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第22回インターガルバ2009マドリッドに出席して
日本鉱業協会 鉛亜鉛需要開発センター 中島和隆
現地合弁企業への出向者1名を加えて3名,イタ
Ⅰ.はじめに
リアとドイツが各50名,スペイン45名,イギリス
インターガルバ国際会議は,溶融亜鉛めっきに
30名,フランスとブラジルが各22名,中国20名,
関する最近のプロセス技術,市場,市場を取り巻
ベルギー19名,アメリカ18名,オーストラリア12
く動向等の交流を目的とし,欧州亜鉛めっき協会
名,南アフリカとオランダが各11名,ポルトガル
(EGGA)が主催者となり,3年毎にヨーロッパ
とトルコが各10名,オーストリアとカナダ,イン
の各地で開催されており,今回は22回目であった。 ドネシアが各9名,メキシコとシンガポールが各
主な内容は講演発表と溶融亜鉛めっき工場の見学
8名,スイスとモロッコが各7名,スエーデンと
である。今回はスペインで開催され,マドリッド
アルゼンチンが各6名,ブルガリアとポーランド,
のメリア・カスティーヤホテルで3日間の会議と, コロンビアが各5名,チリとギリシャ,台湾が各
会議の前後にスペインの溶融亜鉛めっき工場見学
4名,インドとノルウエー,サウジアラビア,ア
の日程で行われた。これに加えて,各国から関係
ラブ首長国連邦が各3名,2名参加国としてはア
者一同が参加する良い機会なので,会議が始まる
ルジェリア,ブルネイ,キプロス,デンマーク,
前の日曜日に①アジア太平洋溶融亜鉛めっき協会
イスラエル,ヨルダン,マレーシアの7カ国,そ
(APGGA)の会議と②各国溶融亜鉛めっき協会
の他コスタリカ,チェコ,エクアドル,エストニ
と国際亜鉛協会(IZA)間の協議会の2件が開催
ア,ハンガリー,アイルランド,ペルー,ルーマ
された。
ニア,スロベニア,ベネズエラから各1名の参加
会議参加人数は合計で470名,これとは別に同
者があり合計51カ国と事務局(5名)になる。ま
伴者が84名であり,前回のナポリ会議の参加者(約
さに世界中から亜鉛めっき関係者が参集していた。
200名)の倍以上の出席者であった。日本からは
3日間の会議中には常時約300名が参加していた。
写真1:会議の議長団
鉛と亜鉛 第255号 2009年7月
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なお,会議では英語,スペイン語,フランス語,
イタリア語,ドイツ語に加えて中国語の6カ国語
の同時通訳が行われていた。
Ⅳ.会議の内容
欧州めっき協会会長(EGGA)の開会挨拶とス
ペイン産業省事務次官による歓迎挨拶の後,会議
会場のメリア・カスティーヤホテルは国際空港
に入り3日間に全部で45件の発表があり質疑応答
から約20分の距離で,マドリッドの中心部から地
が展開された。以下に主な発表件名と発表者及び
下鉄で15分ほどの北部に位置し,ホテルから歩い
内容を概説する。
て5分のところには有名なサッカーチームのレア
ル・マドリッドのホームスタジアムのエスタディ
6月9日(火)
オ・サンチアゴ・ベルナベウがあり,周囲はビジ
開会
ネス・金融街になっている。
1. 歓迎の辞
M Salvadores EGGA 会長& ATEG 議長
Ⅱ.日程
2. スペイン政府歓迎挨拶
6月6日(土):
T S Quintilla スペイン産業省事務次官
昼に成田発,ロンドン経由で夜にマドリッド到
3. 基調講演
着
(1)亜鉛の見通し
6月7日(日):
E Tamargo(Xstrata-Zinc)
APGGA の会議および各国めっき協会と IZA
エクストラータ(Xstrata)社は本社をツーグ(ス
間の協議会に参加,その後会議の出席登録
イス)に置き,世界最大の発電用石炭輸出企業で,
6月8日(月):
他の主要事業は非鉄金属開発,製錬,クロム・バ
溶融亜鉛メッキ工場(3工場)の見学,夜は歓
ナジウム合金,製錬技術である。主要関連会社と
迎会出席
し て は 大 き く Alloy( ク ロ ム や PGM な ど )・
6月9-11日:
Copper・Zinc・Coal・Nickel に 分 か れ, そ れ ぞ
会議(10日夜に EGGA 主催の晩餐会があった)
れ Xstrata の名を冠した傘下企業が生産を担って
6月12日(金):
いる。
亜鉛製錬所と溶融亜鉛めっき工場の見学予定し
積極的な買収による事業拡大で世界の資源三大
たが,主催者のミスにより中止
メジャー(BHP Billiton,Rio Tinto,Anglo Amer­
6月14日(日):
ican)に次ぐ成長を遂げる。北米,中南米,オー
午後マドリッドからロンドン経由で帰国の途へ
ストラリア,欧州など広域にわたって事業展開を
6月15日(月):
行い,18カ国で鉱山やプロジェクトを抱えている。
午後成田空港へ到着
スイスの商社グレンコア(Glencore)が筆頭株
