行政学 西尾勝 080710 佐藤建

行政学
080710 佐藤建
西尾勝
-行政学-
*「安上がりの政府(cheap government)論」
「夜警国家論」
西尾学
19 世紀半ば~末
—
目次
¾
産業化と都市化による社会問題の増加
政府の職能の拡大 =
都市・交通の整備
5
第1章
行政サービスの範囲
5
第2章
官僚制と民主制
2 福祉国家の生成
5
第3章
アメリカの行政学の展開
„
福祉国家(Welfare State)の要件
提供
労働者保護
教育
公共サービスの
産業の規制/保護
5
第4章
行政学の構成
①
生存権の保障を国家の責務としている
…
第5章
現代国家の政府体系‐中央集権と地方分権‐
②
所得の再分配を国家の当然の権能としている
③
景気変動調整のために国家が積極的な市場介入を行う
…
第6章
戦後日本の中央地方関係
…
第7章
議院内閣制と省庁制
大恐慌による自由主義経済への疑問 → ケインズ経済学に基づく財政・金融政策
…
第8章
現代公務員制の構成原理
タグフレーション現象までケインズ経済学が主導
5
第9章
官僚制分析の視座
„
…
第 10 章
官僚制組織の作動様式
大衆民主性
5
第 11 章
官僚制組織職員の行動様式
…
第 12 章
第一線職員と対象集団の相互作用
5
第 13 章
官僚制批判の系譜
二度の世界大戦&世界恐慌 = 社会不安、挙国一致体制
5
第 14 章
政策形成と政策立案
3 行政サービスの範囲
…
第 15 章
環境変動と政策立案
„
福祉国家生成の要因
労働運動の活発化 → 階級対立の激化
の実現
普通選挙制の導入 → 有権者たる国民大衆の支持の取り付け
+
= 社会政策 労働政策 産業政策
1980 年代からの行政改革
…
第 16 章
日本の中央省庁の意思決定方式
二度のオイルショックを経て財政危機に直面し、行政改革が行われるようになった
5
第 17 章
予算編成過程と会計検査
‹
5
第 18 章
行政活動の能率
…
第 19 章
行政管理と行政改革
5
第 20 章
行政統制と行政責任
減量経営 = 行財政改革
e.g. レーガノミクス、サッチャーリズム、中曽根政権第二次臨調~
‹
規制緩和、民営化
① 民間活動を規制するもの
行政活動の
第1章
1970 年代のス
行政サービスの範囲
4類型
② 民間活動を助成するもの
③ 民間活動の不足を補完するもの(教育 医療 福祉 等)
1 行政サービスの発展
④ 民間活動によって解決できないもの(国防 警察 インフラ整備 等)
„
職能の拡大と抑制
—
古代から中世封建制
—
絶対君主による中央集権体制の国民国家の成立
-まとめ-
¾
福祉国家としての政府の職能の拡大は、市場の失敗を端に発してきたが、近年では行政の肥大化や非効
—
市民階級の発達
率性を指摘し、新たな市場メカニズムの導入が活発になってきている。
¾
産業の振興・保護のための規制が自由な発展を阻害している
このように、政府の職能は時代の変遷とともにその要請を受けて変化するものであり、学問で確定でき
= 自由放任主義 → 自由主義経済(アダムスミス)
るものではない。
¾
政府の職能の基礎:国防・警察・裁判
殖産興業政策(重商主義・重農主義)→官僚の誕生
→ ②に対する規制緩和
‹
④に対する民営化
の行政改革が模索される
新公共管理(NPM:New Public Management)
市場メカニズムの活用 エージェンシーへの権限委譲 成果・顧客志向の政策評価
1
行政学
第2章
080710 佐藤建
西尾勝
„
官僚制と民主制
1 近代官僚制の形成-君主と官僚の統治
„
米国:猟官制
政党:大統領と連邦議会の互いに独立対等な機関を媒介するもの
地方単位で発達してきたものであり、地方・州レベルでも議会と首長を媒介するもの
絶対君主制下での近代官僚制の形成
公選職候補者の選定と当選を主たる目的にする。
君主権(立法権 統帥権)と統治権(司法権 行政権)に分化
→ 君主に代わり統治権を遂行する機構として官僚制が形成
‹
‹
官僚制の基本属性:「法の哲学」フリードリヒヘーゲル
政党が全てのレベルの政府の任命職の人事に介入するように
①
専門性:客観的資格によって任用
→ 大統領の交代ごとに党派的な更迭人事を繰り返す = 猟官制
②
永続性(熟練性 終身性)
:私的利益の追求を禁じられる反面、終身の身分保障
‹
③
従属性:統治権の代理者であり、君主に忠勤を励み国家に同一化
1883 年資格任用制と政治的中立性を根幹にした最初の連邦公務員法が制定
④
中立性:特殊利益に偏することなく国家の普遍的利益を貫徹
猟官制
ペンドルトン法
2 三権分立の成立-憲政と行政の対抗
„
新興市民階級と欽定憲法
国民議会の開設 → 君主権から立法権が独立、議会へ委譲される = 三権分立
‹
法治主義の 3 原理
①
法律優越の原理:議会の制定する法律が他の機関の制定する一切の命令に優越する
②
侵害留保の原理:国民に義務を課す、または国民の権利・自由を侵害する行政行為は
③
法律による裁判の原理:行政行為の合法性は独立した地位にある裁判所が議会の制定
„
政党制と政党内閣の出現
必ず議会の制定した法律に根拠を持ち、規定に基づいて行われる
した法律の規定に基づき審査を行う
議会勢力の自立性の強化 → 政党制の確立 → 議会内多数党の領袖を内閣総理大臣に
= 立憲君主制下での政党内閣制(憲政)
3 官僚制から公務員制へ-情実任用と猟官制
„
英国:共和勢力の拡大
‹
文民統制
‹
議院内閣制
国王の軍隊を議会勢力に忠実なものと変える
内閣を議会共和勢力の執行機関と変え、立法府と行政府を内閣を媒介に一元化
‹
情実任用
共和勢力を支持する人々を行政官(官僚)に登用する
‹
現代公務員制
情実任用の弊害 = 政権交代のたびに行政官も交代 → 官僚制の基本属性の崩壊
*1853 年 資格任用制と政治的中立性を根幹とする現代公務員制の確立
2
行政学
第3章
080710 佐藤建
西尾勝
‹
組織編制の 3 原理
1 行政理論の系譜
①
命令系統一元化の原理
■
②
統制の範囲の原理:管理者が統制する部下の適正規模に関する m の
③
同質性の分業の原理:同質=目的 作業方法 対象集団 管轄領域
‹
ラインスタッフ理論
アメリカ行政学の展開
政治・行政の分離論
アメリカ行政学
建学の父祖
ウッドロウ・ウィルソン(28 代大統領)
:「行政の研究」1887
フランク・グッドナウ:
「政治と行政」1900
→政治と行政の分離論 = 両者の間に相互不介入な領域を
■
cuz 政党政治の行政への侵食
→「目的」による分業 = 縦割り組織
行政の管理論
e.g.ニューヨーク市政調査会 1960~
‹
*ただし、スタッフは決して自ら命令し決済する権限を持つべきではない = 命令系統一元化
■
人間関係論
‹
*行政理論と組織理論の合流
‹
VS 「作業方法」による分業 = 横割り組織
大統領府の創設
ライン系統組織の管理者には、その管理機能を補佐し助言・勧告を行うスタッフを配置すべき
「行政固有領域の活動を律するべき原理と、それにかなう合理的な技法」とは何かを探求する
→ 私企業経営の科学的管理法に学ぶ
ref
事務管理論の系統
対外的均衡と対内的均衡
社会
対外的均衡:組織目的達成する機能
行政府予算制度の創設の提言
組織
対内的均衡:構成員の心からの協力を確保する機能
「節約と能率」こそ行政管理の良否をはかる価値基準 → 社会通念化
*経営の関心は概して体外的均衡 → 対内的均衡に関心を向け、構成員に満足感を与えることが必要
組織管理論の系統
= 組織構成員の内面心理までをも操作の対称にする管理手法の開発へ
ルーサー・ギューリック :「POSDCoRB」@行政管理に関する大統領委員会 1937
■
組織のトップが担う7つの総括管理機能 =「企画」
「組織」
「人事」
「指揮監督」
「調整」
「報告」
「予算」
チェスター・バーナード:
「三層構造理論」~
大規模組織になると、トップを補佐する総括管理機関が必要 →
組織を人間行動のシステムと捉える = 構成員相互間の意思伝達が組織成立の重要な要素
■
‹
大統領府の創設
政治行政の融合論
行政国家:
「行政権の優越化」の段階にまで到達した国家
現代組織論
→「合理的な選択」の理論 = 意思決定論へと発展:ハーバート・サイモン
→ 政策決定 政策評価へ応用
行政権の優越化:行政府が政策立案機能をも担い、立法府に対してさえ指導力を発揮している状態
‹
政治・行政の融合論
第4章
行政学の構成
現実の政治・行政の関係は整合的、連続的、循環的であり切り離しがたい結合関係
1 日本における行政学の系譜
→ 政治と行政の交錯領域の拡大に伴い、両者の関係をめぐる規範的論議が再燃
■
*分離論完全否定ではない(政治家集団と行政官集団の区別、その間の一定の相互不介入領域の必要性)
‹
■
戦後になりアメリカ行政学を本格的に摂取し始めるが、理論研究の範囲に留まった
行政の責任論:第二次世界大戦後~
アメリカ行政学の継受
理論研究と実証研究の乖離
行政権の優越化時代において、行政機構・行政機構が担うべき責任とは何か?
