中学生 レーザと光の不思議 担当者: 協力学生: 場所: 香川直己 4名 工学部 3 号館 1 階エネルギー系学生実習室 概要 人工的につくられたレーザの光は純粋な光の性質を持っている。従って、私たちの身の回りで はあまり実感することができない不思議な光の現象を比較的容易に実現することができる。そこ で、この講義ではレーザとレーザ光線の性質の解説と、レーザ光線を使った光の不思議な性質を 体験できる実験項目を通じて、光の性質の発見と理解を図った。 第 1 回 Science Lab 参加中学生と実施担当者 - 9 - 学習内容 (1)実験準備 容易にレーザ光線を発射でき、かつ、比較的安 全であるレーザポインタを実験装置として使用 し、一連の光学実験を行った。実験に先立ち、レ ーザ光線を安全に扱い、特に目に対する安全を確 図2 保するための注意事項をレーザによる視覚障害 光の直進性の実験の様子 の例を交えて説明した。実験に使用した器具を図 徐々に回転させて、光の軌跡の変化を観察しても 1 に示す。実験においては、レーザポインタは机 らった。次に、ある角度にプラスチックケースを 上に固定させ、実験者が自由に動かせないように 固定し、プラスチックケースへの入射光線の軌跡 すると共に、目の付近への光線の照射がないよう と出射光線の軌跡を方眼紙上に描き写した後に、 に実験中は着席をさせないように配慮した。 それらの角度を分度器を用いて測り、入射と反射、 プラスチック レーザポインタ ケース 白色板 方眼紙 スリット 図1 水を張ったプラスティックケースを白い板 の上に置いて、その角度を少しずつ変えてみ ましょう。 ケースに入ろうとするレーザの光はどのよ うになりますか? ケースから出ようとする光はどのようにな りますか? 分度器を使って様々な光の角度の関係を調 べてみましょう。 偏光子(板) 実験器具 (2)光の直進性の実験 図3 実験項目の最初として、図 1 に示す白色板の表 面に沿ってレーザ光線を照射し、その直進性を実 感してもらった。レーザポインタの扱いに慣れて もらうことも兼ねた極めて単純な実験であった が、糸の如く延びるレーザの軌跡に歓声が上がっ ていたが、レーザの危険性を肌で感じた生徒もい 光の反射と屈折の実験の項目 入射と屈折の角度の関係を調べてもらった。更に、 屈折率の高い媒質(水)から低い媒質(空気)へ 光が透過する場合に生じる全反射について、ケー ス内から空気中に光線が斜めに出射する光線に 注目し、全反射の条件の定性的な理解を促した。 たようである。実験の様子を図 2 に示す。 (3)光の反射と屈折の実験 次に、光の反射と屈折の実験を行った。まず、 生徒には図 3 に示すような実験指示を与えた。実 験は先の実験で使用した白色板の上に方眼紙を 敷き、更にその上に水を張ったプラスチックケー スを置き、そこにレーザ光線を照射しながら、 図4 - 10 - 反射と屈折の実験の様子 (4)偏光の実験 一連の観察に併せて、ミツバチの目には偏光子が 次に偏光の実験を行った。この項目における実 験の指示は図 5 に示すように行った。実験項目の あり、この現象を利用して方角を検出しているこ とも話した。興味を感じてくれたようである。 順序は確定させていなかったが、ここまで行った 再び、室内に戻り、同じく偏光に関する実験と 暗い室内での実験に多少疲労を感じつつある様 して、鍋の中の月を消すマジックに挑戦してもら 子であったので、最初に気分転換も兼ねて、屋外 った。これは、反射光のブリュースター角に関す で偏光の観察を行うことにした。 る実験であるが、このことについては特に詳しく 触れず、まずは、図 5 に示すように月に見立てた 偏光子を回しながら 白熱灯の光をなべに張った水面に映し、これを前 ・ 青 空を 見た らど うな るでしょうか? ・ 液 晶パ ネル を見 たら どうなるでしょう か? ・ な べに 映っ た電 球を 見 たら どう なる でし ょうか? 面から偏光子を通して見ながら偏光子をゆっく りと回転させてもらった。はじめは、上手く見え なかった生徒もいたが、立ち位置などを工夫する ことにより、やがて全員が水面に写る白熱灯の影 を消し去ることに成功し、驚きを感じてくれたよ 図5 うである。実験の様子を図 7 に示す。 