116KB - 北海道立教育研究所

Ⅱ
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教育情報通信ネットワークの概要
教育情報通信ネットワークの形成
(1) 情報化の進展と教育情報通信ネットワークの利用
現在,我が国の情報技術の発達はめざましく,コンピュータをはじめとする情報機器は小
型化され,高性能化,高機能化が急速に進んでいる。産業社会をはじめとするあらゆる分野
でコンピュータがインターネットやLANなどに接続され,ネットワークを形成している。
ブロードバンド回線を利用した高度情報通信ネットワークは,社会のあらゆる分野の情報化
を一層加速させている。
平成10年9月,中央教育審議会は「今後の地方教育行政の在り方について」を答申している。
この答申では,教育分野における全国的な情報網の整備の必要性について言及されている。
特に,「インターネットや衛星通信等を活用して,国,都道府県,市町村,学校,社会教育
施設等を相互に結ぶ情報網を整備し,情報伝達の迅速化・同報化を図ること」,「総合情報シ
ステムによる情報提供事業や情報教育において中心的な役割を果たす教職員の研修など研修
事業等の充実を図ること」などが示されている。
高度情報通信ネットワークが普及することにより,だれでも,いつでも,どこでもコンピ
ュータを利用し,情報を適切に収集して発信できる環境が整ってきている。学校においては,
コンピュータやインターネット等の情報手段を積極的に活用し,様々な課題解決に主体的に
対応できる「情報活用能力」の育成をねらいとした,情報教育を推進することが必要である。
学校におけるインターネット接続は,文部科学省の平成14年度の調査によると,全国で,
小学校が99.4%,中学校が99.8%,高等学校が99.9%に及んでいる。そのため,インターネ
ットに掲載される情報の利用方法や,インターネットや校内LANで構成される教育情報通
信ネットワークを活用する授業についての研究が必要になってくる。
(2) 教育用ネットワークの形成
学校教育の情報化に関して,情報化の進展に対応した初等中等教育における情報教育の推
進等に関する調査研究協力者会議では,平成10年8月に「情報化の進展に対応した教育環境
の実現に向けて」の最終報告をしている。この報告には,学校教育の情報化について,情報
教育の内容の充実,教育用コンピュータ・ソフトウェアの整備,学校の情報通信ネットワー
クの整備などについて提案されている。その後,平成10年12月に小学校及び中学校,平成11
年に高等学校の学習指導要領が改訂された。小・中・高等学校において共通して,学習指導
要領の「指導計画の作成に当たって配慮すべき事項」に,コンピュータや情報通信ネットワ
ークなどの活用についての項目があげられている。情報手段の活用については,小・中・高
等学校の校種毎に体系的で系統的な学習の指導計画を作成して当たることが重要になってい
る。学習指導用のソフトウェアと教育用コンテンツを活用した授業づくりを計画することに
よって,「わかる授業」の実現を支援することにあると考えられる。
指導する教職員は,授業実践のために使用する教育用ソフトウェアの利用方法と教育用コ
ンテンツの作成や,使用についての知識・技術について研修を進める必要がある。研修を通
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して教職員相互が情報交換するなどして,学校の情報化に参画しなければならない。全ての
教職員がコンピュータや情報通信ネットワークを利用でき,これらの情報手段と教育用コン
テンツを活用して授業実践が出来るようになることが重要である。
このようなことから北海道においては,教育情報通信ネットワークの重要性を捉えてスク
ールネットを形成し,運用に当たっているところである。スクールネットは,道立の高等学
校と特殊教育諸学校の297校を,北海道立教育研究所附属情報処理教育センター内に設置さ
れたデータセンターと光ファイバで相互に接続している。更に,道立学校の他,北海道立教
育研究所,北海道立理科教育センター,北海道立特殊教育センター,北海道立図書館が光フ
ァイバで接続されており,約17万人の児童生徒と教職員が利用できる広域なネットワークシ
ステムである。スクールネットのネットワーク経路の概略については,図Ⅱ−1のようにな
っている。
図Ⅱ−1
2
スクールネットのネットワーク経路の概略図
スクールネットの概要
(1) スクールネットのねらい
①
情報通信ネットワークを利用するための基礎・基本の育成
高度情報社会で生活するには,コンピュータの操作に慣れるとともに,ネットワークを利用
するマナーについても身に付けなければならない。特に,課題解決のために情報を収集し加
工することをはじめ,情報を適切に選択し発信することが必要となっている。
学校教育においては,情報活用能力を育成し,情報を収集し,分析し,発信するための基
礎・基本を身に付けさせることが重要である。コンピュータや情報通信ネットワークの安全
性については,ネットワークの仕組みや情報の保護についての学習を深めさせ ,「ユーザI
D」や「パスワード」の必要性について理解させることが大切になっている。各学校では,
教育用のネットワークであるスクールネットを利用して,ネットワークを利用するマナーや
著作権・肖像権に対する配慮,適切に情報を収集し分析し発信する知識・技術を身に付けさ
せることをねらいとしている。
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②
ITを活用した「わかる授業」に対する支援
日常的に使われている教科書や黒板,副読本などの教材・教具にとどまらず,児童生徒の
興味・関心や意欲を高め,理解を助けるためマルチメディア等を用いた教育用コンテンツを
適時に利用することは「わかる授業」の実現の一つの方法である。教職員が教育用コンテン
ツを作成するための基本を身に付け,授業をはじめとする教育活動で有効に教育用コンテン
