~ 人事労務管理コラム ~ ★テーマ★ 発行日 2012年10月5日 01-01 勤務時の茶髪を禁止するにはどうすればいい? 服装や身だしなみの価値観ひとつとっても、社会はど んどん多様化しています。若者のファッションについて、 時には「それってちょっと常識外れじゃない?」と社長さ んが感じられることも時にはあるのではないでしょうか。 服装や身だしなみは個性のひとつと考えられなくもな いですが、時と状況によりそれが仕事に差し障ることもあ るでしょう。たとえば、接客業などでは人に不快感を与え ない身だしなみを従業員に求めるのは仕事をする上で 当然と言えますが、あまりにもひどい服装の乱れには、 「こんなヤツはウチの会社には要らない!クビだ!」とつ いつい感情的になってしまうかもしれませんね。 服装や身だしなみの乱れに対し、会社はどのような方 策を採るべきでしょうか? 1.判例を見ると ①茶髪の社員をクビにした例 運送会社のトラック運転手が髪の毛を茶髪にしてトラッ ク運転業務を行ったところ、取引先から好ましくないと言 われたそのトラック運転手の上司が元の色に戻すようそ の運転手に命じたところ、その運転手は命令に従いませ んでした。 命令に従わないことを理由として会社はその運転手を 諭旨解雇しましたが、その運転手が解雇は納得できな いと裁判を起こしたのです。 その裁判では、「髪の色や服装は人の人格や自由に 関する事柄なので、制限を加えるには企業の運営上必 要かつ合理的な範囲内に限られるものであり、本件の 運転手の行為は社内秩序を乱したものとは言えない。 よって、解雇事由が存在しないので、解雇は無効であ る。」とされました。 2.判例から言えるポイント ●就業規則等で服務規律規程を定めておくこと ●服装の乱れには注意や指導を行い、記録しておくこと ●入社時には誓約書を取ること たとえ就業規則のような社内規定に「茶髪は禁止とす る」と明確に規定されていたとしても、茶髪にすることが 「業務に差し障りがない」ことであれば、禁止する根拠は 弱いものとなります。 ですが、たとえば接客業などの場合は、「お客様に嫌 悪感を与えないため」という「業務遂行上の理由」から 茶髪を禁止にすることは、充分な根拠があるものと言え ます。 まずは就業規則などの社内規程で服飾や身だしなみ についての規定を明記し、それに基づいて業務時間中 に社内で口頭で注意を与えましょう。 その場合でも、感情的に指摘するのではなく、「あくま でお客様へのサービス提供のため」「業務の適正な遂 行のため」という目線で指導することが大切です。 それでも改まらない場合は、文書による警告を出すよ うにしましょう。 この文書による警告は、その後も態度が改まらず、解 雇を含むもっと重い懲戒処分を行う際に、その処分の 必要性、妥当性を客観的に示す資料になりますので重 要な手続きなのです。 また、入社時には自社の服務規律規程を説明し、理 解を得た上でルールを遵守する誓約してもらいましょう。 所長からコメント 仕事でのファッションは社会人としての常識を試される部 分でもありますが、同時にその人の個性を表すものでもある 私立中学校の試用期間中の教師が、勤務態度が悪く、 ので、時には難しい問題になります。決して感情的になら ノーネクタイで仕事しているなどで解雇され、その教師が ず、「業務を円滑に遂行する為に、その服装は適正なもの かどうか」で判断することがポイントです。そして、注意が必 解雇は無効と訴える裁判を起こしました。 要な時には業務時間中にきちんと注意しましょう。(的場) ②ノーネクタイの教師をクビにした例 「解雇は教師としての適格性がないことが明白な場合 にのみ許される。本件の教師に対し、学校は一度も注 意や指導を行わなかった。注意や指導のないままの突 然の解雇は無効であると言わざるを得ない。」とされまし た。 発行元 : 社会保険労務士事務所セオス 〒577-0837 大阪府東大阪市寿町2-5-15-102号 TEL : 06-4306-3948 FAX : 050-3737-9771 HP : http://www.ceoss-sr.jp E-mail : [email protected] ©社会保険労務士事務所セオス
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