偏光実験の項目 青空は太陽光の大気分子による散乱現象であ るが、その光は気体の持つ電子の振動方向に依存 して南北方向に偏光(電界の方向に偏りが生じ る)している。このことを偏光子(板)と呼ばれ る特殊なフィルムを用いて観察してもらった。偏 光子は一定の電界方向を持った光だけを透過す る性質があるため、それを回転させることにより、 偏光状態にある光を透過したり、遮断したりする 図7 ことができる。さて、偏光子を通して青空を見な がら、偏光子を回転させてもらった。全員が回転 に併せて青空がはっきり見えたり、暗くなったり する様子を観察することができた。(図 6)この 水面の月を消す実験 この実験の最後として実験室前方にある大型 液晶プロジェクターの画面を偏光子を通して覗 いてもらった。先ほどまでの実験と同様に偏光子 を回転することで、偏光子を通してみた画面が見 えたり、真っ黒くなって見えなくなったりする様 子を観察してもらい、液晶ディスプレイの濃淡が 偏光作用により作られていることを説明した。 (5)光の回折の実験 実験の最後として、図 8 に示すような様々なス リットによる光の回折の実験を行った。まず、ナ イフエッジと呼ばれるスリットを介してレーザ 図6 偏光子を通した青空の観察 光線を部分的に隠した場合、離れた場所にあるス - 11 - クリーンにどのような形の光が写るかを予想し てもらった後で、実際に実験を行った。 この実験結果を根拠として、星を☆の形に描く 理由について講師の見解を含めて説明したとこ 図 9 に示すように、生徒の予想に反して、ナイ フエッジと直交する方向に輝線が延びることを ろ、興味深く受け取ってもらえたようであった。 (6)光の作用と応用に関する解説 順番は前後するが、一連の実験の合間を利用し 確認してもらった後に、これが光の回折現象であ て、レーザ光線の応用について解説した。今回の ることを説明した。 その後、様々な種類の一次元スリットや二次元 実験では、レーザと光の基本特性を体験学習して スリット(格子)を透過させたレーザ光をスクリ もらったが、その性質を利用した様々な応用作用 があることを説明することを目的とした。 なぜ、星は☆なんでしょうか? 光の進む道を邪魔して考えてみましょう。 ・ 離れた所にあるスクリーンにはどんな形が 映るでしょうか? ・ 格子(グリッド)だとどんな形が映りました か? ・ 髪の毛などはどうでしょうか? ・ では、なぜ星は☆と描くのだと思いますか? 図 10 図 8 図9 光学計測(レーザレーダ)の解説 スリットと回折実験の項目 ナイフエッジによる回折 図 11 光圧に関する研究成果の解説 ーンに投影してもらい、スクリーン上のビームス いくつかある応用のうち、講師の研究テーマで ポットがスリットの形状によって様々な形にな あるレーザを用いた光学計測と光の持つ力(光 ることを楽しんでもらった。 圧)に関する研究成果をパワーポイントとビデオ この実験項目の最後として、林立する細い毛の を使って紹介した。 ようなものをスリットとした場合にどの様なビ 光学計測については、レーザレーダを紹介し ームパターンになるかを見てもらうために、講師 (図 10)、光圧については、光ファイバから出射 の腕を使って実演して見せた。熊に見まがう決し されるレーザ光線で構成した三角形の経路に沿 て美しくない講師の腕の毛を介したレーザ光線 って数ミクロンの微小球が巡回運動する様子を が、スクリーン上に星を連想させる煌びやかな光 ビデオで紹介した(図 11) 。 輝を描く様子が大変面白く感じたようであった。 - 12 - (7)中学生からよせられた質問 質問 1:レーザ光線は、どうして普通の光よりも強い光を発するのか知り たい。また、赤色のレーザーと緑色のレーザーの違いやレーザー光線の色 のしくみについて教えてください。 回答:授業の最初にもお話いたしましたが、もう一度、レーザ光線の正体を簡単に説明しましょう。 レーザは”LASER”と書かれます。これは、Light Amplification by Stimulated Emission of Radiation の頭文字をとった造語で日本語では、 「誘導放出による光増幅」と訳されます。今では、レーザと言え ば、レーザの光あるいは、レーザ光を発生する装置を指すようにもなったのですが、本来は、レーザ 光線を発生させる物理現象そのものを表す言葉なのです。