理論研究の目的:アメリカ行政学
‹
実践課題への対応:日本の行政生制度の歴史
答責性(アカウンタビリティ)の確保
ヘルマン・ファイナー:議会による行政府の行政活動に対する統制
¾
議会に対する行政府の制度上の答責性の重要性
カール・フリードリッヒ:議会の統制が有効とはいえない中で
日米行政実態の乖離
実践の場でアメリカ行政学の理論が持ち出されにくいのは、行政の実態がかけ離れているため
日本:議院内閣制。強固な官僚制の伝統。集権融合型の政府間関係の歴史
¾
コミュニティへの直接責任:民衆感情に直接対応する責任
米国:大統領制。官僚制の伝統は薄い。高度に分権的な政府間関係の歴史
¾
機能的責任:客観的に確立された科学的な基準に対応する責任
‹
2 組織理論の系譜
■
‹
古典的組織理論
憲法の歴史的発展段階論
欧米諸国:絶対性から近代民主性へと変わる「民主化」への過程と、近代民主制から現代民主制
へと変わる「能率化」への過程の段階を踏んで成長
3
行政学
080710 佐藤建
西尾勝
日本:戦後の改革期に、
「民主化」と「能率化」の「二重の課題」に同時に直面
これを手引きに各論を積み上げていくほかない。
*民主化の改革が不徹底となり、絶対性の残滓を多分に残した
→ 日米行政学の課題の差を明らかにし、日米行政学の橋渡しを目指す
第9章
*それぞれの国の歴史文化による拘束から完全に開放されることはなく、日本行政を観察し理論化する
1 官僚制の概念
ことを通して、自ら築き上げていくものである。
„
2 行政学の構成
フリッツ・マークスは「官僚制」の用語法として、以下の 4 類型に分けた。
■
①
特定の組織構造を持つ組織を指す
②
官僚主義として批判されることの多い組織の行動様式を指す
「公的な官僚制組織の集団行動に焦点を当て、これについて政治学的に考察する学」
③
近代以降の国家に特徴的な行政組織を指す
‹
④
官僚政治として論難されている政治支配の形態を指す
‹
行政学の外延―隣接諸学との分業関係
行政学の定義
隣接諸学との分業関係
官僚制分析の視座
「官僚制」の多義的な概念
社会学・経営学、財政学、公法学、政治学と重なる点が多い
以下に官僚制が多義的な概念となった経緯を追う
これらの学問領域と行政学の分業関係を語る上では以下の点が重要である
„
「呪いの言葉」としての官僚制概念
①規模が大きい
「官僚制」とは 18 世紀末に生まれ 19 世紀の前半に定着した言葉であり、当初は批判の対象物を指す
「公的な」
②業務が多種多様
ものであった。
官僚組織の
③活動を相対的に評価する統一的基準・尺度がない(私企業では収益・利潤)
特殊性
ヨハン・ゲレス:組織内部の行動原理の服従規範を組織外の臣民にまでに強要するもの
人間の価値をその地位から評価するような態度を作り出すもの
④しばしば独占的性格をもち、競争条件にさらされないこと
カール・ハイチェン:合議制構造の組織と対比されるもの
⑤詳細な活動ルールと、それによる柔軟性の低さ
無際限の権力の追求をせずにはやまない性向をもつもの
⑥究極においての規律 = 政治のメカニズム
行政学の
主要な
関心
■
個人・集団・階層間などの人間の関係
ウォルター・バジョット:政治の質を害し、政治の量を課題にする傾向を持つ
カール・マルクス:官僚制は廃棄されるべき癌
事実行為と行為規範としての行政規則の持つ統制機能
組織内の統制・調整・協同の関係
現代国家の課題への対応
„
官僚制概念の変貌
ロベルト・ミヘルスとマックス・ウェーバーの新しい官僚制論によって概念が大きく変貌する
行政学のアイデンティティ喪失の危機 = 現代国家の抱える課題に対する重点の置き所の揺らぎ
‹
①
行政国家への対応:制度学の視点
政党・労働組合・教会・私企業にも「少数支配の鉄則」官僚制化現象が起きている
→ 過程の民主制、手続きの適正性などに関わる、正統性・合法性・公平性の価値基準
‹
職能国家への対応:管理学の始点
さまざまなレベルでの大衆化といった民主主義の拡大深化現象こそが官僚制化減少を加速
→ 行政管理と行政改革などに関わる、経済性・能率性の価値基準
‹
福祉国家への対応:政策学の視点
社会主義体制下でさえも官僚制支配は存在する
→ 政策・行政サービスの評価の方法などに関わる、必要性・有効性・適応性の価値基準
‹
②
③
-まとめ-
官僚制化現象の普遍性
民主主義の拡大深化と官僚制化
社会主義と官僚制
官僚制の合理性
官僚制は純粋技術的に卓越しており、ある意味において合理的な性格をそなえている
近年、応用経済学・農政学・林政学・交通計画学・都市計画学のように特定領域の公共政策についての
2 ウェーバーの官僚制論
研究が盛んに行われるようになってきている。これらは政策学的な性格を持つのに対して、従前の行政
„
近代官僚制の構成要件
学は行政府の組織の総括機能を対象とする管理学的色合いが強かった。行政学を制度学・管理学・政策
‹
官僚制組織
学の混成物から、その合成物へと昇華させるには、行政活動全体を適切に分類整理した体系図を作成し、
頂点に独任制の長を戴くピラミッド型ヒエラルキー構造を持つ組織
4
行政学
‹
080710 佐藤建
西尾勝
家産官僚制と近代官僚制
*
上記の定義では、古代エジプト王朝以来世界のいたるところに時代を超えて官僚制が存在することにな
以上のことから、官僚制はある意味において合理的な性格を備え、その他の組織形態に対し
て純粋技術的に卓越している
る。ウェーバーは中世封建制までのそれと近代の官僚制との違いを区別するところからはじめる。
■
家産官僚制:主君と主従関係にある身分不自由な官吏によって構成されている官僚制
‹
近代官僚制:自由意志に基づく契約による自由な身分の官吏よって構成された官僚制
ウェーバー以後の官僚正論は、人間関係論をはじめとする組織理論の影響を強く受けアメリカ化してお
‹
近代官僚制の構成要件
り、官僚制における非合理的な人間行動に注目している。
①
①
業務が客観的に定められた規則にしたがって継続的に行われる
②
業務は規則に定められた明確な権限の範囲内で行われる
③
組織内では上下の指揮命令系統が一元的に確立され、上級機関は下級機関の決定について再審査
ウェーバー以後の官僚制論
アメリカ社会科学の官僚制理論
官僚制の職員はウェーバーの言うがごとく「機械の歯車的存在」であるにしても、歯車になりき
れるわけではない
②
権及び取消権をもつ