ツを活用できる環境づくりをねらいとしている。
③
映像配信システムによる学校間連携や交流授業に対する支援
学校間で連携した活動や交流授業等を行う時には,学校間の移動や打ち合わせにかかわる
距離的,時間的な問題が大きな障害となっている。映像を中心としたマルチメディア情報を
双方向で同時に活用できる環境を整えることで距離や時間にとらわれることなく,円滑に学
校間連携や交流が可能となることをねらいとしている。
④
インターネット接続の高速化
道立学校のインターネット接続は,平成10年度から年次計画によって進められた。インタ
ーネット接続は,学校が独自にインターネットサービスプロバイダと契約するものであり,
使用した通信回線は,ISDN回線のINS64の通信速度であった。INS64の回線は,学
校のコンピュータ教室から,5∼10台程度のコンピュータがインターネットを利用できる程
度の通信速度であった。
コンピュータ教室や校内LANのコンピュータから,インターネットの情報を活用するに
は,光ファイバによる高速の通信回線を必要とした。生徒が自由にいつでもインターネット
を利用できるように,通信回線の速度を2∼3Mbpsとした。
⑤
インターネット接続の安全性の確保
インターネット接続には,不正アクセスやコンピュータウィルスへの対策を講じて,ネッ
トワークの安全性と信頼性を保つことが必要である。この対策には,コンピュータウィルス
対策ソフトウェアの導入やウィルス定義ファイルの更新,有害情報のフィルタリングなどが
ある。これらの対策は日々の更新や確認が必要であり,全てのコンピュータが対象であるた
め,学校個々で行うことはたいへん負担が大きくなる。スクールネットは各道立学校のイン
ターネット接続を一元的に管理することで,これらの対策を一括して行うことにした。その
結果,スクールネットの運用によって,各学校のネットワーク運用に関する負担は大幅に減
少している。
(2) スクールネットの特徴
①
通信速度の高速化と伝送容量の増加
道立学校で用いられたISDN回線と比べ,光ファイバを利用することで約30倍の通信速
度となった。これにより,コンピュータ教室にある,複数のコンピュータから同時にインタ
ーネットへ接続することが可能となった。また,映像などの大容量のマルチメディア情報の
送受信ができる。
②
遠距離学校の交流
鮮明な映像配信,ビデオ会議システムを用いた映像・音声の双方向通信,メッセンジャー
等を用いた資料共有などが可能である。スクールネットの各種の映像の機能を利用した,画
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像・音声を用いた双方向での遠距離学校間での情報交流ができる。
③
教員のIT活用支援
教員のIT活用を支援するために,教育用コンテンツを検索して,時に求めに応じて検証
することができる。これを利用して,簡単に画像やマルチメディア映像等の教育用ディジタ
ルコンテンツを活用した授業を実践することができる。
また,教員間で教育実践事例等を共有できるように,電子会議や電子メールを用いたコミ
ュニケーションに利用できる。
④
映像によるコミュニケーション機能の充実
映像を中心とするコミュニケーション機能の充実を図っている。例えば,Webカメラを
通じたビデオチャット,メッセンジャー,オンライン研修などの機能である。スクールネッ
トに接続している全てのコンピュータから,これらの映像によるコミュニケーション機能を
利用することができる。
⑤
有害・違法情報の排除
スクールネットとインターネットとの接点をデータセンターに一元化している。このこと
によって,学校のネットワーク管理者の負担を軽減している。例えば,有害情報の遮断,コ
ンピュータウィルスの遮断などはデータセンターが行い,学校に安全で快適なネットワーク
学習環境を提供している。
⑥
個別化されたポータルサイトの初期画面
ポータルサイトとは,スクールネットが提供する各種の機能を利用するための出入り口で
ある。このポータルサイトは,スクールネットを利用する児童生徒,教職員毎に個別化され,
各自で機能を選択できるようになっている。
ポータルサイトの初期画面は,画面の左側に主な機能が表示されており,図Ⅱ−2のよう
になっている。
図Ⅱ−2
スクールネットのポータルサイトの初期画面
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(3) ポータルサイトの機能
①
電子メール
道立学校の全児童生徒,教職員のID,パスワード,メールアカウントを発行している。
学校の情報モラル指導の実態などを考慮し,児童生徒のメールの利用については,学校毎に
「全面禁止 」,「在学校内のみ可能 」,「教育情報通信ネットワークのみ可能 」,「制限なし」の
中から選択して運用することができる。
②
コミュニケーション
文字情報によるコミュニケーションができる機能である。コミュニケーションの機能には,
チャット,電子掲示板及び電子会議がある。
③
ビデオコミュニケーション
映像を伴ったコミュニケーションができる機能である。ビデオコミュニケーションの機能
には,ビデオチャット,メッセンジャー及びビデオ会議がある。
④
学校用教材検索
登録されている教育用コンテンツの検索ができ,必要に応じてダウンロード機能を利用し
て利用者に提供できる。道立学校の教員が作成した教育用コンテンツを登録できる機能も備
えている。
⑤
図書・資料検索
北海道立図書館,北海道立教育研究所,北海道立特殊教育センターの蔵書情報を検索でき
るようになっている。
⑥
研修
学校などで行われる研修に利用できる,映像配信の機能である。この機能には,オンライ
ン研修とライブ講義がある。加えて,オンデマインド配信ができるビデオライブラリの機能
がある。
⑦
オンライン授業
映像配信の機能を利用して,本会場の授業を,3箇所の副会場にリアルタイムで配信し,
利用できる機能である。
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