興和株式会社 - 田辺三菱製薬 医療関係者サイト Medical View Point

**2015年 4 月改訂(第17版)D18
*2014年 8 月改訂
日本標準商品分類番号
抗てんかん剤・躁状態治療剤・片頭痛治療剤
8 7 1 1 3 9、8 7 1 1 7 9
処方箋医薬品
注意−医師等の処方箋
により使用すること
錠200mg
(バルプロ酸ナトリウム徐放性錠剤)
貯 法:気密容器・室温保存
使用期限:外箱に表示
注 意:
「取扱い上の注意」の項参照
承認番号 21600AMZ00426
錠400mg
21800AMZ10040
薬価収載
2004年 7 月
2006年 7 月
販売開始
2004年 7 月
2006年 7 月
効能追加 片頭痛発作の発症抑制:2011年 6 月
1)
【禁忌】
(次の患者には投与しないこと)
〔効能・効果に関連する使用上の注意〕
◦片頭痛発作の発症抑制
⑴重篤な肝障害のある患者〔肝障害が強くあらわれ致死的に
本剤は、片頭痛発作の急性期治療のみでは日常生活に支障
なるおそれがある。
〕
をきたしている患者にのみ投与すること。
⑵本剤投与中はカルバペネム系抗生物質(パニペネム・ベタ
ミプロン、メロペネム水和物、イミペネム水和物・シラス
【用法・用量】
タチン、ビアペネム、ドリペネム水和物、テビペネム ピボ
◦各種てんかん(小発作・焦点発作・精神運動発作ならびに混
1)
キシル)を併用しないこと。
(
「相互作用」の項参照)
合発作)およびてんかんに伴う性格行動障害(不機嫌・易怒
⑶尿素サイクル異常症の患者〔重篤な高アンモニア血症が
性等)の治療、躁病および躁うつ病の躁状態の治療
あらわれることがある。
〕
通常、バルプロ酸ナトリウムとして400~1200mgを 1 日 1 回
【原則禁忌】
(次の患者には投与しないことを原則とす
るが、特に必要とする場合には慎重に投与すること)
経口投与する。ただし、年齢、症状に応じ適宜増減する。
◦片頭痛発作の発症抑制
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人(
「妊婦、産婦、授
通常、バルプロ酸ナトリウムとして400~800mgを1日1回経
乳婦等への投与」の項参照)
口投与する。なお、年齢、症状に応じ適宜増減するが、1日
量として1000mgを超えないこと。
*
【組成・性状】
1)
〜9)
【使用上の注意】
本剤は核錠に水不溶性高分子を二重コーティングした膜制御型
の徐放性製剤である。
成分・含量
添 加 物
剤
1. 慎重投与(次の患者には慎重に投与すること)
セレニカR錠200mg
セレニカR錠400mg
1錠中
バルプロ酸ナトリウム
200mg
1錠中
バルプロ酸ナトリウム
400mg
⑴肝機能障害又はその既往歴のある患者〔肝機能障害が強く
あらわれるおそれがある。
〕
⑵薬物過敏症の既往歴のある患者
⑶自殺企図の既往及び自殺念慮のある躁病及び躁うつ病の躁
エチルセルロース、無水ケイ酸、ステアリン酸Ca、
メタクリル酸共重合体L、クエン酸トリエチル、カル
ナウバロウ
形
状態の患者〔症状が悪化するおそれがある。
〕
⑷以下のような尿素サイクル異常症が疑われる患者〔重篤な
高アンモニア血症があらわれるおそれがある。
〕
徐放性錠剤
色
白色
に お い
無臭
表面
裏面
側面
1)
原因不明の脳症若しくは原因不明の昏睡の既往のある患者
2)
尿素サイクル異常症又は原因不明の乳児死亡の家族歴の
表面
裏面
ある患者
側面
2. 重要な基本的注意
⑴本剤で催奇形性が認められているため、妊娠する可能性の
外 形
ある婦人に使用する場合には、本剤による催奇形性につい
直径
9.2mm
厚さ
5.0mm
識
別
コ ー ド
重量
0.25g
直径
11.2mm
603
厚さ
6.5mm
て十分に説明し、本剤の使用が適切であるか慎重に判断す
重量
0.49g
ること。
(
「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項参照)
