ガイドレシオと標準ガイド料金に関する内規

ガイドレシオと標準ガイド料金に関する内規
(目的)
第1条
この内規は、一般社団法人日本アルパイン・ガイド協会(以下、当協会とする)に所
属する会員がが行うガイド活動、講習会において、安全管理上からの許容される顧
客数の目安を別表に規定し、これを基準として、各ガイドは安全に登山を遂行し、安
全確保の責任者としての義務を果たさなくてはならない。また、標準ガイド料金をここ
に定める。
(レシオの運用)
第2条
この内規のレシオ規定は、ガイド契約を行う時点で考慮されていなくてはならない。
つまり募集広告等のガイド契約以前においてこの規定を超えてはならない。また、ガ
イド契約以後においては、そのルート、場所に応じた対応を図らなくてはならない。
つまり積極的にロープを使用しないルートと規定されていても、自然状況の変化によ
り、常にロープワークが必用となる場合には、ガイドを増やす必要がある。また、登山
中にそのような状況になった場合には、ルートを変更する必要が出てくる、といった
対応を図る。
(レシオからの除外項目)
第3条
この内規のレシオからは、次の項目を除外する。
ア) ガイド養成学校における研修。
イ) 会員が主催する高度な登山者を育成するための研修、講習。
ウ) 海外におけるレシオについては、当該登山国のレシオを尊守するものとしてこれを
除外する。
(標準ガイド料金の種類)
第4条
この内規に定める標準ガイド料金(別表)は次の内容とする。
ア) 一般登山道でのガイド料金、(無雪期、積雪期)
イ) 山岳スキーでのガイド料金
ウ) 登山技術講習料金
エ) ルート別クライミングガイド料金(無雪期、積雪期)
オ) ガイド拘束料金(無雪期、積雪期)
カ) 遭難救助出動料金
(標準ガイド料金からの除外項目)
第5条
この内規に定める標準ガイド料金から次の項目は除外する。
ア) 協会が主催する登山学校での講習費
イ) ガイド養成学校での研修・講習費
ウ) 会員が主催する登山学校、登山スクール形の参加費
エ) 会員のための遭難救助出動料金
(ガイド拘束料金の適用について)
第6条
ガイド拘束料金は、ガイドが拘束された日数内でガイド行為が行えなかった日数を
半日単位で算出するものとする。
(公募ガイド料金について)
第7条
公募、公募広告における参加費は、この内規に定める標準ガイド料金から大幅に下
回る金額であってはならない。また、発生し得る料金については、明記していなくて
は、それを徴収することがあってはならない。つまり、ガイドの拘束費、ガイドの交通
費等の徴収に関する明記が無い限りそれを徴収することがあってはならない。
(ガイド契約の解除と顧客のキャンセル、及びキャンセル料について)
第8条
ガイド契約成立後の解約、及びキャンセル料金については、これをガイド申込み書、
ガイド契約書に明記していなくてはならない。口頭でこの契約を行った場合は、この
内容を説明のうえ受諾しなくてはならない。
(罰則)
第9条
この内規に明らかに違反した場合には、資格審査委員会にて審議の上、「注意」、
「戒告」、「資格停止」の処分を行う。
第10条
別表に定めるガイドレシオ、標準ガイド料金については、毎年のルート状況、経済
状況を考慮して年度毎に見直す。
第11条
この内規は資格審査委員会で企画立案し、理事会において2/3の賛成をもって
改廃できる。
以上は、一般社団法人日本アルパイン・ガイド協会のガイドレシオと標準ガイド料金に関する
内規である。
平成21年5月13日 理事会にて制定
一般社団法人日本アルパイン・ガイド協会
資格審査委員長 嶌田 聡
別表.1
ガイド・レシオ
日本アルパインガイド協会資格審査委員会
2009年4月1日、理事会にて制定
ガイド・レシオとは、季節別の登山ルートのガイディングや講習時における、ガイドと参加者
数の適正比率関係を表したものである。その一例として、積雪期における八ヶ岳・赤岳の一般
登山道からのガイド・レシオは、ガイド1名に対して参加者数は4人から6人を目安とし、それを
超える人数の場合は、人数に見合った複数のガイドや補助ガイドが同行することが望ましい。
