メカトロニクス実習 第 2 回 レギュレータ回路の製作 概要 電子回路を動作させるためには安定した電圧の電源が必要となる。多くのコンピュータや電子 回路は 5V で動作しているし、 最近の高速のコンピュータは 3.3V 等が必要な場合もある。 しかし、 コンセントからの電灯線は交流の 100V であるし、また、バッテリ(電池)の電源電圧は消耗の 度合いや負荷の大きさ*によって変化してしまう。 ここでは、バッテリ(7-9V 程度)の出力から安定した 5V の電圧を出力する電源を製作する。 この様な電源の事をレギュレータ(Regulator=安定化回路)などと呼ぶ。また、同時にレギュレ ータ回路が通電しているかどうかを確認するために発光ダイオード(LED)も取り付ける。 回路図 基本:回路図は、左から右へみていきます。 レギュレータ回路用部品一覧 品名 仕様 三端子レギュレータ 7805 ヒートシンク 積層セラミックコンデンサー50V 0.1μF LED 赤 カーボン抵抗 1/4W 5% 200Ω ピンヘッダ 1列6pin L字 基盤(47×36) 片面ユニバーサル基板 Cタイプ ねじ M3×10 ナット M3 リード線 はんだ線 作成の手順 1.部品の配置、線の引き回し方を考える。 2.部品を挿入し半田付けをする。 3.テスタで通電チェックと絶縁チェックを行う。 4.チェック用基板に取り付けて出力をチェックする。 数 1 1 1 1 1 1 1 1 1 適宜 適宜 電子部品について 三端子レギュレータ 三端子レギュレータは、 電圧を安定化させるための IC です。 三端子レギュレータの型番の意味は、 はじめの2桁が出力電圧の極性、後の2桁が、電圧値を示しています。三端子レギュレータの入 力は、出力電圧よりやや高い電圧を与えます。 78XX シリーズ 79XX シリーズ 正 負 出力電圧の極性 形 端子の役割:78 シリーズと 1:入力 1:GND 79 シリーズでは、端子が異な 2:GND 2:入力 るので注意すること。 3:出力 3:出力 入力電圧と出力電圧の差は熱として放出されるので、放熱版 を取り付けます。こんな所にも伝熱が… コンデンサ コンデンサは電気を蓄えることのできる素子で、極性のある電解コンデンサと、極性のないもの があります。極性のあるコンデンサの取り付けには十分気をつけてください。コンデンサの容量 の単位は、F(ファラド)です。接頭語と組み合わせて、µF や pF などの単位で表されます。 量の接頭語 µ マイクロ ×10-6 n ナノ ×10-9 p ピコ ×10-12 抵抗 回路に流れる電流や電圧を調整するために用います。 小型の固定抵抗器では抵抗値と許容誤差を、 下表のようにカラーコードを用いて示します。 色 有効数字 乗数 許容誤差 覚え方 黒 0 100 - 黒いれい服 1 10 1 ±1% 小林一茶 10 2 ±2% 赤いにんじん 3 - みかんはだいだい 茶 赤 2 橙 3 10 黄 4 104 - きしけいこ 5 10 5 ±0.5% 五月みどり 10 6 - 青二才のろくでなし 7 - むらさきしきぶ 緑 青 6 紫 7 10 灰 8 108 - ハイヤー 9 10 9 - ホワイトクリスマス 10 -1 ±5% -2 ±10% 白 金 - 銀 - 10 なし - - ±20% ダイオード(発光ダイオード) ダイオードには電流を一つの方向にしか流さない整流作用があります。また、電流を流すと発光 する発光ダイオード(LED)もあります。極性に注意して使いましょう。 はんだづけのポイント ・ ユニバーサル基板の表裏を間違えないように注意しよう。また、部品や基板は、べたべたさ わるとはんだのなじみが悪くなるので注意しましょう。 ・ 回路図をみながら、部品を基板の穴に差し込んで並べてみる。このとき極性のある部品の向 きに注意する。 ・ 部品の足を折り曲げてできるだけ利用して配線をする。足りないところは、スズメッキ線を 用いて配線する。また、余分なリード線は残しておかずに切ってしまう。 ・ 部品が浮いてしまわないよう注意しよう。隣り合った場所をはんだづけするときは、短絡し てしまわないよう注意すること。 ・ 回路の配線が完了したら、通電する前にもう一度チェックをする習慣をつけよう。 チェック用基板の製作 今回製作したレギュレータ、第 3 週に製作するモータドライバ、および第 4 週に製作するセンサ をチェックする基板を製作します。実際に配線を始める前に、右の配線用パターンを利用して、 どのように配線すべきかを各自考えてください。また、モータドライバおよびセンサ用のスペー スを十分に確保しておくこと。 回路のチェックポイント (1) 接続の確認 半田付けが終わったら、あわてて電源を投入するまえにもう一度接続が間違っていないか、 回路図と照らし合わせて確認する。特に、極性のある部品の向きについては、十分確認しよ う。 (2) ショートしていないか?きちんとつながっているか? 配線の確認が終わったら、テスタを用いて三端子レギュレータの足の部分などでショートし ていないか確認しよう。テスタを抵抗測定モードに設定し三端子レギュレータの各足間の抵 抗を測定する。0 Ωになっていなければ、たぶん大丈夫だろう。あるいは、テスタを導通チ ェックモードにして確認しても良い。 (3) 半田付けした面の処理 基板には必ずベーク足をつけ、半田付けをした面が直接机の上などにふれないようにしよう。 もし、 机の上に抵抗の足でも落ちていたら、 ショートしてしまい一瞬で回路が壊れてしまう。 余分な足なども短く切り取っておこう。 レギュレータ回路の検査 ・ 電源投入前の配線チェックが終わったら、いよいよ電源の投入です。回路に問題がなければ、 試験装置に接続し、スイッチを入れると LED が点灯するはずです。 ・ LED が点灯しなかったら、すぐにスイッチを切って、もう一度チェックし直しましょう。 ・ 無事に LED が点灯したら、テスタで直流電圧を測定するモードにして、GND に黒をあて各 出力の電圧を測定しよう。このとき、テスタのリード棒が回路に当たってしまいショートす ることがあるので気をつけてください。 チェック用基板のパターン
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