第10回奈良支部学術集会 - 奈良県西和医療センター

日本医療マネジメント学会
第10回奈良支部学術集会
医療のIT化は患者に恩恵をもたらすか?
−地域包括ケアシステムを見据えて−
プログラム・抄録集
会 長:川口 正一郎(奈良県西和医療センター院長)
会 期:平成27年1月31日(土)
会 場:なら100年会館(奈良市)
日本医療マネジメント学会
第10回奈良支部学術集会事務局
(地独)奈良県立病院機構 奈良県西和医療センター
〒636-0802 奈良県生駒郡三郷町三室1-14-16
TEL 0745-32-0505 FAX 0745-32-0517
医療のIT化は患者に恩恵をもたらすか?
−地域包括ケアシステムを見据えて−
目 次
ご挨拶
--------------------------------------------- 日程表
--------------------------------------------- 交通・会場案内図
------------------------------------- 学会参加者へのご案内
------------------------------------- 特別企画
プログラム
----------------------------------------- 抄録
----------------------------------------- プログラム
--------------------------------------------- 17
抄録
一般演題(口演)
------------------------------ 27
一般演題(ポスター)
------------------------------ 51
演者索引
協賛企業等一覧
--------------------------------------------- 65
------------------------------------- 67
日本医療マネジメント学会奈良支部会則
--------------- 68
日本医療マネジメント学会奈良支部 理事
--------------- 69
日本医療マネジメント学会の入会案内と入会手続き
-------- 70
医療のIT化は患者に恩恵をもたらすか?
−地域包括ケアシステムを見据えて−
ご 挨 拶
日本医療マネジメント学会 第10回奈良支部学術集会
会 長 川口正一郎
(地方独立行政法人奈良県立病院機構
奈良県西和医療センター院長 )
日本医療マネジメント学会第10回奈良支部学術集会にようこそ。
今回は地域包括ケアシステムを見据えた医療のIT化をメインテーマと致しまし
た。お二人の先生にメインテーマに関連した特別講演をお願いしております。お
一人は滋慶医療科学大学院大学学長武田裕先生で、質の高い医療のIT化について、
もうお一人は三浦市立病院総病院長小澤幸弘先生で、すでに行っておられる地域
包括ケアシステムについてご講演いただきます。地域包括ケアについては、指定
演者によるパネルディスカッションも予定しておりますので、活発な討議をお待
ちしております。
本プログラム集をご覧いただければお解りになられると存じますが、メイン
テーマに関連するものだけでなく、様々な職種、職域から幅広い、数多くの演題
のご応募がございました。まさにマネジメント学会にふさわしいプログラムに皆
様方のお陰でなったと思っております。また、今回は、ITや病院経営に関係する
6社の企業展示を用意しております。学会中是非とも、お立ちより頂けたらと存
じます。会場の関係で、午前中からの開催となること、発表時間が短いこと、食
事場所に制限があることなどのご不便をこの場を借りてお詫び致します。
多くの皆様方にご出席、ご発表、ご討論頂き、今まで以上にご参加の皆様方に
ご満足いただける内容となるよう西和医療センター職員一同準備し、お待ちして
おります。
平成27年1月31日
日本医療マネジメント学会第10回奈良支部学術集会
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医療のIT化は患者に恩恵をもたらすか?
−地域包括ケアシステムを見据えて−
日本医療マネジメント学会第10回奈良支部学術集会 日程表 平成27年1月31日(土)
中ホール
特別講演、パネルディスカッション、
ランチョンセミナー、一般演題口演
9:25∼
開会あいさつ 会長 川口正一郎
(奈良県西和医療センター)
9:30∼
一般演題(口演)O01:医療安全①
座長 木下久美子(奈良県総合医療センター)
9:54∼
一般演題(口演)O02:医療安全②
座長 西隈菜穂子(近畿大学医学部奈良病院)
中ホール 後方 ポスター会場
ポスター会場 A
ポスター会場 B
ポスター会場 C
掲示開始
10:24∼ 一般演題(口演)O03:診療
座長 高 済峯(奈良県総合医療センター)
10:42∼ 一般演題(口演)O04:IT活用
座長 梅木 弥生(奈良県西和医療センター)
掲示完了
11:00∼ 特別講演Ⅰ
≪より質の高い医療のIT化≫
座長 壽右(地方独立行政法人奈良県立病院機構)
講師 武田 裕(滋慶医療科学大学院大学)
共催:富士ゼロックス株式会社
11:50∼ ランチョンセミナー Ⅰ
≪不眠症の治療≫
座長 松本 昌美 (奈良県立五條病院 院長)
講師 岸本 年史 (奈良県立医科大学)
共催:MSD株式会社
12:30∼ ランチョンセミナー Ⅱ
≪認知症入院患者の事故と対策の現状
−電子カルテ連動事故報告システムの利用から−≫
座長 高橋 信行(市立奈良病院 副院長)
講師 永松 孝志(社会医療法人 平和会 吉田病院)
共催:エーザイ株式会社
13:10∼ 休憩
*地下1階小ホール他で昼食をお召し上がり頂けます。
13:30∼ 一般演題(口演)O05:災害・救急
座長 北田三千恵(済生会御所病院)
13:30∼ P-A1:在宅・地域医療連携①
13:30∼ P-B1:医療安全①
13:30∼ P-C1:患者サービス・研修
座長 菊田 美子(奈良県立五條病院) 座長 下村 富(済生会奈良病院) 座長 今田 周二(大和橿原病院)
13:55∼ 一般演題(口演)O06:企画・運営
座長 伊藤 雪絵(奈良県立医科大学附属病院)
13:50∼ P-C2:感染・災害
13:55∼ P-A2:在宅・地域医療連携②
座長 西田 典子(奈良県西和医療センター)
座長 垣口秀明(西和メディカルケアセンター)
14:10∼ P-B2:医療安全②
座長 長谷川寿乃(宇陀市立病院)
14:10∼ P-C3:看護
座長 高橋 久子(済生会中和病院)
14:25∼ 一般演題(口演)O07:チーム医療
座長 長嶺美津子(大和高田市立病院)
14:50∼ 休憩
15:00∼ 特別講演Ⅱ
≪やってるよ、地域包括ケア!!≫
座長 川口正一郎(奈良県西和医療センター)
講師 小澤 幸弘(三浦市立病院)
共催:株式会社メディカ・ライン
15:40∼ パネルディスカッション
≪地域包括ケアシステムの展開≫
座長 吉川 高志(国保中央病院)
川口正一郎(奈良県西和医療センター)
演者 根津 智子(奈良県郡山保健所)
竹田 育弘(竹田内科クリニック)
加納 麻子(社会医療法人平和会吉田病院)
藤林 弘子(奈良県西和医療センター)
16:25∼ 一般演題(口演)O08:
撤去開始
在宅医療・地域包括ケアシステム
座長 永田美紀代(奈良県西和医療センター)
撤去終了
16:55∼ 一般演題(口演)O09:医療連携
座長 弓戸 利文(河合町地域包括ケアセンター)
17:13∼ 一般演題(口演)O10:研修
座長 法喜真由美(奈良県立病院機構教育研修センター)
・企業展示、ドリンクコーナーを、中ホール入口ブリッジにて、9:30 ∼ 17:00行っております。
・地階小ホールは、13:00より随時開放しておりますので、ご自由にお使いください。
17:43∼ 一般演題(口演)O11:看護
座長 岡田 和美(市立奈良病院)
18:07∼ 閉会あいさつ 会長 川口正一郎
(奈良県西和医療センター)
―2―
会場のご案内
住 所 〒630-8121 奈良県奈良市三条宮前町7−1
電 話 0742-34-0100
URL http://www.nara100.com/
交通のご案内
■公共交通機関でお越しの方
近鉄線
・新大宮駅から徒歩20分
・奈良駅からバスで約5分 徒歩約15分
JR線
・JR奈良駅西口から徒歩約5分
奈良交通バス
・
「JR奈良駅」停留所で下車。
JR奈良駅西側より徒歩約5分。
会場内のご案内
1階平面図
2階平面図
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医療のIT化は患者に恩恵をもたらすか?
−地域包括ケアシステムを見据えて−
参加者へのご案内
1.参加手続き
1)本学会に参加される方は、参加登録が必要です。
2)参加登録費は、2,000円です。学生無料。
3)参加登録された方は、ネームカードケースを受け取り、会場内では、参加登録証を常時携帯
してください。
2.参加受付
【場所】2階総合受付
【日時】平成27年1月31日 9:10∼16:30
3.クロークはありません。
4.ランチョンセミナーについて
ランチョンセミナー講演会場での食事はできません。昼食券を総合受付でお渡しいたします
ので、お申し出ください。1FレストランLAILAIで食事(お弁当)をお配りいたしま
す。レストラン、小ホール等でお召し上がりください。
(なお、数量に限りがありますので、
不足の場合はご了承願います。
)
5.ご来場について
学会専用の駐車場はございませんので、公共の交通機関を御利用ください。
6.企業展示・ドリンクコーナー
会場:ブリッジ 9:30∼17:00
座長・演者へのご案内
1.座長の皆様へ
1)中ホール入口講演受付で受付を9:10から行っております。セッション20分前までにお済ま
せください。
2)座長と発表者の事前打ち合わせは、特にもうけておりません。
3)口演の座長は、担当セッションの開始10分前までに会場の『次座長席』にご着席ください。
4)示説の座長は、担当セッションの開始10分前にポスター会場のポスター近くで待機してくだ
さい。
5)座長名を司会進行が紹介します。その後は座長が進行してください。
6)担当セッションの進行はご一任いたしますが、終了時間は厳守してください。
口演:発表5分、質疑応答は1題ごとに1分
ポスター:発表5分、質疑応答は1題ごとに1分
2.パネルディスカッション・一般口演演者の皆様へ
(最終受付は17:00までです。
)
。セッ
1)中ホール入口講演受付で受付を9:10から行っております
ション30分前までにお済ませください。
2)口演発表の演者の方は、受付時に発表データを提示ください。
※ 受付開始当初は、混雑が予想されますので、発表順の早い受付を優先的に出来るように
ご協力をお願いします。
※ 発表データは、ハードディスクに一旦コピーさせていただきますが、学会終了後に事務
局にて責任を持って消去致します。
※ 発表会場へは、発表開始10分前までに担当会場内の『次演者席』にお越しください。
3)演題・施設名・発表者名は座長が紹介しますので、紹介している間に発表席に立ってくださ
い。紹介が終わりましたら、発表に入ってください。
4)パネルディスカッションは発表7分、
全体討論は15分程度です。
パネラーの方はパネルディス
カッション座長と簡単な打ち合わせを行いますので、14:15に講演受付にお集まり願います。
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医療のIT化は患者に恩恵をもたらすか?
−地域包括ケアシステムを見据えて−
《パネルディスカッション、一般口演》
1)発表用のパワーポイントは、当日、2F総合受付(発表データ受付)でパソコンに取り込み
ますので、データを、USBにて持参下さい。*パワーポイントは2007以降のものをご使用
いただくようお願いします。
2)パワーポイントのみの使用となります。スライドその他の使用はできかねますのでご了承く
ださい。
3)動画を用いられる場合は、ミニD-sub 15pinのモニター出力端子を備えたノートパソコンを
お持ち込みください。この端子がないノートパソコンをお持ち込みいただく場合には、別途
変換コネクタを必ずご用意ください。
※事務局でご用意するのは、
通常のミニD-sub 15pinに対応する端子のみとなります。
4)パワーポイントの操作は、原則として演者自身でお願いします。
5)Mac使用の方はパソコンをご持参ください。
6)一般口演は発表5分、質疑応答は1題ごとに1分です。時間の厳守をお願いいたします。
7)音声が必要な方は、講演受付で受付時にお申し出ください。
《ポスター発表》
1)ポスター発表の方は、中ホール後方のポスター会場の演題番号の付いた所定のパネルに掲示
してください。
2)1演題につき縦170㎝×横90㎝のスペース(パネル)を準備していますので、この範囲内で
研究内容を効果的に伝える工夫をしてください。
3)演題番号はご用意いたしますが、演題名・所属・発表
者名は演者が作成してください。
4)発表5分、質疑応答は1題ごとに1分です。時間の厳
守をお願いいたします。質疑応答は、
座長の指示に従っ
てください。
5)ポスター掲示は 9:30∼11:00 に行っていただき、
撤去はセッション終了後 17:00までにお願い致しま
す。
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医療のIT化は患者に恩恵をもたらすか?
−地域包括ケアシステムを見据えて−
特別企画
日本医療マネジメント学会第10回奈良支部学術集会
医療のIT化は患者に恩恵をもたらすか?
−地域包括ケアシステムを見据えて−
−特別企画−
特別講演 Ⅰ
中ホール 11:00∼11:45
より質の高い医療のIT化
武田 裕(滋慶医療科学大学院大学 学長)
座長: 壽右(地方独立行政法人 奈良県立病院機構 理事長)
共催:富士ゼロックス株式会社
特別講演 Ⅱ
中ホール 15:00∼15:40
やってるよ、地方包括ケア!!
小澤 幸弘(三浦市立病院 総病院長)
座長:川口正一郎(奈良県西和医療センター 院長)
共催:株式会社メディカ・ライン
パネルディスカッション
中ホール 15:40∼16:25
地域包括ケアシステムの展開
座長:吉川 高志(国保中央病院 院長)
川口正一郎(奈良県西和医療センター 院長)
パネリスト:奈良県郡山保健所 所長 根津 智子
竹田内科クリニック 院長 竹田 育弘
社会医療法人平和会吉田病院 地域緩和ケアサポートきずな
内科医師 加納 麻子
奈良県西和医療センター 地域医療連携室 副室長 藤林 弘子
ランチョンセミナー Ⅰ
中ホール 11:50∼12:30
不眠症の治療
岸本 年史(奈良県立医科大学 精神医学講座 教授)
座長:松本 昌美(奈良県立五條病院 院長)
共催:MSD株式会社
ランチョンセミナー Ⅱ
中ホール 12:30∼13:10
認知症入院患者の事故と対策の現状
−電子カルテ連動事故報告システムの利用から−
永松 孝志(社会医療法人平和会吉田病院 認知症疾患医療センター長)
座長:高橋 信行(市立奈良病院 副院長)
共催:エーザイ株式会社
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医療のIT化は患者に恩恵をもたらすか?
−地域包括ケアシステムを見据えて−
特別企画
抄録
特 別 講 演
パネルディスカッション
ランチョンセミナー
日本医療マネジメント学会第10回奈良支部学術集会
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医療のIT化は患者に恩恵をもたらすか?
−地域包括ケアシステムを見据えて−
特別講演 Ⅰ
11:00∼11:45
より質の高い医療のIT化
特 別 講 演
滋慶医療科学大学院大学 学長 武田 裕
要旨:電子カルテ(EPR)の普及が進んでおり、医療業務の効率化には大きく
寄与している。一方、医療の質向上の観点からは、少なくとも2課題が解決され
ねばならない。第一は、紙カルテをEPRに置き換えてしまう場合の問題。第二は、
より意味のあるEPRの利用方策。地域包括ケアに資するEPRのあり方を内外の
事例を交えて紹介する。
略歴 武田 裕(ひろし)
大阪大学医学部卒業(1971)、第一内科で臨床研修、シカゴ大学臨床薬理部留学、
文部省学術調査官などを経て、大阪大学文部教官助教授(医療情報学)(1987)、
同教授・附属病院 医療情報部部長(1998)
、同病院 中央クオリティマネージメ
ント部 部長(併任2001-2007)、同大学定年退職(2010)。大阪大学名誉教授(2010)。
滋慶医療科学大学院大学 医療安全管理学専攻 研究科長・教授(2011)
。同大学
院学長(2013-)。
その他、国際医療情報学会副会長(2004-2011)、国立大学附属病院医療安全管理
協議会 会長(2002-2008)、医療の質・安全学会 第4回大会長(2009東京)、同理
事(2005-)
主な著書:
医療安全ことはじめ(中島和江、児玉安司編集):「サイエンスとしての医療安全
学の構築」医学書院2010
医療安全と医療訴訟(安本 和正編集):医療の安全性、イムジック出版、2014
日本医療マネジメント学会第10回奈良支部学術集会
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医療のIT化は患者に恩恵をもたらすか?
−地域包括ケアシステムを見据えて−
特別講演 Ⅱ
15:00∼15:40
「やってるよ、地域包括ケア!」
講演要旨
当院は急性期治療に専念してきたが、医局引上げを契機に保健・医療・福祉を
一体化した地域密着型の病院をめざした。まず病棟を再編した。そして、在宅医
療を始めた。リハビリテーションの充実もはかった。すると、世の中は、地域包
括ケアになっていた。いま、三浦市でのITネット化を模索するとともに、三浦半
島での病病連携を強化している。
略歴
昭和56年 新潟大学医学部卒業
横浜市立大学医学部初期研修
昭和58年 横浜市立大学医学部第1外科入局
横浜南共済病院、癌研究会付属病院、平塚共済病院、社保相模野病
院、平塚共済病院、神奈川県立がんセンター(食道がん)
平成 3年 横浜市立大学第1外科助手
平成 5年 横浜市立大学救命救急センター講師
平成 8年 三浦市立病院外科医長
平成10年 三浦市立病院診療部長
平成15年 三浦市立病院副院長
平成19年 三浦市立病院病院長
平成22年 三浦市立病院総病院長(病院長兼病院事業管理者)
資格
学位論文「抗BrdUモノクロナール抗体を用いた食道癌の細胞動態の解析」
日本外科学会専門医、指導医
マンモグラフィ検診読影医師
役職
全国自治体病院協議会理事、神奈川県支部長
横浜市立大学医学部医学科非常勤講師
神奈川県救急搬送受入協議会委員
神奈川県医療対策協議会医療支援センター検討ワーキンググループ員
神奈川県消化器病医学会幹事
神奈川県臨床外科医学会幹事
神奈川大腸肛門疾患懇話会幹事
三浦半島地区メディカルコントロール協議会部会長
三浦市医師会副会長
日本医療マネジメント学会第10回奈良支部学術集会
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特 別 講 演
三浦市立病院 総病院長 小澤幸弘
医療のIT化は患者に恩恵をもたらすか?
−地域包括ケアシステムを見据えて−
パネルディスカッション『地域包括ケアシステムの展開』
15:40∼
1.行政としての取り組み
奈良県郡山保健所 根津智子
パネルディスカッション
平成25年度より奈良県では、「健康長寿まちづくり検討会議」 及び同プロジェ
クトチームで地域包括ケアシステム構築を目指して部局横断的に検討している。
平成26年度には地域包括ケア推進室を設置し、庁内体制を強化するとともに、市
町村に対してアウトリーチによる集中的支援を実施している。また、市町村が地
域包括ケアシステムを構築していく上でモデルとなるような5つのプロジェクト
を実践の場として事業展開を行っている。プロジェクトは、①県総合医療センター
跡地活用プロジェクト(奈良市平松地区)②西和地域在宅医療・包括ケア推進プ
ロジェクト(西和7町)③医大・周辺まちづくりプロジェクト(橿原市)④宇陀
市在宅医療・包括ケア推進プロジェクト(宇陀市)⑤南和地域在宅医療・包括ケ
ア推進プロジェクト(南和地域)として進行しており、郡山保健所は西和地域の
事務局となっている。西和地域では、基幹病院である奈良県西和医療センター、
地域の医師会、歯科医師会、薬剤師会、訪問看護ステーション等の関係機関と、
西和7町の介護や保健分野、7町を所管する葛城保健所と郡山保健所等からなる
「西和地域在宅医療・包括ケア推進プロジェクト連携協議会」 を設置し、基幹病
院を核とする広域在宅医療の体制や、各町における医療介護の連携について検討
している。次年度以降は、様々な取り組みを住民に周知するとともに住民参画を
重要な課題と考え、本プロジェクトを進めていきたい。
日本医療マネジメント学会第10回奈良支部学術集会
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医療のIT化は患者に恩恵をもたらすか?
−地域包括ケアシステムを見据えて−
パネルディスカッション『地域包括ケアシステムの展開』
15:40∼
2.ITを活用した在宅医療
竹田内科クリニック 竹田育弘
医療、特に在宅での医療は救命、疾病の治癒が困難な状況で患者の生活に寄り添
う医療と考えられ在宅医療を担う在宅支援診診療所には24時間365日の対応が求
められています。また地域ごとに超高齢化社会を見据えて地域全体で高齢者を支
えていこうという地域包括ケアシステムの構築に向けた取り組みが始まっていま
す。そしてこの地域包括ケアシステムを築くためには、多職種間での顔の見えた
連携が重要であると認識されています。しかし現実には、各職種が持つ患者やそ
の家族に関する情報の多くはバラバラで統一されておらず、地域包括ケアシステ
ムや在宅医療を円滑に運営していくためには情報を共有して多職種間で連携を図
り在宅医療チームとしての関係を築いていくことが必要と考えます。そこで私た
ちはより円滑な連携が多職種間で行えるようにITを活用した情報の共有を試みま
した。ITを用いた情報共有により患者の状態をリアルタイムに知ることができる
ようになり患者の状態の変化に対して迅速な対応が可能になりました。また治療
方針だけでなく患者やその家族の思いを多職種間で共有することにより患者の価
値観や人生観を理解した上でのケアも可能となりました。さらにITを活用した情
報共有が進めばクリニック間でも情報の共有が容易となり主治医、副主治医制の
導入などにより24時間、365日の対応による医師の負担を軽減でき、在宅医療医
の増加にもつながると考えます。しかしITを活用した連携が可能となれば顔の見
えた連携ができる訳ではなく、実際に地域ケア会議やサービス担当者会議、個々
の事例についてのカンファレンス等を積極的に開催することで真に顔の見える関
係が築けるのではないかと思われます。ITを用いた多職種間での情報共有は地域
包括ケアシステムを構築していく上で有効な手段の一つと考えられます。
日本医療マネジメント学会第10回奈良支部学術集会
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パネルディスカッション
急性期医療、特に入院での医療が救命、疾病の治癒を目的とする一方で慢性期
医療のIT化は患者に恩恵をもたらすか?
−地域包括ケアシステムを見据えて−
パネルディスカッション『地域包括ケアシステムの展開』
15:40∼
3.地域緩和ケアの運用
社会医療法人平和会吉田病院 地域緩和ケアサポートきずな 内科医師 加納麻子
パネルディスカッション
こころざし半ばで病気と向き合うことになった方、平和な社会を築いてくだ
さった高齢の方に、残されている大切な時間を住み慣れた地域で自分らしく過ご
していただきたい。そう願う一方で、
「終末期を診る在宅医の確保が難しい」、
「緊
急対応を引き受ける病院の確保が難しい」と病院医療側・在宅医療側それぞれが
ジレンマを抱え、患者・家族そして医療者ももどかしい時間を過ごしている。
当法人は、病院(一般病床99床、精神科213床)と、複数の在宅療養支援診療
所を有する。これらを活かすことで地域が抱えるジレンマにアプローチする方法
がないだろうかと模索してきた。そして、オーストラリアの地域緩和チームから
ヒントを得て、2013年4月当法人に地域緩和ケアチームが発足した。次第に在宅
でも病院でも患者と一緒に伴走し続ける“かかりつけ医”として診療できる基盤
が形成されてきた。その結果、揺れ動き続ける患者・家族の希望に迅速に沿いな
がらシームレスな緩和ケアを提供することが可能になりつつある。
また、チーム活動の大きな柱としてアドバンス・ケア・プランニングを位置づ
けている。これまでの人生を振り返り、現在を見渡し、そしてこれからを生きて
ゆく上での希望を明らかにしてゆくプロセスが療養の場を超えて継続してゆくよ
うに工夫をしている。
これまで国内外の緩和ケアが提供されている現場を見てきたが、一つとして同
じものはなく、こうでなければならないという形はなかった。しかし、共通して
流れる三つの必要不可欠な要素を見出すことができた。誠実、尊重、そしてコミュ
ニケーションである。これらは患者・医療者間だけではなく、地域の医療を協力
して支えてゆく医療機関の間でも同じようになくてはならない要素であると確信
している。
日本医療マネジメント学会第10回奈良支部学術集会
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医療のIT化は患者に恩恵をもたらすか?
−地域包括ケアシステムを見据えて−
パネルディスカッション『地域包括ケアシステムの展開』
15:40∼
4.西和メディケア・フォーラムの発足
地方独立行政法人 奈良県立病院機構 奈良県西和医療センター 地域医療連携室 藤林弘子
え、地域包括ケアの推進を図ることが重要として種々施策に取り組まれている。
これを受けて、奈良県西和地域においても、地域住民が重度な要介護状態となっ
ても住み慣れた地域で暮らし続けることができるよう、地域包括ケアシステムの
実現を目指して、このたび医療、介護、福祉、行政の関係者で構成される「西和
メディケア・フォーラム」を設立した。
西和メディケア・フォーラムでは、
「西和メディケア・フォーラム講演会」や「県
民公開講座」の開催、各町単位での事例検討会や、地域検討会合同会議の開催な
どを行い、地域包括ケアの知識の向上や、関係者間での情報共有を図っていきた
いと考えている。
第1回河合町地域検討会では、医療・介護の事業所を対象とした連携に関する
アンケートを実施。70件の回答を得ている。アンケート集計から、在宅医師や協
力医療機関との連携はとれているが病院医師との連携はとりにくい。また、余裕
を持ってサービス調整ができるよう退院連絡が欲しいという意見が多かった。介
護支援専門員からは、医療知識がないため気おくれし、医師と直接話をするには
壁を感じて難しい。病院の医師との連携は取りにくい。という意見があった。
在宅高齢者を支える中心の一つは、介護支援専門員である。しかし、その基礎
資格は介護職が60%である。そのため病院の機能や役割などにほとんど精通して
いない。一方、病院関係者においても在宅療養・介護について理解していない場
合が多く、このことが医療と介護の緊密な連携を阻む要因となっている。
「医療・介護の連携は、まず相互の理解から」である。西和メディケア・フォー
ラムの場を活用しながら、奈良県西和地域におけるさらなる多職種連携強化、地
域包括ケアシステムの構築を進めていきたい。
日本医療マネジメント学会第10回奈良支部学術集会
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パネルディスカッション
2025年の超高齢化社会の到来に向け、国・奈良県では急速な高齢化の進展に備
医療のIT化は患者に恩恵をもたらすか?
