1 国家エネルギー政策に関する インドネシア共和国大統領令1 2006 年 5

国家エネルギー政策に関する
インドネシア共和国大統領令1
2006 年 5 号
インドネシア共和国大統領は、
a. 国内におけるエネルギー供給の安全を保証し持続的な開発を支えるために、国家
エネルギー管理の指針として国家エネルギー政策を定める必要があること、
b. 上記 a の判断に基づき、国家エネルギー政策に関する大統領令を定める必要があ
ること、
を考慮し、
1.
1945 年インドネシア共和国憲法 4 条(1)
2.
鉱業基本規定に関する法令 1967 年 11 号(官報 1967 年 22 号、官報追記 2831
号)
3.
電力に関する法令 1985 年 15 号(官報 1985 年 74 号、官報追記 3317 号)
4.
原子力に関する法令 1997 年 10 号(官報 1997 年 23 号、官報追記 3676 号)
5.
石油・ガスに関する法令 2001 年 22 号(官報 2001 年 136 号、官報追記 4152 号)お
よび 2004 年 12 月 21 日付憲法裁判所決定 No.002/PUU-I/2003 に基づいた変更
(官報 2005 年 1 号)
6.
地熱に関する法令 2003 年 27 号(官報 2003 年 115 号、官報追記 4327 号)
7.
国家開発計画システムに関する法令 2004 年 25 号(官報 2004 年 104 号、官報追
記 4421 号)
を鑑み、
以下を決定した:
国家エネルギー政策に関する大統領令を定める。
1
Presidential regulation
1
第1章
一般規定
1条
本大統領令の中で、
1.
エネルギーとは、電気、機械、熱を含む諸活動プロセスを行うために利用可能な力
のことである。
2.
エネルギー源とは、石油、ガス、石炭、地熱、泥炭、バイオマスなど直接・間接に利
用できる天然資源の一部である。
3.
特定の代替エネルギー源とは、石油燃料に代わる特定のエネルギー源の種類のこ
とである。
4.
新エネルギーとは、水素、炭層メタン、液化石炭(liquefied coal)、ガス化石炭
(gasified coal)及び原子力など、再生可能エネルギーあるいは非再生可能エネルギ
ーを源とし新技術により産するエネルギー形態である。
5.
再生可能エネルギーとは、地熱、バイオ燃料、河川の水流、太陽光、風力、バイオ
マス、バイオガス、海の波、海底熱など、自然のエネルギー源から産し、適正な管理
により枯渇せず持続的に利用可能なエネルギー源である。
6.
エネルギー多様化とは、エネルギー供給最適化のために各種エネルギー源の供
給・利用の多様化を行うことである。
7.
省エネルギーとは、真に必要なエネルギー利用を減ずることなく効率的かつ合理的
なエネルギー利用を行うことである。
8.
エネルギー弾性値とは、エネルギー消費増加率と経済成長率の割合・比率である。
9.
経済価格とは、環境コストを含むエネルギー単位あたりの生産コストにマージンコス
トを加えたものである。
第2章
国家エネルギー政策の目的と目標
2条
(1)
国家エネルギー政策は、国内におけるエネルギー供給の安全を実現するため方策
を方向づけることが目的である。
2
(2) 国家エネルギー政策の目標は、
a. 2025 年にエネルギー弾性値 1 未満を達成。
b. 2025 年に最適な(一次)エネルギーミックスの実現、すなわち国(全体)のエネルギ
ー消費に対する各エネルギー種の役割(構成比率)が、
1)
2)
3)
4)
5)
6)
石油は 20%未満。
ガスは 30%以上。
石炭は 33%以上。
バイオ燃料は 5%以上。
地熱は 5%以上。
その他の新・再生可能エネルギー、特にバイオマス、原子力、水力、太陽光、
風力は、5%以上
7) 液化石炭(liquefied coal)は 2%以上
第3章
政策のステップ
3条
(1)
2 条(2)の目標は、主要政策およびサポート政策を通じて達成される。
(2)
上記(1)の主要政策は;
a. 以下によるエネルギー供給
1) 国内エネルギー供給確保の保証
2) エネルギー生産の最適化
3) 省エネルギーの実施
b. 以下によるエネルギー利用
1) エネルギー利用の効率化
2) エネルギー多様化
c. 小規模事業者の能力・ある一定期間における貧困国民への支援を考慮の上、経
済価格を指向したエネルギー価格政策の決定
d. 持続的な開発原理を適応した環境保護
(3)
上記(1)のサポート政策は、
a.
エネルギーへの消費者アクセス向上を含むエネルギーインフラ開発
b. 政府・実業界のパートナーシップ
3
c. 国民エンパワーメント
d. 研究・開発及び教育・研修
4条
(1)
エネルギー鉱物資源大臣は、国家エネルギー調整委員会(BAKOREN)で議論した
後、国家エネルギー管理ブループリントを定める。
(2)
上記(1)の国家エネルギー管理ブループリントは、少なくとも以下を盛り込むものと
する:
a.
国内エネルギー供給安全保証に関する政策
b. 公共サービス義務(public service obligation)に関する政策
c. エネルギー資源管理とその利用
(3)
上記(1)のブループリントは各エネルギー種の開発・利用体系策定のための基礎と
なる。
第4章
エネルギー価格
5条
(1)
エネルギー価格は、ある期限までに段階的に経済価格へと整合させていく。
(2)
上記(1)の段階と価格の整合は、エネルギー多様化に対する最適な影響を与えるよ
うにしなければならない。
(3)
上記(1)(2)にあるエネルギー価格および 3 条(2)c の貧困国民への支援に関するよ
り詳細な規定は、法規定に従い実施されるものとする。
第5章
便宜・インセンティブ供与
6条
(1)
エネルギー鉱物資源大臣は、特定の代替エネルギー源を定める。
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(2)
政府は、省エネルギー実施者および上記(1)の特定代替エネルギー源の開発者に
対し、便宜及びインセンティブを供与できる。
(3)
上記(2)の便宜・インセンティブ供与の詳細規定は、各権限に従って関係大臣の大
臣令をもって定めるものとする。
第6章
結びの規定
7条
本大統領令は定められた日から有効とする。
2006 年 1 月 25 日
ジャカルタにて制定
インドネシア共和国大統領
署名
スシロ・バンバン・ユドヨノ
(訳責:電力エネルギー利用総局 JICA 専門家 永井雅彦)
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