⑵てんかん患者においては、連用中における投与量の急激な
604
減少ないし投与の中止により、てんかん重積状態があらわ
れることがあるので、投与を中止する場合には、徐々に減
【効能・効果】
量するなど慎重に行うこと。なお、高齢者、虚弱者の場合
各種てんかん(小発作・焦点発作・精神運動発作ならびに混合
には特に注意すること。
発作)およびてんかんに伴う性格行動障害(不機嫌・易怒性等)
の治療。
⑶片頭痛患者においては、本剤は発現した頭痛発作を緩解す
る薬剤ではないので、本剤投与中に頭痛発作が発現した場
合には必要に応じて頭痛発作治療薬を頓用させること。投
躁病および躁うつ病の躁状態の治療。
与前にこのことを患者に十分に説明しておくこと。
片頭痛発作の発症抑制。
⑷片頭痛患者においては、本剤投与中は症状の経過を十分に
観察し、頭痛発作発現の消失・軽減により患者の日常生活
への支障がなくなったら一旦本剤の投与を中止し、投与継
続の必要性について検討すること。なお、症状の改善が認
められない場合には、漫然と投与を継続しないこと。
−1−
⑸重篤な肝障害(投与初期 6 ヵ月以内に多い。
)があらわれる
エリスロマイシン バルプロ酸の作用が 左記薬剤が肝チトク
シメチジン
増強されることがあ ロ ー ムP-450に よ る
る。
薬 物 代 謝 を 抑 制し、
バルプロ酸の血中濃
度が上昇する。
ことがあるので、投与初期 6 ヵ月間は定期的に肝機能検査
を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。その後も
連用中は定期的に肝機能検査を行うことが望ましい。
また、肝障害とともに急激な意識障害があらわれることが
クロナゼパム
あるので、このような症状があらわれた場合には、直ちに
適切な処置を行うこと。
⑹連用中は定期的に腎機能検査、血液検査を行うことが望ましい。
⑺尿素サイクル異常症が疑われる患者においては、本剤投与
前にアミノ酸分析等の検査を考慮すること。なお、このよ
十分な観察を行うこと。
◦躁病および躁うつ病の躁状態、片頭痛発作の発症抑制
を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること。
本剤の躁病および躁うつ病の躁状態、片頭痛発作の発症抑制
⑼本剤は製剤学的にバルプロ酸ナトリウムの溶出を制御して
に対する使用においては、厚生省「適応外使用に係る医療用
徐放化させたものであり、服用後一定時間消化管内に滞留
医薬品の取扱いについて(研第 4 号・医薬審第104号)
」通知
する必要がある。従って重篤な下痢のある患者では血中濃
に該当する医療用医薬品として承認されたため、副作用発現
度が十分に上昇しない可能性があるので注意すること。
頻度が明確となる国内での調査を実施していない。
⑽他のバルプロ酸ナトリウム製剤を使用中の患者において使
⑴重大な副作用
用薬剤を本剤に切り替える場合、血中濃度が変動すること
1)
劇症肝炎等の重篤な肝障害、黄疸、脂肪肝等(頻度不明)
があるので注意すること。
を起こすことがあるので、定期的に検査を行うなど観察
3. 相互作用
を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止
⑴併用禁忌(併用しないこと)
し、適切な処置を行うこと。
機序・危険因子
2)
高アンモニア血症を伴う意識障害(頻度不明)があらわ
カルバペネム系抗 てんかんの発作が再 バルプロ酸の血中濃
生物質
発することがある1)。 度が低下する。
パニペネム・ベタ
ミプロン
(カルベニン)
メロペネム水和物
(メロペン)
イミ ペ ネ ム 水 和
物・シラスタチン
(チエナム)
ビアペネム
(オメガシン)
ドリペネム水和物
(フィニバックス)
テビペネム ピボキ
シル
(オラペネム)
れることがあるので、定期的にアンモニア値を測定する
など観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与