Ⅲ.会議の出席登録(日本人出席者)
主となっており,Xstrata の株式の35%を所有し
ている。銅・鉛・亜鉛などのベースメタル部門で
6月7日に会議出席登録を行った。日本人の出
世界トップクラスの生産量を持つほか,ニッケル
席者は日本溶融亜鉛鍍金協会の前国際交流委員長
や白金(PGM など)といったレアメタル部門に
で現西日本支部長の㈱駒形亜鉛鍍金所の清川安成
も強い。
社長と奥様の素香様,スペインにある合弁会社の
エクストラータ亜鉛(Xstrata-Zinc)の事業は
Sanken Insertec Europe,S. A. に出向している
ヨーロッパではスペインの Asturiana で50万t/
三建産業㈱の三浦雄一郎氏および日本鉱業協会・
年,ドイツで15万t/年の亜鉛製錬,オーストラ
鉛亜鉛需要開発センターの中島の4名であった。
リアのクイーンズランド(Queensland)の Mount
内訳は会議参加者が3名,同伴者1名であった。
Isa で60万t/年の亜鉛精鉱,ノーサンテリトリー
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鉛と亜鉛 第255号 2009年7月
(Northern Territory) の McArther River Mine
で 30 万t/ 年 の 亜 鉛・ 鉛 塊 鉱, カ ナ ダ で は
Bruswick Mine で45万t/年,Perseverance Mine
で22万 t /年の亜鉛精鉱,Kidd Creek で22万t/
物の修理・回復などがある。
4. セッション1 世界の溶融亜鉛めっき業界の
動向
(1)ヨーロッパの溶融亜鉛めっき業界 年,NIF Valleyfield で27万t/年の亜鉛製錬,ペ
C Garcia(EGGA)
ルーの Antamina Mine で30万t/年の亜鉛精鉱を
EGGA はヨーロッパ各国の溶融亜鉛めっき協
生産している。
会の連合体である。傘下には650の溶融亜鉛めっ
エクストラータ亜鉛は2008年の亜鉛鉱石の生産
き工場があり,足元で約7百万t/年の鉄鋼構造
で,977千t(シェア8.5%)で世界一,亜鉛地金
物の処理を行っている。2008年の実績は前年度比
の生産で796千t(シェア6.9%)で世界第3位を
-2%で,イタリアとドイツで約50%占め,イギ
占めている。(2008年度の亜鉛鉱石の世界生産は
リス,スペイン,フランスが5大国である。需要
11,468千t/年,亜鉛地金は11,542千t/年)
分野は建設(44%)と道路関連鉄鋼構造物(18%)
亜鉛市場の見通し:
が重要で,ユーティリティーや農業分野が各8%
亜鉛の需要は世界経済に大きく依存している。
で続いている。成長要因は1)ビルと建設分野へ
用途は主に自動車と建設関係が多い。亜鉛の一次
の進出(コンクリートと塗装が競合),2)道路
消費分野は亜鉛めっきが50%で,伸銅18%,ダイ
関連分野の防衛,3)自動車分野などの成長があ
カスト合金13%である。
げられる。2009年の見通しはチェコやポーランド
2002年~2008年の原材料価格はたいへん強気で
などの東欧諸国では数%の成長,フランスやイタ
あった。その要因は1)世界経済の成長,2)中
リア,イギリスでは-2~5%,アイルランドや
国経済の構造変化,3)世界的な生産制限,4)
スペインでは-20%,北欧諸国では-10%で大き
投資者の増大などである。亜鉛価格の決定要因は
くばらついている。2010年には EU 全体の建設分
1)US $価格,2)産業生産量,3)LME 亜
野の回復が少しだが見込まれている。特に,住宅
鉛の在庫,4)投資ファンドの動向である。亜鉛
以外の都市開発やインフラ建設が4%程度の伸び
の長期的展望は中国やインドの消費が伸びると見
になる。EGGA の役割で販売促進が最も重要で
込まれるので,好調と判断する。
あり,その他では統計,IZA や鉄鋼産業との協力,
(2)ヨーロッパの鉄鋼構造物製造業について
鉄鋼製品のヨーロッパ規格の制定などである。ま
J Real Delriu ヨーロッパ鉄鋼構造物製造業協
た溶融亜鉛めっきはエコ市場を重視しており,
“溶
会(ECCS)会長
融亜鉛めっきと環境にやさしい建設”の冊子を
本協会はヨーロッパ23カ国で年間1,000万t の
EU 域内9カ国語で出版した。さらに“ヨーロッ
鉄鋼を加工し,22万人を雇用,110億ユーロ(約
パ溶融亜鉛めっき賞2009”も実施した。
1兆5000億円)の売上がある。
(2)スペインの溶融亜鉛めっき業界
本協会の目的は1)鉄鋼構造物の販売促進,2)
J Ruiz(ATEG)
設計・発注者への教育,3)ヨーロッパと国際的
スペインには46の溶融亜鉛めっき工場があり,
な同業者間の交流,4)ネットワークの展開であ
その中で34工場はスペイン溶融亜鉛めっき協会
り,本協会の活動は1)拡販活動,2)技術活動, (ATEG)の会員で,残り12工場が非会員である。