−地域包括ケアシステムを見据えて−
ランチョンセミナーⅠ
11:50∼12:30
不眠症の治療
岸本 年史(奈良県立医科大学 精神医学講座 教授)
座長:松本 昌美(奈良県立五條病院 院長)
共催:MSD株式会社
ランチョンセミナーⅡ
12:30∼13:10
認知症入院患者の事故と対策の現状
−電子カルテ連動事故報告システムの利用から−
永松 孝志(社会医療法人平和会吉田病院 認知症疾患医療センター長)
座長:高橋 信行(市立奈良病院 副院長)
共催:エーザイ株式会社
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医療のIT化は患者に恩恵をもたらすか?
−地域包括ケアシステムを見据えて−
プログラム
日本医療マネジメント学会第10回奈良支部学術集会
医療のIT化は患者に恩恵をもたらすか?
−地域包括ケアシステムを見据えて−
中ホール
開会あいさつ
9:25∼
会長 川口 正一郎
(奈良県西和医療センター)
一般演題(口演)O01:医療安全①
9:30∼9:54
座長:奈良県総合医療センター 看護副部長 木下 久美子
O01−1 「私の医療安全」
社会福祉法人恩賜財団済生会奈良病院 診療技術部(部門安全管理者) 松田 博之
O01−2 医療安全の観点からみたデスカンファレンスの開催について
社会医療法人 健生会 土庫病院 薬局 西原 みゆき
O01−3 当院のMRI検査における医療安全
奈良県総合医療センター 中央放射線部 橋本 翼
O01−4 多職種による医療安全巡視の取り組み
社会福祉法人恩賜財団済生会奈良病院 事務部(医療安全部門管理者) 清水 直孝
一般演題(口演)O02:医療安全②
9:54∼10:24
座長:近畿大学医学部奈良病院 看護部長 西隈 菜穂子
O02−1 インシデント・アクシデント報告の可視化に向けての取り組み
社会福祉法人恩賜財団済生会奈良病院 医療安全管理室 下村 富
O02−2 ヒヤリハット報告からの改善策と課題 ―ヒヤリハット報告についてのアンケート結果―
宇陀市立病院 西田 一二三
O02−3 看護師管理の内服事故減少の取り組み
∼薬剤ヒート調剤から一包化へ∼
大和高田市立病院 岡本 信子
O02−4 患者の薬の飲み忘れに対する意識調査
独立行政法人地域医療機能推進機構大和郡山病院 3階東病棟 細田 知香子
O02−5 インシデントレポートに関する分析 ∼高齢者のQOLを低下させない関わりの中でのリスクの軽減∼
社会福祉法人恩賜財団済生会中和病院 南 卓磨
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一般演題(口演)O03:診療
10:24∼10:42
座長:奈良県総合医療センター 外科部長 高 済峯
O03−1 マムシ咬傷の治療経験
宇陀市立病院 倉田 慎平
O03−2 当科が提供する単孔式腹腔鏡手術 −導入と現状−
奈良県西和医療センター 消化器外科 上野 正闘
O03−3 中規模急性期病院少人数体制脳神経外科診療の実情 ∼危機管理と教育を中心に∼
奈良県西和医療センター 脳神経外科 藤本 京利
一般演題(口演)O04:IT活用
10:42∼11:00
座長:奈良県西和医療センター 中央臨床検査部部長 梅木 弥生
O04−1 奈良県総合医療センター脳神経外科チームにおける iPad の臨床活用
奈良県総合医療センター 脳神経外科 渡邉 知朗
O04−2 電子クリニカルパスの評価と今後の課題
大和高田市立病院 クリニカルパス委員会 細川 喜美恵
O04−3 放射線科における看護記録様式の作成と電子カルテ運用の試み −ペーパーレス化をめざして−
奈良県西和医療センター 看護部 放射線科 比澤 万有美
特別講演Ⅰ より質の高い医療のIT化
11:00∼11:45
武田 裕(滋慶医療科学大学院大学 学長)
座長:
壽右(地方独立行政法人 奈良県立病院機構 理事長)
共催:富士ゼロックス株式会社
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ランチョンセミナーⅠ
11:50∼12:30
座長:奈良県立五條病院 院長 松本 昌美
LS−1 不眠症の治療
奈良県立医科大学 精神医学講座 教授 岸本 年史
ランチョンセミナーⅡ
12:30∼13:10
座長:市立奈良病院 副院長 高橋 信行
LS−2 認知症入院患者の事故と対策の現状
−電子カルテ連動事故報告システムの利用から−
社会医療法人平和会吉田病院 認知症疾患医療センター長 永松 孝志
休 憩
13:10∼13:30
一般演題(口演)O05:災害・救急
13:30∼13:55
座長:済生会御所病院 看護師長 北田 三千恵
O05−1 全職種参加型の災害時訓練
社会医療法人 健生会 土庫病院 医事課 鈴木 征光
O05−2 「アクションカード」を用いた多数負傷者受け入れ訓練の課題と評価
(第2報)
宇陀市立病院 梶谷 多子実
O05−3 当院に於ける急変時対応手順の教育について
社会医療法人 健生会 土庫病院 薬局 今川 亜美
O05−4 当院に於けるby stander養成を目的とした地域住民向けBLS講習会に
ついて
社会医療法人 健生会 土庫病院 薬局 川本 恭久
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一般演題(口演)O06:企画・運営
13:55∼14:25
座長:奈良県立医科大学附属病院経営部経営企画課 主任調整員 伊藤 雪絵
O06−1 人は「何を」ではなく「なぜ」に心が動く
∼自分を見つめ直すことから始める“より良い人間環境作り”∼
社会医療法人 高清会高井病院 臨床工学科 古賀 和也
O06−2 当院透析室における患者満足度調査からの現状と課題
宇陀市立病院 透析室 山崎 巳如
O06−3 表皮剥離予防に対するリハビリテーション課の取り組み
社会医療法人 平成記念病院 リハビリテーション課 和田 善行
O06−4 当院における後発医薬品使用促進への取り組み
国保中央病院 薬剤部 関 源一
O06−5 病院における建物解体工事に伴う騒音・感染対策
―奈良県立医科大学附属病院の取り組み事例―
公立大学法人 奈良県立医科大学 法人企画部 財産管理課 中西 康裕
一般演題(口演)O07:チーム医療
14:25∼14:50
座長:大和高田市立病院 看護師長 長嶺 美津子
O07−1 当院のCKD(慢性腎臓病)教育入院における薬剤師の役割 ∼患者が参加する医療に薬剤師は関与できる!∼
町立大淀病院 薬剤部 中島 博美
O07−2 当院における臨床工学技士業務とチーム医療
大和高田市立病院 人工透析センター 浅田 淳
O07−3 当センター 中央臨床検査部における糖尿病患者さんへの取り組み
地方独立行政法人 奈良県立病院機構 奈良県西和医療センター 高津 明美
O07−4 NSTにおける病棟看護師の役割を考える
大和高田市立病院 看護局 吉川 由紀
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医療のIT化は患者に恩恵をもたらすか?
−地域包括ケアシステムを見据えて−
特別講演Ⅱ やってるよ、地方包括ケア!!
15:00∼15:40
小澤 幸弘(三浦市立病院 総病院長)
座長:川口 正一郎(奈良県西和医療センター 院長)
共催:株式会社メディカ・ライン
パネルディスカッション 地域包括ケアシステムの展開
15:40∼16:25
座長:国保中央病院 院長 吉川 高志
奈良県西和医療センター 院長 川口正一郎
1.行政としての取り組み
奈良県郡山保健所(兼)保健予防課 根津 智子
2.ITを活用した在宅医療
竹田内科クリニック 竹田 育弘
3.「地域緩和ケアの運用」
社会医療法人平和会吉田病院 地域緩和ケアサポートきずな 内科医師 加納 麻子
4.西和メディケア・フォーラムの発足
奈良県西和医療センター 地域医療連携室 藤林 弘子
一般演題(口演)O08:在宅医療・地域包括ケアシステム
16:25∼16:55
座長:奈良県西和医療センター 師長 永田 美紀代
O08−1 経口摂取困難と診断された患者が経口摂取で在宅へ退院ができた1事例
奈良県立五條病院 佐谷 直美
O08−2 地域包括ケア病棟の導入∼宇陀市立病院の取り組み∼
宇陀市立病院 西岡 令子
O08−3 当院における医療の質と医業収益からみた地域包括ケア病床に関する一考察
奈良県立五條病院 看護部長室 中島 大
O08−4 在宅療養に向けての早期看護介入の必要性
社会医療法人 高清会 高井病院 田中 真由美
O08−5 地域医療連携ネットワーク「まほろば医療連携ネットワーク」について
国保中央病院 地域支援センター 峯川 純也
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医療のIT化は患者に恩恵をもたらすか?
−地域包括ケアシステムを見据えて−
一般演題(口演)O09:医療連携
16:55∼17:13
座長:河合町地域包括ケアセンター 社会福祉士 弓戸 利文
O09−1 がん患者への緩和ケアをMSWの立場から考える
奈良県立五條病院 吉鶴 伸太朗
O09−2 高度救命救急センターにおけるMSWの介入方略 ∼入院長期化の要因分析を通して∼
奈良県立医科大学附属病院 地域医療連携室 上田 尚義
O09−3 亜急性期病床廃止に伴う問題とその取り組み
奈良県西和医療センター 岡島 佐知子
一般演題(口演)O10:研修
17:13∼17:43
奈良県立病院機構教育研修センター グループリーダー 法喜 真由美
O10−1 臨床工学技士5年目の悩みと視点の広がり ∼スーパーマーケットと病院の共通項∼
社会医療法人 高清会 高井病院 臨床工学部 奥田 将也
O10−2 シナジー (相乗)効果を期待したPNS(パートナーシップ・ナーシング・システム)の導入
市立奈良病院 4階西病棟 西田 恵美子
O10−3 病棟の一人前看護師の育成に向け社会人基礎力をとり入れた病棟ラ
ダー作成への取り組み
西和医療センター 城戸 由美
O10−4 外来診察業務に従事する看護助手の思い ∼インタビューから効果的な支援を考える∼
済生会奈良病院 親木 賛子
O10−5 看護職の潜在化を防ぐ対策の検討 ―奈良県ナースセンターの取り組み―
公益社団法人奈良県看護協会 ナースセンター事業部 中村 恭美
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一般演題(口演)O11:看護
17:43∼18:07
座長:市立奈良病院 看護師長 岡田 和美
O11−1 小児科における精神発達遅滞を伴った1型糖尿病症例のキャリー
オーバーへの取り組み
町立大淀病院 薬剤部 畑田 育子
O11−2 当院での術前経口補水の導入について
奈良県総合医療センター 中央手術部 溝上 直人
O11−3 静脈血栓塞栓症予防対策の現状と対策促進の取り組み
弾性ストッキングによる合併症対策
奈良県立医科大学附属病院 医療安全推進室 田中 麻理
O11−4 人工股関節置換術後患者の在宅復帰に向けた不安軽減の看護介入 ―ペプロウの人間関係論を用いて―
奈良県西和医療センター 北4階病棟 中尾 麻利菜
閉会あいさつ
18:07∼
会長 川口 正一郎
(奈良県西和医療センター)
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ポスター会場
一般演題(ポスターセッション)P−A1:在宅・地域医療連携①
13:30∼13:55
座長:奈良県立五條病院 看護副部長 菊田 美子
P−A1−1 がん末期患者の在宅への支援から学んだこと
平成記念病院 田中 京子
P−A1−2 脳卒中患者における当院回復リハビリ病棟の現状と前方連携の検
討
社会福祉法人恩賜財団済生会奈良病院 地域連携室 吉田 和弘
P−A1−3 回復期リハビリテーション病棟における退院支援のあり方の考察
社会医療法人 平成記念病院 5階南病棟 堀 優子
P−A1−4 退院支援に対する看護師への実態調査 ∼退院支援チャートシートを使用して∼
独立行政法人地域医療機能推進機構大和郡山病院 5階東病棟 井田 達也
一般演題(ポスターセッション)P−A2:在宅・地域医療連携②
13:55∼14:20
座長:西和メディカルケアセンター 介護支援専門員 垣口秀明
P−A2−1 在宅看取りのための訪問看護師の役割
大和高田市訪問看護ステーション 中川 富美
P−A2−2 がん患者および家族の意思を尊重した看取りにおける訪問診療の
取り組み
奈良県立五條病院 在宅医療支援室 五十實 桃代
P−A2−3 胃がん精査中に突然胸椎転移を引き起こした患者の在宅療養支援
―突然の麻痺発症に戸惑う妻への関わり―
奈良県総合医療センター がんサポートチーム 西都 律子
P−A2−4 南和地域における「在宅医療研修会」を20回開催してみえてきたもの
奈良県立五條病院 田中 尚美
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医療のIT化は患者に恩恵をもたらすか?
−地域包括ケアシステムを見据えて−
一般演題(ポスターセッション)P−B1:医療安全①
13:30∼14:10
座長:済生会奈良病院 医療安全管理室室長 看護副部長 下村 富
P−B1−1 嚥下評価入院∼誤嚥性肺炎予防に対する当院の取り組み∼
医療法人拓誠会 辻村病院 リハビリテーション科作業療法士 谷野 聖則
P−B1−2 経口的に栄養摂取を行うことの意義 ∼誤嚥性肺炎患者にポジョニングチェンジと口腔内ケアの実施から∼
医療法人 拓誠会 辻村病院 一般病棟 峯 浩代
P−B1−3 転倒・転落アセスメントスコアシートの活用と対策における現状と課題
∼転倒防止チームを導入して∼
奈良県立五條病院 医療安全推進室 山本 博子
P−B1−4 転倒・転落予防を目的とした入院時フローチャートの検証
独立行政法人国立病院機構 奈良医療センター 池田 元嗣
P−B1−5 ポジショニングに対する状況把握をもとに勉強会を実施した結果
みえてきたこと
大和高田市立病院 寺尻 洋一
一般演題(ポスターセッション)P−B2:医療安全②
14:10∼14:50
座長:宇陀市立病院 副看護部長 長谷川 寿乃
P−B2−1 病棟統合におけるリスクマネージャーとしての取り組みについて
社会福祉法人恩賜財団済生会中和病院 武村 彩加
P−B2−2 外来化学療法患者に対するお薬手帳を用いた情報提供及び患者の
意識調査
奈良県西和医療センター薬剤部 前川 友香
P−B2−3 “お名前を名乗って頂き確認”する方法の実施状況調査 ∼評価カードを活用して∼
高の原中央病院 鈴木 友啓
P−B2−4 透析機器の適正使用について
大和高田市立病院 透析センター 飯田 剛士
P−B2−5 更新した3.0T MRI装置の使用経験
奈良県西和医療センター 中央放射線部 山口 長志郎
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医療のIT化は患者に恩恵をもたらすか?
−地域包括ケアシステムを見据えて−
一般演題(ポスターセッション)P−C1:患者サービス・研修 13:30∼13:50
座長:大和橿原病院 臨床検査部技師長 今田 周二
P−C1−1 接遇委員としての取り組み ∼手術室の接遇改善を目指して∼
社会福祉法人恩賜財団済生会中和病院 大谷 恭子
P−C1−2 血液検査室からの臨床研修医実習への取り組み
奈良県総合医療センター 中央臨床検査部 斉藤 真裕美
P−C1−3 患者サービス向上を目的とした採血待ち時間短縮の取り組み
奈良県総合医療センター 中央臨床検査部 柳田 裕起
一般演題(ポスターセッション)P−C2:感染・災害
13:50∼14:10
座長:奈良県西和医療センター 感染管理認定看護師 西田 典子
P−C2−1 結核患者におけるクリニカルパスにおける療養指導の現状把握
独立行政法人国立病院機構 奈良医療センター 看護課 中村 有沙
P−C2−2 電子カルテ導入にともなうサーベイランスシステムの構築 ∼カテーテル関連尿路感染サーベイランスへの取り組み∼
大和高田市立病院 里内 正樹
P−C2−3 災害拠点病院に勤務する医療従事者の災害看護及び防災の意識の
課題と現状
社会福祉法人恩賜財団済生会中和病院 桐山 明美
一般演題(ポスターセッション)P−C3:看護 14:10∼14:35
座長:済生会中和病院 副看護部長 高橋 久子
P−C3−1 看護職が働き続けられる職場環境づくりを目指して ∼奈良県看護協会WLBへの取り組み報告∼
奈良県看護協会 離職防止委員会 西本 京子
P−C3−2 糖尿病患者の大腸内視鏡検査前処置における腹部「の」の字マッ
サージ併用の有用性
町立大淀病院 外来 宮本 伸子
P−C3−3 術後せん妄パンフレットを用いて情報提供を行った家族の意識と
関わり
独立行政法人地域医療機能推進機構大和郡山病院 4階西病棟 濱川 美祐
P−C3−4 排泄ケアへの取り組み∼ TENA導入1年後の現状と課題∼
奈良県西和医療センター 排泄ワーキンググループ 堀川 智津枝
日本医療マネジメント学会第10回奈良支部学術集会
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医療のIT化は患者に恩恵をもたらすか?
−地域包括ケアシステムを見据えて−
抄 録
一 般 演 題(口演)
日本医療マネジメント学会第10回奈良支部学術集会
O01-1
O01-2
私の医療安全
医療安全の観点からみたデスカンファレンスの
開催について
社会福祉法人恩賜財団済生会奈良病院 診療技術部(部門安
全管理者)
○松田博之 松井孝安 下村富 久永倫聖
医療事故防止対策は、通常、インシデント・アクシデント報
告を資料にして考察されていく。同委員会には、診療部・診
療技術部・看護部門・事務部門・管理部門から各委員が選出
されているが、事故報告書は業務上、看護部門からが多く他
の部門者の理解を超えている事も少なくはない。病院では多
職種の者が同じ患者さんの診療にあたり、業務を行う事にな
る。
病院には、患者さんがおられ、医療従事者及び職員は、医療
安全に関係しない者は一人もいない。
医療安全は病院全体の問題である。という観点から各部門・
職種の職員に参加して頂き『私の医療安全』と題したVTR
を作り、各職種での「医療安全」に対する考えなどを述べて
頂いた。
そのVTRを研修会で職員に観て頂き、各部門・職種によっ
て医療安全に対する考え方の違いを知り、お互いの立場を理
解できる事に繋がったので報告します。
社会医療法人健生会 土庫病院
○西原みゆき1) 山西行造2) 佐渡英一3) 猪之良隆子4) 福村
弘5) 林くるみ6) 二十軒栄亮7)
1)医療安全管理者 2)病院長 3)病院事務長 4)病院事務次
長 5)医療機器安全管理者 6)情報管理室主任 7)薬剤師
1. はじめに
当院は199床認可184床稼働の一般急性期病院であり、地
域医療に情熱を傾けている。一方では近畿でも特色ある消
化器病センターとして、早期発見から治療・緩和ケアに至
るまでの医療を提供している。2013年9月より医療安全管
理体制を強化し、医療安全管理者の役割が再認識された。
デス・カンファレンス(以下DC)は通常のカンファレ
ンスとは違い、死亡に至るまでの医療やケア内容に焦点を
当てて行うものである。以前は医師が発起人となってDC
を開催していた。現在は医師だけでなく、医療安全事務局
で「振り返り」が必要と判断される事例に対して行ってい
る。今回その取り組みについて報告を行う。
2. 方法
⑴医療安全医局会議(1回/月)で医療安全管理者が全死亡事
例をまとめたものを提出し「気になる症例」がないか意
見を求める。
⑵臨床の現場に「気になる事例」が無いか聞き取りを行う。
⑶医療安全事務局会議でDC事例の選定を行う。
⑷医療安全管理者がカンファレンスの司会、メンバーの声
掛け、開催時間の調整等行う。
3. 考察
2014年8月に開催したDCでは、8職種、31名が参加した。
1時間の予定を10分超過し、医学的側面だけでなく、患者
を取り巻く状況について個々の意見を出し合う目的が達成
された。
患者や家族、医療者にとって医学的な検証は大きな成果
であり、今後の教訓が得られた。一方では、多岐にわたる
日常業務から離れて自分自身の態度を業務から引き離し点
検することが可能となった。また、それを言語化する機会
となった。
臨床の現場で事例と関わり、倫理的葛藤を抱えるスタッ
フがDCの場で自分の思いを振り返り話すことは医療者へ
のケアにつながる。また、
DCは職位や職種の垣根を越えて、
コミュニケーションを促進し、職員のモチベーションを向
上させることにつながると考える。
4. まとめ
医療安全面からのDCの視点であったが、DCは患者と向
き合う医療者を支援する意味もあり、予想外の相乗効果が
得られた。
― 27 ―
O01-3
O01-4
当院のMRI検査における医療安全
多職種による医療安全巡視の取り組み 奈良県総合医療センター 中央放射線部
○橋本 翼 1)、高田 太輔 2) 山田 卓実 3)吉岡 孝之 4)
才田 壽一 5)
社会福祉法人恩賜財団済生会奈良病院 事務部(医療安全
部門管理者)
1) 事務部 2) 管理部 3) 薬剤部 4) 診療技術部 5) 看護部 6) 医療安全管理室
○清水直孝 1), 松井孝安 2), 友村雅昭 3), 松田裕之 4), 糸瀬
良祐 4), 小田幸恵 4),中川隆太 4), 赤尾 隆 1), 松本具子 5),
池上 愛 5), 辻本今子 5), 廣藤玉貴 5), 山中邦江 5), 宮崎まちこ 5), 下村 富 6)
近年MRI検査は、画像診断において重要なモダリティーの
一つである。しかし、CT 検査とは異なり、強い磁場という
特殊な環境下であるため、MRI 検査特有の医療安全が存在
する。
特に注意しなければいけない事は、酸素ボンベや車いすの
持ち込みによる吸着事故、アクセサリやアートメイクなどに
よる熱傷事故、ペースメーカーなどの体内金属による事故で
ある。これらは、過去に死亡事故をはじめとする重大な医療
事故をもたらしている。当院ではこのような医療事故を未然
に防ぐために、検査オーダー時には依頼医による問診とイン
フォームドコンセントを実施している。また、検査前には患
者による問診票の記入、検査時には、更衣と看護師・放射線
技師による口頭確認を徹底している。しかしながら、年に数
例のヒヤリハットが報告されているのが現状である。
そこで、今回我々は、医療安全の一環として、過去に生じ
た医療事故やヒヤリハットを分析し、そこに潜む問題点を
チェックシートの形で提示した。より多くの医療スタッフに
検査や医療事故を知ってもらうことは、MRI 検査の医療安
全に対する意識向上につながると考える。今後もより安全に
検査が行えるように、様々な情報を発信していきたいと思う。
【目的】医療事故防止対策委員会の活動の1つとして医療安全
巡視がある。自部署内だけの視点では問題点に気づかない事
もあり、2009年11月から多職種や他部署メンバーによる安全
巡視が、年1 ∼ 2回のペースで実施され今年度で7回目となっ
た。職員とコミュニケションを図りながら、現状把握や問題
点を見出し提案する事は、安全文化の醸成を図る上で大切な
活動である。今回はその取り組みについて報告する。【方法
と結果】
「患者の安全を守る」
「職員の安全を守る」を視点に、
医師・看護師・薬剤師・放射線技師・理学療法士・臨床工学
技士・調理師・事務員からなるメンバーが、屋上から屋外ま
で巡視を行っている。現状をそのまま確認し写真撮影する事
を目的に、最初の巡視は予告なしで行い、その後写真と改善
案を文書で伝え、次回巡視日も告知する。再巡視時には、改
善の有無や改善案等を確認しながら行う。得られた巡視結果
は院内研修会で報告を行っている。2010年6月、エコー室内
の清拭車が、患者の導線上に設置されている為改善をお願い
していた。その後2012年、医師の導線や患者の導線を確認し
た上で、カーテンの取り付けを提案した。メンバーの知恵と
部署の協力で、清拭車の場所を変更し患者の安全が守られ整
理整頓にも繋がった。このケースは、2年間の時間を必要と
したがメンバーの知恵が終結した事例である。2010年6月と
2012年11月には、リハビリテーション室内の整理整頓をお願
いしていた。2013年11月の巡視時、限られた場所を工夫し、
松葉杖や歩行器等を収納する為の機材室が確保されており、
患者の安心と安全を考慮した訓練の場の提供に繋がってい
た。
【考察】問題点や提案内容には、簡単に解決出来るもの
や時間を要するもの等さまざまである。他職種で院内巡視を
行う事は、
多面的な視点と継続的に関わることが大切であり、
安全への意識向上にも繋がっていると考える。
― 28 ―
O02-1
O02-2
インシデント・アクシデント報告の可視化に向
けての取り組み
ヒヤリハット報告からの改善策と課題
―ヒヤリハット報告についてのアンケート結果―
社会福祉法人恩賜財団済生会奈良病院医療安全管理室
○下村富
1) 宇陀市立病院 医療安全管理室
2)宇陀市立病院
○西田 一二三1) 高谷 和子2) 垣本めいこ2) 椎木 英夫2) 仲川 喜之2)
【目的】事故事例報告は医療安全管理室で管理し、毎週や月1
回の委員会で検討している。年間集計は院内研修会で報告を
行っている。しかし同じ様な事例や報告事例の特徴が見えに
くい現状であった為、可視化に向けての取り組みを行った。
【方法と結果】川村治子氏の「ヒヤリハット11,000事例による
エラーマップ完全本」を参考に、平成23年度24年度に報告さ
れた1,280件の事例を、発生場面別「1薬剤」
「2転倒転落」
「3
療養上の場面」「4診療関連場面」「5医療器具(機器)
」
「6
治療処置」
「7診療情報」のカテゴリー分類を行った。1に
ついては内服・外用群と注射群に分類し、これらを投与あり
と投与なしに分類した上で、事例内容が読み取れる表現を用
い48項目の内容を設定した。各内容ついては、発生要因と防
止対策を明記した。同様の方法で、2については、医療者の
介入なしとあり群に分類した。介入なし群では判断能力の低
下ありとなしに分類し22項目の内容を設定した。介入あり群
では、検査治療中・乳幼児・移乗介助中とし8項目の内容を
設定した。3については、情報伝達関連と看護援助の2群に
分類し11項目の内容を設定した。4についてはドレーン
チューブ・検査・指示出し情報伝達過程・輸血の4群に分類
し17項目の内容を設定した。5医療器具(機器)については
ME機器関連・医療ガス・用具設備関連・内視鏡関連の4群
に分類し9項目の内容を設定した。6については患者確認・
方法(手順)の2群9項目の内容設定し、7では1群1項目
の内容設定を行った。同様の方法で25年度分791事例につい
て分類を行い、内容項目別の報告件数から3年間の比較を行っ
た。内容項目106のうち報告がなかった物はは17項目、11項
