有機化合物およびポリマー

水溶性チタン化合物
∼その特徴と架橋剤としての応用∼
松本製薬工業株式会社
研究グループマネージャー
理学博士 小林 芳照
松本製薬工業(株)の概要
当社の開発思想
環境・健康をキイワードにした製品開発
取締役会長:松本 伊兵衛
取締役社長:伴 釼三
設立 :昭和20年8月8日
資本金 :2,000万円
従業員 :30名
会社の特徴:研究開発型の企業
お客様のニーズに即した商品・環境に優しい商品の開発を目指す
事業内容 :各種有機金属化合物の商品開発と製造
チタン、ジルコニウム等の金属の有機化合物の製造と商品開発
ケイ素系コーティング剤の製造。
各種化粧品原料の製造。
有機チタン化合物の概要
有機チタン化合物とは
A) Ti−C型:有機基が直接結合したもの
B) TiーXーC型:中間にX(O、N等)を介して
有機基が結合したもの
B)型は「金属有機化合物」とも言うが、ここでは
有機金属化合物と称する。
C) キレート配位型
B)型化合物の誘導体として位置付け
本セミナーではB)型のX=OおよびC)型に
ついて解説する
有機チタン化合物の分類
1.
有機チタンアルコキシド
一般式:Ti(OR)4 R=Me、Et、Bu、C5∼C18等。加水分解性大
オルトチタン酸エステルとしてアルキルチタネートと呼称
2.
有機チタンポリマー/オリゴマー
アルコキシドおよび/またはアシレート等の部分加水分解物
[Ti(OR)nO]m n=1∼2、 R=n-Bu:m=2,4 R=i-Pr:m=10
3.
有機チタンアシレート
一般式:Ti(OCOR’)n(OR)4−n 有機酸誘導体。
加水分解性はアルコキシドよりは低い
4.
有機チタンキレート⇒水溶性チタン化合物
有機チタンキレート
キレート化合物が配位した錯体。水に対する安定性が高い。
表ー1有機チタン化合物:当社製品の分類
チタン化合物分類 商品名
置換基/配位子
性 質
用 途
加水分解性大
アルコール、n-ヘキ
サン、トルエンに易
溶
触媒:エステル化、重縮
合、ポリオレフィン、シリ
コーン硬化促進
架橋剤:絶縁ワニス、耐
熱塗料、無機塗料
TA-10
TA-25
TA-30
TA-80
i-PrO
n-BuO
2-EtHex(C8)O
t-BuO
アシレート
TPHS
淡黄色個体
C17CO2
(Ti-O-Ti 構造を有す 水、アルコールに不 撥水剤、界面活性剤、分
溶、n-ヘキサン、ト 散剤
るオリゴマー)*1)
ルエンに可溶
キレート
TC-100
TC-401
TC-200
TC-750
i-PrO/Acac 2*)
Acac
C8O/HOC8O
i-PrO/Etac 3*)
アルコキシド
TC-310 乳酸
水溶性チタン
TC-400
i-PrO/N(C2H4OH)3
加水分解性大
アルコール、n-ヘキ
サン、トルエンに易
溶
触媒:エステル化、シリ
コーン硬化促進
架橋剤:
塗料、インキ等
酸化チタン膜材料
架橋剤:
水溶性ポリマー
水溶性、アルコール 塗料、インキ
接着剤:有機、無機、金
可溶。
属間のバインダー、他
n-ヘキサン不溶
触媒:エステル化、重合
酸化チタン膜材料
*1)C18∼20等必要に応じて他の誘導体可能 *2)Acac:Acetylacetone *3)Etac:Ethylacetoacetate
有機チタンアルコキシドの性質
[1]物理的性質
1. 性状
u
C1は白色固体であるが、 C2以上では液体
u