3)編集活動,4)ロビー活動である。
2008年の処理量は72万t/年で86%の稼働率であ
発表は活動内容を中心に説明し,主要な鉄鋼構造
る。需要分野はビル建設が29%,道路設備が30%,
物の製品である実際の橋やビルなどを紹介した。
ユーティリティーが21%で農業分野5%となって
また,長期展望としての調査項目は1)耐食性, いる。
2)断熱性,3)遮音性,4)防振性,5)耐震
性,6)高張力鋼使用の研究および古い鉄鋼構造
(3)ロシアの溶融亜鉛めっき業界
V Polkin(Zinc Development Center,
鉛と亜鉛 第255号 2009年7月
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Russia)
(5)中国の溶融亜鉛めっき業界 2008年のロシアの亜鉛の生産量は25万t/年で
Z Qifu(China Galvanizers Association)
消費は19万t/年,残りは輸出されている。
中国の国内 GDP は毎年8~12%の成長率で拡
消費の内訳は溶融亜鉛めっきがヨーロッパの45%
大している。2008年の粗鋼生産量は5億4000万t
に比較して60%を占め,ダイカスト向けがヨーロ
/年であった。一般溶融亜鉛めっきの発展に必要
ッパの20%に対して10%となっているのが特徴で
な亜鉛地金の消費は1999年の117万t が2008年に
ある,溶融亜鉛めっきの需要は増加しているが,
は401万t/年に増大した。今後も亜鉛生産は多額
他の分野はすべて減少している。溶融亜鉛めっき
の設備投資計画が予定されている。2006年の中国
の市場は2000年~2006年で3倍になった。なお,
の亜鉛消費のほぼ50%は溶融亜鉛めっきで残りは
塗装鋼板は同時期に10倍になっている。2007年の
アルカリ電池用亜鉛粉,酸化亜鉛,黄銅,ダイカ
溶融亜鉛めっき製品は200万t で塗装鋼板は100万t
ストの4分野が横並びである。2006年で溶融亜鉛
である。ロシアの溶融亜鉛めっき工場のめっき釜
めっき工場は935工場(2005年は827工場)で前年
のサイズで6m以下は歴史的に造船所に多く,そ
からの伸びは13%である。
れらは1960年代の末頃に建設された古い設備であ
一般溶融亜鉛めっき製品は国内のあらゆる産業
り,大量の溶融亜鉛めっき製造には役立たない。
で以下のような幅広い用途で使用される。1)輸
近代的な溶融亜鉛めっき工場は用途が送電線や電
送関係:35,000km の高速道路網の整備に260万
機産業などのために,めっき釜サイズが12~14m
tの溶融亜鉛めっき製品が必要,2)送電鉄塔や
で1990年代の末頃から建設され,モスクワやサン
通信鉄塔:送電鉄塔だけで6億t 以上の溶融亜鉛
クトペテルブルグ周辺に多い。今後の溶融亜鉛め
めっき鉄鋼構造物が必要,3)都市建設:都市住
っき市場は2014年のオリンピックやインフラ設備
宅の整備に4000億元,インフラ整備に3700億元投
の整備,輸送ネットワークの整備,ガスや石油輸
資する。4)鉄鋼製品:空港や発電所などに1.5
送,民生と産業向けの建設などが見込まれるので
兆元投資する。5)その他小物
成長する。
技術状況と技術進歩:
(4)南アメリカの溶融亜鉛めっき業界 技術課題1) めっき釜に亜鉛地金を溶かすとき
D Vela(LATIZA, Peru)(LATIZA:Latin
に600℃の温度まで上げたり,加熱燃料に石炭を
American Zinc Association)
使用するために900℃以上の温度にまで釜を加熱
ラテンアメリカ亜鉛協会(LATIZA)は2003年
する結果,釜寿命が短い。これに対して,ガス加
に設立され,9カ国(アルゼンチン,ブラジル,
熱による直接加熱法を採用し,温度制御もコンピ
中米,チリ,コロンビア,エクアドル,メキシコ, ュータを採用して対応する。
ペルー,ベネズエラ)で一般溶融亜鉛めっきの
技術課題2) 深いめっき釜の温度分布の制御が
152工場が所属している。全体の能力は135万t/
難しく,亜鉛ドロスの発生や加工品の表面仕上げ
年で2008年には84万t/年の生産(稼働率は62%)
が悪い。
を行った。新規に計画中の工場は11ヶ所ある。ま
技術課題3) コンクリート構造物の腐食問題。
た,ラテンアメリカには7ヶ所の亜鉛製錬所(ブ
これに対して,腐食環境が厳しい場所では溶融亜
ラジル,メキシコ,ペルーが各2ヶ所,アルゼン
鉛めっき鉄筋を使用してコンクリート構造物の腐
チン1ヶ所)があり,80万t/年の亜鉛を生産し
食を防止する。
ている。ラテンアメリカの亜鉛消費量は70万t/
技術課題4) めっき工場の環境問題。これに対
年で,分野別では一般溶融亜鉛めっきは17%,連
して,大気,水,固体廃棄物に関する公害防止法
続溶融亜鉛めっきは32%,亜鉛合金が20%,その
案を制定して対応している。