目の追加を行った。【考察】可視化を行う事は、事故対策を
考える上で効果的であり、継続して行くことが知識化にも繋
がっていくと考える。
【目的】当院ではヒヤリハット報告の件数が、年々減少する
傾向にある。有害事象を把握し再発防止に取り組むために、
ヒヤリハット報告率を上げる必要がある。
そこで、ヒヤリハッ
ト報告書についてどのように認識しどのように感じているか
現状を知るために、職員全員対象にアンケート調査を実施し
今後の対策を検討した。
【方法】ヒヤリハット報告書に関す
る調査用紙は、種井らの『レポートの意味の再確認の徹底に
より医師からのインシデント報告数を増やす』を参考に意識
調査を中心に作成した。対象は、当院職員259名(常勤・非
常勤)無記名式質問用紙(以下アンケート)質問数23項目で
実施した。
【結果】
『ヒヤリハット報告書作成経験がある』は、
68.6%であった。報告書の目的を、
『再発防止策を立てる』
ことと95%が答えた。
ヒヤリハット報告書を書かない理由は、
『時間がない・面倒だ。』が27.7%、
『迅速に対処解決し問題
にならなかったから』が25.6%、
『問題が起こりそうだったが、
実際は問題にならなかった。
』が23.3%であった。また、
『責
任を問われそうで書きたくない。
』との意見もあった。
アンケート結果の分析は、『ヒヤリハット体験の教訓を当
院職員全員が共有することで、再発防止に役立てる。』『報告
することで客観的に判断できるため、私たちが陥りやすい判
断や対応を救う事ができる。
』
『病院に報告することで部門横
断的にさまざまな連携を行い安心安全な医療の提供に繋が
る。
』等を職員にフィードバックし、ヒヤリハット報告の再
認識の機会となった。また、結果を基にヒヤリハット報告書
を簡素化し院内で統一した。【結論】アンケート調査は、ヒ
ヤリハット報告の意義を再確認する機会となった。今後更に
ヒヤリハット報告が提出されるよう啓発することが必要であ
り、ヒヤリハット報告を活かし医療安全意識を向上させ再発
防止のためのシステムを整備していくことが今後の課題で
あったと考えられた。
― 29 ―
O02-3
O02-4
看護師管理の内服事故減少の取り組み∼薬剤
ヒート調剤から一包化へ∼
患者の薬の飲み忘れに対する意識調査
1)独立行政法人 地域医療機能推進機構 大和郡山病院 3階東病棟
1)、○細田知香子 2)増田和美 3)イベメレ裕規
1) 大和高田市立病院 看護局医療安全対策委員会
○岡本信子 元持美佐子 奥手佑弥子 薮中優子
【はじめに】
当院の薬剤関連に関するインシデント報告書は 上位を占
めている。超高齢化社会へ向かう昨今、先発薬品とともに、
ジェネリック薬品名の導入・持参薬内容の確認・自己内服管
理が困難な患者の増加など内服管理は複雑化しているため、
看護師の管理で配薬する事が少なくない。現場で使用する薬
剤の多種多様化が必然となっており、医師、薬剤師、看護師
といった複数の専門職が関わり実施している。看護師は、与
薬業務の最終実施者となることが多く、自分たちで気づかな
ければ、重大な事故を及ぼす可能性がある。看護師管理で確
実な与薬を目指しているが、実際は、配薬間違いや、過剰投
与などを繰り返している。そこで、配薬までのプロセスを見
直し、薬剤部と協働し内服管理の手順を改訂した取り組みに
ついて報告する。
【取り組み】
内服処方から配薬するまでのエラー要因を抽出し、4M分
析手法を用いて対策を立案した。薬剤部と看護局と協働し、
薬剤ヒート調剤から一包化(患者名・薬剤名・錠数・内服時
間が明記されている)への変更の取り組みをした。
【.考察】
看護師の確認ミスなどによる人的なエラーの確率を低くす
るため、用法ごとに薬剤を1つにまとめて配薬することを対
策とした。根本的な要因を掘り下げることで、与薬業務のシ
ステムに目を向けることができ、安全に患者に与薬できる改
善策となったと考える。また、看護師だけの問題として捉え
るだけでなく、薬剤部と連携をとり、薬剤の一包化が実現し
た。より良い形で機能できるように薬剤部の意見を取り入れ、
システムを構築することは、安全なチーム医療を提供する上
で最も重要である。
【結論】
看護師管理の内服は、一包化で院内統一を図った。看護師
の内服準備時間の短縮と確実性が高まり、与薬事故の低減を
目指した手順になった。薬剤に関するリスクは、看護師だけ
で改善策を考えるのではなく、チーム医療の目的の一つであ
る安全な医療の提供という観点にもつながった。
Ⅰ.はじめに
A病院では、患者が入院し持参薬の確認の際、残薬が合わ
ないことが多く確実な服用ができず症状が悪化し入退院を繰
り返す例が少なくない。そこで、薬を飲み忘れる患者はいる
のか、どのような時に薬を飲み忘れるのか、薬についてどの
ような認識であるかを知ることが出来たのでここに報告す
る。
Ⅱ.方法
・期間:10月17日から12月13日
・対象:A病院通院中の外来患者、消化器内科入院患者
・データの収集方法:質問紙によるアンケート調査
Ⅲ.結果
アンケート数:外来患者91名、入院患者9名(計100名)
薬を飲み忘れたことがある54名、飲み忘れたことがない46
名、薬を飲む重要性は、非常に重要30名、重要64名、どちら
でもない3名、あまり重要でない1名、重要でない1名、無回
答が1名であった。なぜ飲み忘れたか、うっかりしていたが
41名、しんどかったが2名、めんどくさかった2名、忙しかっ
た10名、仕事中であった5名、調子が良くなったので内服を
やめた3名であった。
Ⅳ.考察
患者自身が疾患について理解し、薬の必要性を知り、確実
に服用することが大切である。そのためには看護師と他職種
が連携し、薬についての説明と教育が必要不可欠である。1
つの手段としては、薬を1包化により独居や高齢者の飲み忘
れるリスクを減らすことができると考える。患者は重要であ
ると感じているが、薬を飲み忘れたことがあると答えた患者
は、薬を飲む習慣になっていないことも要因として考えられ
る。患者自身が飲み忘れることがある場合、他者の介入によ
り確認する事で、飲み忘れを減らすことができると考える。
Ⅴ.結論
・錠剤での残薬が多いのであれば対策として1包化も必要
であり、医師・薬剤師との連携が必要である。
― 30 ―
O02-5
O03-1
インシデントレポートに関する分析
∼高齢者の QOL を低下させない関わりの中で
のリスクの軽減∼
マムシ咬傷の治療経験
1) 済生会中和病院 南4階病棟
○南 卓磨
【はじめに】
A病院、整形外科・耳鼻咽喉科病棟では高齢者及び、認知
症を持つ患者が多く、転倒・転落、内服薬についてのインシ
デントレポート報告が多かった。病棟の特徴を踏まえ、分析
した結果今後の対応策について検討した。
【方法】
①対象:平成26年4月∼ 9月の転倒・転落22件、内服薬につ
いてのインシデントレポート26件。
②概要:転倒・転落については年齢、認知症の有無、要因の
検討。内服薬についてはインシデントレポートを検
討。
【分析】
①転倒・転落
入院時は情報量の少なさ、情報共有が出来ていない。骨折
等による行動に制限がある為、転倒・転落は少なかった。し
かし、認知症やせん妄によりナースコールが認識できず転倒
する事例が15件(68.2%)や、患者のADLが上がり自己で行
動できると思い転倒・転落する事例が6件(27.3%)と次に
多かった。内容として排泄に関連した事例が10件(45.5%)
と目立った。
②内服薬
入院時は、与薬が必要な患者が殆どで、与薬時の手順を設
けているが、手順通りに行えておらず与薬を忘れる事例が9
件(34.6%)で多かった。退院に向け内服薬を自己管理する
ことが多くなっている傾向にあり、内服薬を服用し忘れる、
重複服用といった報告件数が7件(26.9%)で増加していた。
宇陀市立病院整形外科 1)宇陀市立病院整形外科2)県立五條
病院整形外科
○倉田慎平 1)、井上大典1) ,江川琢也1),奥本洋樹1),水掫貴満1),
竹嶋俊近1),門野邦彦2),仲川喜之1)
【目的】マムシ咬傷は比較的稀な外傷であるが、年間約3000
例(死亡率0.3%)の発生があり注意を要する疾患である。し
かし、本傷の受傷・治療実態、治療成績についてのまとまっ
た報告はほとんどない。今回、当院における本傷の治療経験
を報告する。
【症例】2005年9月∼ 2014年10月の約9年間に当
院で入院加療した本傷は18例であった。男性11例、女性7例、
年齢は16歳∼ 84歳(平均63.6歳)咬傷部位は手部13例、足部
5例で受傷場所は草刈り・草引き中11例、山中4例、自宅敷地
内2例、捕まえようとして受傷が1例であった。受傷月は6月3
例、7月1例、8月8例、9月5例、10月1例で、受傷時間は午前
中が10例、日中が1例、夕方以降が7例であった。入院期間は
2日∼ 64日、平均6.4日(転院、手術例を除く)であった。初
期症例で受傷当日入院しなかった3例でCPK,AST,ALT高値
となり重傷化したが死亡例はなく指尖部変形が遺残した1例
を除き全例愁訴なく治癒した。【考察】本傷は亜急性毒性に
より徐々に四肢腫脹が近位に伸展するため必ず受傷当日入院
加療とし、テタノグロブリン、抗生剤、セファランチン投与
後、継時的に重症度判定を行い肘関節または膝関節まで腫脹
が進展した場合は抗マムシ血清を投与することにより重症化
することなく治療可能であることが確認された。
【考察】
今回の調査で、退院に向けて自立していくことが、転倒・
転落や内服薬のリスクを高めていることが分かった。
今後、ADLの把握、看護師のアセスメント能力向上、患
者評価・状態の変化に合わせどこにリスクがあるのか把握し、
情報共有できるよう各チームリーダーと連携していくことが
重要であると考えられた。また、統一した看護が行えるよう
看護計画を立案し患者カンファレンスを充実させ、随時計画
を変更できるよう働きかけていく。
― 31 ―
O03-2
O03-3
当科が提供する単孔式腹腔鏡手術 −導入と現
状− 中規模急性期病院少人数体制脳神経外科診療の
実情
∼危機管理と教育を中心に∼
奈良県西和医療センター 外科
〇上野正闘、 池田直也、金村哲宏、榎本浩士、北野睦子、
川口正一郎
当科では、2009年より本格的な腹腔鏡手術の導入に取り組
み始めた。腹腔鏡手術の利点としては整容性(創の小ささと
美しさ)、拡大視効果(手術の精密さ)、低侵襲性(体への負
担や出血量の少なさ)などが指摘され、患者への恩恵という
観点から積極的に推奨できる術式と考える。また保険点数の
高さや入院日数の短縮など、病院の医療収益という観点から
も利点のある術式と言える。
一方で、腹腔鏡手術は手術操作の全てをディスプレイ上の
映像データとして残せる利点も有しており、手術向上の貢献
に期待できる手技のデータ化を容易にする。当科では腹腔鏡
手術の導入と同時に当時日本でも施行が始まったばかりの単
孔式腹腔鏡下胆嚢摘出術(SILS)の実施にも着手したが、
導入施設が少数であったため手術手順あるいは手術手技に関
する情報が乏しい状況において、導入当初の自験例での画像
情報を解析することによって迅速な手技確立と安定化を達成
することができた。本会テーマであるIT化(手術領域にお
ける)に準じた方法論が功を奏した取り組みであったと思わ
れるので紹介する。
さらに、SILSで獲得した手技を発展させることにより新
しく開発あるいは工夫を施したTUSILAA(単孔式腹腔鏡下
虫垂切除術)、Reduced-port TAPP(準単孔式鼠径ヘルニア
修復術)という当科による独創的な手術も現在行っている。
そして本年10月からは外科手術用3D内視鏡システム(オリ
ンパス社製)が手術室に設置されるに及び、より質の高い手
術を提供できる環境が整えられた。TUSILAA、Reducedport TAPP、3Dシステムの効果と併せて報告する。
1) 奈良県西和医療センター 脳神経外科
○藤本京利1)
、下川原立雄1)
、川口正一郎1)
研修医制度の変化に伴い医師の偏在化は顕著になり地方都市
中規模病院脳神経外科における医師不足は大きな問題となっ
ているが、その状況下であっても脳卒中や外傷など救急疾患
を中心に医療ニーズは高く、中規模急性期病院の脳神経外科
医は昼夜を問わず日々懸命に診療を行っている。
当院は、内科の協力を得て脳神経外科医2名で365日24時間体
制で患者を受け入れている。年間手術件数(年間180件前後)
の約70%が緊急手術であるが、脳神経外科医の診療は手術の
みではなく周術期の管理や脳梗塞の保存的治療、脳腫瘍の治
療、急性期治療後の手配、さらに外来診療など多岐に渡る。
こうした状況は短期的なものではなく、
長期的なものであり、
患者に質の高い、より良い医療を継続的に提供していくため
にも、多忙な状況下であっても、十分な危機管理を行うこと、
スタッフが疲弊することなくモチベーションを維持し続ける
こと、そしてその施設に在籍することに満足感と充実感が得
られる教育的指導を行っていくことが必要である。今回、多
忙な中規模急性期少人数体制脳神経外科において、危機管理
を十分行い、スタッフのモチベーションを維持しつつ教育を
行うために当院で行っている実際を報告する。
― 32 ―
O04-1
O04-2
奈良県総合医療センター脳神経外科チームにお
ける iPad の臨床活用
電子クリニカルパスの評価と今後の課題
大和高田市立病院
○細川喜美恵 、治田美津子、伊藤巧二
奈良県総合医療センター 脳神経外科
○渡邉知朗 飯田淳一 内山佳知 茶谷めぐみ
医療分野でIT化が進みつつあるが その中で最も簡便に
応用できるのが タブレット型情報端末の導入である. 我々
は2年前よりiPadを脳神経外科チームで連携利用し臨床応用
しているのでその有用性を報告する. まず第1はチーム内で
カレンダーを共有し 当直や各種当番,手術や検査予定,学
会予定などのスケジュールをリアルタイムに共有利用してい
る. 第2に 遠 隔 画 像 閲 覧 シ ス テ ム(FUJIFILM社 SYNAPSE ZERO)の利用である.院内外を問わずどこから
でも iPadを用いてSYNAPSEに蓄えられた全ての病院画像
を閲覧でき,患者サービス向上や医師の負担軽減に役立って
いる. 第3は患者説明(プレゼンテーション)でのiPadの利
用である.定型的な文章や図表,画像や動画を用いて説明す
ることができ 非常に有効な手段である.第4は抄読会の論
文や各種文書のペーパーレス化である.資源有効利用だけで
なく論文など文書整理に役立ち 優れたストレージ手段に
なっている. 医療分野でのIT化は患者に恩恵を与えることが目的であ
る.直接患者サービスを向上させたり 医療従事者の業務効
率化を計りそのことが 患者に恩恵を与える事になりうる.
今後 電子カルテシステムとの連携が望まれ セキュリ
ティー保全が課題であると考えている.
(はじめに)
当院は平成13年度からクリニカルパス(以下、パス)を導
入、7年後には111種類の運用を行った。平成24年度から電子
クリニカルパス(以下、電子パス)に切り替え、現在は50種
類の運用、23種類の改訂準備を行っている。今回、電子パス
導入から1年を経過し、現場の声を聞きながら「アウトカム
達成率」
「バリアンス集計」から評価を行った結果、課題が
見いだせ、改善に向けての活動を示唆できたので報告する。
(評価内容)
平成25年度のパスの使用率は、全科で43.7%(昨年度より
−1.4%)である。アウトカム達成率は57%だった。未達成
の43%は、アウトカム評価を忘れて未達成のまま、又アウト
カム評価の方法が統一できていない等の現状が混在してい
た。バリアンスは実施のチェック忘れ、医師の指示の追加・
変更、清潔等の日にち変更などあり、膨大な量となった。現
場からは「バリアンスが多い」「アウトカム評価が出来てい
ない」
「パス作成時、適切なアウトカムマスターが無い」「ア
ウトカムと観察項目、処置とコストの紐付けが不十分」「パ
スを活用しても記録が楽になっていない」などの意見が聞か
れた。
(改善点)
1.日 本 ク リ ニ カ ル パ ス 学 会 のBOM(Basic Outcome
Master)を活用したパス作成・パス運用をする 2.看護用語
の統一をはかる。 3.アウトカムと観察項目、処置、コスト
の紐付けを統一する。4.バリアンス集計はアウトカムに関連
したもののみ集計する。5.パスは日めくりパスを活用し、ワー
クシート・看護計画・アウトカム・カルテ記載が1ページで
可能になるようにする。
(結語)
電子パスの評価に「アウトカム達成率」
「バリアンス集計」
「現場の声」を活用したことで、様々な問題が明確になった。
解決には労力と時間が必要であるが、パス委員会の活動とし
て積極的に取り組んでいきたい。
― 33 ―
O04-3
O05-1
放射線科における看護記録様式の作成と電子カ
ルテ運用の試み
−ペーパーレス化をめざして−
全職種参加型の災害時訓練
1)地方独立行政法人 奈良県病院機構 奈良県西和医療
センター 看護部 放射線科
2)地方独立行政法人 奈良県病院機構 奈良県西和医療
センター 中央放射線部
○比澤 万有美 1)、秦 香苗 1) 坂上 久明 2)
ITの進化に伴い、2001年12月厚生労働省が策定した「保
健医療分野の情報化に向けてのグランドデザイン」
において、
医療機関でも電子カルテシステムの普及が進んでいる。電子
カルテなど、ITを活用した手段により期待される効果とし
て、情報提供・質の向上・効率化などがあげられる。
当センターでは、2012年より電子カルテを導入・稼働して
いる。しかし放射線科では、電子カルテ導入以降も依然とし
て紙ベースの看護記録用紙を使用していた。書き慣れた記録
用紙であることや、様式を電子カルテに移行しても活用する
のは困難であるとの思い込みなどから、紙運用を続けていた
現状があった。
看護記録を電子カルテで運用することのメリットは、紙カ
ルテスペースの削減、判読不可能な字の消失、他職種との情
報共有が容易となるなどがある。電子カルテのメリットを活
かすためペーパーレス化を目的に、放射線科看護記録様式を
新たに作成し、現状の電子カルテ内で運用できるよう取り組
んだ。
取り組み内容は、放射線科チェックリスト、放射線科看護
記録用紙のテンプレートを新たにexcelで作成し、氏名や生
年月日などの患者基本情報や電子カルテ内にある情報は、で
きる限り新たな記録用紙に反映されるようにした。また、記
録形式は入力時間削減を目的に、可能な限りドロップダウン
リストより項目を選択できるようにした。テンプレートを作
成後、病棟看護師と検討した結果、電子カルテ内で運用でき
るようにした。放射線科チェックリストに関しては、病棟看
護師が統一した認識で入力できるよう、入力マニュアルを作
成し全病棟に周知した。今後は実際に使用し、患者情報を有
効に活用する事で電子カルテのメリットでもある、情報の共
有化がより進むよう取り組みたいと考えている。
社会医療法健生会 土庫病院 ○鈴木征光 佐藤祟 高崎大史 下澄子 西本高志 山田敦
夫 二十軒栄亮 下林孝好
<経緯>
社会医療法人健生会は地域要求に端を発し、6畳1間の間
借り診療所から今日184床を稼働させ診療所、老健施設、
在宅関連施設、院内保育所を擁しています。
災害拠点病院ではない当院ですが、普段のかかりつけ、近
隣居住者の拠り所として大規模災害時にあっても果たせる役
割について検討を行いました。
<手法>
2011年より、病院管理機能とは別にプロジェクトとして他
職種横断型の実行委員会を立ち上げ、多様な災害を想定した
対応マニュアルの整備、災害時に限られた医療資源を最大限
に生かせる全職種参加の訓練実施を任務としました。
<結果>
災害拠点病院に比べれば設備や人員など充足はしておりま
せんが、標準的とされる災害対応について病院・診療所・施
設等の実情にあわせて手順化がすすめられ、訓練の経験を通
して点検・改善がされました。
全職種参加型の訓練はアクションカードを用いて、2012年
に160名、2013年は204名の参加により実施しました。この経
験を通して法人全体の問題意識の向上が得られ「トランシー
バーの使用法」
「患者移乗・搬送の手法」など小項目の訓練
と全職種参加型の訓練について、3年を1単位として計画し
今年度より実践が始まりました。
また、標準的な災害対応を学ぶ場面として、東岡宏明医師
(関東労災病院救急総合診療科部長)らを招いて2016年9月に
県内初の試みとなる地域密着型病院職員災害対応訓練
「Disaster ABCコース」を受講生・模擬患者含め約 60 名に
より開催し、2017年2月には奈良県内をフィールドとした近
畿地方DMATブロック訓練にてDMATチームを受け入れ
ての訓練を予定しています。
今回この経験について報告するものです。
― 34 ―
O05-2
O05-3
「アクションカード」を用いた多数負傷者受け入
れ訓練の課題と評価
(第 2 報)
宇陀市立病院
○梶谷多子美、水掫貴満、上谷君代、奥田幸子、早田厚美、
染田純子、前山由美、松本光生、加藤由美、藤井和彦、仲川
喜之
【目的】昨年第9回本学会で、当院における多数傷病者受け入
れ訓練におけるアクションカード(AC)の有用性と課題に
ついて報告した。今年度はAC内容に改善を加え再度同様の
訓練を行ったので訓練結果ならびに問題点について報告す
る。
【方法】訓練は平常時間内における多重交通事故による多数
傷病者受け入れを想定し、発災連絡から「災害本部立ち上げ」
「アクションカード配布」
「各トリアージポスト立ち上げ」
「模
擬患者トリアージ」までの一連の患者受け入れ災害訓練をA
Cに沿って行った。訓練後参加者全員に倫理的配慮のもとア
ンケートを配布した。調査項目は昨年度と全く同様の内容と
し、ACの入手、AC内容、ACに沿った行動、ACの有用
性、ACの大きさ・紙質・文字の大きさ等12項目にわたりV
ASスケールで回答してもらった。
【結果】昨年度に比べ、ACをすぐに入手できた(昨年8.2→
今年9.0)、ACを読んできた(8.6→9.1)、訓練中にACを見直
しチェックできた(7.2→7.8)は改善が認めら、特に、パニッ
クにならなかったは(3.5→7.0)と著明に改善していた。一方、
ACにより自分の行動が理解できた(8.3→7.3)、AC通りに行
動できた(7.5→6.9)、ACは有用と思うか(7.9→7.6)はむし
ろやや悪化していた。
【考察】前回に比べ、ACの入手が確実になされ、訓練中にパ
ニック(焦り)を感じた者は著明に減少していたことはAC
の概念が浸透してきた成果と考えられた。しかし、AC内容
の理解、AC通りの行動、ACの有効性の認識はまだまだ不十
分であることが判明した。実際、負傷者10名中3名の名前取
り違えが発生し、各トリアージポスト、指令室間の情報伝達
手段・経路の見直し等、ACの更なる改善と小規模な机上訓
練をも含め頻回の訓練が必要であると考えられた。
当院に於ける急変時対応手順の教育について
社会医療法人健生 土庫病院
○今川亜美1) 梅咲圭子2) 矢持悠一3) 下林孝好4)
1)病棟看護師 2)外来看護師 3)内科医師 4)救急科医師
1. はじめに
当院では2012年より急変時の対応手順の標準化を目指
し、看護師に対して教育を行なっている。2014年12月時
点で計8回開催している。今回、その取り組み内容と効
果について報告を行う。
2. 当院について
当院は稼働病床184床(内9床地域包括ケア病床)の一般急
性期病院である。2013年度の救急応需人数は6377人であ
り、病院の方針として救急医療への取り組みに力を入れ
ている。当院では救急医療の環境整備を目的とした救急
医療委員会と、1次救命処置(以下BLS)教育を目的とした
BLS委員会を組織している。
3. 急変時対応学習会について
当院では2007年より、Immediate Cardiac Life Support(以
下ICLS)コースを年2回開催している。その後、ICLSを
参考に心肺蘇生時の手順の標準化を目的として、上記の
2つの委員会が合同で急変時対応学習会を行っている。
急変時対応学習会は3 ヵ月に1回開催し、1回につき受講
生を4人募って開催している。内容は急変を確認した場
面から、BLS、除細動や気管挿管の介助と心肺蘇生時に
必要なスキルを学習できるものとしている。
4. 学習会の効果
開催時の参加者アンケートからは概ね満足という結果と
なっている。しかし、実業務への反映についてはこのア
ンケートからは分からない。ただし、医師からは効果が
あるという声は聞いている。
5. 現在の問題点について
問題点としては年間の受講人数が16人と少数であるこ
と、インストラクターの数が少ないこと、挿管介助や気
道管理等の各指導項目についての到達目標を見直してい
ないこと等が挙げられる。
6. 今後の活動について
現在、インストラクターの養成を目的として、ICLSコー
スのインストラクターとしての参加や、インストラク
ターのための講習会を開催している。インストラクター
が増加することで年間の受講生の増加が見込まれる。ま
た、コースコンセンサスの作成や定期的な見直しを行う
ことで、学習会の質の向上と維持が可能になると考えて
いる。
― 35 ―
O05-4
O06-1
当院に於ける by stander 養成を目的とした地域
住民向け BLS 講習会について
人は「何を」ではなく「なぜ」に心が動く
∼自分を見つめ直すことから始める“より良い
人間環境作り”∼
社会医療法人健生会 土庫病院
社会医療法人健生会 日の出診療所
社会医療法人 高清会 高井病院 臨床工学科
⃝古賀 和也、垣内 貴行、熨斗 正和、大山 俊治
○川本恭久1) 白石綾子1) 坂上由美2) 梅咲圭子3) 矢持悠一4) 下林
孝好5)
1)病棟看護師 2)診療所看護師 3)外来看護師 4)内科医師 5)救
急科医師
当院では2007年の病院機能評価受審をきっかけに急変時対
応の標準化を図る為、救急医療に関する院内環境整備を目的
とした他職種構成の救急医療委員会を立ち上げた。そして、
環境整備の一環として、まず職員の一次救命処置技術(以下
BLS)習得を目的として職員を対象としたBLS講習会を継続的
に開催した。取り組みが進む中で救急(主に急変対応)に関
わる職員教育を組織する委員会として、救急医療委員会の小
委員会としてBLS実行委員会が組織された。
職員のBLS習得が一定進んだ段階で、その内容を人に教え
る事によってより深い習得を、そしてその対象を地域住民・
小学校教師(保護者も含め)・保育所職員等に広げることで
地域や職域でのby standerの養成を目指して活動した。
今回の発表では、主に2013年度および2014年度上半期の活
動の報告を通じて、当院の取り組みが職員及び地域に対して
どのような意義をもたらしているのかを考察したい。
これまでもこれからも、私たちにとって人間環境はとても重
