5.2011年度の取り組みと次年度安全重点施策

安 全 報 告 書
北海道国際航空株式会社
5.2011年度の取り組みと次年度安全重点施策
5-1
国から受けた事業改善命令など
弊社は、2011年度、国土交通省から事業改善命令あるいは文書による行政処分
や行政指導を受ける事例は発生しておりません。
5-2
運航安全確保に対する措置
2011年度において、運航安全確保に対する自主的な措置として、次のとおり取り
組みました。
◇ ヒューマンエラーに起因する不具合の同時発生防止策の導入
ヒューマンエラーによりエンジンが2基とも空中で停止することを防止するため、
左右のエンジンに対して同一作業者が同時期に作業することがないよう別々の整備機
会を設定することや、やむを得ず作業を同時期に実施する場合は、別々の作業者が実
施するよう管理する整備体制を、2011年12月より運用開始しました。
これは、航空機に複数系統で装備されている重要な機能を同一作業者が同時期に整
備した後の運航において、当該機能で同時期に不具合が生じ、危険な状態なることを
防止するという考えに基づくものです。
本件は、ETOPS(長距離進出運航)(※)整備要件の一部となっていますが、
ETOPSを実施していない当社においても、安全運航ための重要事項としてこの運
用を積極的に進めています。
(※)洋上等において、着陸可能な飛行場から一定以上離れて行う運航
左:出発機
右:到着機
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B767型機
B737型機
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5-3
安全重点施策の実施および達成状況
2011年度の「安全方針」に基づく「安全重点施策」を実施項目として、「技術
本部実行計画」、「運送本部重点活動目標」、本社各部の「実行計画(アクションプラ
ン)」等に反映させ、全社的な安全マネジメントシステムの推進を図りました。
以下にその具体的状況を記します。
1.リスクマネジメントシステム機能を強化する。
(1)自発的報告制度の活性化とフォローアップ体制を強化する。
(2)安全に関する情報の分析力を強化し、予防的安全対策を実現する。
・「リスクマネジメントマニュアル」に基づき、自発的報告によるリスクマネジ
ント体制の運用を継続しました。加えて、同マニュアルを改定し取り組みの
強化に努めました。
・各部店のスタッフを中心に、自発的報告を行い易い環境づくりに努め、ヒヤリ
ハット報告の積極的な提出や情報の共有を図ることにより、リスクマネジメン
ト活動の強化に努めました。
・自発的に報告された情報については、リスクマネジメントマニュアルに則して
処理と対応を進め、必要な対策等については安全推進委員会へ報告するととも
に、社内へ事例紹介を行いました。
・会社から指名されたリスクマネジメント会議体の担当者に対して、社内教育や
シンポジウム等へ参加する機会を設けるなど、リスクマネジメント推進者とし
ての知識の充実と意識の高揚を図りました。
・各部門において、ヒューマンエラーをテーマとした教育を行いました。
2.部門内、部門間および職種間の双方向コミュニケーションを強化し、安全
に関する情報の共有化を図る。
・各部門において、会議体や勉強会あるいは部内報や業務連絡等を通じ、不安全
事象等の情報共有化や再発防止策の迅速な周知・徹底などの対応を図るほか、
部門横断的な会議を開催し情報の共有化を図りました。
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・発生した不安全事象や社内外の安全情報について、安全推進委員会に報告し
情報の全社的な共有化を図りました。
(グランドハンドリングスタッフ、グランドサービススタッフ、
客室乗務員による出発前ブリーフィングの様子)
3.自らの役割と責任を自覚し、関係法令、社内規定等を遵守し、確実な業務
を実施する。
・各部門において、法令、社内規定等の遵守の観
点に基づき、業務を遂行しました。さらに、法
令、社内規定等の遵守の重要性に関する認識を
高めるための教育を都度実施しました。
・内部安全監査、業務監査等の社内監査により、
法令、社内規定等の遵守の状況を確認しまし
(客室乗務員による乗務前の規定確認の様子)
た。
4.安全への意識を深めるための啓発、教育活動機会を増加させるとともに積
極的な参加を促す。
・「安全マネジメントシステム」の理解促進を図るため、社員各層(新入社員・