他が31%となっている。
技術課題5) 六価クロムの問題。これに対して,
三価クロム系とリン酸系およびナノメータのケイ
20
鉛と亜鉛 第255号 2009年7月
酸などの薬剤の使用に切り替えて対応する。
fired system)は FFS(flat flames system)より
中国溶融亜鉛めっき協会(CGA)の紹介:(省略)
悪い影響がある。
5. セッション2 プロセスの進歩
(2)硫酸を試薬としてピックリング廃塩酸に添
(1)溶融亜鉛めっきに使用するチェーンとワイ
ヤの研究結果
加して塩酸を回復させる新しい方法
E Moroni(Gimeco Srl,Italy)
T Langill(American Galvanizers Association,
ピックリング済の廃塩酸(HCl)に硫酸(H2SO4)
USA)
を添加して,溶解している Fe と Zn を硫酸鉄と
溶融亜鉛めっきに使用されるチェーンとワイヤ
硫酸亜鉛の固形物として取り除いてフリーの塩酸
の使用方法や条件の差異による劣化を調査した報
として復活させる新しい方法,下記の化学式の関
告。
係で塩酸を再生する。
(2)厳しい環境下でのバーコード使用
S Clemens(InfoSight Corporation,USA)
FeCl2+ H2SO4+7H2O = FeSO4・7H2O +2HCl
(3)独立した溶融亜鉛めっき協会の役割
溶融亜鉛めっきのトレーサビリティを確実にす
R Brooks(Duncan Galvanizing,USA)
るために,厳しい条件でも使用可能なセラミック
溶融亜鉛めっき協会という共同組織は各会員が
板上に CO2ガスレーザーでマーキングしたバーコ
生き残るのに必要な組織であり,全員で役割分担
ードを使用して管理する新技術提案。
して支えなければならないと述べている。
(3)溶 融亜鉛めっき工場での R&D&i マネジメ
ントシステムの導入と認証
(4)二重コーティング加工でのめっき厚と塗装
厚の同時測定
D Suaret(Apersa Spain)
J L Saenz-Diez(Fischer Instrument SA,
スペインの溶融亜鉛めっき工場に既存の品質
Spain)
(ISO9001)と環境(ISO14001)マネジメントシ
溶融亜鉛めっき被膜の上に塗装された材料はこ
ステムに加えて,R&D&i(UNE 166000:2006)
の膜厚測定機を使用すると一つのプローブで渦電
マネジメントシステムの導入が進められており,
流を流すことで測定できることを報告。
その認証取得状況の報告。
(5)溶融亜鉛めっき用の誘導炉
(4)タ ーボ タンク システム-動的なピック
リング槽
W Spitz(Induga Gmbh & Co. KG,Germany)
亜鉛のカソードや合金の溶解炉および保持炉な
R Belli(Specialities Srl,Italy)
どに誘導炉を使用するといろいろな面でメリット
溶融亜鉛めっきの酸洗ピックリング工程で酸に
浸漬させるだけの静的な槽の使用よりもターボタ
ンクを設けて酸を循環させた動的な使用方法の方
があると報告。
(6)標準的な溶融亜鉛めっき工程での水を使用
しないすすぎ
が表面平滑化効率が高く,溶融亜鉛めっきの耐食
Z Wende(Zhejiang Shengda Steel Tower Co.
性も向上したことの報告。
Ltd, China)
6. セッション3 めっき製品とサービス
溶融亜鉛めっきの水洗工程(Rinsing)を下記
(1)溶融亜鉛めっき産業における釜腐食の現状
の化学式で示すような水を使用しないプロセスで
M Ubiali(Zinco Service Srl,Italy)
対応した報告。
ZINCO はインターガルバ2006ナポリで KID 技
NH3・H2O + HCl = NH4Cl + H2OPH ↑
術を導入して以来,ヨーロッパとカナダ,アメリ
ZnCl2+2H2O = Zn(OH)
2↓+2HCl
カで220以上のめっき釜腐食を調査した。ここで
(7)バーチャルめっき工場
はその調査結果を報告している。データ分析の結
R Geiersberger(Ingenia Krantechnik Gmbh,
果,めっき釜腐食は釜サイズとは関係がなく,バ
Austria)
ーナーの炊き方が影響している。特に,EFS(end
架空の溶融亜鉛めっき工場を例にして,自動化
鉛と亜鉛 第255号 2009年7月
21
した設計のポイントや考え方を報告。
REACH は2006年にヨーロッパで化学物質の安
全 な 製 造 と 使 用 の た め に 規 制 が 制 定 さ れ た。
6月10日(水)
REACH の内容について解説し,REACH のコン
7. セッション4 環境管理と環境制御
プライアンスは理解しておくことが必要と報告。
(1)溶融亜鉛めっき工場における雨水利用
R Duxbury(Wedge Group Galvanizing Ltd.
