距離の測量

距離の測量
は斜距離
A(A'')
A'
A0
投影面
B
地表面
B''
基準楕
B0
円体面
B'
• 2地点AB間の距離とは水平距離のことで
– 本来は基準楕円体表面の弧
– 実際の数値データは投影面に投影された
– 実際の測量作業は地表面で行うので,B点を鉛
直にA点の標高に合わせたB''点を用いた
→ただし,鉛直線偏奇のため
とは限らない
174
直接距離測量(1)
• 歩測(+歩度計)
– 大まかな距離を測るため.誤測の確認など.
– 精度は1/100~1/200程度.
– 1歩の歩幅は0.75m程度.人により異なる.
– 1複歩1.50m程度を1歩という場合もある.
• 布巻尺・ガラス繊維テープ
– 工事測量や平板測量など,高い精度を必要とし
ない局所的な測量に用いられる.
– 精度は1/1,000~1/5,000程度
175
直接距離測量(2)
• 鋼巻尺
– かつて距離測量に最も一般的に利用されていた
– 精度は1/10,000~1/100,000程度
– 幅10mm,厚さ0.5mm,長さ30~50m程度のテー
プを用いた巻尺で,最小目盛は1mm.
– 温度15Cで98Nの力で引張った値を標準とする
– 測定値は以下の式で補正する
標高
たるみ
傾斜
張力差
温度差
尺定数
測定値
L  Lm  CC  Ct  C p  Ch  Cs  Ce
176
直接距離測量(3)
• 光波測距儀(optical distance-measuring device)
電磁波の範囲と主な用途
波長
電離放
射線
100nm 以下
周波数
名称
1017Hz以上
1016~1017Hz
X線・ガンマー線
X線医療診断
紫外線(短い波長:
100nm以下)
非電離 400nm~100nm 1015~1016Hz
放射線 720nm~400nm 1014Hz
1mm~720nm 1012~1014Hz
10mm~1mm
30GHz~300GHz
30cm~1cm
1GHz~30GHz
10km~3cm
30kHz~10GHz
10km以上
30kHz以下
無限大
ゼロ
紫外線(長い波長)
可視光線
赤外線
ミリ波
マイクロ波
中波・短波・VHF等
低周波電磁波
直流電磁界
主な用途
赤外線ストーブ
今後の電気通信
電気通信
テレビ・ラジオ放送
電力
磁石
177
直接距離測量(4)
• 光波測距儀(続き)
波長
10km~3cm
周波数
名称
主な用途
30kHz~10GHz 中波・短波・VHF等 テレビ・ラジオ放送
– 光波測距儀は電磁波の波長帯を利用する
– 精度は±(5+5L)mm程度(Lは測定距離[km])
– 距離の測定に使用する電磁波の波長は,数十kHz
~数十GHz程度で,中波・短波・VHF等電波相当
– 電波法の規制により,この範囲の波長は使用不可
高周波変調光という光波を用いる
光に107回/s程度の明暗を加えて電波相当の周波数
を作り出して発射する(うねりの原理を利用)
178
直接距離測量(5)
光波測距儀による測距原理
位相比較法
距離: L
波長: 
位相計
反射鏡
j
測るものは変調光の位相
A
B
179
直接距離測量(6)
m と がわかれ
ばLはわかる!
180
直接距離測量(7)
• 位相比較法の考え方
– 波長の異なる複数の変調光を用いる.
181
直接距離測量(8)
• 位相比較法の例
– (1) f1 =75kHz とすると,1  4,000mとなり,測定距
離 L が2,000mよりも短いことが保証されていれば
距離 L が直接測れる.ただし,位相差計の分解
能が1/1,000程度考えると,最大誤差は2m程度
– (2) f2 =1.5MHz とすると,2  200mとなり,上記最
大誤差2mよりも短いことが保証され,最大誤差
0.2m程度で距離 L が測れる.
– (3) 同様に, f3 =30MHz とすると,3  10mとなり,
最大誤差1cm程度で距離 L が測れる.
