日 本 特 集 - Fastener World Inc.

業界メーカーニュース
☆春雨、鉄道用ファスナー
市場に参入
春雨工廠股份有限公司は台湾で最
も歴史のあるファスナーメーカーであり、
製品の種類も最も多い。現在生産してい
るボルト、ナット、タッピングねじ、炭素鋼、合金鋼ワイヤー
は、品質も機能も内外の顧客から信頼されており、高密度に
展開されたグローバル販売ネットワークを通して、アジア、アメ
リカ大陸、欧州における60以上の国に輸出している。
創設から60年あまりで、一貫作業の品質保証制度を確立
しており、ISO 14001環境マネジメントシステム、ISO/TS16949
自動車産業向け品質マネジメントシステム、AS-9100航空宇宙
産業向け品質マネジメントシステムといった認証を取得し、EU
建設資材指令、日本JISマークの二品目(1176六角穴付きボル
ト、1180六角ボルト)にも準拠している。
春雨は、台湾で最初に国際鉄道産業標準(IRIS)の認証
を取得した会社であり、台湾西部の鉄道高速化にともなうレ
ール敷設による需要発生、及び将来におけるレール関連のキ
ーパーツ国産化や高度の安全性確保といった流れに対応し
て、経済部工業局金属製品産業レベルアップ計画を通して指
導を受けており、ボルト製造だけでなく、アライアンス企業と
の提携により、ゆるみ止めワッシャーを開発したり、国内の他
のメーカーが生産した部品を用いて新型のゆるみ止め防止フ
ァスナーを製作している。しかも、品質はいずれも台湾の鉄道
及び外国の鉄道機構の規格に適合しており、台湾鉄道高速化
によるレール用締め付け具供給チェーンの一角を担う望みが
ある一方で、将来は国際的なレール用ファスナー市場に食い込
めるチャンスもでてくるだろう。
☆EU、中国産鉄鋼ファスナーに対する
反ダンピング税措置5年延長
3月27日におけるEU当局は、一年あまりの反ダンピング再
調査を経て、中国から輸入された、及びマレーシアを経由して
輸入された中国産鉄鋼ファスナーに対する反ダンピング税を5
年間延長する、と発表した。3月28日から発効する。
欧州委員会の調査によると、中国産ファスナーは依然とし
てEU市場内において低価格でダンピングされており、EUの地
元メーカーに実質的な損害を与えていることから、同税として
は最大の74.1%の課税を継続する、と決議された。課税対象と
なる品目のCNコードは、7318 12 90、 7318 14 91、 7318 14
99、 7318 15 59、 7318 15 69、 7318 15 81、 7318 15 89、
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まとめ:ファスナー世界雑誌
(Fastener World Inc.)
ex 7318 15 90、 ex 7318 21 00、ex 7318 22 00、である。マレ
ーシア経由で輸出されたファスナー(マレーシア産と標記され
ているか否かを問わない)の一部(TARICコード:7318 15 90
21、 7318 15 90 29、 7318 15 90 71、 7318 15 90 79、 7318
15 90 91、 7318 15 90 98、 7318 21 00 31、 7318 21 00 39、
7318 21 00 95、 7318 21 00 98、 7318 22 00 31、 7318 22
00 39、 7318 22 00 95、7318 22 00 98)も課税対象となる。
調査を受けたり、調査に自主的に参加した一部の業者を
除き、他の業者(マレーシア企業9社、Acku Metal Industries
(M) Sdn. Bhd、Chin Well Fasteners Company Sdn. Bhd、
Jinfast Industries Sdn. Bhd、Power Steel and Electroplating
Sdn. Bhd、Sofasco Industries (M) Sdn. Bhd、Tigges Fastener
Technology (M) Sdn. Bhd、TI Metal Forgings Sdn. Bhd、
United Bolt and Nut Sdn. Bhd、Andfast Malaysia Sdn. Bhd.、
は除く)に対しては、いずれも74.1%の税が課される。
低い税率を適用される業者が欧州に輸出するときは、EU
加盟国税関に対して有効なインボイスを提出しなければなら
ず、それができなければ74.1%の税率が適用される。
☆南美特「ファスナー
用ナノセラミック塗膜技
術」が中小企業イノベー
ション賞受賞
南美特科技のナノ材料部門は、ファスナー専門のナノセラ
ミック材開発に前向きに取り組み、新しい「ファスナー用ナノセ
ラミック塗膜技術」の改良を重ねており、そのことにより第15
回中小企業イノベーション賞を受賞した。この技術は、RoHS
規定の使用禁止有害物質が含まれていないことがSGSによっ
て確認されている。その一方で、世界初のナノセラミック塗膜
に色を添加する技術を考案しており、将来は台湾製ファスナー
業界全体の生産額を百億元台に載せ、台湾を高付加価値ファ
スナー輸出国とすることに貢献したいと考えている。
この技術は、表面電気メッキ、ナノセラミック材開発、ナノ
セラミックを金属の表面に塗膜する技術を含み、高性能ファス
ナー製品の表面処理に応用できる。環境への負荷が小さく、
高性能、製造コストも低く、ファスナー表面処理に大きな変革
をもたらすと見られている。
南美特ナノ材料部長は、ナノセラミック塗膜は電気メッキ
ねじの性能を大幅に向上させる、と言う。0.5~3μmのナノセ
ラミック塗膜は、防食性が六価クロムや三価クロムの数倍、或