UK)
8. セッション5 亜鉛浴の冶金学
(1)融亜鉛めっきにおける高アルミ合金のさら
なる展開
溶融亜鉛めっき工場の雨水を河川放流時の規制
N-Y Tang Y H Liu,G W Poag and W J van
値を満足させるために環境に配慮した対応を行っ
Ooij(Tech Cominco,Canada)
た内容について報告。
(2)HAl-Ga:Zn-0.05% Al 合金のバッチ式溶
(2)中国の溶融亜鉛めっき産業における環境負
荷を抑えためっき技術とそのベンチマーク
作り
融亜鉛めっき向けの新技術
M Memmi,U Bottanelli and M Cecchini
(Zimetal Srl, Italy)
Kong Gang(South China University of Tech­
nology,China)
(3)溶融亜鉛めっきでの既成合金の使用
Roger Pankert(New Boliden,Sweden)
溶融亜鉛めっきの処理量が500万t,めっき工場
(4)バッチ式溶融亜鉛めっきにおけるシリコン
の数が約900箇所の中国は世界で最大の溶融亜鉛
キ ル ド 鋼 の 反 応 性 へ の 銅 の 影 響 M N
め っ き 大 国 と な っ た。2007年 に IZA の 支 援 で
Avettand-Fenoel(University of Lille,
CGA が中国における溶融亜鉛めっきの現状をベ
France)
ンチマークとして調査した報告。ここでは溶融亜
鉛めっきの製品分野別解析,めっき工場の地域分
布,めっき工場の所有者形態,酸洗に使用する酸
の種類,めっき釜のサイズ別分類,めっき釜の寿
9. セッション6 鋼材と溶融亜鉛めっき
(1)溶融亜鉛めっき中における熱-機械反応の
実験とモデリング
D Balloy,A-C Cristol, C Niclaeys and P
命,めっき釜加熱燃料の種別,亜鉛ドロスの発生
Quaegebeur(Ecole Centrale de lille,France)
比率,廃水処理設備の有無や亜鉛フュームの処理
(2)溶融亜鉛めっき鋼構造物の割れを防ぐため
の有無などを報告している。そして溶融亜鉛めっ
き産業は大量の原材料とエネルギーを使用してい
る産業の一つであり,多くの環境問題を発生させ
の設計ガイドの改善
M Huckshold(Industrieverband Feueverzinken,
Germany)
ている。これからは進んだ技術を取り入れて環境
(3)締め金具メーカーにとって,トラス溶融亜
に配慮したクリーンな工場にすることが必要であ
鉛めっきによる穴によって影響を受ける
り,その対策を検討している。
RHS K-継ぎ部の静的強度
(3)亜 鉛浴の組成-技術・経済・環境の三面か
らの妥協点
C Lopes-Colina,M Serrano and J Jose del
Coz(University of Oviedo,Spain)and G
L Neel(Galvazinc Association,France)
溶融亜鉛めっきを行う浴組成は技術面・経済
面・環境面から総合的に検討することが必要と報
Iglesias(ICT,Spain)
(4)溶融亜鉛めっき中でのシリコン含有鉄合金
のコーテイング成長
告。実例として,フランスの自動車エンジンマウ
P Liberski, T Tatarek,H Kania and P
ンティングを取り上げ,そのめっき仕様に合わせ
Podolski(Department of Technology of Metal
て組成を検討した。
Alloys and Composites,Silensian Technical
(4)溶融亜鉛めっき産業と REACH の影響
University,Poland)
H Spaans,(Consultant,EGGA)
22
鉛と亜鉛 第255号 2009年7月
10. セッション7 ヨーロッパ溶融亜鉛めっき
賞とユニセフ活動報告
6月11日(木)
12. セッション8 溶融亜鉛めっき鉄筋
(1)ヨーロッパ溶融亜鉛めっき賞
(1)コンクリート構造中の溶融亜鉛めっき強化
ヨーロッパ10カ国からノミネートされた10件の
鉄筋のその場観察:スペインの経験 溶融亜鉛めっき加工した建築物を審査した結果,
M C Alonso(ICCET,Spain)
スペインの“漁民の波止場の倉庫”
(Fishermans’
溶融亜鉛めっきで補強された鉄筋構造物のその
Wharf Warehouse)が大賞を受賞した。なお,
場腐食観察は研究室の場合と同様に不動態化プロ
10カ国はスペイン,オーストリア,ベルギー,チ
セスによって鉄を保護する能力を証明した。しか
ェコ,フランス,ドイツ,イタリア,オランダ,
もそれはアルカリを想定した媒体ほど激しくなか
デンマークおよびイギリスである。