官僚制の機能障害は、インフォーマルな組織を巧みに管理し、フォーマル組織と機能的にかみ合
わせることで、かなりの程度まで避けることが可能である
④
必要とされる経営資材は全て職場において提供される。組織の所有物と構成員の所有物は明確に
③
官僚制内部の支配関係に関心を寄せ、官僚制による顧客の支配まで考慮しない
区分される
④
ウェーバーの官僚制は、合理的か否かを問うてきたが、アメリカ社会学では機能的か否か、能率
⑤
官僚制の各職位は何人によっても専有されてはならない
的か否かが問題とされている
⑥
あらゆる種類の処分指令は文書の形で表示・記録・保存される
第 11 章
⑦
官僚制支配は職員の任命制の原則がもっとも純粋に確立されておるところで純粋に貫徹される
1 権威と権限
⑧
人格的に自由な人間が契約によって職員となり、規則に定められた職務に関してのみ指揮系統の
„
権威・地位・権限による支配
もとに入る
‹
権威による支配
⑨
官僚制による職員の採用は一定の学歴と専門知識を持つ有資格者の中から行う
上司の高度の学識・専門能力等に信服し、この上司の下す判断の正しさを信じて部下が服従する最も理
官僚制組織職員の行動様式
⑩
労働の対価たる俸給を貨幣により定額で受ける
想的な支配体系。このような直接的な権威を調達する難しさから、以下のシステムが生まれた
⑪
職員はその業務を唯一の職業とするか、少なくともこれを主たる職業としなければならない
キャリア・ノンキャリアの身分制 → 一般的な学歴・専門能力による権威の調達
⑫
職員の昇進は在職年数または業務成績、あるいはその双方に基づいて行われる
年功序列の承認制 → 職務に関わる経験の代わりに勤続経験の長さ
■
‹
‹
ウェーバーの官僚制化論
地位による支配
上司の人格云々に関わらず、上位の職位そのものに権威を認めて支配する制度。職位そのものに権威を
合議制と官僚制
合議制:意見利益の摩擦・衝突対立を生じ妥協を結果する。その結果業務は遅延し決定は統一性を欠き
認めるかどうかは、その社会の文化に依存するところが大きい
安定性を欠く
‹
官僚制:摩擦を伴わずに的確・迅速かつ慎重に遂行され、その内容も統一性と安定性を保ちうる
法令規則により受験された指揮監督権を根拠にして、ときに制裁権の発動の可能性をほのめかしながら
‹
行う支配
官僚制の卓越性
権限による支配
即物的な見地から分業制が貫徹される。公平無私に処理されるという意味での非人格性を有し、予測可
„
能な客観的に定められた規則に従って公平に処理される
権威とは部下側の受容によって成立するもの
‹
‹
官僚制の永続性
官僚制はひとたび完成された暁にはこれを破壊することが極めて困難である。官僚制が停止なしは暴力
等による妨害を受けるとき、そこに生ずるのはカオスのみである
‹
e.g.占領統治時の首脳部の挿げ替え
情報の独占と秘匿
官僚制はその知識・情報・意図を秘密に保つことを通して、その優越的地位を高めようとする性向を有す
バーナードの権威受容説
機能の権威と地位の権威
「機能の権威」←「権威による支配」
「地位の権威」←「地位による支配」
指示・命令が理解可能なもので従うことに精神的肉体的苦痛が伴わず従うことが個人的な利害にも組織
の目的にも反していない場合、この指示・命令は部下の「無関心圏」に属し、疑問を抱かずに従う
また、権限の行使に関しても、当該部下ではないが、その部下の同僚たちによって権限の行使が受容さ
5
行政学
080710 佐藤建
西尾勝
れている環境が必要であるという意味で、部下側の権威の受容を論じている
行政機関の官僚制組織は、これを統括する内閣大臣に仕え、主たる政治機関を補佐・補助すべき従たる
2 組織外への逃亡と組織内での反抗
存在 = 公然と反旗を翻すことは容認されない
„
組織外への逃亡
‹
‹
バーナードの組織均衡理論
行政官たるものは、政府の政策が不正不当だと思ってもそれで直ちに辞職してはならない。不正不当で
ダーダネルス報告(英国の公務員倫理の聖典)
組織の提供する「誘因」が、職員の「貢献」に見合うものであり、また元来の「動機」を満たすもので
あると考える所以を大臣に向かいはっきりと申し立て、また同僚の行政官にもこれを伝えるように勤め
ある場合、職員はそこに留まるが、「誘因」「貢献」「動機」の均衡関係が崩れた場合離職を決意するに
なければならない。それでも尚受け入れられなかった場合は、己を捨て、決定された政府の政策の実施
いたる
に最善の努力を尽くさなければならない
‹
‹
辞職自由の制約
ニュールンベルグ裁判
しかしながら当然のように実際の辞職はさまざまな社会的要因に大きく制約される。卑近な例では、次
ナチスドイツの戦争犯罪を裁いたニュールンベルグ裁判において、上司の指示・命令による実行は免責
の職が得難いか、得易いかの社会環境により、離職し難いか、し易いかが決まる。
事由にならないとされた
„
組織内での反抗
*基本的には、最終的な絶対服従が公務員には要求されるが、ときとして、一身をとして抵抗しなけれ
‹
面従腹背-「上命下服」と「下意上達」の機能不全
ばならない場合もある
組織内での反抗とは、明らかな不服従行動だけではなく、面従腹背も多分に含まれる。その形態とは、
4 指揮監督の限界とその効果
上から下への情報の流れを停滞させて「上命下服」の機能不全を起こすもの、下から上への情報の流れ
„
を停滞させて「下意上達」の機能不全を起こすものがある。
上級機関・上司が下級機関・部下をの行動を必ずしも把握できているわけではない。特に外勤警察官など
‹
上命下服の機能不全
ストリートレベルの行政職員の活動は、上級機関の把握しうるものではない。そのため多くの通達と報
①
②
裁量の停止
告をもってして、管理監督を行うが、依然として広い裁量の余地が残される
上司の指示命令にいかなる補正補完も加えずに実行すること。言葉どおり実行した場合の不具合
‹
を勘案し、微調整を行うのは本来下級機関の補助責任の一つではなるが、それを放棄すると同時
「ストリートレベルの行政職員」の広い裁量の余地は、2 段構成である。
に、言葉通りであるとして責任も回避する
①
①
②
下意上達の機能不全
ストリートレベルの行政職員のジレンマ
「法適用の裁量」
第一線の職員には付きまとうもの。重要ではあるが、
「ストリートレベルの行政職員」に特有のも
裁量の濫用
のではない