を中止し、適切な処置を行うこと。
3)
溶血性貧血、赤芽球癆、汎血球減少、重篤な血小板減少、
顆粒球減少(頻度不明)があらわれることがあるので、
観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中
止するなど適切な処置を行うこと4)。
4)
急性膵炎(頻度不明)があらわれることがあるので、激
しい腹痛、発熱、嘔気、嘔吐等の症状があらわれたり、
膵酵素値の上昇が認められた場合には、投与を中止し、
適切な処置を行うこと。
5)間質性腎炎、ファンコニー症候群(頻度不明)があらわ
れることがあるので、観察を十分に行い、異常が認めら
⑵併用注意(併用に注意すること)
臨床症状・措置方法
れた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
機序・危険因子
6)
中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:
バルビツール酸剤 バルプロ酸の作用が バルプロ酸の血中濃
フ ェ ノ バ ル ビ 減弱、左記薬剤の作 度が低下する。また、
タール等
用が増強することが 左記薬剤の血中濃度
ある。
を上昇させる。
フェニトイン
カルバマゼピン
バルプロ酸の作用が
減弱、左記薬剤の作
用が増強又は、減弱
することがある。
TEN)
(頻度不明)
、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson
症候群)
(0.1%未満)があらわれることがあるので、観察
を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止
バルプロ酸の血中濃
度が低下する。また、
左記薬剤の血中濃度
を上昇又は、低下さ
せる。
し、適切な処置を行うこと。
7)
過敏症症候群(頻度不明)があらわれることがあるので、
観察を十分に行い、初期症状として発疹、発熱がみられ、
さらにリンパ節腫脹、肝機能障害、白血球増加、好酸球
エトスクシミド
左記薬剤の作用が増 左記薬剤の血中濃度
アミトリプチリン 強することがある。 を上昇させる。
ノルトリプチリン
クロバザム
ラモトリギン
症例66例中、 2 例(3.0%)に 4 件の副作用が認められ、ア
(1.5%)、振戦 1 件(1.5%)であった。
とがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険
薬剤名等
セレニカR錠200mgの承認時の臨床試験2)3)により報告された
ン モ ニ ア 増 加 1 件(1.5 %)、 傾 眠 1 件(1.5 %)、 無 為 1 件
⑻眠気、注意力・集中力・反射運動能力等の低下が起こるこ
臨床症状・措置方法
4. 副作用
◦各種てんかんおよびてんかんに伴う性格行動障害
うな患者では本剤投与中は、アンモニア値の変動に注意し、
薬剤名等
アブサンス重積(欠 機序は不明である。
神発作重積)があら
われたとの報告があ
る。
増多、異型リンパ球出現等の症状があらわれた場合には
投与を中止し、適切な処置を行うこと。なお、発疹、発
バルプロ酸の作用が 機 序 は 不 明 で あ る
増強されることがあ が、バルプロ酸の血
る。
中濃度が上昇する。
熱、肝機能障害等の症状が再燃あるいは遷延化すること
があるので注意すること。
8)
脳の萎縮、認知症様症状(健忘、見当識障害、言語障害、
左記薬剤の消失半減 肝におけるグルクロ
期が約 2 倍延長する ン 酸 抱 合 が 競 合 す
との報告がある。
る。
寡動、知能低下、感情鈍麻等)
、パーキンソン様症状(静
止時振戦、硬直、姿勢・歩行異常等)
(頻度不明)があら
サリチル酸系薬剤 バルプロ酸の作用が 遊離型バルプロ酸濃
アスピリン等
増強されることがあ 度が上昇する。また、
る。
バルプロ酸の代謝が
阻害される。
われることがあるので、観察を十分に行い、異常が認め