いは数十倍あり、ファスナーの応用範囲を広げられるととも
に、自動車、宇宙航空機、機具の寿命を延ばすこともできるそ
うだ。
それに、ナノセラミック材を使えば、有害な六価クロムを
使う必要がなくなるし、環境に比較的やさしい三価クロムメッ
キの製造工程に較べると、廃材が少ない。塗膜工程後は水洗
いも不要で、従来の製造工程に較べて、いくつかの作業を省く
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ことができる。しかも性能も大幅に向
上するし、薄い電気メッキよりも高性能
で、生産コストと原材料コストの両方を
ダウンできるので一挙両得だ。
は800トン/月で、売上げの約16%を占めており、すべて自動車
産業向けだ。
ねじが今後の生産拡大の中心となる。ナットは継続して
南美特では将来、この事業を統合
し、台湾で唯一、電気メッキとナノ材料生産ができ、ねじの製
造から電気メッキ、ナノセラミック塗膜まで一貫してできるメ
ーカーになり、ナノ技術のプラントを輸出できるようにしたい
と考えている。
自動車メーカーに出荷し続けるとともに、現行のねじ工場をフ
ル稼働し、今年4月にねじ一期工場が生産を開始すれば、月間
生産能力は800トンから1,200トンに増える。金型の営業収入
は現在4,000万~5,000万元で、一部は自社向け、ほとんどが対
外販売用、新工場が操業すれば生産能力は倍になり、顧客の
需要増にともない、毎年500万から600万元の売上げを見込め
☆英国RotaBolt、世界初のボルト接合部
状態無線リモート監視システムを発表
☆ 世徳、加工区への進出を許可される
これは、ボルト接合部の状態を
無線リモート監視できる世界初のシス
テムであり、英国RotaBoltのエンジニ
アJames WalkerとTransmission Dynamics社が共同開発した。使用中の
ボルト張力を連続監視して無線で情
報を送るシステムであり、
「張力降下警
報」を管理スタッフに電子メールやショートメッセージで知ら
せることができる。所在地や動作環境の関係で状況を把握し
にくい場合、キーとなるボルト接合部のメンテナンスに革命的
な変化をもたらす。
RotaBolt-TDシステムのボルトは、いずれも超小型デバイ
スとトランスミッターを備えており、データを無線でレシーバ
ーに送り、レシーバーは複数のボルトからの情報を収集して、
ネットやGSM経由でサーバーに報告する。
5年の研究を経て、このシステムはボルト張力を連続監視
して報告を作成することが可能になった。ボルト張力が設定
済みの最低レベルまで降下したときにはアラームを発するこ
とができ、世界各地の管理スタッフまで電子メールやショート
メッセージで知らせる。それぞれのボルトは、5年間連続動作
できる小型の円形電池を内蔵している。
☆三星今年の売上高は一
割以上増、新工場生産
スタート
世界最大の自動車用ナットメーカ
ー三星(5007)は、ねじ一期工場、金型新工場が、今年4月、5
月に次々と生産を開始し、ねじ月間生産能力は5割増、金型の
月間生産能力は2倍になり、今年の業績を押し上げそうだ。欧
米の長期休暇が終わり、今年第一四半期は営業収入も成長軌
道に乗り、法人の予測では、第三四半期まで順調に伸びて、年
間通しての売上高は昨年の一割以上増となる見込みで、これ
にともなって収益も伸びるだろう。
現在、ナットの生産能力は約4,500~5,000トン/月、売上
げ全体の6割を占める。ねじは、マレーシアと台湾に工場があ
り、マレーシア工場の生産能力は500~600トン/月、台湾工場
るという。
世徳工業股份有限公司は6億元を投資して台湾南部の屏
東園区に進出し、ねじ、ナット、ビス、リベットなどのファスナ
ー、及び自動車パーツの半製品加工に従事する。世徳の生産
するファスナーは自動車産業にとって重要な部品のひとつであ
る。一台の車に平均で2,000個以上のねじやナットが、エンジ
ン、サスペンション、ボディ、内装といった場所に使用されてお
り、自動車産業のファスナー需要は膨大なものがある。
同社によると、台湾製ファスナーは主に米国、中国、日
本、ドイツを市場としており、今後は東南アジア市場に展開す
るとともに、研究開発費を増やして、新しい製造工程や高付加
価値の新製品を開発して、製品の多様化、技術レベルの向上
に努め、シェアを広げたい所存だ。
☆ 大手自動車メーカーから高く評価され
る恒耀の自動車用ファスナー
恒 耀工業は友
信国際(8349)と提
携し、
「自動車用ファ
スナー」市場で強い競争力を発揮している。その製品は欧米、
中国の自動車メーカーに出荷されており、この二年間は中国
の自動車産業の成長と部品国産化政策に呼応して、軸足を欧
米から中国に移しており、廈門と蘇州に製造基地を設け、一貫
生産技術と設備を揃え、酸洗、球形化、伸線、冷間加工、熱鍛
造、転造、二次加工、熱処理、電気メッキ、塗装、分検、梱包と
いう全製造工程を把握し、大幅なコストダウンを実現した。
友信国際の副社長によると、恒耀グループは多くの自動
車メーカーや部品工場から供給の認証を取得しており、これ
には、上海大衆汽車、上海GM汽車、東風日産汽車、フォード
Q1、TRW及びBenteler(シャーシ供給業者)、Dana(世界最大
の動力伝達シャフト及びアクスル供給業者)などが含まれてお
り、2013年にはフォルクスワーゲン(VW社)ドイツ本社から
10.9クラス以上の認証を取得している。この認証があれば、全
世界のVW社組立工場に出荷が可能だ。アジアのファスナーメ
ーカーで、VW本社からTier 1以上サプライヤーに指定された
のは恒耀グループのみであり、このことは同社がVW社傘下の
11ブランド(Volkswagen、Audi、Skoda、Porscheなど)にアク
セスできる”入場券”を獲得したことを意味する。