要なテーマである。今、私たちの誰もが「自分たちが何をし
ているか」について医療や看護、各種専門技術であると理解
しており、
またそれを「どのようにしていくか」について様々
な手法で今日まで取り組んできた。今後とも私たちは、長期
継続的な視点で、多職種による協働へ向かって、より良い人
間環境作りに努めていきたいと考えている。
そこで今回、今より一歩でも前進していくために、アメリ
カ市民権運動で知られるキング牧師を例に糸口を求めた。当
時キング牧師は、黒人差別の撤廃を叶えるために自身が「信
じる未来」 について「私には夢がある」と訴えた。この時人々
は、キング牧師の「何を」ではなく「なぜ(夢)
」に心動か
され、キング牧師が「信じるもの」を信じ、誰かのためでな
く自分自身のためにスピーチを聴いた。そして人々の心を揺
れ動かしたものは、
「信じるもの」に協調し合う仲間の大切
さや「その強さ」について、一人一人が自身の努力に基づく
経験として感じたからではないかと考えた。
その上で今回、
「何を」ではなく「なぜ」の視点から自分
自身を見つめ直すことで、より良い人間環境を目指すヒント
を学び得た。それは一人一人が、
いま居る場所で、自分が「信
じるもの」をただ行動で示し、自分が「信じるもの」に協調
してくれる仲間を増やすために、そうしたいと思う「強さ」
を自分自身へ求めていくことが重要と考えた。同時にそのた
めには、これらの努力の延長線をゴールに見据え、努めて周
囲スタッフ一人一人の思いや言葉の真意を見落さず、共に成
長できるよう、これまで以上に自身に対して負荷をかけてい
きたいと考えた。
今回、より良い人間環境へ少しでも寄与できればという思
いをきっかけに、自分自身を振り返った。今の自分の弱さを
踏まえた上で、今後を目指す私たちと自分自身のために発表
させていただく。
― 36 ―
O06-2
O06-3
当院透析室における患者満足度調査からの現状
と課題
表皮剥離予防に対するリハビリテーション課の
取り組み
1)宇陀市立病院 透析室
○山崎巳如1)福島恭子2)高谷和志3)和田ひとみ4)井本英
実5)
社会医療法人 平成記念病院 リハビリテーション課
○和田善行 石川定 山口羊一 奥村昌彦 安田圭吾 林拓児 藤井雅世 徳田光紀 澤田崇
【目的】透析患者は透析導入を決定したときから、定期的・
半永久的に続く治療のため抱えている不安や不満は多岐にわ
たる。
当院は山間部に位置し、地域唯一の透析施設のある公的医
療機関である。そのため、地域の透析患者の立場にたち、安
全かつ安心できる快適な透析治療を提供することに努めてい
る。しかし、これまで透析患者の意識調査等からその行為を
振り返り評価する機会をもてていなかった。
そこで今回患者満足度調査を実施することで、透析患者の
声を正しく把握し施設の抱える問題点や患者の要望を明確化
していくことを試みた。
【方法】当院の通院中の維持透析患者に、依頼文とともにア
ンケート用紙を配布した。アンケート用紙は慶応義塾大学マ
ネジメント研究科高木安雄先生監修「透析施設向け患者満足
度調査票」を使用した。記入後封筒に入れて、アンケート回
収ボックスで回収した。アンケートは単純集計を行った。
【結果】調査対象者45名にアンケート配布し、
回収率は87%
(39
名)であった。質問紙では医師・看護師・臨床工学技士それ
ぞれに対する、治療・看護・機械操作・点検・接遇・信頼感・
針刺し行為・環境について17項目を設定した。設問に対する
満足度スケールは、「非常に多くの問題を感じた・多くの問
題を感じた・少しの問題を感じた・問題を感じなかった」の
4段階とした。各項目の満足度の平均は医師53%、看護師
73%、臨床工学技士78%、穿刺38%、環境67%であった。
【考察】今回の満足度調査の各項目の平均から、最低の値と
なったのは針刺し行為であった。透析患者にとってシャント
は命の綱である。そのため常にスタッフ全員がそのことを念
頭に置き、穿刺技術の向上を図り、シャント寿命を長く保て
ることが大切であると考える。今後も患者が何を求め希望し
ているか、また満足のいく透析治療が受け入れられているか
を知るためには継続的なアンケート調査は必要であると考え
る。
【はじめに】
当院リハビリテーション課における平成25年のインシデン
ト・アクシデント件数は73件あり、そのうち表皮剥離が20件
(27.4%)と最多であった。100名を超える療法士が在籍する
当院では、
統一した表皮剥離予防対策の確立が必要と考えた。
そこで、過去の事例より表皮剥離における内的因子、外的因
子を分析し、客観的指標による表皮剥離予防対策チェック表
(チェック表)を作成した。今回、チェック表を取り入れた
ことでリハビリ課内の表皮剥離のインシデント・アクシデン
ト件数を減少させることができたので、その取り組みと成果
について報告する。
【方法】
過去の事例20件から表皮剥離における内的因子(皮膚状態・
関節拘縮・移乗の介助レベルなど各症例の特徴)、外的因子
(ベッド・車椅子・療法士など環境設定方法)を分析し一覧
表にした。そして、
客観的指標によるチェック表を作成した。
その後、リハビリテーション課療法士対象に勉強会を開催し
て内的因子、外的因子、チェック表についての周知とチェッ
ク表に沿ったリハビリテーション実施を促した。また、週1
回のリスクカンファレンスにて、チェック表で表皮剥離が高
リスクであった症例の周知徹底を図った。
【結果】
平成25年の表皮剥離発生件数20件(平均1.66件/月)に対し、
対策後9 ヶ月間は8件(平均0.89件/月)に減少することが出
来た。
【考察】
チェック表を療法士に周知させて表皮剥離のリスクがある
症例を事前に予測したことでインシデント・アクシデント件
数が減少につながった。今後、継続して経過をみると共に転
倒や嘔吐についての予防対策を検討していきたい。
― 37 ―
O06-4
O06-5
当院における後発医薬品使用促進への取り組み
病院における建物解体工事に伴う騒音・感染対
策―奈良県立医科大学附属病院の取り組み事例
―
国保中央病院 1)薬剤部 2)薬事委員会
○関 源一1)、上田 啓正1)、森本 二郎1)、面谷 幸子1)、
葛和 奈緒美1)、畑中 裕子1)、日髙 幸恵1)、植村 純子1)、
菊内 章夫1)、江嶋 陸司2)、奥谷 泰造2)、阪井 利幸2)、
平成26年度診療報酬改定におけるDPC機能評価係数Ⅱの
見直しの中で、後発医薬品指数(新設)の導入が決定された。
後発医薬品指数とは、当該医療機関の入院医療で使用される
後発医薬品の使用割合(薬価基準告示上の規格単位ごとに数
えた数量ベース)を60%を上限として評価を行うものであり、
当院では今まで価格の高い抗癌剤や抗生物質などの注射薬を
中心に後発医薬品への変更を進めてきたが、数量ベースでの
使用割合を上げるためには、価格に関係なく、特に使用量の
多い内服薬や外用薬を後発医薬品に変更することが不可欠で
あった。
まずは平成25年11月の薬事委員会にて、使用量の多い医薬
品の中から、購入金額の高い21品目の後発医薬品への変更を
決定、医局会にて薬剤部より変更手順を説明し、平成26年2
月より随時変更を開始した。
その後平成26年3月に平成26年度診療報酬改定の正式答申が
出たことを受け、病院の方針として数量ベースでの後発医薬
品使用率60%を目標とすることを決定、平成26年3月の薬事
委員会にて、数量ベースで使用量の多い31品目の後発医薬品
への変更を決定した。
その後も毎月の変更割合のデータを見ながら、薬剤部より薬
事委員会の度に更なる変更案を提示し、後発医薬品への変更
を進めていった。
変更に際しては、医師への周知やオーダー変更方法の検討、
薬剤師から患者への変更の説明、又トラブルや医療ミスを防
ぐために院内の医療安全研修会では薬剤師が講師となり、看
護師など他職種へ後発医薬品を正しく理解してもらうための
講演なども行った。
その結果、後発医薬品使用率は毎月増え、一定の成果が出た
と思われるのでここに報告する。
1) 奈良県立医科大学法人企画部財産管理課,2)奈良県県土マ
ネジメント部まちづくり推進局営繕課,3)奈良県立医科大学
感染症センター,4)奈良県立医科大学附属病院中央臨床検査
部,5)奈良県立医科大学附属病院感染管理室
○中西康裕 1),石川達也 2),笠原敬 3) 5),小泉章 4) 5),廣
田雅彦 1),吉村輝一 2),水口喜英 2),三笠桂一 3),西田幸
世 4),峠春樹 1)
背景
現在,工事を進めている新病棟の建設地は既存病棟と隣接
しており,建物躯体の解体工事に伴う騒音や粉塵による診療
業務や入院患者への影響が懸念された。また,工事中断や工
期の大幅な遅延を防ぐため,関係部署と連携し総合的な対策
を講じることとなった。
方法
建築JVとともに関係部署と打ち合わせを重ね,騒音,感
染対策を立案し,病院全体会議等において説明したうえ,病
棟等に周知した。
騒音対策としては,
超低騒音油圧ブレーカー
の使用,音出し調査,防音シートの二重設置等を行った。解
体工事中は,騒音に関する苦情に迅速に対応し診療業務に支
障が出ないよう努めた。感染対策としては,窓サッシ回りに
シート・粘着テープによる目張りをしたことなどに加え,ア
スペルギルス属菌の増加の状況を確認するため浮遊菌を測定
して,事前に実施した粉塵対策の効果を調査した。
結果
感染対策では,アスペルギルス属菌について特に問題は発
生しなかった。騒音対策では,病棟近くで解体作業を行った
際,診療科等から苦情があり,作業を一部休止するに至った。
工事中断等の事態には至らなかったものの,工程変更により
約一週間の遅延が生じることとなった。
考察
工程通りの解体工事推進と,安全・患者優先が原則となる
診療業務は,状況によって相対立してしまう。本工事では,
様々な調整や取り組みにより工事施工側と診療側で連携して
業務を進めていくことができたが,
約一週間の遅延となった。
これは,診療を継続しながら大掛かりな工事を予定通り実施
することがいかに難しいかを示唆している。当初から工期,
工法,積算に騒音・感染対策の要素を十分に組み入れておく
など,病院としては経営的な側面にも注意を払いつつ円滑に
病院運営が進められる方法を今後も検討する必要がある。
― 38 ―
O07-1
O07-2
当院のCKD ( 慢性腎臓病 ) 教育入院における薬
剤師の役割
∼患者が参加する医療に薬剤師は関与できる!∼
当院における臨床工学技士業務とチーム医療
1) 町立大淀病院 薬剤部 2)内科
○中島 博美 1)
、藤木 健吾 2)
、杉本 和宏 1)
、
川野 貴弘 2)
【背景】当院は、過疎化・高齢化が進んでいる奈良県南和
地域の中核基幹病院である。当院でも糖尿病や高血圧など
の生活習慣病が背景因子となって発症する高齢者CKD患
者が多い。CKD進行抑制のため平成25年11月より3泊4日
の日程でCKD教育入院を開始した。
【目的】CKD教育入院の立ち上げから現在までの介入例
をふりかえり、CKD教育入院における薬剤師の役割につ
いて検討した。
【方法】対象は、平成25年11月から平成26年4月にCKD教
育入院した11例(男性7例 女性4例)、平均年齢79.1歳(73 ∼
85歳)。入院初日に持参薬の確認、2日目に説明用紙を用い
た服薬指導、退院時に追加および変更となった薬剤の説明
およびお薬手帳への記載を行った。CKD教育入院での薬
剤師の活動・服薬指導による関与事例を収集した。
【結果】薬剤師には、持参薬を含めた処方薬の確認、腎機
能に応じた処方設計と処方提案の実施、および患者の薬に
対する理解と服薬アドヒアランスの向上が求められる。指
導の中で、服薬アドヒアランス不良例、薬剤の追加および
変更例、薬剤投与量の変更例、症状に対して現処方に満足
していない症例、腎機能を低下させるサプリメント・OT
C薬の使用例など薬物療法における問題を有する症例が認
められた。また、薬剤師が介入することにより新たに判明
した問題点もあり、適正な薬物療法を実施することが可能
となった。
【考察】CKD教育入院を通して患者とのコミュニケーショ
ンをとることで、個々の患者の身体・生活状況などの背景
まで把握し、症状と関連づけた指導を行うことができる。
特に高齢者においては、理解力の限界・家族の協力体制な
どの問題が加わり、服薬における薬剤師の介入は重要であ
る。服薬は、患者自身が医療に参加していることである。
患者が参加する医療に、患者と共に考え、意志決定を促し
た援助を行うことで効果的な服薬につながるよう、薬剤師
は積極的に関与できると思われる。
大和高田市立病院 人工透析センター
○浅田 淳、常本 晋平、森 諭司
【はじめに】
厚生労働省の
「チーム医療の推進に関する検討会 報告書」
の中に、チーム医療とは「医療に従事する多種多様な医療ス
タッフが、各々の高い専門性を前提に、目的と情報を共有し、
業務を分担しつつも互いに連携・補完し合い、患者の状況に
的確に対応した医療を提供すること」とある。当院でも臨床
工学技士(以下CE)がチーム医療に参画すべく、今年度よ
りバスキュラ―アクセス(以下VA)エコー業務、経皮的血
管形成術(以下PTA)介助業務を開始したので報告する。
【目的】
CEがVAエコー業務やPTA介助業務に介入することで、
多職種間での連携をスムーズにし、患者の状況に的確に対応
した医療を提供できるようになる。
【現状】
定期検査以外にも、必要と判断された場合にはCEがVAエ
コーを施行し、カンファレンスで透析科医師に結果を報告。
その後申し送りを施行し、PTA当日は準備から消毒、穿刺、
直接介助、止血までをCEが担っている。
その結果、昨年はVAエコー 12件、PTA1件であったのに
対し、今年は11月の時点でVAエコー 91件、PTA20件であっ
た。そしてVA異常の早期発見が可能となり、早期に治療を
行うことで、VA寿命の延長が期待できるようになった。ま
た患者、透析科医師、コメディカルからも肯定的な意見を多
数得ることができた。
【考察と展望】
CEがこれらの業務に介入し、多職種間での連携をスムー
ズにすることで、適切なVA管理を行うことが可能となった。
今後は更にVA作成術の直接介助業務にも介入し、チームと
してより適切なVA管理をしていくことが必要である。
今回のように、当院ではCEが業務を拡大し、チーム医療
に参画していくことによって、患者の状況に的確に対応した
医療を提供することが可能となった。我々 CEは、今後もよ
り安全な医療を提供していくために、他職種間での連携を図
り、チーム医療に参画していかなければならない。
― 39 ―
O07-3
O07-4
当センター 中央臨床検査部における糖尿病患
者さんへの取り組み
NST における病棟看護師の役割を考える
奈良県西和医療センター 中央臨床検査部
○高津 明美,栗岡 利理子,吉田 雅紀,西川 邦子,草尾 恵,
梅木 弥生
Ⅰ.はじめに
糖尿病患者の血糖変動を把握する手段として自己血糖測定
Self Monitoring Blood Glucose(SMBG)が頻用されているが、
1日に2∼4回、SMBGでのスポット測定のみの管理では、
血糖変動の実態を十分に捉えられているとは言えず、自己の
血糖変動を患者自身が把握できていないのが現状である。
当院では2011年1月より、5分間隔で継続的な血糖測定が可
能なMedtronic社の持続血糖測定(CGM)を導入し、血糖管
理の困難な糖尿病患者さんに2泊3日の糖尿病教育入院をか
ねてCGMを実施した。 CGMで得られた血糖変動動態を提示
し,自己の血糖変動動態を把握することが血糖コントロール
の改善の動機付けに役立て、現在までに約180症例実施した。
動機付けによりHbA1cの血糖コントロール改善効果が認め
られたことは、糖尿病学会・院内誌等でも報告している。
今 回、2014年9月 よ り 外 来 患 者 さ ん で 検 査 が 行 え る
Medtronic社のiPro2を導入し入院を必要としない外来CGM
検査を開始した。
【CGM検査の概要】
CGMは皮下組織にセンサー(電極)を挿入して,センサー
に含まれる酵素を間質液中のグルコースと反応させて電気信
号に変換することで連続測定を行っている。10秒ごとにグル
コース濃度を測定し、5分間の平均が記録される。CGMは
実際には間質液のグルコース濃度を測定しているので、日に
数回、血糖を測定し補正する必要がある。この補正を行うこ
とで血糖値に非常によく近似した値が得られる(以下、CGM
での測定値も便宜上、血糖値と記す)。CGMの測定値と実際
の血糖値との間には約20分間のタイムラグがあることを念頭
に置くことが重要である。
当院の中央検査室の自動分析機とポイント・オブ・ケア機
器(POC)やSMBGで測定したグルコース値との相関は良好
であった。POCはSMBGよりも測定範囲が広く、再現性に優
れ、正確な値が得られた。入院でのCGM実施時にはPOCで
血糖値を測定し補正することとした。
大和高田市立病院 看護局 ○吉川 由紀、岡本 弓子 当院では、TCS委員会NSTグループを設け、入院患者の
栄養サポートを行っている。病棟看護師はSGAを用いて栄
養評価を行い、高度栄養障害と判定された場合は、速やかに
NSTグループへ回診依頼を行い、1週間に1回の栄養サポー
トを行うシステムになっている。しかし、SGAで低度・中
度栄養障害と判定された症例に関しては、依頼が見送られて
いる症例が大部分であり、NSTグループが介入しているケー
スは少ない。例えば、ターミナル期の患者で持ち込み食を経
口摂取している症例、入院後間もない急性期で輸液管理を
行っている症例、経口摂取から経管栄養に移行を検討してい
る症例、認知症による食への意欲低下や摂取むらのある症例
などがそれに当たる。
疾患の治療が優先される中、高齢者の栄養管理は二の次に
なることが多く、長期の絶食や安静により、嚥下に関わる筋
力は低下し誤嚥の危険性が高くなっていく。また、認知症が
発症・増悪してしまうと、意欲の低下から食事を受け付けな
くなる場合も少なくない。また、ターミナル期の患者におい
て、患者に合った食事形態を選択することは栄養状態を維持
するだけでなく、数少ない楽しみの一つであることを認識し
て関わることが重要である。いずれのケースにおいても、
NSTグループが介入するためには、病棟看護師がそのこと
に早く気付きアプローチする姿勢が求められる。
今回、SGAでは高度栄養障害と判定されなかったが、患
者の状態と食事形態が合わないと感じる症例を、病棟看護師
がNST専従看護師に相談したことで、食事摂取量が増加し
たり、栄養状態が改善したりした症例を数例経験した。SGA
でのスクリーニングの限界と、病棟とNSTグループとの関
係性を見直すきっかけとなり、後にNSTグループから正式
に柔軟なサポートが得ることが出来た。NSTグループが円
滑に活動するために必要な要素と、今後の課題を見出したの
でここに報告する。
Ⅱ.目的
入院患者さんでのCGM実施による動機付けによって、血
糖コントロールの改善が認められたことを受けて、より多く
の血糖管理困難な患者さんを対象とした、外来患者さんでの
CGM検査を開始した。奈良県でCGMを導入している施設は
数少なく、積極的に導入している当センターでの取り組みを
紹介する。
― 40 ―
O08-1
O08-2
経口摂取困難と診断された患者が経口摂取で在
宅へ退院ができた 1 事例
地域包括ケア病棟の導入∼宇陀市立病院の取り
組み∼
1) 奈良県立五條病院 看護部、2) 奈良県立五條病院 消化器病
センター
○佐谷 直美 1)、堀内 葉月 2)、 田中 尚美 1)、
森安博
人 2)
1)宇陀市立病院 ○西岡令子1)長谷川寿乃2)高谷和子3)
【はじめに】当院は、言語聴覚士が不在の急性期の病院である。
嚥下障害患者の嚥下訓練を看護師が実施し、消化器内科の医
師が嚥下内視鏡を用いて嚥下評価を実施している。今回2つ
の病院で経口摂取が困難と評価された患者が、当院での嚥下
訓練とNSTによる栄養評価によって栄養状態が改善し経口
摂取が可能となり、在宅に退院することができた事例を経験
したのでここに報告する。【症例】70歳代男性。
【現病歴】転
倒により膝蓋骨骨折手術目的でA病院に入院。手術後に誤嚥
性肺炎を繰り返しリハビリが進まず、B病院に転院する。経
鼻経管栄養を実施していたが、自己抜去や不穏症状が激しく
なり、抑制が必要な状態となる。喀痰量も多く関節拘縮が強
く、車いすへの移乗も全面介助が必要な状態で当院に胃瘻造
設目的で転院された。【当院での経過】入院時は喀痰量多量・
下痢症状・低栄養と問題点が多く認めた。嚥下内視鏡を用い
て評価を実施し、ゼリー食の摂取が早期から開始できた。
NSTラウンドで栄養剤を変更し、下痢症状はなくなり栄養
状態が少しずつ安定した。家人の付き添いもあり、精神症状
も安定し笑顔が増えていった。嚥下内視鏡を入院中計3回実
施し、主食が汁きり粥・副食はミキサーとろみ食を摂取する
ことが可能となった。退院前カンファレンスで写真いりのパ
ンフレットを用いて具体的に説明し在宅へ退院する事が実現
した。
【考察】栄養状態の改善と適切な嚥下機能評価を実施
する事で、経口摂取困難と診断されていた患者が経口摂取可
能な状態で在宅に退院することができた。嚥下機能だけをみ
るのではなく、栄養状態・精神面も考えサポートができたこ
とが今回の経口摂取につながったと考える。また、写真入り
のパンフレットを用いて地域への連携を実施することで在宅
へ安全に移行することができた。今後も住み慣れた地域で安
全に食べる楽しみが提供していくことができるように関わり
続けたい。
平成26年度の診療報酬改定において、
新たな病床として「地
域包括ケア病棟」が新設された。地域包括ケア病棟は、急性
期の治療が終了した患者さんが対象となり、在宅復帰へ向け
て経過観察やリハビリ・在宅復帰支援等が必要な方が主な対
象となる。
当院は、176床の許可病床を4病棟で構成しており、これまで
は10対1入院基本料で3病棟、亜急性期入院管理料で1病棟の
運用を行ってきた。
今回、当該施設基準の新設に伴い、現在の当院における医療
提供状況や地域性、
昨今の医療制度改革等の方向性を見据え、
4病棟のうち2病棟(計86床)を地域包括ケア病棟へ移行する
ことした。
地域包括ケア病棟入院料の施設基準は、職員配置要件をは
じめ、在宅復帰率や医療・看護必要度、リハビリ提供といっ
た高いハードルが複数設定されている。それらの施設基準を
満たすため関連部署間における密な情報連携や病院一体と
なった取り組みを行い、3か月間の実施期間の要件を満たし
た後、平成26年10月から正式に「地域包括ケア病棟」を無事
稼働させることができた。
今回は、当院における地域包括ケア病棟移行にあたっての
関連部署における活動・対応状況や直面した課題、算定開始
後の病院経営上の効果等について報告する。「地域包括ケア
病棟」は、現在行政主導で検討されている地域包括ケアシス
テムの中核をなす入院病床と考えられ、地域住民・地域医療
機関に対し開かれた病棟として機能できるよう更なる努力を
重ねる必要があるものと考えている。
― 41 ―
O08-3
O08-4
当院における医療の質と医業収益からみた地域
包括ケア病床に関する一考察
在宅療養に向けての早期看護介入の必要性
社会医療法人 高清会 高井病院 四階北病棟
1) 奈良県立五條病院 診療情報管理室
○中島 大1)、中村 昌代2)、 西 学美 3)、鶴西 弘孝 4)、
松本 昌美 5)
【はじめに】当院は、過疎化と高齢化が進んでいる南和医療
圏(県面積の65%、県人口の6%、高齢化率31.2%)の急性期
病院である。運用病床は160床のうちDPC一般病床が113床、
障害者施設等入院基本料で算定する病棟35床、そして9月末
日まで亜急性期入院医療管理料(以下、亜急性期病床と略す)
12床であった。周知のとおり、今年度の診療報酬改定により、
亜急性期病床が廃止となり、地域包括ケア病床(病棟)が新
設された。
【目的】当院での亜急性病床12床をDPC一般病床として運
用するか、地域包括ケア病床にして運用するかをシミュレー
トし、考察する。
【方法】理学療法士(以下、PTと表記する)の専従配置が
1名のみしか配置できないこともあり、2部屋8床を地域包
括ケア病床として10月のひと月の間(リハビリテーションに
ついては三ヵ月間)シミュレートする。
【シミュレート結果】1)施設基準の算定要件はクリアでき運
用は可能であった。2)DPC一般病床での運用の方が、地
域包括ケア病床での運用よりも収益面で有利であった。さら
に地域包括ケア病棟として運用すると両者をかなり上回る収
益が得られた。3)地域包括ケア病床の患者は手厚いリハビ
リテーションにより、ADLの改善が顕著であったが、その
他の入院患者のリハビリテーション実施時間が減った。
【結論】地域包括ケア病床とDPC一般病床の運用との収益
面での差異はそれほど大きくなく、直接入院の患者を増やす
などの取り組みで改善可能な範囲であり、診療報酬上の運用
も可能である。ただし、リハビリテーション実施時間の不均
衡を招き、当院としての公平な医療の質が担保できない可能
性が高い。以上のことより、地域包括ケア病床としての運用
は困難であり、今後、PTの人員を確保しつつ地域包括ケア
病棟としての運用を目指すべきであると考えられた。
○田中 真由美 小橋 久美子 杉本 博子 【はじめに】最近の急速な少子高齢化の進行に伴う医療経
済の悪化、および、社会的なQOLの考え方の変化などにより、
在宅療養システムの確立が重要視されてきている。しかし、
急性期病院退院後スムーズに在宅療養に移行出来るケースは
むしろ少なく、再入院を余儀なくされる場合も多い。また、
急性期病院では、管理的医療中心の業務に追われる中で、病
棟スタッフの在宅復帰に向けての意識の向上は重要な課題で
ある。
【目的および方法】我々は、当院急性期入院治療中、在宅
療養に向けて早期に看護的介入を行い、その結果、患者退院
時に在宅療養が可能となった2事例を、後ろ向きに検討を行
ない、
早期看護介入の有用性および問題点について考察した。
看護介入は、①入院時より在宅療養の計画を立てる。②専任
看護師を決定する。③看護師間、および多種職の病院スタッ
フとのカンファレンスを行う。④指導、援助などは家族を交
えて行う。などの方法を取った。
【結果】2事例とも重症例であり、患者および家族の不安
が強かった為、家族と何度もコミュニケーションの場を設け
た。また、
病棟の多職種間との連携を取り援助を行った結果、
不安を軽減し退院することができた。
【考察】担当看護師を決定し、入院早期に患者および家族
とコミュニケーションを図ることにより、スタッフ全員がそ
の情報を共有することができ、在宅支援に対する意識が高
まった。また、その情報を元に在宅療養を前提とした指導や
援助を実施したため、患者・家族の高い満足度が得られた。
また、看護師間だけでなくカンファレンスを介して多職種の