殆どの有機溶剤に易溶(水には分解)。着色しやすい。 2. アルコキシド分子会合度
C1>>C2(2.4)>n,i-C3、n-C4(1.4)>i-C4(1.2)>t-C4(1.0)
[2]化学的性質
1. 高い加水分解性
2. エステル交換反応
有機酸との反応 エステル化触媒反応
加水分解反応と機構
加水分解反応速度
①低級アルコキシドほど大:C3>>C8
②分岐大、立体障害大ほど速度大:3級>2級>1級アルキル
HOH
RO
T
i
RO
OR
RO
+ H2O
RO
OR
T
i
RO
OR
T
i
RO
OR
OH
+
OR
ROH
[A]
[A]
+
Ti(OR)4
x[(RO)3Ti−O−Ti(OR)3]
(RO)3TiOTi(OR)3
+ xH2O
+
ROH
[ Ti(OR)2O ]2x
+
2xROH
Ti−O−Ti−O−Ti−
[−Ti(OR)2O−]x
+
xH2O
O O O
Ti−O−Ti−O−Ti−
酸化チタン
+
2xROH
エステル交換反応
1. アルコール交換反応
Ti(OR)4 +nR’OH Ti (OR)4−n (OR’)n +nROH
u
基本的には平衡反応
u
加水分解反応も同様に進行するが、脱水縮合反応は非可逆
u
架橋反応の場合:R‘が高分子鎖
2. 有機酸との反応
Ti(OR)4 +nR’COOH Ti (OR)4−n (OCOR’)n +nROH
nROH +nR’COOH R’COOR+H2O
3. エステル化触媒
Tiポリマー
加水分解反応
Ti (OR)3 (OCOR’) +ROH R’COOR+ O=Ti (OR)2
R’COOH
ROH
有機チタンの性質:アルコキシド、アシレート
酸化チタン
形成剤
Ti-O-Ti
加
水
分
解
触
R’
=H
媒
反
エステル化
エステル重縮合
応
R’
=(ジ)カルボン酸、
アルコール、ジオール
R’
=金属
表面・無機
接着/表面処理剤
Ti-O-M
脱 水 ・脱 ア
ルコール
エステル交換反応
Ti
−OR+HOR’
Ti
−OR’+HOR
Si
樹脂
硬化促進剤
R’
=
Si樹脂
R’
=
高分子鎖
架橋剤
バインダー
有機チタン化合物の機能/用途
1. 架橋機能
2. 金属、セラミックス、樹脂接着・表面処
理機能
3. 酸化チタン形成剤(薄膜、光触媒等)
4. 触媒:エステル化、RTVシリコーン硬
化促進剤等 スズ代替として注目
第3および4項については今回は除外
架橋剤の作用機構
チタンアルコキシド化合物
OH HO + Ti(OR)4 + OH HO O O
Ti +4ROH
O O チタンキレート化合物
有機チタン化合物利用上の問題点
n
チタンアルコキシド
高活性/加水分解性大
1. 保存安定性に難:シェルフライフ、ポットライフに制限
水分により分解、粘度上昇等の外観変化
2.
3.
n
水溶性樹脂等、水分共存下での利用に問題
経時的に活性低下:架橋度、触媒、接着等
キレート錯体
1.
2.
3.
加水分解に対する安定性は良好
アルコキシドに比較して活性低下
化合物自身または使用後に着色しやすい
水溶性チタンの開発
なぜ水溶性チタンか?
松本製薬の開発思想:
『
環境』
と『
健康』
環境負荷低減
廃液・
排水処理
排気処理
作業環境
スズ(
触媒)
代替
ノンクロム対策
安全性向上
安全設備等
運搬・
保管設備等
作業環境
水溶性チタン化合物への期待
水系で利用できる着色の少ないまたは
無色のチタン化合物を開発できないか?
