証券取引所と ESG 株式会社グッドバンカーリサーチチーム今年 7 月、日本取引所グループは、傘下の東京証券取引所と大阪証券取引所の現物株市場を東証に統合し、東証の上場会社数は 3,423 社となり、上場企業数および株式時価総額ともに世界第 3 位の規模となりました。株式時価総額が世界で最も大きい取引所グループである米国の NYSE ユーロネクストが、今年 6 月、3 つの新たな ESG（E:環境、S:社会、G：ガバナンス）インデックスを発表しました。これは、ヨーロッパの SRI 調査機関 Vigeo と共同で設定しており、企業責任に関するリスク管理や持続可能性への貢献といった点で高い評価を得ている企業が組み入れられています。さらに、3 月にも 3 つのインデックスを発表しており、ESG インデックスのラインナップを広げています。 Vigeo による企業評価は、環境配慮、人権、従業員施策、ステークホルダーとの関係、コーポレートガバナンス、企業倫理など 38 のクライテリア、330 項目について行われています。そして、これらのインデックスは、長期的な環境保護やすべてのステークホルダーとの建設的な関係の構築、人権配慮の促進などにおける企業のパフォーマンスを比較・識別することができるように設計されており、投資家は、企業の社会的責任における国際的な基準に適合した企業に投資することができると、インデックスの開発者は述べています。 2 番目に大きなカナダのトロント証券取引所では、2007 年に同国初の社会的責任 ETF が立ち上げられ、その取引を行っています。4 番目の英国のロンドン証券取引所も、フィナンシャル･タイムズ紙と共同出資する FTSE のインデックス「FTSE4Good」が有名です。日本では、過去に東京証券取引所が「TOPIX1000CSR」という、テーラーメード型の SRI インデックスを立ち上げたことがありますが、現在はありません。日本取引所グループは、今回の統合により規模が拡大し、世界的にも存在感を示す取引所となりました。現在の全世界での SRI 市場規模は 13.6 兆ドルi、日本円にして 1,346 兆円iiに上ると言われており、日本が SRI マーケットにおいても存在感を示すことによって、国内および年金基金等の機関投資家を中心とする海外の SRI 投資家からも注目されるようになるのではないでしょうか。 i ii 出典：Global Sustainable Investment Alliance「2012 Global Sustainable Investment Review」 1 ドル 99 円として算出 ©2013 The Good Bankers Co., Ltd.