病院スタッフと協力して、看護的介入を行ったことにより、
不安を和らげ、退院に導けたのではないかと考えられた。こ
の事により、早期の看護介入は、今後重要とされる在宅医療
推進の一役を担えるのではないかと思われた。今後は在宅支
援スタッフとの連携を取ることが重要ではないかと考えてい
る。
― 42 ―
O08-5
O09-1
地域医療連携ネットワーク「まほろば医療連携
ネットワーク」について
がん患者への緩和ケアをMSWの立場から考え
る
国保中央病院 地域支援センター
○峯川 純也 1)、奥中 正恵 2)、吉岡 真大 3)
、江嶋
陸司
奈良県立五條病院 地域医療連携室、緩和ケアチーム
○吉鶴伸太朗、田中尚美、吉村淳 (地域医療連携室)
中西啓祐、辻本芳子、菊谷瞳、岡本亜紀 (緩和ケアチーム)
平成26年10月より、奈良県で初めてとなるICTを活用し
た医療連携ネットワーク「まほろば医療連携ネットワーク」
を、当院と済生会中和病院が中心となって開始した。
このネッ
トワークは地域内の関係医療機関がそれぞれの医療情報を共
有することにより、患者様に急性期から回復期を経て在宅医
療にいたるまで 一貫した治療方針のもとに切れ目ない医療
を提供できる地域医療連携体制を推進することを目的として
いる。まほろば医療連携ネットワークは現在、当院の所属し
ている桜井地区医師会(桜井市・田原本町・川西町・三宅町)
と広陵町医師会に所属する医療機関と連携しており、現在、
55の医療機関の参加をいただいている。このネットワーク
システムは、
「ID-Link」というサービスを利用してお
り、情報開示施設(当院と済生会中和病院)の情報がデータ
センターにアップされ、情報閲覧施設(ネットワーク参加医
療機関)がインターネット上で閲覧するというものである。
ネットワークは強固なセキュリティで保護されており、参加
医療機関以外はアクセスできないようになっている。現在公
開している内容は処方、画像、検査、診療情報提供書である。
このネットワークを活用することにより、地域の医療機関は
診察室で即時診療データを入手することができ、遅滞なく切
れ目のない医療を提供できるようになる。まほろば医療連携
ネットワークを利用することは患者様、医療機関の両者に
とってプラスに作用するものであり、地域包括ケアシステム
の一翼を担う重要なツールとなると考える。
将来は在宅往診・
訪問看護とも連携し、地域の医療・看護・介護・生活をサポー
トする包括的なネットワークへと発展させていくことが重要
と考える。
(はじめに)
日本人の2人に1人が生涯の内にがんになる時代となった。が
んに罹ることで生じる身体的、精神的、社会的、霊的なトー
タルペインに対しての緩和ケアが求められている。今回は複
雑な問題を抱えた事例に対し行ったチームアプローチからM
SWとしての関わり方を学んだのでここに報告する。
(事例)
70歳代男性。食道がん。工場勤務(休職中)で知的障害のあ
る娘と2人暮らし。妻とは離婚。
(実践)
当院外来での検査によりがんと診断され、手術のためA病
院へ紹介され入院予定となった。医療費や入院中の心配事の
対応のため主治医より依頼があり外来通院中からの介入とな
る。面接を行い問題点を整理して、A病院の相談員と連絡を
取り本人が安心して治療に専念できるよう連携した。A病院
退院後は当院外来で化学療法が開始されたが、経済的な問題
が生じ再び介入となった。その後病状が悪化し徐々にADL
の低下や疼痛が現れ、入退院を繰り返すようになった。「自
分がいなくなった後の娘が心配」との不安が強くなり、娘の
権利擁護として成年後見人制度を勧めた。当初は「父親とし
てできることはしたい」との思いもあり利用には否定的で
あったが、病状に合わせて説明を続け、娘の成年後見人制度
利用に同意された。そのためMSWが娘の支援をしている生
活相談事業所、行政、司法書士と、娘自身の成年後見制度や
生活を支援するため連携を図った。最後は病院で亡くなった
が、事前の連携により残された娘が安心して生活が出来るよ
う、成年後見人制度や生活のための援助が開始することがで
きた。
(考察)
がん患者が抱える社会的な問題は医療機関だけで対応は難
しく、がん患者のトータルペインの緩和に地域の多職種との
連携が必要である。そのためには医療機関において外来受診
時や入院時に社会的な問題を把握した時、問題に応じた早期
の対応と地域の多職種へ繋ぐシステム作りを構築することが
重要であると考える。
― 43 ―
O09-2
O09-3
高度救命救急センターにおける MSW の介入方
略
∼入院長期化の要因分析を通して∼
亜急性期病床廃止に伴う問題とその取り組み
奈良県立医科大学附属病院地域医療連携室
○上田 尚義 、栗田 麻美 、上北 恵子 、田中 碧 、杉
本 麻衣
目的
高度救命救急センター(以下救急科)における入院長期化の
要因を分析し、退院調整におけるMSWの意図的な介入方略
の示唆を得ることを目的とする。
方法
研究対象:平成25年度1年間の救急科入院のうち退院調整で
介入した138件。
データ収集・分析:診療録・MSW記録を遡って基本属性、
医療処置12項目、ソーシャルハイリスク(以下SHR)13項目、
在院日数、支援期間、転院目的等の項目をデータ収集後、単
純集計を行った。在院日数61日以上(A群)を長期入院とし、
60日以下(B群)の二群に分けて入院長期化の要因を比較し
た。
倫理的配慮:データは個人を特定できないよう配慮した。
結果・考察
A群(37件)、B群(101件)の比較
1件あたりの医療処置数はA群(2.81)、B群(1.09)。転院目的で
はA群は療養目的が37.5%、B群はリハビリ(回復期)目的が
49.4%で最も高かった。他の転院目的との比較で療養目的は
平均支援期間40.4日、平均在院日数61.2日と最も高かった。
医療処置数が多いケース程療養目的の転院が多いことから、
直接的に医療処置数が入院長期化に影響し、さらに転院目的
にも影響を与えると考えられる。
1件あたりのSHR数はA群(1.51)、B群(1.27)。SHR項目ごとの
割合比較では①独居(A群24.3%、B群13.9% )②医療費の支
払い困難・不安(A群13.5%、B群6.9% )③病状の受容困難④
転院に対する受容困難は共に(A群21.6%、B群11.9% )とな
り4項目で差が認められた。SHRでの入院長期化の要因は、
該当数ではなく特定項目が影響していると考えられる。この
要因①∼④に注目し意図的な介入について考察すると、①は
入院初期に把握可能な項目のため、病棟スタッフとの連携で
早期にキーパーソンの確認が重要である。②は早期に院内他
部署と連携し経済的なSHRを推察する必要がある。③④の心
理的なSHRは病棟スタッフと患者・家族の状況を共有しチー
ムとしてアプローチすることが望ましいと考える。 まとめ
入院長期化は主として医療処置数と特定SHR項目が直接的・
間接的に影響を与えることが明らかになった。
MSWは特定SHRの情報収集後アセスメントし、病棟スタッ
フとの共有により介入のタイミングを考慮する必要がある。
奈良西和医療センター 北4階病棟
○岡島佐知子
平成26年度診療報酬改定により医療機関の機能分化・強化と
連携が必要となり当院でも9月30日付けで亜急性期病床が廃
止となった。整形外科患者はリハビリ目的のため亜急性病床
を利用し、在宅復帰への支援を行っていた。長期入院となる
ため早期退院や転院の支援が必要となり亜急性期病床廃止に
伴う問題について検討・取り組みを行った。
THA・TKAのクリティカルパスが作成されていたが医療
従事者用で患者活用までには至っていなかった。整形外科医
師と共に長期入院となっていたTHA、TKA、下肢・上肢
ORIFの5疾患のクリティカルパスの変更に取り組んだ。医師・
看護師・理学療法士で会議を行い、入院患者のリハビリの促
進を目的に手術後の早期のリハビリ開始と、看護師による休
日リハビリ推進など医療の充実を図ることを確認した。早期
から退院支援を行うために、早期に情報収集を行い患者・家
族の意向に沿った退院支援を計画的に行った。毎週木曜日は
医師、看護師、理学・作業療法士、社会福祉士との多職種で
リハビリカンファレンスを行い、退院支援・調整に関する内
容を検討している。また、整形外科患者の約半数は回復期病
院へ転院となるため、スムーズな転院を目的に奈良県総合リ
ハビリテーションセンターと急性期病棟から回復期病棟への
病棟間の転院方法について話し合った。平成25年度に1件で
あった奈良県総合リハビリテーションセンターへの転院が、
平成26年9月までに9件に増加した。病棟看護師の在宅復帰に
向けての関心度も高くなり、退院調整カンファレンスや在宅
スタッフを含めた合同カンファレンスの充実化に取り組んで
いる。
当院では奈良県西和地域の地域包括ケアを円滑に行うため
に、行政を含む多職種の情報共有と知識向上を目指すことを
目的に西和メディケア・フォーラムを設立した。病院と地域
の垣根がなくなり互いに顔の見える関係づくりを行うことで
患者、
家族が安心して在宅に帰れるように支援していきたい。
― 44 ―
O10-1
O10-2
臨床工学技士 5 年目の悩みと視点の広がり ∼
スーパーマーケットと病院の共通項∼
シナジー ( 相乗 ) 効果を期待した PNS( パートナーシップ・
ナーシング・システム ) の導入
1) 社会医療法人 高清会 高井病院 臨床工学部
○奥田 将也、今西 達也、岸本 悠貴、大山 俊治
市立奈良病院 4階西病棟
○西田恵美子
医療職を目指してからずっと、私にとって「患者のニーズ」
は重要なテーマである。日頃より、臨床工学技士5年目とし
て「患者ニーズ」というフレーズやその重要性について私自
身十分に理解しているつもりであった。しかしその一方で、
5年後を目指していくためには、現在の私の仕事と
「患者ニー
ズ」との繋がりについて、もう一歩理解を深めていかなけれ
ばならないとも感じていた。
このような中で現在、私は仕事の目標など明確に描くこと
ができないばかりか、日々のモチベーションを保つために意
図的に意識する必要があった。また日常業務では受動的な忙
しさを感じており、能動的な姿勢で取り組むことが難しく、
これまでとは違う別の何かを自分自身で探っていかなければ
ならないと考えていた。そこで今回、今の自分から一歩でも
前進できればという思いで「患者のニーズ」について改めて
見直す機会を得た。
今回はじめに、患者様にとって病院はどのような場所であ
るかについて考えた。また視点の広がりを意図して「もしこ
の場所が、病院ではなくスーパーマーケットだとしたら、患
者様は何をするだろうか」などを考えた。結果、病院をスー
パーマーケットとすると、「お店で食材を購入する」→「食
材を自宅へ持ち帰る」→「家庭で調理する」→「家族で食事
する」→「暮らし」ではないかと考えた。
〈背景〉
4階西病棟は病床数45床の脳神経センター、総合診療科の
混合病棟で、経験知に関わらずその日の担当看護師が1人
で看護業務を完結する固定チームナーシングであった。4
∼ 5月では臨床経験3年目以下の看護師が約40%を占め、
重症度、医療・看護必要度は約28%であった。超過勤務は
4月では22時間43分/人/月、
5月は27時間25分/人/月であり、
日々の看護業務に対して「患者さんに応じた看護が出来て
いない」
「しんどいから辞めたい」などの発言があった。
〈課題〉
1)看護師が疲弊し、やりがいを感じていない 2)超過勤務が縮減しない
〈対策〉
看護方式を固定チームナーシングからPNSに変更する。
〈活動内容〉
1)自分たちのやりたい看護について語り合う
2)ぶれない姿勢・発想の転換 3)PNS導入の可視化
4)研修参加・勉強会での伝達 5)自分をアピール
6)年間パートナーを決定 7)PNSを導入
〈結果・考察〉
1)自己の行動に対する言動、看護師の関係性に対する言
動、看護実践に対する言動に変化がみられた
2)超過勤務が縮減し、偏りがなくなりつつある
そこで「病院で医療を受ける」→「医療を自宅へ持ち帰る」
と置き換えた時、私たち医療者もスーパーマーケットも、
「暮
らし」という側面にお手伝いさせて頂いているということで
はないかと考えた。
したがって、これまで自分自身の専門性の視点からのみで
捉えていたものが「暮らし」という視野で捉えられるように
なったことにより、5年後の自分像を目指していく上で広い
視野をもつことの大切さを感じた。
今回考えられたことをその一つとして、少しでも患者様の
視点に立てるよう、これからも向上心と探究心を持って日々
向き合っていきたい。臨床工学技士5年目の立場から、今よ
り一歩前進するために、整理したことを報告させていただく。
― 45 ―
O10-3
O10-4
病棟の一人前看護師の育成に向け社会人基礎力
をとり入れた病棟ラダー作成への取り組み
外来診察業務に従事する看護助手の思い
∼インタビューから効果的な支援を考える∼
奈良西和医療センター 南6階病棟
○城戸 由美 藤本亜由子 田中秀美
1) 済生会奈良病院 看護部
○親木賛子
当病棟は外科・眼科・内科の混合病棟で周手術期から終末
期のさまざまな治療を受ける患者が入院している。H25年度
の病床稼働率は79.1%、平均在院日数12日であり、外科の手
術件数270件、眼科手術248件、化学療法は298件であった。
看護体制は固定チームナーシングを導入している。
H23年度より7:1看護配置により病棟看護職員数は増えた
が、看護実務経験3年以下の若く実践能力が未熟な看護師が
3分の1を占めている。
当院看護部では、クリニカルラダーの段階的な指標に基づ
いて、年間の教育計画が立てられ、臨床実践能力を高められ
るような育成をしている。また、新人看護師に対しては、
2010年に新人職員の卒後研修が努力義務化され、
「新人看護
職員研修ガイドライン」に沿った教育計画により、充実した
教育体制が整備されている。卒後2年目以降の看護師教育に
おいては、個々の能力や自己学習に委ねられているところが
大きく、院内の集合教育だけでは所属に特化した実践力をも
つ一人前看護師を育成するには不十分な状況である。また、
現代社会や若者が育ってきた環境の変化に伴って、社会人と
して必要な基礎的能力の不足が若年層にみられるようにな
り、課題は大きい。チーム医療において専門性を発揮してい
くためには、経済産業省が示した「職場や地域社会の中で多
様な人々とともに仕事を行っていくうえで必要な基礎的な能
力」と定義される「社会人基礎力」を身につける必要がある
と考えた。しかし、既存の看護部ラダーでは専門性に特化し
た臨床実践能力や社会人として必要な基礎的能力が評価しく
いところがある。
そこで、専門性に特化した臨床実践能力と社会人基礎力を
身につけた看護師を育成するため、病棟独自のクリニカルラ
ダーを作成した。これを活用する事で、具体的な臨床看護実
践能力の到達目標と評価基準の明確化および教育的サポート
の体制が整備できると考える。
(はじめに)
外来は「病院の顔」であり、患者が安心して医療を受け満
足して帰宅することが患者満足につながる。平成22年に厚生
労働省より、看護補助者等の職員を効果的に活用することに
より「医師、看護師等の負担軽減、提供する医療の質の向上、
医療安全の確保を図ることが可能となる」
と報告されている。
当院でも昨年から一部の外来で看護助手が診察介助業務を
行っている。看護助手がどのような思いで診察介助業務を
行っているのかを知る事により、効果的な支援方法を検討す
る基礎資料としたい。
(施設概要)
病床数:250床 急性期病院 平成23年10月に7対1看護取得
外来診療科:12診療科 外来看護師数:常勤看護師6名 常
勤准看護師2名 パート看護師14名 看護助手7名(平成26年
1月現在)
(結果・考察)
看護助手の思いについて32のコードを抽出。8つの(サブカ
テゴリー)と、5つの「カテゴリー」が形成された。「1、外
来患者と接することの喜び」
(診察介助業務に対するやりが
い」
(業務を遂行する事による自信)患者や看護師からの言
葉かけが業務に対するやりがいや自信につながっている。
「2、
診察介助という業務に対する重圧」
(資格がないことへの不
安)
(役に立っているのか不安)
「3、周囲からの理解」(自分
が受け入れられているか不安)
外来看護を充実させるために、
看護助手が診察介助業務を行っているという事を認識し、サ
ポート体制を構築していく必要がある。
「4、体制が整ってい
ない事への不安」
(業務内容に対する不安)
(看護師への希望)
看護助手に対する業務基準やマニュアルを作成していく。
「5、
業務に対する前向きな思い」(業務に対する前向きな思い)
看護助手を対象に勉強会を開催する。
結論
1.患者や看護師の役に立ちたいという前向きな姿勢とやりが
いを持っている
2.診察介助業務に対して精神的不安やストレスが大きい
3.業務基準やマニュアルを必要としている
4.勉強会や技術指導を希望している
― 46 ―
O10-5
O11-1
看護職の潜在化を防ぐ対策の検討
―奈良県ナースセンターの取り組み―
小児科における精神発達遅滞を伴った1型糖尿
病症例のキャリーオーバーへの取り組み
1)公益社団法人 奈良県看護協会 ナースセンター事業部
2)公益社団法人 奈良県看護協会
○中村恭美 1)、峯山克依 1)、小田由美子 1)、寺川佐知子
2)、西田豊美 2)
町立大淀病院 看護部1 栄養科2 小児科3 内科4
○畑田育子1 米田さつき1 辻井里美1 吉井雅恵2 森近
省吾3 川野貴弘4
【目的】県内でナースセンター事業について理解している看
護職者はまだ数少ない傾向である。今後、導入される離職時
登録の努力義務化や将来の看護職への人材育成のための「看
護の魅力」を発信すること等、まずは会員へのナースセンター
の認知度を高めることである。
【現状】平成24年度衛生行政報告によると、看護職としての
勤務者は14,203人である。県の高齢者人口は都市部で26%、
山間部で35%と超高齢化で、多くの課題がありなかでも看護
師不足は深刻な問題である。県の潜在看護師数は6 ∼ 7,000
人と推測され、再就労へ導くために、復職支援研修を22回/
年開催し、参加者は55名(延人数445名)、合同就職フェアは
参加者は105名である。e ‐ ナースセンターの有効求人数
1558名、有効求職数は635名である。実質の就職者は90名で、
希望条件が多く就職斡旋は困難を極め、就業率は低い。種々
PRをしているが、参加者・就職者を増加することが困難で
ある。求職者の中には安易に有料サイトを利用し、なかなか
定着せず、求人側にも多大な損失が発生していると聞く。所
内で進路相談や合同就職フェア開催時また進学ガイダンスを
開催するが、参加は63名と少ない。毎日個別のメンタル相談
をし、実人数42名(延143名)と利用者は除々が増え、現場
への復帰が増えているが少数である。10月よりメール相談も
開設した。
【対策】①登録者を増やすために、協会員や看護学生に登録
義務化について周知する②就労・進学相談のサテライト会場
を次年度から1 ヶ所増設し、ナースセンター事業について
PRする③潜在看護職把握方法として、勤務施設毎の就労者
登録あるいは、看護学校卒業時の登録、離職時の登録義務化
等がある。離職防止として、隣接医療・福祉機関の職員が院
内保育所を利用できるネットワークづくりなど、きめ細やか
な奈良県独自の取組みを今後も継続することが重要である。
小児期発症1型糖尿病は予後が大幅に改善し、思春期を経
て小児科治療から内科治療へと移行する。症例は精神発達遅
滞を合併しており、これまで保護者の庇護下での規則的生活
から就職という今までとは異なる環境や人間関係の中で自己
管理を行う事となり、大きな社会的変化の影響を受ける。小
児科から内科へのキャリーオーバーは非常に大きな出来事で
あるため円滑な移行が出来るように糖尿病チーム全体で取り
組む必要がある。
今回、スモールステップ法をベースに「できる事」を共に
喜び、ほめる事を強調し、伝えていくというスタイルで小児
科外来におけるCDEJとして精神発達遅滞のある症例の
キャリーオーバーに取り組んだので報告する。
― 47 ―
O11-2
O11-3
当院での術前経口補水の導入について
静脈血栓塞栓症予防対策の現状と対策促進の取
り組み
弾性ストッキングによる合併症対策
奈良県総合医療センター 周術期ワーキンググループ
○溝上 直人、下村 俊行、桝田 美恵、岩田 ひとみ、森
知美、宇佐美 千佳子、吉岡 奈津恵、中村 充輝、鈴木
晴子、福西 美千代
近 年、 日 本 で も 術 後 回 復 機 能 強 化 プ ロ グ ラ ム(ERAS:
Enhanced recovery after surgery)の1つである術前経口補水
を導入する施設が増えてきている。手術前の点滴を施行せず
手術の2 ∼ 3時間前まで飲水ができることで患者の満足度を
上げることが報告されており、術後の絶飲食が短縮できるこ
とからもメリットは大きい。
当センターで術前経口補水を導入するにあたり、周術期
ワーキンググループが中心となって各部署に働きかけた。特
に重要視したことは安全面であり、術前経口補水による麻酔
導入時の嘔吐などの有害事象が無いように取り組んだ。まず
病棟看護師に対して事前勉強会を行い、術前経口補水の啓蒙
と教育を行った。患者への説明は麻酔科医師と病棟看護師が
同じパンフレットを使用し説明内容を統一した。患者入室時
間が変動する可能性の高い当センターでは、入室時間枠を午
前と午後に分け、飲水時間を午前7時までと午前10時までに
決めて飲水量の調整を行う方法をとった。病棟では提供する
経口補水液の保存方法について、ペットボトルカバーを用い
て患者が飲水しやすい環境を整えた。経口補水の飲水量を確
認するために病棟看護師が飲水量のチェックを行い、手術室
入室時に申し送ることで麻酔科医が点滴を調節する流れを
作った。また、指示に関しては、術前経口補水のオーダーを
パスに含めたうえで麻酔科医師が最終の指示を行う新しい指
示系統を構築し、それらの取り組みをマニュアル化して周知
徹底を図った。
2014年8月19日から2014年10月17日までの麻酔科担当症例
390例(予定331例、緊急59例)に対して、173症例で術前経口補
水を行った。麻酔導入時の嘔吐による誤嚥などの有害事象は
発生しなかった。飲水率は午前症例で93%、午後症例で87%
であり、全量摂取は午前症例75例、午後症例42例と平均67%
であった。また、術前経口補水の評価を行うことを目的に、
病棟スタッフや手術室スタッフに対してアンケート調査を
行った。その結果をふまえて報告する。
1)奈良県立医科大学附属病院 医療安全推進室
〇田中 麻理1)、石川しのぶ1)
安宅一晃1)
<はじめに>弾性ストッキングは筋ポンプ作用をサポートし
静脈還流を促進する効果があり、静脈血栓塞栓症の予防とし
て用いられる。しかし、弾性ストッキング装着の合併症に血
行障害、皮膚障害、神経障害があり、当院のデバイス別褥瘡
発生割合の約26%が、弾性ストッキングが原因である。また
神経障害事例も発生し、早急に弾性ストッキングの合併症対
策に取り組みが求められた。
<要因とその対策>皮膚障害や神経障害発生の主な要因とし
て①弾性ストッキング装着中の適切な観察やケアがされてい
ない、②弾性ストッキングの装着基準が明確でない、が挙げ
られた。①の背景として、ハイソックスタイプ導入時に説明
会を実施したが、その後、弾性ストッキングに関する学習や
履かせ方などは各部署に任せており、観察やケアは看護師に
より差があることがわかった。そこで、弾性ストッキングの
「目的」から「合併症と留意点」をまとめた装着マニュアル
を作成し、装着中の観察とケアのポイントを現場ですぐに活
用できるようにリーフレットにして配布した。②の装着の基
準については現在、肺塞栓予防プロトコールの改訂に取り組
んでいる。肺塞栓予防プロトコールは2004年に発表された国
内予防ガイドラインを基本に作成、周手術期患者の肺塞栓リ
スク評価に使用している。弾性ストッキング着用は能動的・
他動的運動療法や術後早期離床と並んで、ほとんどの患者に
適応されている。弾性ストッキング装着の開始は手術当日で
あるが、脱衣はバラバラであり、医師の指示がなくそのまま
退院まで装着している場合もある。肺塞栓予防プロトコール
を改訂する上で弾性ストッキングの装着基準や適切な装着期
間を明示する必要がある。
<今後の課題と展望>今後は、作成した弾性ストッキング装
着マニュアルを基本に、医療者への教育や患者家族への啓発
活動に活かしていきたい。また、肺塞栓予防プロトコール改
訂の検討を継続して実施し、その結果を速やかに院内に周知
していきたい。
― 48 ―
O11-4
人工股関節置換術後患者の在宅復帰に向けた不
安軽減の看護介入
―ペプロウの人間関係論を用いて―
奈良県西和医療センター 北4階病棟
○中尾 麻利菜
当病棟では人工股関節術を受けた患者に対してパンフレッ
トを用いて脱臼予防についての退院指導を行っている。指導
をする中で、患者が退院後の生活に対して不安を訴え、詳し
く質問されることが多くあった。私は、制限された生活を送っ
て行かなければいけない事に対して多くの不安を抱える患者
が自信を持って退院に向かえるよう、看護師のサポートが必
要不可欠であると感じた。そこで今回初めて人工股関節置換
術を受け、自宅退院に向けて不安を抱える患者に対して不安
軽減の介入を行った。そして、この介入が患者の不安軽減に
繋がったのかペプロウの人間関係論を用いて振り返った。
ペプロウの人間関係論では、患者が抱える問題を解決する
ための患者‐看護師間の関係について「方向づけ」
「同一化」
「開拓利用」「問題解決」といった局面を経ながら、発展して
いくと考えられている。離床期に入った患者に不安や困って
いることなどについてインタビューを行った。インタビュー
や日々の関わりを通して自宅状況や患者の生活・趣味などに
ついて情報収集をし、その情報を元にパンフレットを作成し
退院指導も行った。また、畑仕事や自転車が趣味であった患
者が制限された生活の中でもそれを続けたいという思いに対
して、制限される生活の中でも続けられる方法を理学療法士
と相談し考えていった。関わっていく中で、患者は徐々に看
護師へ不安や思いを詳しく表出してくれるようになり、最終
的には「不安なんてない、後は頑張って生活していくだけ」
という前向きな発言を患者から聞く事が出来た。今回の関わ
りを人間関係論で分析した結果、患者はそれぞれの局面経て
問題解決の局面へと移行できており、看護師の関わりは不安
軽減に有効であったと考えられた。また、ペプロウの人間関
係論は精神科領域での事例研究で多く用いられているが、自
宅退院に向けて不安を抱える整形外科患者の関わりの分析に
も有効であることがわかった。
― 49 ―
― 50 ―
医療のIT化は患者に恩恵をもたらすか?