レーザの原理を説明するためには、この「誘 導放出による光増幅」のお話する必要があります。 もし、皆さんが何かにつけてガミガミいわれ続けたらどうですか? まってきますよね。では、そんな時、どうします? イライラして、ストレスが溜 スポーツをしたり、歌を歌ったり、友達と騒い だりしてストレスを発散しませんか。やけ食いする人もいるかな・・・? さて、実は、私たちが目で感じている光は、物質を構成している原子とか分子のストレスの発散が 源といえるのです。原子も、分子もじっとしているわけではなくて、ある固有のエネルギーを持って います。これを基底状態といいます。丁度、私たちが基礎体温を持っていたり、リラックスした精神 状態があるのと一緒です。しかし、落ち着いている原子や分子を熱や強い光、あるいは、電気にさら すと、それらのエネルギーが高い状態になります。これを励起状態とよびます。そう、私たちが、ガ ミガミ言われてムカーッとして頭に血が上ったり、体温が上がったりした状態だと思ってください。 高いエネルギーを持った、つまり励起状態になった、原子や分子は、光や熱を放出して元の基底状 態、つまり、落ち着いた状態に戻ろうとします。いわゆる、ストレスの発散です。ところが、私たち のストレスの発散方法に千差万別があるように、原子や、分子もその種類によって発散の種類が異な ってきます。それは光の色の違いとなって現れてきます。これが「自然放出」といわれる、基本的な 発光の原理です。 自然界には、いろいろな物質がありますから、自然界では様々な色の光が無秩序に放出されている わけなのです。懐中電灯の光も自然放出による発光です。 そこで、今度は同じ色を出す原子や分子ばかりを集めて、鏡で挟まれた箱の中に閉じ込めます。そ して、エネルギーが高い状態(励起状態)にしておきます。この時、ある刺激を外から与えてやると、 連鎖反応で同時に同じ色の光を放出するということが起きます。皆さんも、一生懸命に笑いをこらえ ていたのに、誰かがクスッと吹き出したことがきっかけで笑いが堪えられなくなってしまったという 経験はありませんか?例えばそんな感じです。これがレーザの語源にもありました誘導放出と言う現 象で、レーザの発光の源になっています。 出てきたこの光を鏡で繰り返し反射させると、その光が刺激になってまた光が出ます。その光は 前に出た光と一緒になって次の光を放出する刺激になります。それを繰り返してゆくと雪だるま - 13 - 式に光が強くなって行きます。これが光増幅という操作になります。 ところで、このときの鏡の間隔を、誘導放出で発生した色の光が居心地良く感じる長さにしておく とその色の光だけがあまり弱ることなく存在し続けてくれます。せっかく発生した光でも簡単に消え てしまうと、 次の光が出てきても 0+1=1 を繰り返すだけになって光が強くなることができませんよね。 前に現れた光が存在していてくれるからこそ、1+1=2 となって、次に、2+1=3 となって、次に、3+1= 4 となって・・・という風に大きな雪だるまができることになるのです。この「居心地の良い鏡の間隔」 を共振(器)長といい、この鏡で挟まれた部屋を共振器といいます。強くしたい色によって共振器の 長さが異なってきます。トロンボーンやギターの音色を変えるのと同じ原理です。後で述べますが、 光の色の違いは光の波の長さ、これを波長と呼びますが、この長さの違いによって生じます。赤から 紫の色になるにつれて波長は短くなってゆきます。したがって、緑色の光を閉じ込めようとしたら、 赤色より短い共振器が必要となります。 さて、同時に光を出すということは、光の足並みがそろうわけです。光の隊列行進が始まるといっ たところでしょうか。これを位相がそろった(コヒーレント)状態と呼びます。結果として、レーザ の光は、強くて位相がそろった特殊な性質を持つことになります。この性質のおかげで、レーザ光線 は糸のように真っ直ぐに飛んで行くわけです。 この一連の現象を身近な例でもう少し説明してみましょうか。 皆さんが中学校の入学式を終えて、初めて教室に集まったときのことを想像してみてください。 周りは知らない友達ばかりです。シーンとしていますね。重苦しくて皆さんは誰かと話をしてみたい とだんだんと思ってくるのではないでしょうか。 