られた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
なお、これらの症状が発現した例では中止により、ほと
ベンゾジアゼピン 左記薬剤の作用が増 遊離型の左記薬剤の
系薬剤
強することがある。 血中濃度を上昇させ
ジアゼパム等
る。
ワルファリン
んどが 1 〜 2 ヵ月で回復している5)6)。
−2−
9)
横紋筋融解症(頻度不明)があらわれることがあるので、
⑵妊娠中にやむを得ず本剤を投与する場合には、可能な限り
観察を十分に行い、筋肉痛、脱力感、CK(CPK)上昇、
単独投与することが望ましい。
〔他の抗てんかん剤(特に
血中及び尿中ミオグロビンの上昇等が認められた場合に
カルバマゼピン)と併用して投与された患者の中に、奇形
は投与を中止し、適切な処置を行うこと。
を有する児を出産した例が本剤単独投与群と比較して多い
10)
抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)
(頻度不明)
があらわれることがあるので、観察を十分に行い、低ナ
との疫学的調査報告がある。
〕
⑶妊娠中の投与により、新生児に呼吸障害、肝障害、低フィ
トリウム血症、低浸透圧血症、尿中ナトリウム量の増加、
高張尿等があらわれた場合には水分摂取の制限等の適切
ブリノーゲン血症等があらわれることがある。
⑷妊娠中の投与により、新生児に低血糖、退薬症候(神経過
な処置を行うこと。
敏、過緊張、痙攣、嘔吐)があらわれるとの報告がある。
11)
間質性肺炎、好酸球性肺炎(頻度不明)があらわれるこ
⑸海外で実施された観察研究において、妊娠中に抗てんかん
とがあるので、咳嗽、呼吸困難、発熱等が認められた場
薬を投与されたてんかん患者からの出生児224例を対象に
合には、速やかに胸部X線、胸部CT等の検査を実施する
6 歳時の知能指数(IQ)
[平均値(95%信頼区間)
]を比較
こと。間質性肺炎、好酸球性肺炎が疑われた場合には投
した結果、本剤を投与されたてんかん患者からの出生児の
与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置
IQ[98(95 - 102)
]は、ラモトリギン[108(105 - 111)
]
、
を行うこと。
フェニトイン[109(105 - 113)
]
、カル バマゼピン[106
⑵その他の副作用
(103 - 109)
]を投与されたてんかん患者からの出生児のIQ
0.1〜 5 %未満
皮 膚
精神神経系
0.1%未満
が1000mg/日(本研究における中央値)未満の場合は[104
脱毛
めまい、傾眠、 頭痛、不眠
振戦
消 化 器
肝 臓
A S T(GOT)
上
昇、
ALT
(GPT)
上昇、
Al-P上昇
血 液
貧 血、 白 血 球
減少
過 敏 症
発疹
(99 - 109)
]
、1000mg/日を超える場合は[94(90 - 99)
]で
失 調、不 穏、視
覚 異 常、 感 覚
変化、抑うつ
悪 心・ 嘔 吐、 口内炎、食欲 便 秘、 食 欲 亢
胃部不快感
不 振、 腹 痛、 進
下痢
そ の 他
と比較して低かったとの報告がある。なお、本剤の投与量
頻度不明
注)
あった7)。
⑹海外で実施された観察研究において、妊娠中に本剤を投与
された母親からの出生児508例は、本剤を投与されていな
い母親からの出生児655,107例と比較して、自閉症発症リス
クが高かったとの報告がある[調整ハザード比:2.9(95%
信頼区間:1.7 - 4.9)
]8)。
低フィブリノー
ゲン血 症、好
酸球増多
夜 尿・ 頻 尿、 倦怠感、浮腫
高アンモニア
血 症、 体 重 増
加
⑺動物実験(マウス)で、本剤が葉酸代謝を阻害し、新生児
血小板凝集能
低下
の先天性奇形に関与する可能性があるとの報告がある9)。
⑻授乳婦に投与する場合には授乳を避けさせること。
〔ヒト母
乳中へ移行することがある。
〕
月 経 異 常( 月