指示・命令の内容を意図的に歪めて解釈し、支持者の意図しない結果を将来する行為
‹
ストリートレベルの行政職員
②
「エネルギー振り分けの裁量」
上申の停止
「ストリートレベルの行政職員」は異質な種々の業務を任されることが多く、その活動時間内に
報告すべき情報の秘匿、または独断処理により、上司の状況判断能力を奪うこと
おいて全て処理することは不可能である。これら活動のどれにエネルギーを振り分けるかは、彼
ら自身の裁量に任されている。e.g. 交番のお巡りさんの、警戒巡回業務と、待機対応業務
上申の濫用
上申の際に、必要な情報と案件の選別行為を放棄し、無差別に上申することで、上司の処理能力
‹
の限界を超えさせ機能不全に陥らせること
これらを、上級機関・上司が監督するには、業務記録の点検などによる勤務評定に頼らざるを得ない。
業務記録による勤務評定
3 忠誠と反逆
その勤務評定のポイントの設定で、ある程度上級機関からのコントロールは可能になるが、「ストリー
„
トレベルの行政職員」が点数稼ぎのために業務選択を行えば、またバランスを崩し、主たる対象者であ
忠誠の対象
忠誠の対象は「直近の上司」とは限らない、
「より上級の上司忠誠」であったり、
「集団や組織への忠誠」
る国民にとって好ましくない副作用を伴いがちになる。
であったり、「組織の目的理念への忠誠」であることも十分考えられる。またその場合は、より上位概
念への忠誠を実践するために、それより下位の上司・組織に反逆を起こす可能性が考えられる
¾
公務員の倫理
6
080710 佐藤建
行政学
西尾勝
第 13 章
官僚制批判の系譜
パーキンソンの法則:行政機関の職員数は業務量に関わりなく一定の比率で増加する
1 批判の系譜
ピーターの法則:ピラミッド型の組織で昇進することは、自分の能力を越えた地位にまで昇りつ
官僚制の批判は以下の 3 つに分類できる
めることが多い
官僚政治への批判/官僚制組織の非効率性への批判/官僚主義への批判
„
„
官僚政治の批判
不親切・尊大横柄・役人根性・杓子定規・繁文縟礼・法規万能主義・縄張り主義・権威主義・特権意識 etc
‹
官僚政治
→次章で解説
官僚組織自体が政治機関の権能を侵食し事実上の政治の実権を掌握してしまう現象
専門性・永続性・中立性>>>越えられない壁>>>従属性
‹
協同の規範
による
cf 統制の規範/分離の規範(相互不介入)
協同の規範:政治機関と行政機関との指導・補佐の関係の成立を期待する規範
=政治機関が発議・指示した構想を行政機関が具体化する
‹
→ △ 政治機関側に行政機関が立案した政策を評価する独自の判断基準はないことが多い
政策立案過程の実態:行政機関の補佐
行為が自己目的化してしまう現象
‹
依法主義
依法主義→×
繁文縟礼
規則に拘泥する態度と、文書主義が結びつくと起こる
e.g.
申請・申告・届出・報告に際してその必要性が疑われるほど多くの書類を提出を要求される
„
非人格性による職員と顧客(国民)の乖離
同一の事例には同一の対処が要求されるため、非人格性を持たねばならない
行政機関は補佐機能を果たす場合よりも、対抗の関係となることが多い
③
法規万能主義
‹
行政機関の案を法案として議会に提出する際、政治機関は取捨選択の関門として機能しているか?
②
‹
法規万能主義→「法律による行政」の視点から△
→ △ 行政機関の独自の判断によって始まることが大半
①
規則による規律の影響
行政規則や内部管理規則に過度に拘泥し依存する態度
政策立案過程の実態:政治機関の指導
政治機関が発議・支持しているか?
‹
2 官僚主義の諸相
„
何らかの目的を達成するために定められたものが法規であるが、法規を遵守するという本来手段である
政策立案のために政治機関は行政機関に依存しなければならない状況である
¾
官僚主義の批判
行政機関の既得権益を侵す場合 e.g. 行政改革
→ 職員:個別事例が法令上のどの範疇に属するかを判断するのに役立つ情報のみに関心
→統制・分離・協同の 3 つの規範いづれから見ても許されるものではない
→ 顧客:(法の知識もないため)自分がどれほど苦労しているかなどを力説
政治機関の発議した内容が与党の党利党略的過ぎるものである場合
e.g.
*
選挙制度改革
二者間に意識・態度の乖離が生じ、不親切・尊大横柄などの批判
→中立性の属性、分離の規範などから行政機関の姿勢として擁護できる場合も
„
政治機関の発議した政策が、与野党の対立を激化させ、国論の分裂、国民社会の政治統合を危う
職員の専門性・熟練性の向上、職務の能率化のために必要な原則であるがこれもまた行き過ぎを産む
くする場合
‹
→ ?
セクショナリズム:各部局が自らの所掌事務を中心に捕らえ、調整・協調に努めない
ヘーゲル:議会が市民社会の特殊利益を代表、官僚制組織は普遍的利益を代表。そのため官僚制
‹
組織はその行き過ぎを抑制する働きを持つべき?
所掌分業の原則による弊害
所掌分業~セクショナリズム
セクショナリズム~縄張り主義
縄張り主義:厄介な業務は自らの所掌事務ではないと解釈&やりがいのある業務は自己の所掌事務へ
=たらいまわし&部局・部門間競争
西尾(著者):民主制下で官僚組織に反党派・脱党派的な行動を期待することは許されない?
„
非効率性の批判
„
①
政治メカニズムによる行政サービスの資産・供給多くが独占的である
ヒエラルキー構造は命令系統一元化し秩序を維持するために必要だが、身分制と重なると弊害を産む
→競争原理が働かない環境で「節約と能率」を目指した経営努力は十分に行われるか?
‹
官僚制祖意識の作動原理の中に、組織を膨張させるメカニズムが内在している
下級職員は上級職員から強圧抑制を受けているという感情が鬱積し、それをさらに部下に求めるという
ワーグナー:財政支出は経済成長率を超える割合で増加する
循環が生じる
②
ヒエラルキー構造と身分制
強圧抑制の循環
7
行政学
*
„
080710 佐藤建
西尾勝
第 14 章
末端職員のはけ口は国民となる
政策形成と政策立案
1 政策の循環と行政行動
身分保障の原則による特権意識の発生
身分保障の原則は、公務員が自らの保身に汲々とすることのないようにするため必要である
„
政策のとは
⇔ 安定した身分と集団としての自立性が、強固な仲間意識と特権意識を産む
‹
政策の表示形式
3 官僚制組織の惰性と刷新
①
政策の構成要素は通常複数の立法形式に分散して定められている
„
e.g.