った。不動態下での溶融亜鉛めっき被膜のロスは
(2)ユ ニセフの“Zinc Save Kids”計画につい
て
コンクリート中では問題にならなかった。水素発
生期間はコンクリートを混ぜ合わせた後一日以内
途上国で40万人の小さな子供たちが亜鉛欠乏症
に終了することがその場観察で確認された。攻撃
で死亡している。
的な環境に曝されたコンクリート構造中の溶融亜
このため,ユニセフが主導して子供達に亜鉛とビ
鉛めっきで補強された鉄筋構造物の腐食反応
タミンAを与えるプロジェクトの紹介があった。
(Ecorr と Icorr)は溶融亜鉛めっき鉄筋の腐食を
このあとの出席者の晩餐会(Gala Event)で寄付
モニターするために埋め込まれたセンサーと非破
の依頼があった。
壊検査法の使用で追跡できる。溶融亜鉛めっき鉄
11. 公式晩餐会
筋中の塩化物境界値の精密な決定はこの保護方式
公式晩餐会はマドリッドの郊外に位置している
に関連した改善寿命を算出するのに必要である。
ビニュエラス城(Vinuelas Castle)でスペイン風
(2)溶融亜鉛めっき鉄筋を使用して橋を100年持
の野外パーティ形式で行われた。約400人が正装
たせるために
してこのパーティに出席して楽しんだ。日本から
F Presuel-Moreno(Florida Atlantic Univer­
出席者は4人と少なく寂しかったが,清川夫人が
sity,USA)and D Rourke(IZA)
ダンスタイムを常にリードし,主役の一人として
溶融亜鉛めっき鉄筋構造物の潜在的な長所は以
このパーティを盛り上げていただいた。
下の2点である。①亜鉛層の相対的な腐食抵抗は
腐食開始のための CT を結果的に高めること。②
部分的に暴露していったん腐食が始まった黒鉄筋
写真2:晩餐会の様子(1)
写真3:晩餐会の様子(2)
鉛と亜鉛 第255号 2009年7月
23
は隣接して残っている亜鉛が陰極防食で保護する
ほどではない。各試験グループで溶融亜鉛めっき
こと。これによって,新しい溶融亜鉛めっき鉄筋
後に機械的特性値に大きな変化が発生したわけで
のコンクリート構造物の設計,特に,溶融亜鉛め
はない。いくつかの試験グループでは溶融亜鉛め
っき鉄筋のコンクリート橋は現在75から100年の
っきの有無にかかわらず試験結果がかなり重なっ
寿命といわれている。溶融亜鉛めっき鉄筋は最近
ていた。伸びの関数として最も低い延性を示した
の解剖学的追跡調査の結果に基づくとクラックの
試料サンプル群は曲げ半径(例えば4d と6d)に
入ったコンクリート中の黒鉄筋以上の腐食抵抗を
よって導入された最大の冷間加工率をもつものと
持つ。亜硝酸カルシウムが存在するコンクリート
一致する傾向があった。しかし,この傾向はどん
中の溶融亜鉛めっき鉄筋は最近の解剖学的追跡調
なグループにおいても一致するわけではなかった。
査結果に基づくと黒鉄筋以上の腐食抵抗を持つ。
90°と180°曲げが延性を失う重要な効果を持って
溶融亜鉛めっき鉄筋と黒鉄筋の両方ともコンクリ
いるとは明確に言い切れない。どのくらいの冷間
ート中に飛灰やシリカヒュームが埋め込まれたと
加工率がひずみ時効破断を発生させるかという観
きに効果があった。試料にクラックがあるとき溶
点からいかなる勧告も行うことはできない。小さ
融亜鉛めっき鉄筋は黒鉄筋以上に腐食抵抗を示し
な曲げ半径(φ25mm 鉄筋で4d や6d)の場合の
た。溶融亜鉛めっき鉄筋にとって最高の状態は電
大きな冷間加工率は溶融亜鉛めっき後に延性を大
圧とマクロな電池電流を時間軸でプロットした二
きく損なう結果になりやすかったといういくつか
つの試験検体によって理解される。二つの解剖学
の証拠がある。しかし,この傾向は試験されたサ
的な試験検体は特異な腐食を示していたが,それ
ンプルグループ全体では普遍的ではなかった。
は黒鉄筋や溶融亜鉛めっき鉄筋よりも遅い腐食開
(4)圧縮応力を加えたテンドン鋼と接触した溶
始であった。
融亜鉛めっき強化鉄筋
(3)溶融亜鉛めっき鉄筋を脆弱にする曲げ半径
の影響
R Basseler(Bundesanstalt fur Material­
forschung unt Prufung,Germany)
G Wildridge(IMR Test Labs,USA)and D
溶融亜鉛めっき鉄筋のアルカリ液中とコンクリ
Rourke(IZA)
ート中での腐食特性の調査を①機械的荷重なしの
溶融亜鉛めっき鉄筋の特異な実施例において再
電気化学的試験と②陰極防食制御下での一定荷重
曲げ加工で脆性破断が観察されている。これはひ
試験を行った。試験の結果,亜鉛は pH=13.6の
ずみ時効脆性破断であり,一般溶融亜鉛めっき工
人工的な液体中では活性であった。pH=12.6の
程によって加速されていると考えられているので
Ca(OH)
2溶液中では亜鉛に安定的な保護膜はなか