「話したいのに話せない・・・」もどかしさが募って きます。そう思うのはあなただけではありません。そう、教室全体がだんだんと励起状態になってく るわけです。そのとき、隣の席に座っている友達が話しかけてきてくれたとします。ほっとしつつも 遠慮がちに色々と話しているうちに好きな歌手が同じだとわかって、 「ホントニー!?」なんていいな がら俄然、話が弾んで声も大きくなってきます。そうしたらその隣の友達も「ナニナニナニ?」とい って寄ってきます、そしたらその隣の友達も・・・という風に共通の興味を持つ周囲の友達を次々と 巻き込んで、段々と盛り上がってきますよね。つまり、誘導放出が始まるわけです。そのグループは 集まったメンバーが持ち寄る興味深い話題に聞き入って「ウッソー」とか「マジデー」とかいいなが ら、みんなで同時に感動して驚いて、ドッカーンといった感じで周囲に笑い声とか、気勢とか一人で はとても出せないようなエネルギーを爆発的に振りまくことになるでしょう。まさにレーザ発射状態 です。先生が教室に入ってこられて「静かにしなさい!」と注意されてもゼンゼン聞こえないぐらい にね。 このグループの人々は、 「静かなことに耐えられなくて、誰かと話してみたいと思っている」つまり ストレスが溜まってエネルギーが高い状態になっているわけです。外からの刺激はここでは「話しか けられたこと」に相当し、同じ色が出ることは「気が合うこと」 、(気が合うことを「波長が合う」っ - 14 - て言いませんか?)共振器の鏡の間隔は「共通の話題」、そして、鏡の反射による増幅すなわち、「共 通の話題での盛り上がり」で、みんなで同時に笑ったり、気勢を上げたりすることになります。これが、 位相のそろった強い光の発光に相当するわけです。 もう一つの身近な例として合唱を考えてみてください、秩序正しくそろった歌声は教室の外までし っかりと聞こえてきますし、遠くからでも何を歌っているのか良く判ると思います。これは、個人個 人が発声するタイミングが合っている、つまり位相がそろっているからなのです。この場合は遠くま でしっかりと、つまり効率よく、情報(歌詞)を送っていることになります。逆に、いくら大勢の人 が集まって同じ歌を歌っていても、全員が好き勝手に歌っていたら、遠くからはワイワイガヤガヤと 聞こえるだけで、どんな歌を歌っているのかはよくわからないと思います。つまりせっかく大きなエ ネルギーを持っていてもそのエネルギーや情報が効率よく伝わっていないことになるのです。したが って、 「エネルギーや情報を効率よく送れること」がレーザの利用価値の一つになるのです。 (回答:香川直己) 質問2:大学教授って楽しいですか? 回答:私は准(ジュンと読みます。準に近い意味です。)教授ですが、 「大学の先生って楽しいですか?」 とのご質問であると解釈させていただいて、このご質問にお答えしたいと思います。 大学の先生をしていると、今の自分の持っている知識を使って自由な発想で研究することができま す。研究とはドラえもんの歌みたいに「こんなことになるんじゃないのかな?こんなことできたらう れしいな」と期待して、色々試してみることです。したがって、実験の方法は自分で考えて、道具も 自分で作らなければなりませんから、 「工作」の能力も必要となります。だから実験の準備の間は期待 と不安で一杯です。そして、実験は苦しいこともよくあります。(結構「体力」も重要です。)ですか ら、自分の予想していた通りの結果や成果が得られることは大変楽しいことです。逆に、思いもしな い結果が現れたときは、調査しなければならないことも山ほど出てきます。でも、これでまた知識が 広がっていきます。これも、楽しいことです。そして、さらに新しい研究をすることができます。 さて、実験をしたら、その成果を文章にしたり、しゃべったりして世の中に伝えてゆかなければな りません。発表です。伝える道具は「国語」や「英語」です。そのとき、研究の背景を明確にするた めには、世界の文化や動向も知っておく必要があります。ですから、皆さんが今勉強されている科目 は全てこれからのあなた方に必要なものばかりです。大事に勉強していってください。 大切なことを一つ言い忘れていました。研究を仕事にしている人は「大学の先生」以外にも、企業 や公共の研究機関にもおられます。