水溶性チタン化合物の分類
1. 無機系化合物
2. ペルオキソチタネート
3. キレート系チタネート
表1 金属としてチタンのみを含むチタン化合物の水への溶解度と安定性※
チタン化合物名 化 学 式 純水への溶解度 安 定 性
一酸化チタン
三酸化チタン
二酸化チタン
炭化チタン
窒化チタン
硫化チタン
二塩化チタン
三塩化チタン
四塩化チタン
硫酸チタン(III)
硫酸チタン(IV)
オキシ硫酸チタン(IV)
オキシしゅう酸チタン(IV)
チタンアルコキシド
TiO ×
Ti 2 O 3
×
TiO 2
×
TiC ×
TiN
×
TiS 2
×
TiCl 2
TiCl 3
○
TiCl 4
○
Ti 2 (SO 4 ) 3
×
Ti(SO 4 ) 2
○
TiO(SO 4 )
(TiO) 2 O C 2 O 4
×
Ti(OR) 4
(Rはアルキル基)
トリスアセチルアセトナト
[Ti(C5 H 7 O 2 ) 3 ]X チタン塩
(Xは1価隠イオン)
空気酸化を受ける
空気酸化を受ける
安定
安定
安定
湿った空気により分解する
空気中ないし水により分解
湿気の存在で空気酸化を受ける
冷水に溶けるが難溶性のオキシ塩化物、水酸化物を生じる
水と煮沸すれば加水分解し沈殿を生じる
水には発熱して溶けるが加水分解を受けやすい
水により加水分解を受ける
安定
きわめて容易に加水分解を受け、難溶性沈殿を生じる
水で容易に分解する
※チタン化合物には酸化数+II + I V のものが多い。チタン(II) 、(III)塩溶液は空気酸化を受けやすく、使用に際してはすべ
ての操作を窒素または二酸化炭素気流中で行わなければならず、また保存に際しては空気との接触を避けねばならない。
有機チタン化合物は不安定であまり知られていない。チタン(IV)アルコキシドは多数知られているが、いずれも非常に加水
分解を受け易いので、不活性ガス下での操作・保存が必要である。
出典:垣花眞人、現代化学、#3,25(2000)
表ー2 ペルオキソチタネート
構造/組成 研究者/出願人 文献/特許
用 途
1.他金属との複合
[O2TiCA]4
現代化学(2000年) 酸化物原料
(NH4)8
垣花(東北大) 特開2000-159786 2.酸化チタン形成
CA:クエン酸
剤
TPT/ニトリロ三酢
酸+Bu2NH+
過酸化水素水
ナガセケムテックス
(旧帝国化学)
特開平11-228113
特開2001-10816
チタン原料に酸
化チタン使用
出光興産
特開2004-18477
TiCl4+アンモ
ニア水+過酸
化水素水
佐賀県
特開平9-71418
金属薄膜形成
剤
光触媒原料
薄膜形成剤
光触媒原料
安定な水溶液
チタンペルオキソクエン酸錯体
構造とUVスペクトル(東北大・垣花教授より)
紫外線吸収
新規水溶性チタン化合物の開発経緯
キレート系チタネート
従来知見:水系チタンはキレート系で安定化する
キレート系ではないが水系可能な方法
特開2001−322815:岐阜大学
Ti(OPri)4[TPT]+アミン+水 水溶性チタン
[問題点]
u系が水に溶解するまで時間がかかる
u大量の水を添加する必要あり、チタン濃度低い
表ー3 ジオールの安定化効果
No
ベースの配合 モル比
1 ジエチルアミン / TPT
2 =1/1
(岐阜大特許)
3
4 ジエチルアミン / TPT /EG
5 =1/1/4
6 (当社方法)
EG:エチレングリコール
水モル比 液の状態
5
白濁
50
白濁
100
白濁 透明
5
透明液体
50
透明液体
100
透明液体
表−4 新規水溶性チタン化合物
化合物
配位子
[T
i
]
Wt%
溶液外観
pH**)
TC-310
乳酸
8.2 淡黄色液体
1
TC-400
TEA*)
8.3
9
A
アミン系/PG*)
3.0 微黄色液体
12 B
カルボン酸系/PG
3.0 微白濁液体
1
C
アルカノールアミン/PG 3.0 微黄色液体
10 D
アミン系/PG
3.0 淡黄色液体
10 E
環状アミン/PG
3.0 微白濁液体
11 *)TEA:トリエタノールアミン PG:プロピレングリコール
**)pH:代表値
黄色液体
水溶性樹脂の架橋
水系チタンにより架橋反応の可能性のある
以下の樹脂について検討
1.
