高分解能 PET-MRI 複合型撮像装置 PET and MRI Integrated Imaging Systems with High Spatial Resolution 川上 誠* 青 木 雅 昭 ** 杉 山 英 二 ** Makoto Kawakami Masaaki Aoki Eiji Sugiyama 医用画像診断技術の一つとして MRI(Magnetic Resonance Imaging)の解剖学的画像と PET (Positron Emission Tomography)の機能画像の同時撮像による診断能力の向上が期待されている。 しかし,PET 装置は磁界の影響を受けやすく,また MRI 装置は PET 検出器材料(シンチレータ)の 磁性の影響を受けるため一体化が困難であった。そこで,永久磁石式 MRI の特長を活かした,PET 検出器(光電子増倍管)に必要な低磁界空間を確保した MRI 磁気回路を考案し,MRI 撮像空間の 磁場の均一性に及ぼす影響が小さいシンチレータ検出器材料の選定により小動物の同時撮像が可能な PET-MRI システムを実現した。 The simultaneous imaging of the anatomical images of MRI (Magnetic Resonance Imaging) and functional images of PET (Positron Emission Tomography) systems are expected to improve diagnostic capability. However, the PET system cannot be operated under the high-magnetic fields, and the scintillator material of the PET system interferes with the MRI system. Then authors realize the in vivo simultaneous imaging of PET and MRI systems for small animals by developing a new magnetic field system of MRI with a low magnetic field spot for the PET detector and selecting a scintillator material with small influence on the homogeneity of the main magnetic field of MRI system. ● Key Word:Nd-Fe-B 系磁石,MRI,PET Code:Integrated PET-MRI system ● Production ● R&D Stage:Development ンチレータ結晶と光電子増倍管(Photo-Multiplier Tube 1. 緒 言 :PMT)を用いており,PMTは真空中を走行する電子を 成人病に占める悪性腫瘍疾患の割合が増加する傾向にあ 用いているため磁場の影響を受ける。この結果,強磁場を る。悪性腫瘍は早期発見による治療が効果的であるため診 用いるMRIの撮像空間にPMTを挿入すると動作しなくな 断性能の向上の要請が高まってきている。PETは,腫瘍に る。一方,MRI装置は歪みのない撮像画像を得るためには 集積しやすい放射性標識化合物を患者に投与し,集積した 均一性の高い磁場空間が必要である。しかし,PET装置に 放射性標識化合物から放射される陽電子が消滅するときに 用いるシンチレータ結晶には磁性を持つ元素を使用してい 発生するγ線を検出する方法で腫瘍に対する検出感度が高 るものが多く,MRI撮像空間内に設置するとMRI撮像画像 い。しかし,組織の構造を描画する機能を持たないため患 を歪ませてしまう問題がある。一方,解剖学的画像を取得 部の特定が難しい。一方,MRIは生体のプロトン密度に由 する手段として磁場を用いないX線CT(X-ray Computed 来する情報を取得し,高い分解能を持つ解剖学的画像,特 Tomography)を用いたPET-CT同時撮像装置も考案され に内臓などの軟部組織を明確に描画できる特長があるもの ている。しかし,X線CTはX線の吸収能の差異を画像化し の,病変部の組織の違いを描画することは困難である。そ ているため,骨の描画には優れるが,X線の吸収率に差が こで,PETとMRIの同時撮像による画像合成で腫瘍の場所 少ない内臓のような軟部組織は明確な描画が困難である。 を明確に診断しようとする試みが進められてきた1) 。しか したがって,診断性能の向上のためPETと軟部組織の描画 し,PET装置とMRI装置は互いに干渉するため一体化した に優れたMRIの同時撮像技術の開発が望まれてきた。本報 装置の実現には至っていない。