規則の改革派と保守派
上層公務員:行政規則・内規の改廃こそが仕事
②
‹
キャリアとノンキャリア
「お役人操縦法」
(日本官僚研究会
‹
昭和 46)による要旨
キャリア
計画
行政規則 etc
予算
政策の表示形式は必ずしも立法形式に限らない
e.g. 所信表明演説 外交演説
下層公務員:行政規則・内規が業務の前提条件であり保守派となる
„
法令
国会答弁
記者会見 etc
政策の構成要素
①目的
②実施機関・実施権限
業務遂行の手続き
③対象集団・対象事象
④権限行使・業務遂行の基準
⑥充当財源・定員
自分たちの権益や将来の出世をいつの間にか規定のものとして意識化に押し留め、意識的にはまったく
¾
通常の法令に記述されているのは①③④と⑤の基本事項
の愛国・愛省者となる → 個人的犠牲を省みずにほとんど無定量に働く
¾
⑤の詳細は通達等の行政規則
¾
②は組織法令
¾
⑥予算・定員法令
*
‹
しばしば仕事の出来よりも自己犠牲の代償を問題とするとととなる
ノンキャリア
軽く見られることを回避するために、ノンキャリアゆえの部局内での経験の豊かさを吹聴したがる傾向
行政活動の遵守すべき手続きと基準を定めるもの → 法令
を持つ → 法規の解釈や先例を持ち出し盾にする
行政活動の規模・量を統制しているもの → 予算
„
キャリアとノンキャリアの相互依存の分業関係
„
‹
アラン・トゥレールによる
社会の階級関係と歴史の形成行為のシステムの関係
政治システム
ここでの上位下位の階級関係は、「政治家集
各省庁
と非管理職層」「キャリアとノンキャリア」
指導的
課題設定・政策立案
費
作
業
量
事
務
量
政治諸集団
政党・利益団体・態度団体・メディア
にも適用することができる
そう見ると
官僚制組織は保守的にしか機能しないこと
国民
はないが、革新的に機能する蓋然性は低い
歴史進歩の停滞
政策・施策・事業
経
歴史進歩の促進
上位→下位階級の関係
官僚組制織
政策決定
国会・内閣
団と行政官集団」「官僚制組織内の管理職層
支配的
政策実施
政策の循環と政治のメカニズム
下位→上位階級の関係
異議申し立て
⑤権限行使・
環境
防衛
効用
効用
政策評価
効
果
社会的諸要因
„
公務員職員組合のジレンマ
公務員の職員組合は特権的な官僚段の構成分子であるとともに、特権的支配を受ける存在
①
課題設定:政府の諸機関+政党・利益集団・態度集団・マスメディアなどに広く分担
=「もっとも困難な地位」
②
政策立案:政党・行政機関にほぼ独占
組合員の利益を代表するものとして防衛的にならざるを得ない中、いかにして「異議申し立て」的=刷
③
政策決定:国会・内閣・大臣など政治機関の権限
新的に機能を果たすのか?
④
政策実施:行政機関の独占*NPM によって民間・NPO などにも
8
行政学
⑤
080710 佐藤建
西尾勝
政策評価:政治機関+行政サービスの消費者側としてインフォーマルな政治集団
を代表する人々の多元的な価値に基づく行動で相互に調節し合えば、市場の自動調整作用のように、公
2 政策形成の分析手法
共の利益に合致した政策が出来上がる。
„
←反論:現実には組織化されていない集団利益もあるので、相互調整されずに達成できない利益もある
政策立案と政策形成
政策とは当初の原案から最終成案になるまでの間に、関係者間の妥協の産物として形成されるものに過
←再反論:だからこそ、消費者利益や環境保全利益を組織化することが要求されている
ぎないともいえる。その為研究の系統として以下の二つが生まれる
„
①
政策立案の活動を少しでも合理化しようとする観点から研究している政策分析
相互に価値基準を異にする対等の政治所集団間(e.g. 省庁間)の相互の行動操作は
②
政策形成過程に働く力学を解明しようとする観点から研究している政策研究
①交渉
„
政策形成分析の手法
①
‹
政策産出分析:トーマス・ダイ
政治諸集団の行動操作
②操作
③先導
の三つに大別される
交渉:政策形成過程で、事前に協議し他機関かた期待する行動を引き出すこと
(ア) 討議:協議を通して、他機関の価値基準でも利益にもつながることを認識させる
アイラ・シャーカンスキー
相関分析の統計解析手法を用いて、各国、各州、各自治体間の比較分析を行い、政府の政策産出の差異
(イ) 取引:他機関が期待度落ちに行動すれば、利益を提供し、そうでなければ不利益を与える
が社会経済的環境諸条件の際とどの程度相関しているかを調べる。
(ウ) 貸借:取引のタイムラグがあるバージョン
②
→政府の政策のあり方は社会の産業化・都市化・所得水準・教育水準などと高い相関
‹
し付けるもの
政治システムの内部構造と政策産出の相関関係を調べる
e.g. 議員定数配分の不均衡と政策産出の相関
操作:政策立案が完了した後に、それを実現するため一方的に他機関を操ろうとすること
説得・誘因提供・脅迫・補償などがあるが、いづれも上で挙げた討議・取引・貸借を一方的に押
政治システムと政策の相関分析
租税政策構造の差異と反税機運の強度の相関
etc
③
先導:自己の政策案を公表などを通して変更の聞かない既成事実としてしまう強攻策
„
政治的交換と政治的均衡の仮説モデル
3 政策立案分析の視座
‹
デイビット・イーストンのモデル
„
政策立案の必要性
政党政治家たちは政権獲得・維持をめざし、必要な政治的支持を得るために有権者の政策要求に応答す
‹
政策案の発議と立案の契機
る(政治的交換)→ 政策要求と政治的支持の均衡点まで政策が産出
行政機関が政策案の立案に取り組む契機は
‹
「対応すべき新たな過大環境が発生した場合」→次章(勉強会対象外)
アンソニー・ダウンズのモデル
有権者は政策から受ける便益と、それにかかる費用(課税)の均衡点を求めている
「政策の達成水準を向上させる必要性が認められる場合」
*ただし有権者にとって超不完全情報状態で作動しているため、費用の大きさを過大評価し、費用の軽
‹
政策達成水準の評価基準
減を要求する方向に変更する
①
限界値基準:これ以下の状態に陥ることは絶対に避けなければならない最低限度の目標値
‹
②
充足値基準:政策目標がこの水準まで達成できれば一応はよしとする当面の目標
③
期待値基準:できることならこの水準に達したいという理想値
事例研究
克明な追跡調査により政策形成過程の現実の姿をそれらしく描き出すことができる
これら 3 つの基準のどれと照らし合わせるかによって達成水準の満足度は変わる。ただし、政策目標の
→ どこまで一般化できるのか?
„
インクリメンタリズムと多元的相互調節の理論
達成水準が向上するにつれ、限界値・充足値は上昇していき、やがて期待値も更新される
‹
インクリメンタリズム(漸変主義):チャ-ルズ・リンドブロム
„
対策対応のレベル
政策立案を回避するのは、差し迫った問題を除去するため
‹
¾
所属機関と対象集団の利益を考え
¾
目的と手段を分けて考えない
¾
現行業務にわずかな修正を加えるだけの政策案から考える
政策転換のコスト
その他集団の利益のことまで考えない
多元的相互調節
インクリメンタリズムのように、利己主義と現実主義に立って調整的に動く行為を、多元的な集団利益
小さい
大きい
(現行業務の実施方法)
(新規政策)
政策立案
小さい
微修正
模倣
のコスト
大きい
転用
研究開発
9
行政学
080710 佐藤建
西尾勝
新しい政策の模索が始まる中でも、立案形式によって政策立案者にかかる負担が異なる。
‹
①
微修正:現行業務を環境の変化に対応するように微修正を加える政策
効用の最大化を強く求める合理的選択の規範モデルは、規範的過ぎ、完全性を求めるため実現不可能な
②
転用:現行業務の目先を変え、他の業務に利用すること(e.g. 学校教育施設の生涯学習施設への
ことを要請しているのならば、それは現実的に「規範性」を持ち得ないのではないか?
