特集 症 状 別フィジカルアセスメント 表3 ペインスケールの種類と方法 スケールの名前 方 法 Numerical Rating Scale(NRS) 数字による測定 「まったく痛みのない状態を0,これ以上考えられない痛みを10とすると,あなたの 痛みはどれぐらいですか」と質問する Verbal Rating Scale(VRS) 言葉による測定 0~4までの5段階で痛みを表現する(0:痛みなし,1:軽度の痛み,2:中等度の 痛み,3:強度の痛み,4:最悪の痛み) Visual Analogue Scale(VAS) 視覚的な長さによる測定 「痛みの程度は,下記の直線上のどのあたりですか.指し示してください」と質問する 0 100 「今の痛みをもっともよく表す顔はどれですか.指し示してください」と質問する Face Scale 顔の表情による測定 (黒田裕子編:成人看護学,医学書院,2009,p.162.より引用) 系,産婦人科系,泌尿器系など多岐にわたりま ●すぐに対処しなければならない疾患 す.なかでも出血性の疾患(腹部大動脈破裂,子 1.腹部大動脈破裂 宮外妊娠破裂,外傷など)や血行障害による疾患 破裂に伴い激痛と出血が起こります.動脈性, (絞扼性イレウスなど) ,炎症性の疾患(急性虫垂 しかも大動脈の出血であり,急激にショック状態 炎,穿孔性胆嚢炎,壊死性膵炎など) ,潰瘍性の に陥り生命の危機となる緊急度の高い疾患です. 疾患(消化管穿孔など)は緊急手術が必要です. 2.消化管穿孔 2.腹膜刺激症状がみられる場合 通常は消化管内部を通過する消化液や食物残渣 腹膜刺激症状は,細菌感染や外傷,出血,消化 などが,穿孔に伴い腹腔内に漏出することで,腹 液の腹腔内漏出などの化学的刺激により,腹膜に 膜刺激を引き起こします.さらに腹腔内の炎症に 刺激が加わることで出現します.代表的なものに よる急性腹膜炎や穿孔に伴う出血からショック症 はブルンベルグ徴候(反跳痛)や筋性防御(デ 状を引き起こすため,緊急度の高い疾患です. ファンス)などがあります. ●経過観察でよい疾患 腹膜刺激症状の原因疾患は,消化管穿孔や絞扼 1.感染性腸炎 性イレウス,急性膵炎,急性胆嚢炎,虫垂炎など 一般的に自然治癒傾向が強い疾患であること による腹膜炎,子宮外妊娠などが考えられます. や,細菌性やウイルス性であれば対症療法(脱水 3.ショック症状がみられる場合 予防,制吐,鎮痛など)でよいことから,経過観 ショック症状がみられるときには,生命の危機 察でよい疾患の一つです. 的状況にあるため迅速な対応が必要となります. 2.尿路感染症 吐血・下血などを伴う場合や,激痛がある場合に 尿路感染症は腎盂腎炎と膀胱炎に分けられます はショック症状に注意する必要があります. が,ともに外来での治療が可能です.抗菌薬の投 与や十分な水分補給が治療の基本となります. 22 看 護 技 術 2 0 1 3 -4 Vol.59 No.4-334
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