、インドネシアにはそこから納品する予定とのこ とです。エムケーセラの関係者は会長一人でしたが、ブースには日本やベトナムから会長の 知り合いが大勢手伝いに来ていました。販路拡大はもちろん、情報収集が大きな目的とのこ とで、ブース内ではもちろん、ブース外でもいろいろな機会を見つけて積極的に面会してい ました。同社のファインセラミクス製品を多数展示していました。 4 所感 中小の製造業が、初めて、海外で販路開拓をしたり、海外企業との技術連携をする場合、一 番の問題となるのは、海外での営業力の不足です。 今まで海外の企業と取引や提携をしたことがない中小製造業にとっては、海外の企業と商談 をしようにも、そもそも、どこにどうやってコンタクトを取ったらよいのかということすら分 からないという企業も多いと思われます。 そのような企業にとっては、まずは、こういった海外展示会へ出展し、実際に海外の企業と 会って商談をしてみることが初めの一歩になります。展示会には、その種の製品や技術に関心 のある海外企業の方がたくさん訪れますので、実際に活かせるかはともかく、ビジネスチャン スがたくさん転がっているのは間違いありません。 ただし、海外展示会への出展には、それなりの費用がかかるし、ノウハウも必要です。中小 企業にとっては、人的にも財政的にも負担が大きく、なかなか出展にまで踏み切れないという ところも多いものと思われます。 だからこそ、技術力や意欲のある中小企業の方々には、是非、今回の長野県の海外展示会出 展支援事業などの機会を上手く活用して、海外企業との取引や技術提携につなげていただけれ ばと考えます。 (Manufacturing Indonesia 2012 における聞取り等) (長野県シンガポール駐在員 齋藤 一真)
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