転用 母子保健対策の成人病対策・高齢者介護対策への転換 etc)
また、ひとたび規範モデルを緩和すると、その完全性・総合性・最大化のどの要件をどれだけ緩和するか
③
模倣:他の国、他の自治体でうまくいっている政策を真似すること
ということの規準はモデルの中で消失してしまい説明不可能となるため、その「規範性」は著しく失わ
④
研究開発:独自に分析し新た値策を生み出すこと
れてしまう。
規範モデルのジレンマ:リンドブロムによる批判等
基本的にはトータルコストが低いものから順に考えられていく
第 17 章
„
1 予算の循環
対策の現実性
予算編成と会計検査
政策の現実性は以下の三つの観点から測られる。
„
財政と予算
①
政治上の実現可能性
‹
財政の三機能
国会審議を通過できるかという観点
①
資源配分機能:市場のメカニズムをもってしては充足することのできない、公共財。準公共財。
②
混合財を供給する機能
行政資源の調達可能性
政策の実効性を担保するだけの、権限・組織・定員・財源を確保できるかという観点
③
②
所得財分配機能:生存権の保障が政府の責務と考えられるようになってから付加された機能。社
会各層間の所得の再分配を行う機能(e.g.
業務上の執行可能性
一般的な意味での政策の現実性。業務が実際に進捗させることができるかという観点
„
対策案の合理性
‹
合理的な選択(Rational Choice)
③
累進課税など)
経済安定機能:1930 年代以降の慢性的不況の克服咲くとしてできたもっとも新しい機能。不況の
克服のため政府が積極的に介入する。
‹
財政民主主義
租税法律主義と予算決算制度
政策立案をただ政策立案者の手にゆだねておくと、政策立案にかかるコストを抑える方向、関係者の合
財政民主主義:政府の財政は全て議会の議決に基づいて処理されるべきことを基本原則としている
意を調達しやすい方向へと傾きがちであり、真に合理的で斬新な政策案を真剣に模索し探求する姿勢を
そのための基本精度が、租税法律主義と予算決算を議会を経るものとする制度
期待することは難しい
„
予算の統制機能
‹
歳出権限の付与
‹
→
「合理的な選択」に到達するための規範モデルの提唱
合理的な選択のためのモデル
さまざまなモデルに共通して言えることとして以下のことがある
政府諸機関に歳出の権限を付与している。裏返して言えば、歳出予算に根拠を待たない支出予算に定め
①
課題解決の手段を規定すべき初夏地を識別し、これらを一元的な価値体系に構成する
られている以上の支出は違法であること
②
これら諸価値を実現する政策案を余すところなく拾い上げる
‹
③
政策案を採用したときに起こりうる結果とこれによって達成される諸価値全てを調べ上げる
租税の賦課徴収または財政資金の借入について議会の承認を必要とする
④
諸価値の達成地が最大になると考えられるものを選定する
‹
歳入計画の承認
財政政策の公約
このような手順の実現のため、統計的決定の理論、ゲーム理論、費用便益分析等の価値評価技法などが
会計年度単位で、政府の政策を国民に対し表示公約する文書である
考え出されている
„
‹
予算は予算作成過程
サイモンの充足モデル
予算の循環
予算執行過程
決算過程
の三つのライフサイクルをたどる
‹
予算作成過程
そのため、効用の最大化ではなく願望水準の充足を目指せば足りるとする充足モデルが考案された
①
行政府内において次年度予算を編成する過程
願望水準を主観的な認知以上のレベルに設定 → 政策立案者に努力を要請する規範の性質が強くなる
②
十じゃ部位打て審議・修正・議決される過程
願望水準を期待可能な目標レベル → 検討した案が願望水準を満たすのであれば、最大のものの発見に
‹
予算執行過程
上で挙げた方式は完全性を要求していて、人間の認識能力の限界から実現不可能である。
努めず、その案を採用してもかまわない
予算の年間配賦計画が立てられその計画に沿って執行される
10
行政学
080710 佐藤建
西尾勝
‹
決算過程
‹
①
政府諸機関がその会計帳簿を整理士会形を閉めて決算報告を作る過程
憲法 90 条に身分の根拠を持ち、会計検査法によって「内閣に対し独立の地位を有する」と規定
②
会計検査院による会計検査の過程
‹
会計検査院の職務
③
政府諸機関の決算報告と会計検査院の検査報告が国会で審議承認される課程
①
国の収入支出の決算を検査し確認すること
2 予算編成過程の意思決定方式
②
常時会計検査を行って会計経理を監督しその適正を期し是正をはかること
„
③
会計検査放蕩に定められた以外の諸機関の会計経理をも審査すること
マクロ編成:歳出予算の総額や税制改正・公債発行の要否・規模を決定するもの
④
これらの検査結果を検査報告に掲記して国会に報告すること
ミクロ編成:歳出予算構成のその細目まで決定するもの
‹
指摘事項の種別
‹
検査の結果不適当な会計計ると認められたときには、これを指摘し是正を求めることができる。その指
予算のマクロ編成とミクロ編成
マクロ編成の過程
会計検査院
かつては大蔵省主計局が柱となって行われてきたが、平成 13 年度以降は経済財政諮問会議が中心とな
摘事項の種別は以下の 3 つ
って行っている。
①
法律政令もしくは予算に違反し又は不当と認めた事項
‹
ミクロの予算編成の段階とタイムスケジュール
②
会計経理に関して法令に違反し又は不当であると認める事項
①
各省庁の各課が予算請求原案を作成してこれを各局に提出する:5 月末~6 月初め
③
法令、制度又は行政に関し改善を必要とする事項
②
各局総務課が査定支局としての予算請求書を作成、これを各省庁の官房予算担当課(会計課)に
*実際のところの使い分けは明快ではない
提出する:6 月末~7 月初め
„
会計検査の規準
官房予算担当課が査定し象徴としての正式概算要求書を作成、財務省主計局に提出する:8 月末
‹
合法性の規準
③
~9 月初め
④
財務省主計局が精査し最終案を閣議報告し政府予算が決定される:12 月 20 過ぎに内示
個々の会計経理が法令・予算・会計規則と会計経理上の諸慣行に照らして違法性がないか
年明け
‹
3E の規準
の国会で審議
①
Economy(経済性)
:同じ成果を最も安い経費で達成するべきとする基準
„
予算編成過程の意思決定方式の特徴
②
Efficiency(効率性)
:同じ経費で最も高い成果を挙げるべきとする基準
‹
時間制約
③
Effectiveness(有効性)
:所期の目的を十分に達成しているかという規準
新年度前に国会に議決されなければならないという絶対的な制約がある。そのため「折衝」という形式
‹
有効性についての当否
が主になる
会計検査においてその有効性まで指摘することは、国会内しない各の責任に食する政策決定権に介入し
‹
ているのではないかという疑問がある
折衝構造の連鎖
前段階で査定側だったものが、次の段階では要求側に回るという構造を持つ。そのためよりいっそう喧
第 18 章
嘩別れすることはできなく、査定側の理解を求めるという構造になる。
1 能率概念の展開
‹
„
能率用語法の3類型
予算編成が複雑で膨大な作業であるため、各段階ごとでも一つ一つの事項についての意思決定は分散さ
‹
能率=官僚制原理
れ、事実上一人の担当者の判断にゆだねられている
能率を単に、有能であること、仕事のできること、仕事が速いことなどの辞書的な意味で捉える場合。
‹
民主的に対して用いられる、官僚制の専門性などに起因する性質について指すときの言葉
実質的決定権の分散構造
部分的決定の積み上げ
行政活動の能率
各段階で、決定された事項と、再考されるべき事項を細かく決定して、部分的な決定を積み上げていく
‹
ことで最終査定を行う
最小の努力をもって最大の効果を挙げるという意味で、またその計測を行うための能率という概念
3 会計検査
行政活動の4区分からどれを投入/産出とみなすかでまず種類が分かれる。
„
投入=「経費」
「作業量」
「事務量」
会計検査院と会計検査
能率=投入・産出比率
11
行政学
産出=「作業量」
「事務量」
「効果」
‹
080710 佐藤建
西尾勝
e.g.
