格の注意すべき用法

独検2級(筆記 80 分) 大問4-5
出題対象:格の,注意すべき用法
第3週3日目
17 日目
-----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------【対策問題】
次の(1)と(2)の( )の中に入れるのに最も適切なものを下の1~4の中から一つ
選び,その番号を解答欄に記入しなさい。
(1)(
)wurde gestern seine Portemonnaie gestohlen.
1 Er
2 Sie
3 Ihn
4 Ihm
(2)Er reist immer(
)Klasse.
1 erste
2 erster
3 erstem
4 ersten
解答欄(1)□ (2)□
-----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------【確認ポイント】
□ 格は,常に「1格=が」
,
「2格=の」,
「3格=に」,「4格=を」ではない。
□ 副詞的に用いられることがある。
【解説と解答】
(1)の wurde ... gestohlen は stehlen「盗む」の受動形(過去形)。
「盗まれたもの」,すなわ
ち主語は Portemonnaie「財布」
。そうすると,表現されていないのは,盗まれた人を表す3
格(3格+4格+stehlen は「…3から…4を盗む」)。したがって,(
)の中に入れるのに
最も適切なものは4の Ihm。訳は「彼はきのう財布を盗まれました」
。
(2)の選択肢は,erst に格語尾の付いた形。Klasse は女性名詞。文の意味を考えると,
「1等で」。この意味で用いられるのは2格。したがって,(
)の中に入れるのに最も適
切なものは2の erster。訳は「彼はいつも一等で旅行をします」
。
【一口メモ】
格の中でも,3格は多様な使われ方をするので,要注意です。2格と4格は,副詞的用法
をしっかり押さえておきましょう。
対策ポイント
☆格の用法は,4択問題の出題対象になるだけではなく,長文を正しく読解する上で重要
ですので,格の,注意すべき用法を一括して挙げることにします。
1.2格
1.1 述語的用法
Der Lehrer ist heute guter Laune.
先生はきょう機嫌がよいです。
Früher war er anderer Meinung.
以前彼は考えが違っていました。
Er ist japanischer Nationalität.
彼は日本国籍です。
1.2 副詞的用法
Eines Tages fuhr er in die Stadt.
ある日彼は町に出かけました。
Es regnete des Abends.
その晩は雨が降りました。
Das Gebäude liegt linker Hand.
その建物は左手にあります。
【参考】
meines Erachtens 私の考えでは/gemessenen Schrittes
落ち着いた足取りで
2.3格
2.1 「…から」を表す3格
Der Taschendieb klaute dem Touristen den Pass.
スリは旅行者から旅券を盗みました。
Ihm wurde der Führerschein weggenommen.
彼は運転免許書を取り上げられてしまいました。
2.2 所有の3格
主語や目的語などで表されるものと所有関係にある人を表します。
<主語との所有関係>
Die Wunde tut mir weh.
傷が痛みます。
Meinem Vater schmerzt der Kopf.
私の父は頭が痛いといいます。
<4格目的語との所有関係>
Wir waschen uns die Hände.
私たちは手を洗います。
Der Arzt reinigt dem Patienten die Wunde.
医者は患者の傷口を消毒します。
<前置詞句との所有関係>
Er sieht dem Kind in die Augen.
彼は子供の目を見ます。
Er klopft dem Kollegen auf die Schulter.
彼は同僚の肩をたたきます。
2.3 利害の3格
利害関係の成り立つ人物を表します。für 前置詞句によって置き換えることができます。
Er öffnet der Frau die Tür.
彼は女性のためにドアを開けてやります。
Er wäscht seinem Vater das Auto.
彼は父親のために車を洗います。
Mir ist die Kanne heruntergefallen.
私はポットを落してしまいました。
2.4 判断の3格
判断の基準になる人を表します。
Das ist mir unmöglich.
それは私には不可能です。
Die Zeit vergeht uns schnell.
時は私たちにどんどん過ぎて行きます。
Die Aufgabe ist dem Schüler zu schwer.
課題はその生徒には難しすぎます。
Dieses Problem ist meinem Freund wichtig.
この問題は私の友人にとって重要です。
2.5 関心の3格
話し手の関心あるいは聞き手の関心を表します。命令文や感嘆文で用いられ、人称代名詞
に限定されています。
Komm mir ja nicht zu spät!
遅れないでね!
Falle mir nicht!
転ばないでね!
3.4格
3.1 副詞類
<時間>
Ich lerne jeden Tag Deutsch.
私は毎日ドイツ語を勉強します。
Es schneit den ganzen Tag.
一日中雪が降ります。
Sie trafen sich letzten Sonntag.
彼らは先週の日曜日に会いました。
<量>
Die Mauer ist drei Meter hoch.
壁は3メートルの高さです。
Das Auto ist 1 000 Euro teurer als das andere.
この車は他のより 1000 ユーロ高いです。
3.2 不定詞の意味上の主語
Er hört den Hund bellen.
彼は犬が吠えるのを聞きます。
Lass ihn doch schlafen!
彼は眠らせておきなさい。