中堅社員・管理職等)に対し、カリキュラムに従って安全教育を実施し、安全
最優先の企業風土定着を目指しました。
・各職種の定期訓練で、ヒューマンファクター等の人材育成教育の充実を図りま
した。
・新入社員の初期訓練において、他社安全啓発施設の見学を設定し、実施しま
した。
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5.現場部門、管理部門に拘らず、安全運航堅持に必要な総合的な人材育成と
確保を図る。
・各部門において、事業計画の拡大や新機材の導入に向け、採用および人材育成
(教育訓練等)を積極的に実施しました。
・管理部門と生産部門との人事交流等を継続し、それぞれの専門的知識を反映さ
せることで組織力の強化を図りました。
6.現場と経営トップの安全に対する対話の機会を増やす。
・年2回の経営層による各職場への安全巡回において、経営層と現場社員との意
見交換を実施しました。これにより、現場社員の安全に対する意識向上を図る
とともに、経営層においては、現場社員の安全に対する考えを直接聞きだす機
会としました。
・各生産本部において、本部長等が現場へ積極的に出向き、現場の状況確認や社
員の意見の把握に努めました。
5-4
運輸安全マネジメント評価
「運輸安全マネジメント評価」は、国土交通省が運輸事業者の安全管理体制の実施
状況について確認・評価を行うために2006年度から導入されました。2011年
度は、隔年実施化により、当社に対する実施はありませんでしたが、国土交通省から
の指示に基づき、当社の安全に関する取り組み状況について調査票への回答を行いま
した。
今後も、過去の評価をふまえ、安全風土・文化の醸成に努めます。
なお、前回の2010年度に以下の助言を受け、2011年度は、それぞれより効
果的な実施方法となるよう、改善に取り組みました。
<2010年度の助言内容>
・ 不具合事象に対する、多角的な視点からの検証を含めた「リスクマネジメント
システム」の円滑な運用
・ 安全推進委員会とマネジメントレビューの関連性の見直しと、マネジメントレ
ビューにおける審議課題に対する議論等の活性化
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5-5
航空局による安全監査立入検査の結果
航空局による安全監査立入検査(※)の受検結果の概要は次表のとおりです。
種類
実施数
指摘件数
基地(本社または空港事業所における検査)
18回
7
エンルート(実際の運航における検査)
85便
0
これらの指摘については、各担当部門において要因の分析と対策の検討を行い、
是正を図っております。
(※)運航の安全確保に係る日常業務の現状を的確に把握するため、国が計画的ま
たは随時に航空会社の本社及び運航・整備の現場等に立ち入り、実施する検査。
(東京国際空港へ向けて離陸するB737型機:とかち帯広空港にて)
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5-6
2012年度安全重点施策
弊社にとって2012年度は、環境変化に対応し、事業規模拡大に備える重要な年
であり、これまで以上に高いレベルの安全運航体制を目指していく必要があると認識
しております。そのため、安全管理規程および安全方針に基づき、2012年度の安
全重点施策を次のとおり定め、これに基づき各部門で計画を定め、全社一丸となって
実行しています。
2012年度安全重点施策
1.リスクマネジメントシステム
(1)各部門における自発的報告の理解と活性化
(2)各部門における安全に関わる事象に対する認知・対応・分析力の強化
(3)各部門の安全に関わる活動と、会社全体のリスクマネジメント活動との協働
2.情報共有と相互理解
(1)部門内、部門間、職種間などの情報共有の促進
(2)相互理解を促進する確実な指示や情報伝達能力の向上
3.安全教育と啓発活動
(1)各部門内教育における安全意識の向上
(2)「自らの役割と責任の自覚」、「関係法令、社内規程等の遵守」による確実な
業務の遂行
(3)社内外の安全啓発、教育活動への理解促進と積極的な参加
4.事業環境変化に対応した運航安全の確保
(1)新機種導入に向けた、関連部署相互の連絡調整の強化
(2)新機種、新機材導入時における、基本操作を含む技術レベルの再確認
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