投入=作業量・産出=事務量で生産性
能率=組織活動に対する満足度
有効性と同義となる
‹
第三の基準
組織活動の能率を、その因果連鎖の根源にあるところの生身の人間の満足度にまでさかのぼって測定す
上で挙げた二つのような特殊な場合は現実にはほとんどなく、分子も分母も異なるのが通常である。そ
る意味での能率。関係者の満足度が高ければよりよい活動を行うであろうということであるが、そのた
のための「産出量/投入量」による比率の比較であるが、、
、
め、ここの活動の良し悪しを決める上では指標となりえない。
例えば、100万円の投入に対し、100の成果を挙げる場合(A)と、150万円の投入に対し12
2 投入産出比率の意義と限界
0の成果を挙げた場合(B)、比率で言うと A が選択されることになるが、これは常に正しいことであ
„
るであろうか?これを正当化する根拠とは何か?という問題がある。
有効性から能率性へ
行政活動の良し悪しをはかるものには、能率のほかに有効性の概念も重要であり、これら二つを明確に
‹
区別することが、投入・産出比率としての能率を理解するために重要である、
機会費用の概念を導入し、制御できる投入の方に操作を加え分母を統一して、その上で分子の大小を比
‹
較するというやり方。つまり上の例で、A の場合も投入を150万円に置き、残りの50万円で挙げら
有効性の意義と限界
機会費用の概念:サイモン
有効性 = 行政活動の結果を、何らかの目標水準と照らし合わせてその達成度合いを評価するもの
れる成果を加味した上で比較をするということ
限界①:どの水準と比較しての達成度合いであるのかにより評価が変化すること。また、その水準が期
„
能率性基準の限界
‹
効果統計情報の不足
待水準でありそれが上昇する限り、多くの結果を生み出すことがよいことであることになる
限界②:この評価では、同僚の資源でもっとよい結果を生み出せたのかどうかを問題にしていない
「作業量」「事業量」のデータであれば比較的集めやすいが、行政活動の「効果」のデータは多岐に渡
„
り十分に収集を行うことが極めて困難である
能率測定の障害
能率とは、比較対象物を要求する相対評価であることからさまざまな障害が発生する
‹
‹
「能率測定の障害」の項であげた、さまざまな指標の置き方について論争が絶えず、計測の仕方に合意
介在要因(環境諸条件)の制御
合意の不成立
能率を測定したい対象と、比較対象物とでは環境諸条件が同じであることはない
が形成されにくい現状がある
‹
‹
諸価値の換算
PPBS と費用便益分析
能率を測定したい対象のその中でも統一しなければならない価値基準を持つ。消防の例では、火災発生
費用便益分析を予算編成段階の事前評価として広く活用しようとした PPBS(Planning, Programming,
件数・類焼戸数・被災者数・死傷者数・被害総額などの指標が上げられるが、それらの合算をどう表現する
and Budgeting System :計画事業予算制度)という制度が1960年代ジョンソン政権下のアメリカ
のか、単一の価値尺度で換算しなければ他の事例との比較ができない、という問題を抱える
で試みられた。結果から言えば、この制度は失敗に終わり、さまざまな考察がなされているが、やはり、
‹
能率評価の難しさそれ自体が大きかった。
割引率の設定
割引率 = 未来の異なる時点における成果を比較するときには、これもまた価値尺度を同一の基準に合
わせなければならない。このとき未来での価値を現在価値に置き換えるため用いるのもの
この割引率の数値の選び方次第で、便益の総量が変動してしまう
„
投入・産出比率の比較評価の 3 基準
投入・産出による評価は、「産出-投入の減算」で行われる場合もあるが、基本的には「産出/投入の
3 有効性・能率性の評価の活用方法
„
誰のために必要な情報か
誰のために必要な情報化によって、要求されるまとめられ方がことなる
①
政策決定者のための情報:今まで挙げてきた政策分析の情報は基本的に政策決定者のためのもの
②
国民一般のための情報:政策分析ほど緻密な精度・情報を必要とはしない。問題の所在を明らか
除算」=比率で行われる。ではこのときの比率をどのような基準で評価すべきなのか?
にし政治的関心を喚起するような情報であることが必要
‹
→自治体レベルでは導入が盛ん(e.g. 暮らしやすさのランキング)
第一基準:経済性
分子の産出量(成果)が一定で、分母の投入量(経費)のみが異なる場合。このとき能率は経費が少な
„
何のための評価か
ければ少ないほどよいという意味で、経済性と同義となる
‹
管理統制のための評価
‹
PPBS のように、各行政活動が、効果的に行われているかを管理統制するために、評価を用いる。ただ
第二基準:有効性
分母の投入量が一定で、分子の産出量のみ異なる場合。このとき能率は成果の大小、つまり先に挙げた
し、この場合各行政実施部局が、これらの評価を成績評価情報と過度に意識することで、点数稼ぎの政
12
行政学
080710 佐藤建
西尾勝
策をとることになってしまう。
③
‹
また、立法権による統制の課題としては
自己点検・自己改善のための活用
国政調査権による統制
PPBS の失敗以来、統制管理に用いるよりも、各実施機関が自己点検・改善のために政策評価を行うこ
議員立法の積極的な活用
とが多かった。ただしもちろん内部での評価であるので、その効果のほどには疑問符がつけられること
国会会期の廃止
政令等への委任度の抑制
築城審議の導入
があり、論議が続くものには
政令を審査する制度
などがある
„
内閣・内閣総理大臣・各省大臣による統制
‹
内閣による統制
近年 NPM の思潮から、再び管理統制の意味合いでの評価が見直されるようになってきた。それは、民
①
法案提出権による統制(e.g. 内閣から提出する法案・予算・決算の承認
間や NPO など公共サービスの生産・提供者が多様化してきたことから、
「誰が行うべきか」
「誰に任せ
②
政令制定権による統制
るべきか」「事業がうまく行われているか」を考える必要が出てきたからである。またそのための評価
③
人事権による統制(e.g. 最高裁判所裁判官の任命権
が多くなる
‹
NPM の思潮から
権
手法として開発され始めている。
検査官・人事間・行政委員会委員等の任命
各省庁の局長以上及び説く処方人の役員等の人事に関する承認権)
-まとめ-
④
指揮監督権
政策分析手法の活用方法とは、一言で言えば、必要以上に精度の高い分析をもとめるのではなく、また
⑤
内閣法制局による管理統制
その精度に見合う程度以上の意味を持たせないことであり。
‹
内閣総理大臣による統制
第 20 章
①
国務大臣・副大臣・大臣政務関東の任免権及び指揮監督権による統制
1 行政構造の憲法構造
②
内閣府の主任大臣としての内閣府令制定権による統制
„
行政統制と行政参加
③
内閣府の主任大臣としての人事権及び指揮監督権
‹
制度的統制と非制度的統制
行政統制と行政責任
‹
各省大臣による統制
行政の統制に関しては、その統制に従わなければならない制度的根拠のある統制であるか、内部・外部
①
各省の主任大臣としての内閣府令制定権による統制
どちらから発するものかによって下の表のように分けられる
②
各省の主任大臣としての人事権及び指揮監督権
„
裁判所による統制
制度的統制
非制度的統制
在外的統制
議会による統制
諮問機関における要望・期待・批判
執政機関による統制
聴聞手続きにおける要望・期待・批判
条約の締結権)
行政裁判所の否定:「特別裁判所は、これを設置することができない。行政機関は、終審として裁判を