−地域包括ケアシステムを見据えて−
抄 録
一 般 演 題(ポスター)
日本医療マネジメント学会第10回奈良支部学術集会
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がん末期患者の在宅への支援から学んだこと
脳卒中患者における当院回復リハビリ病棟の現
状と前方連携の検討
社会医療法人 平成記念病院 回復期リハビリテーション病
棟
○田中京子
在宅看護の充実とともに、奈良県では在宅での看取り件数
も増加していると聞く。そんな中、私たちは、肺がん末期で
退院願望の強い患者にかかわった。
患者は脳梗塞(トルーソー症候群)で、脳・骨転移のある77
歳の男性で、ヘパリンカルシウムの皮下注射を朝夕2回実施
していた。家族構成は妻と長男夫婦との4人家族であった。
患者自身は体調が悪化したころから「家で死にたい」と訴え
るようになったが、妻の体調不良や在宅での介護不安もあり、
なかなか患者の意向を受け入れることが出来なかった。
しかし、病状が進み、残された時間が日にち単位になった
ころになって、息子さん達の「後悔したくない」という思い
から、看取りを含めた自宅退院の準備を具体的に進めた。
その後、自宅で患者を受け入れる準備が整い、在宅医も含
めて退院前カンファレンスを計画するに至った。しかし、病
状は深刻で、退院まであと2日に迫った日の未明、家族に付
き添われ、病院で永眠することとなった。
この事例で、私は在宅での看取りへの準備の実際を初めて
体験した。また、在宅退院への介入のタイミングや家族の言
葉以外のサインについても目を向けることなど、学ぶことも
多かった。今回、ケーススタディとしてまとめることでその
学びを整理し、今後の看護に生かしたいと考えている。
社会福祉法人恩賜財団済生会奈良病院 地域連携室
○吉田 和弘 上窪 薫
【はじめに】急性期病院から回復期リハビリ病棟(以下回復
期リハ)への転院にあたり、脳卒中患者について、当院回復
期リハの現状と地域連携室の前方連携としての受け入れの課
題についての検討を行った。
【対象】他院急性期病院から紹介され、当院回復期リハビリ
に入院した脳卒中患者で、平成25年7月から平成26年9月まで
の間に当院回復期リハリを退院した患者55人を対象とした。
【方法】
脳卒中発症から当院回復期リハビリ転院までにかかっ
た日数、当院回復期リハ在院日数、入退院時FIM、FIM利得、
転帰について、入院時FIM合計をFIM<36重介助10名、36点
≦FIM<72の中介助18名、72点≦FIMの軽介助27名の3群に
分け比較検討を行った。有意差はχ2検定、Welchにて行っ
た。
【結果】脳卒中患者の回復期リハに転院時の年齢は、重介助
ほど年齢が高くなる傾向がみられた。脳卒中発症から回復期
リハ転院までの日数は、重介助38.5日、中介助34日、軽介助
26日、軽介助の最短は4日、30日以内の転院は62%、重介助
では13日、44%とFIMが高い群ほど転院までの日数は短く
なった。
入退院時FIMの比較では、有意に向上していた。
自宅への復帰は、重介助78%、中介助88%、軽介助89%、独
居はそれぞれ1名、2名、7名、入院時FIMからは重∼軽介助
間に差は見られず、自宅復帰の予測は困難であった。退院時
のFIMは入院時に比べ有意の向上を認め、退院時FIMにて、
中重介助、軽介助の自宅復帰は73%、90%、独居は9名であり、
独居でも自宅復帰が可能となっていた。
【考察】当院での回復期リハの現状として重∼軽介助のいず
れにもFIMの向上がみられ自宅復帰もできていた。脳パスの
文献等によると脳卒中発症から転院までの日数が短いもので
平均28日との報告もある。当院では平均は32.9±14.7日で、
前方連携としてより早い時期の転院対応が望まれた。今後、
急性期病院へのリアルタイムな情報発信や一般の方へ回復期
リハの周知を図っていきたい。
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回復期リハビリテーション病棟における退院支
援のあり方の考察
退院支援に対する看護師への実態調査
∼退院支援チャートシートを使用して∼
社会医療法人 平成記念病院 5階南病棟
○堀 優子
1)JCHO 大和郡山病院 5階東病棟
○井田 達也 1)、諸越 真理子 2)
目的
Aさん他5名の退院に至る看護を振り返る。患者・家族の
納得できる退院支援とは何か病棟看護師として他職種の連
携も共に考えていく。退院支援を行うには、いつ、何を、
どういうタイミングで行えばよいのか。心理的な面も考え
ていく。患者らしさを生かし、家族の負担を少なくする援
助を行うのにどうすればよいかを考察する
① 研究期間:平成25年5月20日∼平成26年11月15日
② 対象患者:Aさんほか退院患者5名
③ データと収集方法:退院した患者カルテ、病棟カン
ファレンスノート、ケースカンファレンスノートを
データとした後ろ向き観察研究、非介入研究である。
④ 分析:データ収集した内容で一覧表を作成し、内容
の一致性、類似性を質的に分析した
結果
Aさんほか5名を退院支援に関連する項目を表1としてまと
め考察した
考察
退院支援の開始時期は転棟時の情報シートの確認の時であ
る。回復期リハビリテーションカンファレンス時医療チー
ムで患者情報を共有する。日々アセスメントを行い、カン
ファレンスで話し合って、患者、家族への退院援助を行っ
ていく必要がある。
退院支援の課題は声掛けの相手とタイミングを考慮する、
医療チーム内での患者情報の共通理解を持つ、患者の不安
を明確にして問題化して取り組む、退院指導を簡潔に説明
することである。
結論
「入院患者及びご家族の方へ」の書類を退院支援把握の参
考とする。退院の方向性を確認し退院支援を始めるとよい。
患者、家族との会話を通し問題点を見つけ、カンファレン
スを持ち問題の解決と医療スタッフ間での共通理解を目指
す。患者、家族が医療チームとともに問題解決を目指すこ
とで心理的な不安を減少させる患者、家族にADLの在り
方のギャップを理解してもらう必要がある。
退院後に退院支援についての情報が得られれば今後の支援
に生かしていく。
Ⅰ.目的 A病院は退院支援をフローチャートに基づき、退院支援リ
ンクナースと地域連携室が主に行っている。しかし、退院支
援の進行状況を把握するツールがないため看護師が共有でき
ていない事も多い。整形外科B病棟は進行状況が記載できる
退院支援チャートシートを作成した。使用しているB病棟と
他病棟の退院支援に関する実態を明らかにする。
Ⅱ.方法
方法:アンケート調査。留め置き法。質問項目28項目。4
段階回答。 期間:平成26年1月。
対象者:B病棟看護師16名(以下C群とする)他病棟(3部
署)看護師36名(以下D群とする)
。
倫理的配慮:アンケートは無記名とし目的以外に使用せず、
個人の不利益にならないことを説明した。
Ⅲ.結果、考察
アンケートの回収率は、C群87.5%、D群100%。できている、
どちらかと言えばできているを合わせた回答をC群とD群で
比較した。入院時に入院前の生活状況確認は、C群85.7%、
D群77.7%。退院先の確認は、C群92.8%、D群50.5%。退院
調整が必要な時期に家族へ退院先の確認は、C群78.4%、D
群80.5%となった。入院時の情報収集の項目として入ってい
るため50%を超えている。B病棟は退院後ADLの低下など考
えられるため入院前のADLや退院先を早くから情報共有す
る必要があるため他病棟より数値が高くなったと考える。
A病棟に退院支援チャートシートを活用しているかは、で
きている0%、どちらかといえばできている21.4%。自由回
答では、利用している人が限られている、退院前カンファレ
ンスでは役立つという意見があった。活用方法が徹底されて
なかったと考える。退院支援の進行状況を共有するには、退
院支援チャートシートは必要である。問題点を修正し、活用
を徹底する必要がある。
Ⅳ.まとめ
退院支援は患者、家族にとって退院後どのように生きてい
くかを決める重要な看護である。今後、更にカンファレンス
を行い退院支援の方法を検討していく必要がある。
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在宅看取りのための訪問看護師の役割
がん患者および家族の意思を尊重した看取りに
おける訪問診療の取り組み
大和高田市訪問看護ステーション
○中川 富美、楠瀬 美薫、中尾みどり、中島 有紀、奥田
裕子
当訪問看護ステーションでは、平成25年度に33名の利用者
の方が死亡された。17名が在宅看取りを希望し、そのうち15
名が希望通り在宅で看取ることができた。
今回、在宅で看取ることのできた方と、病院で死亡された
18名を比較すると、かかりつけの在宅医を持つ療養者は在宅
看取りを選ぶが多いことがわかった。そして、希望される方
は、死の直前期であっても、訪問回数が極端に増える事はな
く、今まで過ごしてきたいつもの生活の中で、死を迎えられ
ていた。
終末期医療に関する調査では、終末期は自宅で過ごしたい
と60%の人が思っている。
しかし、
「家族に負担がかかる」
「病状が変化した時に不安」
などという理由で、最期まで自宅で過ごせることは困難だと
考えている人も60%以上である。
実際に在宅看取りをする人は希望と大きく差があり平均
12%で、全国一位の当県でも16%と希望を大きく下回る。
当ステーションで25年度に在宅看取りされた15人は在宅医
にかかっており、全員が元気な頃からのかかりつけ医であっ
た。反対に、病院死18人のうち14人は最後まで外来通院して
いた。しかし、在宅看取りを希望し在宅医がいても、退院後
数日での急変、呼吸困難感が強く不安を訴えて、2名が入院
を希望し、そのまま病院死をしていた。
家族に対し死前にターミナル期の症状や援助方法、死後の
衣装や手続きについて説明を行った。看取りまでの訪問回数
は、死亡一週間前は1 ∼ 9回(平均3.2回)、死亡48時間前は0
∼ 3回(平均1.1回)で、全ての方が家族のみで看取られた。
15名全ての方に死後7 ∼ 20日の間にグリーフケアに訪問し
「最期まで家にいれて良かった」。等家族が死を乗り越え、新
しい生活へ踏み出しておられた。
住み慣れた自宅で生活の延長上で死を迎えるためには、かか
りつけの在宅医を持ち、治療が必要な時には入院し、後は自
宅で過ごすような環境が必要である。
そのために、訪問看護師は、病気だけでなく、療養者や家
族の生活様式や環境、生活・人生歴を知り、個々の価値観や
死生観を包括的に捉えつつ、最期をどう過ごしたいかを確認
していく必要がある。そして、在宅看取りを希望される方に
は、早期に在宅医へつないでいくと共に、死への準備教育や
精神的ケア、病状が変化した時にも安心して過ごせるように、
24時間切れ目のない看護をしていくことがますます必要に
なってくると考えられる。
また、今後の多死時代を迎えるにあたり、現在体調の安定
している(死の近くない)家族も他人事ではなく、死は自分
自身の問題でもあることを自覚し、自分がどう生きて、どう
死にたいかを考えていただく啓蒙活動も、訪問看護師の役割
の一つと考える。
奈良県立五條病院 在宅医療支援室 ○五十實 桃代、明石 陽介、澤 信宏、中山 進、
岡本 亜紀、田中 尚美、田中 淳子、松本 昌美 1.はじめに
高齢化・多死社会により在宅療養が推進される中、在宅医
療サービスの充実が課題となっている。当院では平成24年4
月から看取りを含めた在宅医療を展開するため訪問診療を開
始した。今回、患者・家族の意思を尊重した看取りを支援で
きたので報告する。
2.訪問診療の実際
当院では癌や障害により在宅療養を必要とする医療・看護
ニーズの高い患者を対象に訪問診療を実施している。平成25
年度の訪問診療利用者数は19人/年、訪問診療件数は155件/
年で、癌疾患が占める割合は47.6%であった。平成26年度は
半期で訪問診療件数が120件と更に増加している。
【事例1】80歳代男性。転移性肺腫瘍。入院中に在宅療養を
希望し、退院後は1回/週の訪問診療を開始した。病状は深刻
な状態であったが、家族は米寿祝いの親族旅行を強く希望さ
れた。旅行時の緊急相談体制や当院での緊急時受け入れ準備
等を事前に調整し、呼吸苦に対し旅行前に連日胸水穿刺を自
宅で行ない、祝いの旅行を無事に行なうことができた。数日
後に状態が悪化したが、家族と相談の上、入院での看取りを
行った。
【事例2】90歳代女性。多発性骨髄腫。キーパーソンは次女。
入院中に在宅療養体制を調整し退院。訪問看護を2回/週と訪
問診療を1回/週で開始した。次女は急変や在宅療養に対して
特に強い不安があったが、訪問看護師との情報交換や電話相
談などを丁寧に行うことで不安は軽減し在宅看取りを受容さ
れ、家族に見守られ担当医が看取りを行った。
3.まとめ
事例1・2では家族の意思を尊重し、看取りの場が病院と自
宅と別であった。今回、急変時に電話相談や緊急往診、病院
外来への救急受診、状況によっては緊急入院できる体制を整
えることで、患者及び家族の意思に応じた個別の看取りを実
施できたと考える。今後、医療・介護・福祉等の関係者の連
携を強化し、在宅医療を一層推進していきたい。
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胃がん精査中に突然胸椎転移を引き起こした患
者の在宅療養支援
―突然の麻痺発症に戸惑う妻への関わり―
南和地域における「在宅医療研修会」を 20 回開
催してみえてきたもの
1)奈良県総合医療センター がんサポートチーム
○西都律子 【はじめに】
終末期がん患者でも、在宅で看取る症例が増えつつある。し
かし、脊椎転移により麻痺が生じた場合は介護依存度が高く
なり在宅療養が困難であることが多い。また、突然PS不良
となるために、患者や家族が病状を受容するのも容易では無
い。今回、渡辺式家族アセスメントモデルを用いて家族の不
安を明らかにする事で自宅退院への希望を支援できたので報
告する。
【倫理的配慮】
本研究をまとめるにあたり研究の趣旨と目的・個人を特定さ
れないように配慮することを文章で説明し同意を得た。
【事例】
対象者:A氏70歳代後半 既往歴なし
家族構成:妻(70歳代後半)と2人暮らし 近所に娘家族と
息子家族が住んでいるが共働き。
X年X月に進行胃がんと診断され、組織診の結果により化学
療法を導入予定であった。全身検索をしている最中に、歩行
困難が出現。胸腰椎転移のため緊急照射となるが、麻痺症状
は改善せず。妻は「こんな状態で家に連れて帰れない」と当
初は転院を希望されていたが、傾聴していく中で「家に帰り
たいって言っているから」と自宅退院を希望されるように
なった。退院調整中に頸椎へ転移し、追加照射となる。「前
は帰ろうと思っていたけど、今は帰りたい気持ちより不安の
方が大きい」と、腫れた目で来院されることも多くなり自宅
での飲酒量も増えていた。妻の不安に焦点を当てて傾聴し、
後方支援を行うことで自宅退院され、X年X+3月自宅で永眠
された。
【考察】
突然PS不良となり、患者も家族も病気の進行に気持ちがつ
いていない状況であった。面談を重ねる中で「家で看るのは
怖いけど、夫の希望を優先してあげたい」といのが妻のニー
ドであることが明らかになった。そのため、不安を解消でき
るように情報提供を行い心理サポートすることで、自宅退院
が可能になった。医療者や患者家族が対応困難だと感じる
PS不良例に、渡辺式家族アセスメントモデルを用いて看護
介入することは有用であった。
1) 奈良県立五條病院 地域医療連携室1)
在宅医療支援室
2)
○田中尚美1)2) 吉鶴伸太朗1)2) 明石陽介2) 田中淳子1)2)
中山進2) 澤信宏2) 五十實桃代2) 岡本亜紀2) 吉村淳1) 松本昌美2) 【はじめに】
過疎高齢化が進む地域の急性期病院である当院では、入院患
者の高齢化により、疾病が治癒した後も社会的背景などから
在宅療養へ円滑に移行できないことも多い。
【目的】
在宅医療推進のために行なった当院の取り組みと成果につい
て報告する。
【取り組み】
保健・医療・福祉サービス提供者との連携や、知識や技術の
向上のため、平成20年より在宅医療研修会を開催した。対象
地区は南和地域と隣接する和歌山県を含め、年に2−3回の開
催を継続した。テーマは出席者のアンケートを基に企画した
が、当院で行なっているチーム医療の紹介や、胃ろうや栄養、
認知症や看取りなど多岐にわたって設定した。研修会のスタ
イルは座学、実技演習、意見交換会、グループワークなどテー
マに沿って行なった。
【結果】
初回の院外参加者は15名であったが、
徐々に増加し約50名(最
大90名)の参加が得られるようになった。職種では当初、医
師、看護師、相談員、介護支援専門員などに限られていたが、
テーマや方法によって変化して、現在では、歯科衛生士、介
護職員、管理栄養士など多職種のわたり多くの参加がみられ
るようになった。アンケート結果では、グループワークに高
い評価が得られた。
【考察】
退院後も地域で安心して療養生活を過ごしてもらうために、
情報提供や情報共有は不可欠である。在宅医療研修会は情報
発信で終わるだけでなく、
グループワークの設定を多く持ち、
病院に対する意見に柔軟な対応を心掛けた。アンケートを基
に、ニーズに沿ったテーマで研修会を開催することにより、
参加人数が増加しているものと考える。
【結論】
地域基幹病院での在宅医療推進のために様々な工夫をした多
職種参加型の「在宅医療研修会」は有用であった。
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嚥下評価入院∼誤嚥性肺炎予防に対する当院の
取り組み∼
経口的に栄養摂取を行うことの意義
∼誤嚥性肺炎患者にポジョニングチェンジと口
腔内ケアの実施から∼
1) 医療法人拓誠会辻村病院 リハビリテーション科
○谷野 聖則、松本 里美、川端 健一
1) 医療法人 拓誠会 辻村病院 一般病棟
○峯 浩代 1)、山﨑 優美代 2)
【はじめに】超高齢社会の進展とともに、地域で生活をされ
ている高齢者は年々増加傾向にある。その中で加齢や様々な
疾病によりうまく食事摂取が出来ず誤嚥性肺炎に進行する高
齢者も多くなっている。当院周辺においても高齢者人口は増
加し、食事摂取困難、誤嚥性肺炎患者も多数存在することか
ら、平成25年4月より地域と連携し誤嚥性肺炎予防の取り組
みをはじめた。嚥下状態が悪化した高齢者を短期で受け入れ、
嚥下・姿勢の評価を施行し、安全な食事摂取の方法を提供し
早期に元の生活に復帰できることを目標としている。今回こ
れまでの取り組みや、今後の課題について報告する。
【方法 内容】対象は、平成25年4月から平成26年11月までに、
地域から嚥下について相談された10名とした。介入の流れは
医師の診察後、
「リハビリの必要があり」と判断された対象
について、当院で作成した嚥下の評価・姿勢の評価を理学療
法士、作業療法士、言語聴覚士が5日間実施した。その後安
全な食事摂取の方法を決定し、患者関係者に報告、指導した。
評価項目は座位の評価、頚部・体幹の評価、食事動作の評価、
食物形態、水分の種類、嚥下の評価とした。
【結果 考察】対象の転帰として紹介元へ早期退院された者
は3名、入院時から肺炎の治療を必要としそのまま入院治療
が継続された者は7名であった。早期退院できた要因として
現時点での適切な食事環境の決定、退院前に合同カンファレ
ンスを実施、患者関係者と共に実際の食事場面を観察・指導
できたことが考えられる。しかし、誤嚥性肺炎が既に進行し
た対象については、長期の治療を余儀なくされる結果であっ
た。誤嚥性肺炎の予防には、嚥下状態の悪化に気付き、最適
な食事環境を整えることが重要であると考えられ、我々のこ
れらの取り組みが地域に周知されることにより、誤嚥性肺炎
を予防する地域連携となりうるのではないかと考える。
はじめに
当院は地域のニーズに即した高齢者施設を併設している66
床の小規模病院である。
このような背景から入院患者の中には誤嚥性肺炎を併発して
いるケースも多い。肺炎は日本人の死因第3位を占めており
高齢者にとってはリスクの高い疾患である。患者は摂食・嚥
下が困難となり更には口腔内の清潔保持にも問題が生じ悪循
環となる。
このような状況の患者にポジショニングチェンジ、
口腔内清潔と摂食・嚥下ケアを行い「経口的に食事摂取がで
きる」ことを目的にアプローチした。
方法
対象 当院に入院し、誤嚥性肺炎などにより摂食に問
題が生じている患者
期間 平成17年より取組み開始
方法 誤嚥しても肺炎を発症しないようにするケアと
誤嚥しにくくするケアが必然であり発症予防と
しても治療の一環としても予防対策は重要なこ
とである。
対策として①ポジショニングチェンジ②口腔内
ケア③摂食・嚥下訓練を日々のケアの中で継続
して実践した。
摂食・嚥下ケアについては言語聴覚士の介入、
連携を図った。
結果 平成26年4月から10月までの7 ヵ月間、47名の
患者を対象に取り組み結果を抽出。ケア継続の
期間・進め方の個人差はあったが経口摂取は可
能となった。
考察 誤嚥性肺炎の場合、絶食になるのは否めないこ
とであるが摂食・嚥下機能の維持、口腔内細菌
の減少も含めた口腔ケアは口腔内の清潔とケア
が刺激となり口腔機能が向上できた。さらにそ
のことに続く早期の摂食・嚥下機能訓練を実践
することが求められ、
同時に言語聴覚士の介入・
連携ができたことは良い結果につながった。
また、肺炎だからといって臥床を基本とする
のではなく病状に見合った最大限のADLを確
保されるべきであり、できる限り早期離床が必
要であることを再確認した。
おわりに
患者の日常生活の中で得た情報をいかにアセスメントして
摂食・嚥下ケアの実践に活かすかが課題となる。今後も患者
のQOLの向上を目指し「その人らしく口から食べる」こと
を支援していきたい。
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転倒・転落アセスメントスコアシートの活用と
対策における現状と課題
∼転倒防止チームを導入して∼
転倒・転落予防を目的とした入院時フローチャー
トの検証
奈良県立五條病院 医療安全推進室
○山本博子 菊田美子 下川 充
【はじめに】
当院では、転倒・転落アセスメントスコアシート(以下、
アセスメントシートと略す)で危険度を評価後、認知症を含
む理解力低下とナースコール使用の可否に焦点を絞った独自
の対策フローチャートを用い看護計画を立案している。しか
し、平成25年度の転倒件数は医療事故報告全体の24%を占め、
転倒率3.28‰(前年度2.55‰)および骨折に至る割合も増加
した。そこで、今年度「転倒防止チーム」を導入し、その活
動から明確になった課題を報告する。
【実施内容】
今回、2つの「転倒防止チーム」を編成しアセスメントと
対策の現状分析に当たった。1つは看護部リスクマネージャー
の主任3人によるチームで、看護記録を用いてアセスメント
と看護計画の妥当性などを評価した。もう1つは他職種協働
のリスクマネージャー 6人によるチームで、転倒事例に対し
個別ラウンドし危険要因に即した安全な療養環境が提供でき
るよう現場にフィードバックした。
【結果・考察】
2つの「転倒防止チーム」の活動より以下のことがわかっ
た。
1. アセスメントシートは入院時・1週間後・転倒時・転
棟時には評価されていたが、状態変化時の再評価はほ
とんどなかった。
2. 対策フローチャートは使われていたが個別対策の記載
はほとんどなかった。
3. アセスメントシートと看護計画の評価を連動させてお
らず計画の追加・修正が少なかった。
これらから、明確に規定された評価時期やフローチャート
に関しては「できている」ことがわかった。反面、状態変化
時の再評価や個別対策など看護師の意識や判断に左右される
ものは「できていない」こともわかった。