PET装置はγ線の検出にシ ではMRI装置の磁気回路に着目し,永久磁石式MRI磁気回 * ** 28 日立金属株式会社 NEOMAX カンパニー NEOMAX エンジニアリング株式会社 日立金属技報 Vol. 27(2011) * ** NEOMAX Company, Hitachi Metals, Ltd. NEOMAX Engineering Co., Ltd. 高分解能 PET-MRI 複合型撮像装置 間近傍にPMTが動作可能な低磁場空間を確保した磁気回路 2. 2 PET 検出器の組み込みに適した永久磁石型 MRI 磁気回路の考案 を考案し,併せて磁気回路への影響が小さいシンチレータ 永久磁石型MRI磁気回路は漏洩磁束密度が小さい特長が 結晶材質を選定することでPET-MRI一体型装置の実現の あるが,特にヨークの背面では磁束が軟質磁性体に集めら 可能性と有効性について検討を行った。 れるため漏洩磁束密度が小さくなる。そこで,ヨーク背面 路の特長である漏洩磁束密度が小さい点を活かして撮像空 に磁気シールドボックスを配置してPET検出器の光電子増 倍管が動作可能な低磁場空間をMRI撮像空間に隣接して確 2. MRI 磁気回路の構成と特長 保するとともに,ヨーク中央部に貫通孔を設けることでシ 2. 1 MRI 装置の磁気回路 超電導コイル型と永久磁 石型の比較 ンチレータブロックと光電子増倍管(PMT)を接続する光 超電導コイルを用いた磁気回路の構成は,複数個の円環 タ光は光ファイバで減衰するため,光ファイバを短くする 状の超電導コイルが同軸状に配置されており,これらは超 ことでPET装置の感度低下を抑えることができる(図 2 ) 。 ファイバの長さが短縮できる構造を考案した。シンチレー 電導状態を保つための冷却設備内に収められている。これ らのコイルは印加された電流により撮像空間内に均一な磁 場が形成されるように形状,配置が設計されている2)。こ Magnetic shield box Bundle of optical fibers Scintillators alley made of LGSO の磁気回路では撮像空間内に発生した磁束の帰路がコイル の外側となるためコイルの外側にも強い磁界が発生する。 一方,永久磁石を用いた磁気回路の構成は,撮像空間を挟 んで対向配置された永久磁石から撮像空間内に磁場を印加 する構造で,磁石表面に配置されたポールピースにより, 撮像空間内に均一な磁場が発生するように設計されてい る。そして,この対向配置された一対の永久磁石から発生 する磁束の帰路は,軟質磁性体を用いたヨーク(継鉄)を PMT 通る構成になっているため,撮像空間以外の空間に発生す る漏洩磁束が少ない特長がある(図 1 ) 。 RF coil for MRI Iron yoke Direction of magnetization Permanent magnet Field of view 図 2 PET-MRI 一体型検出器の構成 Fig. 2 The construction of a combined PET-MRI detector 3. 実験方法 3. 1 実験に使用する PET 検出器組み込み可能な MRI 磁 気回路の設計と製作 Direction of magnetization Flow of magnetic flux 3. 1. 1 MRI 磁気回路の仕様について 検討したMRI磁気回路はラットやマウス等の小動物を対 Imaging area 象として,有効視野は直径 50 mm,長さ100 mm程度とし, PET用シンチレータアレイ(外径 180 mm程度)を挿入す 100mm 50G 40G 30G 20G 10G 100mm る空間を考慮して,MRI磁気回路の対向する磁極間の距離 は 220 mmとした。また,空間分解能は小動物の微細組織 の描画を考慮し,0.2 mm程度を目標とした。予め行った 基礎検討により0.12 Tの小型磁気回路を用いたMRI画像撮 像実験で約 1 mmの分解能が得られているため,この 5倍 を目標とした。 分解能を決定する要因は撮像シーケンスをはじめ各種考 えられるが,ここでは信号強度と雑音の比率(S/N比)を 5 倍に改善することとした。 図 1 永久磁石型 MRI 磁気回路外観と漏洩磁場の分布 Fig. 1 Permanent magnet type magnetic circuit for MRI and the distribution of leakage magnetic flux MRI信号のS/N比は,検出コイルがソレノイドコイルで, 対象物が小さく誘導ノイズが支配的でない場合,磁場強度 の7/4乗に比例することが知られている3)。 日立金属技報 Vol. 27(2011) 29 すなわち,必要な磁場Bは 7 4 B ( 0.12 )=5 (1) より B=0.301(T) (2) となり,磁極間距離220 mm,空間の磁束密度0.3 Tの磁 気回路に磁気シールドボックスを配置するものとして以降 の検討を進めた。 0.5 m 3. 1. 2 磁気シールドボックス付き磁気回路の形状設計 図 4 製作した磁気回路外観 Fig. 4 View of the magnetic circuit 光電子増倍管の安定動作に必要な0.5 mT以下の磁場環境 で,検出器の収納に必要な400 mm角の空間が確保できる磁 気シールドボックスの設計を試みた。