調 査 研 究 を 行 っ た。 5 工 場 か ら 取 り 寄 せ た
った。pH=11.4の薄い Ca(OH)
2 溶液中では亜鉛
φ25mm の鉄筋サンプル(4種類は黒鉄筋材で1
は不動態域(保護膜)であった。鉄鋼と亜鉛の距
種類は事前溶融亜鉛めっき付材)を5種類の異な
離は分極効果にほとんど影響しなかった。鉄鋼と
る曲げ半径で90°と180°曲げを行い,再度直線に
亜鉛が5:1の面積比では鉄鋼からの水素発生の
戻した。その後,溶融亜鉛めっき工程が鋼材特性
危険があった。鉄鋼と亜鉛が10:1の面積比では
にどんな影響を与えるかを調べるために曲げ加工
鉄鋼からの水素発生の危険はなかった。亜鉛はコ
後溶融亜鉛メッキした。試験は引張試験と顕微鏡
ンクリート中で安定な酸化物層を形成している。
調査および破断面調査を実施した。この結果,す
24時間後の電位は Ag/AgCl 電極で-1000mV(水
べての試料グループは溶融亜鉛めっき後わずかな
素発生限界値)以上で安定であった。電位が増加
引張強度の増加と伸びの減少が観察された。しか
すると電流は減少した。クローズアップ領域で距
し,すべての引張試験サンプルの破断面は自然な
離の変化は分極には影響しなかった。圧縮応力の
延性破断であった。これはひずみ時効が発生して
ある鉄筋のクラックは陰極分極(水素発生の限界
いることを示しているが,脆性破断を生じさせる
状態)下では一定荷重試験で発生しなかった。
24
鉛と亜鉛 第255号 2009年7月
(5)溶融亜鉛めっき鉄筋のコンクリート中での
溶融亜鉛めっきについてライフサイクルを
初期腐食
考慮する提案 C M Hansson(University of Waterloo,
Canada)
F Goodwin(IZA)
(4)ある建築士の見解:溶融亜鉛めっきと持続
可能な建設物
(6)ヨーロッパでの溶融亜鉛めっき鉄筋専門業
者向けガイドの発行
G Pinera(Spain)
I Wesley(Atkins Global,UK)
閉会
溶融亜鉛めっき鉄筋は黒鉄筋の2倍の価格であ
15. 2010年の第8回 APGGC 会議・台北の招待
るが,ステンレス鋼の1/3~1/4である。
演説 また,エポキシン鉄筋は曲げ加工や取扱時の損傷
R Hsiao(Chairman of 2010 APGGC Organiz­
に課題がある。
ing Committee:Taiwan)
なお,台湾では溶融亜鉛めっきを規格化(台湾
16. インターガルバ2012・パリの招待演説
の JIS 化)済であり,台湾やシンガポールでは実
(France Galvazinc Association)
施例が多い。
17. 閉会の辞
13. セッション9 溶融亜鉛めっきの性能と応
M Salvadores(EGGA President)
用
(1)物流が限界状態にある場所での2件の溶融
亜鉛めっき製品の事例研究
R Wilmot(Hot Dip Galvanizers Association of
Southern Africa,South Africa)
(2)海洋環境下での溶融亜鉛めっき鋼材の性能
6月7日(日)
Ⅴ.アジア太平洋一般溶融亜鉛めっき協
会(APGGA)会議
アジアガルバ会議はインターガルバ2009の開催
E Pimental(Galvanizers Association of
前日に,メリア・カスティーヤホテルの会議室で
Australia, Australia)
オーストラリア,台湾,日本の理事国(今回,韓
(3)一般溶融亜鉛めっきの応用についての最新
の規格
国は不参加)に加え,中国,シンガポール,マレ
ーシア,ブルネイ,南アフリカおよび IZA の参
W Smith(Galvanizers Association,UK)
(4)アフリカのインフラ社会基盤への革新的な
溶融亜鉛めっき鋼構造物
加のもと,APGGA の会長でオーストラリアめっ
き協会会長の Bebb 氏が議長を務めて開催された。
以下に議題と合意内容を紹介する。
P A Coetzer(Structa,South Africa)
・議題1:前回2007年9月14日に北京で開催され
14. セッション10 溶融亜鉛めっき業と持続的
成長
た会議の議事録の確認がなされた。
・議題2:参加各国の現状説明(生産状況,技術
開発,主要市場の動向や将来展望な
(1)溶融亜鉛めっきした高速道路のガードレー
ルのライフサイクル評価的研究
ど)が各国代表からなされた。日本は
N Coleman and P Hodgson(Environment
状況説明資料を配布し,需要開発活動
Department,Corus RD&T,UK)and M Cook
や新しい分野への取組を説明するとと
(European Galvanizer’s Association,UK)
もに,各国との需要動向情報の相互交