2.
3.
4.
5.
ポリビニルアルコール(PVA)
ポリアクリル酸(PAA)
ポリアクリルアミド
ポリアリルアミン
その他水酸基含有樹脂
EVOH、メチルセルロース
有機チタンによるPVAの架橋反応
各種水溶性樹脂の架橋性能を評価する基準
不溶化率:架橋度の指標として採用
[測定方法]
製膜したサンプルに対して約100倍重量の水(場合により
有機溶剤)を加えて煮沸、30分処理。
乾燥後に重量測定、以下の式に従って不溶化率を算出する。
[サンプル製膜法]
5%樹脂溶液と所定量の架橋剤を混合し、PPまたはアルミ
製のカップに約5gを注入、所定温度で乾燥・硬化、製膜する
膜厚=120∼130μm
不溶化率=
熱水濾過残量
処理前サンプル重量
×100(%)
有機チタンによるPVAの架橋反応
化合物による影響(表ー5)
I.
u
u
架橋効果に対するチタン化合物の影響はない
チタン無しでは不溶化率は0% ⇒Tiが架橋点を形成
架橋膜の性状
II.
u
u
使用するチタン化合物により無色(低着色)の膜
溶液安定性(ポットライフ)が低く、短時間でゲル化
有機チタン添加後のポリマー溶液の安定化法
(表ー6)
III.
u
u
ヒドロキシカルボン酸の添加により、溶液が安定化
特定のカルボン酸が効果的
表ー5 PVAの架橋
化合物
配位子
TC-310 乳酸
TC-400 TEA
不溶化率
0% 膜性状
無色透明
77%
無色透明
84%
淡黄色透明
A
アミン系/PG
81%
無色透明
B
カルボン酸系/PG
80%
無色透明
C
アルカノールアミン/PG
78%
微橙色透明
D
アミン系/PG
80%
淡黄色透明
E
環状アミン/PG
81%
無色透明
架橋条件:Ti / PVA=1/66(モル比)、105℃×2hr
不溶化率の測定法:水煮沸×30min(試料/水=1/100重量比)
表−6 PVA不溶化率に対する添加剤効果
PG
T
i化合物
添加剤A
添加剤B
添加剤C
PVA 混 合 液 外 観
TC-400 すぐにゲル
化
化合物A
経時でゲ
ル化
無色・ゲル化せず
経時でゲ
ル化
無色・ゲル化せず
不溶化率(%)
硬化条件:上段 40℃×16hr 下段 105℃×2hr TC-400
化合物A
77
84
78
81
77
62
67
59
2
2
4
62
76
59
81
69
68 80
各種有機チタンとそのPVA架橋膜の性状
T
i液外観
TC-310
PVA架橋膜
TC-400
化合物A
化合物C
架橋条件の影響
チタン濃度(図ー1)
I.
u
硬化温度(図ー2)
II.
A)
B)
C)
D)
III.