下記に記したガイド・レシオは、本会の資格別の職域範囲を尊守するとともに、ガイド1名
に対しての参加者数を表したものである。これを基準として、各ガイドは安全に登山を遂行し、
安全確保の責任者としての義務を果たす必要がある。
本会のガイド・レシオの参加者人数に幅がある理由は、ガイディング経験の浅いガイドは、
ガイド・レシオの下限の人数を基準として、これを尊守しなければならない。
しかし、いずれの場合も事故の際の救助は容易ではない山岳地域であることを充分に勘案
し、参加者の技量や山岳の状況に応じて、より慎重に決定すべきである。
◆季節、ルート別のガイド・レシオ (例示は一部である)
◇無積雪期
1、一般登山道(初級及び中級者向きのルート)
適正比率=1:5~8
危険個所が一部あるが、ロープの結束を必要としない登山道。
例:後立山縦走、表銀座縦走、立山三山縦走など
2、一般登山道難路(上級者向きのルート)
適正比率=1:4~6
部分的にロープによる確保や、固定ロープの設置が必要とされる。
例:西穂高岳~奥穂高岳、剱岳源次郎尾根、北方稜線、北穂高岳東稜、明神岳東稜~前穂
高岳、甲斐駒ケ岳~鋸岳、表妙義山縦走、剣岳別山尾根、槍ヶ岳、奧穂高岳~前穂高岳な
ど
3、登攀1級(熟達者向きのルート)
適正比率=1:3~5
タイトローピング、ショートローピングによる行動や、部分的に隔時登攀などが必要なルー
ト。
例:槍ヶ岳北鎌尾根、前穂高岳北尾根、星穴岳、穂高コブ尾根
◇積雪期
1、一般ルート(初級者ルート)
適正比率=1:5~8
ロープを必要としないルート。
例:北八ヶ岳・天狗岳、谷川岳天神尾根、八ヶ岳・硫黄岳、
2、一般ルート(中級者ルート)
適正比率=1:3~6
タイトローピング、ショートローピングが必要なルート。
例:八ヶ岳・赤岳、残雪期の奥穂高岳、谷川岳西黒尾根、横岳~赤岳、富士山、池山尾根
~北岳、甲斐駒ケ岳黒戸尾根、宝剣岳、五竜岳、西穂高岳
3、一般ルート(上級者ルート)
適正比率=1:3~5
隔時登攀を含むタイトローピング&ショートローピングが必要なルート。
例:西穂高岳~奥穂高岳、北穂高岳東綾、残雪期の剣岳別山尾根&早月尾根、一ノ倉沢東
尾根、八ヶ岳 阿弥陀岳南稜・北稜、権現岳~赤岳~横岳、鋸岳~甲斐駒ケ岳
◇登攀ルート(季節を問わず)
岩壁、岩稜、氷雪壁、雪稜、氷壁、沢登りなど主に隔時登攀によるルート。
コンテニュアスクライミング(ガイドと顧客が同時行動すること)を含むルートやアプローチで前
記のレシオによって拘束される場合は、そのレシオを優先する。
完全な隔時登攀の場合には、レシオは登攀方法によるものとし、それを定めない。ガイドは、
安全を確保出来る登攀方法を選択し、それが適わないと思われる場合は、ルートを変更する
か、中止しなくてはならない。
◇各種講習会
①、トップロープ主体のロック(フリー&アイス)クライミング講習会。
適性比率=1:5~7
②、登頂を目的としない雪上講習会、レスキュー講習会。
適性比率= 1:5~8
③、マルチピッチを含むロック(フリー&アイス)クライミング講習会。
適正比率=1:4~6
◇山岳スキー(テレマーク、スノーボードを含む)
①、オフピステ・スキーガイディング(ゲレンデに隣接する自然地形での活動)。
適正比率=1:7
②、山岳スキーガイディング。
適性比率=1:6
③、山岳スキーガイディング中にロープによる確保を必用とする部分を含む場合。
適正比率=1:4
別表.2
標準ガイド料金
一般社団法人日本アルパインガイド協会・資格審査委員会
2009年4月1日、理事会にて制定
2013年1月15日、理事会にて一部追加
(1)
一般登山道でのガイド料金、(無雪期、積雪期)
・無雪期、一日当たり、40,000円
・積雪期、一日当たり、45,000円
(何れも、2名までの料金となり、1名増える毎に1万円追加される)
(2)
山岳スキーでのガイド料金
・一日あたり、40,000円
(2名までの料金となり、1名増える毎に1万円追加される)
(3)
登山技術講習料金
・雪山講習、氷壁登攀講習・・・・・・・・・・1日 40,000円
(人数は3名まで、4名より1名増すごとに7千円追加されます。)
・
岩登り講習、救助技術講習・・・・・・・・・1日 40,000円