経 不 順、 無 月
経)、多囊胞性
卵巣、血尿、鼻
血、口渇、歯肉
肥厚、尿失禁、
発 熱、 カ ル ニ
チン減少
7. 小児等への投与
⑴低出生体重児、
新生児に対する安全性は確立していない(使
用経験が少ない)
。
⑵片頭痛発作の発症抑制に対する、小児における安全性及び
有効性については、現在までの国内外の臨床試験で明確な
エビデンスが得られていない。
このような副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、
異常が認められた場合には減量・休薬等の適切な処置を行うこと。
注)
「抑うつ」については国外報告、それ以外は国内自発報告
に基づく。
8. 過量投与
⑴症 状:
誤飲や自殺企図による過量服用により意識障害(傾眠、昏
睡)、痙攣、呼吸抑制、高アンモニア血症、脳水腫を起こ
5. 高齢者への投与
⑴本剤は、血漿アルブミンとの結合性が強いが、高齢者では
した例が報告されている。外国では死亡例が報告されてい
血漿アルブミンが減少していることが多いため、遊離の薬
る。本剤は徐放性製剤であるため、症状が遅れてあらわれ
ることがある。
物の血中濃度が高くなるおそれがあるので、用量に留意し
⑵処 置:
て慎重に投与すること。
⑵てんかん患者においては、連用中における投与量の急激な
意識の低下、嚥下反応の消失がなければ早期に胃洗浄を行
減少ないし投与の中止により、てんかん重積状態があらわ
う。下剤、活性炭投与を行い、尿排泄を促進し、一般的な
れやすいので慎重に投与すること。
支持・対症療法を行う。また必要に応じて直接血液灌流、
血液透析を行う。ナロキソンの投与が有効であったとする
⑶片頭痛発作の発症抑制に対する、高齢者における安全性及
報告がある。
び有効性については、現在までの国内外の臨床試験で明確
9. 適用上の注意
なエビデンスが得られていない。
⑴保存時:
6. 妊婦、産婦、授乳婦等への投与
本剤は徐放性製剤であり、製剤の吸湿により溶出が加速さ
⑴妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有
れることがあるので、吸湿しないように保存させること。
益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与するこ
⑵服用時:
と。
〔二分脊椎児を出産した母親の中に、本剤の成分を妊
娠初期に投与された例が対照群より多いとの疫学的調査報
1)
本剤は徐放性製剤であり、製剤をかみ砕くことにより溶
告があり、また、本剤の成分を投与された母親に、心室中
出が加速されることがあるので、薬剤をかみ砕かないで
隔欠損等の心奇形や多指症、口蓋裂、尿道下裂等の外表奇
服用させること。
形、その他の奇形を有する児を出産したとの報告がある。
2)
錠剤の嚥下能力が低いと考えられる小児等には、事前に
また、特有の顔貌(前頭部突出、両眼離開、鼻根偏平、浅
本剤が服用可能なことを確認して十分注意し服用させる
く長い人中溝、薄い口唇等)を有する児を出産したとする
こと。また、本剤(錠剤)の服用が困難な小児等には、
報告がみられる。
〕
本剤以外の剤形を選択すること。
−3−
2. 吸収(血中濃度)
3)
本剤投与後に白色の残渣が糞便中に排泄されるが、これ
は賦形剤の一部である。
健康成人 6 名にセレニカR錠200mg× 1 錠(バルプロ酸ナト
⑶薬剤交付時:
リウム(以下VPA-Naと略)200mg)をクロスオーバー法に
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう
より絶食時及び食後(高脂肪食)に単回投与した場合の
指導すること。
(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が
AUC0-72、Cmax及びTmaxは、それぞれ以下の通りで、食事に
食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重