T
i/PVA(モル/PVA重量) T
i/PVA= 0.26(mmol/g-PVA)で飽和
化合物AやTC-400では、低温(40℃)と高温(105℃)
に差が殆ど無い(図ー1)
乳酸チタンでは硬化温度増大で不溶化率大
チタン化合物の構造、その安定性と相関有りそう
チタン無しでは不溶化率は5%以下→Tiの架橋効果
pHの影響(図ー3):乳酸チタン系(TC-310)
低温硬化では影響有り:pH増大→不溶化率大
高温硬化ではpHの影響殆ど見えない
Ti濃度と硬化温度依存性
100
不溶化率(%)
105℃×2hr
80
40℃×16hr
60
40
Ti/PVA =0.26mmol/g
20
=1/80(重量比)
0
0
0.1
架橋剤:化合物A
0.2
0.3
0.4
Ti/PVA(mmol/g)
0.5
図ー1 チタン/PVAと架橋度
0.6
架橋剤:TC-310 Ti/PVA=1/60(重量比)
100
92
86
90
40℃×16hr
で硬化後、再加熱
加熱時間は30mi
n
80
不 溶 化 率 [% ]
94
77
65
70
56
60
50
40
38
40
45
PVA+Ti
PVA
30
20
架橋剤なし
10
0
0
50
100
150
再 加 熱 温 度 (℃ )
図ー2 架橋度と加熱の影響
200
pHの影響
90
80
架橋剤:TC-310
70
PVA/Ti:重量比
高温硬化
不溶化率[%]
60
50
Ti/PVA=1/60 高温硬化
40
Ti/PVA=1/60 低温硬化
低温硬化
30
Ti/PVA=1/40 高温硬化
20
Ti/PVA=1/40 低温硬化
10
0
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
チタン化合物のpH
図ー3 架橋度に対するpHの影響
水溶性チタンとPVA架橋∼まとめ∼
1. アルコキシチタンとキレート配位子およびジオー
ルから安定な水溶性チタンが得られた
2. 無色(低着色)のチタン溶液が得られ、架橋膜も
殆ど着色なし
3. 低温でも高活性であり架橋反応が進行
メラミン樹脂は40℃で架橋せず
4. 高活性故にPVA溶液と架橋剤の混合時の安定
性に問題⇒混合系の粘度上昇またはゲル化
5. 混合溶液の安定化に対しては特定のヒドロキシ
混合溶液の安定化に対しては
カルボン酸の添加が有効
ポリアクリル酸(PAA)の架橋
1. チタン化合物と不溶化率(表ー7)
A) アルカノールアミン系キレート錯体が架橋効果大
他のアミン系および乳酸系チタンでは架橋効果ほとんど無い
B) 硬化温度の影響大。90℃以下では硬化せず
2. 混合溶液安定性と性状
A) 混合溶液は着色なく、経時安定性大
B) アミン系キレート錯体の方がやや着色あり
3. PAA分子量と金属塩の影響
A) 分子量=80万、化合物C:Ti/官能基=1/2,300 ⇒不溶化率 90%(硬化条件:125℃×2hr) B) ナトリウム塩:同一条件では全く硬化しない
表ー7 ポリアクリル酸の架橋
化合物
配位子
TC-310
乳酸
不溶化率
(%)
0 TC-400
TEA*)
70 淡黄色
A
アミン系/PG*)
1 淡黄色
B
カルボン酸系/PG
20 淡黄色
C
アルカノールアミン/PG
65 淡黄色
D
アミン系/PG
10 淡黄色
E
環状アミン/PG
25 淡黄色
膜性状
淡黄色
5%PAA水溶液。PAA分子量:10,000