行ふことができない」(憲法 76 条 2 項)
情報開示請求による統制
2 行政活動への直接参加
その他対象集団・利害関係人の事実上の圧力・抵
„
政策立案への参加
抗行動
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諮問機関方式
職員組合との交渉
国家行政組織法第 8 条に基づき設置されている審議会等が現在91ある。その答申には行政機関の意思
マスメディアによる報道
決定を拘束する法的な効力は与えられていない。ただし、実際に無視することは事実上困難。(私設諮
会計検査院・人事院その他の官房系組織に
職員組合の要望・期待・批判
問機関の場合は別)
よる管理統制
同僚職員の評価・批判
‹
裁判所による統制
在内的統制
行政委嘱員方式
各省大臣による執行管理
政策実施業務の一端に参画し協力する任務を国民に委嘱する方式(e.g. 民生委員
上司による職務命令
員
„
国会による統制
„
①
立法権による統制
‹
②
人事権による統制(e.g.内閣総理大臣の指名
内閣の信任・不信任
)
行政相談員
国勢調査員
保護司
人権擁護委
etc)
行政立法・計画策定への参加
行政立法の事前手続き
現代国家は、政策の記述を法律自体では大綱にとどめ、政令・省令で具体的に定めることが多い。その
13
行政学
080710 佐藤建
西尾勝
ため行政立法の過程にも対象集団・利害関係者の意向を聴取する制度がないかが問われる。
⑤
救済方法:開示請求を拒否された場合の当否を争う方法
日本の行政手続法には規則制定の事前手続きは定められていない。
‹
制度の限界
平成 11 年 3 月「規制の制定または改廃にかかる意見提出手続き」が閣議決定され、パブリックコメン
①
国民の側が手間をかけて請求しないと公開されない
ト制度は導入されている
②
しきゅうしゃにのみかいじされるのであり、広く国民に公開されるわけではない
‹
③
新しく情報を収集作成することは義務付けられていない(国民が知りたい情報をうまくまとめて
‹
e.g. 情報公開審査会 → 裁判所
パブリックコメント制度
計画策定の事前手続き
伝える必要はなく、該当する情報がまとめられてなければそのままでよい)
各自治体レベルでは、計画策定において、対象集団・利害関係者の意向を聴取する制度が条例で定めら
れていることはあるが、国レベルでは、都市計画法や環境影響評価法など少ない
‹
‹
情報公開制度を過度に恐れ嫌うあまり、情報の記録をしなくなり、またそれが業務に影響が与えるよう
住民運動・住民参加の意義
制度の陥穽
このような住民運動・住民参加とは、公共事業の独善性を抑制し、全体利益と部分利益、多数者の利益
なことはあってはならない。そのため、情報の記録管理方法の改善と平行して、情報公開制度の整備は
と小数者の利益の適正な調和についての再考を促すという意味で重要である。ただしもちろんその主張
進められなければならない。
がそのまま公共の利益に合致しているわけではないので、主張の中にどれだけの公共性が含まれている
3 行政責任
か、その公共性を誰がいかなる手続きを経て判定するかが問題となる。
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古典的行政責任
„
行政手続きへの参加
‹
任務責任
‹
行政手続法
政治機関から与えられた任務を遂行する責任
行政運営における公正の確保と透明性の向上を目指す
‹
許認可等の処分・行政指導・届出に関する手続きについての共通事項を定めている
法令・予算による規律、上級機関の指令、上司の指示・命令に従って行動する責任
„
‹
オンブズマン制度
服従責任
説明責任
本来の形態として、議会に選任され議会に対して責任を負う独立かつ不偏不党の公務員
監督者の問責に応答し自己のとった行動に対して弁明を行う責任
行政機関、行政官・行政職員の行動・決定に対する市民の苦情を受け付け、これについて職権で調査し、
‹
是正措置を勧告市議会に報告する職務を持つ
任命権者から加えられる制裁に服する責任
*北欧で誕生し欧米に拡大したが日本では未普及
„
„
情報公開制度
古典的な行政責任は受動的なものであったが、行政活動の拡大とともに、受動的な責任を果たしながら
‹
制度の目的と眼目
受裁責任
能動的責任
も自発的に行動されることが要求されるようになってきたため、能動的な責任も発生してきた
官僚制組織が自らの専門性を必要以上に担保しようとするため、職務情報の独占と秘匿を行い、素人た
‹
補助責任
る政治家と民衆に対し優位な関係であろうとする悪弊を打破することを要求する
規律、指令、支持・命令に違背しない範囲において、もっとも懸命なる行動を選択する責任
‹
制度の論点
‹
①
請求権者の範囲:何人でも請求できるのか、自国民や自治体内住民に留めるのか
所掌事務の領域に新たな社会問題が発生した場合、いち早く察知し、上司・上級機関・政治機関の意思決
→制度を「知る権利」に求めるのか「参政権」に求めるのか
定について助言忠告を行うこと
対象期間の範囲:全ての政府機関の保有する情報を対象とするのか、議会等を除くのか
„
e.g.
上で挙げた能動的責任は、官僚制組織内部における、双方向性の問題に対して、持ち上がってきた過大
②
国会と裁判所は対象外
補佐責任
非制度的責任
③
対象情報の範囲:制度施行以前の情報も含むのか、制度後に限るのか
に対する責任であるので、従来の「答責性」の範囲に収めることができる。しかし、そのほかに、先に
④
適用除外事項の範囲:どのような特殊事項について「開示しないことができる」とするか
挙げた、非制度的な統制が進むにつれ、それらの要求にも応じなければならないであろうという「応答
外交・防衛・捜査の情報は関係省庁の判断で非開示にもできる
性」の概念を導入が進むこととなった。
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行政学
西尾勝
„
説明責任概念の拡張
‹
主権者への説明責任
080710 佐藤建
従来の説明責任は、直接的に制度的な統制・要求を与えるものに対して応える意味での説明責任であっ
た。しかし、最近では、その概念が拡張され、究極の監督者である主権者・国民に対しても説明責任が
あるというレベルにまで引き上げられた
‹
インターネットの発展
説明責任が拡張した背景には、インターネット等の情報通信技術が発展したため、広く説明責任を果た
すための手段が生まれたことが大きい
„
行政責任のジレンマと自立的責任
‹
行政責任のジレンマ
非制度的統制に対する応答責任まで求められるようになった現在ではあるが、非制度的統制に関与する
諸集団の価値・統制・期待は互いにことなることのほうが多い。そのため各行政担当者はどの価値・統
制・期待に応えるべきなのかの選択に迫られている
‹
自立的責任
行政責任のジレンマ的状況により、他律的な責任が十分な条件でなくなってきた。その中で、いかに応
答性を発揮するかという上で、いかに私的な利害関係よりも、公共の利益を優先できるかという、公共
的責任=自立的責任が求められている
-まとめ-
現代国家の行政活動に対する民主的統制を強化するためには、新しい行政統制の諸制度を多元的に整備
充実し、これらを総合的有機的に組み合わせて活用しなければならない。またs、それと同時に、行政
官・行政職員の情熱・洞察力・責任感を涵養する措置を講じ、補佐していかなければならない。
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