(人数は3名まで、4名より1名増すごとに7千円追加されます。)
・
山岳スキー講習・・・・・・・・・・・・・・1日 40,000円
(人数は3名まで、4名より1名増すごとに7千円追加されます。)
(4)
ルート別クライミングガイド料金(無雪期、積雪期)
クライミングルート別ガイド料金表、 ( )内は冬季ガイド料金
<谷川岳山域>
• 一の倉沢2ルンゼ、3ルンゼ 55,000円 (120,000円)
• 滝沢スラブ諸ルート 80,000円 (110,000円)
• 南稜、中央稜 50,000円 (90,000円)
• 変形チムニー、中央カンテ、凹状 70,000円 (100,000円)
• 衝立岩ダイレクトカンテ 75,000円 (100,000円)
• 衝立岩他の諸ルート 80,000円 (120,000円)
• 幽の沢中央壁諸ルート 70,000円 (ガイド不可)
• V 字右ルート、左ルート 60,000円 (110,000円)
• 左方ルンゼ 70,000円 (100,000円)
<北岳バットレス>
• バットレス4尾根 60,000円 (100,000円)
• 4尾根~中央稜 80,000円 (120,000円)
<穂高岳山域 >
• 滝谷諸ルート 60,000円 (120,000円)
• 前穂東壁諸ルート 70,000円 (150,000円)
• Dフェース諸ルート 80,000円 (150,000円)
• 前穂4峰正面諸ルート 70,000円 (ガイド不可)
• 前穂北尾根 50,000円 (90,000円)
• 北穂東稜 50,000円 (冬季不可)
• 屏風岩東稜、雲稜ルート 70,000円 (100,000円)
• 屏風岩他の諸ルート 90,000円 (140,000円)
<黒部丸山>
• 左岩稜、右岩稜 各70,000円 (冬季不可)
• 東壁、南東壁 85,000円 (冬季不可)
<黒部奥鐘山西壁>(冬季登攀のガイドはこの壁で行いません。)
• 紫岳会ルート、中央ルンゼ 80,000円
• 正面諸ルート 120,000円
<唐沢岳幕岩>
• 幕岩S字状、大凹角、畠山ルート 各70,000円
• 正面壁諸ルート 120,000円
• 左方ルンゼ (70,000円)(冬季のみ、アイスクライミングルートです。)
<八ヶ岳>
• 横岳、赤岳の各岩稜 45,000円 (50,000円)
• 小同心クラック、大同心南稜 50,000円 (60,000円)
• 大同心雲稜 65,000円(80,000円)
• 裏同心ルンゼ、三又峰ルンゼアイスクライミング 各50,000円)
• 大同心大滝、南沢大滝アイスクライミング 65,000円
<明星山P6南壁>(冬季登攀のガイドはこの壁で行いません。)
• 左フェース 55,000円
• 左岩稜
65,000円
• フリースピリッツ 75,000円
<剣岳>
• 源次郎尾根 45,000
• 八ツ峰上半のみ(5・6~8峰) 45,000円
• 八ツ峰縦走(1・2~8峰) 60,000円
• 八ツ峰ABCDの各岩壁諸ルート 60,000円
• 北峰稜線(剣沢~別山尾根~剣本峰~池の谷乗越~三の窓~小窓~池の平小屋) 60,
000円
• チンネ左稜線、中央チムニー~Aバンド~Bクラック 65,000円
• チンネ他の諸ルート 75,000円
• 池の谷剣尾根 75,000円
• 池の谷右股、左股諸ルート 80,000円~100,000円
<甲斐駒ケ岳>
• 赤石沢奥壁諸ルート 70,000円~90,000円
• 赤石沢ダイヤモンドフランケA・B諸ルート 75,000~100,000円
• オーレン谷左股アイスクライミング(冬季) 80,000円
• オーレン谷右股 同
75,000円
• 尾白本谷、北坊主の滝、西坊主の滝、滑滝沢、奥の滑滝アイスクライミング 各90,000円
(5)
(6)
ガイド拘束料金(無雪期、積雪期)
・
無雪期には1日あたり3万円
・
積雪期には3万5千円
遭難救助出動料金 (2013.01.15理事会にて追加)
・
岩壁での救助の場合は、一日当たり6万円
・
その他の場所での救助は、一日当たり4万円
(何れも積雪期では、2万円を増額する。)
以上、