また,シンチレータ から光電子増倍管を結ぶ光ファイバによるシンチレータ光 の減衰を最小限に抑えるため,磁気シールドボックスは撮 像空間に可能な限り近接配置することが望ましい。よって, 磁気シールドボックスはヨーク背面に近接配置させ,ヨー 表 1 磁気回路の磁束密度測定結果 Table 1 The measured result of magnetic flux density 項 目 実 績 ギャップ中心磁場強度 プロトン共鳴周波数 0.3025 T(測定温度30 ℃) 12.881 MHz(測定温度30 ℃) 磁場均一度(偏差100 ppm以内) 磁場均一度(偏差10 ppm以内) 220 mm×180 mm楕円空間内 50 mm球体空間内 クに貫通孔を設けて光ファイバを直接導く構造とした。 磁界解析により設計した磁気回路と磁気シールドボック 3. 1. 4 磁気シールドボックス内の磁束密度測定結果 スの形状および磁気シールドボックス内の磁束密度分布計 光電子増倍管を収納する磁気シールドボックス内の磁束 算結果を図 3 に示す。 密度分布の測定を行った。その結果を図 5 に示す。結果は, 計算値よりやや高く,特に磁気回路側開口部中央付近では 925 ㎜ Z 離れたところでは0.35 mT以下となり,光電子増倍管が安 定動作可能な磁束密度であった。 Y Y X X 高めの値を示したが,磁気回路側開口部から100 mm以上 666 ㎜ Hole for guiding optical fibers Z 785 ㎜ 220 ㎜ Dstribution of magnetic flux density(Bz) Magnetic circuit Magnetic shield box Distribution of magnetic flux density Field of view 50 0.3 0.2 0.1 0 RF Coil 700 mm 800 mm Magnetic shield box o-point x-point z-point 0 50 100 150 200 250 300 350 700 710 720 730 740 750 760 770 780 790 800 Y-axis(mm) Distance from the center of the pole piece ( mm ) Magnetic circuit Z-axis z-point 3. 1. 3 磁気回路製作結果 0 mm X-axis Y-axis Measure direction 図 3 設計した磁気回路外観と磁気シールドボックス内の磁束密 度分布計算結果 Fig. 3 The construction of a designed magnetic circuit and the calculated result of magnetic flux density distribution Area for PMTs Shielded region Bz(mT) 750 mm Magnetic shield box Bz(×0.0001T) Magnetic circuit 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1 0 x-point o-point (mm) 製作した磁気回路の外観を図 4 に示す。光ファイバ貫通 孔はヨーク中心部に直径210 mmの穴を空けるものとし た。完成した磁気回路の質量は約2,200 kgであった。 製作した磁気回路の磁束密度測定結果を表 1 に示す。 30 日立金属技報 Vol. 27(2011) 図 5 磁気シールドボックス内の磁束密度分布測定結果 Fig. 5 The measured result of magnetic flux density distribution in magnetic shield box 高分解能 PET-MRI 複合型撮像装置 3. 2 PET 装置と MRI 装置の一体化および撮像性能 評価 3. 2. 2 小動物を用いた撮像実験 3. 2. 1 PET 用シンチレータアレイを内蔵した MRI 信号 を行った。M R I画像取得に必要な励起検出信号処理装 検出器の製作 置は,エム・アール・テクノロジー社製のシステムを用 γ線検出器に用いるシンチレータ結晶がMRI磁気回路の いた。画像の取得はP E T装置も動作させた状態で行っ 磁場変動に及ぼす影響を調査した。シンチレータ結晶とし た(図 8 ,図 9 )。撮像に用いたマウスはマウスホルダに て,磁性を持つ元素であるGdの比率を低減させたLGSO結 固定し,自発的に動かないようにN 2Oガスで麻酔を行い 晶(ルテチウム・ガドリニウム・シリコン・オキサイド: 撮像実験を実施した。動物実験は大阪大学医学部R Iセ 通常Gdを20 mass%程度含有するが本実験用に5 mass%ま ンタの協力を得た。 3. 2. 