よる影響をほとんど受けなかった18)。
篤な合併症を併発することが報告されている。
)
10.その他の注意
AUC0-72
(μg・hr/mL)
Cmax
(μg/mL)
Tmax
(hr)
海外で実施された本剤を含む複数の抗てんかん薬における、
絶食時投与
296.29±23.93
8.82±0.52
18.0±4.7
てんかん、精神疾患等を対象とした199のプラセボ対照臨床
食後投与
249.91±117.76
8.13±2.78
14.7±1.6
試験の検討結果において、自殺念慮及び自殺企図の発現のリ
健康成人 5 名にセレニカR錠200mg× 4 錠(VPA-Na 800mg)
スクが、抗てんかん薬の服用群でプラセボ群と比較して約 2
を反復投与した場合、投与開始後約 5 日間で定常状態に達し、
倍高く(抗てんかん薬服用群:0.43%、プラセボ群:0.24%)
、
日内変動も少なかった19)。
抗てんかん薬の服用群では、プラセボ群と比べ1000人あたり
3. 代謝・排泄
1.9人多いと計算された(95%信頼区間:0.6 - 3.9)
。また、て
健康成人 6 名にセレニカR顆粒 3 g(VPA-Na 1200mg)を単回
んかん患者のサブグループでは、プラセボ群と比べ1000人あ
投与した場合の血中及び尿中代謝物は、血中では主に 3 -keto
たり2.4人多いと計算されている。
体(AUC0-∞ 328.15±94.73μg・hr/mL)が検出され、尿中で
も主に 3 -keto体(投与後56hrまでの排泄率34.05±2.57%)が
【薬 物 動 態】
10)
〜20)
排泄され、以下VPA、3 -OH体、4 -OH体、PGA、5 -OH体、
1. バルプロ酸の薬物動態の特徴
4 -keto体、cis- 2 -en体、trans- 2 -en体の順であった。また、尿
◦薬物動態パラメータ(参考:海外文献報告値)
生物学的利用率
約100%(剤形の違いによらない)
血漿中蛋白結合率10)
>90%(およそ100μg/mL以上の濃度
では結合が飽和する11))
分布容積10)
0.1〜0.4L/kg(ほぼ細胞外液に相当)
10)
中の総排泄率は投与後56hrまでで61.20±5.59%であった20)。
2)3)21)22)
【臨 床 成 績】
◦各種てんかんおよびてんかんに伴う性格行動障害
セレニカR錠200mgの承認時のクロスオーバー法による比較
6 〜 8 mL/hr/kg
(健康成人:16〜60歳)
13〜18mL/hr/kg
(小児てんかん患者:
3 〜16歳、単剤投与時)
全身クリアランス※12)
(高齢者では、全身クリアランスは成
人と差はないが、遊離型のクリアラン
)
スは低下するとの報告がある13)。
尿中排泄率
14)
試験及び一般臨床試験を国内16施設(17診療科)で実施した
結果、臨床効果が認められた症例は、60/65例(92.3%)で
あった2)3)。
セレニカR錠200mgとセレニカR顆粒の最低血漿中薬物濃度を
比較した36例では、差の90%信頼区間は−9.72〜13.95%で
1 〜 3 %(未変化体)
あった2)。
※吸収率を100%と仮定
◦躁病および躁うつ病の躁状態21)22)
◦全身クリアランスに影響を与える因子
国内において、本効能に対する臨床成績が明確となる臨床試
バルプロ酸の全身クリアランスは主に肝固有クリアランス
験は実施していない。
と血漿中非結合率の影響を受ける12)15)。バルプロ酸の主代
米国での承認取得の際に評価対象となった 2 種の二重盲検比
謝経路に影響を与える可能性のある薬剤を併用する場合
較試験の成績概要は次の通りである。
は、慎重に投与すること。
1)米国で、双極性障害患者179例を対象に、バルプロ酸、リ
バルビツール酸製剤、フェニトイン及びカルバマゼピンは
チウム又はプラセボを 3 週間投与する二重盲検比較試験が
バルプロ酸の代謝を誘導すると考えられる16)ので併用には
実施された。その結果、著明改善(躁病評価尺度で少なく