(2)表面処理専門会社で持続的発展に寄与した
換についてお願い提案を行った。
ミクロな節約:炭素量評価と SQE 証明の取
・議題3:APGGA 事務局からの活動進捗報告
得
1) 第8回アジアガルバは2010年11月
S Vlahovic(Groupe GalvaUnion, France)
(3)IZA の“Zinc for Life Cycle Program”から
に台北で開催する。
2) 溶融亜鉛めっき事例集 CD の内容
鉛と亜鉛 第255号 2009年7月
25
説明について
では各産業が過去にないほど素早く生
産調整を行って減産になっている。日
3) APGGA のホームページの更新に
ついて
本からは新しい市場開発が重要で各国
・議題4:2013年の第9回アジアガルバにシンガ
と分野別の生産情報の交換の必要性を
ポールとブルネイ,マレーシアが共同
提案した。これに対して EGGA など
してシンガポールで開催することを提
はデータを持っているが,詳しいデー
案。4年後のことなので,事務局で意
タがない協会も多い。日本は個別の協
見を集約して検討することになった。
会に依頼して対応することの了解を得
・議題5:次回会議は2010年の台北で開催する。
Ⅵ.世界の溶融亜鉛めっき協会と IZA
の協議会 た。
・議題2:持続可能な市場開発について。EGGA
と IZA は共同でエコ市場開発を行っ
ており,EGGA のホームページに掲
アジアガルバ会議に引き続き同じ会議室で IZA
載すると共に環境ガイドブックをヨー
の Rourk 氏が議長を務めて世界各国の溶融亜鉛
ロッパの9カ国語で出版した。また,
めっき協会のメンバー28名が集まって協議会が開
IZA からは“Zinc for Life program”
催された。以下に議題と内容を紹介する。
の活動について紹介があった。
・議題1:世界市場についての主要な各地域から
・議題3:IZA から溶融亜鉛めっきを取り巻く
現状報告がなされた。発表はメキシコ
新技術動向調査について幅広い観点か
(南米),北米,ヨーロッパ,イギリス,
ら紹介があった。
オーストラリア,日本,南アフリカ,
中国の順番で行われた。2008年の世界
の一般溶融亜鉛めっきの亜鉛地金消費
量は150万t/年で,一般溶融亜鉛めっ
6月8日(月)
Ⅶ.工場見学
き(HDG)は2300万t/年である。特に,
この日は3グループの溶融亜鉛めっき工場の見
中国(350万t/年)とインド(70万t
学が計画されており,参加したグループ3の3工
/年)の伸びが大きい。しかし,足元
場の見学内容について報告する。
写真4:APGGA 会議出席メンバー
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鉛と亜鉛 第255号 2009年7月
(1)Instalaciones Pevafersa S. L.
前処理からめっき釜までがすべて密閉型で自動化
1997年に設立されたスペイン第2位の太陽電池
の進んだクリーンな工場をイメージできた。年間
パネルと発電設備のメーカーで2008年の売上は
生産量は15,000t ですべて社内消費対応である。
250億円,この3年間で販売した太陽電池の発電
(2)Galvanizaciones Castellana, S. A.
能力は240MW とこれからも発展が見込まれる企
2000年に建設されためっき釜サイズ4.0×2.0×
業である。現在,太陽追尾を備えた太陽電池設備
1.5m で自動車部品を中心にめっきを行っていた。
の鉄鋼構造物の専用溶融亜鉛めっき設備を今年の
工場内は自動車部品なので撮影は控えたが,めっ
9月完成目途に建設中であった。めっき釜サイズ
きラインは自動化の進んだ密閉タイプのクリーン
は12.5×1.8×2.3m であり,天井にモノレール
な工場であった。年間生産量は8,000t であった。
が敷設されておりワークはこの流れに沿って進み, 亜鉛原料としては,電気亜鉛と GALVA-5(Zn-
写真5:太陽電池パネル
写真6:草原の太陽電池発電
鉛と亜鉛 第255号 2009年7月
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写真7:めっき槽のカバー
写真8:めっき作業風景
5% Al ?)が積まれており,浴槽内で調整して使
2.0m の上部開放型で,めっき槽のみ上部をカバ
用していた。
ーで覆っていたが,工場内は汚れて雑然としてい
(3)Industrial Goñabe, S. A.
た。当日はパイプ類を中心に操業していた。工場
1980年に建設されためっき釜サイズ8.0×1.8×
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内のめっき槽と操業状況を写真に示す。
鉛と亜鉛 第255号 2009年7月