1に示す検出器を用いてマウスを用いた撮像実験 で低減させた結晶を準備)を 0.3 TのMRI磁気回路に挿入 N2O gas injection tube したときの磁束密度変動は結晶近傍で10 ppm程度となり MRI撮像画像に歪等の影響を及ぼさないことが判明した (一般に要求されている均一度は50 ppm以下である)4)。 そこで本材料を用いたPET用γ線検出器を神戸市立工業高 等専門学校の協力を得て製作した(図 6 ) 。検出器先端の シンチレータ結晶アレイは外径約180 mm,内径100 mm のリング状で,約800 mmの光ガイドが取り付けられてお 25 mm り他端に光電子増倍管を接続した構成である。このPET検 出器をMRI信号検出器に挿入した様子を図 7 に示す。この PET検出器の内側に配置するMRI撮像用RFコイルは直径 図 8 マウスをマウスホルダーに固定した状態 Fig. 8 View of the mouse fixed in the mouse-holder 80 mm,長さ90 mmの円筒状で銅箔をソレノイド状に巻い たものを使用した。被検体挿入孔は直径75 mmで,ラット 程度の大きさの動物まで撮像が可能な大きさである。 Light guide block Slanted light guide block Scintillator PSPMT 180 mm PSPMTs Optical fibers 0.2 m LGSO Blocks 図 6 作製した光ガイド付きシンチレータ結晶アレイの外観(製作 協力:神戸市立工業高等専門学校殿) Fig. 6 Scintillators array with light guide and PMT (Built in cooperation with Kobe City College of Technology, KCCT) 図 9 マウスを撮像領域に挿入した状況 Fig. 9 View of the mouse inserted in the imaging area of MRI 4. 実験結果 4. 1 MRI 画像撮像実験結果 Side view Rear view Magnetic shield box for PMT 撮像実験を行った。撮像シーケンスは3 次元スピンエコー, MRI magnetic circuit Field of view 実験方法に示した構成で,PET装置を動作させマウスの TE(エコータイム) :16 ms,TR(繰り返し時間) :100 ms PET detector のT1(縦磁化緩和時間)強調画像である。 撮像結果の一断面を図10,図11に示す。P E Tとの同時 作動でノイズ混入による撮像画質の低下が認められた (図10)。スペクトラムアナライザを用いてノイズ発生源 RF detector for MRI を調査した結果,PETの信号検出器を構成している光電 子増倍管より,MRI撮像に使用する核磁気共鳴周波数(本 装置では12.88 MHz)を含む周波数成分のノイズが発生し 0.5m 図 7 PET 検出器と RF 検出器を挿入した MRI 磁気回路 Fig. 7 View of the magnetic circuit for MRI inserted PET and MRI-RF detectors ていた。また,MRI単独撮像用RF検出器と比較して本実 験に使用したRF検出器は,PET用シンチレータアレイを 組み込むスペースを確保した分,電磁シールドの銅箔部 分の開口面積が大きくなったことにより外部からのノイ 日立金属技報 Vol. 27(2011) 31 ズ混入が増加したものと考えられた。この対策として, 与したラットの体幹部長手方向に垂直な断面の撮像画像で マウス体幹部の露出部分(マウスホルダー付近)を包含 は,肝臓に集積した11C-メチオニンの様子を明確に描画で するように銅箔による電磁シールドを施した。その結果 きた。このように,性質の異なる核種を用いた撮像実験に ノイズの低減が確認でき,PET装置が動作した状態でMRI おいても明確なPETとMRIの合成画像を取得できることが 単独動作とほぼ同等の画像が得られた(図11) 。 確認でき,種々の診断に有効な画像が得られる可能性を示 すことができた。 100 mm MRI image (T1 weighted) 25 mm 図 10 マウスホルダに電磁シールドを施さずに撮像した画像 Fig. 10 MRI image of mouse without electro-magnetic shield on RF detector PET image Fusion image 25 mm 図 11 マウスホルダを銅箔で覆い,RF 検出器の銅箔に接続する電 磁シールドを施した後に撮像した画像 Fig. 11 MRI image of mouse with electro-magnetic shield on RF detector 4. 2 PET と MRI の同時撮像および画像合成実験結果 撮像に先立ち,PET検出器とMRI検出器の位置合わせを 行った。