今後の課題として、システム面ではアセスメントシートの
全危険因子項目と連動した標準対策を網羅しつつ簡便な
チェック形式をもつ看護計画のツール作成が必要である。ま
た、看護師には個別事例の検討やシミュレーション研修など
を通して、個々のリスク感性を高め育む取り組みが肝要と考
える。
1)独立行政法人国立病院機構 奈良医療センター 看護課
2)独立行政法人国立病院機構 姫路医療センター 看護部
3)独立行政法人国立病院機構 やまと精神医療センター 看
護部
○1)池田 元嗣 2)菅原 奈保子 1)安田 愛 3)山浦 新太郎 1)廣瀬 喜代子
【目的】
3A病棟の転倒・転落に関するインシデント患者の80%以上
を脳神経外科患者が占める。脳神経外科患者を対象とした転
倒・転落防止対策フローチャートを導入し、有効性を検証す
る。
【方法】
3A病棟に入院した転倒リスクの高い脳神経外科患者に対し、
作成したチャートを2 ヶ月間導入する。チャート結果とス
タッフが実施した防止対策の合致率を算出する。チャート導
入期間の転倒・転落に関するインシデント件数、転倒・転落
率について、チャート非導入期間と比較する。
【結果】
チャート対象患者16名のうち、チャート結果と実際の防止対
策が合致したのは14名で、合致率は88%であった。転倒・転
落率は、チャート導入2 ヶ月前が5.84%、1 ヶ月前が6.24%。
チャート導入後1 ヶ月目は8.29%、導入2 ヶ月目は0.00%、導
入終了後1 ヶ月目は2.41%だった。
【考察】
チャートの合致率88%については、①意識・知覚・高次機能・
運動機能障害を持つ脳神経外科患者を想定した適切な防止対
策についてスタッフの考えを収集した事。②ナースコールを
押して看護師を待つ事が可能かという「認識」とADLとい
う「活動」の分野をチャート分岐の軸とした事。③チャート
導入期間中にもカンファレンス時に意見を求めてチャートを
修正した事によって、合致率の高さに繋がったのではないか
と考える。転倒・転落率は、全患者に対しチャート導入患者
の割合が多くなる2 ヶ月目から減少している。チャートの導
入により、独断ではなく、チャートを基準に複数人で防止対
策を協議し易くなった事で患者の個別性に沿った防止対策が
実施できていたのではないかと考える。
【結論】
作成したチャートは、使用結果から脳神経外科患者入院時の
転倒・転落防止対策判断の基準として機能できる。
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ポジショニングに対する状況把握をもとに勉強
会を実施した結果みえてきたこと
病棟統合におけるリスクマネージャーとしての
取り組みについて
大和高田市立病院 褥瘡対策委員会
○寺尻洋一 清原正康 渡邉由香 田中美咲 堀井さゆり 出口紀代美
社会福祉法人恩賜財団 済生会中和病院 看護部
○武村 彩加 上平 真由美
【はじめに】 褥瘡発生の要因として、圧迫とずれの影響が指
摘されており、圧迫とずれを予防する方法として、近年ポジ
ショニングの必要性が重要視されている。A病院において、
褥瘡対策委員を中心にポジショニングの勉強会や実技講習を
通して啓蒙活動を行っているが、依然として褥瘡の新規発生
が起こっている。このような現状から、はたして適切なポジ
ショニングが行なえているのかと疑問をもった。そこで、臨
床現場でのポジショニングに対する状況把握を行うととも
に、ポジショニングに焦点を絞って勉強会を実施した結果、
スタッフの意識の向上に繋げることができたのでここに報告
する。
【方法】
病棟に勤務する看護師・助産師・介護福祉士191名
を対象にアンケート形式でポジショニングに対する現状の調
査を行った。次いでアンケート結果に基づき勉強会を行い、
再度アンケート形式による意識調査を行った。
【倫理的配慮】
結果は個人が特定できないように集計し、
データは研究担当者が管理した。
【結果】 実態調査のアンケート結果より①拘縮や円背のある
患者に対する具体的なポジショニング方法がわからない②褥
瘡好発部位については知識として把握しているものの、実際
のポジショニングについては理解が不十分であるという結果
が得られた。そこで、アンケート結果を基にポジショニング
に焦点をおいた勉強会を実施した。勉強会実施後の意識調査
としては①患者さんの特性を考慮したポジショニングの必要
性がよく理解できた②今後看護実践に取り入れていこうと思
うといった結果を得られ、スタッフの意識の変化が見られた。
【まとめ】 褥瘡発生を予防するためには常にポジショニング
を意識し、継続して実施することが必要である。今回の結果
は、臨床現場でのニーズに合った勉強会を行ったことで、患
者と関わり、直接ケアを行うスタッフのポジショニングに対
する意識の向上に繋げることができたと考える。
【はじめに】
当院では平成26年4月より、A病棟(重症室8床)とB病
棟(一般病棟44床)が統合となり、B病棟スタッフ数名が
A病棟勤務を兼務することとなった。A・B病棟での兼任業
務を行いながら、リスクマネージャーとして、①スタッフの
リスク感性を養う、②インシデントレポートの分析を行い、
病棟の傾向を知りスタッフへの意識づけを行った。
【背景】
A・B病棟兼任業務は2週∼ 1 ヶ月単位で部署を行き来し
ているため、インシデント報告などの情報をリアルタイムで
得にくい。リスクマネージャーの役割を果たせていないとい
う葛藤、どのように活動すればよいのか戸惑いがあった。そ
こで、現場にいない状況でも役割を果たせるよう課題解決策
として以下の取り組みを行った。
【取り組み】
1.インシデントカンファレンス用紙の作成
カンファレンスによりインシデントを振り返り、対応策に
ついて適切で具体的であるか再検討した。また、内容を記録
することで話し合いに参加できなかったスタッフも目を通す
ことができるよう病棟全体での情報共有のツールとして活
用、注意喚起につなげることを目的に作成した。用紙の使用
にはまだ至っていないが、A・B病棟で積極的に使用し評価
していきたい。
2.自部署のインシデントの傾向を知る
リスクマネージャー会にて平成26年度上半期の自部署にお
けるインシデントレポート分析報告を行った。その内容を自
部署で報告、傾向についてポスター作成・掲示し意識づけを
行った。スタッフから情報共有のため毎朝インシデントレ
ポート報告を行っており継続して行いたい。
【おわりに】
今後も継続し課題解決に取り組み、自分が今できる医療安
全活動に努めていきたい。
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P-B2-2
P-B2-3
外来化学療法患者に対するお薬手帳を用いた情
報提供及び患者の意識調査
“お名前を名乗って頂き確認”する方法の実施
状況調査 ∼評価カードを活用して∼
1)奈良県西和医療センター薬剤部 2)奈良県西和医療セ
ンター看護部
○前川 友香1)、吉岡 美奈子1)、松浦 秀和1)
、
百地 千佳子1)、吉村 照美1)、秋田 わか2)
1) 新生会 医療法人高の原中央病院 セフティーマネージメ
ント部会 患者誤認予防チーム
2) 新生会 医療法人高の原中央病院 医療安全管理室
1)○鈴木 友啓 中山 淳子 服部 美佳 福田 恵子 西村 卓
也 関内 早紀 西脇 世里子 前北 亜澄 吉村 奈々 南 真
理子 藪田 三起子 2)藤林 理賀
【目的】当院は平成22年11月より外来化学療法の運用を開始
し、薬剤部ではレジメン管理や調製を行ってきた。また、化
学療法委員会の下にあるレジメンチームでは、医師、看護師、
薬剤師がレジメン審査や運用に関わっている。外来化学療法
の件数は26.4件/月(平成25年度)であった。入院患者には
化学療法施行前に薬剤管理指導を行っているが、外来化学療
法室では薬剤師を配置しておらず看護師が指導を行ってき
た。そこで、平成26年6月より患者のアドヒアランスの向上
を目的とし、外来化学療法室にて点滴を施行する患者に対し
て薬剤師が介入する運びとなった。今回、取り組んだ内容に
ついて報告する。
【方法】初回患者には、化学療法のスケジュールをまとめた
情報提供用紙、レジメンの内容を表示したお薬手帳用シール、
治療日誌の3点を渡し利用方法などを説明した。また、看護
師が作成したパンフレットを用いて副作用の発現時期や症
状、対処方法を看護師と共に説明を行った。継続患者にはお
薬手帳用シールを毎回渡し、副作用発現の状況などの聞き取
りをした。また、お薬手帳に対する意識調査を行った。
【結果】外来化学療法室における指導は看護師が主体であっ
たが薬剤師が参画することで薬学専門的な視点でも指導がで
き、患者のアドヒアランス向上につながることが期待される。
また、お薬手帳にレジメン内容シールを貼り、提示してもら
うことで、医療機関、患者、かかりつけ薬局の3者で情報共
有することが可能となった。しかし、患者のお薬手帳活用の
必要性については意識が低いことが分かった。
【結論】今回の取り組みにより患者のアドヒアランス向上だ
けでなく、医師・看護師との連携がはかれた。今後は院外薬
局とより多くの情報共有化を行い、薬薬連携についても進め
ていくとともにお薬手帳の普及に努めていきたいと考える。
患者確認は、医療安全の基本であり当院でもマニュアルを
設置し取り組んできた。マニュアルでは、“お名前を名乗っ
て頂き確認”する方法を取り入れたが、確認不足や方法の誤
りを要因とした報告があった。当院は、平成24年に患者誤認
予防の取り組みを推進する目的で、患者誤認予防チーム(以
下チームとする)を編成した。今回、患者誤認予防マニュア
ルの実施状況を調査したので報告する。
1.目的
“お名前を名乗って頂き確認”する方法の実施状況を明らか
にする。
2.方法
1)評価基準は①お名前を名乗って頂き確認 ②名前を呼
び確認 ③確認していない の3段階。評価基準に則
り、
評価表と評価内容を記載したカード(以下評価カー
ドとする)を作成した。
2)チームメンバーがラウンドする際、評価表と評価カー
ドを持参し評価した。
3)評価後、評価ごとのカードをスタッフに配布した。
3.期間 平成26年9月5日∼ 10月27日
4.部署 手術室 外来 透析センター 放射線科 臨床検
査科 病棟(回復リハビリ病棟のみ)
5.結果
調査件数は32件。
“お名前を名乗って頂き確認”できてい
たのは79.3%だった。
“お名前を名乗って頂き確認”し生年月
日やID確認もできたが34.5%、
“お名前を名乗って頂き確認”
しているが生年月日やID確認はしていないが44.8%、お名
前を呼んで確認している17.2%、お名前確認をしていない
13.8%であった。部署別では、手術室 放射線科 臨床検査
科での確認OP室 検査部門での実施率が高かった。
6.考察
“お名前を名乗って頂き確認”しているのは79.3%で、約8
割が実施していた。
当院は、
平成21年7月から
“お名前を名乗っ
て頂き確認”を実施している。今回の調査結果から、患者参
加型での実施は定着してきたと考えるが、調査件数が少なく
継続的な評価が必要である。また、部署での格差があり今後
の課題である。マニュアルを浸透するためには個々の取り組
みを推進する必要がある。評価カードは一人一人に自覚を促
す意味で有効であったと考える。今回は、手術室や外来部門
が主の調査だった。今後は、病棟での調査方法を検討し更に
受付時の評価も含め継続的に取り組んで行きたいと考える。
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P-B2-4
P-B2-5
透析機器の適正使用について
更新した 3.0T MRI 装置の使用経験
大和高田市立病院 透析センター
○飯田 剛士 治田美津子 森諭司 浅田淳 常本晋平 岡
本勇貴 山本千聖
1) 奈良県西和医療センター 中央放射線部
○山口 長志郎 1)、下城 啓司 1)、弓場 文麿 1)
【はじめに】
近年、透析患者は30万人を越え、その中で血液透析は、腎代
替療法の一つとして、多くの施設で治療されている治療法で
ある。透析機器は日々進化しているが安全かつ適正に使用し
なければ意味がない。当院はオンラインHDFを施行し透析
液の清浄化を担保するためET、生菌濃度を全透析機器から
毎月測定している。その際に除水ポンプから水漏れを発見す
る機会があり、それをきっかけに透析機器の適正使用方法の
検討を行った。
【現状】
透析機器は毎日自己診断を自動的に行い機器内部の状態に異
常がないかチェックを行っているが機器内部の点検頻度を具
体的に定めていなかった。そのため自己診断だけでは発見す
ることができない異常は見落としてしまう可能性があった。
実際に今回の件で自己診断では問題無しの結果だったが除水
ポンプから水漏れが発生していた。
【改善策】
ET,生菌濃度を測定する際に機器内部のサンプルポートから
採取し測定している。そこに関連づけて機器内部の点検を行
い異常がないかチェックリストを用いて確認を行い、同時に
除水ポンプ、複式ポンプの給液側、排液側のセル電圧の確認
を行うことで機器の安全使用を図った。
【結語】
透析機器の適正使用には自己診断だけでは不可能であり、安
全な透析医療を提供するためには透析機器の日常的な点検が
必要である。
当院では今年3月にMRI装置が更新された。導入機種はシー
メンス社の最上位機種Skyla3.0で静磁場強度が3.0T(テスラ)
になるとともに、種々の新しい撮像シークエンスが可能に
なった。ここでは、3.0T装置の特徴を従来の1.5T装置と比較
して述べるとともに、当院MRIの特徴についても紹介する。
1.5T装置と3.0T装置を比較した場合、3.0T装置の利点とし
て真っ先に挙げられる点は約2倍の信号が得られることであ
る。これにより、空間解像度の向上(薄いスライスでも画質
が向上)
、撮像時間の短縮化、MRSやPerfusion
といった機能的検査に有利な効果が得られる。高信号化によ
る画質向上はほぼすべての撮像領域で得られるが、特に頭部
神経領域、整形領域、血管描出などは3.0T装置が得意とする
ところである。
反対に3.0T装置の方が不利とされる点は、腹部画像で感度
ムラを起こしやすい、動きのある部位の撮像に不利、ケミカ
ルシフトアーチファクト(脂肪と水の間に出現するアーチ
ファクト)が強くなる、被験者体内の局所温度上昇が起こり
やすいなどがある。しかし、これら問題に対しては撮像パラ
メータや撮像方法の工夫により対応できる面もあるので、現
場では状況に合わせて調整しながら検査を行っている。
また、安全性の面からは磁場の強度化により1.5Tでは問題
無しとされた体内金属に対しても再度の注意が必要とされ、
依頼側と検査実施側の双方によるダブルチェックが求められ
る。
今回の更新では、最新性能をしっかり発揮できるよう様々
な撮像シークエンスやコイルが導入された。中央放射線部で
はそれらを駆使してより高い診断価値の画像をフィードバッ
クできるよう日々取り組んでいる。
今やMRIは様々な診療分野において有用な検査として求め
られる存在となった。本装置の導入により、当院ならびに西
和地区の医療が益々、発展することが期待される。
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P-C1-1
P-C1-2
接遇委員としての取り組み
∼手術室の接遇改善を目指して∼
血液検査室からの臨床研修医実習への取り組み
1) 奈良県総合医療センター 中央臨床検査部
2) 奈良県総合医療センター 副総長兼中央臨床検査部長
○斉藤 真裕美1)井上 裕行1)武野 建吾1)黒河 美香1)
辻野 秀夫1)胡内 久美子1)吉村 豊1)菊池 英亮2)
済生会中和病院 手術室
○大谷 恭子 米田 幸子
Ⅰ はじめに
当院では看護部接遇向上委員を設置し、職場全体のモラル
の向上を図ることを目的に、看護サービスの充実に向けて
日々活動しています。平成25年度の行動目標は「各部署で接
遇の事例に取り組む」に決定しました。
この行動目標を自部署で取り組むために、手術室スタッフ
として、どのような接遇をしていけばよいか事前にアンケー
ト調査を実施しました。そしてこの結果をもとに1年間、接
遇改善に取り組みました。
Ⅱ 方法
1.方法
1)4月にアンケート調査
2)4 ヵ月ごとに目標を設定し、目標ポスターを掲示
3)各期間で誰が目標達成できていたか投票を行う
4)投票結果をポスター掲示
2.対象
1)手術スタッフ 14名
Ⅲ 結果
目標設定する内容はアンケート結果より、1回目4月∼7月
「笑顔であいさつ」、2回目8月∼11月「身だしなみチェック」
に決めました。そして1回目は8月に、2回目は12月に誰が目
標達成できていたかを全員で投票しました。スタッフには、
各期間で目標達成できたスタッフを投票することを伝えてい
ました。各期間にこの投票結果をまとめ、高得票の人を「輝
く人」としてポスターに掲示しました。ポスターを掲示する
ことで「また次回もがんばろう」「次は私も投票してもらい
たい」などスタッフの声が聞かれました。
Ⅳ 考察
メラビアンの法則では「人の第一印象は最初の3秒~5秒で
決まる」と言われています。手術室という特殊な環境でこの
第一印象である「身だしなみ」「あいさつ」は事前アンケー
ト調査でも上位を占めていました。今回、それらの項目を目
標に掲げ、さらに常に見られているという意識をもち、他の
人がどのように行動をとっているか投票で評価しました。こ
の結果を掲示することでスタッフの接遇への意識が高まった
と考えます。
Ⅴ まとめ
4 ヵ月ごとに接遇目標を掲げ、誰が一番目標を達成できて
いたか投票し結果を掲示しました。その結果、スタッフの接
遇への意識が高まりました。
【はじめに】
平成16年新臨床研修制度が施行され、その理念に「将来専門
とする分野にかかわらず、一般的な診療において頻繁にかか
わる負傷又は疾病に適切に対応できるよう、基本的な診療能
力を身につけることができるものでなければならない」とあ
る。
以前より臨床研修医を受け入れてきた当院においてもより幅
広い分野での研修を実施できるよう、今年度より血液検査室
での実習を始めたので報告する。
【実施内容】
中央臨床検査部として細菌検査室、病理検査室、血液検査室、
輸血部の4部門の実習を行っている。
そのうち血液検査室では
1検体取扱い(スライド)
2標本作成と染色(実習)
3診断の補助となる血液像の解説(スライド)
4症例検討と顕微鏡観察(実習)
5凝固検査の症例検討(スライド)
6フローサイトメトリー検査(実習)
1回3名を計4回で12名の研修医に実施。
実施後、技師による達成度の評価(3段階)と自己評価(3段
階)を行った。
【考察】
新臨床研修制度は大学病院における専門分野に偏った研修の
弊害が指摘され、より幅広い分野での知識、技術の習得を目
指し改訂された。
また、指導ガイドライン(国立保健医療科学院)では各血液
疾患に対して「面接・診察」
「検査・診断」
「治療」
「患者へ
の説明及び支援」と目標設定がされている。
それを基に上記のようなプログラムで実施したが、標本作成、
ピペット、顕微鏡の基本的操作などの意外な点での未熟さが
みられた。
さらに日常の検査報告に関して、検査室の意図が理解されて
いないことに改めて気づかされた。
研修医という柔軟な立場の時期に今回のような実習を行うこ
とは、今後検査室とのコミュニケーションを深める良い機会
になったと感じた。
さらに研修医からの意見を取り入れつつ、検査室でも工夫や
研鑚を積み、次年度以降の実習プログラムに還元していきた
いと考える。
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P-C1-3
P-C2-1
患者サービス向上を目的とした採血待ち時間短
縮の取り組み
結核患者におけるクリニカルパスにおける療養
指導の現状把握
1)奈良県総合医療センタ− 中央臨床検査部
2)奈良県総合医療センタ− 副総長兼中央臨床検査部長
○柳田裕起1)、堂山真由1)、武藤愛1)、上野真祐1)、中本和男
1)、胡内久美子1)、吉村豊1)、 菊池英亮2)
独立行政法人国立病院機構 奈良医療センター 看護課
○ 中村 有沙 、佐々木 由貴、三宮 由江、 杉山 千枝、
中嶋 宏、河嵜 美子
【はじめに】 総合病院において長時間の待ち時間が発生する
ことは慢性的な問題である。それは診療時間ではもちろん、
検査や会計や薬の受取りにおいても同様である。一昔前は総
合病院では待って当たり前の風潮があり、スタッフも待たせ
ても大丈夫、患者も諦めの胸中で来院されている感があった。
しかし近年では患者満足度調査を行うなど医療もサービス業
である意識が求められており、待ち時間が長いことに対する
患者の不満足度は大きく、改善を行い患者サービスの向上に
努めなければならない。
当中央臨床検査部においても検査受付及び採血で長時間の待
ち時間が発生し、時には患者からのクレームを受けることも
あるため、採血時の待ち時間短縮の改善を行ったので発表す
る。
【長時間の待ち時間が発生する要因】
① 外来各診療科の患者が集中
② 診療科の特性で混雑する時間帯が集中
③ 診療科の特性で混雑する曜日が異なる
④ 採血室のスペースに限りがある
⑤ 採血者の技量
【長時間待ち時間が発生することで起こるデメリット】
① 結果報告が遅れる
② 診察が遅れる
③ 診療科での待ち時間が長くなる
【待ち時間短縮のための改善点】
① 採血台の増加
② 採血人員数の増加
③ 個人の技術の向上
【中央臨床検査部としての対応】
① 採血待ち時間の調査(今後実施)
② 患者アンケート(今後実施)
③ 採血室スペースの拡大
④ 採血台の増設
⑤ 採血者の技量向上のためのトレーニングとその環境作り
【まとめ】
採血業務において待ち時間の短縮は、患者サービス向上に
つながると考え、6月より採血台を増設し混雑時には採血人
員を増員して対応している。採血台数を増やす以前に待ち時
間調査を行ったデータでは混雑時の対応改善が待ち時間短縮
の条件と思われた。今回混雑時には採血人員を増員し、その
時の待ち時間調査を行い比較するとともに患者アンケートも
実施してその意見を今後の採血業務改善、及び患者サービス
向上に役立てたいと考える。
【目的】結核患者への療養指導の現状把握を行い、結核患
者の療養指導の問題点を明らかにする。【研究期間】平成25
年12月∼平成26年1月【対象】①平成25年12月現在結核病棟
入院勤務している看護師20名②平成24年4月∼平成25年3月に
クリニカルパスを使用した結核患者【方法】①アンケート調
査②カルテ記載状況の収集【結果】看護師アンケートより結
核療養指導計画書を確認して指導している看護師は64%で
あった。確認できてない看護師の理由としては、指導に対す
る意識の欠落、
指導に対する意識はあるも方法がわからない、
患者にバリアンスがありできないなどがあった。療養指導が
できない看護師側の要因は、看護師の知識不足・意識不足、
患者の情報収集のみになっている、時間的要因であった。そ
の問題を改善策としては、勉強会の開催や受け持ち中心とな
り療養計画を見直し、評価日を明確する、業務調整を行うな
どのアンケート結果が得られた。②平成25年度入院患者のう
ち、クリニカルパスを使用した患者は93名、平均年齢は73.3
歳。その患者のうち、基礎疾患に認知症がある患者は70代∼
90代の8名。年代別に無記入指導項目数の割合を比較してみ
ると20代は43%、30代は63%、50代は31%、60代は56%、70
代は56%、
80代は75%、
90代は87%であった。【考察】アンケー
ト結果より情報収集は行えているが療養指導を実践できてい
ない。その要因としは知識不足・理解不足がアンケート結果
から考えられる。年代別無記入項目割合の結果より、80代・
90代の無記入割合が多いことから患者の高齢化、理解力の低
下により指導が困難であることが考えられる。
【結論】1.