Ti/PAA官能基=1/20(モル比) 硬化条件:125℃×2hr
その他の水溶性樹脂の架橋
u
エチレンビニルアルコール共重合体:EVOH
EVOH:ソアノール16DX(日本合成化学)
[エチレン含有量29mol%]
1. 不溶化率で比較すると、チタン化合物の影響なし。
2. 膜形状や鋼板との密着性において大きな差有り。
u
ポリアリルアミン:PAA-10C(日東紡績)
5%ポリアリルアミン水溶液
T
i/ポリマー官能基=1/30(モル比)
不溶化率=5∼10%(硬化温度=105℃×2hr)
u
ポリアクリルアミド:ホープロン520B(三井化学)
T
i/ポリマー官能基=1/30(モル比) 但し、溶液安定性に難
硬化条件同様:不溶化率=75%
表ー8 その他の水溶性樹脂の架橋
水溶性樹脂
(商品名)
EVOH
(ソアノール16DX)
メチルセルロース
(信越化学 SM-15)
ポリアリルアミン
(PAA-10C)
ポリアクリルアミド*)
(ホープロン520B)
チタン化合物
(Ti/官能基) 硬化条件
不溶化率
(%)
化合物A,C
105℃×2hr
(1/52)
50∼75
TC-400
(1/13)
TC-400、他
(1/30)
TC-310
(1/30)
水/IPA=1/1
∼90℃で測定
105℃×2hr
30
40℃×16hr
105℃×2hr
5∼10
105℃×5hr
73
*)すぐにゲル化し、溶液安定性に難
水溶性樹脂に対する架橋効果(まとめ)
Tiの架橋効果:PVA ≧ EVOH>PAA≧アミド>>アミン
1. チタンによる架橋は水酸基に対して最も効果
的:PVA、EVOH
• セルロースに対しては効果が小さい
2. カルボキシル基、アミド基に対しては硬化温度
およびチタン濃度の増加が必要。
アクリルアミドでは溶液安定性に難(ゲル化)
ポリアクリル酸(PAA)、ポリアクリルアミド
3. アミノ基に対してはチタン化合物による架橋は
困難
水溶性チタン化合物の架橋以外の利用
1. 金属・セラミックス基材との
接着(密着)剤
ス基材
または表面処理剤
u
金属またはセラミックスの表面の官能基との
反応を利用
2. 酸化チタン薄膜形成剤または光触媒原料
u
安定な水溶液の製造方法の特許は多いが、
本セミナーの主旨に反するので除外
3. 他金属との複合酸化物形成用原料
u
架橋剤のような助剤ではなく、上記同様除外
クロメートフリー皮膜への利用の可能性
表面処理鋼板への有機皮膜形成助剤として水溶性チタン
化合物は利用できるか?
n 亜鉛メッキ鋼板の化成処理の研究例
有機皮膜または有機無機複合被膜の形成(助)剤として
利用
Ø 耐食性防錆被膜形成剤 特開2002−285070
EVOH+乳酸チタン/水溶液
Ø 有機樹脂層と酸化チタン皮膜層 特開2004−52057
n アルミ基板上への皮膜形成
ポリアクリル酸と炭酸ジルコニルアンモニウム/水溶液
新規水溶性チタンの金属との密着性
EVOH皮膜と亜鉛メッキ鋼板の密着性
皮膜形成条件:5%EVOH+水/NPA(1/1重量比)
架橋剤としてチタン化合物を使用:Ti/OH=1/50
硬化条件:250℃×20sec 膜厚約1μm(推定)
[結果]
アルカノールアミン系キレート錯体に密着性の効果有り
EVOH
EVOH+Ti
試験片外観変化
ジンコートMO(パルテック)
沸騰水浸漬 30分
クロメートフリー皮膜への利用と展開
水溶性チタンによる可能性はあるか?