方法は22Na封入線源を用いたファントムで撮像を 行い,PET検出器の位置を微動させてMRI画像に重なるよ うに位置調整を実施した。 位置調整後に,18F-FDGを投与したマウスと11C-メチオ ニンを投与したラットの撮像実験を行った。結果を図12に 示す。MRIの撮像条件は鮮明な構造画像が短時間で得られ るT1強調シーケンスで3次元スピンエコー,TR:100 ms, T E:16 m sに設定した。3次元画像取得に要した時間は 13分であった。 図12 に示す画像は,腹部に腫瘍を移植した腫瘍モデル マウスの,体の左右方向の断面を描画したもので,上段は MRI撮像画像,中段はPET撮像画像,下段はPET-MRI合 成画像である。図に示すMRI撮像画像は,PET装置からの ノイズの影響を受けず,MRI単独撮像画像とほぼ同等の鮮 明な画像が取得できた。また,中段のPET画像は5 mm内 外の大きさの腫瘍部分に18F-FDGが集積した状態を鮮明 に描画でき,MRI磁気回路からの磁場の影響による光電子 増倍管の感度低下は見られないことが確認できた。さらに, 下段のPET-MRI合成画像では,位置ずれが実質的に見ら れないことが確認でき,体内組織の中の腫瘍の位置関係を 明確に描画することができた。また,11C-メチオニンを投 32 日立金属技報 Vol. 27(2011) 図 12 ( 左 側 )18F-FDG を 投 与 し た 腫 瘍 モ デ ル マ ウ ス( 右 側 ) 11 C- メチオニンを投与したラットの体幹部断面の撮像結果(上 段:MRI 画像,中段:PET 画像,下段:PET-MRI 合成画像) Fig. 12 (Left) Image of 18F-FDG injected mouse with tumor, (right) The transaxial image of 11C-methionine injected rat 高分解能 PET-MRI 複合型撮像装置 5. 結 言 引用文献 5. 1 まとめ 1 )Simon R Cherry : Proceeding of the IEEE,Vol.96 No.3 小動物の撮像が可能なPET-MRI一体型撮像装置の検討 を行い,以下の結果を得た。 (1)PET と MRI の同時撮像ため,光電子増倍管が動作 可能な低磁場空間を持つ MRI 磁気回路を構築した。永 久磁石型磁気回路のヨーク背面に配置した磁気シール March(2008)p.416. 2 )日本磁気共鳴医学会編 : NMR 医学 基礎と臨床 改定 2 版, 丸善, (1991),p77. 3 )巨瀬勝美 : NMR イメージング,協立出版, (2004),p39. 4 )真 野勇 : NMR 診 断 法−基 礎 から臨 床まで−,秀 潤 社, (1984),p67. ドボックスの設置により光電子増倍管が動作可能な低 磁場空間の確保が可能であることを,撮像磁場 0.3 T, 磁極間距離 220 mm の磁気回路を作製して確認した。 (2)PET 検出器のシンチレータアレイに用いる LGSO 結 川上 誠 晶 と し て, 磁 性 を 持 つ Gd を 5 mass% に 低 減 し た Makoto Kawakami LGSO 結晶を用い,PET 検出器を MRI 撮像空間内に 日立金属株式会社 挿入しても MRI 撮像画像に歪み等の影響を及ぼさない NEOMAX カンパニー 磁性材料研究所 ことを確認した。 本装置を用いたP E T - M R I画像の同時撮像において, MRI検出器側にPET装置からのノイズ混入を防止する対策 青木 雅昭 Masaaki Aoki を施すことで明瞭なMRI撮像画像が得られた。また,この NEOMAX エンジニアリング株式会社 方法で 18 医療機器グループ F - F D Gを投与した腫瘍モデルマウスの撮像実験 を行った結果,マウスの体内組織に対する 5 mm内外の大 きさの腫瘍の位置関係を明瞭に描画した画像を取得するこ とができた。 杉山 英二 Eiji Sugiyama NEOMAX エンジニアリング株式会社 5. 2 今後の方針 医療機器グループ 本報で,PETとMRIの同時撮像によりマウスの腫瘍が明 確に描画できることを確認した。今後,診断への有効性を 確認する目的で,大阪大学医学部に2010年春に開設された 分子イメージングセンターに本装置を設置し撮像実験を重 ねていく予定である。また,動物実験の結果を基に臨床応 用への検討も進めていく方針である。 6. 謝 辞 PET装置の製作ならびに撮像実験は神戸市立工業高等専 門学校・山本誠一教授にご指導いただいた。また,小動物 による動物実験,およびPET画像とMRI画像の合成を含め 実験の推進を大阪大学・畑澤順教授にご指導いただいた。 また,本研究は(独)医薬基盤研究所の保健医療分野にお ける基礎研究推進事業「高分解能PET/MRI一体型悪性腫 瘍診断装置の開発」の支援により実施した。 ここに記して謝意を表する。 日立金属技報 Vol. 27(2011) 33
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