注意が必要である(
「相互作用」の項参照)
。蛋白結合率が低
とも50%以上改善した割合)を示した割合は、バルプロ酸
下した場合、定常状態では総血漿中濃度は低下すると考え
群48%、リチウム群49%であり、バルプロ酸群及びリチウ
られるが、非結合型濃度は低下しないとされている15)17)。
ム群ともにプラセボ群25%に比べ有意に優れていた。有害
◦有効血中濃度:40〜120μg/mL
事象についてバルプロ酸群で多く発現した事象は、嘔吐及
各種てんかんおよびてんかんに伴う性格行動障害、躁病お
び疼痛のみであった。
よび躁うつ病の躁状態に対する有効血中濃度に関しては各
2)
米国で、リチウムに反応しないかあるいは忍容性のない36
種の報告があるが、その下限は50μg/mLを示唆する報告も
例の双極性障害患者について、プラセボを対照にバルプロ
あり、上限は150μg/mLとする報告もある。
酸の安全性と有効性が二重盲検比較試験により検討され
躁病および躁うつ病の躁状態に対する本剤の使用に際して
た。その結果、主要有効性評価項目である躁病評価尺度総
は、急性期治療を目的としているため、原則的に血中濃度
合点中央値の変化の割合はバルプロ酸群で54%、プラセボ
モニタリングの実施は必須ではないが、本剤の用量増減時
群で 5 %とバルプロ酸群で有意に優れていた。プラセボ群
に臨床状態の変化があった場合や、予期した治療効果が得
に比べバルプロ酸群で有意に発現頻度の高い有害事象は認
られない場合等には、必要に応じ血中濃度のモニタリング
めなかった。
を行い、用量調整することが望ましい。
注意)バルプロ酸の躁病および躁うつ病の躁状態に対する、 3
片頭痛発作に対する本剤の使用に際しては、有効血中濃度
週間以上の長期使用については、現在までの国内外の
が明確になっていないため、原則的に血中濃度モニタリン
臨床試験で明確なエビデンスは得られていない。
グの実施は必須ではないが、本剤の用量増減時に臨床状態
の悪化があった場合等には、必要に応じ血中濃度のモニタ
リングを行い、用量調整することが望ましい。
−4−
23)
〜33)
【薬 効 薬 理】
14)Gugler, R. et al.:Eur. J. Clin. Pharmacol. , 12. 125
(1977)
15)緒方宏泰他:臨床薬物動態学−薬物治療の適正化のため
1. 薬理作用
に−125
(2000)
⑴急性痙攣モデルでは、マウスの最大電撃痙攣、ペンテトラ
ゾール痙攣、ピクロトキシン痙攣、ビククリン痙攣、スト
16)Riva, R. et al.:Clin. Pharmacokinet. , 31. 470
(1996)
リキニーネ痙攣、イソニアジド痙攣を抑制する23)24)。
17)Scheyer, R. D. , Mattson, R. H.:Antiepileptic Drugs
4th ed. , 621
(1995)
⑵痙攣準備状態を備えたモデルでは、ネコのキンドリング痙
攣、マウスの聴原発作、ヒヒの光誘発痙攣に対し抑制作用
18)興和
(株)
社内資料:薬物動態
(単回投与試験)
を示す25)〜28)。
19)興和
(株)
社内資料:薬物動態
(反復投与試験)
20)室 秀輝他:TDM研究, 8. 35
(1991)
⑶躁病の動物モデルと考えられる、デキサンフェタミンとク
ロルジアゼポキシドとの併用投与により生じる自発運動亢
21)Bowden, C. L. et al.:JAMA, 271. 918
(1994)
進作用を有意に抑制する。
(マウス、ラット)
22)Pope, H. G. Jr. et al.:Arch. Gen. Psychiatry, 48. 62
(1991)
29)
23)Frey, H. -H. et al.:Arzneimittelforschung, 26. 299
(1976)
2. 作用機序
24)Löscher, W. et al.:Naunyn-Schmiedeberg's Arch.