クリティカルパス運用の問題には患者側・看護師側の問題が
ある。2.患者側の問題点は個別性に合わせた指導を行うこ
とである。3.看護師側の問題点は知識と療養指導の意識の
向上を図り、
療養指導計画書を効果的に活用することである。
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P-C2-3
電子カルテ導入にともなうサーベイランスシス
テムの構築
∼カテーテル関連尿路感染サーベイランスへの
取り組み∼
災害拠点病院に勤務する医療従事者の災害看護
及び防災の意識の課題と現状
1) 大和高田市立病院 中央手術室、
○里内 正樹1)
1.はじめに
当院では2013年3月より電子カルテが導入された。電子カ
ルテ導入にともない、様々なチェックシートなども電子化さ
れた。そういった背景の中、サーベイランスも電子カルテに
組み込むことで、データの運用・感染への介入がスムーズに
なると考え感染リンクナース委員会を中心にシステムを考え
ることになった。システム構築の対象はカテーテル関連尿路
感染(UTI)とした。尿路は医療関連感染の最も一般的部位
であり、急性期病院によって報告されている感染の30%以上
を占めるといわれているため、サーベイランスを実施するこ
とにより当院のベースラインが把握出来、今後の感染対策へ
つながると考えたからである。
システムの考案・構築(2014年1 ∼ 6月)から実施(7 ∼
10月)までの取り組みと今後の課題をここに報告する。
2.方法
1)尿道留置カテーテルを留置・留置中・抜去があった場
合に患者カルテの観察項目欄に既定の入力値を入れ
る。
2)一か月単位で集計を行い、医療器具使用比・尿道留置
カテーテル平均留置期間を出す。
3)UTI診断基準は環境感染学会JHAIS委員会の診断基準
抜粋を使用する
3.結果
開始月の尿道留置カテーテルの留置期間・留置本数に対す
る入力データの精度は36%で感染率を算出するに至らなかっ
た。
4か月目の尿道留置カテーテルの留置期間・留置本数に対
する入力データの精度は75.7%と改善は見られた。しかし、
全く入力されていないデータも22.7%あり、精度の高いサー
ベイランスを行うには更なる改善が引き続き必要であること
がわかった。
1)社会福祉法人恩賜財団済生会中和病院 外来1階・透析
○桐山明美1) 浅尾裕子1) 見山佳津代1) 和田清美1)
【研究背景】
A病院は、一般医療施設かつ災害拠点病院に位置づけその
役割を担っており、病院内からDMATを発足しその活動方
法が構築されつつある。しかしながら実際に災害が発生した
際の訓練や負傷者対応などのシミュレーションなどは実施さ
れておらず、災害看護に必要とされる予測や準備が整ってい
るとはいえない。また働く看護職員自身には過去に災害体験
をしている者やそうでないもの、家族や親戚に災害体験され
た方の存在などの背景の違いがある。その違いにより災害看
護に関する予測や安全確保の意識、さらに災害医療及び災害
看護の知識に違いがあると考えられた。
【研究目的】
本研究において、DMATが発足された災害拠点病院に勤
務する看護職員及び、看護部に所属する職員290名を対象に、
災害看護及び防災の意識の現状と問題点についての、災害医
療及び災害看護の課題を明らかにする。
【方法】
災害時の意識、災害に対する知識や災害対策の実際につい
て、独自に質問紙調査を用い、自記式質問紙調査を行った。
【結果】
対象者は、回収率90.6%で290名を分析対象とした。うち、
取得免許は、保健師、助産師、看護師、准看護師の取得者は
8割以上で“災害経験あり”は104名(36.0%)、
“災害経験なし”
が185名(64.0%)であり、半数以上の職員が、災害経験がな
い結果となった。災害医療や災害看護に関する講習会の必要
性については、
“とても必要である”
“どちらかというと必要
である”を合わせると、9割以上の職員が講習会の必要性を
感じている結果となった。
【考察】
本研究においては、6割以上の対象者に災害経験がなく、9
割以上の対象者が、講習会の必要性を感じていることから、
シミュレーションを中心とした、実践型ないしは体験型の講
習会が望ましいと考えられた。
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P-C3-2
看護職が働き続けられる職場環境づくりを目指
して
∼奈良県看護協会 WLB への取り組み報告∼
糖尿病患者の大腸内視鏡検査前処置における腹
部「の」の字マッサージ併用の有用性
奈良県看護協会 離職防止委員会 ○西本 京子 河野 弥生 淵本芙美子 山中 信子 田岡眞由
美 錦 三惠子 中北 仁子 田中 礼子 西田 豊美
平成18年度常勤看護職員離職率(日本看護協会調査)、奈
良県16%(全国ワースト2位)となり、県内看護の質を保つ
ためには、看護職員定着率向上が急務と判断し、平成20年度
奈良県看護協会は、『離職防止対策委員会』を設置した。看
護職員離職状況調査を2回実施、離職理由の多くは個人の生
活スタイルに影響されていた。今回、日本看護協会WLB推
進事業に参加して、看護職員の確保・定着に取り組んだ経過
と今後の課題を報告する。
【経過】平成25年度日本看護協会WLB事業参加。ミッション:
働き続けられる職場環境づくりを推進し、奈良県の看護職員
の確保・定着を促進する。ビジョン:各世代を通して、いき
いきとした元気な看護職が増える。目標:①看護職のWLB
推進体制の円滑な運営ができる②確保困難地域に看護職員の
確保・定着ができる③参加施設の職場環境、職場文化を改善
することができる④「働きがい」と「やりがいのある看護」
が 実 感 で き る と 掲 げ、 事 業 参 加 4 施 設 で ス タ ー ト し た。
WLB推進委員会の定期開催、6月インデックス調査、9月
ワークショップ、1月フォローアップ・ワークショップ、支
援者による施設訪問を実施した。現在2年目をむかえ、2回
目インデックス調査を実施。結果、前回との差はあまり無かっ
たが、看護職員自身が働き方について考える風土が芽生えて
きたとの意見があった。
【結論】WLB実現には、働く看護職員の実態把握したうえで、
各施設とも就業規則の確認や見直しが必要である。施設及び
職員の実態把握には、
「インデックス調査」が有効である。
本事業はスケジュールが明確であるため、着実に計画を前進
させる効力がある。WLB推進事業に参加していることを院
内外にアピールすることで、看護職員の応募が増えた施設が
あった。今後は、病院全体でWLBに取り組むことは看護職
のみならず医療界の職場環境改善に繋がることをアピール
し、奈良県内の施設がWLB推進に取り組むように働きかけ
ることが必要である。
町立大淀病院 看護部1、町立大淀病院 内科2
○宮本伸子1 畑田育子1 山本美紀子1 新田香伃1 米田
さつき1 辻井里美1 川野貴弘2
近年、糖尿病は大腸癌のリスク増加と関連していることが
報告されている。それに伴い、当院でも糖尿病患者の大腸内
視鏡検査施行症例が増加している。大腸の病変を見落としな
く検査を確実に行うためには、前処置で大腸に残便の無い状
態にする必要がある。
しかし、糖尿病患者は糖尿病性自律神経障害による消化管
運動機能低下を原因とする便秘症例があり、前処置に時間を
要する患者や検査時に大腸に残便を認める患者がいる。大腸
内視鏡検査前処置施行時、排便を促す目的で腸管洗浄剤(ニ
フレック )服用後に歩行や腹部マッサージが有効とされて
いる。
そこで、
糖尿病患者の大腸内視鏡検査前処置の際、腹部「の」
の字マッサージ併用の有用性について検討したので報告す
る。
― 63 ―
P-C3-3
P-C3-4
術後せん妄パンフレットを用いて情報提供を
行った家族の意識と関わり
排泄ケアへの取り組み∼ TENA 導入 1 年後の現
状と課題∼
1) 大和郡山病院 4階西病棟
○濱川美祐1) 山田真由香2)
1)奈良県西和医療センター 排泄ワーキンググループ
○堀川智津枝1)
【はじめに】
高齢者は環境の変化に影響を受けやすく、入院初期や術後
などにせん妄を発症しやすいため、あらかじめ家族に対して
説明を行うことが重要と言われている。術後せん妄について
の情報提供を患者の家族に行うことで、術後せん妄を発症し
た時に家族の不安や心配が緩和できたかを検討する
【研究方法】
当院外科・泌尿器科病棟において、全身麻酔・腰椎麻酔で
手術をうけ、先行研究の結果を元に作成したチェックリスト
に該当する患者を抽出する。入院時に患者・家族へパンフレッ
ト用いて情報提供を行い、聞き取り調査を行う(緊急手術、
独居は除く)。また手術後にもせん妄発症には関わらず情報
提供を行ったすべての家族へ聞き取り調査を実施。
【結果及び考察】
対象者30名に質問紙を用いて調査を実施した結果、術後せ
ん妄という言葉を初めて聞いた家族が大半であった。家族か
らは「安心して関わることができた」との意見が多く、本研
究で術後せん妄についての情報提供に繋げることができ、家
族にとって意義があると考えられる。患者からも 「心構えが
できた」 という意見も聞かれたが、家族と共に患者へ説明す
ることで「不安が増強した」との意見もあり、術後せん妄に
ついて患者と一緒に説明することで不安を増強させる要因と
なることもあることが分かった。
情報提供を実施した家族の意識として、予防策や発症時の
関わりを積極的に実施しようと思う家族は多く、術前から患
者に関わる必要性の理解が得られたためと考える。今後も情
報提供は必要であると考えるが、説明を行う時期や対象者は
再度検討し実施していくことが今後の課題となった。
生活行動の一つである排泄行為は自尊感情や人間らしさを
守り、自立心を養うことが出来ると言われている。入院など
により排泄行動に障害をきたした時には、やむを得ず紙おむ
つを使用する場合が多い。自立した排泄行動がとれなくなっ
た場合には患者の社会的・身体的な面をアセスメントするこ
とはもちろん、
心理的な側面からのアセスメントを必要とし、
尊厳を守った排泄ケアを提供することが重要である。排泄ケ
アを必要としている患者にとって、心理的な影響があること
に加え、夜間のオムツ交換による睡眠中断や紙おむつの重ね
使いによる、皮膚障害などの身体的な負担が起こることも少
なくない。
そこで、尿の吸収力・肌触りがよく、オムツ交換の回数が
減少することで患者の睡眠を妨げないと言われている紙おむ
つ(以下TENAとする)を平成25年10月に導入した。
TENAのメリットを理解し適切な使用ができるよう、導入時
に、全看護職員へ学習会を開催し周知をおこなった。TENA
は平成25年10月∼平成26年9月までの期間で同意を得た患者、
延べ973人に使用した。
今回、TENA導入1年後の現状調査として、TENAの使用
による患者の睡眠状況などについて病棟看護師へアンケート
をおこなった。その結果、患者の睡眠時間に関して改善した
と回答したものは、ほぼ半数であった。紙おむつの交換回数
が減少したと答えたものは7割を超えていた。排泄ケアへの
関心を持つようになったこと、患者個々に応じた紙おむつの
サイズ・種類など適切な選択ができるようになったと答えた
ものはそれぞれ8割であった。しかし、患者によっては、2時
間ごとの体位変換時に睡眠が中断されたり、排尿毎に頻回の
オムツ交換が必要になるためTENAの利点が生かされてい
ないという状況が生じていることがわかった。
そこで、今後は紙おむつの使用について、入院時に排泄のア
セスメントを深め、患者の病態を考慮した紙おむつを適切に
選択する必要があると考える。
― 64 ―
医療のIT化は患者に恩恵をもたらすか?
−地域包括ケアシステムを見据えて−
演者索引
日本医療マネジメント学会第10回奈良支部学術集会
医療のIT化は患者に恩恵をもたらすか?
−地域包括ケアシステムを見据えて−
演者索引(五十音順)
た
あ
浅田 淳
O07−2
高津 明美
O07−3
飯田 剛士
P−B2−4
竹田 育弘
パネルディスカッション−2
五十實 桃代
P−A2−2
武村 彩加
P−B2−1
池田 元嗣
P−B1−4
田中 京子
P−A1−1
井田 達也
P−A1−4
田中 尚美
P−A2−4
今川 亜美
O05−3
田中 真由美
O08−4
上田 尚義
O09−2
田中 麻理
O11−3
上野 正闘
O03−2
谷野 聖則
P−B1−1
大谷 恭子
P−C1−1
寺尻 洋一
P−B1−5
岡島 佐知子
O09−3
な
岡本 信子
O02−3
中尾 麻利菜
O11−4
奥田 将也
O10−1
中川 富美
P−A2−1
親木 賛子
O10−4
中島 大
O08−3
中島 博美
O07−1
か
梶谷 多子実
O05−2
中西 康裕
O06−5
加納 麻子
パネルディスカッション−3
中村 有沙
P−C2−1
川本 恭久
O05−4
中村 恭美
O10−5
城戸 由美
O10−3
西岡 令子
O08−2
桐山 明美
P−C2−3
西田 恵美子
O10−2
倉田 慎平
O03−1
西田 一二三
O02−2
古賀 和也
O06−1
西原 みゆき
O01−2
西都 律子
P−A2−3
さ
斉藤 真裕美
P−C1−2
西本 京子
P−C3−1
佐谷 直美
O08−1
根津 智子
パネルディスカッション−1
里内 正樹
P−C2−2
清水 直孝
O01−4
下村 富
O02−1
鈴木 友啓
P−B2−3
鈴木 征光
O05−1
関 源一
O06−4
日本医療マネジメント学会第10回奈良支部学術集会
― 65 ―
医療のIT化は患者に恩恵をもたらすか?
−地域包括ケアシステムを見据えて−
演者索引(五十音順)
は
橋本 翼
O01−3
畑田 育子
O11−1
濱川 美祐
P−C3−3
比澤 万有美
O04−3
藤林 弘子
パネルディスカッション−4
藤本 京利
O03−3
細川 喜美恵
O04−2
細田 知香子
O02−4
堀 優子
P−A1−3
堀川 智津枝
P−C3−4
ま
前川 友香
P−B2−2
松田 博之
O01−1
溝上 直人
O11−2
南 卓磨
O02−5
峯 浩代
P−B1−2
峯川 純也
O08−5
宮本 伸子
P−C3−2
や
柳田 裕起
P−C1−3
山口 長志郎
P−B2−5
山崎 巳如
O06−2
山本 博子
P−B1−3
吉川 由紀
O07−4
吉田 和弘
P−A1−2
吉鶴 伸太朗
O09−1
わ
和田 善行
O06−3
渡邉 知朗
O04−1
日本医療マネジメント学会第10回奈良支部学術集会
― 66 ―
医療のIT化は患者に恩恵をもたらすか?
−地域包括ケアシステムを見据えて−
協賛企業等一覧
日本医療マネジメント学会第10回奈良支部学術集会
医療のIT化は患者に恩恵をもたらすか?
−地域包括ケアシステムを見据えて−
日本医療マネジメント学会第10回奈良支部学術集会の開催にあたり
下記の企業団体等よりご協賛いただきました。ここに感謝いたします。
(50音順)
機器展示企業
テルモ 株式会社
富士ゼロックス 株式会社
株式会社 メディカ・ライン
株式会社 ケアコム
日本電気 株式会社
富士フィルムメディカル 株式会社
協賛企業
アルフレッサファーマ 株式会社
株式会社 大床義肢
カールツァイスメディテック 株式会社
グラクソ・スミスクライン 株式会社
株式会社 三笑堂
セイコーメディカル 株式会社
武田薬品工業株式会社
株式会社 南都銀行 王寺支店
ミズホ 株式会社
旭化成ファーマ 株式会社
大塚製薬 株式会社
オリンパスメディカルサイエンス販売 株式会社
協和発酵キリン 株式会社
サノフィ 株式会社
CSL ベーリング 株式会社
株式会社 タカギ
株式会社 ツムラ
バイエル薬品 株式会社
ランチョンセミナー共催企業
エーザイ 株式会社
MSD 株式会社
広告掲載企業
アステラス製薬 株式会社
アボットジャパン 株式会社
株式会社 大塚製薬工場
小野薬品工業 株式会社
小西医療器 株式会社
CSLベーリング 株式会社
シーメンス・ジャパン 株式会社
第一三共 株式会社
大日本住友製薬 株式会社
東芝メディカルシステムズ 株式会社
西村器械 株式会社
日光医科器械 株式会社
日本臓器製薬 株式会社
ノバルティスファーマ 株式会社
株式会社 日立メディコ
宮野医療器 株式会社
アストラゼネカ 株式会社
株式会社 エスアールエル
株式会社 大床義肢
カールツァイスメディテック 株式会社
株式会社 三和化学研究所
シーマン 株式会社
セイコーメディカル 株式会社
大正富山医薬品 株式会社
田辺三菱製薬 株式会社
株式会社 奈良栗田書店
株式会社 ニチイ学館
日本化薬 株式会社
日本メジフィジックス 株式会社
日立アロカメディカル 株式会社
フクダ電子南近畿販売 株式会社
日本医療マネジメント学会第10回奈良支部学術集会
― 67 ―
「日本医療マネジメント学会奈良支部会則」
(名称及び事務局)
第1条 本支部は日本医療マネジメント学会奈良支部とし、事務局を支部長施設におく。
(組織)
第2条 本支部の会員は原則として、日本医療マネジメント学会会員とする。
第3条 本支部に次の役員をおく。
顧問:若干名、支部長1名、副支部長:1∼2名、理事:若干名、監事2名、
世話人:1名
(1)支部長は会を総括する。理事の互選により選出する。
(2)副支部長は支部長を補佐し、支部長が理事の中から指名する。
(3)理事は会員の中から支部長が委嘱する。学術集会のごとに役員の互選により
決定する。
(4)監事は会計の監査を行なう。支部長が会員の中から委嘱する。
(5)世話人は学術集会を主宰する。学術集会ごとに役員の互選により決定する。
(6)役員の任期は2年とし、再任を妨げない。ただし、世話人は学術集会のごと
に選出する。
2 本支部に名誉支部長をおくことができる。
(運営)
第4条 本支部の重要事項は役員会において協議する。
第5条 本支部は年1回以上の学術集会、研究会、講演会等を開催する。
第6条 本支部の運営費は、学術集会等の参加費その他の収入をもって充てる。
第7条 本支部の会計年度は4月1日から3月31日迄とする。
附則 この会則は平成17年12月1日から施行する。
附則 (平成21年2月 第1条及び第3条改正)
この改正は平成21年2月7日から施行する。
附則 (平成22年6月 第1条から第7条まで改正)
この改正は平成22年6月3日から施行する。
附則 (平成25年2月 会則の名称を改正)
この改正は平成25年2月2日から施行する。
― 68 ―
日本医療マネジメント学会 奈良支部 理事
名誉支部長
稲葉 征四郎
市立奈良病院
支部長
吉川 高志
国保中央病院
副支部長
星田 徹
(独法)国立病院機構 奈良医療センター
安富 惠美子
監事
二階堂 雄次
市立奈良病院
吉田 昭吾
国保中央病院
理事
今川 敦史
済生会中和病院
細井 孝純
済生会中和病院
小野 美智恵
済生会中和病院
梅岡 淸美
済生会中和病院
川口 正一郎
(地独)奈良県立病院機構
奈良県西和医療センター
菊池 英亮
(地独)奈良県立病院機構
奈良県総合医療センター
瀬川 雅数
済生会奈良病院
森野 鈴子
(公益社団法人)
奈良県栄養士会医療部門
西本 京子
(独法)国立病院機構 奈良医療センター
井上 雅智
近畿大学医学部奈良病院
嶌原 康行
独立行政法人地域医療機能推進機構
(JCHO) 大和郡山病院
砂川 晶生
大和高田市立病院
独立行政法人地域医療機能推進機構
(JCHO)大和郡山病院
松岡 寛
奈良県病院薬剤師会
大名 美記子
奈良県立医科大学附属病院
中谷 勝紀
済生会御所病院
大林 末子
済生会御所病院
松本 昌美
奈良県立五條病院
宮内 義純
(地独)奈良県立病院機構奈良県総合
リハビリテーションセンター
前田 聡子
(地独)奈良県立病院機構奈良県総合
リハビリテーションセンター
青山 信房
平成記念病院
伊東 厚子
平成記念病院
髙嶋 敏光
石橋 睦仁
(公益社団)
奈良県理学療法士協会
(公益社団)
奈良県放射線技師会
澤井 照佳
ハートランドしぎさん
古家 仁
奈良県立医科大学附属病院
上田 裕一
(地独)奈良県立病院機構
奈良県総合医療センター
飯尾 美和
大和高田市立病院
河野 弥生
国保中央病院
木下 久美子
(地独)奈良県立病院機構
奈良県総合医療センター
森田 文
市立奈良病院
西隈 菜穂子
近畿大学医学部奈良病院
太田 茂
天理よろづ相談所病院
原田 幸子
(公益財団) 奈良県看護協会
竹上 茂
(一般財団)
奈良県薬剤師会
今田 周二
(一般社団)
奈良県臨床検査技師会
福井 智賀子
済生会奈良病院
田中 淳子
奈良県立五條病院
片岡 美代子
(地独)奈良県立病院機構
奈良県西和医療センター
小松 洋子
奈良県訪問看護ステーション
協議会
― 69 ―
― 70 ―
― 71 ―
― 72 ―
― 73 ―
健康と科学に奉仕する
社 〒650-8677
神 戸 市 中 央 区 楠 町 5 丁目4−8
☎
(078)
371−2121(ダイヤルイン)
大 倉 山 別 館 〒650-8677
M
S
C 〒650-0047
ポートアイランド60
神 戸 市 中 央 区 楠 町 2 丁目3−1 1
☎
(078)
371−2121(ダイヤルイン)
神 戸 市 中 央 区 港 島 南 町 4 丁目6−1
☎
(078)
302−7001
(代表)
〒654-0161
〒654-0161
〒670-0940
〒674-0083
〒669-3304
〒668-0063
〒661-0026
〒564-0002
〒553-0006
〒578-0948
〒593-8316
〒640-8322
〒601-8188
〒612-8412
〒624-0906
〒630-8453
〒634-0072
〒700-0945
〒733-0842
〒721-0973
〒680-0902
〒689-3547
〒693-0024
〒761-0301
〒465-0024
〒113-0034
〒244-0815
モイヤン神戸店 〒650-8677
モイヤン姫路店 〒670-0940
モイヤン阪神店 〒661-0026
神 戸 市 須 磨 区 弥 栄 台 2 丁目1 2−1
神 戸 市 須 磨 区 弥 栄 台 2 丁目1 2−1
姫路市三左衛門堀西の町7番地
明 石 市 魚 住 町 住 吉 2 丁目1−3 3
丹 波 市 柏 原 町 上 小 倉 1 5 2−1
豊 岡 市 正 法 寺 4 6 − 2
尼 崎 市 水 堂 町 3 丁目1 5−1 4
吹 田 市 岸 部 中 2 丁 目 2 − 1 3
大 阪 市 福 島 区 吉 野 5 丁目5−9
東 大 阪 市 菱 屋 東 2 丁目1 4−2 0
堺 市 西 区 山 田 2 丁 2 7 − 2
和 歌 山 市 秋 月4 1 2 番 地 の 1
京都市南区上鳥羽南中ノ坪町20番地
京都市伏見区竹田中川原町381番地
舞鶴市字倉谷1555番地の4
奈良市 西 九 条 町 2 丁目1 0−6
橿 原 市 醍 醐 町 1 3 2 番 地 1 1
岡 山 市 南 区 新 保 1 3 0 7 − 1
広 島 市 西 区 井 口 5 丁目2 3−1 5
福 山 市 南 蔵 王 町 3 丁目1 2−1 3
鳥 取 市 秋 里 1 3 5 6 番 地
米 子 市 流 通 町 1 5 8 − 1 9
出 雲 市 塩 冶 神 前3丁 目 8 − 6
高 松 市 林 町 2 5 3 8 − 8
名 古 屋 市 名 東 区 本 郷1丁目1番 地
東 京 都 文 京 区 湯 島 2 丁 目 1 6 −7
横浜市戸塚区下倉田町828番地335
神 戸 市 中 央 区 楠 町 5 丁目4−8
姫路市三左衛門堀西の町7番地
尼 崎 市 水 堂 町 3 丁目1 5−1 4
☎
(078)
797−2076
(代表)
☎
(078)
797−2072
(代表)
☎
(079)
281−0880
(代表)
☎
(078)
947−3237
(代表)
☎
(0795)
72−2288
(代表)
☎
(0796)
24−1170
(代表)
☎
(06)
6436−5678
(代表)
☎
(06)
6821−7171
(代表)
☎
(06)
6468−3701
(代表)
☎
(06)
4308−6160
(代表)
☎
(072)
271−3801
(代表)
☎
(073)
475−2365
(代表)
☎
(075)
692−3921
(代表)
☎
(075)
646−2805
(代表)
☎
(0773)
78−2881
(代表)
☎
(0742)
64−4500
(代表)
☎
(0744)20−0505
(代表)
☎
(086)
805−0211
(代表)
☎
(082)
270−0530
(代表)
☎
(084)
973−1080
(代表)
☎
(0857)
26−6771
(代表)
☎
(0859)
37−1610
(代表)
☎
(0853)
20−0566
(代表)
☎
(087)
815−0377
(代表)
☎
(052)
776−5151
(代表)
☎
(03)
3816−4575
(代表)
☎
(045)
869−5150
(代表)
☎
(078)
371−2130
(代表)
☎
(079)
283−2061
(代表)
☎
(06)
6434−5711
(代表)
本
M S Cウエスト
神戸西営業所
姫路営業所
明石営業所
中兵庫営業所
北兵庫営業所
阪神営業所
大 阪 支 社
大阪中央営業所
大阪東営業所
大阪南営業所
和歌山営業所
京都営業所
京都SPDセンター
舞鶴出張所
奈良営業所
奈良中和営業所
岡山営業所
広島営業所
福山営業所
鳥取営業所
米子営業所
出雲営業所
さぬき営 業 所
名古屋営業所
東京営業所
神奈川営業所
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እၟ㒊 䛈634-0076 ዉⰋ┴᷃ཎᕷර㒊⏫䠓䠉䠍䠕
TEL 0744-24-3225 FAX 0744-24-2491
᭩ ᗑ 䛈634-8522
ዉⰋ┴᷃ཎᕷᅄ᮲⏫䠑䠔䠏
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