これらの方々と「大学の先生」の一番違うところは、学生さんた ちと一緒に学べることです。柔軟な発想を持った学生さんたちと接していると、元気が出てきて、毎 日が新鮮で楽しいですよ。そうそう、講義のために話術も磨いておかないとね。 (回答:香川直己) - 15 - 感想 ◆中学生の感想 ・レーザー光線での実験がとても楽しかったです。学校で習ったことや初めて知ったことも両方 あり、たくさん学べて良かったです。先生もとてもおもしろかったです。☆の秘密がわかり良 かったです。 ・レーザー光線での実験(!?)が先生も、とてもおもしろかったです。☆のひみつも知ることが できました!! ・また来たいと思います!! いろいろと実験もたくさんしたいです!! ・とても範囲が広くて、楽しく良かったです。また今度も「サイエンスラボ②」に参加してみた いです。 ・また、来て、いろいろ実験してみたいなと思います。 ・自分たちが実験をして、確かめるということが、とても楽しかったです。 ・なんとなく気になっていた☆の理由が自分の目で確かめてわかったので勉強になりました。 先生がおもしろかったです。 ・もっと実験したいと思いました。 ・今まで星の絵がどうして☆←この形なのか考えたこともなかったけど、西洋の人はほりが深く てまつげが長いので星があの形になったかもしれないということを聞いておどろきました。 ・光については 1 年(中学)の時に習ったけど、その時の内容よりかなりくわしいところまで学 べて嬉しかった。友達に誘われて来たけどとても貴重な体験ができて理科についてもっといろ いろな事を学んでみたいと思った。分かりやすくて、良かったです。 ・分かりやすいし、とても楽しかったです。 ・すごく勉強になりました。 ・あたり前の事がいろんな意味や理由があったということがわかって良かったです。そしておも しろかったです!! ・レーザーの実験はちょっと怖かったけど楽しかったです。 ・普段できない実験を実際に体験できて勉強になりました。 - 16 - ◆中学引率教員の感想 ① よかった点 光の屈折は中 1 の初めに取り扱う単元で、その復習と発展的内容が学習内容でした日常の現象 として説明に工夫がなされていたのが印象的でした。 ② 改善点 物理分野であるがゆえに、とっつきにくく、生徒募集の方法に工夫が必要だと感じました。グ リーンセンター、図書館などの施設巡廻に、夏の暑さも手伝って、移動に体力を消耗した点に改 善の余地があると思います。 ③ 期待される教育効果 「レーザー」という現象、レーザー光の波長の違いによる現象を体感できたことにより、 「光」 を実生活に関連付ける機会を得ることができたと感じました。 ◆担当者の感想(香川直己) このたびのお話を頂いたとき、大きな重圧が二つあった。一つは、この事業の先鋒であるという ことである。言うまでもなく、はじめの印象が悪ければ、全てが台無しになる。もう一つは、私が 女性に対して講義をした経験がほとんどないことである。私どもの学科では数年に一度、若干名の 女子学生が在籍する程度である。このたび、特に多感な女子中学生が 25 名も来てくださることを 伺ったとき、夏休み中の非常に暑いなかの午後、誰しも集中力が途切れそうな中で、如何にすれば 彼女らに関心を持ってもらい、要点を伝えることができ、そして何よりも喜んでもらえるかが課題 となった。面白そうなテーマを選ぶこと。これは、比較的容易であった。問題は進行方法であった。 色々と悩んだ末、行き着いた結論が「足りない状態でいこう」であった。つまり、完全な資料を準 備するのではなく、彼女らが実験から得た発見を綴ってもらうことにしたのである。これはひとつ の賭けであったが、果たして、実に積極的に実験を行い、素直に驚き、喜び、そして、熱心に実験 で発見したことを記録する彼女らの姿を目の当たりにし、非常に大きな喜びを感じるとともに、明 るい未来を実感した。私は彼女らの大いなる発展を信じてやまない。最後になったが、私のみなら ず、当学科の学生達にもこのような素晴らしい体験をさせて頂いた上に、過分な感想を寄せて頂い た、先生方、生徒の皆さん、そして、関係各位に心からの謝意を表し、感想とさせて頂く。 - 17 -
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