信州おもと実生研究会 会報

信州おもと実生研究会 会報
第3号
信州実生会にゆかりのある万年青
「和康(わこう)
」
「天和(てんほー)」
作出者 松井久 長野市
作出者 岡田忠行 千曲市
作出年度 平成 5 年
作出年度 平成 19 年
故 松 井 久 氏 が 作 出 し た も の で、 ご 本 人 は「 大 美
♀「大宝」× ♂「友禅大宝」により作出され、その
101」と同じものだとおっしゃっていたが芋吹きは違
年の全国万年青実生展示会に出品したところ、当才縞
う型をしていた。だが似たところはあり、
「大判」×「美
羅紗の部で最優等入賞。金屏風で農林水産大臣賞を受
好二面」により作出されたのではないだろうか。
賞した。
上越市の横川氏が入手して増殖、筑波氏と3人で平
生えウブ木の時は子上
成 21 年に登録。登録の見本木に使われた木の系統は
げ、芯止まり等で作がかか
現在 10 本程度。
らなかったが、ここにきて
深覆輪に熨斗葉、二面竜、総雅糸竜と多彩な葉芸を
殖え木に雅糸竜を現すなど
現し、ずんぐりとした葉姿から入手希望者が多い。
将来が楽しみな実生であ
る。
生え当才時の写真
催事案内
外 No.4 の花芽の形
「外 No.4」は「絢華」の♀木として有名で、松井氏の外棚にあった4番目
信州おもと実生研究会 品評会
ということで命名されました。
日時:平成 26 年 9 月 7 日(日)
場所:赤沼公会堂
信州おもと美術展(長野県支部展)
日時:平成 26 年 9 月 27、
28 日 ( 土、
日)
場所:ホテル犀北館南館
花芽の先が尖る独特の形。
雌しべのない花がある。
全国万年青実生展示会(実生支部展)
花芽の形は木勢や草齢に関係なく同品種なら同じ形をしています。
札落ちなどで、どの品種か分からなくなった場合には花芽の形から判断が
付く場合もありますので、参考にしてみて下さい。
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日時:平成 26 年 9 月 14 日(日)
場所:岡崎市羽根稲荷神社(社務所)
平成25年度 信州おもと実生品評会
昨年は縞羅紗のレベルが高く
当才生えでも上位入賞したもの
は楽しみなものばかりでした。
支部長賞を受賞された藤倉氏
の実生は覆輪が完成し、ずんぐ
りとした葉姿に厳しい葉芸を乗
せ、将来有望な縞羅紗でありま
した。
特別賞一覧
長野県支部長賞
四才以上縞羅紗の部
藤倉正巳
交配♀ V ×♂大車
信州おもと実生会長賞
湯本賞
当才縞羅紗の部
当才千代田羅紗の部
前島洋司
岡田忠行
交配♀内車×♂羅紗親
交配♀母松
田哲園賞
二〜三才縞羅紗の部
三宮順次
交配♀ V ×♂丸小
当才千代田羅紗の部 一等
当才獅子の部 一等
松井久 ♀ナルト千代田
三宮順次
四才以上縞羅紗の部 二等
二〜三才千代田斑の部 一等
百瀬治水
矢沢哲 ♀松谷千代田
新潟県支部からご寄贈いただ
参考品 「十哲」
きました。
田中栄二 ♀大車×♂英宝
瑞光園賞
二〜三才獅子一般の部
大見忠希
交配♀大車×♂瀬戸の舞
長野三光園賞
当才胡麻斑一般の部
百瀬治水
交配♀山田大宝
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実生家お棚紹介
岡田忠行さん 千曲市
苗床
作がかかった実親群
地肌良く楽しみな実生。
展示会に何度か出品するう
ちに札落ちになってしまっ
た。
岡田忠行さんは現在長野県支部の支部長でおられます。実生歴は
本格的に始めてから 15 年になるそうです。近年、小型の羅紗実生
を多く生やしておられるので、登録品の作出が待たれます。 ♀(美好×新生殿)F1 ×♂仁兵衛大宝
(長野三光園 袖山晃彦記)
型が良い。
バットグアノとおもとの実
「鹿島」の実
バッドグアノの顆粒
不織布に包む
充実して膨らんだ実
上越市の某実生愛好家、T さんは「バットグアノ」に惚れ込んでいるようです。バッド
だから悪いんじゃないかと思ったら「バット」でした。英語で書くと「BAT GUANO」つ
まりコウモリの糞などがカルシウムなどによって永年に亘り沈着、石化したモノでした。
調べて見ると窒素分を含んだものもあるようですが肥料として多く使われるのはリン酸
分が主体のものです。昆虫などがコウモリの体内で消化され、それが排泄されて熟成して
いますから究極の有機質肥料ともいえるでしょう。無味無臭です。
製品としては粉末状のものと粒状のものがありますが、T さんは粉末状のものを不織布
で包んで鉢に置いています。これを置いてから実のふくらみが見違えるようにふっくらと
してきたと言います。
でもこれを使ったからと言って良いものが生えるかは別問題です。
※肥料ですので結果は自己責任ですが、興味のある方は上越市の高橋さんにお聞き下さい。
(ET)
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実親の紹介
「BO10」
作出者 小野田敏男
B は「大福大宝」、O は「大判」のことであり、B×O
の F1 の中で小野田氏のところで最も実績を残した実親
である。
若木のうちは「大宝」系の葉性に甲竜を乗せるが次
第に折り下げ、竜がけの低い総雅糸竜を現す。
今のところ♂木としての実績のほうが目立っている
が、♀木としても羅紗率は高い。
「丸小」や「英宝」の血が入っていないので、それら
を交配した F1 を作っても面白いかもしれない。
交配例:「長船」王冠 ×BO10、「晋作」大車 ×BO10(山口県、村田氏の作出品)、「仙石」BO10× 丸小(宮城県、久光氏の作出
品)、「森羅」♂に BO10、「一鼓」ON(大車)×BO10 など
「長船」
「晋作」
「仙石」
信州実生会三十周年 記念鉢
昭和五十七年に当会が設立され、その年に第一回の実生品評会が長野県おもと
美術展と一緒に行われ、すでに今年で三十回になります。
この間、諸先輩の実生会に対する強い想いと、実生作出への努力により本日を
迎えることが出来ました。
ここで一つの区切りとして信州おもと実生研究会より三十周年記念の縁金鉢を
会員の皆様に配布致しました。
旧制一高寮歌にもありますように
花咲き花はうつろひて 露おき露のひるがごと
(こ は
) 變るとも
星霜移り人は去り 梶とる舟師 か
我のる船は常へに 理想の自治に進むなり
信州おもと実生研究会 会長
百瀬 治水
今後、当会がステップアップして四十年、五十年と永劫に続きますように……
今後共、よろしくお願いします。
実生品評会三十周年を記念して
発足三十周年記念
訃報
顧問 田中俊一氏、元会長 松井久氏
昨年の 8 月にご逝去されました。ご冥福をお祈りします。
信州おもと実生研究会
平成 26 年 7 月 27 日
会長 百瀬治水
会報編集長 袖山晃彦
会報編集者 田中悠介
編集事務所 〒 381-0001 長野市赤沼 188
電話 026-251-3001 田哲園内
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