1. 沸水浸漬試験によりチタンの効果は明らか
2. 現在は予備試験の段階。最適樹脂とチタン
化合物の組み合わせの検討が必要
3. 新規チタン錯体への展開
チタン以外の水溶性有機金属
1. 有機ジルコニウムについて
u
u
チタン化合物同様にアルコキシ化合物は加水分解
性大
着色無く、安全性大
2. 水溶性Zr化合物の分類(表ー9)
基本的にチタン同様の安定化手法
u 無機系
u 有機系:有機酸塩
u キレート系:アルコキシZrとのキレート錯体
①ヒドロキシカルボン酸系:グリコール酸、乳酸
②アルカノールアミン系:トリエタノールアミン
3. 新規水溶性Zr化合物
表ー9 水溶性Zr化合物の分類
分類
製品名
組成/構造
性状
酸塩化ジルコニ
ウム
ZrOCl2・8H2O
白色針
状結晶
硫酸ジルコニル
ZrOSO4・nH2O
微緑色水
溶液
硝酸ジルコニル
ZrO(NO3 ) 2・4H2O
微緑色水
溶液
炭酸ジルコニル
アンモニウム
(NH4 ) 2ZrO(CO3 ) 2 微褐色水
溶液
有機系
酢酸ジルコニル
ZB−115
ZrO(CH3O2) 2
キレート系
ヒドロキシカルボ H 3ZrOH(O2 CCH2
O) 3
ン酸系
無機系
備考
微褐色水
溶液
固体、水
に微溶
塩基で水
溶性塩
新規水溶性Zr化合物
アミノカルボン酸系ジルコニウム
組成:ジルコニウム+アミノカルボン酸+アミン/
水溶液
無色微濁の安定な水溶液が得られる。
① 室温では3ヶ月以上外観変化および物性変化無し
② 溶液安定性はpH依存性あり
③ PVAの架橋剤として作用し、無色の膜が得られる
④ ZB-120*)+5%PVA水溶液
⇒60℃×2週間粘度変化無し(TC-310では、同条件下
で粘度上昇、ゲル化)
*)ZB-120:表ー10参照
水溶性Zr化合物による架橋反応
PVAの架橋(表ー10)
チタンと同様の方法で硬化、不溶化率を評価した。
1. チタン系に比較すると不溶化率小
2. 塩化ジルコニルはチタン系と同等の効果
但し、中性領域では安定性に難の為に適用性に制限
3. アミノカルボン酸系キレート錯体
ZB-120、 ZB-125、 ZB-126
表ー10 PVAの架橋
架橋剤
ZB-115
ZB-120
ZB-125
ZB-126
組成/構造
酢酸ジルコニル
Zr/アミノカルボン酸
Zr/アミノカルボン酸
Zr/アミノカルボン酸
塩化ジルコニル
炭酸ジルコニウムアンモニウム
TC-310 Ti/乳酸
グリオキザール
pH
3.5
4.0
1.5
3.0
1∼2
8∼9
1.0
不溶化率
10
15
13
40
10
40
0
5%PVA水溶液 架橋剤添加量:Zr/PVA官能基=1/67(モル比)。有機架橋剤/PVA=1/0.28(wt比)
硬化条件:40℃×16hr
不溶化率(%)
添加量の影響
80
70
60
50
40
30
20
10
0
標準添加量
Zr/PVA=0.34mmol/g
1/32(重量比)
ZB-120
ZB-115
TC-310
0.00
0.50
1.00
Zr/PVA(mmol/g)
1.50
硬 化 条 件:40℃×16hr
図ー4 有機ジルコニウム化合物の架橋効果
20
架 橋 剤:Zr/アミノカルボン酸系化合物
18
不溶化率(%)
16
14
2.8
12
10
8
3.8
2.8
3.3
4.1
酢酸ジルコニル
6
溶液性状
4
不安定領域
2
7
0
2.8
3.3
3.8
4.1
7
pH(25℃)
図ー5 Zr/キレート化合物のPVA架橋効果
∼pHの影響∼
水溶性チタン化合物および
水溶性金属化合物の将来展望
水溶性金属化合物:環境に優しく、安全性が高い
(1)架橋剤
ØPVA、PAA以外の水溶性樹脂への展開
Ø金属/無機基材との密着性付与
(2)金属、セラミックスおよび樹脂等の表面処理剤
または機能性付与剤
Ø各種媒体への分散性付与
Ø同種または異種基材間の接着
(3)酸化チタン形成剤
Ø改良された化合物の設計:使用目的に応じた
機能設計
Ø安定な水溶液の提供
(4)他金属との複合酸化物形成剤またはその原料
(5)水溶性Zr化合物の応用展開
Ø架橋剤としてはTiより低活性であるが、 無着色性の特徴あり。
Ø新規機能の開発