作用機序の 1 つとして、脳内のGABA・グルタミン酸の代謝
Pharmacol. , 296. 263
(1977)
経路においてGABA合成に関与しているグルタミン酸脱炭酸
酵素活性の低下抑制やGABA分解に関与しているGABAト
25)Leviel, V. et al.:Epilepsia, 18. 229
(1977)
ランスアミナーゼ及びコハク酸セミアルデヒド脱水素酵素活
26)Simler, S. et al.:Biochem. Pharmacol. , 22. 1701
(1973)
性を阻害することにより、脳内GABA濃度を増加し、痙攣を
27)Anlezark, G. et al.:Biochem. Pharmacol. , 25. 413
(1976)
抑制することが考えられている24)26)27)30)31)。
28)Patry, G. et al.:Can. J. Physiol. Pharmacol. , 49. 568
(1971)
抗躁作用32) 及び片頭痛発作の発症抑制作用33) についても
29)Cao, B. -J. et al.:Eur. J. Pharmacol. , 237. 177
(1993)
GABA神経伝達促進作用が寄与している可能性が考えられて
30)Godin, Y. et al.:J. Neurochem. , 16. 869
(1969)
いる。
31)Sawaya, M. C. B. et al.:Epilepsia, 16. 649
(1975)
32)Emrich, H. M. et al.:Arch. Psychiatr. Nervenkr. , 229. 1
【有効成分に関する理化学的知見】
(1980)
一般名:バルプロ酸ナトリウム(Sodium Valproate)
33)Cutrer, F. M. et al.:Br. J. Pharmacol. , 116. 3199
(1995)
化学名:Monosodium 2-propylpentanoate
**
【文献請求先】
分子式:C8H15NaO2
主要文献に記載の社内資料につきましても下記にご請求ください。
分子量:166.19
田辺三菱製薬株式会社 くすり相談センター
構造式:
〒541-8505 大阪市中央区道修町 3 – 2 – 10
電話 0120–753–280
性 状:白色の結晶性の粉末である。水に極めて溶けやすく、
エタノール
(99.5)
又は酢酸
(100)
に溶けやすい。吸湿性
である。
【取扱い上の注意】
本剤は吸湿性が強いので、服用直前までPTPシートから取り出
さないこと。また、保存に際してPTPシートを破損しないよう
注意すること(本剤をPTPシートから取り出し一包化調剤する
ことは避けること)
。
【包 装】
セレニカR錠200mg PTP: 100錠(10錠×10)
、
1000錠(10錠×100)
セレニカR錠400mg PTP: 100錠(10錠×10)
【主 要 文 献】
1)荒木 敦他:第128回大阪小児科学会, 13. 6
(1996)
2)三浦寿男他:小児科臨床, 57. 1729
(2004)
3)羽場篤嗣他:新薬と臨床, 53. 378
(2004)
4)谷口義弘他:日本小児科学会雑誌, 100. 1550
(1996)
5)Papazian, O. et al.:Ann. Neurol. , 38. 687
(1995)
6)Armon, C. et al.:Neurology, 47. 626
(1996)
7)Meador, K. J. et al.:Lancet Neurol. , 12. 244
(2013)
8)Christensen, J. et al.:JAMA, 309. 1696
(2013)
**
9)Delgado-Escueta, A. V. et al.:Neurology, 42
(Suppl. 5)
. 149
(1992)
10)Zaccara, G. et al.:Clin. Pharmacokinet. , 15. 367
(1988)
**
11)Gómez, B. M. J. et al.:J. Clin. Pharm. Ther. , 18. 191
(1993)
12)Levy, R. H. , Shen, D. D.:Antiepileptic Drugs 4th ed. , 605
(1995)
13)Perucca, E. et al.:Br. J. Clin. Pharmacol. , 17. 665
(1984)
−5−
14.01.14.3D
19
−6−