182
直接距離測量(9)
• 光波測距儀の測定値の補正
L  Lm  CC  Cd  C p
L   ( a  bL)
a  Cd  C p
bL  CC
– L: 補正された値
a: 距離の長短に関係しな
い誤差で,測定器や反
– Lm: 測定値
射鏡の機械固有のもの
– CC: 気象補正値
b: 測定距離に比例する誤
– Cd: 器械定数(補正値)
差で変調周波数の安定
– Cp: 反射鏡定数(補正値) 度や大気の屈折率の不
規則な変化によるもの
183
直接距離測量(10)
184
直接距離測量(11)
185
直接距離測量(12)
測距儀中心
プリズム位置
反射鏡中心
光波発射位置
測距儀
反射鏡
測定値: Lm
Cd
Cp
正しい距離 L=Lm+Cd+Cp
186
直接距離測量(12)
187
直接距離測量(13)
188
間接距離測量
• スタジア測量
– トランシットやレベルの望遠鏡に刻まれたスタジ
ア線と呼ばれる一定間隔の2本の横線に挟まれ
る標尺の長さを目盛で読み取り,標尺までの距
離を計算で求める方法.S  Kl  C , K  f , C  c  f
i
– 精度は1/300~1/1000程度.
標尺
189
VLBI(Very Long Baseline Interferometry)測量
– 準星から電波を利用して大陸間の距離などを測る.
– プレート運動の検知,GPS測量の基準付与
190
GPS測量(1)
• Global Positioning System
– アメリカによって,航空機・
船舶等の航法支援用として
開発されたシステム
– 上空約2万kmを周回する
GPS衛星,GPS衛星の追跡と
管制を行う管制局,測位を
行うための利用者の受信機
で構成
55度傾いた6つの軌道
– 座標形はWGS-84⇔GRS-80
191
GPS測量(2)
• GPS測量
– 単独測位(1点測位)
• カーナビ用.30~100mの誤差
– 干渉測位
• スタティック測位(静的干渉測位)
• キネマティック干渉測位
• リアルタイムキネマティック測位
固定局と移動局
誤差1~2cm程度
– 時刻同期
• 位置ではなく時刻を測る
192
距離測における標高差補正
• 距離 Lが,標高 Hで測
るとLmになってしまう.
R=6,378,000 m
H=800 m,Lm=100 mのとき,Ce=-1.3cm
193
角測定(1)
・点Oから2点P, Qを視準
・測定するものは =∠P'OQ'
・: 鉛直角または高度角
仰角または俯角
・Z: 天頂角
・∠POQ: 斜角という
水平面
望遠鏡高さ
測量学では,鉛直角を高精度で測るニーズはない!
器械高さ,プリズム高さが大きな誤差を持つため
194
角測定(2)
• 角の単位
– (1) 度分秒
– (2) グラード
ほとんどこれを用いる
ヨーロッパでよく用いられる
例
195
角測定(3)
– (3) 弧度
理論計算に必要
196
測角儀
• トランシット(transit)
• セオドライト(theodlite)
p.56
工学的,普通精度,米発
理学的,高精度,欧発
– 現在はほぼ同義語
– 光波測距儀と一体化したものをトータルステーショ
ンという.
– 構造は「複軸式(本当は軸は1つで盤が複数)」
• 上盤と下盤がありそれぞれに固定ネジと微動ネジがある
• 水平目盛は下盤に刻まれていて,上盤には針がある
– 上盤だけを回転させると目盛が変化する
– 下盤と上盤を同時に回転させても目盛は変化しない
197
水平角測定の方法
トランシットは,レベルとは異なり,整準と求心を同
時に行う必要があり,設置に時間がかかる.
観測点,視準点は,国家三角点,公
共測量の成果点,自ら設けた他の観
測点(図根点,トラバース点など),位
置が特定できるものを用いる.
• 望遠鏡の向き
– 正位と反位
• 観測する方向
– 時針方向と反時針方向
198
角測定法
• 単測法
• 倍角法
視準+読取
視準のみ
視準+読取
199
偏心観測の基本式
•
•
•
•
公式(a)
公式(b)
公式(c)
公式(d)
1   2   3   4
図-1で
x sin  y  y sin  x
z  x 2  y 2  2 xy cos z
z  x cos y  y cos x
図-1
図-2で
図-2
200
偏心観測(1)
条件: 角度a を知りたいが,点Aから点P,Qを同時
に視準できなかったため,器械を点Aから点Bに移動
• 器械位置が偏心した場合
– S1,S2の概略の値は既知
– d1,d2および e は微小
– 知りたいものは角a
– 測定するものは角a' ,j,
および距離e
201
偏心観測(2)
202
偏心観測(3)
基本は変わらないが,偏心させる方向が変わると,
j → 2p-j となるが,途中式を除き最終結果は不変.
203